─ 僕と彼女とのお別れ ─
「エマ=ハートリー」
踊り場の窓を拭いていた私はメイド長のトンプソン婦長から呼ばれて作業を中断する。
「はい、なんでしょうか?」
私はピッシリと背筋を伸ばして婦長の方を向く。
魔法の力も知識もない私には婦長などの上級職につく事はできないので、この上下関係は覆る事はない。
・・・・・普通であるならば。
何の才覚もない14歳の小娘であったけれど、旦那様の意向でこのお屋敷に採用が決まって、勤め始めてから一ヶ月ほど。
作業にはそこそこ馴れてきたものの、まだまだ新人の域を脱し切れていない私は余裕のある態度が取れる程、傲慢ではなかった。
そんな私に、婦長は珍しく一瞬だけ言い淀んで・・・
「・・・旦那様がお呼びになっていらっしゃいます。」
と言った。
それだけで私はどんな要件なのかを察した。
「エマ=ハートリー・・・これは光栄な事です。旦那様はあなたに特別な寵愛を向けていらっしゃいます。」
「はい・・・存じております。」
「・・・・・・・しかし・・・あなたがどうしても嫌と言うのであれば私から旦那様に・・・」
私を気遣う婦長の言葉を遮るように、
「いえ、トンプソン婦長。私は大丈夫ですから・・・」
と、私は答えた。
「・・・・そうですか。分かりました。ではここの清掃は他の者にやらせますから、あなたは・・・・」
「はい、湯浴みをさせていただいて・・・寝室に向かいます。」
「・・・・・・・・」
婦長がもの言いたげな顔をしていたけれど、
私は何かを言われる前に、失礼しますとだけ言ってその場を後にした。
普通であれば旦那様以外の者が使うはずのない浴室に、私は清掃以外で・・・入浴するために入る。
備え付けてある蛇口を捻れば湯が出てくる。
本当にすごい。
一般的な平民の家ではこのような設備はない。
普通は体を清める方法と言えば、桶に貯めた水で体を拭くだけ。
たまの贅沢で大衆浴場などに足を運ぶ事もあるが、そんなのは年に数度といったところ。
潤沢な湯を提供できる仕組みは裏の小屋にある火属性の魔石に、絶えず誰かが魔力を補填しているからだった。
このお屋敷ではさらにその魔石に恒久的な熱発生呪文を纏わせて、いつでも適温の湯を出せる仕組みを構築していた。
エドワード=ランカスター伯爵の富と財が半端なものではない事を示すのに十分な代物であった。
私は旦那様から許可を頂いているので湯舟に浸かっても良いのだけれど、他の従者の方に申し訳ないので旦那様と一緒に入浴する時以外は一度も利用した事がない。
私がここですることは・・・旦那様に不快な思いをさせぬように身を清めることだけだった。
14歳の身にしては、いささか大きな乳房を撫でるように洗う。
汗の貯まりやすい谷間と下乳の部分は特に念入りに。
局部・・・膣穴と、念のために尻の穴も石鹸を泡立てて綺麗にする。
石鹸なんて生まれてから一度も使ったことがなかったので、最初は貴族の屋敷独特の飾りか何かだと思っていた。
旦那様と入浴した際に、初めて体を洗うために使用するものなのだと知った。
「・・・ごめんなさい。アルフレッド・・・私、たぶん・・・・もう・・・」
私は自分の恋人の名を呼んで謝罪する。
幼馴染で子供の頃から一緒に過ごして来て、このお屋敷に仕え始めるより前に婚約も取り交わしている。
半年後に挙式を上げて正式に夫婦になる・・・予定だ。
でも・・・きっとそれは・・・・叶わないだろうと、私は自らの下腹部に触れながら思った。
そこには旦那様が私に刻んだ印が淡く光を放ち、私に早く堕ちろと主張しているかのようだった。
湯浴みを済ませた私は旦那様の寝室の扉の前に足を運んでノックする。
「旦那様、エマ=ハートリー・・・見参致しました。」
「・・・よく来た。入れ。」
私は旦那様に入室の許可を貰い、部屋に入る。
旦那様は椅子に腰かけて読書をしていた。
私の両親は平民にしては珍しく字の読み書きができる者であったので、私も教わってある程度なら読めた。
旦那様の読んでいる書物は表題に"農耕技術の向上と収穫の効率化"と書かれていた。
エドワード=ランカスター伯爵と言えばとても良い治世を行う者として有名だった。
近隣の伯爵家が傍若無人な振舞いをして、領民を苦しめる事も多い世情でランカスター伯は決してそのような事はしなかった。
もしも平民や農民に領地を移住できる権利があれば、ランカスター領は近隣からの移住者で溢れ返っているだろう。
ただ・・・ランカスター伯は、とても・・・その、お姿というか、顔・・・全身が・・・麗しいとは言い難い様相であった。
体質なのか、普段は質素な食事しかしていないにも関わらず肥え太っており、お顔の方は・・・社交界で女性貴族たちが思わず目を背けるのが常であると言われている。
「・・・相変わらず律義にメイド服を着るのだな」
そんな旦那様が私を見据えて嘆息する。
どうせすぐに脱ぐのだから脱ぎやすいバスローブを纏えと言われていた。
でも私はメイド服を着るようにしていた。
まだ先輩方は懸命に働いているのに、私一人が杜撰な格好などできない。
「俺はすっかりメイド服の構造を覚えてしまったぞ」
そう言いながら私に近づいて、私の服に手をかけ・・・馴れた手つきでメイド服を脱がす。
私を裸にした後、旦那様も着ていた衣類を脱いだ。
すでにモノは怒張していた。
アルフレッドの数倍の大きさはあるソレ。
入れられれば自分の膣と子宮が歓喜の悲鳴を上げる事を私は知っている。
私は旦那様に肩を抱かれ・・・いつもの様にベッドへと誘われた。
下腹部の刻印が灯々と淡く光を放つ。
その光は自身の欲情に応じて輝きを増す・・・淫靡な灯であった。
およそ一か月前
「・・・んっ、ア、、ぃ、そこ、突い、てぇ・・・・ぁあぁッ、あぁ・・・」
私は同棲している恋人のアルフレッド宅にて・・・愛を確かめ合っていた。
初めて情事を重ねたのはつい最近のこと。
『エマ・・・僕と結婚してほしい』
いきなりのプロポーズだった。
けれどそれは別に珍しいことではない。
15歳の成人になるまでは親の仕事の手伝いや出稼ぎ先での激務で異性とのお付き合いを楽しむ余裕など普通はない。
成人後はすぐにお気に召した女性に結婚を求めるというのが慣例で、女性はよほど相手が気に入らないか、他に意中の相手でもいない限りは断らない。
私は14歳になるまで結構な数の男性からプロポーズされていた。
女は成人になっていなくても10歳を越えた辺りから、男性から求められる事はよくある。
ただ売女の仕事をしてしまうと忌避されて婚姻が遅れるか、もしくは出来ない。
私の場合、家の織物を手伝う仕事があったので売女にならずに済んだ。
さらに、自分で言うのもなんだけど私は見た目がかなり良い。
母親譲りの均整の取れた顔立ちで、乳房も豊満。腰つきは赤子を産むための形として優秀な形容をしていた。
なので有り体に言えば、かなりモテたのだった。
ただ私には・・・好きな男がいた。
だからプロポーズされても全て断っていた。
