痴漢SNSサイト「シェイクヒップチャンネル」に、驚きのトピックスが表示された。
痴漢王!!勇士募る!!
痴漢師たちは、自宅で、漫喫で、会社で、そのタイトルを見るや否や、
その文面を一語一句逃さぬよう、読み始めていた。
文面の内容はこうだった。
「私、痴漢王率いるチーム西遊記は、
この度、痴女女王率いるダークストーカーズを潰すべく、
勇士を募っております。
これは、痴漢師の未来を決する戦いだと思っております。
〜中略〜
是非、皆様の参戦を期待しております」
佐山事件の後、大痴漢時代が到来したことで、
痴漢師たちの数は爆発的に増えていた。
ダークストーカーズのように、
レイプ請負人として性を稼業とする者にとっては、
私利私欲で自分勝手に痴漢する痴漢師たちは、
目障りだった。
その関係は、ナンパ師とホストに似ている。
ナンパ師が声をかければかける程、
ホストが声をかけても反応が悪くなり、
客を連れ込めなくなる。
寺田が戻ってくる15年の間にも、
小さな小競り合いはあったものの、
本格的な潰し合いがなかったのは、
痴漢王、寺田武のカリスマとも言えよう。
裏社会の住人にとって、世知辛い近年で、
警察官を犯したというニュースは、
大きなカリスマを作り上げていたのだ。
裏社会での痴漢王、痴女女王の支持はほぼ均等、
喧嘩を売るにも売れない大人の事情があったのだ。
しかし、今回、拝島弁護士を盾に痴漢師たちを狩り始めていたことが
明るみに出たため、ダークストーカーズもついには
全面戦争を公言し、寺田も帰郷する前に裏社会を統一すべく、
なりふり構わずシェイクヒップチャンネルで勇士を募っていたのであった。
負けた方が、裏社会での地位を奪われ、居場所を失うであろうこの戦いに、
痴漢師たちはこぞって立ち上がった。
後に語り継がれる、第1次痴漢大戦の幕がついに上がった。
痴漢師たちは寺田の元へと、向かい始めた。
「んっ・・・いいのよ・・・リラックスして・・・」
チャプチュプツポ!
暗がりの路地で、イヤラシイ音が響く。
体の線、突起物、土手、全てが淫靡に浮かび上がる
ボディースーツを着ている女性が、青年のペニスを口で包んでいた。
「お姉さん・・・俺・・・もう・・・」
「いいわ、出していいのよ!!」
より一層激しく、舌を手を女性は使った。
「ぐっ!!ああぁ!!」
ドピュ!!
青年は、口内に激しく発射してしまい、その場に崩れ落ちた。
「これからもイイ思いがしたければ、痴漢王なんかにつくのはやめることね」
女性は満足そうに微笑むと、そう言い放った。
ダークストーカーズは、下っ端の戦闘要員の男たちを除くとほぼ女性で構成される。
痴漢師を犯すことにより、Sな痴漢師は自信を喪失され、
Mな痴漢師はその快楽に骨抜きにされる。
時には暴力、時には性力でダークストーカーズは痴漢師たちを潰し始めていた。
「甘いわね、男なんて・・・」
「それはどうかな!!」
不意に、女性の背後から声がしたと同時に、
女性の体はすでに天地反対になっている。
「こ・・・これは・・・」
「ターン・オーバーキン肉バスター固め!!」
キン肉バスター固め、相手を逆さに肩に乗せ、
両手で太ももをロックし、股をおっぴろげて固める恥辱技、
それをさらに昇華させたターン・オーバーキン肉バスター、
前後を逆にしたキン肉バスターだ。
そんな技を出せるの痴漢師はただ一人・・・。
「良くやった、それでこそマンタロー!!チン肉漫太郎ーだぜ!!」
「それじゃ行くぜ!!マンタロー!!」
更に、2人の痴漢師が後に続く
「乳頭捏ね回し!!」
ボディースーツに浮かび上がる乳頭を、つまみ上げる。
「ンッアアァ!!」
捏ね回しすぎず、少しの痛みと快楽で相手を責めていく。
「続けていくぜ。1本の指!!」
手際よく、カッターで秘部を露にし、秘部に1本の指を突き刺した。
「ンッヒィア・・アハァ!!」
すでに、女性の秘部は乳頭捏ね回しによって十分の
潤滑油を流しており、ヌプッ、ヌプっと容易に指を招きこんでくれる。
痴漢王は3本の指、3本こそが最も女性を快楽に陥れると考えている。
しかし、この男は1本に全てをかけ、1本の指を極めた痴漢師。
女性をイカせるのは1本で十分であった。
「アァァアアァア・・・ソンナニ・・・ウエモ・・・シタモ・・・アァ・・!!」
クリックリ!!
