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 モノを大事に使い込めば「魂」が宿るという。
 なかでも人間の姿を模した人形は「自分たちと同じ姿をしている」という理由により、そこに知性や意志があるのではないかと考えられがちだ。一種の認知バイアスである。

 だが現実的には、物体に知性が宿るなんてことはあり得ない。
 動かないものが動くというのであれば、誰かの悪意、自然の悪戯、偶然の産物、はたまた気のせいか、何かしらの原因がある。そこには必ず〝人形遣い〟が存在するのだ。
 そして人形遣いとは、世の中のあらゆる背後にも潜んでいる。

「はじめましてっ。ボクは瑠風るかですっ!」

 弾けるような笑みとともに挨拶した少女は、宝石から削りだして作られたかのように美しかった。
 エメラルドとサファイアのような瞳をはじめ顔のパーツはどれも完璧で、幼さは抜けきれていないものの、将来は絶世の美女になることを約束していた。右目と同じ緑玉に輝く髪は少女の足元まで伸ばされ、黄色のリボンが後頭部を、大きな鈴が終点を結っている。

 その美しき長髪を生やした頭の横で揺蕩たゆたうのは、白い狐の面だ。可愛らしく八重歯を見せる主人と異なり、こちらは口をむっつりとつぐんでいた。覗き穴が空いた両目は、周りの塗装のせいか怒りで吊り上がっているように見える。

「どうぞ、こちらへおかけください」

 革張りのソファを勧める中年の男の顔には、混乱、悲哀、怒りと、さまざまな感情が浮かんでいた。普段はそれを押し込めているのであろう冷徹な面立ちは、疲労によって役目を果たせていない。ノーネクタイのスーツもだいぶよれていた。

「遠路はるばるお越し頂き感謝いたします。何もない町ですが、必要なものがございましたら出来る限り御用意させて頂きます」

 男の対応は、大の大人を相手にしたものだ。瑠風を映した瞳には、荒れ狂う竜巻の美しさと恐ろしさを目撃したのに似た、絶大なる畏怖がめられていた。重度の人間恐怖症ならいざ知らず、美少女に対してこの反応はいささか奇妙である。

 さもあらん。
 瑠風は普通の少女ではない。この妖怪が跋扈ばっこする世界から人類を守る、退魔忍であった。それも指折りの実力者を示す称号――戦姫せんきを与えられた者だ。彼女にかかれば、どんな凶悪な妖怪とて為す術もなく滅び去る。
 それこそ災害に遭ったかのように。

 彼女が退魔忍であることを証明するのは、これまた宝石の如く見事なコスチュームだ。白を基調とした着物を思わす装束で、袖口やスカートの裾など、ところどころが明るい空の色に染められていた。これに加え、長手袋とブーツが手足を守っている。
 これぞ退魔スーツ。
 優雅さだけでなく機能性も追求した、神業を持つ設計者による至高の品。窮地きゅうちに立たされた人間はこれを見て命が繋がったことを知り、妖怪は己の死を悟る。

「機構からは、どこまで聞かされましたでしょうか?」

 瑠風の向かいのソファに腰を下ろした男が聞いた。

「ちょっとだけ。一刻を争う話ということだったので。お隣の村と連絡が取れなくなったんですよね?」

 退魔忍の答えに男が首肯する。

「えぇ、私の町から山を2つ越えたところにコロニーに属していない村があります。あそこで作る寄木細工よせぎざいくは美しく、こちらに余裕がある時に取引をしておりました」

 男が「私の町」と言ったように、彼は町長だった。
 ここは町長室だ。部屋の奥には立派な机が設置されている。その端に置いてある小物入れがくだんの寄木細工だろう。

「あの村はひどく貧しい生活を強いられており、都市への受け入れも順番待ちです。よくある話ですな。けれど、いつか事態が好転することを信じて、みなで支え合って生きております。あそことは曾祖父の代からの付き合いで、私も子どもの頃は……いえ」

 町長は首を振って地図を取り出し、瑠風との間にある背の低いテーブルの上に広げた。

「とにかく、村とは取引がなくとも定期的に連絡を取っておりました。それが2週間前にぱたりと途絶えたのです。最初は流行り病か、土砂崩れでも起きたのかと思い、新しい取引を兼ねて商人を向かわせました」

 ところが商人は町に帰ってこなかった。次に町の腕自慢たちが状況の確認を買って出たものの、結果は同じ。おかしなことが起きているのを理解した町長は、冒険者のパーティーを雇う。いくら付き合いのある村だからといって町の予算は使えないので、契約金や報酬は私財で工面した。
 町長が雇った冒険者はそれなりのレベルが揃っており、中級程度の妖怪が現れても対処できるようだった。問題が起きたら即退却も視野に入れられる、熟練のパーティーだ。

