瑠美子のおもらしサーガ〜聖塊の乙女〜 体験版

STAGE 1

「もしかして、幻でも見ちゃってるのかもしれないよね……こんな所でボーっとしてるわけにもいかないし、早く先に行かなくっちゃ!」

 宙に浮いている食べ物の存在を気にしながら、瑠美子は先を急ぐことにした。
 大皿ごと空中に食べ物が浮いているような現象など、どんなに考えても納得できそうになかったのだ。
 道のりを歩き回っている間も、つい頭を捻らずにいられない。
 見晴らしの良い草原などで食べ物の幻影を見てしまうほど、どうやら慣れない冒険のせいで相当疲れが溜まっているみたいなのだ。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……てぃっ!」
ザシュッ!
「ぎゃぁ!」

 延々と草原を駆け抜けながら、瑠美子はスライムとの戦闘に明け暮れていた。
 剣の扱いにも慣れてきた反面、段々と動きが鈍っているのをありありと意識させられる。
 何とか無事にスライムを退治し終えた後も、思わず息を切らしてしまう。
 段々と疲れてくる身体のまま、いつまで冒険を続けなければいけないのかと思い悩まずにいられない。

グニュルグニュルグニュルッ……
「……きゃんっ! な、何なのよコイツは!?」



 途方に暮れながら道のりを進んでいると、瑠美子の前に新たな敵が立ちはだかってくる。
 触手が地面から生え伸びてきて、いきなり行く手を遮ってきたのだ。
 とっさに身構えた後も、つい焦らずにいられない。
 あと少しで街の中に入れるはずなのに、触手の群れに遭遇してしまうなど思いもしなかったのだ。

『どうやらコイツがとおせんぼしているみたいじゃな。もう街の入り口も見えてきてるはずじゃ、さっさと退治せんか?』

 触手との戦闘に備えていた矢先、いきなり天の声が話し掛けてくる。
 どうやら天の声が言うには、目の前で蠢いている触手を倒さない限りは街に辿り着けそうにないらしい。

「そ、そんなこと見れば分かるでしょ! お願いだから邪魔しないでってば……!」
ギチッ……

 触手と睨み合ったまま、瑠美子は天の声に文句をぶつける。
 これから触手と対峙しなければいけないのに、余計なことに神経を削いでいる余裕などなかったのだ。
 剣をしっかりと握り締めたまま、つい肩をこわばらせずにいられない。
 無防備な格好が気になる中、群がる触手にどう立ち向かえば良いのかを必死に考え抜かなければいけなかったのだ。

ズニュズニュズニュッ、ギチチッ!
「きゃんっ!? し、しまったっ……!」

 相手の出方を待っていた矢先、瑠美子はあっけなくひるんでしまう。
 地面が盛り上がったかと思えば続々と触手が伸びてきて、いきなり足首に絡みついてきたのだ。
 思いも寄らない手際の良さに、思わず度肝を抜かれてしまう。
 すぐにでも触手を追い張らなければいけないはずなのに、しつこく纏わりついてきて少しも払い除けられそうにないのだ。

グイッ、ミシミシミシッ……
「あうぅっ……くうぅっ!」



 触手を振り解く間もなく、瑠美子はさらなる窮地に立たされる。
 ついには両腕にも触手が絡みついてきて、気づいたら宙吊りにさせられていたのだ。
 必死の思いで身を捩らせている間も、つい焦らずにいられない。
 少しも身動きが取れないのを良いことに別の触手が続々と伸びてきて、胴体にも巻きついてくるのだ。

「も、もうそれ以上は許してってば……おぐぅっ!?」
ギリギリギリィッ……!



 地面から吊り上げられた状態のまま、瑠美子はますます弱り果ててしまう。
 続々と群がってくる触手によって、着々と全身を飲み込まれ始めていたのだ……弾力性のある太い形状が関節に食い込むたびに痛みが走ってきて、つい呻かずにいられない。
 まともな身動きすら取れないうちに、気づいたら喉にまで巻きついてくる。
 段々と意識が薄れる中、触手が束になって身体中を覆い尽くしていく……

ゲームオーバー