そして、つい先日・・・その意中の相手・・お幼馴染のアルフレッドから告白され・・・その日に私たちは親密な関係を結んだ。
「・・イクよッ、エマ・・・ぅ、あぁぁぁぁ」
「キテ、キて・・・アル・・・アルッ・・・!!」
ビクビクと、彼のモノが私の膣内で震えて先端から子種が放たれる。
「ぁぁっぁあッ・・・で、てる・・・・温かい、アルの・・・赤ちゃん種・・・・私の中にぃ・・・・」
やがて全てを出し切ったアルがモノを引き抜いて、私の頭を腕で抱え込んで抱き寄せる。
「愛してるよ、エマ」
「うん。私も愛してるわ、アル」
チュ・・・と口づけして私たちは抱きしめ合う・・・。
窓の外から月明かりが差し込んでくる。
情事を終えた私たちは眠りにつくまで、互いの事を語り合った。
「アル、良かったわね。農地を譲って貰えて」
「うん。爺さんがもう働くのはキツイからって僕に全部譲ってくれたんだ」
これは破格の事で、普通は財産の分配で揉めて成人したての者に話が回ってくる事はない。
でもアルは近親者がおらず、すんなりお爺さんの財産を譲ってもらう手筈が整ったのだった。
「エマもランカスター伯の御屋敷でメイドとして働けるなんて・・・すごいよ」
これも破格の事・・・どころか、通常はあり得ない話だった。
私のようなただの織物商の娘が勤める事のできる職場ではない。
普通は学校に通い、魔法を使えるような才覚溢れるエリートが就く職業である。
「うん。領主様から気に入られたみたいで・・・お給料もすごいの」
「・・・迂闊に子供は作れないかな・・?」
アルの顔が沈む。
「だ、大丈夫だよ。メイド長さんに聞いたら、出産前と産後はお休みを貰えて、勤務時間は赤ちゃんの面倒を見てくれる施設みたいなのに預けれるんですって」
今度は一転してアルの顔が驚きの表情になる。
「そ、そんな・・・赤子を預ける?・・・信じられない。そんな場所があるんだ・・・」
普通の職場では懐妊して数か月後にはクビである。
働けなくなるのだから当然だった。
しかし子供を出産した後に女性が労働をしないなら、労働力が減少してしまうと、ランカスター伯が試験的に導入した施設だった。
「私達みたいな平民の子供でも学校に通うことが出来るように頑張ってるんですって」
「そんな人の下で働けるなんて・・・光栄なことだね」
「うん。」
私達の未来には輝かしい道が広がっている。
私はこの時・・・そう思っていたのでした。
次の日、私はアルを仕事に送り出してランカスター伯の屋敷へと足を運んだ。
大きなお屋敷の門兵に名前を告げると話がすでに通っているらしく、しばらく待つように言われた。
数分後に一人の年配の女性が門から現れて、
「エマ=ハートリーさんですね?」
私の名前を聞いてきた。
「はい。本日から勤めさせていただく事になっていて・・・」
「存じています。私はジェリー=トンプソンといいます。ランカスター邸にてメイド長を務めています。」
この人が上司になるのかと思いつつ、挨拶を続ける。
「が、頑張りますので、よろしくお願いします。」
「・・・・・ではこちらへ。」
トンプソンさんに案内されて、私はランカスター邸の門をくぐった。
更衣室でメイド服に着替えて廊下へと出る。
「エマ=ハートリー。メイド服は一日使用したなら必ず洗濯をします。」
いきなり仕事の話をし始めるので面食らうけど、私はどうにか返事をした。
「は、はい。でも・・・家に持って帰って洗うとせっかくの綺麗な服が皺でよれてしまいますが・・・」
婦長は溜息をつく。
「このお屋敷で洗うのです。あなたの家に洗剤や柔軟剤はあるのですか?」
洗剤は分かるけど・・・ジュウ・・ナンザイ??
「・・・とにかく使用した衣類はそこの角の洗濯室のカゴの中に入れるように。係の者が次の日に着用する衣類をあなたのロッカーに入れるので出勤したらそれに着替えること。」
「はい。分かりました。」
「それではあなたにはまず清掃を覚えてもらいます。」
それから私はその日一日、トンプソン婦長から清掃を教わった。
庭の掃き掃除から廊下の清掃。窓の拭き方。風呂場のモップ掛けなど。
気がつくと外はもう日が暮れる時間になりつつあった。
「今日はこのくらいにしておきましょう。・・・まだまだ覚える事はたくさんありますが、一つずつ丁寧に覚えていくように。」
「はい、分かりました。」
「明日は明朝8時にエントランスに来るように。もちろんメイド服に着替えてからです。」
「はい。」
「それではお疲れさまでし・・・・」
そこで解散となりかけたのだが突然、婦長が耳に手をやって・・・
「はい、トンプソンです。・・・はい・・・・・はい・・・・・え?・・・今から、でございますか?・・・いえ、もう今日の業務は終了しましたが・・・・しかし、なぜ・・?」
(え・・・?え?・・・ひ、独り言?)
婦長が一人で喋り始めた。
その後もまるで誰かと会話してるかのような口調で独り言を喋り続けて、耳から手を離す。
「・・・驚かせてしまいましたね。コール・リ・サインの魔法は初めて見ましたか?」
「い、今のが魔法・・・なのですか?」
話には聞いた事があるけれど、それは火を起こすとか水を出すとか・・・そういった原始的なものしか知らない。
「そうです。遠く離れた者との会話が可能になる魔法です。」
そんな魔法もあるなんて初めて知った。
「あなたは魔法が使えないのでしたね。」
「す、すいません。」
私は恐縮する。
本来なら伯爵家に仕えるメイドなら使える事が採用の必須条件のはず。
今の魔法だって・・・
「たぶん・・・他の方はみんな使えて、お屋敷の中での連絡のやり取りに使用しているのですよね・・・?」
婦長が驚いた顔をする。
「・・・・・今のやり取りだけでそこまで察する事ができるなら上出来です。コール・リ・サインの魔法は効力を封じ込めた板状の魔具があります。あなたにはそれを使用してもらいます。」
「わ、分かりました。」
きっと・・・とてつもなく高価なもののはずだ。
絶対に壊したり失くしたりしないようにしないと・・・。
「それよりも・・・・旦那様があなたをお呼びになっています。」
私はきょとんとした顔をしてしまう。
「え・・・?わ、私を・・ですか?」
旦那様・・・エドワード=ランカスター伯爵とはここの採用面接の時に一度お会いした事がある。
元々、私は駄目もとで採用面接に挑んだ。
案の定、魔法が使えないと言った途端に向かいに座っている執事・・・面接官の顔が"話にならない"と呆れ顔になった。
丁重にお断りされて帰されそうになったところに・・・
『・・・採用だ。』
突然、今まで黙って隣に座っていた男性が採用判断を下した。
その男性こそがエドワード=ランカスター伯爵であった。
「い、一体私に・・・・・何の用事・・・なのでしょうか?」
「分かりません。とにかく寝室に来るように、とのことです。」
私は困惑する。
こんな下っ端新人メイドに一体何の用があると言うのだろう?
