(0)島の朝
「おはようママ。朝だよ」
顔を洗い歯を磨いてから部屋に戻った私は、となりのベッドで眠っているママに声をかけた。まだ朝も早いというのに窓の外はまぶしいくらいに明るく、木々の緑が鮮やかだ。よくわからない種類の熱帯の鳥達がぎゃーぎゃーと騒いでいる声が聞こえる。
昨日はいろいろあって、私たちの歓迎会が終わるや否やすぐに眠ってしまったせいか、早朝から頭はすっきりしてる。ぜんぜん眠くない。
「んん……そう……すう……」
ママは身体を横向きに、シーツにくるまって眠り込んでいた。白い布から裸の肩と豊かな胸元、横顔、黒髪が覗いている。大きなお尻のむっちりとした様子が布越しでもはっきりと見てとれる。
ママはちょっと朝は弱めで、なかなか起きなかったり寝ぼけたりする。仕事もないし、特に予定もあるわけじゃないけれど、このままママを置いて朝食を食べに行くのもどうかと思って、私は強硬手段に訴えることにした。
「起きて、ママ」
私はベッドに腰をかけて身体を横に倒すと、眠っているママに顔を近づけ、唇を重ねた。立ち上るちょっと甘い匂い。ふにゃっとした感触。
 むちゅ……
「んん……っ……ん……」
いつもだったらこの、おはようのキスで目を醒ましてくれるんだけれど、今朝は南の島にいるせいなのかちょっと勝手が違った。
「え……?……んっ……んんっ」
ママの裸の腕が伸びて来て、私はぎゅっと抱きしめられるように捕まえられてしまう。と思ったら柔らかな唇がもむもむと動いて、ぬるりとした暖かいものが私の口の中に滑り込んで来た。
 れるれるれる……
(あっああっ……これ……ああっ……?!)
ママの舌は私の口の中を巧みに動き回ってくすぐり、ぞくぞくする感覚を送り込んでくる。さらにふにふにと大きなおっぱいが私のCカップに押し付けられてきて、全身の皮膚に粟立つような電撃が走った。私は後ろ頭を抱きしめられて逃げることも出来ず、ただただ寝ぼけたママの愛撫を受け入れ続けるしかなかった。あ、まずい……アレがむずむずしてきた。
 どくん、どくん、どくん……
「ぷは……はあ……あ……おはよう、ママ」
と、ひとしきり私の唇を貪ったところで。
「……あ、夕子………………おはよう」
ようやくママは目が醒めたらしく、腕を緩めてちょっと困った顔をした。お互いに照れ隠しに微笑む。そしてママが身体を起こそうとした時、はらりとシーツが落ちてまばゆいばかりのママの裸の身体が私の目に映った。ミルク色の大きなおっぱいに、暗紅色に膨らんだ先端。結構逞しいお腹と腰回り。そしてそびえ立っている、肉色の巨大な何か。
「あ……」
とっさの事に私は数秒間硬直する。ママも自分が裸で寝ていたことに気づくまで何秒かかかった。
「……えっ?」



脚の付け根の茂みからおへその下まで弓なりにそそり立ったそれは、大きく張り出した赤紫色の頭部と、血管の浮いた褐色の幹を備えた、形も大きさも見事なペニスだった。
「あ、その……先に食事行ってるね」
「ええ、うん……ママもシャワー浴びてから行くわ、先に食べてて」
実の母親のセックスの象徴を目の当たりにした私は、どぎまぎしながらとりあえず早足で部屋を出て、階段を下りてサンダルを履くと、宿舎の外の食堂へと向かった。
白い砂利道をじゃりじゃりと踏み鳴らしながら歩く。道の両隣は緑の木々が壁のようにジャングルになっていて、時折ちらちらと朝日が隙間から差し込んでくる。午前中の、温いけれど余計な匂いのしないさわやかな風が頬を撫でる。
私はお腹が空いている筈だったけれど、考えるのはさっきのことばかりだ。
(ママったら……まあ朝だからしょうがないけれど、でも……)
ぼんやりと歩いていると、不意に脳裏に先程のママとのキス、そしておっぱいの感触がフラッシュバックしてきた。柔らかくて包み込むようなママの胸。口の中の粘膜をさわさわと愛撫するママの舌。勃起したママのペニスは初めて見たけれど、私のより一回り半は大きいみたい。そんな官能の記憶に浸っていた私は、下腹部の異変に気づくのが遅れた。
ずきゅんっっ……
「あ…………しまった。どうしよ、これ……」
うっかり思い出したせいで、私の股間のペニスも勃起してしまったのだった。ママほどの大きさじゃないけど、でもこれじゃあ食堂に行けないよ。どこかで治まるまで待つしかないのかなあ。
ああもう、お腹減ってるのに。


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