「しかし、冒険者たちも帰ってきませんでした。それが4日前のことです」

 困り果てた町長は、最後の手段として退魔機構たいまきこうに連絡を取り、そこに傭兵という形で雇い入れられている退魔忍へお鉢が回ったという次第である。

「なるほど。村へと続く道はもう封鎖してるですか?」

 長手袋に包まれた人差し指が地図の上を滑り、町と村を繋ぐポイントを示した。

「しっかりと。町の者にも通行しないよう固く禁じています」

 瑠風は頷き返し、改めて地理を確認する。

「ここらへんにんでるのは、魚人に人面樹、化け蜘蛛ぐらいです……。鉱山を棲み処にしてた小鬼は、魚人との縄張り争いで去年全滅したですよね……」

 どの妖怪も低級であり、攻守揃った冒険者パーティーならそうそう簡単には全滅させられない。
 となると品評会やオークショニアといった組織化された集団の犯行も考えられるが、素人に失踪を気取られるなんて彼らにしてはお粗末だ。目的を果たしたにもかかわらず村に居座る理由もわからなかった。だいたい、そんな貧しい村に組織が動くほどの価値があるのか。

 血に飢えた上級妖怪、人間だったら何でも構わない奴隷商会、可能性はいくらでもあった。
 それになぜ機構は並みの退魔忍ではなく、戦姫を選んだのだろう。町長の話を聞く限り、これは戦姫を派遣するほどの事件とは思えなかった。

「問題はこれだけじゃないのです。先日――」

 瑠風の熟考を懐疑と捉えたのか、町長は説明しようとし、

「まぁ、まぁ! かわいらしい子ですこと。機構のお使いに来た子かしら? 偉いわねぇ!」

 騒々しく扉を開ける音と女の声に遮られた。
 気の良さそうな中年の女性が、ソファにちょこんと座った瑠風を見やり、相好そうごうを崩す。

「えぇっと……」
「大事な話をしているんだ。出ていきなさい」

 瑠風が何かを言うより速く、町長がしかめ面で退室を促した。

「まっ! あなたったら、お茶もださないで。ちょっと待っててね。おばさん、甘いもの持ってきてあげるから」

 じろりと睨み返した女性は、言われた通り部屋を出て行くも、またすぐに戻ってくる。どこから持ってきたのやら、フルーツやクリームをこれでもかと載せた豪華なパフェをテーブルに置いた。
 ぱぁあっと、擬音が聞こえてくるぐらい少女の顔が輝きかけて――プロの意識で神妙なものに切り替わる。

「これ! いったい、この方を……」
「それじゃあ頑張ってね! あんまり無理しちゃだめよ」

 町長が再度注意する前に、女性はまたもするりと躱し、扉を閉める時に瑠風へウインクした。

「これは失礼を。あれは家内です。戦姫さまを子ども扱いするとは……あとで厳しく言っておきます」

 呆気に取られた顔をドアから剥がした町長は、申し訳なさそうに両肩を縮めた。
 退魔忍は正義の味方だが、その存在や仕事の内容をみなが理解しているわけではなく、辺境に行くほど知名度が低くなる。この町もコロニーの中では「ど田舎」と呼んでもいいほど外れのセクターだ。町長の妻の反応はまだ可愛いほうで、「こんなガキが妖怪退治とは……」と、侮る者も少なくない。

「まったく気にしてないですっ。すてきな人ですね、奥様」

 瑠風は春風のような笑みを返す。見た者の心を温かくする笑顔だ。

「お恥ずかしい。こちら、すぐに下げましょう」

 少女の懐の深さに感謝しつつ、町長はパフェを片付けようとした。

「あ、あぁ、あぁっ!? そ、そうですねっ! ぜ、ぜんぜん問題ないですよっ!」

 何事にも動揺しない戦姫が素っ頓狂な声を上げる。子ども扱いされたことと異なり、今度は問題がありそうだった。

「……戦姫さま?」

 町長が首を傾げる。

「そ、そうですっ。ボク、戦姫ですっ! だ、だからっ、甘いの食べないですっ。退魔忍なので! 戦姫なので!」

 挙動不審な瑠風は両手をキツネの形にし、よくわからないことをまくし立てた。緑と蒼の瞳はパフェとあらぬ方向を行ったり来たりしている。
 幻術でも食らったかのように町長は目をしばたたかせた。

「……まぁ、ここで糖分を摂り、気力を養った方がよろしいですかな。山を2つ越えることですし……」

 そう言って、真面目くさった顔でパフェの位置を戻す。

「で、ですよねっ! ですですっ! ボクもそう思ってたところですっ! プロなので!」

 プロとやらの意見はころりと変わった。
 髪を留める鈴がリンリンと軽快に鳴り、2匹のキツネもご機嫌そうに揺れる。
 瑠風はお行儀よく手を合わせてから容器とスプーンを握った。大きく開けた口にクリームが飲み込まれると、「んーっ♡」と両目を細める。





