「只今、雷雲が発生しているため、着陸できません。
しばらく旋回し、待機いたしますのでもうしばらくお待ち下さい」
どうやら、雷雲が発生しているために、
飛行機が着陸できないようだ。
(どうも飛行機ってのは苦手だな。
着陸するまで、安心できないよ・・・)
寺田武、かつての痴漢王は飛行機で沖縄へと向かっていた。
痴漢から足を洗い、帰郷したのだが
東北の痴漢王で雌豚教育委員会の会長である祖父、
寺田権六によってまんまと出し抜かれ、
結局は東北の痴漢王と雌豚教育委員会の肩書きを
受け継ぐ形となってしまったのであった。
その、当の出し抜いた本人は
寺田の脇でスヤスヤと眠りについていた。
(まったく、このジジイはのんきなもんだぜ・・・)
寺田は飛行機が着陸する前に、手紙を開いていた。
この手紙こそ沖縄へ来ることになってしまった、張本人だ。
(東北の痴漢王、寺田権六殿。
お久しぶりですね。あなたと会ったのはもう4年も前、
各方面の痴漢王サミットのことでしょうか?
私もすっかり年をとってしまい、
最近は若い者たちにその座を私、隠居しようかとも考えております。
本題に入りますが、是非とも助けを頂きたく手紙を書きました。
先日、沖縄で起きた幼女暴行事件は、全国でも知られていると思います。
犯人は沖縄の痴漢師との報道内容だったと思いますが、
実は沖縄の基地にいる米兵が犯人なのです。
政府は、事を大きくしないように痴漢師に罪を着せ、
黙認しているのです。このままでは我々は全滅です。
痴漢師の罪を晴らすこともそうですが、
次々と若い女性たちがレイプされる始末。
どうにかして、助けてやりたい。
どうやら、長々と手紙を書く時間も無いようです。
いつもの場所で、痴漢師一同お待ちしております。)
寺田は手紙を一通り読むと、フーっと溜息をついた。
「全く、政府はトコトン腐ってきているよな・・・。
本田さんがテロを起こすと聞いたときはそれほどかと思ったが、
やはり、ここまで腐ってきているようでは・・・」
「その通りじゃ!!」
「起きてたのかよ!驚ろかすなよ権ジイ・・・」
いつの間にか、隣で寝ていた権ジイが起きていた。
「何を言うか。痴漢王だった男がこんなことで驚くでない!
それにしても、腹立たしい話じゃ。鬼畜米兵とはこのことじゃの!!
将来の美しい女子たちが、このままでは軒並み喰われてしまう!!」
「落ち着けよ。血管切れて永眠するぞ?
でも今回ばかりは、米兵に政府にちょっと俺たちがどうこうできる問題か?」
「任せておけ。都会の痴漢師がどうかわからんが、痴漢師を舐めるでないぞ!」
「へいへい・・・」
(どっから来るんだこの自信は?下手すりゃ米兵に撃ち殺されるんじゃないか?)
とりあえず適当に返事をして置いたものの、
事の大きさに寺田は内心ゾッとしていたのであった。
「ま、もう少し着陸には時間がかかるようじゃ。
ちと便所に言って来るわい」
「我慢できないのかよ?」
「我慢できんわい・・・」
(このスチュワーデスって奴の尻はのぉ・・・)
寺田の気づかないところで、権ジイはニヤリと笑った。
そう、寝ていたのは目立たぬよう顔を覚えられないよう、
品定めをした後の、身を潜めていただけだったのだ。
飛行機内 トイレ
1人のスチュワーデスがいそいそとトイレへと向かっていた。
武内日向、新人スチュワーデスである。
濃い目の化粧と厚い唇、性欲を掻き立てるような
AVかのようなスチュワーデスである。
(まいったなー。こんな短時間のフライトなのに、怒られちゃう。
でも運よく着陸には時間がかかる様だし・・)
あまりの尿意と考え事で、日向は後ろに潜む権ジイの
気配に気づくことが出来なかった。
ガチャ!バン!ガチャリ!
「きゃ!!」
(えっ何?)
トイレのドアを開けた瞬間、日向は権ジイに押され
トイレの壁に押し付けられた。
後ろを振り向こうとするが、強い力と部屋の狭さで振り向くことが出来ない。
パサ
そうしている内に、スカートが下へと落ち、黒タイツ姿の下半身が露となった。
「えっえ・・・え?な・・・何・・・あ・・・キャァやめて・・・ムググ・・・」
(な・・・・何なのよ・・・ハイジャック・・・?)
間髪入れず、口に手が回る。
「おーっと騒ぐんじゃないぞい、私はテロリスト・・・じゃが、お主が少しばかり
大人しくするんであれば、この飛行機は無事に着陸させてやるぞい」
日向の頬を冷や汗が伝う。
日向はコクリと頷き、抵抗するのを止めた。
(飛行ではこういうのが一番じゃ。久しぶりの上玉じゃの)
ビリ・・・ビリリィ・・・
権ジイは思い切り、スチュワーデスの黒タイツを破り、
下着の上から秘部を愛撫し始めた。
「アッ・・・」
(そんな・・・まさか・・・大人しくするってこういうことなの・・・。
でも、抵抗したら飛行機落ちちゃうよ・・・アァアア・・・どうしたら・・・)
日向のそんな葛藤などいざ知らず、権ジイはするするとシャツの中に手を入れ、
巧みに乳頭と秘部の両方を愛撫し始めた。
「ハァ・・・・アッ・・・クゥ・・・」
(だ・・・ダメ・・・、両方なんて・・・アァ・・・最近してないから・・・濡れちゃう・・・
下着汚れちゃうよ・・・)
純白の下着は、すぐにジットリと染みを広げていく。
後ろから押さえつけられ、どんな人が触っているか分からない興奮と、
ご無沙汰での体の敏感とで、どんどんと日向の秘部は愛液を吐き出す。
「アンッヒィ・・・ウゥ・・・アァアゥ・・・」
乳頭を捻るたび、ビクッビクッと日向の体が反応する。
権ジイは純白の下着の中に手を入れた。
「アアアァァア」
(グチュ・・・グチュしてる・・・アァアア・・・・頭が・・・真っ白にぃ・・・・
キモチイイ・・・・カキマワ・・・シテ・・・・アアァァア)
仕事も忘れ、日向は指を求めるように、腰を突き出す。
チュポ!
