第 二 章
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「はぁっ、はぁっ……あぁぁ……んっ、これ……気持ち良すぎるぅ……!」
 少女となった私は女の子としての快楽に夢中になり、自慰に耽る日々を送っていた。
 ベッドの上で粗相をしてしまった時には焦ったが、幸い敷きパッドの下に敷いていた吸湿剤のおかげでマットレスは無事だった。あれ以来ベッドでする時は注意している。
 注意しながらも快楽を得る事自体は止められなかった。
 自らの手で日々開発されてきた性感帯の感度は、あの時に比べて格段に上がっている。
 今はクリトリスの包皮を捲り上げての直接刺激がお気に入りだ。指で触れて耐えられるようになると、それまでのものが霞む程の快感を得られるようになった。
 口から発せられる喘ぎ声も大きくなり、外に聞こえてしまうのではないかと危惧する程になっていた。防音に配慮した作りの建物ではあるものの、何しろこの部屋は元々が男の一人暮らしだったのだ。
 少女の喘ぎ声が聞こえるなどと噂になったら問題だ。
 少しは自重しなければならないのだけれど――欲望を止める事など出来なかった。求めて止まなかった少女の身体が今ここにあるのだから。

 そんなわけで自慰を繰り返す淫蕩な日々を送っているが、この身はまだ処女のままだ。
 割れ目を開いて淫部を擦ったり、クリトリスを弄る事はしている。けれども……処女膜には手を出しかねている。
 少女の処女膜を貫き破瓜させたいという男の欲望は私の中に渦巻いているものの、少女としての身体に精神が引っ張られているのか恐怖感がある。小指の先でさえ挿れようとすると痛みと拒絶反応が出るのだ。
 少女が自分で自分の処女を奪うというのは相当な気合いと覚悟が必要なようだ。
 それに、冷静になって考えてみると自慰で処女喪失というのはあまりにも虚しいではないか。自らの手で処女を散らせるという考えは却下する事にした。
 処女のまま淫乱に開発される少女というのも興奮するシチュエーションだ。
 では今日は一歩進んだ開発をこの身体に施してみるとしよう。



「んくっ、ふっ……うぅ……ん、これは……すごいかも」
 目の前に置かれた鏡で自分の姿を確認して、思わず唾を飲み込む。
 部屋の隅に両足を大きく左右に開いた格好でしゃがみ込んでいる少女。ブカブカのワイシャツ一枚で相変わらずの半裸な身体は無造作に巻かれたガムテープで拘束されている。
 膝は伸ばせないように固定され、両足は地面に貼り付けられている。両腕は壁のフックに掛けられたベルトによって吊り上げられている。
 その姿はまるで誘拐監禁され、これから凌辱される可哀想な少女のようだ。
 もちろん私は誰にもさらわれていないし、ここは私の部屋だ。この身を誰かに犯させるつもりも毛頭無い。
 これは自分で自分に施した拘束だ。いわゆる一つの自縛行為。
 最初は軽く手足に巻く程度に考えていたのだけれど、やっている内に興が乗ってこの有様となってしまった。

 実を言えば、私は少々サディスティックな性質を持っている。
 少女との甘い恋愛を妄想する事もあるが、どちらかと言えば女の子を性的に虐めている状況の方が好みだ。
 少女となったこの身体をただ普通に触っているだけでは満足出来なくなっていた。一歩進んで自分の身体を虐めて見ようと考えたのだ。
 ……一歩どころか二、三歩進んでしまった気もするが。
 ともかく、ここまでした以上は最後までやり遂げるとしよう。
 一旦ベルトから手を抜いて、閉じられた割れ目に手を伸ばす。