 それを町長は慈愛の目で眺めていた。
 超人的な戦闘能力を備える戦姫を恐れ、その内面に普通の少女が隠れていることを人々は忘れがちだ。此度、町長も認識を改めただろう。

「食べながらで構わないので説明を続けさせてください」

 和やかな空気から一転、町長は深刻そうな表情を浮かべた。

「この町の近くに川があるのですが、先日、町人よりおかしな報告が届きました。不気味な人形が流れ着いている、と」

 彼は数枚の写真を机の上に広げ、瑠風がパフェを手にしたまま身を乗り出す。
 異様としか言えない光景だ。川岸に漂着した人形。それを怯えた顔で指差す男。バラバラになった手足。頭だけのものもあれば、首より先が無いものまで、十数体もの命無き塊が河原に転がっている。

「おっきい……です?」

 被写体と周囲のもので比較すると、人形のサイズは人間大であった。白磁の肌でなければ、裸の人間が倒れていると思うだろう。乳房を持つ女性型もあった。

「えぇ、身長は成人の男性や女性ぐらいでしょうか」

 男の声は鉛のように重い。

「みな損壊が酷いものでしたが、驚くことに……動く人形もおりまして。発見した者たちに襲い掛かったそうです」

 辺境に住むだけあって、この町では一般市民でも最低限の戦闘訓練を受けており、なんとか事なきを得たらしい。それでも男5人がかりで人形1体をようやく倒せたレベルだったそうだ。

「どこから流れてきたんですか?」

 瑠風は答えがわかっていながら尋ねる。だんだんと話が読めてきた。

「……川は、あの村を通ります」

 町長はこれが村の件と無関係だとは思えず、機構に連絡するついでに、気の利いた町人が持ち帰った人形を送った。検査の結果、人形には物質変換と思しき術式が施されていたことが判明する。その術式は未知の系統のもので、どの霊術および妖術にも該当しなかったらしい。ガスと何らかの呪具が使われたようだが、仕組みは不明だ。

 ひとつだけ確実にわかったことは――

「あぁ、こんなことがあっていいのか……」

 町長は声と手を震わし、それを止めるように胸元を強く掴んだ。

「これの……これの……人形の元になったのは……」
「人間、ですね」

 迷う言葉を瑠風が優しく引き取った。
 人体を丸ごと別の物質に変換するとは、敵は相当の術者である。しかも恐らく短時間で大量の人間を牙にかけていた。冒険者たちも生きてはいまい。
 なるほど。これが戦姫の案件でなくて何だというのか。

 元に戻せるかということについては、瑠風も町長も話題に出さなかった。
 机の写真には、身体の砕けた人形が映っている。そこに、人間にとって生存に必須である内臓は窺えない。頭の中も空っぽだ。
 ならば、人形になった被害者の心は、意識は、想いは、どこに行ったのだろう。
 意識の定義や定量化については解明が進んでいないが、その在り処は人間の思考機能を司る脳という説が一般的だ。脳を持ち得なければ意識は宿らない。ゆえに物質が知性を持つということもあり得ないのだ。

 もちろん何事にも例外がある。特に妖怪が跋扈する、この世界なら。
 霊力の集合体が電気的信号を発し、脳に似た役割を担うという例もある。肉体無き亡霊がいい例だ。機構の検査によれば、今回の件はそういった霊力の流れも皆無であったが……。
 人形に心はない。ただの物。
 それをどうやって「人間にする」というのか。

「もしも、すべてが遅いようでしたら……」

 町長は呟くように言った。
 
「全員、始末してください。ひとり残らず。これをした悪魔ともども」

 虚空を見つめる彼の視線を瑠風が辿ると、壁にかかった古い写真を見つける。
 どこかの村で撮られたものだ。たくさんの笑顔に囲まれた少年には、どことなく目の前にいる男の面影があった。

「事の始まりが何であれ、あの村で終わらせなくてはなりません」

 壁から退魔忍へと戻された瞳には、冷厳な決意が満ちている。個人的な感情は欠片もなかった。
 犯人の目的は不明だが、村に近いこの町が次の目標に選ばれる可能性は高い。
 1を犠牲にして10を救うなら、指導者であれば後者を選ぶ。では、10と100なら? 100と1000なら?
 助かる見込みのない愛すべき村と、まだ間に合う町なら?

