窓の外に見えるのは、二メートルくらいの塀。

【冬真】
(あれくらいなら、なんとか……)

 窓から校舎の外へ出て、周囲を警戒しながら塀に近づく。

 強度と上に有刺鉄線なんかがないことを確かめて、僕は塀に飛びついた。

 体を持ち上げて――

【冬真】
「は……はは……」

 笑うしかなかった。

 塀の向こうに――地面がなかったから。

 この学校があるのは、浮島とでも呼ぶべき場所だった。

 大地はずっと下にある。

 学校の三階よりずっと高さを感じるから、最低でも20メートル以上。 

 飛び降りたら……たぶん死ぬ。

 同じ視線の高さを見渡せば、ここと同じような浮島がいくつもある。

 距離は100メートル単位で離れているから、移動するのは無理。

【冬真】
「学校の外には行けない……か」

 


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