「社長、ついにマッコOSのシェアがWindows、Macに継ぐ3位になりましたよ!!

これで、日本進出も夢ではありません!!」

「オォ〜そうデスね・・・・・」

秘書からの吉報を聞いても、ベン・ガンツは浮かない顔であった。

マイコォーソフト社長、ベン・ガンツ。18禁OSソフト、マッコOSの開発により、

全米での地位を確立していた。

夢は日本、そしてアジアへの進出である。が、アジアのエロスに頭を悩ませていた。

「社長、どうかしたんですか?」

「ンムゥ〜、アジア、特に日本と違い、アメリカのエロスは大味すぎマス・・・。

ペニスの大きさも秘部の大きさも違いマス・・・。つまり、日本に進出するには

日本に合ったエロスを組み込んだ、OS作りが必要となりマス・・・」

「確かに、そうかもしれませんね・・・。日本人・・・、そう言えば日本のメジャーなジャンルに、

TIKAN、と言う物が存在すると聞きます」

「TIKAN!デスか?」

「ええ。何でも電車とかでコソコソと女性の体を触ったりするらしいです。

最近では、集団TIKANと言われる集団でするTIKANが主流だとか・・・。

それで、そのトップに立つものをTIKAN KING、と呼ぶらしいデスよ・・・」

「オォーTIKAN KING。それは素晴らしい響きだ!!

私、そのKINGに会って来ます!!」

「えっ、ちょっと・・・社長!!」

秘書の呼び止めにも耳を貸さず、ベン・ガンツは日本へと足を運んだ。



日本 大学

「武ちゃん!!ついに手に入れたよ!!」

大学の昼休み、シゲは武を呼びとめ、PCを自慢げに見せた。

「何だ・・・それ?」

「これはね、アメリカで人気のOS、マッコOSを搭載したPCだよ!!

18禁のOSで、いたるところにエロスが組み込まれているのさ」

「へぇ〜どれどれ」

武は歩みを止め、シゲの解説を聞きながら、マッコOSのシステムを一通り見ていく。

そして、すぐにふぅ〜とため息を吐くと、また歩き始めた。

「なるほどな。外国人が好きそうなもんだ。でも分かってねぇな。

こんなんじゃ、大味すぎて日本人は飽きちまうよ」

「そんなこと無いんじゃない?パツキンだよ。それに・・・ちょっと・・・武ちゃん!!」

武は全く興味が無いと行った感じで、学食へと行ってしまった。



「全く何だよ〜。せっかく手に入れたのに・・・。これじゃ、チョロさんに見せても

全然興味を示さないだろうなぁ。何でこのソフトの価値に気づかないんだろうな・・・」

大学の授業も終え、電車で家に帰る途中、シゲはずっとぼやいていた。

確かに外国人のエロスも良いが、他の者にしてみればいつもパンばかり食ってられるかよ!

と、そういう感じなのだろう。

シゲはふぅっと、ため息を吐いた。

「ん?」

シゲはふと視線を右方向に向けると、ムサイ髭を生やした外国人が目に入った。

「痴漢・・・か?外国人が、珍しい・・・」

妙にゴソゴソしていると思えば、その外国人は紙袋をブラインドに痴漢をしているようだった。

しかし、お世辞にも見れたものじゃない、素人のそれであった。

「あれじゃあ、ただ女性を怒らせるだけだ・・・。あぁ・・・全く、全然分かっていないよ」

遠目から見ていたシゲから見ても気づくような、お粗末の痴漢である。

特に、武の痴漢で目が肥えているシゲにとっては、目を覆いたくなるようなお粗末さだった。

そして、案の定・・・。

「何やってんのよ、オッサン!!」

バチン!!

「あぁ、やっちゃった・・・」

痴漢されていた女性から、平手打ちが飛ぶ。

少しくらい上手な痴漢なら、殴られない。

感じた悔しさから痴漢ですと訴えられるからだ。

しかし、この痴漢はあまりにも下手な為に訴えるのも忘れるほど女性の怒りを溜めさせていたのであった。

不幸中の幸い、女性は一発殴った後、特に駅員に突き出すでもなく、次の駅で怒りながら降りていった。

「オゥノォ〜・・・」

外国人はガックリとうな垂れながら、空いた席に腰を下ろした。

(しょうがないな・・・)

シゲはやれやれ、と言った感じでうな垂れている外国人に声をかけた。

「ハロ〜。ハワァーユゥー?」

「No good・・・ナゼでショウ。殴られてしまいました・・・」

「あのねぇオジサン、あんなお粗末な痴漢じゃ当たり前だよ。

レベルの低い痴漢師だって、あんな痴漢はしないよ。

下手すりゃ捕まってたぜ?」

「ソウデスね・・・。うん?アナタ・・・今TIKAN師・・・イイマシタカ?」

「あぁ・・・言ったけど・・・」

痴漢師、と言う言葉を聞いて男はシゲにグッと詰め寄った。

「アナタもTIKANしますか?ワタシにTIKAN・・・見せてください!!」

「え・・あぁ・・・別にいいけれども・・・」

あまりの迫力に、シゲはOKと応えることしか出来なかった。

(しょうがない・・・臆病そうな女子校生でも探して見せてやるか・・・)

シゲは外国人の男を連れ、獲物を探しに出かけた。