 瑠風がここに到着したとき、町の空気は緊張感に包まれていた。不安を抱える町民からの突き上げは、かなりのものだろう。無数の命を預かった立場では、心が入り込む余地など無いのだ。ただひたすらに種の生存を図る、残酷とも思えるロジックだけが求められる。

「――必ず」

 力強く頷く瑠風の顔にも、退魔忍としての矜持以外は存在しない。
 彼女もまた、厳しき論理の中で生きる者だ。
 空になったパフェの容器にスプーンを入れ、瑠風は立ち上がった。出立の時である。

「……このようなことをお頼みして申し訳ない」

 出口に向かった少女の背を、男の小さな声が撫でた。閉じ込めた感情の欠片――逡巡しゅんじゅんと後悔が零れる。

「これがボクの仕事です」

 ドアノブを握った瑠風は振り向きざまにそう返し、扉の向こうへ消えた。
 寂しげな微笑と鈴の音を残して。



 村は静寂が支配していた。
 人の声や物音ひとつしない静けさは、死に似ている。夕暮れで紅く染まった地面や建物は鮮血に塗れたかのようだった。
 瑠風は町を正午過ぎに出て、夕方には到着した。それも2本の足だけで。風のような速さである。
 幅の広い目抜き通りを前にした少女の顔に、疲労の色はない。全開になった腋と純白のニーハイが汗を少し滲ませているだけだ。

「誰かっ! 誰か、いないですかっ!」

 通りを進む瑠風は、首を左右に振って声を張り上げる。家や商店の粗末な並びから返って来るのは、沈黙のみ。至るところに破壊の形跡があるが、死体はなかった。人間の抵抗を示す武器や農具が、墓標の如く大地に突き立っているのが見られる。

 通りをしばらく進んだところで動きがあった。
 家の前に置かれた安楽椅子が、きぃきぃと揺れている。そこに鎮座するのは、片耳の無いウサギのぬいぐるみだ。随分とくたびれているものの大事にされていることがわかる。

「お人形……」

 瑠風の呟きが通りに虚しく響いた。
 犯人は、相手が子どもなら容赦するタイプだろうか。いいや、それはないだろう。退魔忍の仕事をして数年、慈悲の心を持った妖怪に出会ったことはない。妖怪というのは、おしなべて人間を虫ケラだと認識する生き物だ。

 厳しい戦いになる。瑠風がそう意気込んだとき、視界の隅で白い光が走った。
 それは鋭利な輝きで斜めに断ち切られ、2つになった影がくるくると回転する。地面に突き刺さったのは槍の穂先だった。

 いつ抜いたのか、いつ振ったのか、瑠風の右手は小太刀――退魔刀たいまとうを掴んでいた。
 その得物よりも鋭い視線が周囲を巡る。






 瑠風は血塗れになった人影に囲まれていた。
 否、夕日を浴びてそう見えるだけで、〝彼ら彼女ら〟の本来の色は白い。
 無数の人形が建物の陰から現れ、瞳の無い目を少女に向けた。屋根からも紅い人影たちが無言で見下ろしている。球体関節を備えた腕の先には、それぞれ武器が握られていた。何の冗談か、服まで着た者もいる。

「はやいのねぇ。びっくりしちゃった」

 称賛の声は、耳に痛いほど甲高い。
 進行方向を塞ぐ人形の群れが左右に割れ、小柄なシルエットを吐き出した。

 美しさでいえば瑠風の方が数段も上だが、こちらもなかなかの美少女だった。
 真っ白な肌にシミはひとつもなく、血よりも紅い瞳が嗜虐の光を湛えている。ウェーブのかかった金色の髪は腰まで伸ばされ、線の細い美躯を青紫のワンピースドレスが包んでいた。まるで絵本から抜け出たような風貌である。
 そんな少女の横で寄り添うのは、礼服を着用した人形だ。他の尖兵と異なり、目も鼻も口も無い仮面を装着している。

「オマエが首謀者ですね」

 彼我の距離は15メートルほど。
 包囲網を作る人形たちに目を配りながら、瑠風は確信を籠めて言った。
 見た目は普通の少女であっても、小さな身体が漏れ出る霊力の波動や威圧感は、人間のそれではない。ただ戦姫然り、超人的な力を持つ人間の可能性もある。

「だーいせーいかーい。そういう、おねーちゃんは退魔忍よね」

 少女はスカートの裾をつまんで挨拶し、可愛らしく小首を傾げた。

「そのお肌にビンビンくる感じ……噂の戦姫ってやつかな? ね、あたり?」

 皮肉なことに、退魔忍の知名度は人間よりも妖怪側の方が高い。戦姫と相対して顔色を変えないことから、彼女が上位の怪物だとわかる。

「斬る前に聞いてあげるです。何が目的なんですか?」

 瑠風は胸元からマスクを引き上げ、切っ先のような言葉を紡ぐ唇を隠した。この漆黒の覆いは、退魔スーツと同じく霊術に耐性がある。人形に変化させるガスとやらも、ある程度は防げるだろう。

「見たまんまの通りよ。みーんな人形にするの。パパのために」

 少女は細い腕を横に薙いで村の有様を示した。

「パパは昔、お城で暮らしてたのよ。そこでお姫様と、そのおじい様に人形劇を見せてたの。パパはね、2人のことが、だいだいだい大好きだったんだって」

 彼女は両指をくっつけ、ハートマークを作る。
 敵を睨む瑠風は、その指から紫紺に輝く数多の糸を認めた。退魔忍を囲む人形たちの手足にも糸が伸びており、虚空から吊り上げられた形になっている。