困惑しているのは婦長も同じだったようで、
「あなた・・・一体何をしたのですか?旦那様が直接名指しで一介のメイドを呼ぶなど・・・通常ではありえない話です。」
と、驚きの声を上げていた。
その後、粗相の無いようにと言われて、旦那様の寝室の場所を教えて貰い・・・私は旦那様の元へと向かった。
僕はその日の農作業を終えて帰宅する。
まだ正式な婚姻は結んでいないけれど、僕には一緒に住んでいる恋人がいる。
エマ=ハートリー。僕の幼馴染。
子供の頃からずっと一緒にいて仲が良かった。
すごく綺麗な娘だと有名で、10歳になった時点で成人を迎えた複数の男からプロポーズされていた。
しかし彼女はその全てを断っていた。
好きな男がいる、との事だった。
『エマ・・・誰の事が好きなの?』
と、僕が聞くと、
『・・・・・・・・・内緒』
頬を赤らめて言うのだった。
そして先日・・・僕は成人したのを機に彼女にプロポーズした。
他の男同様、僕もフラれるのを覚悟してのことだった。
でも・・・
『はい・・・。ふつつかものですが、私で良かったら・・・喜んで。』
彼女は目の端に涙を浮かべて僕のプロポーズに応えてくれた。
好きな男というのは僕の事だったのだと、この時に初めて知った。
『・・・・・・鈍感。』
そう言って彼女は僕に抱き着いてきてキスしたのだった。
家のリビングの椅子に座って僕は彼女の帰りを待つ。
幼い頃に両親が荷馬車に跳ねられて死んで以来、この家には僕しか住んでいなかった。
でもプロポーズして、その日に僕はエマと情事を重ねて彼女と同棲を始めた。
一人きりだった寂しい家に色が付いたかのようだった。
彼女の肌の温もり、匂い、乳房の柔らかさ。
全てが愛おしい。
お腹が空いていたけれど、御飯よりも先に僕は彼女を抱きたかった。
拒む事はしないはずだ。
キスして豊満な乳房に顔を埋めて、ピンク色の綺麗な乳首を口に含んで・・・
彼女のすすり泣くような喘ぎ声を聞きながら自分のモノを彼女の膣に入れる。
エマの膣内はとても暖かくて柔らかい。
けれど左右からキツく締めてくる。
僕の・・・僕だけのエマ。
彼女のカラダの気持ち良さを知っているのは世界でただ一人、僕だけなのだ。
「早く帰ってこないかな・・・」
僕はギンギンに勃起させて、恋人の帰りを待った。
でも・・・その日、エマは帰って来なかった。
次の日も、その次の日も・・・そのまた次の日も・・・・・彼女は帰って来なかった。
・・・・・・もう二度と・・・僕がこの家で彼女と共に過ごす事は無かった。
・・・その声を聞く事も、体を重ねる事も・・・・・永遠に無かった。
彼女が帰って来なくなってから三日目。
僕はランカスター伯爵の屋敷に向かった。
門番の人に、
「エマ=ハートリーという女性が働いているはずなんです。会わせてください。」
と、言うが・・・文字通り門前払いを受けた。
それでも僕は何日も何日も足を運んで、門番に言い募った。
「エマに・・・エマに・・・会わせてくれッ!!・・・僕のフィアンセなんだッ!・・・ここにいるはずなんだッ!!!」
でも門番は全く聞く耳を持ってくれなかった。
その日も・・・いつもの様に僕はランカスター邸の門番にエマに会わせてくれと詰め寄っていた。
すると門が開いて一人の女性が現れた。
「・・・・アルフレッド=ウィリアムさんですね?」
随分と落ち着きのある女性だった。
「私はランカスター伯爵に仕えているジェリー=トンプソンという者です。不肖ながらメイド長などをさせていただいています。」
「あ、あのッ・・・エマが・・・エマ=ハートリーという女性がここで働いているはずなんですッ!!」
僕がそう叫んで尋ねると、
「・・・はい。彼女は今もこのお屋敷にてメイドの仕事に従事しています」
ようやく、ここにエマがいるという情報を聞き出せた。
「会わせてくださいッ!!・・・・エマに、会わせてくれッ!!!」
「・・・彼女からの伝言です。」
トンプソンさんは僕の要望には返事をせず、エマからの伝言を話す。
「今月の終わりに、もう一度ここに来て欲しいとの事です。それまではあなたに会えないとも言っています。」
「な・・・なぜ?どうして今、会えないのですかッ!?」
「・・・・・・・・」
トンプソンさんは憐憫の目を僕に向ける。
「・・・お話は以上です。それでは今月末にまたお越しください。」
そう言って彼女は屋敷に戻っていった。
僕はトボトボと帰宅して、また一人きりになってしまった家に入る。
ベッドに腰かけて・・・
「エマ・・・エマッ・・・・」
自分で自分を慰める。
彼女の匂い、柔らかさ、温もり、声・・・・思い出しながらモノを擦り上げる。
「・・・・うッ・・・・・」
ビュルビュルと・・・僕は射精する。
「はぁはぁ・・・」
早く・・・早くエマに・・・・エマの子宮にコレを注ぎ込みたい。
赤子を宿すその場所を・・・僕の子種で満たしたい。
僕の子を孕ませたい。
エマに僕の子を産んでほしい。
でも・・・・・・・その願いが叶う事はなかった。
彼女に触れる事すら・・・僕はもう出来なかった。
約束の日になった。
僕は足早にランカスターの屋敷へと足を運ぶ。
門番の人に約束がある事を告げてしばらく待つ。
門から女性が出てきた。
・・・エマではなかった。
「おはようございます。ウィリアムさん。」
「・・・トンプソンさん・・・・エマは、どこにいるんですか。早く会わせてください。」
トンプソンさんは懐から何かを取り出して僕に渡した。
「これは・・・?」
「映像を記録する魔具です。」
魔具・・・聞いた事がある。
魔法の力を封じ込めて魔法の使えない者でも魔法を使うことが出来る道具だ。
でもそれはとても高価なもので、こんなに簡単に人に渡せるようなものではないはずだ。
僕が困惑していると、
「そこのツマミを押してください。映像が流れます。エマ=ハートリーからの伝言が記録されています。」
僕は急いでそれを押そうとするが・・・
「ここでは見ないようにッ!!」
トンプソンさんがものすごい大声で叫んだ。
僕も近くにいた門番の人も驚く。
「・・・失礼しました。その記録はエマ=ハートリーの極めてプライベートなものです。決してあなた以外の者の目に留まらぬよう注意してください。」
「・・・・・エマに会わせてはくれないのですか?」
トンプソンさんはやや顔を曇らせて何かを言いかけるが・・・
「・・・それは私からお話しする事ではありません。帰宅してそれをご覧になればおわかりになられるかと思います。」
結局、どういう事なのか教えてはくれなかった。
