女騎士と姫君と鉄仮面

体験版 第1話

「私は姫様の警護に当たる、皆は前線に向かってくれ! 姫様、ご心配なく。我々が敵の猛攻を食い止めて見せますから……」

 公国の女騎士ヴェラは、姫君ロップの傍に佇みながら緊張を走らせる。
 自分達の城に帝国の兵士が攻めてきたと言う連絡が飛び込んできたので、甲冑を身に着けながらロップの護衛に当たっていたのだ。
 窓の外から城外の様子を探っている間も、つい背筋をこわばらせずにいられない。
 いつ敵が攻めてくるかも分からない中、何としても自らに課せられた使命を全うするつもりでいたのだ。

(まさか、ここまで早く城に襲撃を仕掛けてくるなんて思いもしなかった。何と言う不覚……それにしても帝国め。こんな一方的な真似なんかを仕掛けておいて、一体どう言うつもりなんだ!?)

 ロップの様子を窺っている間も、ヴェラはひたすら思い悩んでしまう。
 高度な文明を武器に大陸全土の侵略を目論んでいた帝国が、ついに公国にまで襲撃の手を広げてきてしまったのだ。
 いつまで城が持ち堪えられるのか、さすがに気懸かりでたまらない。
 一抹の不安を抱きながら、せめて姫だけでも守り通さなければいけなかったのだ……

「ね、ねぇ。ヴェラ……私達、本当に助かるのかしら……?」
ヒクヒクヒクッ……

 傍にいるヴェラの様子を見上げながら、ロップは恐る恐る言葉を交わす。
 いつ自分達のいる場所に帝国の兵士達がやってきてしまうか、とにかく気にせずにいられない。
 普段から凛々しいヴェラですら表情を曇らせている様子から、自分達の置かれている状況を否応なく痛感させられる。
 もし敵が攻めてきてしまえばどんな窮地に立たされてしまうか、想像するだけで縮み上がってしまうのだ。

「ご安心ください、姫様。さすがに帝国の連中も、早々簡単に城まで攻めてこないはずですから……はうぅっ!?」
ドッゴォォォン……!

 恐怖で震え上がっているロップを、ヴェラはそっと慰める。
 彼女の不安を取り除こうと、彼女の傍に寄り添いながら返事を返していく。
 ロップを気遣おうとした矢先、すぐに言葉を詰まらせてしまう。
 何の前触れもなく、爆音がいきなり城内に響き渡ってきたのだ。

「きゃんっ……!?」
ブルブルブルッ……

 今まで聞いたこともないような物音に驚くあまり、ロップはひとりでに震え上がってしまう。
 ヴェラに警護してもらっていた矢先、城全体が揺れるほどの衝撃が押し寄せてきたのだ。
 慌ててヴェラにしがみついた後も、弱々しい悲鳴を洩らさずにいられない。
 目をしっかりと瞑ったまま、少しも周囲の状況を確かめられそうにないのだ……

「大丈夫ですか、姫様……良かった。どこもお怪我をなさっていないようですね?」
ギュムッ。

 怯え切っているロップの様子に気づいて、ヴェラはそっと言葉を投げ掛ける。
 少しでも落ち着きを取り戻してもらおうと、彼女の身体を抱き寄せていく。
 耐え難い恐怖に打ち震えているロップを慰めている間も、言い表しようのない不安が徐々に忍び寄ってくる。
 城内に雷鳴のような物音が響き渡るなど、異常事態が引き起こされた以外に考えられそうになかった。

「失礼いたします……大変です! 敵が大砲を撃ってきて……城壁が大破してしまいました。敵の兵士達が大勢攻めてきて、さすがに太刀打ち出来そうにありません!」

 二人が潜んでいる一室へ、伝令役の兵士が駆けつけてくる。
 城内に引き起こされた状況を、一刻も早く報告するつもりでいた……帝国が新兵器として導入した大砲によって、あっけなく城壁を壊されてしまったのだ。
 城壁を破壊されたせいで、敷地内への侵入を許してしまったと慌てた拍子に言い放つ。

「ここから先には一歩も行かせない……ぐわっ!」
「何と言う数だ! このままでは城が攻め落とされてしまうかもしれんぞ……!?」
「馬鹿なことを言うな! もしここで持ち堪えられなかったら姫様が危険な目に……うぐぅっ!」
ガキイィンッ!

