序自室の机に置かれた、差出人名のないの小包。長方形の立方体で、箱の外側は白い包装紙でくるんであり、ロゴも何もない飾り気なしのパッケージデザイン。かさは小さく、目方も軽く、片手で持てる程度。だが内容物は明記されておらず、中身は分からない。振ってみても、かたかた、という音がかすかにするだけ。 「……何かしら?」 高尾静子は、不審そうに首を傾げた。こんな小包が来るような覚えはなかった。高校の友人が何かを送ると言っていた覚えはないし、また通販で品物を注文したような事もない。 だが、宛先人名の欄には、確かに「高尾静子様」と彼女の名前があり、彼女の自宅の住所が書いてあった。 彼女はもう1度小包を手に取り、振ってみた。中からは、かすかにかたかた、という音が聞こえる。軽くて小さなものが入っているようだった。包装紙は単なる白い紙で、店の名前などは入っておらず、中身を推測することもできない。 何度か首をひねった挙げ句、彼女はそれを開けてみることにした。不審感九割、だが残り一割は、得体の知れない好奇心と期待感で占められていた。 包装紙を切り開き、封のテープも切り、箱の上蓋を開けた。まず目に入ってきたのは、緩衝材に使われる空気入りプラスチックシートだった。彼女はそれを取り除いた。 「……なによ、これ」 緩衝材の下から現れたのは、得体の知れない物体だった。それは小さな卵型をしていて、一方の端から電気コードが伸びている。コードの先は四角い箱に繋がり、その箱にはつまみのようなものが付いている。物体の材質はプラスチックで、全体赤く塗られていた。 彼女は、見た事もないその珍妙な物体を取り出した。見たところ、四角い箱はリモコンで、つまみで操作するらしい。つまみはスライド式で、ボタンを前後にずらして操作するようだった。彼女はリモコンを手に取り、つまみを少し手前にずらしてみた。 「きゃっ!」 突然ブゥーンと音がして、コードの先についた卵型の物体が小刻みに震え始めた。予期せぬ動きに驚き、思わず手にもったそれを投げ出してしまう。 「…な、何なの…?」 投げ出されたそれは、絨毯敷きの床に転がった。相変わらずブゥーンと振動音を響かせ、小刻みに震えている。 最初の驚きから立ち直った彼女は、改めて、床に転がるそれを拾い上げてみた。リモコンを手に取り、おそるおそる、さらにつまみを操作してみた。つまみのボタンを手前に引くと、引いた分だけ卵型の振動が大きく、激しくなった。つまみを元に戻すと、振動は小さくなり、やがて止まった。 「?」 彼女はそれを手に持ったまま、いかにも不審そうな表情でしばらく首を傾げていた。 (…そういえば、小包の中、まだ全部見てなかったわ) 彼女は机の上にそれを置くと、再び小包の中を探り始めた。得体の知れない物体は、緩衝材の上にきちんと置いてあった。その緩衝材を再び取り除くと、次に現れたのは6本組の単3乾電池、そして1冊の薄い本だった。手作りのようで、紙はコピー用紙、背は黒いテープで覆ってある。表紙には、白地に黒字でたった一言「スリル」とだけ書いてあった。 乾電池と本を取り出し、さらにそれが乗っていた緩衝材を取り除くと、後は箱の底だった。もう何も入っていない。彼女は緩衝材を箱に詰め戻して床に置き、改めて机の上に並んだ物体を眺めた。 赤いプラスチック製の、スイッチを入れたら振動する卵型の物体。それに用いるのであろう6本組単3乾電池。そして、手作りの薄い本。誰かの私物のようだった。間違って送られて来たのでは… とも思った。が、箱の宛先は、何度見ても彼女だったし、差出人の名はない。 机の上の物体をひとしきり眺めた後、彼女は、手作りの冊子を手に取った。軽くぱらぱらとめくってみると、ページをびっしりと埋め尽くした文字が目の前を通り過ぎる。どうやら小説が載っているらしい。だが、改めて表紙を見てみると、作者の名前がない。 (…?) またも、静子は首を傾げた。本当に謎だらけの小包だった。不思議さを頭の中に満たしつつ、彼女は冊子のページをめくり、内容に軽く目を走らせた。