ジュブッジュブ!!
恥辱に加え上下の責め、女性はすぐに絶頂へと向かってしまった。
「アァ・・モウ・・・イ・・・アァ!?」
不意に、絶頂に行く瞬間に2人は愛撫を解いた。
(何で・・・よぉ・・・もっと・・・)
マンタローは女性を下ろした。
そして、モジモジと太ももを擦り合わせる女性を見て、
ニヤリと笑いながら言った。
「イカせてほしいのか?」
この戦いは、確実に潰しておかなければならない。
ただイカせても、意味が無いときがある。
女性はゆっくりと、頷いた。
「よし、イカせてやる!!」
マンタローは2人に合図を出し、女性を逆立ちにさせた。
「見せてやるよ、火事場のクソ力!!」
マンタローは徐に下半身を露とし、女性の足首を掴み、空高く飛んだ。
「48の昇天技+2、チン肉ドライバー!!」
そして、一気にペニスを女性の秘部に突き刺した。
「キャァァアアァアアアイクゥゥゥゥゥ!!」
ガクガクと痙攣し、女性は絶頂を迎えた。
2人はそっと女性を下ろした。
本来のキン肉ドライバーは、相手の足首を掴み、そのままたたきつける技だが、
マンタローは自分なりに昇天技、チン肉ドライバーを開発していたのだ。
「それにしても、久しぶりだな。ピストン岡田、チチクリマンボウ」
マンタローがサッと手を出した。
岡田は愛液にまみれた手を拭き取り、握手をした。
「へっ、大したことねぇなダークストーカーズって奴らも」
チチクリマンボウも眼鏡を直し、手を重ねる。
元教師、インテリ感が漂い、痴漢師とは思えない清潔感である。
「確かにそうだな。ま、リハビリにはちょうど良かったな」
ピストン岡田、チチクリマンボウ、札付きの痴漢師だ。
2人は寺田の計らいで、保釈金を支払ってもらい、出所していたのであった。
「ちょっと、何やってるんですか?」
久々のコンビ痴漢で意気揚々としている3人に、チョロが合流した。
「おおすまんな、ミート君」
「誰がミート君ですか?集合に遅れちゃいますよマンタローさん」
「いやあな、今そこでチン肉ドライバーが決まってな。
そもそも、キン肉ドライバーは、アシュラマンにキン肉バスターが破られて、
咄嗟に出した技から閃いた、キン肉マンの必殺技の1つだ。
しかし、何故か試合ではあまり使われることが無かったんだよなぁ。
ツープラトンとしては、良く出てきていたんだが、
次のシリーズでマッスルスパークが・・・」
「ああ、はぁ・・・」
キン肉マン談義に、チョロは飽きれた感じで気の無い返事を返した。
チョロは20代前半、子供の頃に再放送で王位争奪の戦いを
見たくらいしか記憶が無い。
(ま、少し勉強するか。キン肉マンU世もまだまだやってるしな。
それに、マキバオーやら真島君やら、昔の作品の続編が出てるし・・・。
それにしても、ドカベンは昔からやってるよなぁ。
まさか人数合わせに昔のライバルや、
キャプテンの山岡さんもプロになるとは・・・。
自分なりには北さんも出てきたことは嬉しいけどね。
でも後輩が全然出てこないよな・・・)
チョロが考えている間、他の3人はキン肉マン談義を続けていた。
チョロはハッと我に返り、何とか3人を集合場所へと急がせた。
「ちょっと、貴様ら、どこへ行くんだ?」
金髪の男が、呼び止める。
「痴漢王の所、と言ったら?」
フードを深々と被った男が答える。
男女2人、また1グループ、痴漢王の元へ向かおうとしていた者たちがいた。
男の眉がピクリと動き、口元が緩む。
「クックック、こりゃあビンゴだ。
俺の名前はケン、ダークストーカーズの一員だよ!!」
名乗るや否や、ケンは男にねりちゃぎを繰り出した。
フォン!!