「ハァン!!」
権ジイは指を入れた。
愛液で良く濡れた日向の秘部が、チュポチュポとイヤラシイ音を立てる。
(アァァアア・・・・・ハ・・・・ハイッテ・・・・・・カキマワサレルッゥゥゥゥ・・・・。
イ・・・イヤァ・・・コンナ・・・・ソラノウエデ・・・・・アアァアアアア)
日向の脳がドロドロと性欲に飲み込まれていく。
「アンッアァアアアンアア・・・アァア・・・ソ・・・ソンナニ・・・アアア・・・ハ・・・ハゲシィ・・・」
(ダ・・・ダメェ・・・・デ・・・デチゃ・・・ウゥゥ・・アア・・・デ・・・デモ・・・キモチヨクテ・・・ェ・・・
ガ・・・ガマンデキ・・・ナイ・・・ダメ・・・チガウノモ・・・・デチャイ・・ソ・ア・ァアアア・・・・)
「イ・・・イク・・・ア・・・モレチャウ・・・ッゥ・アア・・・ダ・・・ダメェ・・・・
シゲキシチャダメェ・・・ヌイテ・・・アァ・・・シゴトチュウ・・・ナノニィ・・・アア・・・!!
イ・・・イクゥゥゥゥゥゥアアァァアアア!!!」
プチャァプシャァア!!!!
ビクビクと痙攣する中、聖水と潮が止め処なく吹き上がる。
(ス・・・スチュワーデスって・・・キモチ・・・イイ)
「行きよったわい!これからも仕事に精進するんじゃぞ!!」
権ジイはハンカチで手を拭き、トイレを後にした。
ポーン!
「上空の気流が安定いたしました。まもなく着陸態勢に入ります」
そんなこんなで、飛行機も無事着陸態勢に入り、
寺田と権ジイは沖縄へと上陸したのであった。
沖縄
2人は沖縄へと降り立った。
11月後半と言うものの、べっとりとした空気で梅雨の時期の温度に似ていた。
東北の寒さに慣れていたため、2人は暖かい気候に驚いていた。
「久々じゃが、やはり沖縄は温かいのう。行動がとりやすいわい」
「本当に温かいな。沖縄は初めてだが、ここまでとは・・・」
「とりあえず、集合場所にいくぞい」
「へいへいと・・・」
2人は空港からタクシーで中心街へと向かう。
人通りが多くなってきたところで降り、
権ジイに言われるがまま地下の商店街へと向かう。
無言のまま歩いていく2人、裏の商売人が並ぶ中、
権ジイはふと似顔絵書きの前で立ち止まった。
「ん、どうした権ジイ?」
「いやぁなに、似顔絵でも描いてもらおうと思ってな」
「のんきなもんだぜ・・・」
寺田はしょうがなく、権ジイに付き合うことにした。
「へへっ、どうも。どんな感じに書きやすか?」
「そうだな・・・鼻筋が通った感じで頼めるかね」
「・・・付いて来い」
似顔絵書きの男は、いきなり立ち上がると、
歩き始めた。
「おいおい、どうなってんだ?」
「合言葉じゃよ。合言葉を知らん者は痴漢王に会えんのじゃ」
「変な所だな・・・」
地下 痴漢王のアジト
地下の商店街は入り組んでいて、
裏の住人しか知らない通路に外れると
地下の住人たちの小屋が並ぶ通りにでた。
その奥、一際でかい小屋、そこが沖縄の痴漢王の住処であった。
コンコン!
「フェイスです。入ります」
「おう!」
似顔絵書きの男がノックをすると、
偉くドスの利いた声で返事が返ってきた。
「失礼します。客人をお連れしました」
「おう」
2人が部屋に入ると、猪のような山賊、
そう形容するのが最もな感じの老人が酒を喰らっていた。
「ん・・・お主は・・・」
「ひさしぶりだのう三六!」
「権六じゃねぇか・・・久しぶりだなおい!!来てくれたのか・・・。
ん?後ろのわけえのは誰だい?」
「そうか、まだ話しておらんかったな。孫の武じゃ。3代目痴漢王じゃよ!!」
「おお・・・本場の痴漢王か!!そいつは百人力だ!!