 くぱぁ……
「んふぅっ……んっ、うぁあ……」
 左右に開いた陰唇の端をテープで固定する。
 こんな格好をした為か、それともその姿を鏡で見て興奮したのか、桃色の淫肉は既に濡れていた。開いた途端に愛液がお尻へと垂れる。
「はぁ、はぁ、はぁぁ……あぁぁ……」
 鏡に映る少女の姿は、陰裂を開くというその行為だけで劇的に変化していた。淫靡さが段違いだ。
 先程までは『捕らえられた少女はどうなってしまうのか……?』という不確定な状態だったが、今は『少女は今から凌辱される』という確定事項に変化していた。
 興奮で上気した顔も犯される事を強く意識させ、『助けられる可能性』を否定している。
「あ、あ……あぁぁ……」
 トロリと溢れて来た愛液が粘ついた跡を残してお尻へとまた垂れる。
 少女の準備も万端だ。さぁ、凌辱の準備を進めよう。

 すぐ横に用意しておいた物に視線を向ける。
 色鮮やかなそれらの品は、俗に大人のおもちゃと言われる物だ。
 好奇心から購入し、いつか使う日を夢見て押し入れの奥深くに眠らせていた。本当に使う機会が訪れるとは正直思っていなかったのだけれど。
 感慨深い思いを胸に、ピンク色をしたおもちゃを手に取る。



「あぅ……あ、あぁっ……ん」
 左右の乳首、そして包皮を被ったクリトリスにピンク色のおもちゃが当てられる。
 そして細く千切ったガムテープによって、コントローラーと共に貼り付けた。
 ピンクローター。
 見た目は可愛いが、このおもちゃの淫猥な用途はあまりにも有名だ。
 そんなローターを局部に貼り付けられた少女の姿は一気に凌辱の度合いを増していた。
 一つずつローターのスイッチを入れていく。まずは右胸のローターから。

 ヴィィィィィッ!
「ふぁっ、あっ……! あぁあぁぁっ……!」
 振動を始めたローターが、隆起して固くなった乳首を震わせる。
 指以外ではこのおもちゃが発する振動が、私にとって初めての刺激だ。
 無機質なその刺激は、まだ快感とも呼べないくすぐったさを私にもたらしている。
「んっ、ふぅっ……あぁぁっ、くっ……んんんっ」
 その刺激に耐えながら、左胸のローターもスイッチを入れる。

 ヴィィィィン!
「ひぅあっ……!? あっ、うぁぁっ、あっ……んっ、あぁぁぁぁっ……!」
 振動を開始したローターによって胸が、両乳首が同時に刺激される。
 二つになった分、感じるくすぐったさも二倍になった。
「うぅっ、んっ、ひっ……ひぅうぅぅっ……んんっ、あっ、あぁぁっ!」
 歯を食いしばり、耐え難いくすぐったさに耐え続ける。
 数分もそのまま耐え続けていると、ローターから感じるくすぐったさが薄れて行く。
 代わりに快楽がその濃さを増す。
「あぁっ、あっ……ん、はぁぁっ……あぁっ、んふぁぁっ……!」
 口から発せられる喘ぎ声も甘くなる。
 手は自然と最後のローターのコントローラーへと向かう。

ヴィィイィィィンッ!
「ひぃっ……!? ひっ、あぁあぁぁぁぁぁっ……!」
 クリトリスに当てられたローターが振動を開始した途端、腰がビクンと跳ね上がる。
 この刺激は強過ぎる……!
「んぁっ、あっ……あぁあぁぁっ、あぁぁっ!」
 鋭すぎる快感が神経に突き刺さり、身体が勝手にビクビクと跳ねてしまう。
「あぐっ、くっ……ひぃっ……んっ、いぃぃっ……あぅっ……ふっ、うぅぅっ」
 何とか手を動かしてローターの振動強度を下げる。
「はぁっ、あっ、あぁっ……んっ、くぅっ……ふっ、うぅぅ……あぁっ」
 まだ時折腰が跳ねてしまうような鋭い刺激を受けているが、耐えられない程ではない。
 次の仕掛けをしなくては。
 脇に置かれていた薄紫色をした異様な物体をお尻の下に設置する。
 アナルバイブだ。それも少女の小さな身体には不釣り合いな大きさの。
「あっ、んっ、あぁっ……はぁっ……おっ、大きい……」
 この身体になってから見ると恐怖感すら抱いてしまう程の大きさだ。
 毎日耽っていた自慰によってお尻の拡張開発も進めている。今では指が三本入るようになってはいるものの……このアナルバイブは三本分の拡張で済むような太さではない。
 しかし、ここまで来てしまった以上、今更やめられはしない。
 せめて少しでも楽になるようにと表面にたっぷりとローションを塗り込む。テラテラと怪しく光を反射させるその威容に思わず腰が引けてしまう。
 少女としての本能が無理だ、やめてと哀願して来る。
 そんな感情を振り払うように私はバイブのスイッチを入れる。
 ヴィイィィン……ヴィィィィィン……!
 低い振動音が部屋の中に響く。
 これでおもちゃの準備は完了した。

