悪堕ち女幹部・ブルマダム 体験版
第1話
ニュルニュルニュルッ、ギュルッ!
「……きゃあっ!?」
買い物から帰ろうとした矢先、平凡な主婦の一人だった
物陰に潜んでいた何かに、気づいたら身動きを封じられていたのだ。
滑った表面を肌へと押しつけながら、続々と手足を絡め取る代物の存在につい悲鳴を洩らさずにいられない。
とっさに身を退いたはずなのに、あっけなく行く手を阻まれた後、しっかりと手首を縛り上げる触手からどうしても抜け出せず、まともな身動きすら取れそうにないのだ。
「どうしよう……あの人、触手に掴まっちゃったみたいだよ!」
「こんな場所に現れちゃうなんて……一体どうすれば良いのよ!?」
「と、とりあえず……触手に襲われないうちに逃げなくちゃ!」
不意に街中へ出現した代物の様子に、周りにいる人達もすっかり驚かされる。
軟体生物を思わせる、得体の知れない異形の者――触手が生え伸びたかと思えば、一人の女性をものの見事に捉えていたのだ。
美麗で気品のある女性が身を捩らせながら戸惑いの表情を浮かべて、手足を次々と触手に纏わりつかせる様子を、離れた場所から茫然と眺めることしかできそうになかった。
すぐ目の前で誰かが窮地に陥っているのを分かっているのに、同じような目に遭うのを恐れるあまりに近寄ることすらできそうにないのだ。
「くうぅっ……!」
ギチギチギチッ、グイッ。
触手に全身を絡め取られた後も、紅美は必死の思いでもがき続けていた。
人通りが多い場所にもお構いなしに生え伸びるまま、誰彼構わず捉えようとする触手から、何としても身を遠ざけなければいけないのだ。
必死に腕を動かしながら、手首に巻きついた触手を振り解こうとしても、なかなか身体から離れそうになかった。
どんなに引っ張っても引きちぎれそうにない、あまりに圧倒的な触手の弾力性を嫌と言うほど思い知らされる。
(確か近所に触手が出没するようになったって、前に誰かが話してた気がするけど……まさか私が掴まっちゃうなんて。これから一体どうするつもりなの!?)
フルフルフルッ……
全身を縛り上げる触手の様子に困り果てる間も、聞いたばかりの噂話を振り返る。
最近になって、触手と言う代物が様々な場所に出没しては、人々を襲い掛かっているという内容だった……あまりに耳を疑うような事態に、まさか自分が巻き込まれてしまうなど思いもしなかった。
正体不明の相手に掴まった後、これからどんな目に遭わされてしまうか、考えるだけで怯えずにいられない。
とんでもない窮地から抜け出さないといけないのを分かっているのに、どんなに力を振り絞っても、決して触手の元から抜け出せない上、遠くで騒ぎ立てている人達も手を貸してくれそうにないのだ……
「こんな場所にも現れてたのね……すぐ触手を退治しなくっちゃ!」
「ラヴィッシュ・ガールズがいる限り、街の平和は守ってみせる!」
囚われの身になった紅美が途方に暮れているうちに、派手な格好をした二人の少女が不意に名乗りを上げる。
編み上げの施されたベストによって胸元の形状を強調した衣装や、スリット部分からフリルが覗ける色鮮やかなミニスカート、リボンで飾られた純白のロンググローブとオーバーニーソックスから露わにした肌などを平然と見せつけながら、大勢の前で声を張り上げるのだ。
一緒に並んだまま大勢を整えた後、彼女達は『ラヴィッシュ・ガールズ』と名乗った上で、目の前で蠢いている触手の様子をじっくりと見据えながら身構える。
街中にも姿を見せた触手を、これから退治するつもりでいたのだ。
(もしかして、あの子達が……触手と戦っているラヴィッシュ・ガールズなの?)
不意に姿を見せた彼女達の姿に、紅美は思わず注目を寄せる。
様々な場所へ蔓延る触手と戦っている少女達の存在を、誰かから人伝に聞かされていたのだ……人々に襲い掛かる触手を退治するために、ラヴィッシュ・ガールズが日々活躍しているらしいのだ。
噂でしか聞いたことがなかった彼女達の姿を見つめたまま、つい期待を寄せずにいられない。
身体中に絡みつく触手から抜け出すために、何としても彼女達の手を借りなければいけないのだ。
「お、お願いっ! 触手に掴まって困ってるの。すぐ助けに来て……くうぅっ!?」
ミシミシミシッ、カクカクカクッ。
姿を見せたラヴィッシュ・ガールズへと向けて、紅美はすぐに声を張り上げる。
身体中に纏わりつく触手からすぐにでも救い出して欲しいと、彼女達へと必死に助けを追い求めていた。
思わず身を乗り出した後も、触手が力任せに肌へと食い込むたびに声を震わせずにいられない。
次々と触手が手足へと絡みつくうちに、気づいたら磔にさせられていたのだ。
「まずはあの人を助けなきゃ……プティング、お願いできる?」
「任せて、ラズベリー。もう準備してあるから……えいっ!」
ギリギリギリッ……ヒュンッ!
