﻿シャドースタディエ（体験版）
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[Phase.0] 歪んだ平和と双子の掟        1
[Phase.1] 歪んだ理屈と小さきプライド        7
[Phase.2] 屈辱の金蹴りとおしっこ失禁        11
[Phase.3] 真っ白なパンツ丸出し        16
[Phase.4] クラスの女子からイジメの電気アンマ        21
[Phase.5] 浣腸        26
[Phase.6] パンツの上からアナルプラグ        31
[Phase.7] 浣腸して肛門栓状態で電気アンマ        37
[Phase.8] 廊下で公開失便        42
[Phase.9] 浣腸の残り香        48
[Phase.10] 制裁        53
[Phase.11] 完全なる沈黙        59
[Final Phase] 姉からの不意打ちカンチョーと座薬と甘い痺れ        64
[Extra Phase0] 机のカドでアナニー        76
[Extra Phase1] 浣腸アナニー        81
[Omake Phase] えいせいめん        87
[Phase.0] 歪んだ平和と双子の掟


 校庭の隅にある大きな樟の木の下で、僕の双子の姉であるハイムが見知らぬ男子生徒から告白を受けていた。
 僕は4階の教室の窓辺から頬杖をつき、その光景をぼんやりと見下ろしている。
「……またですか」
 距離が離れすぎているせいでふたりの会話までは届かないけれど、結末なんて見るまでもない。
 ハイムは表情ひとつ変えず、相手の言葉が終わるのをただ淡々と待っている。
 そしてごく短い言葉と共に両手を交差させバッテン（不良・誤り・消去を意味する✕マーク）のジェスチャーを取ると、1度も振り返ることなくその場を立ち去ってしまった。
 振られた男子が生徒の群れへと走って逃げ帰るのを横目に、僕は小さく溜息をつく。
 あのどこか浮世離れしたミステリアスな雰囲気と、人形のように整った容姿。
 それが男子生徒たちの独占欲や征服欲を妙に刺激するらしく、ハイムは昔から異常なほどモテた。
 けれど、本人は人間に大して関心がないような様子で、誰からの申し出も全て一蹴している。
「……興味ないから」
 いつもその一言で切り捨てるのだから、相手からすれば堪ったものではないだろう。
 だが、その冷淡な態度を何よりも面白くないと感じているのは、周りの女子たちだった。
 教室のあちこちから、ひそひそとした嫌な陰口が僕の耳にも聞こえてくる。
「なによあいつ、男を弄んでさ」
「気取っちゃってさ、本当ムカつく」
 自分たちが好意を寄せる男子生徒までもがハイムに夢中になり、そして呆気なく振られる。
 その嫉妬と憎悪が、いつしか黒くドロドロとした形となってハイムに向けられるようになった。
 当然、そんな不満はやがて陰湿な「嫌がらせ」という暴走を始める。
 先週の月曜日、ハイムの下駄箱にはカミソリの刃が何枚も仕込まれていた。
 水曜日には、教科書やノートがズタズタに切り裂かれてゴミ箱に捨てられていた。
 金曜日に至っては、机の引き出しに腐敗した生ゴミが詰め込まれていたのだ。
 誰がやったのか、証拠は一切残されていない。
 巧妙に防犯カメラの死角を狙い、周囲の目がない時間帯を選んで行われた犯行。
 普通なら人間不信に陥り、泣き寝入りするか学校を休むところだろう。
 だが、僕の双子の姉は「普通」という枠組みには到底収まらない存在だった。
「……ねえ、シロム」
 先週の金曜日の放課後、荒らされた机を前にして、ハイムは静かに僕を呼んだ。
「はい、なんですかハイム」
「……証拠集め、面倒」
「まあ、そうですね。犯人を特定するのは大変です」
「……私はがんばった」
「おつかれさまです、ハイム……」
 卑劣で陰湿なイジメ。
 さすがのハイムも今回は泣き寝入りかと思った。
 その翌日、つまり今週の月曜日に起きた悪夢のような光景を、僕は一生忘れることができない。
 ハイムは朝のホームルーム前、教室のドアを静かに閉めると、中から鍵をかけた。
 そして、教壇の脇に置いてあった金属製のパイプ椅子を無造作に手に取ったのだ。
「ハイム？ なにを……」
 僕の制止の声すら無視して、ハイムは一番前に座っていた出席番号1番の男子の元へ歩み寄った。
 そして、なんの脈絡もなく、全力でパイプ椅子をその男子の顔面に叩きつけた。
 鈍い破砕音と、激しい悲鳴が教室中に響き渡る。
「ぎゃあああっ！？」
 鼻骨が砕けて血を噴き出す男子の脳天を、ハイムはさらに椅子で殴りつけ頭を叩き割った。
「……次」
 一瞥もしないまま、ハイムは出席番号2番の女子の頭髪を掴み上げる。
 そのまま躊躇なく机のカドへ顔面を叩きつけた。
 ゴツン、という恐ろしい音と共に、鮮血が白いプリントを赤く染めていく。
「ひっ……！ やめて！ 私じゃない！ 私なにもしてない！」
「……イジメの黙認は同罪」
 犯人が誰かわからないなら、教室内にいる人間全員を上から順番に叩きのめせばいい。
 それが、ハイムの導き出した暴力的な解答だった。
 疑わしきはすべてを罰する。
 順番に顔面を血塗れにされていくクラスメイトたちの惨状に、教室はパニックに陥った。
「おいこらクソアマ！  好き勝手やってんじゃねえぞ！」
 人混みを割って、髪を派手に染めた体格のいい男子ふたり組が、威圧的にハイムへすごんで距離を詰めてきた。
 女子グループの取り巻きで、日頃から男子相手にも陰湿なイジメを行っていた連中だ。
「おいこら聞いてんのか」
 男が手を出そうと近寄ってきた瞬間、ハイムは持っていたパイプ椅子をぽいっと未練なく捨てた。
 そして懐から瞬時に取り出したスタンガンを、躊躇なく先頭の男子の首筋へ押し当て、激しい放電音とともに感電させた。
「がっ、あぐあぁぁっ！？」
「え？」
 男が痙攣して崩れ落ちるひるんだ隙を見逃さず、ハイムはもう1人の男子の頭上へ向けて懐に隠し持っていた特殊警棒を強烈に振り下ろす。
「うわっ！？」
 あわてた男子は両手を頭上に掲げ、必死で警棒の打撃を受け止めた。
 しかし、頭上からの攻撃はただの蒔き餌。
 敵の意識が頭上にそれた瞬間に、ハイムはフルスイングで男子の急所を力任せに蹴り上げた。
「ぐはっ……！？」
 股間を押さえて悶絶し、その場に丸まった男子の横で、ハイムは先ほど捨てたパイプ椅子を淡々と拾い上げる。
 そしてダウンしたふたり組の頭部を、交互に3発ずつ全力で殴りつけた。
 ガンッ！  ガンッ！  と鈍い金属音が響き、頭頂部から鮮血が勢いよく吹き出して床を赤く染めた。
「ひ、ヒステリーだ！ 助けてくれ！」
「開けて！ ドアを開けてよ！」
 恐怖に怯える生徒たちは必死に逃げ惑うが、ドアに近づいた者の顔面をハイムは改造エアガンで撃ち抜いた。
「ギャアアアアアアア」
 5人、6人と血の海に沈んでいき、ついに出席番号7番の男子が顔面を殴られて倒れた時。
 自分の順番が刻一刻と近づいていることを悟った周囲の生徒たちが、保身のために叫び出した。
「わ、わかった！ 言う！ 言うからやめてくれ！」
「やったのはあいつら！ あいつら4人だよ！」
「そうよ！ あの4人が下駄箱に刃物を入れたりゴミを入れたりしてたの！」
「私見たもん！ だからお願い、私を殴らないで！」
 自分自身が血塗れにされては堪らないと、保身に走った無関係の生徒たちによって、あっさりと真犯人の名が暴かれた。
 犯人として指名された4人の女子生徒は、青ざめた顔でガタガタと震えている。
「……そう」
 ハイムは手に持った血濡れのパイプ椅子を引きずりながら、その4人の元へと歩み寄った。
「ち、違うの！ 私たちはちょっとからかわれたお返しに……ひぎゃあああっ！？」
 言い訳すら最後まで言わせず、ハイムは容赦なくパイプ椅子を振り下ろした。
 何度も、何度も。
 4人が虫の息になり、顔面の原形をとどめなくなるまで、ハイムの機械的な暴行は続いた。
 教室中が血の匂いと絶叫に包まれる中、ようやく学年主任や体育教師たちが鍵を壊して踏み込んできた。