 人形つかい。
 珍しいタイプの術師だ。人形を遠隔操作して、自身は矢面に立たず敵を攻撃する。大抵、術師が操作する人形は1体で、多くても3体だ。数十体を一度に操る使い手は見たことも聞いたこともない。

「でも……ある日、お姫様とおじい様はいなくなっちゃった。ううん……パパが遠くに行っちゃったんだわ」

 幼き人形遣いはハートを崩し、鮮血に染まった空を見上げた。
 瑠風が目を細める。遠くに行ったとは、命を落としたということか。

「だから、この薄汚い世界を人形で埋め尽くすの。いつかパパとお姫様たちが再会したときに、とーっても大きな人形劇を披露するためにね」

 人形が支配する村で、少女はくるりとターンを決める。ワンピースの裾が優雅に舞い、地面の砂を巻き上げた。
 愛する者たちと父親が別れた――だから「世界を人形で埋め尽くそう」と至る流れは、まったくもって理解不能だ。亡くなった父親の想いを叶える娘というと聞こえはいいが、あまりに物騒すぎるし、同情もできない。

「そんなワケのわからない理由で村の人たちを……」

 マスクの裏から歯の軋む音が漏れる。村人の無念を想うと、冷静さを欠いてはならぬとわかっていても感情を揺らしてしまった。

「元に戻すことはできるですか?」

 怒りの熾火おきびを飲み込み、瑠風は一縷の望みを掛けて尋ねる。
 これに人形遣いは小馬鹿にしたように鼻から大きく息を吐き、手近にいるオーバーオールを着た人形の頭をコンコンと叩き始めた。

「戻せるワケないじゃない。アタマから爪の先まで焼き物になったのよ? コイツらに何か残ってるように見える? お人形に不要なものは、ぜーんぶ消えたの。完全にね」

 人形の肩を突き飛ばした彼女は、「っていうか、なんで戻す必要があるの?」と続ける。主人の振る舞いに対し、人の形をした奴隷たちは不満ひとつ口にしない。そんな心は存在しないからだ。

「どんな権利で、そんな……! ここの村の人たちが何をしたって言うんですか。ただ平和に暮らしていただけなのに……!」

 瑠風は左腕を振るって糾弾する。

「村の奴らと同じで、おねーちゃんもアっっっタマ悪いのね。どうしてわかんないのかなぁ? お人形になれば痛いこともないし、考える必要もないのよ?」

 少女の口調は心から不思議そうだった。真に邪悪というものは、善意の顔をした悪意である。

「平和、ねぇ。ここって、その日を暮らすのもやっとって感じだったわよ。お金が無い、食べ物が無い、仕事が無い、ないないないって。それで毎日、妖怪の襲撃に怯えてるんだからサイテーの生活よね」

 生まれてこのかた一度も苦労などしたことの無いような幼い顔が、生意気な笑みを浮かべた。

「コイツらは、それをどうにかするアタマだって無かったの。だから、わたしが代わりに考えてあげる。辛いことだって、痛いことだって、わたしが引き受けてあげる。これ以上に幸せなことなんてあるかしら。んねっ?」

 人形遣いが同意を求めると、村人だったモノたちは一斉に頷く。

「……幸せですって?」

 先ほど飲み込んだはずのものが憤激となって吐き出された。
 蒼い退魔スーツからは、空気を凍てつかせるほどの殺気が放たれる。

「たしかに生きてればヤなことだってあるですよ! だけどっ……! だけど、ここの村の人たちは、いつか良くなることを信じて頑張って生きていたんですっ! それに痛みを知ったからこそ、知っているからこそ、人は強くなれます! 未来のために前へ進めます! 同じ痛みを感じた人にも寄り添えるです!」

 今がどうであれ、この村には明るい未来が待っていたやもしれない。未来というのは可能性に満ちている。少なくとも、山を越えたところに優しき理解者がいた。されど、それも1人の少女の悪意が台無しにし、すべては潰える。永遠に。

「人々の希望を踏み潰し、自分の意のままに操るなんて外道です! 人の痛みがわからないと言うのなら、オマエこそ人形ですっ!!」

 戦姫の怒りは、もはや物理的な圧力とまで化し、金髪とドレスを揺らめかした。
 普通の妖怪ならこのあたりで死を覚悟するものだが、人形遣いは白い首を反らして哄笑する。

「きゃはははっ、おっかしーの! パパが言ってたわ。家族、仲間、組織……みーんなみんな、誰かの人形だって! 人形に意志なんてないのよ。誰かの顔色を窺って、誰かの意志を真似しているだけなのに、それを自分のものだって勘違いしてるの」