 最後に手に取ったのは黒く細長い布地。
 それを目に当てると、グルグルと三重に巻いて頭の後ろでギュッと縛った。
 目隠しに視界を完全に遮られ何も見えなくなる。
「あっ、んっ、んんっ……あぁ……暗い……」
 これでは鏡で自分の姿を見ることが出来ないが、これだけがんじがらめに拘束された状況で目隠しをしないというのはあまりにも不自然なのだから仕方が無い。
 せめて後で確認出来るようにと、鏡の横に三脚で固定したデジタルビデオカメラを設置して撮影している。

 全ての準備を完了させた私は手をガムテープでグルグル巻きにしてベルトに通した。体重を掛けて引っ張ってみても取れない事を確認する。
「んっ、くぅっ……うっ、んんんっ……!」
 身体も動かしてみるが全然動かない。これが終わった後、本当に外せるのかと不安になるくらいのガチガチ具合だ。
 けれど、今はそんな些末な事を気にしても仕方が無い。
 私がすべき事は、整えられた凌辱の宴を開幕させる事だけだ。
 膝が固定されて動かしづらい腰を苦労して浮かせる。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……んっ」
 地面に置いたアナルバイブに座るようにお尻を下げる。
「んぁぁっ、あぁっ……ひっ、あっ……んっ、んぅぅっ」
 バイブの先が当たってお尻の蕾を震わせる。
 この後に待ち受けているものを想像して胸の鼓動が高まる。
「はっ、はっ、はっ……んんっ、くっ……ふぅうぅぅっ……!」
 呼吸を整え、腰の力を抜いてお尻に体重を掛ける。



 ズブンッ、ズブズブズブンッッ!
「あっ、がっ……!? かはっ、あっ……あがぁあぁぁぁぁぁぁぁっ……!?」
 アナルバイブは拍子抜けする程にあっさりとめり込んだ。
 けれどその衝撃は本当に凄まじかった。喉の奥から絶叫が上がる。外に聞こえないように注意しなくてはと思っていた矢先だったのに、どうにも我慢出来るものではなかった。
「ひっ、いぃぃ……! ひぐっ、いっ、ぎぅっ……うぅうぅぅ……!」
 アナルバイブが腸内をどこまで貫いているのか見る事は出来ないが、相当奥にまで入ってしまっている事だけは分かる。凄まじい圧迫感と異物感だ。
 少女のお腹の中に収まるとは思えない巨大な物が突き刺さっているのだからこの苦しみも当然だろう。
「うぅうぅぅっ、うぐぅうぅぅ……!」
 ガクガクと身体を震わせて、身体がバラバラになってしまいそうな衝撃に耐える。
 耐えるという表現は正確ではないかもしれない。か弱い少女の身体が耐えられるレベルではないのだ。感覚の一部を麻痺させて衝撃を軽減させているのだろう。
「はぐっ、ぐっ、うぅぅっ……あがぁっ!? あっ、はっ、ひっ、ひぐぅうぅぅっ……!?」
 最初の衝撃が過ぎ去ると、全身のおもちゃが稼働している事を思い知らされる。
 おもちゃの振動が性感帯を強烈に刺激し、身体がビクンビクンと激しく何度も跳ねる。
 身体中を責めるおもちゃによって、されるがままに弄ばれている。
 そんな少女の状況がリアルに感じられ、身体を熱くさせる。
「んぁっ、あっ……はぐっ、うぅぅっ……あぁっ、あぁぁっ……!」
 その熱が強過ぎる刺激を快感へと変えて行く。
「ひぅんっ……!? あっ、あぁっ……!?」
 快感によって乳首がより固く尖ってローターの刺激を強く受けるようになった。
「うぁぁぁっ、あっ……おっぱい……ひぁっ、気持ちいい、よぉ……!」
 意識せずに口から零れた少女の言葉。凌辱されているのに感じてしまっているその様が脳裏に浮かび、興奮を高める。
「ひぁあぁぁぁぁっ……!? あぐっ、ふっ、んひっ、ひっ、ひぁあぁぁっ!?」
 唐突に強烈な快感が私を襲った。思わず上がる可愛い悦楽の悲鳴。
 どんどんと増して行く快感によってクリトリスが膨れ上がり、包皮から剥け出てしまったのだ。
 包皮の上からでさえ強烈だったローターの刺激を女の子最大の性感帯で直接受けてしまい、腰がビクビクと跳ね上がるのを止められない。
「ふぎっ、ひっ……ひんっ! んひぃいぃぃっ、あぁあぁぁっ……!」
 凶悪な快感の洪水に襲われて頭の中が真っ白になり、何も考えられなくなる。
「ひぃあっ、あっ……イくっイくっ……イく、イく、イく、イく、イちゃぅうぅぅぅぅっ……!」
 わけがわからない衝動に突き動かされるままに大きな叫び声を上げ、私は高みへと駆け上る。



