女騎士と姫君と鉄仮面

体験版 第2話

「ほら、さっさと乗らないか?」

 ヴェラと対峙してから数十分後、兵士の一人が平然と言葉を浴びせる。
 捕虜として帝国に連れて行くため、二人を馬車に乗せるつもりでいたのだ。
 二人の様子をじっと窺いながら、強引に背中を押してくる。

「わ、分かったから。そんなに急かさないでくれ……くうぅっ!?」
モゾモゾモゾッ。

 言われたとおりに、ヴェラはロップとともに仕方なく馬車へ乗り込む。
 無惨にも相手に敗れ去った後、武器を奪われた上に両手まで縛り上げられてしまい、もはや成す術がなかった。
 恐る恐る馬車に入る間も、つい困惑せずにいられない。
 周囲を取り囲んでいる兵士達から視線を向けられるたびに、ひとりでに縮み上がってしまうのだ。

グシュグシュグシュッ、ムワッ……
(寄りにも寄って帝国の兵士どもに掴まって……こんなはしたない粗相までしでかしてしまうなんて。こんなみっともない姿など、騎士として絶対に許されないはずなのに……!?)

 床に腰を下ろす間も、ヴェラは下半身の状態に気を取られてしまう。
 帝国の兵士達によってロップをさらわれるだけでなく、寄りにも寄って戦闘中に失禁までしでかしてしまったのだ……両手をしっかりと括りつけられたまま、オシッコによって浸された下半身を少しも取り繕えないのが、あまりに恥ずかしくてたまらない。
 馬車に乗り込んでいる間も鼻を突くような臭いを周囲に振り撒くたびに、言い表しようのない気まずさに苛まれてしまう。
 騎士としてあるまじき行為などをしでかした事実だけでも悔やまずにいられない中、延々と生き恥を晒し続けなければいけないのだ……

「……それにしても、いつまでこんな臭いなどを嗅がされなければいかんのだ? いくら城に着くまでって言っても、さすがに限度があるぞ!」
「仕方がないだろう、女どもは全員捕虜にするよう通達されているんだから……言うまでもなく、あの女騎士とやらも例外ではない」
「ほんのちょっと脅してやっただけで小便まで漏らしてしまうなんて、さすがに思いもしなかったよ。小国の女騎士が、まさかここまで腰抜けだったなんてな……?」

 ヴェラの気持ちを嘲笑うかのように、兵士達が口々に会話を交わす。
 戦闘の最中に突然震え出して、目の前でオシッコを垂れ流すヴェラの様子を平然と罵ってきたのだ。
 公国の女騎士が突然しでかした、あまりに不様な失態などさすがに持て囃さずにいられない。

(ただでさえ生き恥を晒し続けるだけでも辛いのに……どうして姫様のいる前なのに、こんな屈辱的な目なんかに遭わされなければいけないのだ……!?)

 兵士達の間で取り交わされる会話の内容に、ヴェラはますます困り果ててしまう。
 隣にロップも座っているのを分かっていながら、わざわざ自らの立場を辱めるような言葉を平然と口走ってくるのだ。
 あまりに不躾な彼らの振る舞いなど、あまりに嫌でたまらない。
 いつまで惨めな目に遭わされ続けなければいけないのか、考えるだけで気が重たくなってくる……

チャキッ。
「おっと、勝手に動くなよ。もしおかしな真似をするようなら、姫様もろとも首を刎ねて良いとも言われているんだ……!」

 ヴェラの様子をじっくりと見据えながら、兵士達はさらに挑発的な行動を迫ってくる。
 首筋に刃物を突きつけながら、当分の間おとなしくするよう言い放つ。
 これから控えている同盟の儀式に二人を参加させるつもりでいたので、無理にでも自分達に付き従わせるつもりでいたのだ。
 生意気そうな表情をじっくりと見据えたまま、薄ら笑いまで浮かべてくる始末だった。