 伝令役の兵士が駆けつけた直後から、不穏な気配がさらに押し寄せてくる。
 城壁を打ち破った直後から、帝国の兵士達が一斉に襲い掛かってきたのだ……城内に控えていた兵士達が応戦に向かった後も、多勢に無勢で次々と敗れ去る始末だった。
 敵に打ち負かされるたびに、城内に断末魔が響き渡ってくる。

(さすがに、もうこの城は限界なのか? いつまでもこの場に待ち続けても、状況が悪くなるばかりではないか……!)

 一気に騒がしくなってきた城内の様子に、ヴェラはしっかりと耳を澄ませていく。
 刻一刻と状況が悪化する中、いつ帝国の兵士達が自分達の居場所を嗅ぎつけてくるかも分からなかった。
 外の様子をこっそりと窺っている間も、つい背筋を張り詰めずにいられない。
 城内への侵入を許してしまった以上、自分達も敵に出くわしてしまうのはもはや時間の問題だった……

ギュッ。
「姫様、私についてきてください。とりあえず今のうちに城から一旦出てしまいましょう!」

 周囲の状況をじっくりと見据えながら、ヴェラは慌ててロップの手を握り締めていく。
 敵に遭遇してしまう前に、せめてロップだけでも城の外へ逃がすつもりでいたのだ。
 意を決して部屋の外に飛び出す間も、つい緊張せずにいられない。
 城内の至る場所から悲鳴が飛び交う中、無事に帝国の兵士達の目を掻い潜れるのか、さすがに不安でたまらないのだ。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……ヴェラ、ちょっとだけ休憩させてぇ?」
フラフラフラッ……

 ヴェラとともに通路を駆け抜けている間も、ロップはすぐに息を切らしてしまう。
 ただでさえ言い表しようのない不安に苛まれている中、延々と城内を逃げ回っているうちに疲弊してしまったのだ。
 おぼつかない足取りのまま、つい泣き言を洩らさずにいられない。
 先を向かっているヴェラのように、なかなか思うように走れそうになかったのだ。

「あと少しで裏口に着きますから、もうしばらくのご辛抱を……なっ!?」

 ロップを気遣いながら通路を走り続けていた矢先、ヴェラはすぐにひるんでしまう。
 裏口を目指していた矢先、ずっと恐れていた相手に遭遇してしまったのだ。
 とっさに立ち止まった後も、つい目を疑わずにいられない。
 まるで自分達の動向を先読みしていたかのように、忌々しい相手が目の前に立ちはだかっていたのだ。

(まさか、こんな所にも帝国の兵士が潜んでいたなんて……!?)

 目の前にいる相手の姿を、ヴェラはじっと睨みつける。
 すぐにでもロップを城から逃がすつもりでいたのに、まさか伏兵に行く手を阻まれてしまうなど思いもしなかった。
 とっさに身構えた後も、さすがに緊張せずにいられない。
 この場を何とかして切り抜けない限り、決して窮地から抜け出せそうにないのだ……

「そこをどけ! 姫様には指一本触れさせるわけには……ひぃっ!?」

 目の前に立ちはだかる敵国の兵士を相手に、ヴェラはすぐに立ち向かう。
 ロップを城から逃がすために、何としても相手を打ち倒すつもりでいたのだ。
 携えていた剣を抜こうとした矢先、思わず呆気に取られてしまう。
 いきなり距離を詰めてきたかと思えば、ものの見事に横をすり抜けてきたのだ。