仕方が無いので僕はその記録用の魔具を持って踵を返す。
トボトボと歩き出そうとした僕の耳にトンプソンさんの独り言が届いた。
「・・・かわいそうな人。」
僕は自宅に戻ってリビングの椅子に腰かけて魔具を机に置く。
押せと言われたツマミを押した。
ヴォン、という音と共に一人の女性が現れた。
「エマ・・・エマッ!!」
まごう事なき愛しの女性が目の前にいた。
僕は彼女に抱き着こうとする。
だが・・・
「・・・ッ!?・・・え?・・・・な・・・」
すり抜ける。
それはただの映像だった。
その映像の中の彼女が話始めた。
『・・・アル・・・・あのね、私・・・・・』
しかし・・・音が出ない。
代わりに字幕が流れていた。
「・・・聞こえないよ・・・エマ。声が、聴きたいんだ。君の声が・・・ッ!!」
僕は字が読めないから、字幕に何が書かれているのか分からない。
声が・・・聴きたい。
あの鈴の音が鳴るような・・・僕の大好きな君の声が聴きたいんだ・・・
でも魔具からは一切の音が流れてこない。
『ランカスター伯爵と・・・エドワードさんと結婚する事になったの』
エマが何かを話している。でも分からない。
何を言っているのか分からない。
『本当にごめんなさい。あなたには申し訳ないと思っているわ。でもね・・・もう、私・・・旦那様を・・・愛してしまったの。』
映像の中の彼女が頬を赤く染めた。
『お傍でずっと旦那様を支えてあげたいの。だから・・・あなたには、もう会えません。』
真っすぐ僕を見つめて何か・・・決定的な事を口にした。
『今から私と旦那様が本当に愛し合ってるってところをちゃんと見せるわ。決して無理矢理にされてるワケじゃないってあなたに分かってほしいの』
エマの横から男が現れた。
知っている。
領主のエドワード=ランカスター伯爵だ。
映像の中の二人が見つめ合って・・・
『・・・んっ、チュ、チュパ・・レロ、んぅ・・・チュ・・・・』
キス・・・した。
舌を絡ませ合って、抱き合って・・・・・
「ア・・・あ、ぁ・・・な、なんで・・・エマ・・・うそ、だ・・・・こんな・・・・」
映像の中の二人はキスしながら器用にお互いの服を脱がしていく。
手慣れている感じがヒシヒシと伝わってくる。
きっともう何度も情事を重ねたのだろう。
エマが伯爵の上半身に舌を這わせながら跪いて、ベルトを外し、伯爵のズボンと下着を下ろした。
伯爵のソレを見て僕は驚く。
僕の数倍は大きい。
その大きなイチモツをエマは・・・うっとりとした表情で見つめていた。
欲情している女の顔だった。
そして、右手で伯爵のモノを掴んで、左手で髪をかき上げ、口を大きく開けて・・・
『・・・ぁ、んぅ・・・・』
咥えた。
僕以外の男のチンコを、とても幸せそうに。
『・・ン、ジュ・・・ジュリュ、ちゅ、・・・レル、ちゅぱッ、ジュル・・・ちゅ・・・・』
頭を前後に動かしながら口の端を泡立てて、エマの唾液と伯爵の先走り汁の混ざったものが垂れて、エマの丸見えになった乳房の上に垂れた。
『・・・旦那、さま・・・ん、・・・キモチ、イイ・・・ですか・・・?』
『あぁ・・・とても上手になった。すっかり俺専用だな。』
『うふふ。毎日、旦那様が調教してくださったおかげです。』
映像の中の二人が何かを話している。
全て字幕になって流れているから、それを読めれば何を言っているのか分かるが・・・・僕は字が読めない。
伯爵がエマの頭をがっしりと掴む。
それを合図にエマは頭を動かすのを止めて手をだらしなく下ろして肩の力を抜いた。
そして・・・
『ンゥッ!!、ジュ、、ボ、ジュリュ、、んぉ、・・・ジュッポ、ジュリュ、んぶッ、おぼぉッ、・・・ングッ・・・・』
伯爵は思いっきり腰を振って彼女の喉奥にその大きなイチモツを突き入れ始めた。
「・・や、やめろ・・・そんな激しくしたら、エマが・・・エマが、壊れてしまうッ・・・やめろォッ!!」
僕は映像の伯爵に向かって手を振りかざす。
しかしその手は空しくすり抜けて、映像の中の人物の蛮行を止める事はできない。
『エマ・・・出すぞッ・・いつもの様に全て飲み干すんだ。お前はもう俺のものなのだと・・・分からせるんだッ・・』
伯爵が何かを言って、エマはそれに頷く。
勢いよく伯爵がモノをエマの喉奥に突き込んで・・・伯爵の体が痙攣する。
『んぅうぅううぅッッッ!!』
エマの喉が波打って蠢く。
伯爵の出したモノを全て嚥下していた。
やがて射精を終えた伯爵がズリュ・・・と、エマの口からモノを引き抜く。
『・・・ん、こほっ、、ン・・・はぁはぁ・・・・旦那、様・・・・』
エマが伯爵を見つめて・・・
『お掃除・・・いたしますね♡』
再び伯爵のソレを持って口に含み、
『んチュ・・・チュゥゥゥ・・・・』
尿道に残った精液を吸い上げた。
その姿は完全に・・・主人に奉仕するオンナのものであった。
エマは愛おしそうにペロペロと伯爵のモノを舐め続けて・・・再びモノを怒張させた。
『さぁ、エマ・・・おいで。俺との間に赤子を作ろう。』
『はい、旦那様♡』
伯爵がエマを立たせて、すぐ隣にあったベッドに彼女を横たわらせる。
エマは自ら進んで足を開いて腰を浮かせた。
伯爵は当たり前の様に、エマの股の間に鎮座して自身のモノをエマの秘所に持っていく。
コスコスと先端でエマの膣穴を探って・・・
『・・・ん、ぁ・・ッ・・・・』
先っぽが彼女の膣内に入り・・・・伯爵が彼女の腰を掴んで、一気にモノを突き入れた。
『・・ぁッ、ん、ぁぁっぁあぁ・・・・』
全てを刺し込まれて、エマは嬌声を上げる。
『・・・動くぞ、エマ。』
『・・・はい。存分に私を犯してくださいませ・・・旦那様。』
僕は食い入るようにその映し出されている映像を見ていた。
『・・ぁあっぁっぁ・・・ひぅッ、旦那、さ、まぁ・・・お、っきぃ、、よぉ・・・』
好きな女が自分とは違う男に抱かれて喘いでいる。
悔しくて、惨めで・・・胸が引き裂かれるような思いをしていた。
でも・・・
「エマ・・・あぁ、そんな色っぽい表情を・・・僕とした時とは比べ物にならない・・・・」
僕は自身の下半身を露出させてモノを擦っていた。
エマがキモチイイ、キモチイイ・・・と喘ぎ、口の端から涎を垂らして、伯爵がその口を自身の口で塞ぎ、舌で彼女の咥内を蹂躙して・・・
「・・エマ・・・僕のエマなのに・・・ぁあぁ、、うッ・・・・」
ピュルピュルと僕は射精する。
すでにもう何度も達していて、床には僕の出した白濁液が行く宛てもなくベチャァ・・と広がっていた。
『・・んぅッ、旦那、様ッ・・・もっと、わたし、を・・・・メチャクチャに、してぇッ・・・あっぁっぁんッ・・・』