すでに掴まっていた紅美を助けるため、ラヴィッシュ・ガールズはすぐに触手を撃退することにした。
互いに合図を送りながら、まずは橙色の衣装に身を包んだラヴィッシュ・プティングが脚を踏み込んで、触手へと向けて光る弓を構える。
触手の根元を打ち抜くために、しっかりと狙いを定めたまま弦を引く……
バチンッ!
「きゃんっ……!」
不意に近くで弾けた衝撃に、紅美は悲鳴を洩らしてしまう。
ラヴィッシュ・プティングの放った矢が近くを掠めたかと思えば、見事に触手の根元へと直撃していたのだ。
まるで花火でも爆発したかのような、あまりに大きな炸裂音が響くのに驚くあまり、つい身震いせずにいられない……何かが爆発したような激しい衝撃を、肌にありありと思い知らされる。
いくら触手から助け出すために武器を振るったとしても、ここまで危ない目に遭うなど思いもしなかったのだ。
フラフラフラッ、カクカクカクッ。
「あ、あうぅっ……」
光の矢が突き刺さった途端、うねりながら身体から離れていく触手から紅美はとっさに身を離していた。
悶絶を引き起こしながら身を縮める隙に、身体を前に倒すようにして遠ざかった後も、気づいたらその場に崩れ落ちてしまう。
耐え難い恐怖に苛まれたせいか、つい膝を震わせずにいられない。
やっと触手から抜け出せた後なのに、ほんの少し歩いただけでへたり込んでしまい、全身を小刻みに震わせるしかできそうにないのだ……
シュルシュルシュルッ、グシュグシュグシュッ。
(どうしよう、勝手にオシッコが出てきちゃうなんて。いくらビックリしちゃったって言っても、どうしてお股に力が入れられないのよ……?)
気づいたら下半身に引き起こされた現象に、紅美はすっかり困り果ててしまう。
突然の事態に驚くあまり、気づいたら股間を緩めてしまったのだ……体内に溜まっていたオシッコが次々と溢れ出しながら、穿いていた下着の内側へと広がってくる。
股間の周囲を続々と駆け巡る、生温かい感触を恥じらう間も、延々とオシッコを垂れ流したまま、上手く下半身に力を込められそうになかった。
恐怖と緊張が極限に達したせいか、当分は身体が言うことを聞きそうにないのだ……
「い、嫌ぁっ……あうぅんっ!」
ショワショワショワッ、ジトジトジトッ。
気づいたらしでかした粗相を恥じらう間も、紅美はなかなかオシッコの勢いを止められそうになかった。
ついには股間の周りだけでなく、お尻にも生温かい感触が押し寄せたかと思えば、ついには脚の付け根から太股にも零れ落ちてくる。
続々と濡れ尽くされる太股の様子を思い知らされて、あまりに焦らずにいられない。
人前で醜態を晒さないためにも、漏れ出していたオシッコをすぐにでも遮らないといけないのに、緩んだ股間を引き締めるどころか、未だに震え上がった膝を持ち上げることすらできそうにないのだ……
「は、はうぅんっ……くうぅっ!」
ヒタヒタヒタッ、ジュクジュクジュクッ。
少しも立ち上がれない格好のまま、紅美ははしたない粗相を延々と繰り広げていた。
ついには薄い生地を突き抜けて、膝の辺りにも濡れた感触が押し寄せたのに気づいて、ますます落ち着きを失ってしまう。
嫌な予感に苛まれながら後ろを振り返った後、つい悲鳴を洩らさずにいられない。
延々とオシッコを垂れ流すうちに、気づいたらスカートの内側から薄黄色い液体を続々と零しながら、はしたない染みまで生地の表面に浮かべていたのだ。
あまりに情けない格好を思い知らされて、つい焦らずにいられない。
少しも粗相を止められないうちに、膝をついた部分に水溜まりまで広げていたのだ。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……きゃんっ!?」
ニュルニュルニュルッ、ビチビチビチッ!
