お兄ちゃん、イカせてあげる!
作・画…漢弾地
・再会
日曜日の昼過ぎ。
「さて。どこか行きたいところある?」
「ゲームしてカラオケして買い物する!」
理沙が答える。
「奈央は?」
「あ…えっと…」
奈央はもじもじしながら口ごもった。
「何でもいいよ。言ってみなよ」
兄弟がいない恭平にとって、こうやってイトコの希望を聞くことは本当に妹がいるようで楽しいことだった。
「うん…」
奈央は少し顔を紅潮させ微笑んだ。
話をじっくり聞く恭平は子供の頃から奈央に慕われていた。
しかし奈央はなかなか自分の希望を言い出せない。
「お兄ちゃんの部屋に行きたいって」
たまらず理沙が奈央の希望を代弁した。
「お姉ちゃん!」
奈央は顔を真っ赤にして慌てた。
「奈央はね、今日お兄ちゃんのために手料理を作るつもりなんだよ」
「おぉ! マジで?」
「うん…」
「奈央は料理上手だからねー! お兄ちゃん惚れちゃうよ!」
「奈央って家庭的っていうか、お嫁さんにしたくなるような子だよね」
「えっ…」
奈央は大きな瞳を恭平に向け、目が合うと俯いてしまった。
恭平も言ってから恥ずかしくなって赤面してしまう。
「あらぁ。あたし邪魔? 帰った方がいい?」
理沙がからかうと奈央は理沙の服を掴み、
「帰っちゃ、や…」
涙目になって懇願した。
「あははは! じゃあ遊んでから材料買って、お兄ちゃんのアパートに突撃ね!」
恭平は女の子二人(主に理沙)に連れ回され、たっぷり遊び歩いた。
妹のような二人と接することで失恋の痛手が癒されていき、さんざん遊んでから夕食の材料を買い込んで、
アパートに二人を連れて戻る頃にはすっかり明るい気持ちになっていた。
奈央の手料理も無茶苦茶美味しく、恭平は身も心も満たされた。
(二人が来てくれて本当に良かった。何かお礼をしなきゃ。でも今日はもう遅いな)
気がつくとすっかり夜になっていた。
これ以上引き止めると二人が帰って家に着く頃には夜遅くなってしまう。
「なぁ。そろそろ…」
恭平が切り出すと、
「あ。今から帰ると電車途中で無くなっちゃうから、泊まっていくね」
理沙はしれっと返してきた。
「…聞いてねぇぞ」
「今初めて言いましたー♪ほら明日も休みじゃん。ハッピーマンデーってやつ?」
「あ…お兄ちゃんごめんね…楽しくって、長居しちゃって…」
奈央は申し訳無さそうにして荷物をまとめようとする。しかし、確かに今から帰るのは微妙だ。
「んー。狭いけど我慢しろよ」
「わーい! お泊りだー!」
「いいの?」
「まぁ、昔よくお互いの家に泊まったりしてたもんな」
結局そのままおしゃべりを続けながら楽しく過ごした。話題は尽きることがなく、口数の多い理沙だけでなく奈央もよくしゃべり、
料理の勉強をしたいという夢などを目をキラキラさせながら恭平に語って聞かせた。
そんな心和む空気が流れていたが、風呂が沸く電子音が波乱を呼んだ。
「あ。お風呂入ろっ!
理沙は奈央を促し、突然服を脱ぎ始めた。
「おっおい!」
恭平はびっくりして目を逸らした。
「昔は一緒にお風呂入ったり裸見せ合ったりしてたじゃない」
理沙は平然と全裸になり、躊躇している奈央の服も脱がしにかかった。
「ちょっ…お姉ちゃんっ」
「お兄ちゃんも一緒に入るでしょ?」
「そんなわけあるか! だいたい三人も入れねぇよ!」
「そりゃそっか。じゃあお先!」
理沙は奈央を連れて風呂へと向かった。
(ったく…体ばっかり成長しても中身は変わんねぇな)
恭平は逸らしていた顔を元に戻した。すると、脱いだばかりの二人の服と下着が目に入り、再び赤面して目を逸らした。
(あいつら大丈夫なのか?世間知らずっていうか…イトコの俺だから危険とかないけど。ここはひとつガツンと言って…)
冷静になろうと務めるが、風呂から聞こえてくるふたりの声や水音に落ち着かなくなり、洗い物をしようと台所に向かう。
しかし奈央が完璧に片付けてしまっていてすることがなかった。
「お兄ちゃん!」
しばらく呆然としていると風呂から上がった理沙が声を掛けてきた。
(よし、ガツンと…)
部屋に戻ると、そこには全裸にバスタオルを巻いただけの理沙と奈央がいた。
上気した肌はピンク色に染まり艶かしく、さほど大きくないタオルは、二人の乳首から股間をようやく隠す程度で
ちょっとでも動くといろいろ見えてしまいそうだ。
妄想界の住人は生きている。
メール…sarublue@yahoo.co.jp
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