◆三界について◆
本作品の世界観は「天界」「魔界」「人間界」の世界が存在し、これを総じて「三界」と呼びます。
【天界】
天使が統治する光に満ちた異世界で、起源は一本の神木だと言われる。その神木は今や神告の大聖樹と呼ばれ、天使は聖樹の根本に生誕した後、天命尽きるとその魂は聖樹に還る。
【魔界】
魔族が統治する暗黒に満ちた異世界で、原初は瘴気と呼ばれる邪悪なエネルギーに満ちていたと言われる。
人間界から迷い込んだ死者の魂が瘴気に意思を与えたことで魔王が降臨し、魔王は瘴気を練り上げて魔族を生み出した。
長きに渡る戦乱の末に、現在は老魔が魔族を統治している。
【人間界】
人類が統治する世界。殆どの人類はその存在を認知していないが魔族による侵略の危機に晒されており、それを阻止するために天使の代行者であるフェレスティアが、人間界に潜入した魔族と対峙している。
◆統治システムについて◆
天界、魔界にはそれぞれ、政治的な統治システムが存在する。
創造主として天界には「神」、魔界には「魔王」が存在するが、これらは政治的な能力を殆ど担っておらず、天使あるいは魔族の長となる者が政治的権力を持って種族を統治している。
【天城】
天界に存在する中枢機関。並びにそれを内包する巨大な建造物。
円卓と呼ばれる議会で各分野の代表である十二大天使が議論を重ね、円卓を仕切る四大天使の多数決を以ってして、天界の方針が決定される。
【魔宮】
魔界に存在する中枢機関、並びにそれを内包した巨大な宮殿。
魔界の各地域を治める首領級の魔族が一堂に会す首領会議が開かれ、老魔の示した方針を遂行するべく各首領たちが意見を交わす。
魔宮の周辺は10万規模の兵力が駐留できる広大な城下町で、城下町の更に外周は要塞のような険しい山脈に囲まれており、この山脈までを総称して魔宮と呼ばれる場合もある。
◆その他の用語◆
【狭間】
天界、魔界、人間界を繋ぐ空間の歪。殆どの狭間は一度に2〜3名の通過が限度で、10名以上が通過できる狭間は大規模と分類される。
魔力の性質を持つ人や物だけが狭間を活性化させ通過することができる。生身の人間ではその存在を認知することさえ困難である。
多くの狭間は天界により監視・管理されているが、中には魔界と人間界だけを接続する特殊な狭間もあり、魔族の人間界侵入を完全に阻止するには至っていない。
【ギガ・ホール】
三界を繋ぐ最大の狭間で、数千の兵力が一度に通過できるほどの規模を有する。
天界と魔界に存在する出入口は一定の座標に固定されているが、人間界への接続はやや不安定で、一定周期で接続先の座標が変化すると言われている。
現在は天界の監視下に置かれている。
【天魔会戦】
最大の狭間であるギガ・ホールの主権を巡って天使と魔族の間で発生した最大規模の軍事衝突。
十年以上に及んだ戦いで両者共に甚大な被害を被ったが、天使側は辛うじて戦線を死守し、熾天使マヤ率いる精鋭たちの魔宮進攻が成功したことで、天界が勝利し終戦を迎えた。
【外道技術】
魔族が持つ技術のうち、天使の肉体や魔力を用いる分野が主にこう呼ばれる。
天魔会戦の最中に天使の捕虜が大量に確保されたことで技術は飛躍的に向上し、それまで主流だった魔物同士の配合とは比較にならないほど強大な魔獣を生成可能になった。
【魔晶石】
魔界に存在する魔力の性質を持った鉱石。常に瘴気を放出しており、特に天使にとっては有害な鉱物である。
魔族でさえ大量の魔晶石に身を晒す行為はリスクを伴うが、現在では魔晶石の放つ瘴気を無力化する技術が実用化され、防壁の対魔法強度を高める便利な建材として重宝されている。
天使の魔力を練り込んだ魔晶石は『上級石』などと呼ばれ、通常の魔晶石の数倍の強度を持つ貴重な素材として扱われている。
◆種族内の階級や分類など◆
【大天使・聖天使・聖戦使(天界の階級)】
天界全域を支配しているのは『神』であるが、神は『神告の大聖樹』に宿っており、種族としての天使を統括する政治的な役割はさほど担っていない。
天使において最も高い階級は原初の天使が持つ『祖天使』であるが、祖天使はあまりにも長寿故に存在が不安定となっており、現在は大聖樹の根本に安置されている。
事実上、政治的に最も高位にあたるのは、祖天使の側近である『告天使』を含めた『四大天使』で、円卓の議会においては四大天使のうち3名以上の賛成を以って可決が行われる。
次に円卓を構成する各分野の専門かつ代表である『十二大天使』がこれに続き、四大天使と十二大天使を合わせた『十六大天使』が天界における政治的な機能を担っている。
十二大天使にはそれぞれの分野に応じて地位と称号が与えられている。天界の戦力を統括する『天使長』、圧倒的な力を司る『熾天使』、農作を司る『恵天使』、狭間の管理と監視を『混天使』など。
十六大天使以下の主要天使には『大天使』の階級が与えられる。十六大天使を補佐する立場の者に多い階級だが、補佐に就く者が必ずしも大天使である必要はない。
『聖天使』は言わば中間管理のような階級だが、一般階級の天使が外界で自分の身分を名乗る際に用いられるケースも多い。
「天使〇〇」と名乗るより「聖天使〇〇」と名乗る方が語呂がいい、というのが理由だが、階級としての聖天使は大天使以上からの認可がなければ名乗れない。
また、大天使や聖天使のような階級は与えられていないものの、小規模な隊の指揮や統率を担う隊長としての役職天使も多く存在する。
『戦使』は天使の中でも戦闘を主任務とする者たちの総称である。天使のうち7割程度は戦使に分類されるが、戦使の任務や訓練は基本的にローテーション形式であり、期間外では内政に従事している。
戦闘任務に一切参加せず農作や研究、内政のみに従事する天使は、『従天使』と呼ばれる。
【妖魔・淫魔・魔獣・魔物(魔族の階級)】
魔界全域を支配しているのは『魔王』であるが、この魔王は魔界北部の瘴気の嵐に概念として存在しており、実体は持たないとされている。種族としての魔族にはさほど干渉しておらず、自ら創出した魔族という玩具の成長と行く末をただ静観している。
種族としての魔族を統治するのは『老魔』であり、この下に首領級と呼ばれる魔族の長たちが存在する。
首領は種族関係なく実力主義にて選定されているため、中には超エリート級のゴブリンやオークもこの地位を得ている。
魔族の一般的認識で言えば、魔力と知力を併せ持つ存在の方が当然に優等であるため、妖魔が最も高位の存在と言える。
統率、統治の上では一定以上の知能レベルが重要であるため、次点に高い知能を持つ淫魔が並ぶ。一般的に、淫魔は多少の魔力を有するものの、その扱いにはさほど長けていない。
知能は絶望的だが圧倒的な戦闘力を持つ魔獣が淫魔に続く。魔獣は外道技術により魔物と天使を『交配』することで生成する種であり、戦闘力の個体差が極めて大きいものの、成功した個体は単純な戦闘力なら上位の妖魔すら凌駕する。
最も地位が低いのは魔物で、オーク、ゴブリンのほか、触手生物やウルフと呼ばれる獣の類いもここに属する。