「何!」
しかし、不意をついたにも関らず、呆気なくねりちゃぎは空を切る。
次の瞬間、フードの男は男のすぐ右側にいた。
「くそっ・・・がぁ!!」
男が右を向いた時には、男の拳が左の頬にめり込んだ。
男の首が逆に半回転し、数秒後には地面に崩れ落ちた。
これぞ、死神の首刈りフック。
かつてビッグフットゴリと戦い敗れた、
裏格闘界の死神、ジョー・ブラック、その人だった。
「たいしたことないわね」
傍らには、パートナーのビッグボインが立っていた。
「あぁ、しかし、ゴリをも仲間に引き込む痴漢王って奴が、
助けを求めていると聞いた。行かねばならん」
チーム西遊記の四天王、ビッグフットゴリは
すでにこの地を去り、渡米していた。
渡米前、ゴリはジョーに対して、
何か合ったら痴漢王を助けてくれと、頼んでいたのだ。
ジョーは自分を倒したゴリのリーダーに興味を持っていた。
かくして、ジョー、ビッグボインも参戦を決意したのであった。
そして、ジョーは最後に倒れたケンに言い放った。
「ケンはヴァンパイアシリーズじゃねぇだろうが!!
せめて、昇龍拳でも出しみな」
ダークストーカーズは、ヴァンパイアシリーズのキャラの名前を
コードネームとして使う。
そう、ケンはストリートファイターシリーズ、
ヴァンパイアシリーズのキャラではなかったのであった。
寺田直樹工場の倉庫
痴漢王、寺田武の父が経営していた工場の倉庫。
痴漢ハンター佐山、痴漢クラッシャー拝島と、
伝説の痴漢が行われた場所だ。
100人はゆうに超える人数を収納できるこの場所に、
勇士が集い始めていた。
「寺田さんよろしくお願いします」
「寺田氏、この度はどうも」
次々と痴漢王寺田に対して、挨拶が行われていく。
百鬼に加わったことがある者、顔見知りの者もいれば、
今まで会った事もない痴漢師も多く見られる。
皆、今回の戦いは裏社会の情勢を変えるものと考えているのだ。
そしてまた一人、新参者の痴漢師が寺田に挨拶をする。
拳法着を着て、頭の後ろは見事な1本の三つ編みと、
何やらおかしな出で立ちである。
「初めまして、私、ロウ・シーと申します」
「ん?老師?」
「いえ、ロウ・シーです。老師だと格好がつきませんので」
「そうか・・・。それにしても、何で通り名がそんな名前なんだ?」
「それはですね」
ロウ・シーはそう言うと、少し距離を置き、寺田に向けて手のひらを向けた。
「こいつは・・・」
手を向けられているだけなのに、確かに寺田の体には、
温かさ、触られている感触が確かにしていた。
「どうですか、何か感じますか?」
「ああ、こいつは驚いた。初代痴漢王、シェイクヒップも取り組んでいた、
遠隔の気功の痴漢とは・・・」
「ええ。大体、テレビの奴らは偽者ですし、
もし出来たとしても、人を少し動かす程度で、
繊細なタッチなどを気功でできる人間は、
私を含めて初代痴漢王と2人くらいでしょう・・・ただ・・・」
「ただ・・・?」
「ま、触った感触が味わえる訳ではないので、
そんなに良いもんじゃないですよ」
そう言うと、ロウ・シーは苦笑いを浮かべた。
(確かに、触った感触が無いんじゃあな。
