体験版 第1話
キーンコーンカーンコーン……
「そろそろ日も暮れてきたし、なるべく早く帰るんだぞ?」
「はーい……」
教壇に立ったまま、担任が生徒達へ呼びかける。
普段どおりに帰りのホームルームを済ませたので、すぐ学校から帰るよう言い放つ。
生徒達も教師に挨拶を交わしながら、そそくさと帰り支度に取り掛かっていく。
「碧夢、まだ絶対に帰っちゃダメだからな?」
「みんな帰ったら、またこっくりさんの続きに付き合ってもらうつもりなんだからな?」
「もう。ちゃんと分かってるってば……」
他のクラスメート達が廊下に出ていくのを見送りながら、
放課後になったらこっくりさんの続きをやるよう、昼休みに男子達と約束させられていたのだ……わざわざ席を乗り出しながら話しかけてくる男子達の様子に、思わず頭を捻ってしまう。
まさかお昼休みだけでは飽き足らず、放課後にもこっくりさんに付き合わされる羽目になるなどさすがに思いもしなかった。
他のクラスメート達を見送っている間も、つい困惑せずにいられない。
「……やっとオレ達だけになったみたいだな。それじゃ碧夢、早くこっちに座っちゃえよ?」
「う、うん……」
教室の中が静かになった途端、男子達は碧夢をいきなり呼びつけてくる。
担任も職員室に引き返したようなので、これから思う存分こっくりさんを繰り広げるつもりでいたのだ。
一つの机に椅子を向けたまま、一斉に向かい合う。
お昼休みの間だとクラスメート達の目が気になって尋ね辛かった質問でも、放課後なら思う存分聞けるはずだと睨んでいたのだ。
「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください。もしおいでになりましたら『はい』へお進みください……」
五十音順や鳥居などが書かれた用紙を机に置くと、碧夢は男子達と一緒に十円玉へよ指を乗せる。
こっくりさんを呼び寄せるために、特別な呪文を呟いていく。
呪文を唱え終わった後も、目の前に広げた用紙をつい凝視せずにいられない。
ちゃんとこっくりさんが来てくれたのか、しっかりと確かめなければいけなかったのだ。
スッ……
「……おぉっ! こっくりさん、ちゃんと来てくれたみたいだぞ?」
「しっ、あんまり騒いだら先生に気づかれちゃうだろ……!」
「それじゃ手始めに、何かエッチなことでも教えてもらっちゃおうよ……?」
勝手に動き出す十円玉の様子に、男子達も思わず目を見張ってしまう。
ちゃんとこっくりさんが降りてきたようなので、すぐに質問をぶつける。
自分達もあまり知らないエッチな単語を、こっくりさんに教えてもらうつもりでいたのだ。
どの文字に止まってしまうのか気になって、十円玉の動向から当分は目が離せそうになかった。
「ふ、え、ら、ち、お? 聞いたこともない言葉だな……」
「あっ、これ聞いたことある。確かオチンチンを女の人に咥えさせちゃうんだってさ……?」
「うっはぁ……オチンチンなんかを口の中に入れちゃうの? そんなエッチなこと、良く出来ちゃうもんだよなぁ……」
十円玉の行方を追いながら、こっくりさんが示した文字の内容を男子達は思い思いに話し合う。
どんなに意味を考えても、無造作に単語が並んでいるようにしか思えそうになかったのだ……男子の一人が知っていた意味合いを聞かされて、つい感心せずにいられない。
自分達の想像すらつかないような淫語を聞かされて、すっかり感激させられていたのだ。
いやらしい行為を語り合っていくうちに、段々と気分が盛り上がってくる。
「なぁ、好きな女子が誰かいるのか、そろそろこっくりさんに聞いてみないか?」
おかしな興奮に任せて、男子の一人がさりげなく提案を始める。
こっくりさんに頼んで好きな人の名前を暴いてしまおうと、周囲に持ち掛けていたのだ。
どんな相手に秘かに恋しているのか、あまりに気になってたまらない。