おいフェイス!!すぐさま作戦会議じゃ!!」
休む暇も、観光する間も無く、すぐさま三六は現在の状況を
話し始めた。
現在の状況は、最悪の状況であった。
元々、沖縄は痴漢に対しては温厚な地域であった。
それだけ、激しい痴漢を行う者はおらず、
痴漢も軽い挨拶程度のものとの認識がある。
しかし、先の事件で罪をなすりつけられ、
政府に多額の懸賞金をかけられたことにより、
冤罪をも通り過ぎ、とにかく痴漢師を狩り始めていたのだ。
それも、本当の主犯であるはずの米兵たちであるから、
屈辱以外の何者でもない。
「悔しくて悔しくて、酒でも飲んでなきゃやってられっか!!ってことじゃ」
「三六、状況は分かった。だが、事前の情報収集で作戦を考えておる。
ここ、沖縄の最高責任者は女性だと言うことが分かっておる。
今は兵士も女性主導になりつつあるからの。
という訳で、武・・・そいつを犯せば万事解決じゃ!!」
満面な笑みでポンと権ジイは寺田の肩に手を置いた。
「なるほど!!さすがは東北の痴漢王!!ガッハッハ!!」
2人の浅はかな知恵に、寺田はあきれるばかりであった。
(自信満々の答えがこれとは・・・)
フウゥー、と寺田は息を吐き、2人に現実をつきつけた。
「盛り上がっている所すまないが、相手は仮にも軍隊だぜ?
こっちが尻でも触ろうものなら、命の保障が無いと思うんだが・・・」
「な・・・なんてこったぁ!!」
老人2人はガックリと肩を落とした。
そして、2人で酒を酌み交わし始めたのであった。
(やれやれ、どうやら観光に行けそうだな)
「フェイスさん、ちょっと俺は出かけて来ます。爺さんをよろしく」
「分かりました。いってらっしゃい」
寺田はフェイスにそう言い残すと、観光名所へと繰り出した。
「それにしても、エメラルドグリーンの海があるとはなぁ。
酒田も飛島って離島があるが、綺麗だけども珊瑚はいないしな。
ま、クラゲが出ないから、沖縄にも負けない海だと思うがなぁ・・・」
寺田は万座毛や首里城など、沖縄の名所めぐりをして満足そうであった。
日はすっかりくれ、辺りは闇に包まれた。
「こんな時間か。あんまりブラついていてもしょうがない」
寺田は腕時計を確認しながら、再び地下商店街へと急いでいた。
その時だった。
「このイエローモンキーがぁ!!」
ズガァ!!
「ひぃ・・・た・・・たすけてくれ!!」
「うるせぇ!!」
ドガ!!
ガタイの良い外人たちが、1人の日本人をリンチしているようだった。
周りの通行人は見てみぬ振りをし、助けようとしない。
(なんてぇ腐った社会だ。いや、分かった・・・あいつら米兵か。
だから、誰も助けないのか?いやそれだけじゃない・・・
あの日本人、手をかばってやがる。痴漢師か・・・)
寺田は一瞬で事態を把握した。
しかし、自分にはどうすることもできない。
あくまで自分は痴漢師、格闘ができる訳でも
米兵を抑える権力も無い。
(すまん・・・。俺が行った所で2人共潰されるのがオチだ。
せめてゴリが居てくれれば・・・)
ふと寺田の頭に昔の仲間の顔が横切った。
ビッグフットゴリ、痴漢師ながら格闘家でもあり、
トップアスリートでさえ、その名前には驚く程である。
寺田は自分の無力さを恨み、その場から逃げ出したくなりながらも、
その場に残っていた。
せめても、奴らが去ってからでも助けてやろうと。
しかし、その時だった。
「Hey!!」
金髪の長身の女性が、米兵に歩み寄った。
女性が一喝すると米兵たちは頭を下げ、そそくさとその場を去っていった。
女性が男性を抱え起こす。
寺田は女性に見とれていたが我に返り、一緒に男を介抱してやった。
「先程は助けるのを手伝っていただき、ありがとうございます
私の名前はアイーダ、よろしく!」
「いえいえ、当たり前のことですよ。俺は寺田です」
何だかんだと一緒に男を助けた縁と言うことで、
寺田は情報収集の為にも女性をカフェへと誘い込むことに成功していた。
アイーダは流暢な日本語で、会話していることから、
長い期間この地へ滞在していることが分かる。
(これはビンゴだな。米兵たちを簡単に収めることからも、
十中八九、こいつが基地の最高責任者だ)
先程の米兵たちとのやりとりで寺田は、
彼女が今回の痴漢のターゲットだということを感じていた。
引き締まった筋肉には似合わない、プリティフェイス。
性欲が沸き起こるが、間違いなく痴漢した瞬間
殺されるであろう殺気も感じる。
その証拠に、チラリと覗く胸元を見る寺田の目線に気づくと、
鋭い目つきで返してくるのだった。
「俺は山形から旅行で来ているのでよく分からないのですが、
何故市民を軍の者が襲うのですか?」
「頭が痛い事だけど、日本の政府が下した政策が関係しているのよ。
トップの私が言うのも何だけれども、今年発生した幼児暴行事件、
あの加害者は、100%我が米軍の者が関与しているわ」
「・・・いいんですか?そんな事を言って」
「良いわ、きっと沖縄の人間は全員が知っているはず。
非があるのはこちら側ということをね。
日本の政府が揉み消して、痴漢師の犯行だとニュースを流した。
日本では痴漢師が蔓延ってきている、そうするのが手っ取り早かったのね。
政府は、アメリカとの友好関係を保つために、そうしたの。
残念ながら、そうしたことでレイプ事件の発生数は、
大痴漢時代到来より多くなったそうよ。
そして、咎められない事を良い事に、痴漢師に対する暴行も比例して
多くなっていった。きっとこのままでは、腐敗していってしまう・・・」
ポタリ、と一粒、アイーダの目からは涙が零れ落ちた。
(そうか、確かに頭が痛い話だ。何をしても、政府が守ってくれる。
正直、ならず者でなくとも、そんな特権に味を占めれば、
上官の命令を守らぬ者たちも多いだろうしな・・・。
そもそも、故郷を離れて彼らもフラストレーションがたまっているはずだし、
これは、ターゲットが違うな・・。彼女は痴漢するに値しない、素晴らしい人間だ!)
