STAGE 1
「……きゃんっ!?」
グイッ。
標的にされないよう敵の動向に気を配っていた矢先、瑠美子はとんでもない事態に巻き込まれてしまう。
地面を飛び跳ねながら段々と近づいてくるスライムを避けようとした途端、いきなり距離を詰めてきたかと思えばあっけなくビキニを奪われていたのだ。
下半身の衣類を強引に奪われて、つい慌てずにいられない。
気づいたらビキニの裾を咥えたまま、横目でこっちを睨みながら挑発的な笑みまで浮かべてきたのだ。
「ちょ、ちょっと待ってってば……はうぅんっ!?」
フラフラフラッ……
すぐにでもビキニを取り返そうと、瑠美子は性悪スライムの後を追い掛ける。
まさか屋外で下半身を丸出しにし続けるわけにもいかないので、一刻も早くビキニを取り戻さなければいけなかった。
地面を跳ねながら遠ざかっていくスライムに何としても追いつかなければいけないはずなのに、つい縮み上がらずにいられない。
先ほど倒したスライム達とは比べものにならない早さで、あっと言う間にこの場からいなくなってしまったのだ。
「やだ……いきなりこんな格好にさせられちゃって。一体どうすればいいって言うのよ!?」
その場に立ち尽くしたまま、瑠美子はあっけなく茫然とさせられる。
まだ冒険を始めたばかりなのに、性悪なスライムの手によってまんまとビキニを奪われてしまったのだ。
あまりに機敏なスライムの動きに、ここまで翻弄させられるなど思いもしなかった。
恐る恐る草原を歩き回っている間も、さらけ出した下半身をつい意識せずにいられない。
いくら鉄製の鎧を身につけていても、あまりに戦闘には似つかわしくない格好だと否応なく痛感させられていたのだ。
「もうこれ以上、酷い目に遭わされたくないんだから……てぃっ!」
ズバッ!
「きゃんっ……!」
丸出しにさせられた下半身を恥じらいながら、瑠美子は嫌でも冒険を続けなければいけなかった。
またしてもスライムが跳ねてきたので、次々と剣を振り下ろす。
スライムを次々と退治している間も、なかなか気持ちが晴れそうになかった。
先ほど逃げ去ったスライムのいやらしい顔つきや、思わぬ拍子にビキニを盗まれた事実があまりに悔しくてたまらない。
スライム達を迎え撃つ間も、丸出しになった下半身に風が吹き抜ける感触を否応なく思い知らされる。
「……どうして、こんな場所に食べ物が浮いてるんだろう?」
スライムとの戦闘に明け暮れていると、瑠美子は意外な代物を目の当たりにさせられる。
分厚いステーキやフルーツの盛り合わせが大皿に載ったまま、何故か宙に浮かんでいたのだ。
普通なら決してあり得ない現象に、思わず頭を捻ってしまう。
ただでさえ慣れない戦闘で疲れているのに、あまりに不可解な状況の数々をどう受け止めれば良いのか未だに思い悩まずにいられない……