【3.「では、凛、裸になってください」】



「では、凛、裸になってください」
「えっ、どうしてそうなるの!?」
 おかしい。
 なんでそういう話の流れになるのか、理解出来ない。

「裸にならないと、付けられないでしょう」
「いや、まぁそうだけど、自分でやるからセイバーは部屋に戻って休んでいてね」
 なぜセイバーは、部屋に帰らないのだろう?

「いえ、これは私の問題でもあります。
 凛だけに手間をお掛けするわけにはいきません。
 それに凛が自分でするより、私が手伝った方が綺麗に付けることが出来るはずです」
「いや、大丈夫、自分でするから」
「いいえ、これは私の仕事です。
 このようなことをするのは始めてですが、最後までやり遂げて見せます」
 この王様は頑固さでもサーヴァント1だった。
 そして恥ずかしいから、ひとりで付けさせて欲しいという、こちらの事情を察してはくれない。

「これは大変言いにくいのですが、今までの経験からいって、凛はここ一番という時に致命的な失敗をする傾向があります」
「うぅっ……それは……」
 全くその通りで、反論できないのがくやしい。

「一人で付けたりすれば、何か予想外のトラブルを起こしかねません」
「……完敗だわセイバー、お願いするわね……」
 こうなると、セイバーの説得は不可能だと諦めるしかなかった。

「では、脱いで下さい」
「うう、わかったわよ……」
 仕方なく、服を脱いでいく。
 立ち上がると頬を羞恥に染めながら、上着を脱いでいった。
 そしてわたしは、震える指先を背中に回し、ブラのホックをゆっくりと外す。

「全部脱がないのですか?」
 わたしが上だけしか脱がないのが不満らしい。

「最初は乳首をピアスするだけだから、下まで脱がなくてもいいでしょ」
「まぁ、そうですね」
 なんでセイバーはそんなにがっかりした顔をするのだろう。
 わたしの裸がそんなに見たいのかしら。

「まずは、消毒と麻酔をするわ。
 そのあと、セイバーにこのニードルで乳首の横から刺してもらうから。
 ニードルは1回ごとに使い捨てにしてね、切れ味が悪くなるから」
「了解しました、凛」
 わたしは机の上から準備しておいたガーゼを取り出す。

「ん、冷たっ……」
 わたしは椅子に座ると、殺菌剤と麻酔薬の染みこんだガーゼで、乳首をしごく。
 消毒薬の臭いが鼻をつく。
 最初冷たい感触、だんだんと痺れてきて感覚が緩慢になっていった。
 麻酔が効き始めると、感覚が次第に鈍くなっていった。

 ピアッシングニードルを開封する、注射針の通常の3倍くらい太い。
 麻酔で感覚が無いとはいえ、これを乳首に刺すのには躊躇する。
 それでも、覚悟を決めるとセイバーに声をかけた。

「いいわ、セイバーやってちょうだい」
 そう言ってわたしは、ニードルを手渡した。
 セイバーは作業をしやすいように、わたしの目の前にひざまずいた。
 丁度わたしの乳首が目の前に来る位置だ。
 セイバーはわたしの右の乳首に手を伸ばし、指でつまんでニードルを右手に構えた。
 乳首がつままれると、ビクリと躰が震えた。
 針先が付け根より少し上の辺りにあてがわれた。

「この位置でよろしいですか」
「………ええ……いいわ………」
 セイバーはニードルを受け取ると、わたしの右の乳首に目をやって、どこにピアシングしたらいいか、位置を決めているようだった。
 セイバーが顔を近づける。
 セイバーの息がかかるのが、恥ずかしい。

「………ふぅ……ふぅ……ふぅ……」
 あの鋭い先端がわたしの躰を貫いていく。
 そう思うと、自然と鼻息は荒くなり、乳房の上下動も激しくなる。

「それでは」
 セイバーはわたしの乳首をしっかりと摘むと、狙いを付けてニードルを突き刺していった。

「………くぅぅ………んんん………」
 先端が、乳首の外側に押しつけられていく。
 押しつけられた部分がへこみ始め、突然プッと皮膚を突きぬける感覚がする。
 麻酔のお陰で痛みは無かったが、ズンとした重苦しい感じが襲う。
 わたしの躰は、ニードルを刺された痛みよりも、刺されたという事実に対して反応していた。
 異物が通りぬけていく、微かな感覚。
 やがて、もう一度皮膚を突きぬける感覚。
 ニードルが、右の乳首を真横に貫通していった。

「さあ、もう一個」
 左の乳首が、ぎゅっと摘まれる。
 いつのまにか涙が滲み、溢れ出していた。
 わたしは瞳を目一杯に見開いて、左の乳首を見つめ続けた。
 つぶっ、とニードルが刺さり、わずかな痛みが走った。
 セイバーがニードルを乳首に突き立てていた。

「……ッ!」
 今度は声にすらならず、ニードルが抜ける時、痺れるような感覚が走る。
 セイバーは、わたしの小さな乳首に手早くニードルを突き刺していた。
 そのままニードルを押し通すと、反対側からブツリと針先が飛び出した。

