(´・ω・`) 2037年  晩春  某駅前繁華街のラブホテル (´・ω・`)


  もったいないから、と言って二人で残っていたジンジャーエールを飲み干し、
  好奇心に満ち満ちた眼差しの夏樹ちゃんに見送られて(俊章くんはとてもバツが悪そうだった)カラオケルームを出ると、
  私達はそこから徒歩数分ほど離れた路地に入った所にある、私にとってはカラオケルーム同様にお馴染みのラブホテルへやって来た。
  情報通り生身の女は本当に久しぶりなのだろう、ここまで来る間、彼はそわそわと落ち着かない様子だった。
  もっとも、その様子の原因が落ち着かないという事だけではない事に、すぐに気が付いた。
  さっきカラオケルームで股間を揉んであげたせいで完全にスイッチが入ってしまい、彼はずっとそこを気にして前屈み気味で歩いている。

   志保
   「あ、そうだわ。大切な事を言い忘れてたけど、参加者の間での金品の授受は厳禁ね」

  ラブホテルに着き、てきぱきと部屋を選びながら重要なルールを告げる。

   俊章
   「あ、ああ、やっぱりそれはマズいんですね」

   志保
   「もちろん。私達の目的はセックスそのものだから、そこははっきりさせておかないといけないわ」

  無人フロントの装置から排出されたカードキーを受け取ってエレベーターに乗り込み、選択した部屋のフロアへ向かう。
  それほど広くないエレベーター内で俊章くんに密着しようとすると、彼はどんどん後ずさって行って、
  私が彼を壁際に追い詰めたような状態になる。
  顔を赤らめている彼の様子を楽しもうと思ったが、すぐに目的のフロアに到着してしまった。

   志保
   「ホテル代の支払いなんかは、その都度二人で相談して決めてね。今日は仲間入り歓迎っていうことで、私が払うわ」

   俊章
   「え、いや、僕も出しますから、折半で・・・・・・」

   志保
   「いいのいいの、これから何度も
・・・・・・一緒にホテルに来るんだし・・・・・・、ね? ここよ、どうぞ」

   俊章
   「あ、どうも
・・・・・・

  ドアを開けて、彼を先に部屋へ入れる。
  私が選んだのはゆったりした広さでお気に入りの部屋だ。
  入って右側がバスルーム、左奥にダブルベッドがあり、その手前に3~4人くらい座れるソファがテレビのディスプレイと向かい合って置かれている。
  俊章くんはバスルームを覗き込んでいる。

   俊章
   「お~、こっちも広いんですねぇ~」

   志保
   「良いでしょう? 〝後で〟ゆっくり入りましょうね

  セックスの後でという意味で〝後〟を強調したが、彼の顔はバスルームの中に入っていて私からは見えず、
  特にリアクションも無かったので、伝わったかどうかは分からない。
  私はトートバッグから、300mlの小さなペットボトル(中身はミネラルウォーターだ)と、ガラス製の小瓶を取り出し、バッグをソファに置く。
  小瓶の蓋を開け中に入っている直径5mmほどの白いタブレットを一錠、掌に落としたところで、俊章くんがバスルームから戻って来た。

   俊章
   「
・・・・・・? 何ですか・・・・・・?」

  私の手の上の錠剤に気付いて興味を示し、近くで見ようと俊章くんが寄ってくる。

   志保
   「んっ
・・・・・・んっ・・・・・・

  彼の質問を無視してタブレットをミネラルウォーターで飲み込むと、用の済んだペットボトルと小瓶をソファの上に放り投げる。
  そして、その様子をすぐ横で不思議そうに見ていた俊章くんの首に腕を回して抱きつき、耳元で答えを教える。

   志保
   「もちろん
生でするんでしょ・・・・・・? だったら〝出来〟ないように、準備が要るわよね?」

   俊章
   「あ、あぁ、避妊薬ですか
・・・・・・

  私が何を飲んだのかすぐに分かったみたいだ。
・・・・・・ちょっと声が震えているのが可愛い。

   志保
   「そう、今のはIEOC(イーオク)っていうの、聞いた事あるでしょう?
    服用して2~3分経過後から36時間の間は、受精卵の着床を防いでくれるの。
    だから、俊章くんが私の中に入る頃にはちゃんと効果が出てるわ、
・・・・・・何回出してもOKよ?