 当然、ハイムはそのまま生活指導室へと連行された。
 だが、事件はそこで終わらなかった。
 ハイムに熱烈な好意を寄せる男子生徒たちが、一致団結して動き出したのだ。
「ハイムさんは非道い陰湿なイジメを受けていた！」
「あれは身を守るための過剰防衛……いや、正当防衛だ！」
「先に手を出したのはあの4人の女子だ！」
 男子生徒たちの強力な証言と、学校側が「前代未聞の大不祥事」を隠蔽したいという保身の思惑が見事に合致した。
 結果として、ハイムの行動は「極限状態での正当防衛」として処理された。
 重傷を負った4人の女子と無関係な数人は病院へ送られ、ハイムは「厳重注意」だけで「穏便」に教室へ戻ってきたのだ。
「……ふぅ」
 思い出すだけでも頭が痛くなってくる。
 僕が窓の外から視線を教室内に戻すと、ちょうどガラガラとドアが開いてハイムが入ってきた。
 告白を断り終えて帰ってきたのだ。
 彼女の制服には染みひとつなく、相変わらず感情の読めない表情をしている。
 だが、彼女が歩くたびに、周囲の生徒たちはビクリと身体をこわばらせ、弾かれたように道を空けた。
 圧倒的な暴力によって実現したイジメのない平和なクラス。
 それが今のこの教室の日常だった。
「おかえりなさい、ハイム」
「……ただいま、シロム」
 ハイムは自分の席に着くと、だるそうに机に肘をついた。
「また男子を振ってきたんですね」
「……うん。邪魔だったから」
「相変わらず容赦ないですね」
「……別に」
 短いやり取りを交わしながら、僕はそっと周囲の様子を伺う。
 表立ってハイムに逆らう者は、もうこのクラスには1人も存在しない。
 だが、恐怖によって抑え込まれた不満は、より深く、より陰湿なマグマとなって渦巻いていた。
 あからさまな嫌がらせはなくなったものの、聞こえよがしの陰口は決して消えない。
「ねえ、見た？ 今日もまた男を振ったんだって」
「本当、何様のつもりなんだろうね」
「暴力女のくせにさ……」
「先生たちもあいつに甘いんじゃないの？」
「絶対におかしいよ。教頭とデキてるってウワサもあるし」
 ひそひそと交わされる密やかな悪意。
 ハイムの耳にも絶対に聞こえているはずなのに、彼女はピクリとも眉を動かさない。
「……ねえ、シロム」
「はい、なんですか？」
「……うるさい」
「そうですね。でも、これ以上の暴力は流石に学校側も庇いきれませんよ」
「……わかってる」
 ハイムは興味なさそうに窓の外を眺め始めた。
 彼女にとって、周りの人間の嫉妬や罵詈雑言なんて、羽虫の羽音程度の価値しかないのだろう。
 けれど、僕にはわかる。
 この異常な静寂と歪んだ平和は、いつか必ず破綻する。
 恐怖で支配された教室と、消えない殺意を秘めた陰口。
 いつ爆発してもおかしくない爆弾の上に、僕たちは座っているのだ。
「……ハァ」
 僕は思わず、本日何度目になるかわからない大きな溜息をついた。
「……どうしたの、シロム。おなかでも痛いの？」
「いいえ、ハイム。あなたの弟をやっていると、胃に穴が開きそうになるだけです」
「……変なの」
 ハイムは小さく首を傾げると、そのまま机に伏せて目を閉じてしまった。
 まったく、能天気な姉を持って苦労するのはいつも僕だ。
 教室の隅で、女子グループがこちらを殺気立った目で見つめている。
 彼女たちの瞳には、恐怖と、それ以上の深い怨嗟が宿っていた。
 血で塗られた解決策は、根本的な解決には至っていない。
 ただ惨劇の種をまき散らしただけだ。
 次の爆発が起きた時、果たして僕はハイムを、そして自分自身を守ることができるのだろうか。
 重苦しい空気の中、予鈴のチャイムが校内に虚しく響き渡った。
 僕は眉間を指で押しながら、これから始まる不穏な日常に思いを馳せる。
「……やれやれ、ですね」
 誰にも届かないつぶやきは、教室の冷ややかな空気の中に静かに溶けていった。
 ハイムの規則正しい寝息だけが、僕の隣で小さく聞こえていた。
 嵐の前の静けさとは、まさにこのことだろう。
 次の一手が誰から打たれるのか、僕は警戒を緩めることができなかった。
 教室の温度が一気に下がったような気がした。
 陰口の声はチャイムが鳴り終わってもなお、完全には消えなかった。
 それは呪いのように、この部屋に滞留し続けている。
 ハイムが次にパイプ椅子を手に取ることがないよう、僕は深く祈るしかなかった。
 双子の弟としての苦労は、これからもずっと続きそうだった。
 教室のドアが開き、担任の教師が入ってきた。
 教師の顔もまた、どこか怯えたように引き攣っている。
 生徒も、教師も、みんながハイムという1人の少女の顔色を窺っているのだ。
 異常な学校、異常なクラス、そして異常な姉。
 その真ん中で、僕は今日も溜息をつき続ける。
 昼休みになれば、また次の男子生徒がハイムを呼び出すのかもしれない。
 そしてまた女子たちの嫉妬が買い積もっていくのだ。
 この悪循環を断ち切る術を、僕はまだ持っていない。
 ただ、ハイムの隣で彼女を見守ることしかできないのだ。
「……シロム、うるさい」
「え？ 僕はなにも言っていませんよ」
「……心の声が、うるさい」
「…むちゃくちゃ言わないでください」
 僕たちは短く言葉を交わすと、教壇に立つ教師へと視線を向けた。
 授業が始まる。
 けれど、誰1人として授業内容になど集中していなかった。
 全員が、ただ無事にこの時間が過ぎ去ることを願っている。
 そんな歪んだ時間が、ゆっくりと流れていった。
 ハイムは再びまぶたを閉じ、静かな眠りについた。
 彼女の綺麗な横顔を見つめながら、僕は思考を巡らせる。
 僕が彼女を守るべきなのか、それとも彼女から周りを守るべきなのか。
 答えは出ないままだった。
 ただ、この学校での日々が平穏とは程遠いことだけは確定している。
 教科書のページをめくる音が、静まり返った教室に響いた。
 誰かのすすり泣くような声が、かすかに聞こえた気がした。
 それは先日の暴行で怪我を負い、トラウマを抱えた生徒のものだろう。
 誰もハイムを責められない環境が、より一層恐怖を増幅させていた。
 これがハイムの作った「平和」の姿だった。
 完璧で、そしてあまりにも破滅的な平和。
 僕はペンの頭をカチカチと鳴らし、手元のノートに無意味な線を引いた。
 黒板に向かって文字を書く教師の手が微かに震えているのを見逃さなかった。
 大人の権威すら壊してしまった姉の存在感。
 それは誇らしくもあり、同時に恐ろしかった。
 窓の外では、秋の風が木々の葉を揺らしている。
 空はどこまでも青く澄み渡っていた。
 この教室の中の混沌とは対照的な、美しすぎる青空。
「……はぁ」
 本日何度目かのアピールのような溜息。
 ハイムはピクリとも動かない。
 彼女にとっての世界は、きっと僕たちが見ているものとは全く違うのだろう。
 善悪の基準も、損得の勘定も、すべてが彼女独自のルールで動いている。
 それに巻き込まれる周囲は堪ったものではないけれど。
 それでも、彼女の唯一の味方でいることが僕の役割なのだと思う。
 双子として生まれてきた以上、この運命からは逃れられない。
 覚悟を決めるしかないのだ。
 次の事件が起きるまでの束の間の休息。
 僕はノートを開き、教師の板書を機械的に写し始めた。
 周りの視線が痛い。
 ハイムの弟である僕に対しても、恐れと軽蔑が混ざったような視線が向けられている。
 慣れっこではあるけれど、心地よいものではない。
 それでも僕は、努めて平然を装う。
 動揺を見せれば、奴らはつけ込んでくるかもしれないからだ。
 ハイムが暴力で築いた城を、僕が知性で維持する。
 妙な役割分担が出来上がりつつあった。
 授業終了を告げるチャイムが鳴り響く。
 教師は逃げるように教卓を離れ、教室を出て行った。
 生徒たちも一斉に緊張を緩め、ガタガタと席を立つ。
 当然のことながら、ほとんどのクラスメイトはハイムの席の近くを通ろうとはしない。
 近づく者はハイムのファンや信者だけだ。
「……ハイム、起きてください。休み時間ですよ」
「…ん……ふぁ……」
 目をこすりながら起き上がる姉を見つめ、僕は再びため息をついた。