 ブシャッ、ジャァッ! シャァァッ、プッシャァアァァァァァァッ……!
「はぁぁっ……あぁっ、あぁぁぁぁっ!? ひっ、あっ、あっ……あぁぁっ、あぁあぁぁぁぁぁぁっ……!」
 身体が硬直した次の瞬間、全身をガクガクと痙攣させながら絶頂に達した。
 開いたままの割れ目から勢い良く噴き出したおしっこが弧を描いて床に落ちていく様が目の端に映る。
 ギュッと強く締めたはずだった目隠しがズレてしまっているのだ。絶頂前、快楽によって頭が無闇に振りたくってしまっていた為だろう。
「うぁぁっ、あぁっ、ひっ……んっ、あぁぁっ……あぁっ、あぁぁぁぁっ!」
 絶頂の痙攣が止まらない。
 おしっこを漏らしながらも腰がビクビクと跳ね上がる。断続的に尿道孔から噴き上がっているおしっこが飛び散る範囲を増す。
 全身を襲う快感が止まらないのだ。
 少女の身体を絶頂へと導いた、全身を苛むおもちゃ達はいまだ動き続けているのだから当然だろう。
「あぁはぁあぁぁっ……! ひっ、ひぃっ……もう、もう……止めてぇっ……!」
 許容量を超える快楽に焦り、おもちゃのコントローラーに手を伸ばそうとするが、ガムテープで吊り上げられている両手を頭上から降ろす事が出来ない。
 慌てて手の拘束を剥がそうとするが上手く行かない。
「うぅぅっ、んっ、ひぃあっ……!? あぁっ、くっ、うぅうぅぅぅぅっ……!」
 必死で身体を揺さぶって拘束を、おもちゃを剥がそうとする。
 でも、ガッチリと全身を拘束しているガムテープはそんな事ではビクともしなかった。
「ひぃいぃぃんっ……んひぁっ、あっ……ぐぅっ……うっ、あぁっ、あぁぁっ……!」
 絶頂し続ける身体はビクビクと跳ね回り、頭の中は真っ白で何も考えられない。
 それでもこの苦しい程の快楽から逃れようと本能が身体を揺さぶる。

 ベリッ!
 無我夢中の動きによって、脚を地面に貼り付けていたガムテープの一部が剥がれる。
「うぁっ、あぁっ……!?」
 体勢が崩れるが、ベルトで吊り上げられている身体が倒れる事は無かった。
 代わりに倒れるのはお尻に挿されているアナルバイブ。持ち上げられたお尻から音を立てて抜け落ちる。



