邪悪な計画を和気藹々と語らう魔女の母娘。その下腹を飾る異形の存在に気づき、思わずアイシャ王妃は目を背けた。どちらの股間からも、まぎれもない陽根が隆々とそそり立ち、しかも本来隠すべきそれはぴっちりと密着する素材に包まれて、むしろグロテスクな逞しさを誇張していたのだ。
 かつて、宮廷に出入りする吟遊詩人より伝え聞いた夜話のことを、アイシャ妃は思い出していた。魔導の深淵、禁忌の奥義を究めるには、両性具有の肉体を持つことが必要不可欠なのだと。その奇譚が果たして真実であったことを、王妃は最悪の状況で知ることとなった。
「あぁ…想像しただけで、ウズウズしてきちゃう。あの娘たちをどっちがよりステキな肉便器に仕立てられるか、私とママで競争だよ♡」
「まぁ、ジュジュったら、威勢がいいことね。これがあなたの初調教だからって、手加減はしなくてよ?」
 男性器どころか女性器をまじまじと見たことすらない、いっさいの穢れを知らぬフィオナ姫には、交わされる卑猥な単語の意味も理解できなかった。しかし魔女たちの紅潮した頬と妖しい微笑から、それがいかがわしい内容であることは、容易に推測できる。身の毛もよだつ恥辱の予感に、哀れな少女の瞳から涙があふれた。
「お母さま…、私たち、どうなるの…?」
 か細く震える声で、母にすがりつくフィオナ姫。たまらずにアイシャ王妃もひっそりと肩を寄せる。清らかに健やかに、愛情を一身に浴びて育った愛娘がこれから辿るであろう残酷な運命を想い、王妃の胸は張り裂けんばかりだった。
 しかし、二人にはまだ知る由もなかった。母娘を待ち受けていたのは、初心なフィオナ姫はもちろん、それなりに経験を重ねたアイシャ妃でさえまったく想像し得ない、いかなる禁書秘録にも描かれたことのない背徳の極地、この世でもっとも汚らわしい邪淫地獄であったのだ。