[Phase.1] 歪んだ理屈と小さきプライド


 放課後の静まり返った廊下、手洗いで顔を洗った僕は、タオルで水分を拭いながら独り溜息をついていた。
 ハイムは先生に呼ばれて進路指導室へ向かっており、僕は1人で教室へ戻る途中だったのだ。
 静かな廊下に、カツカツと複数の上履きが床を鳴らす足音が近づいてくる。
 足を止めると目の前に4人の女子生徒が立ちふさがった。
 彼女たちの顔には、露骨な敵意と不機嫌そうな色が浮かんでいる。
 中心に立つ亜子、その脇を固める伊奈、宇理恵、そして1番後ろで腕を組む江子だ。
「……なにか用ですか」
 僕が静かに尋ねると、リーダー格の亜子が髪を払いながら、鼻で笑うように1歩踏み出してきた。
「あのさー、シロムくん？ ちょっと話があるんだけどいいかな」
「……僕に話、ですか」
「そうだよ。あんたのあのお姉ちゃんについて」
 亜子の言葉に引き立てられるように、伊奈が眉をひそめて不満を露わにする。
「ハイムさんさ、すっごいクラスの雰囲気ぶちこわしなんだけど。分かってる？」
「みんな怯えてまともに学校生活送れないんだよ？ 異様すぎるじゃん」
 宇理恵が同意するように大きく頷き、蔑むような視線を僕に向けてくる。
「暴力で全員を脅してさ、先生たちもなにも言えないし、信じられないんだけど」
「だからさ、シロムくんからお姉ちゃんに言ってよ。みんなにちゃんと謝るようにさ」
 亜子が腕を組み、当然の要求だとばかりに上から目線で言い放った。
「弟のシロムくんからさ、ちゃんと諭してよ。これ以上クラスを荒らさないでって」
 4人からの圧迫感のある視線が、1人で立つ僕の全身に突き刺さる。
 正直、体格差的にも僕には彼女たちを力で退けるような威圧感はない。
 僕もハイムも身長は150cmほどしかない（ハイムの方が1cm高いのが気にいらない）。
 同年代の女子生徒と並んでも大差のない体格で、小柄な部類に入る。
 男子としての骨格もまだ未発達で、こうして4人の女子に囲まれると視覚的な威圧感すら覚える。
 けれど、僕の中でふつふつと冷たい怒りが湧き上がってくるのを止められなかった。
「……謝る、ですか」
「そうだよ。あんたも身内なら責任感じなよ」
「理不尽ですね」
 僕の静かな反論に、亜子の眉が跳ね上がった。
「……は？ なにが理不尽なわけ？」
「順序が逆ですよ。悪いのは、最初にハイムへ陰湿なイジメをしたそっちですよね」
 はっきりと口にすると、江子が後ろから不快そうに声を荒らげた。
「はあ！？ あんたなに言っちゃってんの？ 私たちは関係ないでしょ！」
「関係ない？ 本当にそう言えますか？」
 僕は背筋をしっかりと伸ばして、4人の顔を順番に見つめ返した。
「下駄箱にカミソリを入れ、教科書を切り裂き、机にゴミを詰めた。犯人が特定できないことをいいことに、クラス全体で陰口を叩いて面白がっていたのは誰ですか」
「それは……！ あいつが生意気だからでしょ！」
 伊奈が思わず本音を漏らし、すぐに口を噤んだが、もう遅い。
「生意気だから暴力を振るい、嫌がらせをしていいなんて理由にはなりません。ハイムのやり方が過激だったことは認めますが、元を正せばあなたたちの悪意が引き起こしたことです。自分たちが蒔いた種なのに、痛い目を見たら被害者面をして謝罪を求めるなんて、ムシが良すぎます」
 一気に捲し立てると、亜子の顔が怒りで赤く染まっていく。
「あんたねえ……っ！ 弟だからって調子に乗ってんじゃないわよ！」
「調子に乗っているわけではありません。客観的な事実を述べているだけです」
「事実！？ あいつがやってることはただの暴力行為でしょ！」
「じゃあ、あなたたちが裏でやっていたことはなんなんですか？ 陰湿なイジメじゃないですか」
 1歩も引かない僕の姿勢に、宇理恵が威嚇するように身を乗り出してきた。
「生意気な口利かないでよ！ あんたみたいなちびっ子がさ！」
 ちびっ子、という言葉が僕の胸にチクリと刺さる。
 確かに僕は背が低く、ハイムより1cmだけど小さいし（気にしている）、彼女たちと比べても線の細い体格だ。
 1人でこの場に立っている僕は、それこそ客観的に見れば圧倒的に不利な状況だろう。
 僕に手を出そうと思えば、彼女たち4人なら容易に僕を押さえつけられるかもしれない。
 一瞬、脳裏に『ハイム』の存在が浮かんだ。
 ここで「僕に手を出したらハイムが黙っていないですよ」と言えば、彼女たちは怯えて逃げ出すかもしれない。
 ハイムのあの圧倒的な暴力を背景にチラつかせれば、一発で解決するかもしれない。
 だが、そんな言葉は口が裂けても言えなかった。
 僕にだって男子としてのプライドがある。
 いくら小柄で頼りなくても、姉の陰に隠れて脅しにその名を使うような惨めな真似だけは絶対にしたくない。
 自分1人の足で立ち、自分1人の言葉で、この眼前の敵と対峙しなければ意味がないのだ。
「体格のことはまったく関係ありません。僕は僕自身の意見として、あなたたちの要求を拒否します。僕からハイムに謝らせることなんて絶対にしません」
「……なによそれ。あんた、自分がどういう立場か分かってんの？」
 亜子が低く冷たい声で脅すように言った。
「お姉ちゃんがいない時に、私たちを怒らせたらどうなるか……頭回らないわけ？」
「僕を殴るなら、どうぞ」
 僕は真っ直ぐに亜子の目を見つめ返した。
「ただし、その瞬間にあなたたちもハイムと同じ『加害者』になります。証拠もなにも残さず隠れて嫌がらせをする卑怯者から、正真正銘の暴行犯に降格ですね」
「っ……！ この……ッ！」
 亜子は拳を握りしめ、今にも僕に掴みかからんばかりに身体を震わせた。
 宇理恵も伊奈も、怒りと屈辱で顔を歪めている。
 僕の身体は恐怖でわずかに強張っていたが、視線だけは絶対に逸らさなかった。
 姉の力を借りず、自分1人の力で立つ。
 それが、僕が自分自身に課した揺るぎない意地だった。
 緊張感が極限まで高まり、沈黙が廊下を支配する。
 僕と亜子の間で、火花が散るような視線の押し引きが続いた。
「……チッ」
 沈黙を破ったのは、亜子の深く激しい舌打ちだった。
 彼女は溢れんばかりの殺意を込めた目で僕を睨みつけると、吐き捨てるように言った。
「最悪。どいつもこいつも狂ってるわ」
「……本当よ。姉も姉なら、弟も弟ね」
 伊奈が吐き捨てるように同調する。
「気持ち悪い。関わるだけでも虫唾が走るわ」
 宇理恵も汚いものを見るような目で僕を一瞥した。
「行くよ。こんな奴に言っても無駄だわ」
 亜子は踵を返し、荒々しい足音を立てて歩き出した。
 残りの3人も、僕に呪いのような視線を浴びせながら、彼女の後を追っていく。
「……覚えときなよ。このままで済むと思わないことね」
 最後に江子が捨て台詞を残し、4人の姿は廊下の角へと消えていった。
 静寂が再び廊下に戻ってくる。
「……ふぅ」
 彼女たちの足音が完全に聞こえなくなったのを確認して、僕は壁に背中を預け、深く息を吐き出した。
 緊張の糸が切れ、膝がわずかに震えているのが分かった。
 我ながら無茶な強がりだったと思う。
 もし彼女たちが理性を失って僕に襲いかかってきていたら、無傷では済まなかっただろう。
 けれど、ハイムの名前を出して逃げなかったことだけは、自分の中で小さな誇りだった。
 窓の外を見ると、夕日が校舎を真っ赤に染め上げている。
 血のように赤い光が、静まり返った廊下に長く不気味な影を落としていた。
 言い知れぬ暗い雰囲気が、僕の胸を重く押し潰す。
 なにも解決していない。
 むしろ、僕が彼女たちの不満を煽り、火に油を注いでしまったのかもしれない。
 不満と憎悪は、消えるどころかより深く地下へ潜り、凶悪な形へ変貌しようとしている。
 この学校の空気は、もう完全に腐りかけていた。
「……嫌な展開ですね」
 僕はひとりごち、眉間を押さえた。
 教室に戻らなければならないのに、足が重い。
 僕の前に立ち塞がったあの4人は、次はなにをしてくるのだろう。
 ハイムに直接手を出す度量はもうないはずだ。
 だから、標的になるのは……僕なんだ。
 自分が巻き込まれる危険性を理解しながらも、不思議と後悔はなかった。
 ハイムの弟として、そして1人の男子として、譲れない一線は守れたのだから。
「……シロム？」
 不意に、聞き慣れたローテンションな声が背後から響いた。
 振り向くと、進路指導室から戻ってきたハイムが、静かにそこに立っていた。
「ハイム。お帰りなさい、早かったですね」
「……うん。話、すぐ終わったから」
 ハイムは僕の顔をじっと見つめてくる。
「……なにか、あったの？」
「いいえ、なにもありませんよ」
 僕は努めて平然とした笑みを浮かべ、首を横に振った。
「ただ、少し疲れが出ただけです」
「……そう」
 ハイムは深追いをせず、僕の隣に並んで歩き始めた。
 彼女の身長は僕より1cm高い。
 たった1cmだが、並んで歩くとその微小な差が少しだけ悔しかった。
 彼女の横顔は相変わらず無表情で、なにを考えているのか読み取れない。
 僕が女子たちに絡まれていたことなど、彼女は知る由もない。
 それでいいのだと思う。
 僕の戦いは僕だけのものだ。
 ふたりで並んで静かな廊下を進む。
 すれ違う他のクラスのハイムのファンではない生徒たちは、こちらを見るなり青ざめて壁際に身を寄せた。
 まるで猛獣の通り道を空けるかのように。
 一方で一部のハイムのファン達だけは熱烈なラブコールを投げかけてくる。
 この異常な光景が今の僕たちの現実だ。
「……ねえ、シロム」
「なんですか、ハイム」
「……おなかすいた」
「はぁ……。帰ったらなにか作りますよ」
「……うん」
 そんな他愛もない会話を交わしながら、僕たちは教室へ戻り、バッグを掴んだ。
 教室に残っていた生徒たちの視線が痛いほど突き刺さる。
 亜子たち4人も教室の隅にいたが、僕と目が合うと苛立ちを隠そうともせずに顔を背けた。
 彼女たちの瞳の奥に燃える怨念の残り火を、僕は見逃さなかった。
 次の衝突はきっとそう遠くない。
 学校を出て、夕焼けに染まる通学路をふたりで歩く。
 影が長く伸びて、どこまでも続いていた。
「……今日のご飯、なに？」
「なにがいいですか？」
「……オムライス。ソースはビーフシチューのがいい」
「わかりました。卵、残っていたかな……」
 日常を装いながらも、僕の心は重く沈んだままだった。
 クラスの雰囲気はもう限界を迎えている。
 いつ爆発してもおかしくない不発弾を抱えたまま、明日もまたこの学校へ通わなければならない。
 暗い予感が、僕の頭から離れなかった。
 それでも僕は、ハイムの隣を歩き続ける。
 自分が小さく頼りない存在だとしても、折れるわけにはいかないのだ。
 握りしめた拳に力を込めながら、僕は静かに息を吐いた。
 風が吹き抜け、路上の落ち葉をカサカサと鳴らす。
 秋の深まりと共に、僕たちの周りの世界もまた、冷たく冷え切っていくようだった。
 言葉の刃と物理的な暴力が交錯するこの学校で、僕が保てるプライドはどこまで通用するのだろう。
 答えの出ない問いを抱えながら、僕は姉の少し先を行く影を追いかけて歩いた。
 夕日が完全に沈みかけ、街灯がポツポツと灯り始める。
 家までの道のりは、いつもよりずっと長く感じられた。
「……シロム、歩くの早い」
「あ、すみません。少し考え事をしていて」
「……ふーん」
 ハイムの歩調に合わせて速度を落とす。
 1cmの身長差が、また視界の端でちらついた。
 早く背が伸びればいいのに、と柄にもなく思う。
 せめて見上げられる立場から、見下ろせる立場になりたかった。
 それは男子としてのささやかな意地だった。
 家に着くと、鍵を開けて静かな玄関に入った。
「ただいま、です」
「……ただいま」
 誰もいない家の中に、ふたりの声が寂しく響く。
 ここだけが、あの歪んだ学校から隔離された唯一の聖域だった。
 カバンを置き、キッチンへ向かってエプロンを身につける。
 冷蔵庫を開けると、卵はギリギリ2人分残っていた。
「ハイム、オムライス作れますよ」
「……やった」
 リビングのソファに深く沈み込むハイムを見ながら、僕はフライパンを取り出した。
 料理をしている間だけは、余計なことを考えずに済む。
 玉ねぎを刻む包丁の音が、トントンとテンポよく響く。
 亜子たちの捨て台詞が、脳裏でリフレインしていた。
 『覚えときなよ。このままで済むと思わないことね』
 彼女たちが次に仕掛けてくるとしたら、どんな手段だろう。
 直接的な暴力ではなく、もっと精神的で、陰湿ななにかか。
 僕をターゲットにして、ハイムを揺さぶろうとするかもしれない。
 あるいは学校全体を巻き込んだ大きなトラブルか。
 どんな手で来ようと、僕は1人で受け止める覚悟を固める。
 フライパンでケチャップライスを炒める香ばしい匂いが立ち込める。
「……いい匂い」
 ハイムがいつの間にかキッチンの入り口までやってきて、ひょっこり顔を出していた。
「もう少しでできますから、座って待っていてください」
「……ん」
 おとなしく戻っていく姉の背中を見送りながら、僕は薄焼き卵を作り始めた。
 歪んだ日常の中で、この平穏がいつまで続くのかは誰にもわからない。
 けれど、僕は僕のやり方で、この小さな日常を守り抜いてみせる。
 オムライスをおさらに盛り付けながら、僕は固く決意を新たにしたのだった。