ギュッ!
「残念だな、そこの女。大事な姫様とやらは我々に預からせてもらうぞ……!」

 剣を構えている隙を突いて、敵国の兵士はまんまとロップをさらっていく。
 細い腰を掴んだまま、強引に自分の元へと引き寄せる。
 ヴェラが大事そうに庇っている様子から、可憐で愛らしい少女の正体がどうやら姫君のようだと気づいて、しっかりと取り押さえていく。

「……きゃんっ!? ヴェラ、助けてぇっ……!?」

 気づかぬうちに陥ってしまった状況に、ロップはすっかり慌ててしまう。
 いきなりヴェラの元から引き離されたかと思えば、見知らぬ相手にあっけなく掴まってしまったのだ。
 身を捩らせながら、つい悲鳴を洩らさずにいられない。
 どんなにもがき続けても、乱暴な手つきをどうしても振り解けそうになかったのだ。

「おのれ……姫様に無礼な真似を働くなど、ただで済むと思っているのか……!」

 思わぬ事態に戸惑いながら、ヴェラは剣をしっかりと握り締める。
 兵士達に連れさらわれようとしているロップを、何としても救い出すつもりでいたのだ。
 相手に立ち向かっている間も、つい背筋をこわばらせずにいられない。
 常人では考えられない身のこなしにここまで翻弄させられるなど、さすがに思いもしなかったのだ。

「ちゃんと手はずどおりに姫君は掴まえたみたいだな……まったく、こんな古めかしい武器で我々に対抗出来るとでも本当に思っていたのか?」
「何ともあっけない仕事だったよ。後はこの邪魔な女騎士を片づけるだけみたいだな……?」
「さて、この生意気そうな女をどんな風に料理してしまおうか……?」
ゾロゾロゾロッ……

 伏兵と見合っている間に、さらなる状況が押し寄せてくる。
 ヴェラの前に立ちはだかったまま、伏兵が他の兵士達を呼び出してきたのだ。
 伏兵の合図に気づいて、次々と兵士達が集まってくる。
 数人掛かりで逃げ場を絶ったまま、甲冑に身を包んでいる女騎士の姿をじっくりと睨みつけてくる。

(すぐにでも姫様を取り返さなければいけないのに、まさか他の兵士達まで集まってきてしまうなんて……!?)

 気づかぬうちに陥ってしまった状況に、ヴェラはますます追い詰められていく。
 思わぬ拍子にロップを奪い去られてしまっただけでなく、ついには帝国の兵士達に取り囲まれてしまったのだ。
 次々と群がってくる相手の姿に、つい戸惑わずにいられない。
 ロップとともに城外へ逃げ出すどころか、少しも身動きが取れそうになかったのだ……

「さて、小国の姫君……しばらくの間、おとなしくしててもらおうか?」
「い、嫌っ! お願いですから、離してください……!?」
ギチギチギチッ!

 困り果てているヴェラの様子も構わず、兵士達は平然とロップを取り押さえていく。
 決して逃げ出さないよう、細い身体を強引に抱き締めていたのだ。
 兵士達の腕が絡みつくたびに、ロップはすぐに悲鳴を撒き散らしてしまう。
 いつ酷い目に遭わされてしまうかも分からない中、さらにヴェラの元から引き離されようとしていたのだ。

「き、貴様ら! 姫様に乱暴な真似を働くなど、一体どう言うつもりなんだ……!?」
……チャキッ!

 すぐにでもロップを救い出そうと、ヴェラは大声を張り上げる。
 強引に姫を連れ去ろうとする相手の態度など、あまりに見過ごせそうになかった。
 剣を構えている間も、つい苛立たずにいられない。
 注意が足りなかったせいで、相手に不覚を取ったのを未だに悔やんでいたのだ。

「おや、そこの女騎士。そんなに姫君のことが気になってたまらないのか……?」
「そう言えばどこかで聞いたことがあるんだが……ここの城の女騎士、相当べっぴんさんらしいが、どうやらこいつの事らしいな?」
「面白い。それなら俺が相手になってやる。姫君を取り返したかったら、まずは俺を倒してみるんだな……!」
ジャキンッ。

 眉を吊り上げているヴェラの様子を窺いながら、兵士達は口々に言葉を交わす。
 目の前にいる相手が公国の女騎士だと気づいて、思い思いに注目を寄せていく……巷で噂になっていたとおりに整った顔立ちに、つい興味をそそられずにいられない。
 ついには剣の腕を試してしまおうと言い張りながら、調子づいた兵士の一人が面白半分に襲い掛かってくる始末だった。

「お、おのれ。こうなったら覚悟してもらうぞ……えいっ!」
ガキイィンッ……!