「わ、私はどうなっても構わないから。姫様だけは酷い目に遭わせないでくれ……くうぅっ!」
フルフルフルッ……

 思い掛けない兵士達の行動に、ヴェラはすっかり呆気に取られてしまう。
 まるで自分の心境を見透かしたかのように、平然と追い詰めてくるなど考えられない事態だった。
 恐る恐る彼らに返事を返している間も、あまりに苛立たずにいられない。
 延々と屈辱的な言葉を浴びせられるだけでも嫌気が差しているのに、ロップを庇うために無理にでも相手の言いなりにならなければいけないのだ。

(城を襲撃しておいて、何が『同盟』なのだ! こんな酷い目に遭わされてまで、本当にこれから帝国などに従わなければいけないのか……!)

 ずっと押し黙っている間も、ヴェラはひたすら思い悩んでいた。
 表向きは同盟と言う名目だとしても、実質的には『服従』と言う表現の方が正しかった。
 いきなり城を襲撃して、自分達を捕虜として強引に連れ去るような手法などあまりに目に余る行為だった。
 敵の卑劣な行為などにあっけなく屈してしまっている状況など、本心では未だに悔しくてたまらないのだ……

「ヴェラ……もう私達のお城には戻れないの? お父様とも離ればなれになってしまって。もしかしたら、もう二度と会えなくなってしまうの……!?」
ヒクヒクヒクッ……

 頬をこわばらせているヴェラの様子に気づいて、隣にいるロップがこっそりと話し掛ける。
 帝国に城を奪われて行き場所を完全に断たれてしまった後、傍にいるヴェラだけが頼りだったのだ。
 彼らの居城に連れられた後、これから自分達がどんな目に遭わされてしまうのか、とにかく不安でたまらない。
 恐る恐るヴェラの返事を待っている間も彼女の表情を窺えないまま、すぐに息を詰まらせてしまう。

「姫様、ご安心ください。国王様とお会い出来るまで、私がずっと傍にいますから……」

 ロップが持ちかけてきた相談に、ヴェラはそっと返事を返す。
 自分達の行く末を案じている様子だったので、何とかしてロップの気持ちをなだめるつもりでいたのだ。
 帝国に囚われた後、互いに寄り添うくらいしか出来そうになかった。
 未だにロップが自分を頼ってくれているはずなのに、大したことも出来そうにないのが何とも情けなくてたまらない。

「おい、もう着いたぞ。二人ともさっさと下りてもらおうか!」

 ヴェラがロップを気遣っていた矢先、いきなり兵士が話し掛けてくる。
 ついに目的地に到着したので、すぐに二人を馬車から下ろすつもりでいたのだ。
 馬車を止めると、周囲にいる兵士達へと合図を送る。

「そ、そんな乱暴に扱わなくてもいいだろう……ひぃっ!?」
チャキッ。

 馬車から下りる間も、ヴェラはすぐに文句をこぼしてしまう。
 どうやら帝国の敵の城に連れられたらしく、兵士に追い立てられるまま敷地内を延々と歩かされていたのだ。
 城門の前まで辿り着いた途端、すぐに言葉を詰まらせてしまう。
 兵士達がいきなり周囲を取り囲んできて、構えていた刃物を次々と突き立ててきたのだ。

「きゃぁっ……! お願いだから、酷い目になんて遭わせないでぇ……!?」

 思い掛けない兵士達の行動に、ロップもすぐに縮み上がってしまう。
 ずっと彼らの言いなりにしてきたはずなのに、いきなり凶器などを向けられてしまっていたのだ。
 おかしな真似をしないで欲しいと恐る恐る訴えている間も、つい悲鳴を洩らさずにいられない。
 もし下手をすれば、目の前に見せつけられている刃物を突き刺されてしまうかも分からないのだ。

「や、約束が違うじゃないか! 姫様に手を出すなんて、何と卑怯な真似を……くうぅっ!?」
ギチギチギチィッ。

 いきなり乱暴な真似を迫ってくる兵士達の様子に、ヴェラもすっかり茫然とさせられる。
 あまりに不躾な彼らの態度など、決して見過ごせそうになかった。
 怯え切っているロップをすぐにでも庇うつもりでいたのに、あっけなく兵士達に行く手を阻まれてしまう。
 肩を強引に掴まれた後、どんなに身を捩らせても彼らの手をどうしても振り解けそうにないのだ。