[Phase.2] 屈辱の金蹴りとおしっこ失禁


 放課後の静けさが漂う校舎で、僕は鞄を抱えて1階の男子トイレへと向かっていた。
 ハイムは先生に頼まれたプリントの補習作業で、まだ教室に残っている。
 用を足してから帰ろうと角を曲がった瞬間、背後から突如として激しい衝撃が腰を襲った。
「ぐっ……！？」
 元々小柄で身体の軽い僕は、抵抗する間もなく前のめりに床へ叩きつけられた。
 痛む膝を押さえて立ち上がろうとした瞬間、視界が急激に反転し、強烈な力で腕を掴まれる。
「ちょっと来てもらうよ、シロムくん」
「なにをするんですか……ッ！」
 状況が理解できないまま引きずり込まれたのは、薄暗い女子トイレの中だった。
 バタンと重い音を立ててドアが閉じられ、狭い空間に閉じ込められる。
 目の前に立ちふさがったのは、昨日の4人——亜子、伊奈、宇理恵、そして江子だった。
 亜子の手には、綺麗に折りたたまれた女子用の制服のスカートとセーラー服が握られている。
「これを着なよ。あんたとハイムって双子だから、顔もそっくりでしょ？」
「……一体、なにを企んでいるんですか」
「あんたにこれを着せてさ、床に這いつくばらせて土下座させるの」
 伊奈が嫌らしい笑みを浮かべ、手に持ったマスホ（僕は昔からスマホのことをマスホと呼んでいる）のカメラを僕に向けて掲げた。
「ハイムが頭を下げて謝ってるみたいな動画を撮って、ネットに撒き散らしてやるんだよ」
「そうそう。あの女のプライドを完璧に踏みにじってやるの。さあ、早く脱ぎなよ！」
 宇理恵が僕の肩を掴み、服を剥ぎ取ろうと手を伸ばしてくる。
 逃げ場のない女子トイレの個室前、僕は冷や汗を流しながらも、真っ直ぐに彼女たちを睨みつけた。
「お断りします」
 毅然とした拒絶の言葉に、4人の顔から笑みが消え、激高した赤みが差し込む。
「あんたねえ！ 自分がどういう立場か分かってんの！？」
「分かっていますよ。ですが、そんな卑怯で惨めな捏造工作に協力する気はありません」
「生意気なんだよ、このチビッ子が……ッ！」
 亜子が般若のような形相で怒鳴り散らすが、僕は冷ややかに言葉を返した。
「いくら僕を脅しても無駄です。そんな真似をしたところで、あなたたちの愚かさが惨めさへ変わるだけ——」


 ドボッ！！


 言い終わるより早く水の入った袋を叩きつけたような音が鳴り、僕の股を下から上へと突き抜ける異様な衝撃が走った。
「え……？」
 なにが起きたのか、脳の処理が追いつかない。
 亜子が足の甲で、僕の股を全力で蹴り上げたのだ。
 最初のコンマ数秒、痛みは全く来なかった。
 ただ、下腹部の奥深く、人体の根幹を支える大切な部位に「なにか致命的な破壊」が加わった感触だけがあった。
 直後、地獄のような激痛が波のように押し寄せてきた。
「ッ……………！？！？！？」
  声にならない悲鳴が気管に詰まり、息が完全に止まる。
 これまで生きてきて一度も経験したことのない、次元の違う激しい痛みの波。
 それは単に皮膚や筋肉が痛むのではなく、神経の束が直接焼き切られ、内臓全体が握り潰されるような凄絶な破壊熱だった。
 腹の底から悪心が吐き気となって突き上げ、視界が一瞬で真っ白に染まる。
 脳が拒絶反応を起こし、全身の全細胞が狂ったように警報を鳴らし始めた。
 立っていられるはずもなく、僕は崩れ落ちるように床へ倒れ込んだ。
「あぐッ……ぁ……ッ、あ、ガッ……ッ！！」
 男としてのプライドも、冷静な思考も、すべてが一瞬で吹き飛んだ。
 あまりの激痛に身体が勝手に丸まり、エビのように身体を折り曲げて床をのたうち回る。
 両手で必死に股間を抱え込み、圧迫することで少しでも痛みを和らげようとするが、指先が触れるかすかな振動すら絶望的な痛みのフラッシュとなって頭導を突き抜ける。
「うあぁぁ……ッ、あ……ひっ、ふぐぅぅうううっ！！」
 恥も外聞も、なにもかもどうでもよくなった。
 目からはボロボロと大きな涙が溢れ出し、口からは制御の効かない涎が垂れて床を汚す。
 鼻水すら垂れ流しながら、僕はただただ「ウグッ、あぁぁ」と獣のような見苦しい呻き声を漏らすことしかできなかった。
 股間の奥で、玉が破裂してしまったのではないかという恐怖と、下腹部を焼かれるような熱気が絶え間なく襲いかかる。
 呼吸をするたびに腹圧がかかり、そのたびに激痛が跳ね上がって意識が飛びそうになる。
 生まれて初めて味わう急所への打撃は、僕の理性を完璧に破壊してしまっていた。
「あはははは！ 見た！？ 1発で倒れちゃったんだけど！」
「すごいっ！ 金蹴りってホントに効くんだ！」
「うわっ、引くわー！ 涎と鼻水垂らしてマジで汚いんだけど！」
 頭上から聞こえる女子たちの嘲笑すら、遠い世界の出来事のようにぼやけて聞こえる。
 痛みに耐えようと全身の筋肉に極限の力が入った、その瞬間だった。
 股間の奥、下腹部の緊張が一気に限界を迎える。
（え……う、うそ……？）
 元々トイレに行こうとして、膀胱に限界まで尿が溜まっていたのだ。
 激痛による反射的な括約筋の弛緩と、下腹部への強烈な圧迫が重なり、僕の意思とは無関係に排尿のスイッチが入ってしまう。
 股間が急激に熱くなり、股間を必死に押さえていた僕の両手の隙間から、温かい液体が溢れ出した。
 じわじわと、お湯のような温もりがズボンと下着を濡らし、床へと滴り落ちていく。
 ジョボジョボと、静かなトイレ内に絶望的な水音が響き渡った。
「……え、待って。こいつ、もしかして……」
「ウソでしょ！？ おしっこ漏らしてんじゃん！！」
「キャハハハハハ！ やばい、超ウケるんだけど！ 漏らしたよこいつ！」
 4人の狂喜に満ちた爆笑が、女子トイレの中にけたたましく響き渡る。
「撮れ！ 早く動画撮って！！」
「バッチリ撮ってるよ！ ハイムの弟、股間蹴られて泣きながら失禁なうってタイトルで流しちゃおうよ！」
「やめ……て……っ……やめ……っ」
 僕は震える声で懇願しようとしたが、口から漏れるのは涎の混じった無様な喘ぎだけだった。
 股間を押さえる手は自分のおしっこで濡れ、冷たく不快な感覚が全身を包み込む。
 レンズが僕の無様な姿を逃すまいと近付いてくる。
 カシャカシャと鳴り響くシャッター音と、動画撮影の赤いランプ。
 涙と鼻水でグシャグシャになった顔、股間を濡らして倒れ伏す無様な体勢。
 男としてのプライドも、人間としての尊厳も、すべてがこの冷たい女子トイレの床の上で粉々に砕け散った。
「あはは！ ハイムに見せてやりたいね！ あんたの自慢の弟、おしっこ漏らして泣いてるよって！」
「これ拡散されたら、もう学校来れないねぇ！」
「ざまあみろ！ 威張ってた報いだよ！」
 彼女たちの言葉が、鋭い針となって僕の心に突き刺さる。
 痛みが引く気配は一切なく、むしろ下腹部全体の鈍痛が深く重く沈み込んでいく。
 身体が震えて動かない。
 手すりやすのこを掴む気力すら失われ、僕は自分のアンモニアの海の中で、ただ震えることしかできなかった。
「……あ……う……っ」
 自分がこんなにも弱く、無力な存在だったと思い知らされる。
 ハイムの影に隠れず、自分の力で立ち向かおうとした結果が、この惨状だ。
 プライドを守ろうとした結果、もっとも惨めで屈辱的な形でそれを奪われてしまった。
 絶望と、激痛と、自己嫌悪が僕を苛む。
 4人は僕の醜態を存分に撮影すると、満足そうに顔を見合わせた。
「もう十分でしょ。こんな汚い奴と一緒にいたくないし」
「本当、臭くなってきた。行こうよ」
「バイバイ、シロムくん。明日からの学校、楽しみにしててねー！」
 ガチャリと鍵が開けられ、4人の楽しげな足音が遠ざかっていく。
 静寂が再び女子トイレを支配した。
 残されたのは、血の気の引いた顔で丸まり、自分の尿まみれになって震える僕だけだった。
「……っ……ぐすっ……ひぐっ……」
 誰もいないトイレで、僕はついに声をあげて泣き出した。
 股間の激痛は依然として消えず、体温を奪う濡れた服が惨めさを何倍にも増幅させる。
 どうしてこんなことになってしまったのだろう。
 僕はただ、間違っていることに反論しただけなのに。
 自分の正義を貫こうとしただけなのに。
 現実はあまりにも残酷で、容赦なく僕を叩き潰した。
 床についた自分の手が、震えて力が入らない。
 立ち上がることすらできず、僕はただ冷たいタイルに顔を押し付けた。
 動画が拡散されたら、僕の学校生活は完全に終わる。
 それどころか、ハイムにもどれほどの迷惑と屈辱がかかるか分からない。
 僕が足引っ張りになったのだ。
 僕が弱かったせいで。
 悔しさと情けなさで、胸が張り裂けそうだった。
 ポタポタと、涙が床の水たまりに落ちて波紋を作る。
 股間の痛みに耐え兼ね、再び身体を小さく丸める。
 下腹部が重く激しく疼き、波が押し寄せるたびに息が止まる。
「……助け……て……」
 消え入りそうな声で、届くはずのない助けを呼んでしまう。
 そんな自分がいっそう惨めで、涙が止まらなかった。
 放課後の校舎は静まり返り、僕の泣き声だけが虚しく響いていた。
 どれほどの時間が経ったのだろう。
 痛みが少しだけ引き、代わりに底なしの虚無感が僕を支配し始めていた。
 服についた臭いと汚れが、僕の犯した失敗の証として残り続ける。
 僕はゆっくりと、震える身体を起こそうとした。
 だが、下腹部に走る激しい痛みに拒まれ、再び崩れ落ちる。
「あ……ぐっ……っ」
 動くことすら許されない。
 この屈辱的な場所で、僕はただ惨晒され続けるしかなかった。
 夕闇が女子トイレの小窓から差し込み、室内を不気味な赤紫色に染めていく。
 影が伸び、僕の無様な姿を呑み込んでいく。
 頭の中で、亜子たちの高笑いが何度も何度もリフレインしていた。
 『股間蹴られて泣きながら失禁なう』
 その言葉が、僕の脳裏に焼き付いて離れない。
 僕の尊厳は、完全に死んだのだ。
 ハイムの弟として誇り高くあろうとした少年は、ここにはもういない。
 ただの、哀れで惨めな敗北者だけが転がっている。
 歯を食いしばり、血が出るほど唇を噛み締めた。
 痛みと屈辱の中で、僕の心の中に黒くドロドロとした感情が生まれていくのを実感していた。
 それは恐怖ではなく、諦めでもなく。
 ただひたすらに深い、漆黒の絶望と怨念だった。
 自分をこんな目に遭わせた世界に対する、冷たい殺意に近いなにか。
 けれど、今の僕にはそれをぶつける力すら残されていない。
 ただ床を這いずり、不快な濡れ濡れとした感触に耐えるだけ。
 涙で視界がぼやける。
 ぼやけた世界の中で、自分の手が惨めに震えているのが見えた。
「……は……っ……ふぅ……」
 浅い呼吸を繰り返し、少しずつ痛みが引くのを待つ。
 だが、心の傷は決して癒えないだろう。
 この女子トイレの床で流したおしっこと涙の味を、僕は一生忘れることができない。
 廊下から、足音が聞こえた気がした。
 誰かが僕を探しているのだろうか。
 ハイムだろうか。
 いや、おねがいだからこないで。
 こんな無残で醜い姿を、一番見られたくない相手に見られるわけにはいかない。
 僕は必死に息を殺し、気配を消そうと小さくなった。
 だが、足音はまっすぐに女子トイレの前へと近づいてくる。
 コツン、コツンと、静かで、冷たく、規則正しい足音。
 その足音が誰のものか、僕には嫌というほど分かってしまった。
 絶望が、再び僕の全身を駆け巡る。
 ドアの前に、足音が止まった。
 静寂が訪れる。
 ドアノブが、ゆっくりと回された。
 ギィと嫌な音を立てて、女子トイレのドアが開く。
 夕日の赤黒い光線が室内に差し込み、僕の汚れた身体を鮮明に照らし出した。
 そこに立っていたのは。
「……シロム？」
 感情の削ぎ落とされた、いつものローテンションな声。
 ハイムだった。
 彼女はゆっくりと室内を見渡し、床に倒れる僕と、広がった液体、そして捕まれた際に散らばった制服のボタンを目に留めた。
 僕の顔は見えないはずだ。
 床に顔を押し付け、必死に隠しているのだから。
 けれど、僕が漏らす浅い喘ぎ声と、震える身体がすべてを物語っていた。
「こないで……っ……ハイム……」
 かろうじて出た声は、非道く掠れて情けなかった。
「…みないで……おねがいから……っ」
 ハイムはなにも言わず、静かに1歩を踏み出した。
 靴底が、濡れた床を踏む小さな音が聞こえる。
 彼女は僕のすぐそばまで来ると、ゆっくりと屈み込んだ。
「……シロム」
 彼女の手が、僕の濡れた髪に優しく触れた。
 その温もりが、今の僕には痛いほど辛かった。
「……誰？」
 短く、平坦な問いかけ。
 けれど、その声の底には、今までに聞いたこともないような冷酷な温度が秘められていた。
「………いいです……僕の……せいだから……」
「……誰に、やられたの」
 ハイムは僕の言葉を聞き入れず、もう1度尋ねた。
 彼女の目が、僕の股間の汚れを見る。
 ハイムの表情は相変わらず変わらない。
 けれど、彼女から放たれる気が、周囲の空気を物理的に凍りつかせるかのように鋭くなっていく。
「……シロム」
「…はい……」
「……立てる？」
「…無理……です……激痛で……っ」
「……そう」
 ハイムは立ち上がると、自分が着ていたカーディガンを脱ぎ、僕の腰元にそっとかけてくれた。
「……待ってて」
 彼女は短くそう言うと、踵を返した。
「ハイム……っ、なにを……」
「……掃除」
 ハイムの背中が、女子トイレを出ていく。
 その足音は先ほどまでとは違い、恐ろしいほど静かで、確かな殺意を孕んでいた。