「そんなぁ、いくら何でも勘弁してよぉ……」
「別にいいじゃん。オレ達だけの秘密にしておいてやるからさ……?」
「今度は誰がいいかなぁ……そうだ。碧夢の好きな人ってまだ聞いたことなかったよね?」
互いに顔を見合わせるうちに、男子達の視線が一手に集まってくる。
まだ誰との噂も聞いていなかったので、丁度いい機会に碧夢の片思いの相手を探ってしまおうと語り出す。
碧夢の顔をじっと見つめたまま、つい笑みをこぼさずにいられない。
中性的な見た目のとおりに普段からなよなよした印象のある碧夢がどんな秘密を抱えているのか、さすがに気になってたまらない。
「や、やだっ! 別にボク、好きな人なんていないのに……あうぅっ!?」
フルフルフルッ。
おかしな拍子に浴びせられた男子達の視線に、碧夢はすぐに翻弄させられる。
まさか自分が標的に選ばれてしまうなど、さすがに思いもしなかった。
男子達から向けられる追求に思い悩むあまりに、とんでもない行動を取り始める。
とっさに身を引いたまま、十円玉から指先を離してしまっていたのだ。
「あっ、碧夢! どうして勝手に指を離しちゃうんだよ……!」
「もしこっくりさんに呪われちゃったら、一体どうするつもりなんだよ!」
「ほら、碧夢! さっさと指を戻せって!」
突然席から離れようとする碧夢の行動に、男子達も呆気に取られてしまう。
これから碧夢の秘密を暴くつもりでいたのに、まさか勝手に逃げ出してしまうなどさすがに思いもしなかった。
席から立ち上がろうとする碧夢に向けて、口々に文句をぶつけていく。
もし途中で止めてしまえばこっくりさんに呪われてしまうかもしれないので、無理にでも碧夢を引き戻すつもりでいたのだ。
「ご、ごめん……だって、みんなが変なことなんて聞いてきちゃうのがいけないんだから……ひぃっ!」
ヒクヒクヒクッ。
男子達に注意をぶつけられて、碧夢は思わずひるんでしまう。
わざわざ放課後の教室に居残っているだけでも考えられないのに、自分の秘密まで探られようとする状況など決して見過ごせそうになかった。
そっと不満をぶつけようとした途端、すぐに言葉が途切れてしまう。
いきなり男子達が絡んできて、肩を掴んだまま少しも離そうとしないのだ。
グイッ。
「ほら、碧夢ってば。もたもたしてると手遅れになっちゃって、こっくりさんに目をつけられちゃうぞ……!」
嫌がる素振りも構わず、男子達は強引に碧夢を引き留める。
こっくりさんに呪われないうちに、何としても席に座らせるつもりでいたのだ。
ついには碧夢の手首を握り締めて、机の方へと引っ張っていく。
もう二度と勝手な行動を取らないよう言い張りながら指を開いて、指先を十円玉へと向かわせる。
「や、やだっ! お願いだから、無理に手を引っ張ってこないで……きゃんっ!?」
ガタガタガタッ、ドサッ!
男子達に迫られるまま十円玉に指を触れた途端、碧夢はさらにおかしな行動を引き起こしてしまう。
いきなり身震いを引き起こしながら、椅子から転げ落ちてしまったのだ。
床にぶつかった瞬間、つい悲鳴を洩らさずにいられない。
おかしな気配が一気に忍び寄ってきた拍子に、自分でも気づかぬうちに体勢を崩してしまったのだ。
「お、おい。碧夢ってば、一体どうしたんだよ!」
「いくら好きな人を知られるのが嫌だからって、椅子から転げちゃうことないじゃんか……」
「碧夢、ホントに大丈夫なのか……?」
突然床に倒れてしまった碧夢の姿に、男子達もすっかり唖然とさせられる。
十円玉を触らせた途端、おかしな身震いを引き起こしながらその場に崩れ落ちてしまったのだ。
碧夢に質問をぶつけている間も、つい心配せずにいられない。
一体どんな理由で床に転んでしまったのか、どんなに考えても理由など思いつきそうになかったのだ。
「あ、あうぅっ……ひぎぃっ!?」
ブルブルブルッ、ピクピクピクンッ!