「安心しろ。首を刎ねるような真似などはしない。その代わり、姫君にしっかり自分の立場を思い知らせてやらないといかんからな……もし傷つけられたくなかったら、ちゃんとおとなしくしているんだな?」
ギュムッ。

 もがき続けるヴェラをしっかりと取り押さえたまま、兵士達はおかしな申し出を始める。
 別に殺すつもりはないと宣言した上で、同盟の儀式を繰り広げるための準備をしっかりと執り行うつもりでいたのだ。
 ほんの少し刃物を見せびらかしただけで、恐怖で打ち震えているロップの表情につい注目せずにいられない。

「や、やだっ! そんなもの向けてこないでぇ……はうぅんっ!?」
ビリビリビリィッ!

 兵士達に身体を掴まれるまま、ロップはとんでもない目に遭わされてしまう。
 刃物の先端を押し当てられたまま、身に着けていた衣服を次々と引き千切られてしまったのだ。
 着込んでいた服が着々とボロ布になっていく様子を目の当たりにさせられて、つい縮み上がらずにいられない。
 気づいたら彼らのいる前で、下着姿まで露わにさせられてしまっていたのだ。

「お、おのれ……姫様にこんな乱暴な真似などをして、ただで済むと思っているのか……!?」

 あまりに非常識な兵士達の振る舞いに、ヴェラは思わず目を疑ってしまう。
 いきなり刃物を突きつけるだけでも考えられないのに、ロップの衣服を強引に引き嵌がしていたのだ。
 ロップに平然と乱暴な真似を迫ってくる様子など、さすがに見過ごせそうになかった。
 彼らに文句をぶつけている間も、どうしてもロップを救い出せそうにないのがあまりに悔しくてたまらない。

「おっと、勝手に動くなよ。もしかしたら手を滑らせて、姫君の首を刎ねてしまうかも分からんからな……?」

 驚いているヴェラを相手に、兵士達はさらに言葉をぶつける。
 もしロップを無事に返して欲しければ、当分はおとなしくするよう平然と言い放つ。
 同盟の儀式をきっちりと執り行うために、何としても準備をやり遂げるつもりでいたのだ。

「も、もうそれ以上は勘弁してください……あうぅっ!?」
ブチブチッ、シュルシュルッ。

 ヴェラが少しも助けに向かえないうちに、ロップはさらにとんでもない格好にさせられてしまう。
 下着まで次々と引き剥がされてしまい、あっけなく裸体にさせられてしまったのだ。
 思わぬ拍子に裸体をさらけ出す羽目になって、あまりに恥ずかしくてたまらない。
 まともな身動きすら取れないうちに、気づいたらボロ布と化した下着を彼らに奪われた後だったのだ。

「や、やだぁっ……こんなはしたない格好なんて、お願いだから見ないでぇっ!?」
フルフルフルッ……

 とっさにその場へ立ち尽くしたまま、ロップは悲鳴を洩らしてしまう。
 強引に衣服を引き裂かれるうちに、公衆の面前ではしたない格好を晒されてしまったのだ……慌てて腰を引っ込めたまま、つい弱音を洩らさずにいられない。
 ひたすら俯いている間も、耐え難い惨めさをありありと痛感させられる。
 はしたない格好をすぐにでも取り繕わなければいけないのに、周囲にいる兵士達に両手を取り押さえられるまま、膨らみかけの乳房や大事な部分など何もかも彼らに見られてしまっているのだ。