[Phase.3] 真っ白なパンツ丸出し


 家に帰ってからも、僕は自分が誰に襲われたのかをハイムに話さなかった。
 それが、ボロボロに引き裂かれた僕に残された最後のプライドだった。
 女相手に股間を蹴られて泣き叫び、失禁までした無様な失態。
 それを姉に泣きついて告げ口するなど、僕の自尊心が絶対に許さなかったのだ。
 僕が頑なに口を閉ざしていたため、ハイムもそれ以上はなにも聞いてこなかった。
 夜、自分の部屋のベッドの中に潜り込んでも、微睡むことすら許されない。
 目を閉じるたびに、昼間の圧倒的な屈辱が鮮明な映像となって脳裏に蘇る。
 生まれて初めて味わった、あの金蹴りの恐ろしい痛み。
 下腹部を丸ごと焼き切られるような凄絶な激痛と、内臓を潰されるような悪心。
 よりによって、同年代の女子に股間を蹴られて倒れ伏したという事実が恥ずかしくて堪らない。
 そしてなにより恐怖と痛みのあまり、無意識のうちにおしっこを漏らしてしまったこと。
 濡れた下着の冷たさと、4人の高笑いが、耳の奥でいつまでもリフレインしていた。
「……っ……ふぐっ……」
 シーツを強く噛み締めながら、僕は夜闇の中でひそかに涙を流した。
 明日学校へ行けば、あの動画が全校生徒に拡散されているかもしれない。
 どんな目で見られ、どんな嘲笑を浴びせられるのだろう。
 恐怖で身体の震えが止まらないまま、僕はひとときの眠りも得られずに朝を迎えた。
 だが、翌朝登校してみると、懸念していたような大騒ぎにはなっていなかった。
 学校内には何の異変もなく、動画がインターネッツで拡散された様子もみられない。
 ハイムが暴れてあの4人を血祭りに上げたということもなかった。
 ハイムは相変わらず自席でぼんやりと窓の外を眺め、平静を保っている。
 安堵しかけた僕だったが、すぐにそれが甘い考えだったと知ることになる。
 教室の隅から、亜子、伊奈、宇理恵、江子の4人がこちらを見つめていた。
 彼女たちは口元に手を当て、くすくすと嫌らしい笑みを浮かべて僕を嘲笑っている。
 動画を学校中に撒き散らすのではなく、僕を逃げ場のない玩具として手元で弄ぶつもりなのだ。
 重い足取りで自分の席につき、鞄を置こうと引き出しの中に手を伸ばす。
 指先に、小さく折りたたまれたちいさいメモ用紙が触れた。
 引きずり出して開くと、そこには短い文字が躍っていた。
 『放課後、昨日の女子トイレに出頭せよ。来なかったら動画を全員に流す』
 冷や汗が背中を伝い、心臓が早鐘のように鳴り響く。
 逃げ道なんて最初から存在しなかったのだ。
 僕の尊厳を人質に取られた悪夢の地獄は、まだ始まったばかりだった。
 一日中の授業が、まるで拷問のように長く感じられた。
 ノートを取る手は震え、教師の声など一切頭に入ってこない。
 時折振り返ると4人の冷ややかな視線が、僕の肉体を削り取っていくようだ。
 ハイムに助けを求める選択肢は、僕の中には存在しない。
 彼女に知られれば、間違いなく前回の暴行以上の凄惨な血の惨劇が起きる。
 そして僕自身も、姉の威光を借りてしか生きられない惨めな存在へと完全に堕ちてしまう。
 これは僕自身の問題であり、僕が1人で背負わなければならない罰なのだ。
 やがて、容赦なく放課後を告げる終わりのチャイムが校内に鳴り響いた。
「……シロム、先に帰る？」
 荷物をまとめたハイムが、静かな声で僕に問いかけてくる。
「……いえ、今日は少し委員会で残らなければならないんです」
 僕は必死で引きつる顔を繕い、ウソの言い訳を口にした。
「ハイムは先に帰っていてください」
「……そう。じゃあ、家で待ってる」
 ハイムは疑う様子もなく、ゆっくりと教室を出て行った。
 彼女の背中が遠ざかるのを見送りながら、僕は深く息を吐き出す。
 これでいい。
 彼女を巻き込んではいけない。
 これは、僕1人だけの秘密であり、苦痛なのだから。
 人影がまばらになった放課後の校舎を、僕はまるで処刑場へ向かう囚人のように歩いた。
 1歩踏み出すごとに、昨日の股間の痛みが蘇ってくるような錯覚に襲われる。
 1階の奥にある、あの暗い女子トイレの扉の前にたどり着いた。
 ドアノブに手をかけようとすると、指先が滑って上手く力が入らない。
 呼吸を整え、意を決して扉を押して中へと入った。
 室内にはすでに、あの4人が腕を組んで待ち構えていた。
 パタンと後ろで扉が閉ざされる。
「逃げずに来たんだ。えらいじゃん、シロムくん」
 亜子が歪んだ笑顔を浮かべて、僕の元へと歩み寄ってくる。
「動画、拡散されたくないもんねぇ？ あんな無様な姿、みんなに見られたら生きていけないもんね」
「……なんの、真似ですか」
 僕は掠れた声で、どうにか問いかけた。
「なんの真似って？ 決まってるじゃん、お仕置きだよ」
 宇理恵が手に持ったマスホの画面をチラつかせる。
「あんたのお姉ちゃんのせいで、私たちがどれだけ肩身の狭い思いをしてるか分かってんの？」
「だからさ、代わりに弟のあんたがたっぷり罪を償いなよ」
 伊奈が壁に置いてあった清掃用のバケツを蹴飛ばし、金属音を響かせた。
「さあ、昨日の続きをしようか」
 江子が床に女子生徒の制服を放り投げる。
「それを着て、私たちの靴を舐めながら謝りな」
「……おことわりです」
 僕が震える声で反抗すると、亜子の表情が一瞬で豹変した。
「また調子に乗って……っ！ 学習能力がないわけ！？」
 亜子は間髪入れずに、僕の胸元を強く突き飛ばした。
 よろめいた僕の背中に、冷たいタイルの壁が激突する。
「掴みなさい！」
 亜子の指示で、宇理恵と江子が僕の両腕を左右から押さえつけ、逃げられないように拘束した。
「離し……てください……っ！」
「黙りなよ、チビ！」
 伊奈が僕の髪の毛を強く引っ張り、頭部を無理やり固定する。
 両腕と頭を覆われ、無防備になった僕の身体。
 亜子が、昨日と同じように爪先の尖った上履きをゆっくりと引き、狙いを定めた。
「……ひっ……やめ……」
「自分の立場、身体に叩き込んであげる！」
 容赦のない蹴りが、再び僕の急所へと一直線に繰り出された。
 