 いきなり距離を詰めてきた相手に、ヴェラはすぐに立ち向かう。
 ロップを連れ去るばかりでなく、まさか自分まで標的にさせられるなどさすがに思いもしなかった。
 相手が振るってきた剣を受け止めている間も、つい戸惑わずにいられない。
 目の前にいる兵士をすぐに打ち負かすつもりでいたのに、なかなか思うように相手の攻撃を切り崩せそうにないのだ。

「おいおい、まさかこんな程度で俺達の相手を出来ると本気で考えていたのか……? 剣って言うのはな、こうやって使うものなんだ……!」
ギリギリギリィッ……

 ヴェラと対峙しながら、兵士は平然と言葉をぶつけてくる。
 甲冑などを身に着けていて見た目こそ騎士のように振る舞っていながら、あまりに手応えがなかったのだ。
 さらにヴェラを追い詰めてしまおうと、さらに剣を押し込んでいく。
 自分達に刃向かってくる生意気な態度を改めさせるため、無理にでも己の立場を思い知らせるつもりでいたのだ。

「くうぅっ……!?」
ガチガチガチッ、ギチイィンッ!

 戦闘を始めて数分も経たないうちに、ヴェラは窮地に追いやられてしまう。
 立て続けに猛攻を繰り出してきて、すっかり翻弄させられていたのだ。
 相手の猛攻に屈するうちに、あっけなく体勢を崩してしまう。
 ついには剣を振り払われた拍子に、壁際へと追い詰められてしまったのだ。

「お、おのれ。こしゃくな真似を……!?」
ヨロヨロヨロッ……

 体勢を立て直している間も、ヴェラは言い表しようのない不安に襲われてしまう。
 すぐにでも相手を打ち負かすつもりでいたのに、どんなに頑張っても太刀打ち出来そうになかったのだ。
 剣の腕前の未熟さを痛感させられて、つい焦らずにいられない。
 ロップを取り戻すどころか、ものの見事に逃げ場まで絶たれてしまったのだ。

「女騎士よ、さっきまでの威勢はどうしたんだ……?」
「まさかこの程度の腕前で、自ら騎士だとか名乗っていたわけではあるまいな……?」
「そろそろ潮時みたいだし、しっかり止めを刺しておかないとな……!」

 悔しがっているヴェラの様子も構わず、兵士達は平然と罵声を浴びせてくる。
 噂で聞いていた情報とあまりにかけ離れているほど、とにかくヴェラが手応えのない相手だったのだ……期待はずれな剣の腕前など、さすがに落胆せずにいられない。
 興醒めしてしまったので、すぐにでも仕留めてしまおうとヴェラへ目掛けて剣先を突きつけていく。

「……ひぃっ!?」
ガタガタガタッ……!

 窮地に立たされた挙げ句、ヴェラはとんでもない行動を引き起こす。
 目の前へ迫ってくる剣先に怯えるあまりに、弱々しい悲鳴を洩らし始めてしまったのだ。
 とっさに身を引いたまま、つい背筋をこわばらせずにいられない。
 命を奪われる恐怖に屈するあまり、ひとりでに腰をくねらせる始末だった。

ショワショワショワッ、グシュグシュグシュッ……
(やだっ! どうしてこんな大変な時に粗相などをしてしまっているのだ……!?)

