そう、二週間前のあの日、俺は大学の卒業旅行のため生まれて初めて飛行機に乗った。
就職してしまえばまとまった時間がいつとれるかわからない。
だから俺を含めて数人で、バイトで溜めた金を使って海外旅行に行くことにしたのだ。
南の島でバカンスとしゃれこみ優雅な一週間を過ごす。
旅先でのアバンチュールもあったりしてなどと考え、俺は浮かれきっていた。

だが、悲劇は突如として起こった。
空港を飛び立ってからどれくらいたったのだろうか。
仮眠中だった俺は、突然の騒ぎにたたき起こされた。
はっきり言って何が起きているのかよくわからなかった。
激しい揺れと機内に鳴り響く鉄が軋むような異音。天井から降ってくる酸素マスク。
わけもわからないうちに救命胴衣を着るよう指示され、見よう見まねで着込む。
それから先の記憶は妙に断片的だ。
乱気流により機体に問題が発生したため緊急着陸をするという放送。
窓に映るみるみる近づいてくる黒い海面。
そして衝撃、流れ込んでくる海水、一瞬見えた星空。

次に気がついたときには
すでにこの島にいた。


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