会ってからまだ短いが、寺田はアイーダの心の清らかさに気づいていた。
そして、自分が痴漢をしようとしていたことを恥じていた。
「ご、ごめんなさいね。そろそろ失礼するわ。
ここの住人たちも、アメリカ人を良く思っていないみたいだしね」
アイーダは慌てて涙を拭き、席を後にしようとした。
「待って!」
寺田は思わずアイーダの手を掴んでいた。
アイーダはきょとんとして寺田を見た。
「あーちなみに、政府の沖縄の担当ってのは誰だい?」
「・・・おかしな人。そんなこと聞いてどうするの?
もしかして、アナタ偉い人?水戸黄門?ふふふ、そうね、大井蓮という方よ。
今日は、グチを聞いてもらってありがと!!」
アイーダはそれだけ言うと、颯爽とその場を後にした。
(良い女だったな・・・。外人ってのは好きじゃないんだが・・・。
もう少し情報が必要だったが、名前だけでも分かって良かった。
これで、ターゲットを間違えないですむぜ。
それにしても水戸黄門か・・・、あながちハズれてもいないかもな!!)
翌日
寺田は三六のアジトへと戻ってきていた。
寺田は昨日の出来事を皆に話し、対策を練ることとなった。
「なるほどな。大井蓮、奴が黒幕か。何が友好関係じゃ!
奴は友好関係などどうでも良い!!
出世に響くことを揉み消しては偽装し、
自分の管轄で起こる事件を誤魔化しているだけじゃ!!
許せん、許せん!!フェイス!!似顔絵を!!」
「は!」
フェイスは三六に指示を出した。
すると、見る見るうちに似顔絵が書き上げられ、
1人の女性の顔が皆の前に現れた。
40も近いだろうか?黒髪のショートカット、キリっとしている顔つきだ。
鼻も高く、日本人離れしている顔、どうやらハーフらしい。
「中々の美人じゃ。気品を感じるわい・・・」
権ジイはまじまじと似顔絵を見た。
「そうか?俺は腹黒さを感じるけどな。
美人ってのは、大体腹黒いもんさ。
こういうクッキリした顔立ちの女はよ・・・。で、どうする?」
寺田が三六に問いかける。
「ま、色々と情報は入ってきておる。
明日、基地内で格闘大会が行われるらしい。
そこに、奴も見に来るとのことじゃ。
普通ならボディガードやセキュリティでガチガチな奴だが、
軍基地内で観戦しているだけならば、隙も出来よう。
例えば、あそこは女性はアイーダを含め数人、
トイレで襲えば、ほぼ確実に他人に邪魔はされんはずだ!!」
「なるほど、中々いい作戦だ。で、どうやって中に入るんだ?」
寺田の質問に一瞬の間が出来る。そして・・・。
「ま、そこら辺は何とかなるじゃろ!!」
(結局、詰めは出来てないってことかよ!!)
寺田は思わず仰け反ってしまった。
「・・・とりあえず、息抜きに基地の近くを見に行ってくるよ」
「すまんの〜。こりゃフェイス、お供しな!!」
「はい。では、基地までは私が案内します」
沖縄基地 周辺
(ジジイたちは当てに出来ない。
何とか大井蓮に接触する手段を見つけないとな・・・)
寺田とフェイスはレンタカーを借り、沖縄基地の周辺を探りに来ていた。
頑丈な柵に門、どう転んでも突破するのも難しい上、
見つかった時点で終わりだということを物語っている。
「すみませんね」
「え?」
色々考えていた寺田に、運転しているフェイスが話しかけてきた。
「内の頭のことですよ。痴漢のリーダーって言うものは、
どうも行動力の方が強い人間が多いので・・・」
(そうか。確かにな。内の師匠に権ジイ、どちらも知的!
って感じではなく、カリスマと行動力のリーダーという
感じだもんな。しょうがないか
その行動力で皆の助けにもなっているんだし・・・)
各地方の痴漢王たちは、痴漢を束ねるだけでは無い。
雌豚教育委員会の用に、腐った政府に粛清を施す他にも
冤罪で苦しむ人の助けになったり、
ありえないほどの快楽で、引きこもりを初め、
性格に難がある人間を変えることもある。
決して、机上の空論ではいかぬ大役であり、
いつも机上の空論で国を傾けていく、
政府の人間を反面教師にしているのである。
「ま、珍しいんでしょうね。俺みたいなのは。
まぁ、最初は痴漢目的ではなく、復讐目的から痴漢に
入ったからかもしれませんしね・・・。
そろそろ一旦休憩しますか?