男子達が様子を窺ってくる中、碧夢はなかなか姿勢を立て直せそうになかった。
その場に尻餅をついたまま、おかしな身震いを引き起こしていたのだ。
何度も腰をくねらせて、つい弱々しい悲鳴を洩らさずにいられない。
何とかして立ち上がらなければいけないはずなのに、どうしても脚を持ち上げられそうになかったのだ。
ゾクゾクゾクゥッ……
(やだ、何かがどんどん身体の中に入ってきちゃって……このままじゃボクの身体、ホントにおかしくなっちゃうよぉ!?)
今まで感じたこともないような感覚に、碧夢はあっけなく意識を奪われてしまう。
悪寒が一気に駆け巡ってきて、勝手に手足が震え上がってくる……何とかしてこらえなければいけないはずなのに、まともな身動きすら取れそうになかった。
言い知れぬ何かが体内に入り込んでくるような錯覚に、つい怯えずにいられない。
あっけなく気持ちを揺さぶられるまま、何かに全身を支配させられてしまうのだ……
「そ、それ以上はダメぇっ……は、はひいぃんっ!?」
カクカクカクッ、ショワショワショワッ……
おかしな衝動に襲われるまま、碧夢はとんでもない行為を引き起こしてしまう。
今まで体感したこともなかったような衝動に任せて、ひとりでに股間を緩めてしまった……股間からオシッコが溢れ出してきて、ブリーフの内側へ広がってくる。
下半身を駆け巡ってくる生温かい感触に、つい戸惑わずにいられない。
自分でも良く分からないうちに、気づいたら失禁などを引き起こしてしまっていたのだ。
「い、嫌っ! 勝手に出てこないでってばぁ……」
シュルシュルシュルッ、グシュグシュグシュッ。
おかしな拍子に漏れ出てきたオシッコのせいで、碧夢はさらに落ち着きを失ってしまう。
股間からはしたない液体が続々と湧き上がってきて、ブリーフの内側を駆け巡ってくる……股間だけでなくお尻の辺りにも押し寄せてきて、つい焦らずにいられない。
すぐにでも粗相を止めなければいけないのに、どうしても下半身を引き締められそうになかった。
おかしな身震いを繰り返すたびに、生温かい液体をひとりでに垂れ流してしまうのだ。
「も、もうそれ以上はホントにダメなのにぃ……きゃ、きゃはぁんっ!?」
チョボチョボチョボッ、ジュクジュクジュクッ。
延々と失禁を繰り返すうちに、碧夢はすっかり取り乱してしまう。
排尿の勢いを少しも止められないうちに、ついには太股の辺りまでオシッコで浸してしまっていたのだ。
お尻全体が段々と生温かくなってきて、あまりに情けなくてたまらない。
おかしな衝動に屈するままオシッコを垂れ流すうちに、はしたない格好をものの見事に作り上げてしまっていたのだ。
チョロチョロチョロッ、ピチャピチャピチャッ。
「おい、見てみろよ……碧夢の奴、オシッコなんて漏らしちゃってるみたいだぞ?」
「あんなにズボンが濡れちゃって……うわっ! こっちにまで広がってきちゃってる!」
「碧夢ってば、いい加減にしろよ! どうして教室でオシッコなんて出しちゃってるんだよ……!」
いきなり見せつけられた碧夢の粗相姿に、男子達も思わず度肝を抜かれてしまう。
床に倒れたまま突然身を捩らせたかと思えば、はしたない水音を立てながら徐々に水溜まりまで広げていたのだ……どうやら碧夢が失禁してしまっているようだと気づいて、さすがに驚かずにいられない。
そっと碧夢の様子を見届けている間も、口々に文句までぶつけてくる始末だった。
「ご、ごめんなさい。お願いだから許してぇ……ひぃっ! もうお願いだから止まってってばぁ!?」
ジュワジュワジュワッ、ビチチチチチッ!
男子達から向けられる反応に、碧夢はさらに困り果ててしまう。
決してトイレ以外の場所で許されないような行為などを、寄りにも寄って顔見知りのいる前で演じてしまうなど考えられない事態だった。
恐る恐る男子達に弁解している間も、つい悲鳴を洩らさずにいられない。
粗相を繰り広げた挙げ句、下半身のほとんどをオシッコで浸してしまっていたのだ……
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