「ひ、姫様! 大丈夫ですか……うぐっ!?」
グイッ。

 縮み上がっているロップの様子に戸惑っている間も、ヴェラはどうしても兵士達を振り解けそうになかった。
 目の前でロップが辱められている中、周囲にいる兵士達に取り囲まれたまま身動きを封じられていたのだ。
 人前で強引に裸にさせられて恥じらっているロップを何とかして庇わなければいけないのに、どうしても彼女の元に駆けつけられないのがあまりに悔しくてたまらなかった。
 顔を赤くしたまま悲鳴を洩らし続けるロップの様子が、あまりに気の毒でたまらない。

ビリッ、ブチブチブチィッ。
「姫君の方はこんなもので十分か……今度はお前の番だぞ。姫様だけ恥ずかしい思いをしないよう、お似合いの格好にしてやるからな?」

 ヴェラの身体をしっかりと掴んだまま、兵士達はさらなる準備に取り掛かる。
 敗者に相応しい姿になるよう言い張りながら、先ほどと同じようにヴェラの衣服を刃物で次々と切り裂いていく。
 二人を裸にさせたまま、はしたない格好で同盟の儀式に向かわせるつもりでいたのだ。
 まだ第二次性徴を迎えたばかりのロップと違い、ヴェラがどんな裸体を拝ませてくれるのかと期待せずにいられない。

ズルズルズルゥッ、ポタポタポタァッ……
「うはぁ……見てみろよ。あんなに小便で濡れてるみたいだぞ?」
「あれだけ沢山、小便を漏らしてしまったんだ。さすがに無理もないだろう……」
「それにしても俺達のいる前で、よくこんな破廉恥な格好など見せつけられるものだな……?」

 ヴェラの衣服を強引に剥ぎ取っている間も、兵士達は思い思いい言葉をぶつける。
 ズボンを切り刻んだ途端、薄黄色い滴が次々と周囲に飛び散ってきたのだ……先ほど粗相をしでかしたせいで、内側にたっぷり広がったオシッコの様子につい唖然とせずにいられない。
 ついには対峙した時にしでかした失禁を、本人のいる前で平然と罵ってくる始末だった。

「い、いい加減にしろ! 私を侮辱するつもりなのか……ひんっ!?」
プチプチッ、ズルズルズルッ。

 あまりに屈辱的な言葉を浴びせられている間も、ヴェラは彼らの手を少しも振り解けそうになかった。
 ロップが先ほど仕向けられたように、刃物を次々と突き立てられるまま次々と衣服を破られていたのだ……はしたない液体がたっぷりと染み込んだ裏地や下着まで晒されて、つい縮み上がらずにいられない。
 気づいたら下着まで剥ぎ取られるまま、大事な部分までものの見事に晒されてしまう。
 肌をさらけ出すと同時に、彼らの視線が容赦なく突き刺さってくる。

フルフルフルッ……
「あ、あうぅっ……!?」
「姫様、大丈夫ですか……うぐっ!?」

 すべての衣服を奪われた後、ロップもヴェラもすっかり言葉を失ってしまう。
 見ず知らずの場所に引っ張り回されるだけでなく、異性の前ではしたない格好を強引に暴かれてしまったのだ。
 その場に立ち尽くしたまま、つい腰をくねらせずにいられない。
 はしたない姿を何としても覆い隠したいのに、あっけなく兵士達に身動きを封じられてしまうのだ。

グイッ。
「二人ともいい加減にしろ。城に脚を踏み入れた以上、お前達はもう帝国の捕虜なんだ。勝手な真似など決して許さないからな……まずは、その邪魔な手をさっさとどけてもらおうか?」

 もがき続ける様子も構わず、兵士達はおかしな忠告をぶつける。
 二人の髪を強引に引っ張りながら、しっかり姿勢を正すよう言い放つ。
 帝国の捕虜に成り下がった以上、無理にでも言いなりにさせるつもりでいたのだ。

「こ、これで構わないか……くうぅっ!?」
ヒクヒクヒクッ……

 兵士達に言われるまま、ヴェラは恐る恐る姿勢を整える。
 引っ込めていた腰を伸ばしている間も、つい太股を震わせずにいられない……異性のいる前で裸体を晒すだけでも嫌でたまらないのに、さらなる辱めをこれから強いられようとしていたのだ。
 その場に立ち尽くした後もとっさに目を瞑ったまま、耐え難い恥ずかしさを押し殺しているだけで精一杯だった。