 ブポンッ、ブポポポンッッ!!
「ほぁあっ……!? あっ、ぎっ、ひっ……んひぃいぃいぃぃぃぃっ……!?」
 飛び出したアナルバイブが地面に転がったまま振動で跳ね回る。
 巨大なそれが抜け落ちたお尻の穴は、それが少女の小さな蕾だったとは信じられない程に拡がってしまっていた。
 大きく口を開いたままヒクヒクと震えるその穴の奥から異音が漏れる。

 プスッ、ブッ……ムリュリュッ……ブリュリュッ! ミチミチミチミチッ……!
「ふひぁあぁぁぁっ……!? あぉっ、おっ、んぁおぉぉぉぉ……!?」
 開いた肛孔の大きさそのままの野太いうんちがひり出されて来た。
 アナルバイブで奥深くまで突かれ、掻き回された腸内がぜん動して便を運び出して来てしまったのだ。
「こんな、あぁっ……また、うんちまで……んひぃいぃぃっ……!」
 痺れたように力の入らないお尻の穴ではうんちの流出を止める事などできない。
 更に――

 プシャッ、シャッ、シャァアァァッ!
「ふひぃいぃぃっ……! んひっ、ひっ、ひぁあぁぁぁぁっ……!」
 連動するように、一時は止まっていたおしっこも再び噴き上がる。
「いひぃいぃぃっ、イくっ、イぐっ、イぐぅうぅうぅぅぅぅっ……!」
 強烈な絶頂を迎えて身体が仰け反る。
 恥も外聞もなく嬌声を上げながらイき狂う。鏡に映る少女の有様はまさに嬌態にして狂態だった。
 身体は勝手に跳ね上がり、痙攣し続ける。
 おしっこは断続的に噴き出し、膣口から溢れた愛液が処女膜を濡らす。

 ムリュゥッ……ブリュッ、ブッ……ムチュムチュムチュ……!
「んあぁっ、あぁぁっ……! うぁあぁぁぁぁっ……!」
 開いたままの肛孔からは湯気の上がる野太い便がひり出され続けている。
 途切れる事無く床に達したそのうんちは、表面にまとわりついた腸液によってテラテラと怪しく輝いている。
「うぁぁ……あっ、あぁっ……はっ、ひぃっ……いっ、あぁあぁぁぁ……!」
 裏返った両目からは止め処なく涙が溢れ続け、喘ぎ続ける唇からは涎がダラダラと垂れ続けている。
 何ともだらしなく弛んだその表情は快楽の極致と言っても差し支えない淫蕩さを醸し出している。
 そんな絶頂の狂宴はこの後、数十分もの間続いたのだった。


 絶頂地獄から解放された私は、何とかベルトからガムテープを外して地面に転がる。
 自失状態から抜けだし、再び動き始めるまで更に数十分の時間が必要だった。
 起き上がった私は、力の入らない手で身体に巻き付いたガムテープを剥がして行く。
 ベリッ、ベリベリベリッ……!
「いぎぅっ……ぐっ、うぅぅ……あぁっ!」
 ガムテープは剥がす時にものすごく痛かった。
 少女の滑らかな肌には産毛すら生えていないのだから平気だと思っていたが……。皮膚が柔らかいからだろうか。
 ガムテープの剥がされた跡は赤くなってとても痛々しかった。
 他の子にする時にはボンデージテープが必要かもしれない……。
 苦労して全身のガムテープを剥がし終えるとバスルームに直行した。予め湧かしておいた湯船に浸かって一息つく。
「はぁぁ……。んっ……ふぅぅぅぅ……」
 身体が温まって全身の疲れが解けていく。
 そのまま目を瞑って思索に耽る。