「え、これって…」 軽く読み進めていくうちに、静子は困惑した。女子高生の性への興味を書いた小説、しかも、まるで自分の事を書かれているような錯覚があった。 何かいやらしい読み物に手を付けているという感覚に襲われつつ、彼女はさらに読み進めていった。
静子は、顔を真っ赤にして冊子を閉じた。とんでもないものを目にしてしまった、そんな気分だった。こんなものを親や妹に見付かったら、何を言われるか。一体誰が送り付けたか分からないが、まったく恥ずかしい代物だった。 (ゴミの日、いつだっけ…。こっそり見付からないように捨てちゃわなきゃ) 彼女は机の上のものをそそくさと箱に押し込むと、なるだけ目につかないように、部屋の隅へと追いやった。嫌悪感で身震いがする。 (あんな、いやらしいもの送るなんて、どこの誰なのよ) 気晴らしして早く寝てしまおう、と、静子は本棚から適当に漫画を手に取り、読みはじめた。あんなもの、早く忘れてしまいたかった。……だが、彼女の体はかすかに上気し、呼吸が上がっていた。わずかだが、あれを読んで興奮していたのだ。しかしその事実から、静子は敢えて目を逸らしていた… 1.はじまりのローター自慰翌朝。すがすがしく目を覚ました静子は、いつも通りに手早く登校の準備にかかった。洗面所で顔を洗い、肩口で切り揃えた髪を梳かし、自室に戻って制服に着替える。パジャマから黒いセーラー服に着替えると、かばんを持って食堂へ。そこで、既に準備されている朝食を摂り、学校へ向かうのだった。 家から学校までは、バスに揺られること10分、バスを降りてから歩くこと5分。バスに乗っていると、止まった先のバス停で次々と同じ学校の生徒が乗り込んで来る。学校最寄りのバス停に着く頃には、車内は制服で充満していた。 「おはよう」 「おはようございます」 バスを降りてから学校に向かう道は生徒であふれ、見知った者同士会うと口々にあいさつを交わしている。いつも通りの朝の風景。 「おはよう、静子」 道行く静子に声をかけてきたのは、クラスメートの城島理恵だった。静子も、いつも通りにほほえんで、おはよう、と小さく挨拶を返した。 学校での静子は、どちらかというと目立たない、大人しい存在だった。一方の理恵は、静子とは反対に活発な女子だった。体はやや華奢だったが、はきはきとして明るく、運動が好きで、長く伸ばした髪をいつも団子に丸めている。そんな彼女と静子は、なぜか仲が良かった。 「昨日の数学の宿題、どうだった?」 「うん… 難しかった」 「あっはっは、静子にも難しい問題だったんだね。あたしなんてもう」 理恵が笑う。つられて、静子もほほえむ。何事もない朝だった。 当たり前の一日。朝起きて、学校へ来て、みんなと会って挨拶しておしゃべりして。朝のホームルームが過ぎると、授業の始まり。今日の1時間目は古文の授業。今ちょうど百人一首を覚えさせられているところで、毎回小テストがあってかなり大変。2時間目は理科2、物理分野。これはまあまあ。3時間目は… 3時間目は体育だった。ただし、今日は外で運動するのではなく、視聴覚室で授業を受ける日。クラス中が妙に浮き足立っているのを静子は感じた。 そうだった。静子は思い出した。今日の授業は性教育なのだ。好奇心旺盛な一部の子が、わくわくしてはしゃいでいた。 教科書と筆箱を持ち友達と連れ立って視聴覚室へ向かう間、彼女の心は複雑だった。 (性教育だなんて…) 小学校・中学校時代に生理に関する授業を受けた時と同じ、必要性はあるのだろうがどことなくいかがわしさのぬぐえない、そういう感情を抱き続けていた。 視聴覚室に入ると、待っていたのは校医の先生だった。まだ若い女医先生で、ショートカットがよく似合う。彼女ははしゃぐ生徒達を適当にあしらいながら、座席に座らせていった。視聴覚室の座席は、教室にあるのとは違い、椅子に小さな書き物台のついたデザインだった。