寺田はフッと笑い、そう言った。
「そうですね。ファミレスにでも入りますか」
(きっと、それだけではなく、寺田さん、
あなたには特別な何かがある気がしますよ・・・)
フェイスはそう付け加えようとしたが、言葉を飲み込んだ。
ファミレス
特に良い案も浮かばず、寺田とフェイスは休憩をとっていた。
食事を取る間も、あれやこれやと2人で話していたが
やはりうまく基地に潜り込むことは難しいという結論
に収まっていた。
「難しいですよね。こっちはただの痴漢師、建物の中も把握していない。
関係者でも無い限り、忍び込んで行動するには厳しいですね・・・」
「そのようですね。残念ながら、何人か基地に知り合いはいますが、
今、我々沖縄痴漢師は目立ってしまっていますからね。
もし協力がバレたことを考えると、大変でしょうし」
フェイスが残念そうにうなだれる。
教師であり痴漢師であるチチクリマンボウのように、
軍や政府の者にも、教痴漢師は少なからず存在する。
しかし、大々的にレイプ事件の犯人と報道された以上、
彼らも自分の身が危ないため、協力の可能性は無い。
今回ばかりは八方塞がり、寺田は頭の後ろで手を組み、
椅子に深々と腰をかけた。
「止めて下さい!」
「何だ?」
「寺田さん、関らない方が良いですよ。
基地が近い店では、日常茶飯事に近いです・・・」
フェイスに止められ、寺田は遠くから静観する。
どうやら、店の女性がガラの悪い米兵たちに絡まれているようだ。
ここのファミレスは全国チェーンで、
服装もヒラヒラのスカート着用で、
漫画に出てくるような可愛いらしい服装である。
そのため、スカートをめくるなど、
ちょっかいを出してくる客も多いのだ。
「このままでは・・・沖縄は・・・」
フェイスはグッと下唇を噛んだ。
寺田も、ただ、その場に座っているしかなかった。
だが、その時だった。
ボグッ!
鳩尾の肉がめり込む音が響く。
みると、1人の2mもある男が米兵たちを
あっという間にのしてしまったのだ。
「すごい、あの兵士たちを一瞬で・・・」
フェイスが驚きの声を上げる。
男は、フェイスの声に反応し寺田たちの方を振り向くと、
何かに気づいた表情を見せ、近づいてきた。
「うへへぇ、久しぶりだな寺田」
ふいに男が声をかけてくる。
「そうだな・・・まさか、沖縄にいるとは」
寺田もそれに答えた。
「え・・・寺田さん、お知り合いで?」
「ああ、知り合いも何も、かつて俺たちと四天王と呼ばれていた、
ビッグフット、ゴリさ!!」
寺田は、いきなりの再開を喜んだ。
ゴリは、寺田が東京の痴漢王として君臨していた頃の仲間である。
痴漢クラッシャー拝島を寺田たちと犯した後、
格闘界に戻るために渡米たのだが、
元犯罪者、それに全盛期にいきなり格闘界を去った為に、
スポンサーやら何やら契約に難色を示したらしい。
そのため、いきなりまた止めて迷惑をかけないかどうか、
商品価値があるかどうかを、各地を回って、
お金を卸しながら信頼を得ていかなければならないと言うことであった。
「で、今度の相手は沖縄基地にいるそうだ。
軍隊に所属しながら、生粋のファイターらしい。
うへへぇ、そんな奴には負ける気は無いけどな・・・」
「沖縄基地・・・、ゴリ、今そう言ったのか?こいつは・・・いけるかもしれん」
「何だ?沖縄基地に用事でもあるのか?」
状況を掴めていないゴリに、寺田が今回沖縄にいる経緯を話した。
「なるほどな。相変わらず痴漢をやっている訳か・・・」
「ま、不本意だけどな。でも、困っている人がいるのならと、
自分に言い聞かせている訳だが・・・それより、関係者として
俺たちを沖縄基地に入れることは?」
「可能だ。雑用だとか理由をつければどうとでもある。
でも明日はボクシングでの試合、
時間では12Rまでだから1時間も無い。
基地を自由勝手に動けるとしたら、
皆が観戦に来る試合の時間しかないだろうしな」
「駄目だったら、それはその時だ。チャンスがあるだけありがたい。
で試合はいつだ?」
「ああ、明日の夜だ・・・」
沖縄基地 控え室
寺田とフェイスはゴリと別れた後、すぐさまアジトへと戻り準備を開始した。
そして、翌日ゴリと合流し、うまいこと沖縄基地へと潜入を果たしていた。
「寺田、どうやらお偉いさんも観戦するらしい。
2階席に、その標的がいるらしいぜ。
今日の相手なら、12Rまで何とか伸ばせる」
アップをしながら、ゴリが寺田に話かけた。
「悪いな、大事な試合だって言うのに。
フェイスさんは、1階で観覧の様子を教えてください。
俺は2階で待機して好機を待ちます」
「了解した。任せておいてくれ」
「うへへぇ、席はちゃんと2階の観覧席と対角にとっておいた。
バッチリ見えるはずだぜ。それに、寺田、礼はいらない。
俺たちは、お前に大きな借りがあるからな。
ここまで生きて、希望を再び持てた。
返しても返せないほどの大きな借りさ」
「何か照れくさいな。ただ、俺はお前たちの力が必要だけだった。
それだけだよ。じゃあ、頼んだぜ皆!」
「おう!!」
1Rのゴングが鳴る。
1階の観客席にいるフェイスの目は、2階観覧席にいる大井蓮の姿をとらえていた。
しかし、大井蓮の周りには数人の部下と護衛が一緒に座っている。
現段階では、潜入できたところで手出し出来ない状況下にあった。
(このままでは、ただ時間が過ぎていくばかり・・・寺田さん・・・)
フェイスはただ、大井蓮を見張ることだけしか出来なかった。
ただ寺田を信じて・・・。
「しょうがないな。コイツに賭けるか・・・」
寺田は観覧席の入り口までたどり着いていた。
観覧席と言っても特に特別な部屋になっているわけでもなく、
どこにでもある椅子が列挙している席である。
ありがたいことに扉も存在していない。
寺田は懐から瓶を取り出した。
かつての仲間、四天王スメルマスター拓より
別れ際にプレゼントされた物だった。
臭いを嗅ぐだけで、女性にのみ反応する薬品。
利尿剤である。
寺田はこっそりと忍びこみ、後方の席の下で薬品を炊いた。
無臭で、ほとんど煙もでない。
ほぼ、見つかる心配もなかった。
寺田は薬品を炊くと、すぐさま観覧席を離れ、
女子トイレにてフェイスの連絡を待った。
カーン!
