泣き声 とある不動産屋で一軒家の売却の仲介をした。 築十年たたない5LDKのその家は比較的早めに売れて、老夫婦が買い取った。 売り手は赤ん坊のいる夫婦。 引継ぎが終ってしばらくして老夫婦から電話があった。 夜中に赤ん坊の泣き声がすると。 何かおかしいことはないか調べて欲しい。 そう言われて不動産屋の担当者は困惑した。 この物件についてはワンオーナーで特別な来歴は何もない。 事故と呼べるようなことは何もなかったそうだ。 引越しの理由にしても、ご主人の転勤ということでトラブルは見当たらない。 地鎮も問題なくしている。 何しろ、その家を建てるときに世話をしたのもその担当者なのだ。 ところが、一月経ってもその声は泣き止まないと言う。 それどころか、昼間にまで聞こえてくるようになった。 念のため不動産屋も見に行ったが、何の変哲もない家だ。 難をいえば窓が多いわりに暗い印象を受けたことくらい。 結局何も発見できないままその家を後にした。 ところが後日、警察が不動産屋を尋ねてきた。 曰く「家の元の持ち主について教えて欲しい」 驚いて事情を尋ねると、引っ越したあとで若夫婦を襲った壮絶な事情を聞くことができた。 引っ越して割とすぐ、ご主人が交通事故で亡くなって、 奥さんはパートで生計を支えながら生活をしていたそうだ。 そころが、いつの頃からか赤ちゃんの姿が見えなくなった。 不審に思った近所の人が児童相談所に相談したところ、職員が奥さんを訪ねていった。 最初はろくに会おうともしなかった奥さんだったが、 半ば無理やり家に入り話を聞くと、とんでもない告白をしたのだ。 奥さん「子供を殺して前の家の庭に埋めました」 その後、通報を受けた警察が調べてみると 今は老夫婦が住んでいる以前の家の縁の下から、赤ちゃんの死体が出てきたそうな。 不思議なことに、その死体がかなり新鮮な状態だったそうだ。 TOP |