「その調子だ。しっかり捕虜として相応しい格好を俺達に見せてもらうからな……?」
「……それにしても、なかなか良い身体つきじゃないか。騎士なんか止めて、娼婦にでもなった方が性に合ってるんじゃないか?」
「姫様の方も良い顔立ちをしているみたいだし、なかなか期待出来そうだな……?」

 ヴェラの気持ちをよそに、兵士達は二人の裸体をまじまじと覗き込む。
 豊満な乳房や腰のくびれ具合、しっかりと膨らんだヴェラのお尻を平然と褒めちぎる一方、まだ成長途中なロップの体型にも注目せずにいられない。
 これからどんな風に二人を弄んでしまおうか、思い思いに話し合っていたのだ。

「あ、あうぅっ……!?」
モゾモゾモゾッ。

 おかしな噂を延々と繰り広げる兵士達の様子に、二人も思わず言葉を詰まらせてしまう。
 衣服や下着まで剥ぎ取られるまま、自分達の裸体を見世物にさせられていたのだ……次々と彼らから向けられる、突き刺さるような視線につい戸惑わずにいられない。
 はしたない格好をすぐにでも取り繕いたい反面、まともに姿勢も変えられそうになかった。
 未だに兵士達が目の前で刃物をちらつかせていたので、もし下手に身動きを取ってしまえばどんな目に遭わされてしまうかも分からないのだ。

「まだ報告も済んでいないんだ、あまり無駄話している場合じゃないだろう……ほら、さっさと歩くんだ!」
グイッ。

 頬を赤くしている様子も構わず、兵士達は二人に命令を下す。
 しっかりと準備も整ったので、すぐにでも同盟の儀式に向かわせるつもりでいたのだ。
 城門を開くと、二人の背中を押したまま強引に中へと向かわせる。

フラフラフラッ……
(こんなはしたない姿なんて誰にも見られたくないのに……一体いつまで、こんな格好をさせておくつもりなんだ!?)

 延々と通路を歩き回っている間も、ヴェラもロップもただならぬ緊張に苛まれてしまう。
 誰かとすれ違うたびに、さらけ出した部分を幾度となく横目で覗かれていたのだ……はしたない裸体を人目に晒されるたびに、あまりに恥ずかしくてたまらない。
 裸体を少しも取り繕えないままひたすら歩き続けるうちに、ついに大広間へと辿り着く。
 部屋の奥に待ち構えている相手の様子を探っている間も、言い表しようのない緊張が忍び寄ってくる……

「ようこそ、ロップ姫。それに従者ヴェラよ……ふふっ。噂どおりになかなか良い身体つきをしておる。私の気が済むまで、しばらく二人の姿を拝ませてもらうとしよう……」

 ついに大広間へとやってきた二人を相手に、大臣は平然と言葉を投げ掛ける。
 帝国に招いた二人を出迎えながら、目の前へと突き出されている裸体をじっくりと覗き込む。
 小国の姫君と女騎士のあられもない姿を観察するたびに、言い表しようのない興奮を掻き立てられてしまうのだ。

カクカクカクッ……
「……きゃんっ!? ヴェラ、助けてぇっ……!?」
「ご安心ください、姫様。私がしっかりとお守りいたしますから……!」

 大臣からいやらしい眼差しを向けられるたびに、ロップはあっけなくひるんでしまう。
 わざわざ身を乗り出しながら間近から視線を浴びせる様子など、あまりに恥ずかしくてたまらない……慌てて悲鳴を洩らしている間も、決してこの場から動けそうになかった。
 怯え切っているロップを庇おうと互いに手を繋いだ後も、ヴェラもただならぬ不安に襲われてしまう。
 帝国に囚われてしまった以上これからどんな目に遭わされてしまうのか、自分達の身の上を案じずにいられないのだ……

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