『・・・あぁ、メチャクチャにしてやる!お前は俺のモノだ。何度も何度も犯して孕ませて俺の子を産ませてやるからなッ!!』
僕では決してできない激しい腰の動きでエマを壊そうとする。
「そんなに強くしたらエマの子宮が潰れてしまう・・・」
僕はエマの体を気遣うが・・・
『壊して、壊してぇ・・・私の、子宮・・・もっと、突いて、、潰してぇッ・・・』
当のエマ本人は伯爵から壊される事を望んでいるかのように、彼のピストンに合わせて腰を上下に動かしていた。
そして僕は心配しながらも、その痴態を見て興奮を覚えて自身のモノを勃起させてオナニーしていた。
伯爵がエマを抱きかかえて騎乗位にする。
今度はエマが腰を激しく前後に振って伯爵を喘がせる。
『・・ふふ、・・・旦那、さま・・・キモチ、イイ・・・・でしょう?』
『あぁ・・・最高だ、エマ。・・・・よくここまで出来るようになった。』
『愛しい旦那様のためですもの・・・・・私、あなたのためなら何だって・・・・んぅッ!!、ぁんッ・・・・ぁ、まだ、私が、動きますからぁ・・・・そんな突き上げちゃ、らめぇっッ‥‥』
伯爵から突き上げられるのと同時に、乳房を下から持ち上げられて揉まれ・・・エマは背を仰け反らせながらパシャパシャと漏らした。
やがてエマが伯爵の上で繋がったまま後ろ向きに回って、伯爵が起き上がりエマを後ろから抱え込んで後背位に移行する。
僕ではこんなにエマと息を合わせて体位を変えるなんて芸当はできなかった。
エマは伯爵とのセックスで僕とは出来なかった事を教え込まれて、それを実践していた。
彼女が後背位の姿勢で腰を少しだけ上に突き出して・・・
『旦那様・・・また今夜も私を動物に・・・"メス"にしてくださいませ。』
エマが欲情したメス顔をしながら何かを言うと、伯爵は腰を激しく動かし始めた。
映像の二人がまるでケダモノのように繋がっている。
「・・・ウッ・・・・」
僕はまたピュルピュルと射精する。
愛しい女性の淫らな姿。
僕では彼女のこのような姿を引き出すことなんて、生涯を賭しても出来なかっただろう。
伯爵との男としての格の差を思い知らされる。
エマもまたそれを感じているはずだった。
『ぁっぁっぁあぁあぁ・・・・キモち、ぃ・・・キモチぃ・・・セックス、こんなに・・・・きもちぃぃッ・・・・』
彼女の表情が悦楽の底に沈み込んで淫らなモノへと変わっていく。
普段は上品さを兼ねた美しいその顔が、今は下品に男に犯されて悦ぶオンナの顔になっていた。
『旦那、さ・・・まぁ・・・・・んぅッ、ぁぁ・・・今日は、・・・しつこい、あの人、に・・・・・見せつける、からッ・・・・・もう無理なんだ、ってぇ・・・・分からせて、あげてぇ・・・・』
『おぉ、そうだったな。アルフレッド君、聞いていたかな?いつもなら正常位で最後を決める。フィニッシュは正常位でするのが、エマは一番悦ぶからな。』
『もぉ・・・旦那様、よその男に私の性癖をバラさないで下さいませ。』
『よいではないか。アル君はもう君に触れる事すら出来ないのだから。』
『うふふ。それもそうですね。・・・聞いてた、アル?これから旦那様に子種を注いでもらうのだけど、いつもは正常位でして貰ってるの』
二人が何かを楽しそうに話している。
まるでそこにいない誰かを小馬鹿にして愉しんでいるかのような雰囲気だった。
字幕が流れているが僕は読めない。
二人の会話すら僕には分からない。
『でも、今日はあなたが私達二人の間に入ってくる事なんて無理なんだって分かってもらうために、私が旦那様から精液を注がれるところをじっくり見ていて欲しいの。』
伯爵が力強くエマを後ろから抱きかかえて、こちらを向く。
ベッドの端にそのまま腰かけて・・・エマと伯爵が繋がっているトコロが僕から見て丸見えになった。
『私が旦那様からザーメン注がれて絶頂するところ・・・しっかり見ててね。それを見ながらシコシコしても良いけど・・・もう私達に付きまとわないでね。』
エマが何かを言い終えると伯爵は腰を上下に突き動かし始めた。
『・・・ぁぁっぁ、旦那、さ、まぁ・・・旦那さまぁッ・・・・奥の方、もっとゴリゴリ、グチャグチャに、してぇぇッ・・・』
エマの膣穴は・・・もうすっかり伯爵のモノに合わせて拡張されて、ドドメ色のグロまんこになっていた。
もうそこには僕の知っているエマの綺麗な秘所はなかった。
エマの愛液を絡ませた伯爵のデカチンコが彼女の膣口を乱暴に押し広げながら出し入れを繰り返す。
プシャァァッァァァ・・・と、エマが潮を吹いた。
ガクガクと痙攣してエマがみっともないイキ顔を晒している。
大きな乳房が伯爵の動きに合わせて上下左右にブルンブルンと揺れる。
伯爵がその乳房を後ろから握り潰すかの如く強く握り込む。
『・・・ぁぁっぁ、旦那さ、ま・・・そんな、強く・・・・んぅッ、、ぁぁっぁあぁっぁッ・・・・』
エマの秘所からトロトロと彼女の愛液と伯爵の先走り汁の混ざり合った液体が滴っている。
『エマ・・・そろそろイクぞ。俺の子種を受け取れ。』
『はい・・旦那、さ、まッ・・・私を、孕ませてくださいぃ・・・』
伯爵が体勢を整えてさらに強くエマを突き上げて犯しはじめる。
『・・あぁっァぁぁぁっ、ぁぁぁ・・・・キテ、キて・・・・子宮に、旦那さまのぉ、、、濃い、の・・・いっぱい、注いでぇぇぇッッ・・・!!』
『・・・イクぞ、エマッ、、、エマッ・・・・ぅおぉぉおおおぉッ・・・』
二人が一緒にビクンッ、と震えて一つになった。
繋がっている局所を見ると伯爵のモノが膨れてビクビクと痙攣して、自身の精液をエマの子宮に注いでいた。
エマの下腹部がフルフルと悦びに震えてそれを受け入れている。
二人は射精している間キスして舌を絡め合わせていた。
その二人は・・・恋人同士だった。
やがて全ての情事を終えて二人は脱力する。
でもエマと伯爵は微笑み合って、繋がったままキスを続ける。
伯爵のイチモツが・・・あんなに長い間射精して、たっぷりエマの子宮に赤子の種を注ぎ込んだというのに、再び固さを取り戻してエマの子宮口をグリグリと弄っていた。
これよりもさらに続きがあるのは明白だった。
僕は・・・
「あぁ・・・もっと、もっと見たい。エマの・・・淫らな姿、もっと見せてくれ・・」
自身の・・・伯爵のモノと比べると小さすぎる・・・普段は皮を被っているそのイチモツをコスコスと擦りながら何度も射精して、今もなお勃起させている。
映像の二人は今の体勢から移行しようとして・・・
ブツン・・・と、そこで映像は終わった。