   俊章
   「な、なるほど、よく分かりました
・・・・・・

  俊章くんが納得したようなので、

   志保
   「それじゃそういう事で、
・・・・・・楽しみましょう、・・・・・・ちゅっ

  私はそう言って、俊章くんの耳に軽く口付けてから頭を起こし、真正面から彼の顔に向き合い、

   志保
   「
・・・・・・俊章くん・・・・・・・・・・・・

  目の前の夫ではない男の名を少し甘えた声で呼び、まるで熱愛中の恋人に向けるような視線で、彼の目をじっと見つめる。

   俊章
   「
・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

  初めは落ち着かずに目を泳がせていた彼だったが、しばらくすると見られる事に慣れたのか、

   俊章
   「
・・・・・・志保さん・・・・・・・・・・・・

  と私の名前を呟き、こちらの目を見つめ返してくれるようになった。

   志保
   「うふっ
・・・・・・

  それを確認すると私は目を細め、見つめ合う喜びを視線で伝えてから、
・・・・・・ゆっくりと顔を近づけていく。
  俊章くんは私を見つめたまま金縛りにでもあったように動かなかったので、私は難無く彼とのファーストキスを果たした。

   志保
   「ちゅっ 
・・・・・・あむっ、・・・・・・んちゅっ、・・・・・・んふっ

  下唇を2~3度啄ばんだ後、呆けて半開きになっていた彼の口の中へ、舌を潜り込ませる。

   志保
   「んっ
・・・・・・、じゅるっ・・・・・・ んふぅっ・・・・・・、れろっ・・・・・・

  そして上顎や舌の表面を舐めたり唾液を啜ったりして、彼の口内を楽しむ。
  されるがままになっていた俊章くんだが、1分ほど経つと金縛りが解けて動き始めた。
  私の腰に手を回して抱き締めると同時に、唇がしゃぶり付いてきて、口内では舌が絡み付いてくる。

  chapter202a

   俊章
   「じゅぷっ
・・・・・・、ふぅっ・・・・・・、ぐちゅっ・・・・・・、ぬるっ・・・・・・

   志保
   「ふぅんっ
・・・・・・ じゅるるっ・・・・・・、れろれろっ・・・・・・、んぅっ・・・・・・

  身体をもぞもぞと身悶えさせながら、互いにより強く唇を密着させ、舌を絡ませ合い、唾液を啜り合う。
  私は、こうして男性と抱き合いながらキスするのが大好きなのだ。
  女性は乳房の、男性は股間の、それぞれの膨らみを相手に押し付けて、唇を貪り合う。
  こうしていると、衣服越しに彼の勃起を感じている下腹部の奥が、じんわりと熱を帯びてくる。

   志保
   「んっ
・・・・・・、んちゅっ・・・・・・ ん・・・・・・・・・・・・ふふっ

  パンティの内側でぬるっとした感触がし始めたところで、唇を離して微笑む。

   俊章
   「あ、あはは
・・・・・・

  俊章くんも少し照れながら笑みを返してきた。
  彼の首に回していた腕を解き、両手をそっと彼の肩に添える。

   志保
   「ふふ、もっとキスを続けたいんだけど
・・・・・・、〝暴発〟しちゃったらもったいないから、次は〝下〟ね?

  言うが早いか彼の足元に跪くと、彼の腰のベルトに手をかける。
  俊章くんが

   俊章
   「
・・・・・・え?」

  と呟く間に手早くベルトを外し、ズボンを下着ごと(後で見たらトランクスだった)一気にずり下ろす。
  押さえ付ける物を無くした彼の勃起ペニスが、ぶるんっと勢い良く飛び出し、

   俊章
   「ひゃっ!?」

   志保
   「あはっ

  chapter202b

  同時に、しかし全くニュアンスの異なる驚きの声を、二人で上げた。
  
・・・・・・俊章くんの方は驚きの声というより、ほとんど〝悲鳴〟だったが。





     (´・ω・`) 前に戻る       CHAPTERリストへ戻る       タイトルへ戻る (´・ω・`)