FILE 04

「あの、用事とはなんでしょうか?」
「ああ、君のお母さんが来てから話すよ」
別荘のようの立派な造りの家の中、リビングには一人の男と一人の少女。
セーラー服姿の少女は紅茶を飲みながら、そわそわと19時を過ぎようとしている時計を気にしていた。

ことの始まりは母親からのメールだった。
メールの内容は急用ができたから迎えの車に乗ってすぐに来てほしいというもので、学校帰りだった少女は迎えに来た男の車に乗せられてこの家に連れてこられた。
メールには学生時代の友達と書いてあったので特に警戒もしなかったが、到着してから一時間が過ぎたというのに一向に母親が来る様子はないし、都心から離れた山地だからなのか携帯の電波状態が優れず、連絡を取ることもできないため次第に不安を感じ始めたのだった。

「あの、私やっぱり帰ります」
得体の知れない恐怖に襲われ少女が立ち上がると、男は両腕でがっちりと少女の両肩をおさえた。
「な、なんですか・・・・・はなしてくださいっ」
「まあまあ、もうすぐお母さんが到着するから」
少女がぐいぐいと体をよじっても男は腕をはなさない。
「いやっ、 もう帰ります」
「さっきから携帯いじってるけど、使えないでしょ。 この付近は磁場の影響で極端に電波状態がわるいんだ」
男は優しそうに笑顔を作ったが、その腕は少女の体をはなそうとはしなかった。
「で、電話・・・・この家の電話をかしてください・・・・・・」
「どこにかけるの?」
「お、お母さんに・・・・・・連絡を・・・・・・」
少女の答えを聞いて男はくすくすと鼻を鳴らすと楽しそうに言った。
「そう・・・・・・・・でもつながらないと思うな?」
「どうして・・・・ですか」
「だってお母さんの携帯ここにあるから」
そう言うと男は胸ポケットから携帯電話を取り出す。
「そ、それ・・・・お母さんの・・・・・なんであなたが」
状況が理解できずに少女はしばらく固まっていたが、やがて最悪の現実に気づき始める。
「あのメールは・・・・・・あなたが」
「そのとおり、君はまんまと偽メールに引っかかって僕についてきちゃったわけだよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っつ」
困惑して言葉の出ない少女を無視して男は話を続ける。
「この携帯盗むのかなり苦労したんだよ、それに最近は携帯の電波で大まかな場所がばれちゃうからその対策で車内に細工しなくちゃならなくてさ、車の中でも携帯使えなかったでしょ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・っ」
「その他にもいろいろ苦労したんだよ。 ちょっとしたこだわりもあったし。 まあそんな話はどうでもいいか・・・・・・・」
「・・・・・・いやぁ・・・・・・いやぁああ!!」
楽しそうに話す男の腕を振り切って少女は走り出したが、足がもつれ体勢を崩し床に倒れこんでしまう。
「ううぅ・・・・・・・んあぁあぁ」
少女は必死に起き上がろうとするがなぜか体勢を上手く立て直せない。
「大丈夫? ごめんね、そろそろ特製紅茶の効果が出てくる時間なんだ」
「だれかぁ・・・・・・だれかたすけて!!」

叫び声もむなしく、少女は地下室へとつれていかれる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・


 FLASHアニメ 「高画質」 「中画質」 「低画質

 メニューへ戻る