「あぁ・・・なんでッ・・・もっと、もっと見せてください、伯爵様ッ・・・エマッ・・・・君の淫らな姿が、見たい・・・見たいんだぁ・・・・」
しかしそれ以上の映像は記録されていない。
僕はその続きを知る事はできない。
だから・・・
「エマ・・・エマッ・・・・」
想像した。
きっと今夜もエマと伯爵は体を結び合って愛し合う。
それを想像して・・・
「・・・うっ・・・・・」
ピュルピュルと射精する。
床にはもう何度放ったか分からない僕の精液がベチャベチャと汚らしく広がっている。
射精しても射精しても勃起が収まらない。
その日、僕の脳は壊されてしまった。
エマとのセックスを思い描くより、エマが他の男と・・・伯爵と愛し合ってるところを想像しながらオナニーをするようになった。
気がつくともう時刻は夕刻になっていた。
さすがに出し疲れて我に返り・・・目の前の光景を見る。
自分以外は誰も居ない空虚な家に、僕は下半身を丸出しにしながら一日中オナニーに耽り、床には僕が出した汚い精液が広がって、無意味に死ぬのをただ待っている。
「・・・う、ゥ、、ヒック・・・エマ、、、エマァ・・・ぅぅ・・・・」
僕は半べそを掻きながら雑巾とバケツを持ってきて、自分の精液を拭き取る。
伯爵の精液はこれからもエマの子宮に注がれて・・・その中の一つがエマの卵子と結びつき・・・・やがて彼女の子宮は伯爵の赤子を宿す事になるだろう。
僕の精液はこれからも無意味に放出されるだけで、エマの卵子と結びつく事は決して・・・永遠にない。
夕日が沈み、その寂しい色の陽が部屋に差し込み、遠くでカラスが鳴いている。
僕はまた一人ぼっちになったこの家で・・・自身の出した子種を拭き取りゴミとして捨てる。
ただそれだけで一日が終わる。
それは僕の人生の在り方をそのまま表している・・・惨めな男の姿だった。
それから一年後
今日はエドワード=ランカスター伯爵の結婚日だった。
晴れ渡る晴天で、ランカスター夫妻を祝福しているかのようだった。
お相手はエマ=ランカスター。
庶民の出であり、玉の輿というやつだった。
その見目は麗しく、清楚で淑やかな女性であり、決して裕福な家庭で育ったわけではないので庶民の世情を理解する・・・領民からとても慕われる奥方であった。
二人を乗せた煌びやかな馬車が僕の住んでいる村の通りを通る。
新婦の生まれ育った場所なので結婚パレードの通り道として選ばれていた。
ここは僕とエマが子供の頃から遊んでいた思い出の場所でもあった。
その場所を二人の乗った馬車が無粋に踏みにじっていく。
周囲はランカスター夫妻を祝福する声で溢れていた。
なぜなら領主のランカスター伯は、とても良い治世を行うので領民たちにとても慕われているからだ。
馬車の上で新婦が・・・エマが手を振っている。
護衛がしっかりと付いているので一般の観衆は一定以上の距離には近づけない。
しかし遠目から見てもその麗しさは人々の目を奪った。
一般の人間であった頃には出来なかった美麗な化粧を施し、上品なドレスに身を包んだ彼女はひたすらに美しかった。
下腹部に目をやると・・・膨らんでいた。
すでに伯爵の子を身籠っているとの事だった。
時期から考えて・・・僕の子ではない。
全ての人が祝福の目を向ける中・・・僕だけは憎しみと恨みと怒りの目を・・・彼女に向ける。
よくも僕を裏切ったな。よくも僕を捨てたな。よくも僕を傷つけたな・・・よくもよくもよくもッ・・・・
きっと僕の身分ではもう彼女をこんな真近で見ることなんて出来ないから、せめてここで僕に気づいてほしかった。
自分が捨てた男が今でも恨みを抱いて生きている事を知ってほしかった。
彼女が手を振って視線を流していく。
もう少し・・・もう少しで僕のいる場所に彼女の目が向く。
エマの瞳に僕の姿が映ろうとしたその瞬間・・・
隣にいた新郎・・・ランカスター伯が彼女を呼んだ。
彼女の視線が外れ、自身の夫に向けられて・・・二人が何かを話して、愛おしそうにお互いを見つめ合い・・・僕の目の前で二人はキスをした。
周囲から歓声が上がる。
・・・エマは・・・・・僕に気づかなかった。
その瞳に僕の姿を映す事すら無かった。
やがて二人を乗せた馬車は僕から遠ざかっていき・・・見えなくなった。
これが・・・かつて想い合い、愛し合った幼馴染の女の子との最後の邂逅だった。
僕はトボトボと家に帰り、いつもの様に貰った魔具のツマミを押す。
映し出される一人の女性。
その淫らな姿。
普通の人は、あの清楚なエマ=ランカスター夫人のこのような淫靡な姿を知る事はない。
彼女は有名になったので、絵画が描かれ売られていた。
とても見目麗しいから、中には淫猥な表現で描かれるものもあった。
しかも最近になって出回り始めた印刷用の魔具のおかげで、誰でも安くエマの絵画が手に入るようになった。
だから今ではエマでオナニーをする男はたくさんいる。
しかし彼らはエマのリアルの肢体を・・・その乳首や秘所を見る事すらできないのだ。
僕はそれを見てオナニーをする事ができる。
音は出ないし、字幕の字を読む事も僕にはできないけれど・・・エマの淫猥な姿を見る事はできる。
それだけが僕に持てる唯一の優越感だった。
いつものようにその映像を見てシコシコとモノを擦り、射精する。
働き、帰宅して、安物のパンを食し、エマと伯爵のセックス映像を見ながらオナニーして、寝る。
この習慣は魔具の魔力が切れて動作しなくなって、エマの姿を永遠に見ることが出来なくなり・・・僕が発狂してしまうその日まで続くのだった。
─ 私と旦那様との馴れ初め ─
私は旦那様に呼ばれて寝室へと向かう。
今日が初の出勤で目の回るような忙しさの後、メイド長のトンプソンさんから解散を告げられようとした時に突然、旦那様からお呼びがかかったのだった。
トンプソン婦長にとってもこんな事は初めての事であったらしく、困惑していた。
くれぐれも粗相の無いように、と念を押され・・・私は送り出されたのだった。
コンコンと、旦那様の寝室の扉をノックする。
「あ、あのッ・・・エマ=ハートリーです。ここに来るように言われたのですけれど・・・・」
一つ間を置いてから・・・
「よく来た。入りなさい。」
と、ランカスター伯爵の声がした。
「失礼します。」
私はそう断って扉を開けて中に入った。
その部屋は決して煌びやかなものではなかった。
けれどみすぼらしいわけでもない。
質素ではあるが気品も兼ね備えている。
主の心情を表しているかのような部屋だった。
その部屋の椅子にランカスター伯爵が座っていた。
