この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
登場人物は、法律により成人と定められた年齢に達しています。
加害者の醜悪さを強調するため、作品内で暴力的、犯罪的行為が描かれますが、本作品には、これらの醜悪な行為を助長又は賛美する意図は断じてありません。
作者は現実世界におけるあらゆる暴力・犯罪に反対します。

###退屈な前置き
　ケントは、その日の強烈に不潔で不快な体験を忘れられずに、今も苦しんでいる。その記憶は、ケントの心に深く刻まれ、時折、悪夢となってケントの眠りを妨げる。食事の最中にその記憶が蘇り、嘔吐してしまうことすらある。忘れようとしても忘れられない苦しい体験。そんな記憶を持たぬものは、実に幸福である。

　訓練所イ号棟の地下には、かつて大きな倉庫があった。訓練所で使用する予備の弾薬や備蓄食料など様々な物品を収納していたが、今はその役割を終えている。地上に新たな倉庫が建造されたためだ。重い物品を地下に運び込み、また、そこから運び出すのは骨が折れる。地上に倉庫ができれば、地下倉庫が使用されなくなるのは自然の流れだった。
　使用されなくなった地下倉庫の新たな用途……悪趣味な用途を思いついたのは当訓練所の所長である。所長は、この地下倉庫の入り口に『懲罰室』と書かれた看板を取り付けた。ここで、問題がある訓練兵に罰を与えるというのだ。
　しかし、懲罰が頻繁に行われているのかというと、そうでもない。訓練兵たちは、上官に歯向かうなどの余程大きな失敗をしない限り、ここに呼び出されて指導を受けることなどないのだ。だから、訓練兵たちは、この懲罰室をさほど恐れていない……ケントを除いて。
　ケントとは、本訓練所の特別任務担当兵である。身も蓋もない言い方をすれば、『特別任務』とは、すなわち性処理である。ケントが性処理係に任命された理由は、ケントを一目見れば誰もが了解するだろう。圧倒的に美しいのだ。天使と呼ばれた少年時代の無垢な面影を残しながら、大人となった男の凛々しさも兼ね備えている。長い睫毛に愁いを帯びた瞳。形よく筋の通った鼻と瑞々しい唇。そして絹のように滑らかな肌。多くの若者が去来する大都会の繁華街でも、これ程の美青年を見つけ出すことは難しいだろう。
　もちろん顔だけではない。若者らしく引き締まった胴から伸びるしなやかな四肢。その均整の取れたシルエットは、彫刻のように美しい。適度な質感のある尻は、果実のように張りがあり、触れずともその弾力を知ることができる。女性はもちろん、男性であっても、このケントを前にしては、淫靡な妄想を抱かずにはいられないだろう。ケントが入所して以来、所長ら上官は、そんなケントの上質な肉体を思う存分に楽しんでいるわけである。
　さて、懲罰室に話を戻そう。ケントは、ここで酷い折檻を何度も受けている。ケントが上官に歯向かうなどの大罪を犯すわけではない。実際、理由などはどうでもよかった。奉仕の最中に歯を当てた。与えられた体液を吐いた。そんな些細な理由で懲罰が行われるのである。また、意地悪な訓練兵がケントを虐めて挑発し、ケントを怒らせて喧嘩になったときなども、ケント一人がこの部屋で罰を受けるのである。
　ケントにとって不幸なことに、所長、副所長、教官をはじめ、多くの上官に加虐趣味があった。愛欲の対象を痛めつけ、虐めて快楽を得る趣味である。この懲罰室でケントを罰することは、上官たちにとって極上の娯楽になったのである。
　所長は、懲罰室の『設備』を充実させた。天井には幾つもの滑車が取り付けられている。壁や床には金属製のフックが溶接されている。ケントに手枷や足枷を装着し、あるいはケントの体を縄で縛り、これらの滑車やフックに鎖で繋いで引っ張れば、容易にケントの自由を奪うことができる。そして、動けないケントに様々な苦痛を与えて愉悦に浸るのである。
　鞭、蝋燭、焼き鏝、ペンチ、竹刀、針、水槽、浣腸器………ここには、あらゆる道具が揃えられている。ここにケントを呼び出し、ケントの精神の限界、肉体の限界を皆で試すのである。ケントにとっては地獄だった。地下の懲罰室から漏れ出るケントの絶叫は、この訓練所の風物詩となった。
　ケントは次第に従順になった。「懲罰だぞ」と脅せば、ケントは何でも言うことを聞く。上官たちにとって、「懲罰」は便利な呪文のようなものである。上官たちだけではない、意地悪な訓練兵たちも同じだった。訓練兵たちが「懲罰室に行きたいのか？」と脅せば、この哀れな性玩具は何でも従うようになった。思い通りにならなければ、皆で口裏を合わせて嘘をつき、罪をでっちあげて、ケントを罠に嵌めるのだ。上官たちと訓練兵たちの違いは、実際に自分たちでケントを折檻するか、そうなるように仕向けるかの違いでしかない。
　ケント虐めのリーダーは蛇田訓練兵である。蛇田訓練兵の叔父は、軍の幹部である。所長らも蛇田訓練兵には気を遣う。名家に生まれ、ワガママに育った蛇田訓練兵が、唯一、欲しくても手にできない物は美貌だった。蛇田訓練兵は、その醜い容姿に強いコンプレックスを抱くとともに、ケントの美貌に嫉妬し、ケントを執拗に虐めているのだ。ケントを陰湿な罠に嵌め、何度も懲罰室に送り込んでいるのも、この蛇田訓練兵である。
　さて、退屈な前置きはこれくらいにしよう。