 2つの殺気が通りを駆け抜け、ぶつかり合った。

「偉い人の命令に従って、弱い奴らの期待に応えようとする。それしか能の無い退魔忍――」

 歌うように喋る人形遣いは、十指から無数の霊力糸を煌めかせ、

「アンタもね!」

 胸の前で腕を交差させる。
 主の動きに呼応し、人形たちが武器を構えた。

「おかしな考えで雁字がんじがらめになってるんですね」

 腰を落とした瑠風は、寝かせた刀身を顔の横へと移動させる。
 言葉は尽くした。
 独り善がりの人形劇に世界を巻き込むというのなら、正義の味方として幕を閉じてやるしかない。

「いいですよ。その下らない糸――」

 左手が狐の仮面を下ろし、少女の顔は獲物を狩る獣のそれとなる。

「ボクがぜんぶ断ち切ってやるですっ!」

 正義の誓いに合わせ、狐面の黄金の瞳が爛と光った。



 りぃん。
 鈴の音が鳴り響く。
 鎮魂の調べが人形遣いの耳に届いた頃には、瑠風の姿は突風とともに消えていた。

「……は、はやっ!?」

 驚愕に見開かれた目が次に蒼い装束を捉えた時、夕日を吸った白刃は既に振り下ろされている。間一髪、礼服を着た人形が少女の腰を抱き、彼女は引っ張られるように後ろへ飛んだ。仕損じた切っ先が鼻先を通過する。

 後退した2人と入れ替わりに、左右から人形の群れが詰めてきた。
 空から垂れる糸に従い、地を滑るようにして進む動きは、なんとも不気味だ。
 
 瑠風の腕が霞み、誰よりも先に飛び掛かった1体の腰から上が切り離される。上半身だけになって空へと舞う人形は、振り切っていたはずの刃を跳ね上げた、その過程を認識できただろうか。

 そいつが墜落するのを待つことなく、瑠風は地面を蹴った。
 真正面の人形の首を刎ね飛ばし、返す手で隣にいた奴の胸を斜めに断ち切る。別の人形が側面からくわを打ち下ろすも、本来の用途を守り、砕いたのは土だけだった。鍬を戻そうとした腕は胴ごと両断される。

 1体目の上半身はまだ空中だ。
 瑠風は突き出された槍を屈んで避け、それを手にした人形の股下へ刃を送り込み、胸まで切り裂いた。そこに鎌と鉈が襲い掛かるが、退魔刀を引き抜く方が速い。鎌を手にした人形は手首を落とされ、鉈は横殴りの斬撃で手からもぎ取られた。そして2体は同時に頭を失う。

 そこでようやく上半身が、どちゃりと叩きつけられた。
 神速と評するのに相応しき、人外の速さ。戦姫――同僚の桜姫や火翠――の中でも、瑠風の敏捷性は群を抜いていた。その秘訣は彼女の霊術にある。

 退魔スーツに包まれたシルエットが歪み、一陣の風が人形たちの間を通り抜けた。瑠風とすれ違った数体が蹈鞴たたらを踏み、少し置いて磁器の身体に切れ込みが入る。そこから2つにズレて半身とたもとを分かった。斬撃が速すぎるあまり、結果は遅れてやって来る。

 そう、風だ。
 瑠風の霊術は風を操り、超人的な身体能力をさらに強化する。距離を詰めて腕を振るう動きはコマ落としのように見え、棍棒を握った人形を真っ二つにしたかと思うと、次の瞬間には新たな獲物へ急襲していた。疾風の乗った刃は銀光となり、反撃として繰り出された包丁をすり抜け、その先にある首を切断する。

 瑠風の前では、防御も回避も間に合わなかった。それどころか選択の時間すら与えられない。また1体、さらに1体と、魔の軍団がたった独りに斬り伏せられていく。
 スピードでは敵わぬ人形たちは、数に物を言わせて畳みかけた。編み笠をかぶった人形を両断していた瑠風の背後より、長剣の影が忍び寄る。
 それを打ち払ったのは、背中へ回された左手――いつの間にか握っていたクナイだった。他の敵に対応する瑠風が、後ろも見ずに左手をさっと翻すと、人形の額に黒い切っ先が突き刺さる。

 まるで後頭部に目があるような振る舞いだが、風の霊術を極めた者であれば不思議でも何でもなかった。
 森羅万象、どんな動作も〝空気の壁〟を破壊しなくてはならない。球体関節の可動、死角へ回ろうとする足運び、終点へ目掛けて疾る凶器の進み、瑠風はそれに伴う風の動きを読み取る。

 鉄パイプが平行に、金属バットが垂直に振られた。どちらも完全に視界の外からだ。
 しかし、それがどんなに速かろうとも、砕けた風が〝先触れ〟となる。瑠風は軽く掲げた刀でパイプを受け、すかさず上体を捻ってバットをやり過ごした。読みもここまでいくと予知能力に近いだろう。
 