視聴覚室の雰囲気と合わせて、何か特殊な印象を与える。 「はいみんな、よく聞いて…。これからは性教育の時間です。まずビデオを見て、それから教科書使って少し授業をします。それと、みんなの座っている席の書き物台に、1枚ずつ紙が置いてあるでしょう。なんでもいいですから、それに授業に関する質問や感想などを書いてください。どんな事でもいいです。授業の終わりに回収して、質問が書いてあれば、できるだけ答えますから。それと、紙に名前は書かなくていいですからね」 室内はまだざわざわしていた。先生が合図して、係の人が照明を落とすと、一瞬声が上がる。皆落ち着かず、静子自身もそわそわしていた。 そして、授業が始まった。 実際の性教育というのは、実のところさほど性的な内容ではない。人体の構造、妊娠と出産のプロセス、性交時の避妊具使用について、そして性病の危険性。それらが、写真・絵図を交えて解説される。性交の映像が出たりはしないし、生々しい性器の映像なども出ない。実のところかなり大人しいものである。 ビデオ視聴終了後、教科書を使って授業が行われる。基本的に、ビデオで見た内容と同じ話だった。割合淡々と時間が過ぎていった。 「さて。性教育の時間はこれで終わりです。みんな、今日習った事をきちんと覚えて、正しく生活しなさいね」 少し時間を余らせて授業が終わった。室内が少しリラックスしたところで、授業前に配った紙を回収するよう指示が出た。 「みんな、もう書き終わったかしら? じゃあ後ろの人、順番に集めて持って来て下さい」 何を書くか、静子は迷っていた。正直に言うと、書く事などなかったのだ。そうこうしているうちに回収が始まってしまい、結局彼女は白紙のまま出す事になってしまった。 集まった紙が、先生のいる教卓へと持っていかれる。先生はその紙を教卓の上に広げると、がさがさとかき回し、目に付いた何枚かを取り上げた。 「じゃあ、最初の質問ね。…ええと。『セックスする時、スキン付けないといけない事はよく分かりました。他には何か気を付けないといけない事はありますか?』。はい、じゃあお答えしましょ」 この質問を皮切りに、校医の先生は次々と質問に答えていった。その質問の多さに、静子は驚いた。先生のもとには、いろいろな質問が寄せられていた。生理や体調に関する質問も多かったが、性そのものに対する質問も多かった。性病にかかったかどうかすぐ分かる方法はないか。性交時、口で性器をなめるのは大丈夫なのか。性交後、すぐに膣を洗えば妊娠しないというのは本当か…。クラスメートが意外に性に関心を持っているのを知って、静子は少なからずショックを受けた。 校医の先生は、集まった質問に矢継ぎ早に答えていった。質問と答えを何度か繰り返し、そろそろ授業時間も終わりに近づいた頃である。 「じゃあ次。時間がないから、これが最後の質問ね。『最近私は、オナニーをよくするようになりました。自分でしてるとばかになるとか、体によくないって話を聞きます。オナニーは体に悪いですか? やめるにはどうしたらいいでしょうか』」 最後の質問が読み上げられると、クラスの方々から小さく笑う声が上がった。 「オナニーは、別に体に悪い事なんかじゃありません。頭が悪くなるなんて事もありません。別に無理してやめなきゃいけない事なんてないのよ」 くすくす笑う声を無視して、先生はさらりと答えた。 「どうしも、体がむずむずして我慢できない時、自分の指でいじって満足するのは普通の事です。だから、あんまり気にしないで大丈夫。後は、のめりこみ過ぎないように注意して下さい。これでいいですか、質問した人」 そうして、授業は終わった。 「……ふう」 軽い虚脱感を味わいながら、彼女は教室へと戻って行った。クラスの大勢は性に関心を持っている、その事が彼女を驚かせ、飛び出した様々な質問は彼女にショックを与えた。 触れてはいけないもの、いやらしいものとして、今まで敬遠していた。そういう話題を口に出す事もなかった。みんなそうだと思っていた。