 私はどうして突然少女になってしまったのか。その原因はやはり思い当たらない。こうなる前日の行動を詳しく思い返してみても特に不審な行動は無かった。
 奇妙な薬を飲んだ覚えも無いし、美少女に頭突きをした覚えも無い。こんな美少女の顔は一度見れば忘れないし、どことなく私の面影もあるのだから中身が入れ替わってしまったというマンガチックな話ではないだろう。
 脳を入れ替えられた等というSFな展開も有り得ない。髪の中を確認したが傷一つ無かったのだから。
 本当に何故こうなってしまったのか、想像も付かない。
 原因を探っているのは、この少女の身体になってしまった事が不安なのでも、元の男の身体に戻りたいわけでもない。
 突然少女になったのだから、突然元に戻ってしまう事もあり得る。それが心配だったのだ。
 いつまでこの身体で居られるのか分からない。そんな不安が私を激しい行為に走らせた。
 いつ終わるとも分からない夢なら、目覚める前に出来る限りこの身体を味わっておきたいと思ったのだ。
 けれど、今はそう簡単に元へ戻る事は無いという予感がある。
 借り物の身体という感じではない。しっかりとこれが自分の身体であるという感覚があるのだ。
 最初は男女の身体の違いに戸惑いもしたが、毎日触れて弄り続けている為か今ではそんな違和感もほとんど無い。
 ……ただ。
 少女の身体を開発する日々の中で、一つだけ超えられない壁があった。
 この身体を自分の手でどれ程責めてみても、責められている少女の心情になれないのだ。

 先程の行為を振り返ってみよう。
 ガムテープで拘束している時には非常に興奮したし、おもちゃで飾られていく少女の姿は素晴らしく淫靡だった。
 実際に責めが始まった後の、各所へのおもちゃの刺激は気持ち良かったのだけれど……それは単に身体が受ける快感として反応しているに過ぎなかったのだ。
 一番大切な、責められる興奮というものが無かった。
 拘束された状態は単に動けないと思っただけだし、無理な体勢で体力を消耗したという気分が大きい。目が見えない状態になってからは更に顕著で、少女を嬲っているという感覚が上手く掴めず、苦しさの方が強かった。自分の目を塞ぐのはあまり得策ではないのかもしれない。
 ガムテープを剥がした時の痛みも、快感は無くただ痛いだけだった。
 何度も繰り返して慣れて行けばその内に良くなってくるのかもしれないが、そこまでやろうという気力が湧かない。

 責める事は楽しい。でも、受ける事が楽しくないのだ。
 責める事で感じる興奮を、少女の身体に代行して解消して貰っている。そんな感覚だ。
 少女の身体と私の心とが乖離してしまっている。
 この矛盾は私の性的な嗜好から来ているのだろう。
 身体を責められる事では興奮を得る事が出来ない。
 SとMは裏返しという話があるが、どうやら私にはマゾヒスティックな悦びはあまり感じられないようだった。
 時折少女の本能が発現して精神を侵食される事もあったが、それに支配される事は無かった。少女の気持ちを理解して、少女に成り切る事が出来れば最高なのだけれど。なかなか難しいようだ。

 自分で自分の身体を責めてもこれ以上の快楽は得られそうも無い。そんな事を理解してしまったが、一つ収穫もあった。
 今回の行為で最も興奮した事。
 それは撮影した動画だった。
 撮られている事ではなく、撮った映像そのものに興奮したのだ。
 映っているのは私自身だけれど、そこには紛れもなく少女が性的に虐待されている姿が映し出されていた。
 少女のSM動画。
 ネットにでも流せば同好の士の間で大人気になるだろうが、もちろんそんな危険な事をするつもりはない。
 映像を見る事では興奮しても、自分の身体が人に見られる事では興奮出来ない。そういう性癖は備えていないのだ。

 そもそも私は少女を調教する自分という視点で一人エッチをしていたに過ぎない。
 女の子は犯される事を妄想して一人エッチをする事があると言うが、その逆だ。
 少女の身体は最高のおかずではあったが、こうして得られる快感は文字通りオナニーでしかなかった。
 少女の身体を使ってのオナニーはとても楽しかったが、この身体を上手く使えば更に楽しい事が出来るはずだ。
 やはり私は――他の女の子を責めたい。
 少女とエッチな事をしたいのだ。
 そんな新たな決意を胸に抱きながら、私は眠りに落ちたのだった。


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