「なにやってるのっ!? 相手はひとりじゃないっ! さっさと捕まえてよっ!」

 壁になった人形の奥から金切声が届いた。
 それは無理難題というもの。何人も風は捕らえられまい。
 ならば銃ならどうか。
 包囲網の隙間から、散弾銃や小銃の銃身が突き出された。鼓膜をつんざく銃声が連続する。

 左右で色が異なる双眸は、銃口が火を噴き、弾丸が発射されるのをスローモーションで見た。
 一方、人形たちが目にしたのは、横へとかれる長髪だ。エメラルド色に輝く尾をなびかせ、瑠風は無数の銃弾を置き去りにする。

 じぐざぐに駆ける戦姫へ向けて、射手たちは銃撃を重ねるもかすりすらしない。
 狐面に灯る黄金の瞳が、自動車のテールランプのような光跡を残す。その美しくも禍々しい2本のラインが、銃を撃ちまくる人形たちへ伸びていき、戦姫の左手から迸った黒線が3本目として加わった。

 散弾銃を構えた人形の胸にクナイが生える。忍具の柄の輪っかにはワイヤーが結ばれており、瑠風はそれを両手で引っ張った。人形の両脚が重力から解き放たれ、次いで遠心力に囚われる。瑠風が身体を凄まじい勢いで旋回させたのだ。

「ぶっ飛べ、ですっ!!」

 ワイヤーで繋がった人形は戦姫を中心に巨大な円を何度も作り、その軌道上にいる同胞を薙ぎ倒した。激しくぶつかり合う人形たちは全身を砕かれ、磁器の欠片や外れた手足をあちこちに飛ばす。

 あらゆるものを寄せ付けぬ旋風を、3つの影が掻い潜った。革や鋼鉄のアーマーを身に着けた人形たちだ。その洗練された動きから、瑠風はそいつらの〝元〟が冒険者だと察する。
 ショートソードを携えた剣士のつま先が間合いに入ったところで、瑠風はハンマー投げよろしくワイヤーを手放した。手足の無い胴体がすっ飛んでいき、工房であろう建物の2階の外壁へ激突する。

 瑠風は身体の旋回を止めず、退魔刀に円弧を描かせた。鋼と鋼が噛み合い、火花が生まれる。一撃を受け止めたショートソードを支点に、鉄棒の要領で戦姫の身体が大きく回った。天地が逆転する。

 相手の頭上で逆さまになった瑠風は、眼下にある白い顔を左手で掴んだ。
 なんたる剛力か。空中にいながら自分と相手の位置を逆転させ、その勢いを使って前へと放り投げる。砲弾になった剣士が向かう先は、メイスと盾を構えた重装兵と、2本のナイフを引っ提げたレンジャーだ。
 飛んできた仲間に対して、レンジャーは右へ軽く跳躍して避け、重装兵は無情にも盾で打ち払った。冒険者たちは距離を詰め、レンジャーの両手から2条の光が、一拍遅れて重装兵から颶風ぐふうが放たれる。

 瑠風は刀を交差させてナイフを弾き、地を舐めるかのように前傾姿勢になった。その背をメイスが通過し、突風が長い髪と腰のリボンを巻き上げる。それが戻らぬうちに横薙ぎにされる退魔刀。レンジャーの腰を狙った一撃は、宙へ飛んだ冒険者ブーツの靴裏を軽く引っ掻くだけだった。

 再び風が吹き荒れる。
 メイスの槌頭が戦姫の小柄な影を押し潰した。地面が爆ぜ割れ、土くれが噴き上がる。突発的に降る土砂の雨を突き破り、刺突の構えを取った瑠風が重装兵の側面に現れた。
 重装兵は盾を構えるも、間に合わない。切っ先がバケツのようなヘルメットに吸い込まれ、横合いから捻じ込まれたショートソードがそれを反らす。剣士の人形が戦線に復帰していた。

 そいつに退魔刀を叩き込もうとした瑠風は、空中にいるレンジャーが両腕を振ったのを目にし、剣士の腹に蹴りを入れて飛び退く。緑と蒼の美影を2本のナイフが引き裂いた。
 着地と同時に、瑠風はさらに後ろへステップする。
 青白い光の帯が横切り、一瞬前まで彼女がいた場所を焼き切った。霊力を圧縮した光線である。その起源に視線をやれば、酒場の屋根の上にて薄手のコートを羽織った人形が片手で印を結んでいた。霊術師――パーティーの最後のひとり。