けれど、違った。 「せーいこっ」 明るく声をかけられ、振り返ると、そこにいたのは城島理恵だった。 「あれ? なんか疲れてるみたい」 「うん、なんか…。私、ああいうのって全然分からないから… みんななんだか色々質問してるの聞いて、びっくりしちゃった」 そう言って、彼女は曖昧に笑った。 「ふーん… なんか、静子らしいね」 理恵はにこりと笑った。が、不意に笑みを消すと、声をひそめて話かけた。 「…あのね、静子。その、無理して答えなくていいんだけど…」 理恵の突然の変化に、静子も緊張した。 「あのさ、最後の質問、あったでしょ。あれ…自分で触ってて、気持ち良くなった事って、ある?」 「えっ? それは…」 静子はうろたえた。実を言うと彼女は、これまで満足にオナニーなどした事なかったからだ。話に聞いた事はあるものの、自ら快感を味わった事はない。だが、素直に「ない」と答える事ができなかった。 「いや、やっぱりいい、ごめんね静子。変な質問して。忘れて」 おろおろする静子の様子を見て、理恵は慌てて手を振った。そうして話題を変えると、いつも通りに明るく話しかけてきた。 話題が変わり、静子は心中ほっとした。だが同時に、自分がひどくみじめな存在に思えた。 放課後、委員会活動もなく、友人と連れ立って軽くおしゃべりしてから帰宅する。帰り着いてからは、疲れた頭をほぐすようにテレビを見て、食事をし、それから入浴。パジャマ姿で自室に戻り、宿題を片付けながら、彼女はぼんやりと考え事をしていた。 『我慢できない時、自分の指でいじって満足するのは普通の事です』 『自分で触ってて、気持ち良くなった事って、ある?』 先生の声や理恵の声が、頭の中でこだまする。今まで自分は何も考えて来なかったけれど、でも周りのみんなは… 彼女はシャープペンの動きをふと止め、部屋の隅に目をやった。そこには、捨てると決めた箱がある。いかがわしい小説が入った、差出人不明の小包。その内容を思い出した時、彼女の心臓がどきん、と高鳴った。 (…だめよ、だめ。あんなの読むなんて。勉強に集中しなさい) しかし、心臓はどきどきと高鳴り続ける。頭にじわじわと血が昇り、夏でもないのに額に汗の粒が浮いた。 (…ちょっとだけなら……いや、やっぱりだめよ…) 静子は自分を落ち着けようと、大きく、深く息をした。手にぐっと力をこめ、シャープペンを握り直す。意識的に宿題の事だけを考えよう、と努めた。 その時、ぴしっと音を立ててシャープペンの芯が折れた。彼女は顔をしかめ、ペンの端をかちかちと押して芯を出そうとする。が、出てこない。丁度芯が切れてしまったようだった。 「ふう…」 彼女はペンをからん、と転がすと、大きくため息をついた。疲れていた。集中力も尽きていた。黙って座っていたが、視線はどうしても箱の方に向かってしまう。 (……す、少しだけよ。ちょっと見るだけなんだから…) ついに、静子は箱の方へ手を伸ばした。捨てると決めたはずのその箱を、引き寄せ、開けて、中の冊子を取り出した。緊張が高まり、彼女の手はいつしか不規則にぶるぶると震えていた。 さっきよりもさらに大きく息をつき、彼女は、冊子を開いた…
静子はごくり、とつばを飲み込んだ。気が付けば、食い入るように冊子に見入っていた。持つ手はかたかたと震え、足は時折ぴく、ぴくと痙攣している。 (私どきどきしてる… どうしよう… どうしたらいいの…) 彼女は泣きそうに顔を歪めた。 (こ、この本みたいに、手で触ったら…) 考える間もなく、ぶるぶる震える右手が下半身へと伸びていた。手はパジャマの上から、恥骨の辺りにそっと触れた。何も感じない。次に、力をこめてぐいと押した。 「あぐっ!」 突然刺激が体を襲い、静子の体は椅子の上でびくんと跳ねた。 「あ……くぅあ…」 力を入れてデルタ部の先端を押さえたまま、無意識のうちに、円を描くようにぐりぐりと手を動かしていた。背筋を伝って絶え間なく刺激が送り込まれ、彼女はうっとりと表情を崩した。
