「いや〜、美味しかったね!
今日の雑炊♪」

「ああ、たしかに味はまあまあだったな。
ただ、量がちょっと少なかったのがなぁ…」

「それは、先生が来るのが遅すぎたせいで
あたしのを半分こしたからでしょ?

あたしだって、もっと食べたかったの!」

「ああ、そうだったな。悪い悪い」

「まったくもう…」

「それじゃ、今日はこの辺でな」

「あれ?
先生の診療所って、
こっちじゃなかったっけ?」

「ああ、今日はこれから
ビル掃除のバイトがあるんだよ。
本業だけじゃ食ってけないんでな」

「ふぅん…」

「それじゃ、またな」

「あ…先生!」

「ん…?」

「あの…実はね……その…」

「なんだよ」

…えっと…あのね……先週の面談会でね、
あたしのこと、養子にもらってくれるって人が現れたんだ。

それでね、あたし……今日、これから…
その人の家にもらわれていくことになったの…」

「へぇ…良かったじゃないか。
どこに行くんだ?」

「…隣町に」

「そっか…それじゃ、これで
さよならってことになるのかな?」

「うん…たぶんね」

「なにか餞別のひとつでもやりたいところなんだが、
あいにく持ち合わせがな…」

「あっ、いいっていいって!
そんなつもりで言ったんじゃないし。
お互い貧乏なのは知ってるんだしさ」

「すまんな…それじゃ、
向こうに行っても元気でな」

「うん…」







「はぁっ……疲れた」


俺がビル清掃のバイトを終えて帰る頃には
周囲はすっかり暗くなっていた。

それにしても、さすがに十一月ともなると夜は冷えるな。
はやく帰って風呂に入ってさっさと寝てしまおう。

そう思って、いつもの公園を足早に歩いていると…


「おい、はやくしろよ…!」

「せかすなって…後ろの穴が空いてるだろ、そっちヤレよ?」

「俺だって前でやりたいんだよ…!」


駐輪場のあたりから、
なにやら怪しげな会話が聞こえてきた。

不審に思った俺は、
足音を立てないよう駐輪場の裏側にまわりこんで
物陰から声のするほうを覗き込んでみた。

そして俺は、その場で繰り広げられていた光景に言葉を失う…

なんと、三人の男たちが寄ってたかって
ひとりの少女を強姦していたのだ。


「おい!お前ら、なにやってんだ!?」

「うわっ、やべっ!
おい、逃げろ!」

「ええっ!?
俺まだ中に出してないのに……くそっ!」


俺が大声をあげて怒鳴りつけると、
男たちは散り散りになりながら転がるように逃げ去っていった。
あの制服は…おそらく地元の学生たちだろう。

…と、そんなことよりも
今はまず女の子の無事を確認しないと。


「おい、君!大丈夫か?」


俺は、逃げる彼らの追跡を断念し、
倒れていた女の子のもとへ駆け寄った。

…少女の姿を見た俺は、自分の目を疑った。



つぎへ




TOP