「あ、あの・・・旦那様・・・・えっと、どのようなご用件で・・・?」
「・・・こちらに来なさい。」
私は手招きされたので旦那様の前まで来る。
すると旦那様は立ち上がって・・・何かをブツブツと唱え始めた。
最初はあの遠くの人と会話できる魔法を使っているのだと思った。
でも・・・様子がおかしい。
旦那様がブツブツ言うのを止めると、ポゥ・・・と旦那様の右手が淡く光った。
その手を私の下腹部に当てて・・・
「・・・ぇ?・・・・・ッ、ん、ぁ・・あぁっぁ・・・・・」
膣が、子宮が・・・切なく痺れ始めた。
「・・・ぁ、ぃ、や・・・なに、これ・・・・んぁぁっぁぁ・・・・」
「こっちに来い」
とんでもない快感が押し寄せて倒れそうになる私を旦那様は掴んで、ベッドへと連れて行き・・・
「・・・きゃッ・・・・」
私は押し倒される。
上に跨られて乱暴に衣服を剥がされて・・・下着も剥ぎ取られ、旦那様も裸になって・・・・
そこでようやく私は自分が強姦されているのだと気づいた。
「い、やぁ・・・ッ・・・だ、れか・・・誰かッ・・・・んぅッ!?」
キス・・・された。
恋人のアルフレッド以外に、された事なんてなかったのに。
「んぅ、、ぃやッ・・・ン、チュ、、、んちゅ、チュル、、、レル・・・・ちゅぱッ・・・・」
無理矢理に舌をねじ込まれる。
「・・・チュ、チュル・・・んぅ・・レロ、チュパ、チュ・・・・ちゅるッ、レル・・・・」
私はもっと抵抗しようとしたけれど、旦那様が何かした下腹部に熱が走って・・・キモチ良くて・・・・・
「・・・ぁあっぁアああぁッ・・・・・」
舌を首筋に這わされただけで私はバシャバシャと潮を吹いてしまった。
旦那様が私の乳房の間に顔を埋めて、両手の指で私の乳輪を摘まみ上げる。
「・・・ん、やめ、てぇ・・・・いやぁ・・・・助け、て・・・・アル・・・・・アルッ・・・・・・」
私は恋人のアルフレッドの名を呼んで助けを求めるけど、その声が彼に届くはずもなく・・・・
旦那様が私の乳首を口に含み、舌先でコリコリと弄ぶ。
パシャァァッァア・・・・と、私はまた漏らしてしまう。
アルフレッド以外の男にレイプされて感じてしまって・・・二度もイカされてしまった。
その事実に私はショックを受けて・・・抵抗する意思が無くなってしまった。
旦那様がぐったりした私の足を広げて・・・その大きなモノを私の秘所に宛がって・・・・
「・・・ぁあっぁあ・・・入れ、ないでぇ・・・・い、ぁ・・・・あっぁあぁァ・・・」
私の拒絶の言葉など全く聞く耳も持たずに、旦那様は私の膣に全てを入れ込んだ。
(アルのと・・・全然ちがう・・・・こんな、おっきい・・・子宮が、押し潰されてる・・・・)
形も歪でカリ首が私の上壁をゴリゴリと擦り上げた。
「・・・ハァハァ・・・旦那、さ、ま・・・・あ、っぁっぁぁぁあぁ・・・ま、って動かな、・・・・あぁっぁんッ・・・・」
ゴッゴッ、と物凄いストロークで私の膣内を蹂躙し始める。
ふとお腹を見ると・・・何かの紋様が浮き出ていて淡いピンク色の光を発していた。
それは女性を激しく欲情させる。
一度犯した後も残り続けて、術者とのセックスの際に本気で拒絶の意思を示さなければ決して消えず・・・・その光が満ちてしまった時に術を施した相手を強制的に愛してしまう。
旦那様が私に掛けた・・・"愛の呪い(ラヴァーカーズ)"という魔法だった。
全てが終わって、私は旦那様に抱かれて眠りについていた。
目を覚ますともうすっかり夜も更けていて・・・時計の針は夜中の一時を指していた。
私は起き上がる。
ベッドから出ようとすると・・・
「どこに行くのだ。」
旦那様が私の腕を掴んだ。
「・・・家に、帰ります。」
アルに・・・会いたい。
・・・・帰りたい。
「腹にそんなモノを印したままでか?」
私は自身の下腹部を見る。
淫猥な印が刻まれていた。
それはアル以外の男と"愛し合った"という印でもあった。
「・・・お願いです。消して、ください。」
アルに知られたくない。
絶対に。
「消せないな。その印は・・・」
私はこの印の事を説明された。
旦那様とセックスをして本気で私が拒絶しない限り、この印は消えない。
さらにこの印の光が満ちれば私は強制的に旦那様に愛情を感じるようになってしまう・・・との事だった。
つまり・・・私は少なくともあと一回は旦那様とセックスしなければならないという事で・・・その事実は私を絶望させた。
印をよく見ると下の方だけがわずかに淡く光っていた。
「その光はお前の心情によって満ち方が変化する。お前が私を受け入れればその分だけ多く光が満ちていくのだ。」
私はその説明をただ呆然と聞くしかなかった。
「・・・・どうして・・・私、旦那様のこと・・信じていたのに。ランカスター伯爵は・・・素晴らしい領主様だって・・・思っていたのにッ!!」
私は旦那様の手を振り払ってベッドから降りる。
脱がされた衣服を着こんで・・・寝室から出た。
この屋敷の廊下は日が暮れると自動的に魔法のランプが灯される。
今はそんなに明るい照明度に設定されておらず、辛うじて先が見える程度の照明であったけれど・・・完全な暗闇には落ちていなかった。
旦那様の寝室から飛び出して行く宛てもなく彷徨っていると、私は扉がわずかに開いて光が漏れている部屋を見つける。
その扉を開いてみると・・・そこにはトンプソン婦長が机に座ってノートを見て何やら書き込んでいた。
どうやらそれは日記の様だった。
今日あった出来事を記しているのだろう。
(今日・・・あった出来事・・・)
私は思い出してしまって思わず、すすり泣く。
「・・・誰ですかッ!?」
トンプソン婦長が驚いて振り返る。
夜中にいきなり背後で女のすすり泣きが聞こえたのだから、驚くのは当たり前だろうなと思った。
「ぇ・・・?エマ=ハートリー・・・なのですか?・・・なぜまだ屋敷にいるのです?もうとっくに帰ったものだと・・・」
「トンプソン・・婦長・・・・・ぅ、ぁ・・・あぁぁっぁぁぁ・・・」
私は遂に泣き出してしまった。
トンプソン婦長が驚いて私に近づき、崩れ落ちる私を抱きかかえてくれた。
「どうしたのですかッ!?・・・落ち着きなさい。何があったのですッ!?」
私はひとしきり泣いた後に先程あった事・・・旦那様にレイプされた事を全て話した。
全てを話して俯いていた私が顔を上げると、そこには顔面が蒼白になっているトンプソン婦長がいた。
そして次第にその形相を憤怒のものへと変えて、部屋から出て行った。
「ト・・トンプソン婦長・・・ッ・・」
私は慌てて婦長の後を追う。