 いきなり下半身から押し寄せてきた感触に、ヴェラは呆気に取られてしまう。
 喉元に剣を突きつけられた拍子に、ひとりでに粗相をしでかしてしまったのだ……股間がひとりでに緩んで、生温かい液体が徐々に零れ出してくる。
 はしたない液体によって股間の周辺が濡れていく様子に、つい茫然とせずにいられない。
 相手に屈するまま、はしたない現象を繰り広げている事実をありありと痛感させられていたのだ……

「い、嫌っ……! それ以上は出てこないで……あうぅっ!?」
シュルシュルシュルッ、ジュクジュクジュクッ……

 ひとりでに漏れ出してくるオシッコのせいで、ヴェラはすぐに取り乱してしまう。
 窮地に追いやられた挙げ句、寄りにも寄って敵のいる前で失禁をしでかすなど考えられない事態だった。
 とっさに縮み上がっている間もはしたない液体が肌に張りついてきて、つい身震いせずにいられない。
 気づいたら太股の辺りにもオシッコが伝ってきて、下半身を着々と濡らしてしまうのだ。

ジュワジュワジュワッ、ポタポタポタッ。
「……おい、見てみろよ。あの女騎士、小便なんて漏らしてるみたいだぞ?」
「もしかして命乞いのつもりなのか? それにしても、何とも情けない姿だ……」
「剣の腕もまるでなってないようだし……大体、女の分際で俺達に楯突こうなんて身の程知らずもいいところだ!」

 ヴェラが突然引き起こした粗相に、周囲にいた兵士達も度肝を抜かれていた。
 いきなり水音が聞こえてきたかと思えば、薄黄色い液体によって下半身が派手に濡れていく様子を見せつけられていたのだ……はしたない物音に耳を澄ませながら、女騎士の下半身につい注目せずにいられない。
 戦闘の最中にもかかわらず、人前でオシッコを垂れ流してしまうほど臆している様子を面白半分に囃し立ててくる始末だった。

「そ、それは……くうぅっ!?」
チョボチョボチョボッ、ホクホクホクッ。

 容赦なく浴びせられる数々の言葉を思い知らされて、ヴェラはますます弱り果ててしまう。
 おかしな拍子に失禁をしでかした挙げ句、はしたない格好を兵士達に嘲笑われてしまったのだ……あまりに情けない格好などを人目に晒してしまい、あまりに悔しくてたまらない。
 すぐにでも彼らの視線を避けなければいけないのに、まともな身動きすら取れそうになかった。
 ひとりでに緩んでしまった部分を少しも引き締められず、さらにオシッコを垂れ零してしまうのだ。

「ヴェ、ヴェラ……あうぅっ!?」
ヒクヒクヒクッ……

 思わぬ拍子に見せつけられたヴェラの失態に、ロップも思わず言葉を失ってしまう。
 普段から凛々しかったはずの彼女が、兵士達に取り囲まれたまま粗相をしでかしてしまったのだ。
 はしたない水音を響かせながら段々と弱り果てていくヴェラの姿など、あまりに見るに堪えなかった。
 ついには何も言葉を投げ掛けられないまま、彼女から視線を逸らしてしまう。
 薄黄色い液体によって浸された下半身が視界に飛び込んだ直後から、言い表しようのない無力感が一気に押し寄せてくる。

「姫様、申し訳ございません。姫様を助けられないばかりか、こんな見苦しい真似まで働いてしまって……くうぅっ!?」
チョロチョロチョロッ、ジトトトトトッ。

 困り果てているロップの様子を目の当たりにさせられて、ヴェラはさらに狼狽してしまう。
 公国の騎士として決して許されないような振る舞いなどを、肝心な時に引き起こしてしまった……耐え難い恥じらいに襲われている間も、小気味良い水音が容赦なく耳に飛び込んでくる。
 はしたない格好を何としても取り繕わなければいけないのに、その場に立ち尽くしたままどうしても下半身を取り繕えそうになかった。
 しでかした失禁を通して自らの敗北を痛感させられた後も、兵士達に剣を突きたてられたまま少しも身動きが取れず、延々と生き恥を晒し続けてしまうのだ……

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