半分の6Rが終了する。
インターバルの最中に、ゴリはフェイスに目線を送るが、
フェイスは首を振るだけだった。
未だ、大井蓮は観覧席より微動だにしない。
残された時間は退場も併せても30分程か?
次第にフェイスの顔にも焦りが見え始めていた。
だが、その時だった。
観覧席の大井蓮がそそくさと観覧席を離れたのだ。
(来た!!)
フェイスはすかさず寺田に連絡を入れた。
「了解した!!」
女子トイレの一室で待機していた寺田に連絡が入る。
携帯を切ると同時に、慌ててトイレに入る足跡が聞こえてきた。
バタン!
寺田はここでも細工を施していた。
実は、ここには1つだけ和式トイレが存在している。
他の洋式トイレを鍵をかけ、上の隙間から出て
和式トイレのみを使えるように誘い込んだのだ。
そして、隣の個室の下の隙間から覗くと・・・。
(狙い通りだ・・・尻が丸出しだぜ、大井蓮!!)
そう、目の前に尻が突き出されている光景が拝めるのである。
(それにしても、痴漢される熟女共は良い尻してるぜ。
汚い染みも、セルライトも無いしな)
そう思いながら、寺田はバイブを取り出した。
四天王の1人、電マの神様とも称される伊藤より、貰ったものだ。
シャー!
大井蓮の放尿が始まる。
寺田は放尿の箇所を狙い、バイブを向け、ボタンを押した。
ウィーーーン
すると、見る見る内にバイブが伸びていき、
ついには放尿先、大井蓮のクリトリスに届いた。
「えっ?」
大井蓮はクリトリスにヒヤッとしたモノを感じた。
そして、次の瞬間!!
ヴビィィィィ!
そのモノは、クリトリクを激しく震え上がらせた。
「あ?アァアァアアァァア!!」
(な・・・ナニィ・・・アア・・・チカラガ・・・ヌケチャウゥゥ・・・・!!)
不意をつかれた快楽に、思わず大井蓮はその場に座り込んでしまった。
その体勢が更にバイブにクリトリスを押し付ける形になってしまった。
「アッツアァウゥゥアアアァァ!!」
電マの神様とも言われる伊藤の電マは、
見事なほど適格にクリトリスに振動と快楽を伝えていた。
(こうもうまく行くとはな・・・。もうバイブの虜だぜ)
寺田はすかさず2つ目のボタンを押す。
今はペン型やキー型の小型カメラが販売されているように、
伊藤も電マにカメラを組み込んでいたのだ。
そうすることで、リアルタイムに感じている女性の姿を
撮影できるということだ。
「アッツアアアア・・・・ダメェ・・・アァダメェ・エ・エ・エ!!」
ブチュ!ブチュ!
大井蓮の秘部は瞬く間に大洪水となり、
イヤラシイ音が響き渡る。
どこから来たのか、快楽を与える物が何なのか?
そんなことを考える前に快楽がどんどんと押し寄せ、
身を委ねてしまう。女性の性と言うものか。
「アァ!ハァ!」
(ダメェ・・・キモチヨスギルゥ・アアァ・・・ウゥゥ・・・イクゥ・・・キモチイイィィ!!)
大井蓮ので、何かが真っ白にはじけた。
「イグゥ・・・アアァアアアヒィィ・ィィ・・ア・・・・イクゥゥゥゥゥゥ!!!」
ブシャァ!
聖水と愛液潮が一緒に噴出してくる。
(派手に行ったな。さて、大詰めだ!!)
寺田は多い蓮がイッたのを確認すると、
上の隙間から大井蓮のいる個室へと降り立った。
大井蓮は快楽でまだ体をビクビクと震わせ、焦点が定まっていない。
ブブブ!
「アァ!!」
「とっとと目を覚ましな、大井さんよ!!」
寺田は怒りを露にして、大井蓮の無念にバイブを押し付けた。
新たな刺激で大井蓮が我に帰り、寺田の顔を見た。
(な・・・何?この男・・・一体どこから・・・)
「まだ良く分かってないようだな。いいか、簡単に言うぞ?