体内に溜まっていたすべてのオシッコを出し尽くした後も、紅美の身にさらなる窮地が襲い掛かる。
しでかした粗相に茫然としている間に、別の触手が先端を向かわせてきたのだ。
オシッコによって濡れ尽くした下半身を抱えたまま、思わず後ずさりを始める間も、気づいたら身を縮めずにいられない。
ただでさえ下半身が大変な事態に見舞われている中、はしたない粗相の事実をいたずらに暴かれるのを何よりも恐れていたのだ……
ザシュッ。
「えいっ……! もう大丈夫ですよ。すぐ離れましょう?」
紅美が放心状態のまま尻餅をついていた矢先に、誰かが不意に傍へと身を寄せる。
桃色の衣装を身に纏ったラヴィッシュ・ラズベリーが光る剣を振り回しながら、紅美へと押し迫っていた触手を打ち払っていたのだ。
触手を根元から切り刻んだ後、未だに腰を落としたまま身動きが取れない紅美へと言葉を投げ掛ける。
「あ、ありがとう……あっ!?」
傍へと駆け寄ってきたラヴィッシュ・ラズベリーへと返事を返そうとした矢先、紅美はとんでもない事実を気づかされる。
一緒に触手から逃げ出そうと手を差し伸べた彼女の姿を見つめたまま、すっかり目が釘付けになっていたのだ。
思いも寄らないラズベリーの正体に、つい茫然とせずにいられない。
派手な衣装に身を包んでいた少女の顔に、どこか見覚えがあったのだ……
(やだ、もしかして……
ラヴィッシュ・ラズベリーの姿をじっくりと見つめながら、紅美はとんでもない事実を思い知らされる。
あられもなく肌を晒した格好に身を包んだり、鮮やかな桃色の髪に染まっているものの、左右に結わえた髪型やつぶらな瞳、可憐で控えめな唇など、明らかに娘の
今まで気づきもしなかった茜鐘の一面に、つい茫然とせずにいられない。
自分の知らない間に、娘がラヴィッシュ・ガールズとして振る舞っていた事実を、思いも寄らない拍子に気づかされていたのだ……
「は、早くしないと。また触手が来ちゃうから……私に掴まってください」
モジモジモジッ。
紅美から向けられる視線を思い知らされて、ラズベリーも思わず顔を俯いてしまう。
触手に囚われていた相手が、まさか母親の紅美だったなど思いもしなかった。
自分の正体を悟られたくないあまりに、とっさに顔を逸らした後、すぐに身を預けるよう紅美へと口にする。
「こ、これで良いのかしら……きゃんっ!?」
ビュンッ。
ラヴィッシュ・ラズベリーに言われたとおりに、紅美は恐る恐る身を寄せたまま肩へと手を回す。
どうやら茜鐘も素性を伏せたいのか、他人行儀に振る舞おうとする様子に気づいて、遠慮がちに言葉を交わすしかなかった。
はしたない液体で濡れ尽くした下半身が触れないよう気を配りながら、そっと体重を預けた後、ラズベリーとともに触手の元から立ち去る間も、つい情けない声を張り上げてしまう。
気づいたらラズベリーに腰を抱き抱えられたまま、地面から高く飛び上がっていたのだ。
ジュワジュワジュワッ、ピチャピチャピチャッ。
(どうしよう、いくら触手に襲われたせいだって言っても……まさか茜鐘の前で、こんなはしたない格好を見せちゃうなんて!)
ラヴィッシュ・ラズベリーの手を借りながら触手の元から遠ざかる間も、紅美は下半身へと引き起こされた事態に戸惑っていた。
身体を高く持ち上げられる間も、スカートの内側から次々とはしたない滴を零し始めていたのだ。
触手に襲われた挙げ句、屈辱的な失態を演じてしまった事実などを、寄り掛かっている彼女にどう思われるか、考えるだけでも恥ずかしくてたまらない。
とんでもない事態に見舞われた挙げ句、ついには粗相をしでかした事実などを、寄りにも寄って間近にいる娘へと見せつけているのだ……
「こ、ここなら大丈夫……ですよ。残りの触手を退治するまで、おとなしくしていてくださいね?」
おかしな気持ちの揺さぶりに苛まれる中、紅美は無事に触手の元から逃げ出すことができた。
触手の群から抜け出した後も、ラヴィッシュ・ラズベリーは紅美を地面へと下ろした後、再び高く飛び上がりながら、残っていた触手へと立ち向かう。
たとえ無事に紅美を救い出しても、他の人達が襲われるかもしれないので、しっかりと触手を退治しなければいけないのだ。
「あ、ありがとう……くうぅっ!」
フルフルフルッ、ポタポタポタッ。
遠ざかるラヴィッシュ・ラズベリーへと返事を返しながら、紅美は思わず言葉を詰まらせてしまう。
武器を構えたまま、触手へと立ち向かうラズベリーの後ろ姿を見送る間も、未だに下半身への心配事を抱え込んでいたのだ。
いくら触手に襲われたとしても、人前ではしたない粗相をしでかしてしまったのは覆しようがない事実だった。
生地の表面に浮かべた染みや、両脚に纏わりつく滴などを彼女にどう思われたか、考えるだけで思い悩まずにいられない。
「ラズベリー、遠くにいるのは私に任せて……えいっ!」
ギリギリギリッ……ヒュンッ!