 霊術師を除いた3体と瑠風が、10メートル程度の間合いで睨み合った。
 レンジャーは新たなナイフを抜き出した手で手招きし、重装兵は銅鑼どらでも鳴らすように盾をメイスでぶっ叩いて挑発する。剣士だけは生真面目にショートソードを正眼で構えた。
 なかなかの連携だ。
 町長はかなり金を積んだらしく、並みの退魔忍に匹敵する。逆に言えば、戦姫を相手にこれだけ立ち回れるパーティーがあの人形遣いの少女に敗れたのだ。

 その理由が、地響きを立ててやって来る。
 ハンマー投げの大立ち回りで近づけなかった元村人たちが、波濤となって四方から押し寄せた。
 おまけに、先ほど斬り伏せた人形たちまで戦列に加わっている。頭を失おうが、手足が取れようが関係なかった。人の形をしているだけで、彼ら彼女らはただの武器なのだ。
 数の多さと不死性。
 だが、両方とも戦姫を破る根拠にはならない。

「風よ、ボクに力を……」

 死の使いは両指を蠢かして印を結び、霊力を溜め始めた。背後から襲い掛かる1体を裏拳で黙らし、冒険者パーティーへ突撃する。そして間合いを半ば踏破したところで、大事な退魔刀を紅い空へと投げた。
 人形に感情があれば、こう思ったことだろう。何ゆえに?

 瑠風の両手が腰に回され、すぐさま引き出されると、無数の銀流が孔雀くじゃくの羽の如く広がる。羽の先端で何かが高速で回転していた。手裏剣である。鋼の驟雨しゅううが冒険者たちに降り注いだ。

 レンジャーはナイフを狂ったように振り回し、重装兵は盾を掲げて防ぐ。剣士はまともに食らい、全身がズタズタになった。彼らの後方にいた雑魚人形たちは無惨に解体され、後続の同胞に踏み潰される。

 冒険者としての最期の意地か、剣士は千切れかかった腕で剣を振るおうとした。
 間合いを詰める瑠風は、落ちてきた退魔刀をキャッチし、天空から大地まで一閃させる。死の光が剣士の正中線をなぞった。

 綺麗に二等分された身体の間を抜け、瑠風は重装兵を次の獲物に選ぶ。
 斜めに切り込んだ刃は、手裏剣がいくつも刺さった盾に跳ね返され、すかさず軌道を変えた。重装兵の両脚へ奔る退魔刀を、その股下からスライディングして現れたレンジャーが十字に重ねたナイフで受ける。
 お返しのメイスが、横っ飛びになる戦姫の桃尻をかすめた。風圧に押し出されるようにして加速する瑠風は、重装兵の背後へと回り、分厚い鎧の隙間を狙う。

 オゾン臭のする風が危機を教えたのは、その時だった。瑠風は大いなる警句に従い、重装兵の背中を蹴りつけて天高く跳ぶ。コンマ秒の差で霊術の光線がブーツの足元を薙ぎ払った。
 急上昇する瑠風へ、輪になって跳んだ人形たちが殺到する。
 
 空中では逃げ場がない。
 さて、それは退魔忍と人形、どちらの方だったか。
 瑠風が左の掌を突き出す。

「散れっ!」

 りぃぃぃんっっっっ!
 髪を留めた鈴が騒々しく鳴り、風が応えた。

 霊力によって呼び出された不可視の刃が、縦横無尽に駆け巡る。
 大鎌の如し鋭さと幅を持った辻風は、死神も青ざめる咆哮を上げて一切合切を切り刻んだ。天災と違わず、敵を、地面を、家屋を区別することなく平等に。バラバラになった人形たちの残骸が、風に吹かれた花のように散り乱れた。

 瑠風が身に着ける仮面は、かつて世を大いに荒らした妖狐の霊力から作りだされたもの。その効果は所有者の霊力を食らい、霊術の威力を向上させる。それも限界以上に。普通の人間が使えばたちまち死に至る呪われし装備だが、所有者が普通でなければ――結果はご覧の通りだ。
 無事に地上へ帰還したのは、戦姫ただひとり。
 遅れて、身体のパーツや武器が雨となって降り始める。

 瑠風の目の前では、重装兵が膝から下を失い、まさに「膝を突いた」状態だった。退魔刀や手裏剣を弾いた盾は千切りになっている。
 それを無感動な瞳で見つめる瑠風は、何も持っていない左手を軽く振った。
 疾風。何本ものクナイが重装兵の顔面に突き立ち、巨体がもんどり打って吹き飛ぶ。

「な、なによっ! なによこれっ!? ふ、ふざけないでよ……! ア、ア、アンタ……ど、どっかおかしいんじゃないのっ!?」

 どこかに潜む人形遣いの声は恐慌で震えていた。
 戦姫の存在は知っていても、その戦いぶりは初めて見たのだろう。
 おかしいとは、いったい何を指しているのやら。
 筋力、瞬発力、知力、精神力、霊力、すべてが人の範疇はんちゅうを外れた存在。それが戦姫なのである。



 正義の味方の活躍は、さらに続く!!



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