 ドスッ！！


 湿った鈍い音が狭いトイレ内に響き渡る。
「あがぁぁぁぁぁっっっ！？ ！？」
 昨日を上回る狂気的な激痛が、全身の神経を突き抜けた。
 拘束されているせいで身体を丸めることもできず、衝撃がダイレクトに下腹部の奥深くへと突き抜ける。
 眼球が飛び出しそうなほどの圧迫感と、灼熱のマグマを注ぎ込まれたような破壊的な痛み。
「ガっ……あ……っ……ひ……っ！！」
 呼吸が完全に止まり、白目を剥きそうになる。
 あまりの痛みに全身の筋肉が痙攣し、拘束をすり抜けて膝から床へ崩れ落ちた。
「あはは！ 今日もいい音鳴ったね！」
「ほらほら、昨日に続いて第2弾撮影中だよー！」
 床にのたうち回り、両手で必死に股間を抱え込む僕。
 痛みで声が出ず、「ヒュー、ヒュー」と掠れた吐息しか漏れない。
 口からは歯の隙間からダラダラと涎が溢れ、鼻水が床へ垂れていく。
 昨日痛めた部位への追撃は、僕の精神を根底から粉砕するのに十分すぎる威力を秘めていた。
「うぐぁぁ……あ……っ……痛い……痛い痛い痛い……っ！」
 床を転がり、あまりの激痛に身体を丸める僕に、容赦のない更なる追い打ちが待っていた。
「ねえ、今日もまた漏らしてんじゃないのー？」
 亜子の冷酷な声が、頭上から嘲笑うように降り注ぐ。
「チェックしてあげなきゃね。おしっこ漏らしてないか、下履いてるか確認しよ」
「そうそう！ 汚いおしっこマンなんだからさ！」
 伊奈と宇理恵が吐き捨てるように笑うと、乱暴に僕の腰元へと手を伸ばしてきた。
「やっ……やめてください……っ！ 触らないで……っ！」
 僕は泣き叫びながら、震える手で必死にベルトとズボンの上端を押さえつけようとした。
 だが、下腹部を焼くような金蹴りの激痛で力なんて全く入らない。
 江子が僕の両手を力任せに押さえつけ、床に固定してしまう。
「はい、大人しくしなよ！」
 ベルトのバックルが荒々しく外され、ジッパーが下ろされる不快な金属音が響いた。
「お願いです……っ！ 見ないでっ！！ 見ないでくださいっ！！」
 恥と恐怖でパニックになり、涙と鼻水を撒き散らしながら首を振る。
 けれど、僕の拒絶などなんの意味も持たなかった。
 乱暴な力で一気にズボンが膝下まで引き下ろされる。
 冷たい空気が、露わになった僕の下半身を容赦なく撫で上げた。
 そこに現れたのは、真っ白なブリーフ姿だった。
「キャハハハハ！ うそでしょ、なにこれ！？ ブリーフ！？」
「やばい！ 中学生にもなってブリーフ穿いてるの！？ だっさ！！」
 女子トイレの中に、割れんばかりの爆笑が炸裂する。
 マスホのシャッター音が連射され、下半身ブリーフ一丁にされた僕の姿が残酷に記録されていく。
「みないで……おねがい……みないで……っ」
 僕は顔を床に押し付け、必死に腰を捻って隠そうとするが、それすらも嘲笑の対象になった。
「シロムくんとハイムさんって、ふたり暮らしで有名じゃん？」
 亜子が屈み込み、僕の顔を覗き込みながら意地悪く囁く。
「そのパンツさぁ、お姉ちゃんに買ってもらったのー？」
「自分で買えるわけないもんね！ お姉ちゃんに『シロムはブリーフね』って言われて穿かされてるんだ！」
「お姉ちゃんのおさがりだったりして！ キャハハハ！」
「違……っ！ 違います……っ！」
 違う、と叫びたかったが、僕の声は涙とヨダレに塗れて掠れていた。
 ブリーフという下着は、身体のラインに極めてぴったりとフィットする構造をしている。
 小柄で線の細い僕の身体に、布地は容赦なく密着していた。
 床の上で海老反りに丸まった僕の背後から、宇理恵が僕の臀部を指差し、手を叩いて笑い転げる。
「見てよこれ！ お尻にぴちっと食い込んでるじゃん！」
「本当だ！ お尻かわいいねー、女の子みたいにカワイイお尻じゃん！」
「ブリーフ、お尻の割れ目に食い込んでるじゃん！ 形モロ見えだよ！」
 江子が僕の臀部をパンと手で力任せに叩いた。
 甲高い打撃音がトイレに響き、僕の身体に屈辱の衝撃が走る。
 ぴったりと張り付いた白い布地越しに、僕の臀部の丸みや形が完全に露出している。
 男としての自尊心を根底から破壊される、耐え難い羞恥心。
 顔から火が出るほどの惨めさに、息が詰まる。
「やめて……もう……やめてください……っ」
「こんなダサいブリーフなんか穿いてる男の子には、もっとお仕置きをしてあげなきゃね」
 亜子の声から、いっそう昏い狂気が滲み出る。
 彼女は容赦なく僕の両足首を掴むと、力任せに上へと持ち上げた。
「ひっ……！？ な、なにを……ッ！」
 両足を高く持ち上げられたことで、僕の股間と、ブリーフが食い込んだお尻の形が、彼女たちの目の前に完全に晒される形になった。
「うわー、完璧なポーズ！ 超綺麗に撮れてるよ！」
 伊奈がマスホを極限まで近づけ、ローアングルから僕の股間と不格好な下半身を画面に収める。
 足首を強く握られ、暴れることすらできない。
 股間の金蹴りの激痛が再び下腹部へ走り、激しい悪心が襲いかかってきた。
「ぐ……っ、あ……あぁぁっ……！」
「ほら、もっと足開いてよ！ お姉ちゃんに見せてあげるんだからさ！」
 宇理恵が僕の膝を外側に開かせようと手をかける。
 逃げ場のない、終わりなき地獄。
 4人の虐待と嘲笑は、僕の魂を一口ずつ貪り食うように続いていく。
 下腹部を突き刺す強烈な鈍痛と、下半身を晒され続ける極限の恥辱。
 涙で視界が歪み、世界が真っ赤に染まって見えた。
「あぐっ……ふ……っ……助け……っ」
 声にならない悲鳴を上げても、彼女たちの残虐な笑い声にかき消されるだけだった。
「ブリーフおしっこマンのシロムくん、もっと啼いてよ！」
 亜子が足を掴んだまま、僕の身体をゆさゆさ揺さぶる。
 揺れるたびに、痛めつけられた急所の神経が狂ったように悲鳴を上げた。
「痛っ……痛い……やめて……足、離して……っ！」
「ヤだね！ 反省するまでこのままだよ！」
「撮影まだ終わってないんだから、じっとしてなよ！」
 江子が僕の胸元を踏みつけ、逃げられないように体重をかける。
 呼吸が苦しくなり、酸素が脳に行き渡らない。
 床に散らばる自分の涙と唾液の臭いが、惨めさをさらに煽り立てる。
 ハイム助けて、と心の中で叫びそうになる自分を、残された微かな理性が必死に押し留めた。
 助けを求めれば、僕は永遠に姉の「保護対象」という無力な存在になってしまう。
 だが、今の僕の姿は保護対象どころか、ただの惨めな玩具でしかなかった。
「ほら、カメラ見て！ シロムくん、ピースしてよ！」
 伊奈が僕の濡れた顔の前にマスホを突きつけてくる。
「……っ……ふぅ……っ」
 僕は固く目を閉じ、顔を背けることしかできない。
「チッ、生意気な態度崩さないね。もっとお仕置きが必要かな」
 亜子が足を掴む手にぐっと力を込め、さらに角度を深く曲げていく。
 それはもはや股裂き状態だった。
「ぎゃあっ……！？ あ……あぁぁぁっ！！」
 股が引き千切られるような激痛が走り、僕は身体を痙攣させた。
「もうちょっとで180度開脚だよー」
「ひぎいいいいいいいいっっ！？」
 股の付け根が破れるような痛みに、吐き気が口元まで込み上げてくる。
「あはは！ すごい顔！ これベストショットじゃない！？」
「本当だ、超面白い！ ブリーフ姿で泣き叫ぶブサ顔最高！」
 4人の残虐な歓声が、狭い密室の中で反響し続ける。
 僕の尊厳は、すでに粉々に砕けて形すら残っていなかった。
 ただの肉塊として、彼女たちの悪意のままに弄ばれ続ける。
 身体の震えが止まらない。
 股裂きの激痛と、ブリーフ一丁で足を掲げられている羞恥心が、僕の精神を摩耗させていく。
「……もう……許して……ください……っ」
 ついに、僕の口から懇願の言葉が漏れ出た。
「えー？ なんて言ったの？ 聞こえないなー！」
 宇理恵が耳に手を当てて、わざとらしく聞き返してくる。
「許して……ください……僕が……悪かったです……っ」
「なにを反省してんの？ ちゃんと言ってよ！」
「ブリーフ……はいてて……すみません……っ、調子に乗って……すみません……っ」
 言わされる屈辱的な謝罪の言葉。
 それを一字一句漏らさず、マスホの動画が記録していく。
「キャハハハ！ 『ブリーフはいててすみません』だって！ ウケる！」
 4人の嘲笑は止まるどころか、ますます勢いを増していく。
 出頭命令に応じた結末がこれだ。