困り果てている紅美の様子も構わず、ラヴィッシュ・プティングは再び弓を構えたまま糸を握り締める。
触手の元へと向かったラヴィッシュ・ラズベリーの手助けをしようと、遠くから弓矢で応戦するつもりでいたのだ。
先ほどと同じように、しっかりと触手の根元へと狙いを定めて、光る矢を次々と撃ち放つ。
ヒクヒクヒクッ……
(やだっ、どうしてあの子と……
すぐ傍に佇んでいるラヴィッシュ・プティングの横顔を見つめながら、紅美はますます思い悩んでしまう。
ラヴィッシュ・ラズベリーのパートナーである彼女の様子を眺めるうちに、嫌な思い出を否応なく掘り起こされていたのだ。
学生時代の同級生で、かつての恋敵である
過去に彼女から仕組まれるまま、人前で粗相をしでかす羽目になった、嫌な思い出を連想せずにいられない。
あの時と同じように、はしたない液体で濡れ尽くした下半身を抱えたまま、どこにもぶつけようのない苛立ちに思わず苛まれてしまう……
ジュルジュルジュルッ……
「ふぅっ……こっちも触手はいなくなったみたい。プティングの方はどう?」
「私の方もバッチリだよ。ラズベリー、そろそろ私達も戻らなくっちゃ?」
おかしな事実を思い起こしながら紅美が困惑する中、気づいたらラヴィッシュ・ガールズは触手の退治を済ませていた。
街中に現れた触手のすべてを追い払ったので、すぐに街中から立ち去っていく。
無事に役目を果たした後、あまり大勢の前に姿を見せて、いたずらに正体を探られたくなかったのだ。
(茜鐘ったら、どうして……あんな子と一緒に付き合っちゃってるの? それに『ラヴィッシュ・ガールズ』だなんて名乗っちゃって……)
街中から遠ざかるラヴィッシュ・ガールズの様子を見届ける間も、紅美はおかしな悩みごとを抱え込んでしまう。
茜鐘がラヴィッシュ・ラズベリーだった事実だけでも驚きなのに、パートナーであるプティングに、かつての恋敵である麗菜の面影があるのが気掛かりだった。
自分達の元から立ち去る間も、二人が仲良く言葉を交わす様子など、見ているだけで苛立たずにいられない。
娘の茜鐘が憎き相手などと親しくしている姿など、傍から見ていてもあまり気分が良いものではないのだ。
「んんっ……!」
ヒクヒクヒクッ、フラフラフラッ。
茜鐘の意外な一面を思い知らされた後、紅美もその場からすぐに立ち上がる。
ラヴィッシュ・ガールズの助けを借りながら、何とか触手から逃げ出すこともできたので、すぐにお家まで引き返さないといけないのだ。
そっと腰を持ち上げる間も、つい両脚を震わせずにいられない。
姿勢を変えるたびに太股やお尻へと張りつく、暗い染みを様々な場所へと広げたスカートの様子を嫌と言うほど思い知らされる。
「ねぇ見てよ、あの人。もしかしてオシッコ、漏らしちゃったのかな?」
「触手に襲われたせいだから仕方ないよ……でも、ちょっと可哀想だよね?」
その場から立ち去ろうとする紅美の姿に、周りにいた人達は次々と注目を寄せる。
触手に絡まれるうちに失禁をしでかしていた紅美へと、次々と哀れみの視線を向けていたのだ。
遠目からでも分かるほど、紅美の穿いていたスカートが派手に濡れていた様子が気になってしまう……気づいたら歩く仕草に合わせて、裾の部分からはしたない滴を零しながら、足元に点々と跡まで取り残す様子など注目せずにいられない。
切ない表情を浮かべたまま、恥ずかしげに顔を俯かせながら歩き続ける様子など、見ているだけで心配にさせられる。
「くうぅっ……!」
ジュクジュクジュクッ、ヒタヒタヒタッ。
周囲から次々と立てられる噂話に、紅美はすっかり震え上がってしまう。
やっとの思いで触手から解き放たれたはずなのに、とんでもない窮地へと立たされていたのだ。
延々とオシッコを垂れ流すまま、派手に濡れ尽くした下半身を大勢へ晒すような事態など、あまりに恥ずかしくてたまらない。
はしたない姿をこれ以上誰にも見せないためにも、そそくさと街中を歩く間も、はしたない液体が次々と股間から滴り落ちてくるのだ。
ワナワナワナッ……
(いくら何でも考えられないわ。こんな大勢のいる前で、粗相をしてしまうなんて……!)