アンタは俺にイカされた。で、俺はアンタのイキっぷりを録画しました。
直ちにレイプ事件は米軍に非があると認め、
冤罪で捕まった痴漢師を解放しなさい。
さもなくば、この動画はyoutubeでも何でもいいが、配信されるでしょう」
「そ・・・そんな・・・」
大井蓮はようやく事の重大さに気づいた。
自分の絶頂の姿を撮られてしまった事。
事件のことを認めても、認められなくても自分のキャリアは
ほぼ終焉を迎えるということ。
「考えている時間は無いぜ?時間切れな場合俺はすぐにでもここを出て行く。
よく考えろ?動画を配信されるという事は、仕事のキャリアだけではなく、
人間としてのキャリアも終わりってことだ。
動画が配信された時点で、風俗で働くしかなくなるんじゃないかな?」
大井蓮はがっくりとうなだれた。
確かに、事件を認めてしまえば、人間としての面目は保てる。
大井蓮に残された道は、イカされた時にもう一つしかなかったのだ。
「分かった・・・わ。事件のことは認め、報道させましょう。
そして痴漢師は解放します。但し、一つだけ条件があるわ!!」
「ここに来て条件か?聞くだけ聞いてやる。何だ?」
大井蓮は潤んだ瞳を見て、こう言った。
「私をSEXで満足させなさい!!」
「アァ!!イィ!!モット!!アァアアァァア!!」
何かに開放されたかのように、大井蓮は声が漏れることも気にせずに
大きな声でよがり狂う。
大井蓮の秘部はすでにヌルヌルと濡れ、
寺田のペニスが入るたび、ヌルッヌルッと聞こえるかのように良く滑る。
(こ・・・こいつは名器だぜ・・・。特別にテクがあるわけじゃないが、
口も秘部も生まれ持って快楽を引き出す物を持っている奴はいる。
今までで一番に近いかもしれん・・・)
ブチュ!ブチュ!ブチャ!
「クルッチャゥォウオゥ・・・・アァ・・・ワタシィィ・・・キモチイイィィ・・。
スゴイィィィ・・・コンナノォォォ・・・ハジメテェェアア・・・・アアア!!」
(ギモヂィィィ・・・ナニモカンガエラレナイァィィ・・!!
シンジラレナイィィ・・アアァァァ・・・・・コレガホントウノ・・・SEXナンダワ!!」
大井蓮は今まで、お堅いエリート街道を進んできた男としか縁が無かった。
AVやエロ本でしかSEXの知識や技術を知らない、
顔射するのが当たり前だと思っていた男もいたこともある。
それだけ頭でっかちでテクも無い男としか
寝たことが無い多い蓮にとって、痴漢王と呼ばれた男のSEXは、
理性も吹き飛ばしただの雌豚にするのは容易だった。
「ハァ・・ハァハァ・・・マタ・・・イッチャウゥゥゥ・・・キモチヨスギテェ・・・ダメナノォ・・・」
再び迫り来る快楽に、大井蓮が切ない声を上げる。
「奇遇だな・・・アンタのが気持ちよすぎて、俺もイキそうだ・・・」
寺田も限界を迎えていた。
「ウレシィィィ・・・コンナキモチノイィ・・・SEX・・・シテクレテェ・・
イッテクレテェエ・・・アアァア・・モウ・・・アアアアアア・・・アア・・クルゥゥウゥゥ!!」
「そいつはありがたいこった。人生は一度きり、極楽浄土を・・・見せてやる!!」
もっともキモチイ角度に寺田はペニスを激しく突き刺した。
「アハァ・・・キャハァアアアアアァアァァ・・・・イッチャィマスゥゥウゥウ!!!!」
激しい痙攣の中、大井蓮は崩れ落ちた。
寺田は優しくペニスを抜き、大井蓮の顔に精子をぶっかけた。
「こんな快楽なら、顔射されてもいいだろ?」
寺田の問いに、大井蓮はコクリと頷き、精子を舐め取っていた。
(顔射がこんなに・・・素敵な物だったなんて・・・あぁ・・・)
大井蓮は満足げに笑っていた。
いつもピリピリしている、公務の顔をとは打って変わって、輝いていた。
「じゃあ頼みましたよ」
寺田は大井蓮のその顔を見ながら、フェイスに全てが完了したことを伝えた。
「さて、出るか・・・あ!」
「え?アナタ・・・」
「ちっ、スマン!!」
寺田は不意に入ってきた女性に、眠り薬を吹っかけた。
女性はその場に崩れ落ち、寝息を立て始めた。
「アイーダ、こんなタイミングに・・・。彼女には良い印象でいてもらいたいからな・・・」
入ってきた女性はアイーダであった。
自分を水戸黄門と言ってくれた、心の美しいアイーダには、
何も知らずに事件が解決し、幸せになってもらいたかったのだ。
(曲がった事実をもう一度戻すには、奇麗事じゃいかないこともあるからな・・・
それにしても、水戸黄門よりスパイダーマンとか言ってほしかったなぁ。
アメリカなんだしさ・・・)
寺田はアイーダの額にキスをし、その場を後にした。
カーン!!
11R終了のゴングが鳴る。
それと同時に、フェイスからゴリにサインが送られた。
「うへへぇ、やっと終わったか・・・全くこれでトドメを刺せるぜぇ」
ゴリはニヤリと笑った。
「Fack!!」
「ん?」
どうやら相手コーナーの選手がいらだっているようだった。
「くそぉ、あの日本人ガァ!!」
「落ち着けよ。アイツは防戦一方だ、次で仕留められる」
「分かっている・・・。しかし、昨日店で邪魔されたからなぁ!!
防御してちゃあ叩きのめせん!!」
ゴリはしっかりと言葉を聞いていた。
(ははぁ、昨日の奴らか。それに、どこかで見たことがあると思ったら、
テレビでレイプ事件の犯人と疑われていた奴じゃないか。
結局、痴漢師のせいにしたようだが、こいつが元凶か。
俺も、正義の鉄拳と奴を喰らわしてやるか・・・望みどおり防御は解いてやる!!)
カーン!