婦長は旦那様の寝室に強くノックをして、返事も聞かずに部屋に入っていった。
しばらくして・・・婦長と旦那様が怒鳴り合う声が部屋の中から聞こえ始める。
「何を考えているのですかッ!!あなたはッ!!!」
「・・・伯爵の地位の者には領民の女性を性欲処理のために徴収する権利があるッ!!」
「このようなやり方で女性を手籠めにしてッ・・・・・恥を知りなさいッッ!!!」
「・・、うるさいッ!!俺が普通のやり方で女を口説けるワケがないだろうッッッ!!!」
・・・これが昼間であったなら使用人たちが集まって来ていたことだろう。
その後も互いに怒鳴り合いが続いて・・・
トンプソン婦長が疲れた顔で出てきた。
私の顔を見て、泣き出しそうな表情になり・・・私を抱きしめた。
「・・・あなたには・・取り返しのつかない事を・・・してしまいました・・・・私が・・・私がもっと注意していれば・・・ッ・・・」
「トンプソン婦長・・・」
「旦那様は今までこのような事は決してなさらない方だったのです。なのに・・・なのに・・・・・あぁッ!!・・・・私はあなたにどう償えばいいのッ・・・・」
ごめんなさい・・・ごめんなさい・・と婦長は私に懺悔し続ける。
「婦長・・・大丈夫です。私は、大丈夫ですから。」
私は嗚咽を続ける婦長をなだめた。
しばらくして婦長が泣き止んで・・・
「・・・今夜はもう遅いです。お屋敷に泊まりなさい。・・・・・一刻も早く出て行きたいでしょうけれど・・」
「いえ・・・そんな・・・・」
私は謙遜するが・・・確かに、もう私は帰りたかった。
でも・・・
「・・婦長・・・私、その・・・旦那様に・・・・・」
私は下腹部をさする。
それだけで旦那様が私に施した魔法が印として腹に残っている事を察してくれた。
「・・あぁ・・・・なんてこと・・・・」
婦長は頭を抱える。
「私・・・恋人がいるんです。絶対に・・・こんなモノ、見られたくない・・です。」
その魔法"愛の呪い(ラヴァーカーズ)"の効力を知っているのだろう・・・沈んだ表情になる。
「・・・エマ=ハートリー、気を強くお持ちなさい。・・・その魔法は行為の途中に意識の奥底で強くはっきりと、拒絶の意思を示せば完全に消滅するものです。」
「・・はい」
「完全に光が満ちるまでは通常、複数回の性行為を必要とします。・・・一瞬で良いのです。挿入された後に心の底から行為に対して嫌悪と拒絶の意思を持つのです。」
「はい。」
私は強く返事をする。
「旦那様は・・・元々は暴虐な振舞いをされる方ではないのです。あなたがそこまで拒絶の意思を示すのであれば・・・あなたを必ず解放するでしょう。」
この人がそう言うのであれば、きっとそうなのだろうと思う。
「・・・今夜は私の部屋で寝なさい。疲れてしまったでしょう?・・・ゆっくり眠りなさい。」
婦長のお言葉に甘えて、私はその日、婦長の寝室で眠らせて貰った。
質素な作りのベッドであったけれど、羽毛の布団で柔らかく・・・私はとても暖かな眠りにつく事ができたのでした。
次の日、私は前日に続いてこのお屋敷の仕事をする事になった。
婦長は私を客人として扱おうとしたのだけれど私はそれを固辞した。
何かしてないと落ち着かなかったのだ。
「・・・では客室の清掃をお願いします。それが終わったら屋敷全体の窓の拭き掃除を。」
「はい。わかりました。」
それと私をどうか従業員として扱って欲しいと、トンプソン婦長に願い出た。
元々そのつもりでここにきたのだし、目上の人に畏まられるのは気が引けてしまったからだ。
そして、午前中の仕事を終えて昼食を取るという時間になった頃・・・
「・・・それではエマ=ハートリー、従業員の食堂の使い方を教え・・・」
婦長はそこで突然言葉を切って、耳に手を当てる。
「・・はい、トンプソンです。・・・・・・・・・・・・・・・・旦那様、エマ=ハートリーは今、職務に勤しんでおります。そのご要望にはお応え致しかねます。」
厳しい表情で・・・旦那様との連絡を始めた。
おそらく・・・・・私をご所望なのだろうと思った。
「・・・昼間から盛りのついた動物のようなマネはおよしなさい、エドワード。私はあなたをそのように躾けた覚えはありませんよ。」
その物言いに私は驚く。
それから嫌味のような応酬が続き、婦長が顔を歪めて、
「・・・・・・くっ・・・・・・・・・畏まりました、"旦那様"。・・・・・しかし覚えておいでなさい、このようなやり方では決して女性の心は手に入りません。」
連絡を切って私を見つめて・・・
「・・・エマ=ハートリー・・・旦那様があなたをお呼びです。・・・・・これは光栄な事です。喜んで受け入れるように。」
私は婦長のその言葉にさらに驚く。
「・・・・ごめんなさい。エドワードに伯爵権限を使用されてしまいました。・・・私の立場では、こう言わざるを得ないのです。」
婦長が苦々しい顔をして私に謝罪する。
「・・・先代当主の奥様を早くに亡くされて・・代わりに私が彼を育てたようなものなのです。・・・立派な領主になってくれたと思っていたのに・・・・・」
口に手を当てて、目の端に涙を浮かべていた。
「トンプソン婦長、大丈夫です。」
彼女を安心させたくて私は気丈に振舞う。
「私・・・旦那様に負けたりなんてしませんから。」
私はそう言って微笑み・・・旦那様の寝室へと向かった。
「・・・んぁッ・・奥、そんなゴリゴリ、しないでぇ・・・・・ぁ、っぁぁあぁぁ・・・」
パチュンパチュン、とバックから私は激しく犯され続ける。
「・・・最初の威勢はどうしたんだ?エマ。"私は必ず旦那様を拒絶します"とイキっていたではないかッ!!」
勢いよく突き込まれる。
「・・あッ!!、んぁっぁぁあぁぁ・・・・ッ・・・」
キモチ、ぃい・・・アルのだと絶対に届かないところに、ゴンゴンって・・・当たって・・・・
パシャァァァァアァア・・・・と、私は漏らしてしまう。
もう何度目か分からない。
「・・エマ。どうやら俺たちの体の相性は抜群のようだぞ。」
くやしいけれど・・・そのようだった。
膣が悦んでる。
子宮が旦那様のモノを求めて下に降りてくる。
私は本能的に嬌声を上げ続ける。
「・・・ぅ、あ、ぃや・・・なのにぃ・・・・ぁ、んッ・・・ぁぁっぁ・・・・」
「嫌がってるようには・・・見えない・・なッ!!!」
「・・・ッ!!・・ァぁぁっアぁぁぁぁッ!!!」
私は旦那様に何度も何度もイかされてしまって・・・・・・
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