[Phase.4] クラスの女子からイジメの電気アンマ


「じゃあさ、次はこの生意気な股間に特別なお仕置きをしてあげよっか」
 亜子の歪んだ声と共に、僕の両足を掴む手がさらに強く固定された。
 彼女は自分の片足を上げると、僕のブリーフ越しになった急所の真上に、爪先の尖った靴底をぴったりと押し当ててきた。
「え……？ な、なにを……っ！？」
「男子がよくやってるやつだよ。『電気アンマ』って知ってるでしょ？」
「っ……！？ や、やめて……それだけは……っ！」
 言葉の意味を理解した瞬間、僕の全身の血の気が一気に引いた。
 電気アンマ——本来なら男子同士がふざけ合って行う、凶悪で危険な悪戯。
 まさかそれを、同年代の女子から、こんな逃げ場のない女子トイレで仕掛けられるなんて。
「いくよー！」
 狂気が爆発した。
 
 ドガガガガガガッ！！


 亜子が足を細かく、激しく高速で振動させ始め、靴底が僕の無防備な股間を力任せに擦り砕く。
「あぁぁぁぁぁぁぁっっっ！？！？！？」
 極限の激痛が下腹部を貫いた。
 金蹴りでダメージを負っていた部位に、連続した強烈な圧迫と摩擦が叩き込まれる。
 靴底の硬い感触が、ブリーフ1枚の薄い布地を押し潰し、中の急所をゴリゴリと磨り潰していく。
「あぎっ……あ……っ、やめ……やめてぇぇぇッ！！」
 摩擦熱と強烈な圧迫で、急所がちぎれ飛ぶような感覚。
 振動が骨を伝って下腹部全体に響き渡り、内臓が攪拌されるような激しい悪心が襲いかかる。
「あはははは！ すっごい揺れてる！ 効いてる効いてる！」
「キャハハ！ シロムくんの顔ヤバい！ 目回っちゃいそうじゃん！」
 伊奈と宇理恵が高笑いしながらマスホを接近させ、至近距離から僕の惨劇を撮影し続ける。
「あぐぁぁぁっ……痛い……痛い……壊れる……っ！ 痛いぁぁぁッ！」


 グリグリグリッ！！
 ガガガガガガッ！！


 股間が圧迫されるたびに、溜まった排泄物が下腹部を内側から圧迫し、狂いそうなほどの苦しみが押し寄せる。
 靴底が急所の上を右へ左へと滑るたび、神経の束が直接引き千切られるような感覚に涙が溢れて止まらない。
 よだれと鼻水が混ざり合い、首元へと垂れ落ちていく。
「ほらほら！ まだまだ終わらないよー！」
 亜子は笑いながら、今度は速度を緩め、じっくりと押し潰すような重いストロークに切り替えた。
 グググ……と体重をかけたかかとが、僕のブリーフの奥深くへ沈み込む。
「うぐぅぅぅぅぅぅっ……ッ！！」
 声にならない喘ぎが口から漏れ、視界が真っ白に明滅した。
 速い振動とは違う、重く鈍い圧迫が急所を押し潰し、骨と靴底の間に挟まれた肉が悲鳴を上げる。
 呼吸が完全に止まり、足の先まで全身が固直した。
「どう？ こっちの方が苦しいでしょ？」
「やめ……もう……もうやめてくださいっ……お願いですから……っ！」
 僕は泣き叫び、プライドもなにもかも捨てて許しを請うた。
 すると亜子はピタリと足を止め、ニヤニヤと見下ろしてきた。
「ふーん？ もうやめてほしいんだ？」
「はい……っ、もう無理です……本当にお願いします……っ」
「じゃあさー、1つ質問ね」
 亜子が靴底を僕の股間に乗せたまま、意地悪く首を傾げる。
「シロムくん、今日はもうおしっこした？」
「……え……？」
 予想外の問いかけに、僕は涙に濡れた目で彼女を見上げた。
「……ま、まだ……です……っ」
 放課後、トイレに行こうとした瞬間に彼女たちに襲われたのだから、まだ出せていない。
「そっかぁ！ じゃあさ」
 亜子は邪悪な笑みを深め、命じるように言い放った。
「今ここで、ブリーフ穿いたままおしっこを漏らしたら、電気アンマ許してあげる」
「……っ！？」
「ほら、昨日に続いて今日も穿いたまま漏らしちゃいなよ！ そしたら止めてあげるから！」
「そんなの……できません……っ！ 嫌です……っ！」
 ブリーフ一丁で脚を上げられているだけでも死ぬほどの恥辱なのに、自らの意思で漏らせというのか。
 拒絶すると、亜子の目が冷たく光った。
「拒否権なんてあると思ってんの？ じゃあ、出せるまで電気アンマ再開ね！」
「っ！？ いやぁぁぁぁぁぁっっっ！！」
 今度は両足を力任せに踏み鳴らすような、超強烈な乱打式の電気アンマが始まった。
 ズドン、ズドンと靴底が急所に叩きつけられ、その度に全身が跳ね上がる。


 ズドドドドドドッ！！


「あがぁぁっ！ あ……っ！ ぎゃあぁぁぁぁっ！！」
「ほら漏らせ！ 出せ！ 白ブリーフをおしっこで黄色く染めろ！」
 江子が僕の胸元を強く踏みつけ、衝撃を逃がさないように固定する。
 激痛と圧迫、そして下腹部を襲う強烈な尿意のトリプルパンチ。
 股間が押し潰されるたび、限界まで溜まった膀胱が破裂しそうなほどの悲鳴を上げる。
「うぐぅっ！ 出ちゃう……っ！ 出ちゃいます……っ！」
「出せ出せー！ ブリーフおしっこマンの本領発揮だー！」
 宇理恵が面白がって拍手を叩く。
 亜子の足がさらに速度を上げ、高速の振動が股間を削り取る。
 