###愉快な見世物

　今日も、運動場で厳しい訓練が行われている。訓練兵たちが匍匐前進の訓練をしている途中で、教官の笛が３回鳴った。集合の合図である。制服の胸の砂を払いながら、急いで教官の元に集合する訓練兵たち。
「今、所長から連絡があった。今日の訓練は、ここで終わりだ。ケントは、懲罰室に行け」
　ケントの顔色が曇ると同時に、他の訓練兵たちの表情が明るくなった。ケントのお陰で訓練時間が短縮されたのである。
「懲罰室で何があるのかは、私もわからんが、希望者には見学を許すと所長がおっしゃっている。見学を希望する者はおるか？」
　ほぼ全員の訓練兵が「ハイ」と元気に右手を上げた。訓練兵らは、嬉しそうに笑っている。ケント一人が俯いて地面を見つめていた。
　所長らは、ケントへの懲罰を同期の訓練兵らに見学させることがある。裸にされ、股を開いた無様な恰好で縛られ、泣き叫ぶケントを大勢の見世物にして、ケントの精神までも痛めつけようという、下劣な趣味である。『優秀な』訓練兵には、ケントへの懲罰に直接的に参加する権利が与えられることもある。上官ではなく、同期の訓練兵らに鞭打たれるのは悔しかろう。同僚らに取り囲まれ、鞭打たれ、悔し涙を流すケントを眺めながら酒を飲むこともまた、所長らの娯楽の一つなのである。
　訓練兵らの胸は期待感で高鳴っていた。今日は見学だろうか？　ケントはどのような理由で罰せられ、どのような仕打ちを受けるのだろうか？　それとも、ケントを直接罰する権利を獲得できるだろうか？

　蛇田は楽し気に口笛を吹きながら、ケントの手首を掴み、その手を引きながら懲罰室への階段を下りた。ケントは、この階段を下りるだけで胸が苦しくなる。ここで受けた耐え難い恥辱と苦痛の数々が脳裏に浮かび、胸を締め付けるのだ。
「今日はどんなお仕置きかなぁ。楽しみだねぇ。ヒッヒ」
　蛇田は階段の途中で振り向き、下からケントの表情を覗いて歯を見せる。ケントは溜息をつきながら視線を逸らせた。
　懲罰室には、懲罰官が待っている。懲罰室の中央には、腰の高さほどの大きな台が置かれていた。台の前には、パイプ椅子が３脚並べられている。
「ケントは、その台の上に立て。他の訓練兵は、あちらに畳んで立てかけてあるパイプ椅子を持ってこい。各自、好きな場所に椅子を置いて座れ」
　台の正面に並ぶ３脚のパイプ椅子は、おそらく、所長らの椅子だろう。訓練兵たちは、その正面を避けながら、どの椅子からも台の上に立つケントの姿がよく見えるように、台を中心として、コの字型に椅子を並べた。指示に従って、ケントが台に上がろうとすると、懲罰官が片手に持っている鞭を床に打ち付けた。
「ケントは、裸に決まっているだろ。馬鹿者」
　全裸で台の上に立てというのである。訓練兵たちがケントを囲むように椅子を置き、腰を下ろして、ニヤニヤとケントを見ている。ケントは、懲罰官の指示に従い着衣を全て脱ぎ、脱いだ衣服を台の横に畳み、頬を赤く染めながら全裸の姿で台の上に上がった。
「イケメン様のストリップショーの始まり始まりー」
　蛇田訓練兵が椅子に腰を下ろして足を組んだままふざけた声を出すと、訓練兵たちがどっと笑った。
（続きは本編で）