静子は、目の前にぼうっと霞がかかったような感覚を覚えた。いつしか彼女の全身は汗ばみ、額からは汗が流れ落ちて彼女の視界を邪魔していた。 「くっ……ん…」 今や、彼女は椅子の上で身をよじり、沸き上がる快感に身を委ねていた。震える左手に冊子を持ち、右手はパジャマの上から、股間を押さえたり、こね回したりしている。熱を帯びた感覚が全身に広がるのを彼女は感じ、時折襲い来る強い刺激にはぴくんと体を反応させた。
(……ローター) 初めて目にする単語だった。しかし、今の静子は、それが何であるかを即座に理解していた。股間部から右手が離れ、箱へと伸びた。手に触れたコードとリモコンを無造作につかみ、机の上へと引き上げた。 赤いプラスチックの卵を目にし、彼女はさらなる快感の予感に震えた。もはや、我慢の限界を越えていた。静子はふらふらと立ち上がると、もどかしげにパジャマのズボンを引き降ろした。机からローターを取り上げ、左手にリモコンを、右手に卵を持つ。そうして、右手を遠慮なくショーツの中へとねじ入れて行った。 手を奥まで突っ込み、股間に卵を押し当てると、一番敏感な穴にずぶりとめり込むのを感じた。 「ぐふぅっ!」 そこは想像していた以上に柔らかく、既に粘液がしみ出て周囲をぬるぬるとぬめらせていた。初めてそこを直接いじり、その刺激に彼女は悶えた。体がかくんと前のめりになり、食いしばった歯の間から声が漏れる。 彼女は卵を秘部の入り口に据えると、右手をショーツから引き抜いた。ショーツの布がローターを軽く圧迫し、秘部に押し付けている。それだけでも、初体験の彼女にはたまらない刺激だった。心臓の鼓動に合わせ、しびれるような感覚がずきん、ずきんと背筋を上ってきていた。 今や静子の体全体が極度に興奮し、額からは止めどなく汗が流れ落ちている。彼女は奥歯をしっかりと噛みしめ、汗ばんだ下半身を見下ろした。パジャマのズボンを引き降ろし、むき出しになったショーツ。腰のところからは場違いな電気コードがはみ出て、左手に持ったリモコンへと繋がっている。 彼女は、左手の指で、リモコンのつまみをずらした。 「がはっ! あっ、く、あ、ああっ!」 スイッチが入った瞬間、静子の体がびくんと弾けた。体はびくびくと痙攣しながら、えび反りにしなっていった。 強烈な刺激だった。背筋に電流が流れたようで、全身がしびれて自由が利かなくなった。繰り返し襲ってくる激しい感覚で全身が硬直し、彼女の意志をまったく受け付けずに不規則に震えた。 「い、あ、ああっ、んくっ、あああっ!」 凶暴な刺激に襲われ、口からあられもなくよがり声が漏れてしまう。彼女はほとんど自由の効かない体を必死に動かし、右手で自分の口を覆った。声を抑えるための、それが精一杯の努力だった。 秘部から全身へ広がる快感の波は、益々荒く、激しくなっていった。脱ぎきっていないパジャマのズボンが足にからみ付き、静子はバランスを崩して、背をしならせたまま床に倒れた。絨毯の上で彼女は、のたうちまわるようにがくがくと体を震わせた。 そのまま、一気に彼女は爆発した。 「あっ、もう、だめ、あ、あ、ああああああっ!!」 床に倒れ込んだまま、彼女は背中とあごをいっぱいにそらす。強く口を抑えた右手を通して、快感の声が漏れる。えびのような姿勢のまま体が突っ張っり、真っ白い快感が彼女の神経を直撃する。直撃は何度も、何度も襲ってきて、その度に彼女の肉体は激しく痙攣した。 …彼女の初体験は、終わった。絶頂の嵐が通り過ぎた後、彼女はしばらく床に倒れたまま動く事ができなかった。体は絶頂の余韻で不規則にぴく、ぴくと波打ち、口からは声にならない吐息がひゅうひゅうと漏れていた。顔は真っ赤に紅潮し、汗と涙と涎でぐじゅぐじゅに濡れていた。そして股間部。衝撃の余りスイッチを切ることさえできないまま、そこでは卵が振動し続けている。あふれ出た蜜液がショーツのクロッチをべっとりと濡らし、そこで振動する赤い卵や黒い陰毛を淫靡に浮き上がらせていた… |