 グリグリグリグリグリグリグリグリッ！！


 音を立てて靴底が擦れるたび、急所に火がつくような激痛が走る。
「あぁぁぁっ！ 痛い痛い痛い！ 許して！ 出します！ 出しますからぁっ！！」
 痛みに耐えかねた僕は、ついに自分の理性と尊厳を自ら投げ捨てた。
 下腹部に力を込め、必死に尿道を緩める。
 しかし、激痛で全身の筋肉が強張っているため、思うように出ない。
「ほら、早くしなよ！ 嘘ついたらもっと強くするよ！」
 亜子がさらに体重をかけ、急所を床へ向かってグリグリと踏みにじった。
「あぐあぁぁぁぁぁっっっ！？」
 その瞬間、限界を迎えた下腹部から排尿のスイッチが強制的に切られた。
 熱い液体が、勢いよくブリーフの内側へ噴出する。
「あ……あっ……あぁぁぁ……っ」
 ジュワッと温かい感触が、ぴったりと食い込んだ白い布地に広がり、一瞬で黄色いシミを作っていく。
 お尻の割れ目に食い込んだ布地まで、熱い液体がぐっしょりと染み渡っていった。
「あはははは！ 出た出た出た！ 本当に自分から漏らしたよ！」
「やばい！ ブリーフが黄色く染まってく！ 汚ーい！」
 伊奈がバッチリとその瞬間をカメラに捉え、歓声を上げる。
 ブリーフを濡らし、さらには足を持ち上げられた体勢のまま、僕はおしっこを漏らし続けた。
「足、持ち上げてるから、おしっこ染み込んで、ぴっちりとお尻に張り付いてるのがよくみえるー」
 温かいお湯のような液体が、ブリーフのお尻部分で受け止めきれず、背中まで垂れて床に水たまりを作っていく。
「うう……あぁぁ……っ……ひぐっ……」
 自分から漏らしてしまったという絶対的な事実。
 男の子としてのプライドは完全に打ち砕かれ、ただの無様な排尿人形へと成り下がった。
 漏らし終えても、身体の震えは止まらない。
「約束通り、電気アンマは終わりにしてあげる」
 亜子は満足そうに足をどけたが、僕の足を掴む手は緩めない。
「でもさー、これでお仕置きが終わりなんて言ってないよね？」
「……え……っ？」
 絶望的な言葉に、僕は濡れた顔を歪めた。
「自分でおしっこ漏らしたブリーフ姿、すっごく似合ってるよ、シロムくん」
 宇理恵がニヤニヤしながら、濡れた僕のブリーフのゴム部分を指で引っ張り、パチンと音を立てて弾いた。
「痛っ……あぐっ……」
「ほら、もっとお尻見せてよ！ おしっこで濡れたお尻！」
 江子が僕の腰を持ち上げ、食い込んだ濡れブリーフとお尻の形を強調させる。
 生ぬるくなった尿の感触と、4人の嘲笑が僕を死以上の屈辱へ叩き落とす。
「次はどうやって遊んであげようか？」
 亜子が不敵な笑みを浮かべ、次の拷問を考えている。
 女子トイレからの脱出なんて、最初から許されていなかったのだ。
 僕は濡れた床の上で、ただ震えることしかできなかった。
「お願いです……もう家に帰らせてください……っ」
「だーめ。シロムくんが完璧にお仕置きを受け入れるまで、帰すわけないじゃん」
 伊奈が僕の濡れたおなかを上履きで突く。
「ほら、お姉ちゃんに助けを求めれば？ 『ハイムお姉ちゃん助けて』って言ってみなよ」
「……嫌……です……それは……絶対に……っ」
 どれほど惨めな姿になろうとも、それだけは言えない。
 それが、僕に残された唯一の抵抗だった。
「へえ、まだそんな意地張るんだ？」
 亜子が冷ややかな目で見下ろす。
「じゃあ、まだまだお仕置き足らないみたいだね」
「そうだよ！ もっとたっぷり可愛がってあげなきゃ！」
 4人の悪意は留まることを知らず、さらに深みへとはまっていく。
 股間の痛みが、鈍い熱となって下腹部に残っている。
 そこに空気に晒され冷たくなっていくおしっこの不快感が加わり、精神がおかしくなりそうだった。
 視界が涙で滲み、彼女たちの姿が不気味に歪む。
「ブリーフおしっこマン、次はポーズ決めてよ」
 宇理恵が僕の髪を引っ張り、無理やりカメラの方へ顔を向けさせた。
「ほら、笑って！ 『おしっこ漏らして幸せです』って顔しなよ！」
「……っ……ふぐっ……」
 笑えるはずがない。
 ただ悔し涙がボロボロと溢れるだけだ。
「生意気！ 顔作らないならまた叩くよ！」
 江子が僕の太ももを強く平手打ちする。
 バチンと乾いた音が響き、赤い手形が残った。
「あぐっ……っ」
 身体中の至る所が痛い。
 けれど、1番痛いのは心だった。
 自分がこんなにも惨めで、無力で、弄ばれるだけの存在だという事実。
 ハイムの弟として生きてきたプライドが、完全に灰となった。
「ねえ、これ放課後毎日やろうよ」
 亜子が楽しそうに提案する。
「いいね！ 日課にしよう！ シロムくんのブリーフおしっこ漏らし鑑賞会！」
「絶対面白い！ 毎日違うポーズさせようよ！」
 4人は僕の人生を破壊する計画を、まるで放課後の買い食いの約束でもするように軽やかに話し合っている。
 絶望という言葉すらたりない。
 僕の日常は完璧に終わりを迎えたのだ。
「……う……ぁ……っ」
 呻き声しか出ない僕を、彼女たちは冷酷に見下ろし続ける。
 女子トイレの天井の蛍光灯が、チカチカと不気味に明滅していた。
 その光が、僕の醜態を惨白に照らし出す。
 逃げ場はない。
 救いもない。
 ただ、この屈辱と痛みの地獄がどこまでも続いてくだけ。
 股間の重い鈍痛が、再びじわじわと強まってきた。
 電気アンマのダメージは、時間が経つほどに下腹部全体へ非道い悪化をもたらしていた。
「うぐっ……あ……っ」
「どうしたの？ まだ痛いんだ？」
 亜子がニヤニヤしながら、靴底で僕の濡れたブリーフの表面をかるく突いた。
「ひっ……！ 触らないで……っ！」
「触るよー！ だってシロムくんは私たちの所有物なんだからさ！」
 所有物。
 その言葉が、僕の胸を深く抉った。
 僕はもう人間として扱われていない。
 ただのストレス解消の道具であり、弄ぶための玩具なのだ。
「ほら、もっとお尻上げて！」
 江子が容赦なく僕の腰を押し上げる。
 食い込んだブリーフが、皮膚に擦れて痛い。
「うう……っ……ひぁ……っ」
「写真、もっと撮っとこ！ いろんな角度から！」
 カシャカシャとシャッター音が鳴り響き続ける。
 僕の恥部が、屈辱が、無様な姿が、大量のデータとして保存されていく。
 これらが世に出れば、僕は二度と太陽の下を歩けない。
 その恐怖が、僕を完全に言いなりにさせていた。
「シロムくん、可愛いよー」
 宇理恵が嘲笑いながら、僕の濡れた頬をなでる。
「汚い手で触らないで……っ」
「汚いのはあんたでしょ？ おしっこ漏らしたんだからさ！」
 言い返せない。
 事実だからだ。
 僕は自分でおしっこを漏らした、汚い存在なのだから。
 自尊心が完全に崩壊し、思考がまとまらなくなっていく。
 ただ、早くこの時間が過ぎ去ってほしいと願うことしかできない。
 けれど、4人の興奮は冷める気配がなかった。
「ねえ、次はどうする？」
「もっと面白いことしようよ！」
「動画のバリエーション増やさなきゃね！」
 楽しげな声が、僕の頭の上で飛び交う。
 地獄の第二幕が始まろうとしていた。
 僕は固く目を閉じ、歯を食いしばる。
 身体の痛みに耐え、心の痛みに耐え、ただひたすらに耐え続ける。
 涙が尽きることはなく、ポロポロと床の水たまりへと落ちていく。
 自分がどこまで壊れていくのか、想像することすら恐ろしかった。
 ハイムの顔が脳裏をよぎる。
 彼女は今頃、家で僕の帰りを待っているのだろうか。
 こんな醜い姿になった僕を、彼女はどう思うだろう。
 知られたくない。
 絶対に、死んでも知られたくない。
 だから僕は、ここで1人で耐え忍ぶしかないのだ。
 どんな惨悪な仕打ちを受けようとも。
「さあ、シロムくん。次のお仕置きタイムだよ」
 亜子の冷たい手が、再び僕の身体へと伸ばされた。
 暗く湿った女子トイレの中で、僕の悲鳴が再び響き渡る。
 終わりのない闇が、僕を完全に呑み込んでいった。
 僕はただ、自らの無力さを呪いながら、更なる苦痛を受け入れるしかなかった。
 逃げ場なき檻の中で、惨劇は静かに、けれど確実に続いていくのだった。
 僕の意識は、屈辱と激痛の波の中に深く沈んでいった。






[Phase.5] 浣腸


 床に伏して涙を流す僕の前で、江子がバッグの底をごそごそと探り始めた。
「そうだ、私、実はいいもの持ってるんだよね」
 そう言って彼女が胸の前で掲げてみせたのは、白と青の装飾の箱に入ったイチジク浣腸だった。
 丸い蛇腹状の容器と、その先に伸びる細いノズルを見た瞬間、僕の全身から血の気が引いた。
 僕だって浣腸がなにをするための薬なのかくらい知っている。
 あんなものをお尻に注入されたら、猛烈な便意に襲われてうんちが出そうになってしまうことを。
「えっ、江子……あんた、便秘だったの？」
 亜子が眉をひそめて尋ねると、江子はわざとらしく人差し指をチッチッと横に振った。
「ちがいまーす、便秘は私じゃありませーん」
「は？  じゃあなんでそんなの持ち歩いて……」
 そこまで言った伊奈が、ハッと目を見開いて僕のブリーフ姿を見下ろした。
 宇理恵もすぐに察したようで、自分の口元を両手で覆う。
「……嘘でしょ！？  江子、それってまさか……っ！」
「そう！  シロムくんのためのスペシャルメニューだよ！」
 江子が嬉しそうにイチジク浣腸を指で弄ぶと、密室のトイレ内に爆発的な大爆笑が湧き起こった。
 僕は耳を疑った。
 男子の僕が？
 クラスの女子に？
 浣腸される…...?
 あまりの屈辱的な話に体温がさーっと下がっていく。
「キャハハハハハ！  マジで！？  男子生徒にイチジク浣腸しちゃうの！？」
「やばい！  天才すぎる！  最悪のお仕置きじゃんそれ！」
「うわーっ！  男子のブリーフ脱がせてイチジク浣腸とか聞いたことないよ！」
「おしっこ漏らした次はうんち漏らさせようとしてるわけ！？  おなか痛い！」
 4人は肩を叩き合い、床を踏み鳴らしながら、おなかを抱えて大盛り上がりしていた。
「だってさー、おしっこだけじゃ物足りないでしょ？」
「確かにおしっこ出させただけじゃ、まだまだ反省が足りないもんね！」
「イチジク浣腸入れたら、絶対に我慢できなくてうんち出てきちゃうよ！」
「ウケる！  早く見たい！ シロムくんがうんち漏らすところ！」
 女子たちの残酷な歓声が、狭い個室にこだましていた。
 そして亜子が僕の髪の毛を掴んで顔を上げさせ、邪悪な笑みを浮かべて宣告した。
「というわけでシロムくん、これからイチジク浣腸のお時間でーす！」
「ひっ……や、やめて……お願いです、浣腸だけは……！」
「ねえねえシロムくんってさ、今まで浣腸したことあるのかなー？」
 宇理恵がニヤニヤしながら問いかけてくる。
 ハイムに浣腸をされた記憶が脳裏をよぎった。
 だが、そんな屈辱的な浣腸体験談を彼女たちに語るなんて、恥ずかしすぎて絶対に耐えられない。
 僕が唇を噛み締めて固く口を閉ざしていると、亜子が苛立ったように手を伸ばしてきた。
 僕の濡れたブリーフの上から、無防備な陰嚢部分をぐりっと力任せに掴み上げられる。
「あがぁぁぁぁぁっっっ！？ ！？」
 生々しい鈍痛が急所に走り、僕はあまりの苦痛に絶叫した。
「早く答えなよ！  質問されてるんだからさ！」
「ぐ……っ、あ……あぁぁぁ……っ！」
 睾丸を握り潰されるような強烈な苦痛に、危うく「あります」と答えそうになった。
 けれど、ここで答えたらもっとバカにされる。
 僕は痛みに耐えながら、涙を流して必死にだんまりを決め込んだ。
「あはは！  黙ってるってことは、浣腸された経験あるってことじゃん！」
「くぅ………」
 伊奈が僕の沈黙を嘲笑い、嬉しそうに手を叩く。
「じゃあさ、イチジク浣腸したらすぐに強い便意が来て、うんちが出そうになることもわかるよね？」
「いや……嫌です……浣腸なんてされたら……うんち出ちゃいます……っ！」
「うんち出すためにやるんだから当たり前でしょ！  ほら、四つんばいになりなよ！」
 江子と宇理恵が、僕の腕と腰を強引に持ち上げ、床に両手と両膝をつかせた。
 四つんばいの姿勢にされ、お尻を高く突き出される格好になる。
「やめて……見ないで……ッ！」
 次の瞬間、亜子の手が僕の濡れたブリーフの腰ゴムにかけられ、一気に下へと引き下ろされた。
 ズリッと布地が滑り落ち、僕の隠すべき最深部——お尻と肛門が、冷たい外気にさらされた。






体験版はここまでです。
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