「んっんん、んっふ………ううう!………」
 乳首に刺すときより突き抜けた時の方が衝撃は激しい。
 痛みがない分、乳首が自分のものだとは思えない気がした。

「痛みますか、凛?」
「大丈夫、痛くはないのよ、痛くは……」
「こうしても大丈夫ですか?」
 そう言うとセイバーは、乳首の周りを優しく撫で始める。

「あんっ……ううっ……」
 先端と周囲を軽く擦られているだけなのに、全身がびくびくと反応する。
 乳首に甘くむず痒いような痺れを感じ、わたしの意識はどこか遠くに飛んでいってしまいそうな感じがしていた。

「すみません、痛みましたか」
「いや、ちょっと、その……気持ち良くなっちゃって………」
「そ、そうでしたか………次はどうすればいいですか?」
「刺したニードルの後にピアスをはめ込んで。
 そのまま、ニードルを引き抜けば、ピアスを付けられるわ」
「判りました、ではピアスを通します」
 セイバーはニードルのお尻にC字型をしたリングの端を押し当て、そのまま突き通しながらリングを乳首に装着した。
 わたしの乳首にはC字型のリングが、切れ目を下向きにしてぶら下がった。

「………ううっ…………」
 皮膚の内側を抜けていく感覚があり、すぐにそれが太さを増した。
 わたしの乳首を貫通し、ピアスが飾られてゆく。

「……うう……あぅっ……」
 そして反対側の乳首にもピアスが食い込んでいった。

「………ふぅ、あとは、この宝石を填めて呪文を唱えれば完了よ」
「はい」
 セイバーに、小箱の中に一緒に入っていた紅い宝石を渡す。
 セイバーはC字型のリングを少し潰して、リングの切れ目の間隔を狭くし、その間に宝石を嵌め込んだ。
 胸の頂点に紅色の輝きがきらりと光る。
 シンプルな紅い宝石のピアスがピンクの突端を飾っていた。
 わたしは右の乳首にはまった金のピアスをつまんでクルリとリングをセイバーに見えるようにした。
 そのリングに小さく呪文が描かれている。

「あれ、この位置だと文字が逆になって、読みにくいわね」
「どうしますか、付けなおしますか、凛?」
「うーん、ピアスの付け方は間違ってないはずなのよ、だから、この呪文はもともと誰か他人に読んでもらうものだったと考えるべきよ。
 セイバーがこの呪文を読み上げてみて」
「私は魔術師では無いのですが、大丈夫ですか?」
「たぶん平気、もしダメでもその時は発動しないだけよ、そうなったらその時考えるわ」
「凛がそう言うなら、従います」
 そういうと、セイバーは精神を集中させ呪文の詠唱に入った。

「Der Vertrag bindet mich.(私はその契約に拘束されている)」
 ピアスはほのかな金の光を放ちだす。

「あああああぁっ!…………」
 胸が焼けるように熱い。
 全身の神経が敏感になっていて触れる空気ですら感じてしまう。
 服なんて着たら、どうなってしまうか判らない。

「どうしたのですか凛?!具合が悪くなったのですか?」
 セイバーが慌てて、ピアス取り外そうと指で摘む。

「いますぐ外したほうがいい」
 さっきまではわたしの指でも簡単に拡げられたピアスの輪が、セイバーが両手を使ってもビクともしない。
 リングはぴったりと宝石をくわえ込み、ガッチリとはまってしまっている。
 呪文の発動と共に外れないような封印が行われたようだ。
 取るには破壊するしかなさそうだ。
 そんなことをしたら、魔力が暴走する恐れもあるし、効果も失われてしまう。
 それは出来ない。

「これはやはり危険なモノだったのではないのですか?
 呪いの類だとすれば、今すぐ外さないと危険です」
「………はぁはぁ……大丈夫よ……たしかに魔力は増大している感触がある……」
 魔力が溢れ、なんだか躰が熱く火照った感じになっている。
 今まであった躰のだるさは無くなって、熱いぐらいだ。
 魔力がどんどん躰に流れ込んでいくのが判る。
 もう後戻りは出来ない。

「ふぅ……ふぅ……このピアス、効果は確実にあるわ……それにもう、ここまで来たら引き返せないわよ……残りを付けて……」
「ですが、このままでは凛の躰がどうなるか」
「なんでもするって……言ったでしょ、続けて……お願いセイバー……」
「判りました、凛」
 もう一方の乳首も同じように太いピアスを突き刺し、宝石が嵌められる。
 セイバーは、真剣な表情で正確な作業をこなした。

「Der Vertrag bindet mich.(私はその契約に拘束されている)」
「あっ……ああ……ああ……」
 呪文が唱えられると、全身がビクビクと小さな痙攣を繰り返し、猛烈な快感の海の飲み込まれていく。
 乳首を貫通するピアスが冷たく輝く。
 付けられたピアスが揺れると、乳房の先端で硬く尖っている乳首から、甘い痺れが躰中を駆け抜ける。

「ん……くぅ」
 躰の奥に熾火のように熱いものが疼き、乳首とクリトリスに血が巡りだしていくのがわかる。
 すり合わせた太腿の奥に隠されているアソコからは汗でないぬめりを感じ、わたしの躰に戦慄が走る。
 わたしは自分が濡れてきているのを感じた。
 ピアスを付けられただけで、わたしは感じてしまったようだ。

戻る

メニュー