調教希望な桃萌子のお部屋 体験版

第1話

グシュッ、グシュッ、グシュッ……
「早く公園から逃げなくっちゃ、はしたない格好を誰かに見られちゃうよぉ」

 誰にも見つからないよう気を配りながら、私はそっと夜の公園を立ち去っていく。
 本当ならご主人様に命じられたとおりに、何度もオシッコを垂れ流さないといけないのに、私はたった一回のお漏らしで怖じ気づいてしまったのだ。
 オシッコで濡れた下半身が意外に目立つことに気づいて、人目につくのが急に恐くなった今では、ご主人様の命令に背くのも仕方がなかった。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
カクカクカクッ……

 周りを何度も確かめながら、ジョギングコースを走るだけで私には精一杯だった。
 いつジョギング中の人に出くわすかと思うだけで、私はどうしても恐ろしくてたまらない……本当なら公園の周囲を走り回る行為も、どれだけ危ない行為かをありありと思い知らされる。
 本当はジョギング中の誰かがいなくなるまで、さっきの茂みに身を隠し続けたいけど、同じ場所に留まったまま、大惨事を招いたら大変だと私は考えていたのだ。
 オシッコまみれの下半身、足元に取り残された水溜まり、さらには周りに漂うおかしなニオイ……しでかした失禁を疑われる材料が、いつまでも私の身体に付き纏ってくるのだ。
 今でも背中からどっと冷や汗が湧き出る状態だったので、公園から逃げ出すことに意識を向けないと、もしかしたら脚がすくんで歩けなくなるかもしれない……

ヌチュヌチュヌチュッ、ポタポタッ……
(どうしよう……こんなにオシッコが垂れてきちゃってる。このままじゃ私の歩いた跡、誰かに気づかれちゃうかも……)

 震える脚を無理に動かしながら、仕方なしに公園を立ち去ろうとしていた私だけど、とんでもない痕跡を残している事実に気づかされる。
 はしたない失禁行為を見つからないよう、何度も周囲を見渡して、誰もいないのを確かめながらジョギングコースを走っているうちに、私が走った跡が点々と取り残されているのだ。
 どうやら私が走るのに合わせて、ブルマの表面からはしたない水滴が垂れ落ちて、アスファルトの地面に取り残されてしまったらしい。
 ちょっと後ろを振り返るだけで、走った痕跡がはしたない液体によって出来上がる状況に、私はすぐ焦り出してしまう。
 雨も降ってないのに、地面に点々と残された水滴の跡なんて、私がお漏らしした証拠以外に考えられなかった。
 お漏らしを誰にも気づかれないためにも、すぐ公園から立ち去らないといけないのだ。

ガチャッ。
「あ、あとは公園から出るだけなんだから……」

 必死に敷地内を駆け回りながら、私はやっとの思いでロッカーに辿り着くことが出来た。
 誰かの足音が近づいたり、走っている後ろ姿を見かけるたびに、木の陰に身を潜めたままやり過ごすのも大変だった……その間に私の胸が、どれだけ激しい鼓動を繰り返したかも分からない。
 それでも私は、オシッコまみれの格好を誰にも見つからずにやり過ごせたのだ。
 ロッカーに閉まったジャージを抱えたまま、私は大急ぎで公園から逃げ出していた。
 ジョギングコースに取り残された跡を気づかれて、オシッコまみれの格好をいつ気づかれるかも分からないのだ。
 公園の中を走り回るだけでも大変なのに、帰り道を無事に帰れるか、お家に帰った後でどうお漏らしの後始末をするか、考えるだけで頭の中が一杯になってしまう。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
フルフルフルッ……

 ついに公園から抜け出した私だけど、当分は隠れんぼを続けないといけなかった。
 お家に戻るまでの間も、たまに車が行き来するのを見かけるたび、私はすぐ身を潜めないといけないのだ。
 電柱の灯りや、車のライトに照らされたが最後、今でもブルマの表面に浮かんでいるお漏らしの染みを、いつ誰かに気づかれるかも分からない。
 お家を目指して歩き続けながら、どれだけ胸をドキドキさせないといけないのか、私は気が遠くなるような思いだった……

「そんなぁ……すぐお家に帰らないと大変なのに。このままじゃ渡れないよぉ……」

 オシッコまみれの下半身を抱えたまま、必死にお家を目指していた私は、とんでもない足止めを食らってしまった。
 私はお家に帰る途中にある、道路の赤信号に捕まっていたのだ。
 田舎にしてはかなり広い幹線道路のせいか、一度赤になってしまえば、なかなか青に切り替わってくれない……誰かの気配を感じたら、すぐに身を隠す必要のあった私に、ここまでの障害と化すなど思いもしなかった。
 今でも車が通りがかるたびに、お尻や股間の辺りだけが濃い色に染まっているブルマ姿が照らされて、そのたびに私はみっともなさを思い知らされる。

「あれ、桃萌子じゃない。こんな所で一体どうしたの?」

 私が横断歩道の端で立ち尽くしていると、不意に誰かが声を掛けてくる。
 背後にいる誰かの正体が気になって、恐る恐る声の方向を振り向くと、そこには見慣れた顔が立っていた。
 まさかお漏らしをした跡で、運悪く同じ学校のクラスメートに出くわすなんて……とんでもない状況に、私はすぐ焦り出してしまう。
 すでに夜も更けているのに、学校以外の場所で体操着を着ている上、下半身は今でもオシッコまみれの格好を晒しているのだ。

「あ、あの。ごめんなさい。どうしても私、我慢出来なくなっちゃって……」
ワナワナワナッ……

 クラスメートにどう返事を返せば良いのか、私はすでに分からなくなっていた。
 最も出会いたくない相手と、ついに私は鉢合わせになってしまった……下半身のおかしな濡れ方など、汗にはどう考えても見えそうにない。
 すでにお漏らしの痕跡を取り繕えない以上、目の前にいるクラスメートにどんな言い訳を告げれば良いのか、今の私には考えるだけで精一杯なのだ。
 どうして私がお尻を濡らした体操着姿で、夜の道を歩き回っているのか……どうクラスメートに弁解しようとしても、私のはしたないお漏らし姿など誤魔化せそうにない。
 クラスメートの戸惑う様子を見るだけで、私はただ困り果てるしかないのだ……

BAD END