こちらの武器は刀身の短いショートソードのみ。リーチに関しては不利でも、鞭に捕まらずに奴の懐に入り込めれば勝機は十分にある。
とはいえ、彼の周りには四本の鞭が絶妙の間隔とリズムでもつれ合う様に飛び回っている。幸い、闘技場は広いので壁際にでも追いつめられない限り、適切な間合いを維持し続けることは可能だった。
ステップの途中でつま先が砂とは違う硬い物に当たった。どういう訳か闘技場の砂地には所々に鎖が横たわっていた。これにつまずいたり不用意に踏んだりでもしたら最悪の場合、転倒もあり得る。慣れない場所での戦闘は足下にも気を配らなくては。
ピストンは鞭を振りながらも、自分から前に出る気配はなかった。彼は周囲を回る私と真正面から相対できるよう最小限の足運びで対応していた。「デッカイおっぱいブルブルいわせながらチョロチョロと動き回りやがる。こしゃくだね〜!!」
今のところ彼に隙はない。でも、焦らずに動きで相手を翻弄して……
アイツが、私の膣内でたスライムが活発に動いてる……!
今までも違和感自体は、ずっと感じていた。けど、それは我慢できる範囲だった。こんなに激しく膣内で動かれたら……「どうしたいオッパイちゃん。もうお疲れか? それともオシッコかー?」
急に動きが鈍くなった私の変調を見逃さないピストンが一気に間合いを詰めてきた。
確認する暇はないけれど、ブロアは壁の上でこの事態を眺めてほくそ笑んでいるに違いない……!
ピストンが私の弱味につけ込むかのようにどんどん詰め寄ってくる。焦らないでピストンとの距離を維持するべくバックステップ……
「アッ!!」
次の瞬間、私はバランスを崩して尻餅を突きそうになった。着地した右足のつま先が、砂に埋もれて見えない鎖を踏んで足を滑らせたのだ。 私は尻餅を突く代わりに後転して砂地を転がり、鞭の魔手から辛くも逃れた。紙一重の差で私を取り逃がした鞭は砂を掃き、私が踏んだ鎖を掘り起こしただけだった。
辛うじて鞭から逃れられた。でも次も同じ事を繰り返す自信はなかった。
私とは正反対の理由で彼も勝負を焦っていのだ。
同時に、大振りな攻撃の直後は大きな隙がうまれるもの。