階段を上りきると、廊下らしき通路に出た。
真っ先に目に入ったのは、窓から見える空――紫色だった。
ここが淫魔界であることを疑う余地はない。
【冬真】 「はぁ……」
気を取り直して、状況を確認する。
幸い、廊下に人影はない。
生徒たちがいる教室などからは、少し離れた場所なのかもしれない。
【冬真】 (……やっぱり、淫魔の気配は感じられない)
召喚されたときのように背後に立たれても、きっと気づけないだろう。
逆に、人間の――僕の気配は目立つはず。
ここは、淫魔界。
僕が侵入者なのだ。
【冬真】 (慎重に……でも、急がないと)
僕はすでに淫魔を滅している。
不在に気づかれて捜索が始まったりすれば、どうしようもなくなる。
各個撃破を狙うにしても、退魔札は有限なんだから。
【冬真】 (人間界へ戻る方法――)
このまま学校内で探した方がいいのか。
それとも学校の外で探すべきなのか。
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