しかし、こいつは個人の事だ。
戦力で見れば、これほど頼もしい技は無い。
どえらい奴が参戦してくれたものだ)
寺田はとりあえず自分と行動するよう、ロウ・シーに伝えた。
しばらくすると、伊藤、拓が姿を現した。
後ろには、仲間らしき人物たちを引き連れている。
「待たせたな。電マ仲間をあたっていたんだが、中々捕まらなくてな。
しかし、凄い人物が参戦してくれたぜ!!」
そう言ったのは伊藤。後ろには初老の男性が立っていた。
一見、ただのホームレスのような井出達だが、
寺田が注目したのは、右手に握られたバイブだった。
黄金に光り、神々しさを放っている。
「伊藤、この人はまさか・・・」
「そうさ、黄金のバイブの開発者、ダライ・マラ14世だ!!」
黄金のバイブ、2代目痴漢王である本田勝彦も活用したとも言われ、
バイブ・電マ界では知らぬものはいないほど。
最近では、電マの神様と称されている伊藤と
バイブ・電マ界のツインタワーと呼ばれている。
「寺田さん、私は伊藤さんとこれからもよりよいバイブを作りたい。
この体、あなたに捧げます故、どうかこの戦い、勝ってください」
マラは深々と頭を垂れる。
「あなたと共に戦えるとは光栄です。共に戦いましょう!!」
寺田も敬意を払い、深々と一礼した。
マラとの挨拶が済むと、続いて拓が仲間を引き連れてくる。
「待たせたな。コイツラはゴリ一門の者たちだ。
荒くれ者ばっかりだが、忠義に熱い男たちだ。
どうしようもない自分たちを格闘家にしてくれた恩返しに、
この戦いに参戦してくれるんだとよ」
「押忍!!」
屈強な男たちが、次々に寺田に挨拶する。
まだまだ世に名前は知られていないが、
どいつもこいつもはち切れんばかりの筋肉を持っている。
「ああ、頼んだぞ」
(これで、戦力的なものはかなり補強できたな・・・)
敵は手練の兵士が揃っている。
寺田は一番心配していた戦力が期待できたことで、
ホッとしていた。
それだけ、ゴリの存在はチーム西遊記にとっては
大きいものであったのだ。
寺田は前回、自分とマンタローがやられ、
痛感していたのだ。
それからしばらくして、途中に交戦があり参戦が遅れた
マンタローたち一行と、ジョーとビッグボインも到着し、
挨拶を済ませた。
(これで、大体は揃ったか・・・)
大体の戦力が確認し、皆を集めようとした時だった。
一人の痴漢師の参戦に、周りがざわざわと騒ぎ始めた。
まるでモーゼの十戒の用に、痴漢師たちは間をあける。
「アイツだ・・・アイツが伝説の・・・」
「ああ、佐山と痴漢王の子供・・・」
「佐山・・・武・・・か」
確かに顔は○学生だが、それに合わない身長と体を持ち合わせる。
そして、痴漢経験ならいっぱしの痴漢師とそう変わらず、
雰囲気も遜色変わらない。
武は、痴漢師たちの間を通り、寺田の元へとたどり着く。
「おう、遅かったな」
寺田が息子に声をかける。
「お袋が、うるさくてね。とりあえず、親父、と呼ばせてもらう。
俺も、参戦だ。皆さん、お手柔らかに」
ついに、佐山武も参戦し、勢力が寺田の元へと集まった。
「よし、これでそろった!!皆よく聞け!!」
痴漢王と痴女女王の戦いが幕をあける。