STAGE 1
ピョインッ、ピョインッ、ピョインッ……ボムッ!
「うぐぅっ……!?」
性悪そうなスライムを迎え撃とうとした矢先、瑠美子はあっけなくひるんでしまう。
おかしな方向に飛び跳ねたかと思えば、いきなりお腹に体当たりを仕掛けてきたのだ。
丸出しのお腹に押し寄せる衝撃に、ついうろたえずにいられない。
さっきと同じように剣を振り下ろしたはずなのに、いとも簡単にかわされてしまったのだ。
「よくも、やってくれたわね……えいっ!」
バシュッ!
「ふぎゃあああぁぁぁ……!」
思い掛けない相手の攻撃に戸惑いながら、瑠美子はすぐに反撃を始める。
再び地面を跳ねてきた所を狙って、再び剣を振り下ろしていたのだ。
剣の刃先が突き刺さった瞬間、性悪そうな面構えがものの見事に歪んでいく。
しっかりとした手応えを感じながら、止めを刺そうと一気に剣を押し込んでいたのだ。
「ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ……くうぅっ!」
フラフラフラッ……
性悪そうな顔つきのスライムを倒した後も、瑠美子はなかなか体勢を立て直せそうになかった。
先ほど食らった攻撃が、まだお腹に響いてくるのだ。
たどたどしい足取りで草原を歩いている間も、つい息を切らさずにいられない。
ゲームキャラが度々受ける羽目になるダメージがここまで重いものだったなど、今まで気づきもしなかった。
片手でお腹を押さえ込んだまま、痛みが引くまで当分は手離せそうになかったのだ。
「どうして、こんな場所に……食べ物なんかが置いてあるの?」
手負いの状態で道を進んでいた矢先、瑠美子はおかしな代物を発見する。
分厚いステーキにフルーツが盛られたものが大皿に乗せられたまま、何故か宙に浮かんでいたのだ。
どう考えても理由の説明がつけられない現象に、つい頭を捻らずにいられない。
何度も地面と皿を見比べているうちに、もしかしたら錯覚でも見ているのではないかとすら思えてくる……