12Rのゴングが鳴る。
ゴリは殺気を開放し、ノーガードで構えた。
しかし、相手は打ち込んでこない。
ゴリの殺気に、気当たりを起こしていたのだ。
「どうした坊や、怖いか?きっと、犯された少女も、怖かっただろうな」
「何故・・・何故お前がそれを!!」
ゴリの安い挑発に、相手は意図も簡単にのってきた。
(距離も測らず、いきなり大砲か・・・それならこっちも)
ゴリは相手の右ストレートに合わせ、自分も右ストレートを打ち込んだ。
バァン!!
「グワァァァ!」
相手の腕がゴリの右トレートに弾き飛ばされ、肩がはずれた。
すかさずゴリは前方にステップインし、ガードが空いた右ボディを
下から突き上げた。
ボキィ!!
「ひぃぃぃぃ」
今度は下から2つ、肋骨が折れる。
相手は戦意喪失し、無様にもゴリに背中を向けて逃げ出した。
すかさずレフェリーが割って入るが、ゴリは静止を物ともしなかった。
「うへへへぇ、半端なファイターが、リングにあがるんじゃねぇよぉ!!!!」
「ゴリ、ストップだ・・・スト!!」
ボキィ!!
レフェリーもろとも巻き込んだ右フックが相手を襲い、
今度は顔面の骨が折れる音がした。
急いでゴングが鳴らされ、救護班が雪崩れ込んでくる。
「これで懲りたろうなぁ・・・」
ゴリはニヤリと笑い、リングを降りた。
「やったな!」
「あぁ、お前もなぁ」
いつの間にか寺田も観客席へと降りてきていた。
「悪いけど関係ない助成も巻き込んでしまってな、
お前もこの会場の雰囲気を悪くしたことだし、
さっさと脱出しようぜ!」
確かに、米兵選手はもちろんのこと、軍で用意したレフェリーも
KOしてしまったこともあり、観客たちの視線がかなり痛く突き刺さっていた。
ゴリはフェイスと寺田を両脇に抱え、セコンドと共にすぐさま退却をした。
それから数日後・・・・・
大井蓮は約束どおり、一連の犯行は米軍に問題が合ったと訂正の報道を流した。
大井蓮は出世コースから落ち、残念ながらアイーダも、米軍のトップを解かれたのであった。
冤罪で捕まっていた痴漢師も釈放され、一件落着に思えたが、
寺田の心には何ともやりきれない感情で一杯だった。
それから1週間、釈放された痴漢師たっての願いで寺田と権ジイは沖縄に滞在し、
ほぼ全ての観光名所を回って歩いた。
権ジイは大はしゃぎであったが、寺田はどこか楽しめていない、
そんな表情で、1週間が過ぎ、酒田へと帰ったのであった。
庄内空港
「さてと・・・、タクシーでも拾うか。っとあれ、財布・・・どこだっけな?
権ジイ、俺の財布知らないか?」
「ワシは知らんぞ?落としたのか?」
「この落ちている、これじゃない?」
「ああ・・・すいませんって・・・アンタは」
「ハーイ」
寺田が財布を受け取ると、そこには金髪、
そうアイーダの姿があった。
「来ちゃった。どうやら水戸黄門じゃなく、
飛猿ってところかしら?このおじいちゃんが水戸黄門、
そして私はお銀って所かしら?」
「はぁ?言っている意味が分からないんだけど・・・」
「記憶が曖昧だけれど、アナタは確かに基地にいた。
そして、あの後、政府が事実を認めた。
アナタの仕業でしょ?私も責任とって辞める事にしたし、
少しの期間ホームステイさせてもらうから。よろしく」
「え?え?」
あまりの唐突な出来事に、寺他の思考は混乱していた。
「残念ながら、コヤツは居候じゃ。ワシの家に泊めてやるぞ。
好きなだけな・・・」
「わーお、物分りの良いおじいちゃんね」
「お・・・おい、ちょっと待てって!!」
2人はすでに大はしゃぎで、寺田の呼びかけは耳に入っていなかった。
(しょうがないな。家にいる分なら、俺たちが痴漢師って事はバレないだろうしな・・・)
寺田は頭を抱えながらも、しょうがなく了承することにし、2人の後を追った。
「お爺さん、またね!」
すると、1人のスチュワーデスが、権ジイに声をかける。
見たことも無い、珍しく国内線で生き生きして美しいスチュワーデスだ。
「権ジイ、あの人は?知り合いか?」
「何を言っとるんじゃ?行きの飛行機で飲みもん配っとったじゃろう?」
「そうだっけか?何か微妙なのしかいなかったような?」
「ま、ワシのおかげで仕事を大好きになったんじゃろうな・・・。
それもまた、痴・・・ウググ」
痴漢師の仕事・・・そう言おうとした権ジイの口を寺田は必死に抑えた。
「何々?治・・・?治療かなんかしてあげたの?」
「そうそう、カウンセリング的な?権ジイは人の相談を
請け負ったりしているからなぁ・・・あはははは・・・」
(専ら痴漢師のだけどなぁ!!)
寺田は権ジイの首根っこを掴み、ひそひそと耳打ちした。
「いきなりばらすんじゃねぇよ・・・」
「な・・・何じゃ?別に良いじゃろう・・・イタタ・・・わかったわかったわい!!
お主がちゃんとこれからも働いてくれればのぅ」
寺田はしょうがなく、条件を飲むことにした。
(何か、どんどん深みにはまっていくような。それに、いつまでバレずにすむか・・・。)
これからの人生が思いられる、そう考えると溜息が自然と出た。
「なーにしてんの?さぁレッツゴー!!」
アイーダに無理やり引っ張られ、3人は岐路についた。