年甲斐もなくしでかした粗相のせいで、紅美は耐え難い後悔の念に苛まれてしまう。
学生の頃に、憎き相手である麗菜の罠に嵌められる形で嫌と言うほど味わった屈辱などを、まさか一児の母となった身で思い知らされるなど考えられない事態だった。
青空の下、はしたない液体によって浸された人目に晒される事態などを、たとえ年齢を重ねた後でも堪え切れそうにないのだ。
はしたなく濡れ尽くした下半身をまじまじと見られるたびに、学生時代に感じた屈辱を否応なく思い起こさせる。
背中へ次々と浴びせられる、哀れみの眼差しがあまりに情けなくてたまらない。
「あ、あうぅんっ……ひうぅんっ!?」
モジモジモジッ、ポタポタポタッ……
おかしな不安に苛まれる中、紅美は濡れ尽くした脚を無理に持ち上げながら歩き続けていた。
たとえ触手に襲われたとしても、あまりに恥ずかしい痴態などを、これ以上誰かの前で晒したくなかったのだ。
身を縮めながら道端を歩く間も、突き刺さるような視線を周囲から向けられるたびに、つい背筋を震わせずにいられない。
派手に染みを広げたスカートや、内側から未だに零れ落ちる滴など、どんなに頑張っても決して取り繕えそうになかった。
お家へと辿り着くまでの間に、あまりに屈辱的な姿などをどれだけ誰かの目に触れさせてしまうか、考えるだけで憂鬱でたまらないのだ……
* * * * * *
「ただいま、ママ。無事にお家へ帰れた? ……あっ」
街中で触手に襲われていた紅美を救い出してから数十分後、茜鐘はすぐにお家へと戻っていた。
ラヴィッシュ・ガールズとして活躍しながら、紅美を無事に救い出した後も、ちゃんとお家に帰っているかが心配だったのだ。
靴を脱ぐ間も、台所にいる紅美の様子を気にせずにいられない。
「おかえり、茜鐘。もうご飯もできてるから、一緒に食べましょう……?」
モジモジモジッ。
学校から帰ってきた茜鐘へと、紅美はそっと言葉を交わす。
すでに夕食の準備を済ませた後、茜鐘のために食事を振る舞う間も、つい言葉を詰まらせずにいられない。
茜鐘と顔を合わせた途端、おかしな気まずさへと苛まれていたのだ。
先ほど引き起こされた出来事や、穿き替えたスカートを茜鐘がどう思うかを気にせずにいられない。
(とりあえず茜鐘のいる前では、におかしく思われないよう振る舞わなくっちゃ。いくら何でもいっぺんに色んなことが起こりすぎて、私だって困ってるんだから……!)
おかしな不安に苛まれながら、紅美は普段どおりの振る舞いを無理に続けていた。
たとえ買い物の途中で触手に遭遇して、失禁をしでかす事態を招いたとしても、すぐに下半身を取り繕った後、何としても気丈に振る舞わないといけないのだ。
茜鐘のために食事を並べる間も、先ほどの出来事を思い悩まずにいられない……茜鐘がラヴィッシュ・ラズベリーだった事実や、パートナーのプティングが憎き相手である麗菜の面影を残していた事実、さらには粗相をしでかした後、はしたない格好を大勢の前で晒してしまった事実など、どんなに気持ちを切り替えようとしても拭い去れそうになかった。
目の前にいる茜鐘も事情を明かせそうにない中、どんな言葉を交わせば良いか、どんなに考えても思いつきそうにないのだ……
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