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数ヶ月前…夫の会社の創業50周年の記念式典に夫婦で出席した時の事。立食のパーティで、50代だというある役員の男性に目をとめられたんです。

その直後、なぜか夫はそれまで参加していなかったプロジェクトの工事現場へ、工程管理者として出張…。遠い地方での工事なので1年間くらいの単身赴任です。夫が家を空けた後、しばらくしてその役員の方が家に電話をかけてくるようになりました。

「1人で大変だねぇ…なにかお力になれる事はないかね?」

最初は、当り障りのないような気遣いの言葉だったのですが、しだいに様子が変わってきました。

「1人で篭りきりは良くないよ。良かったら森林浴にでも出かけないかね。費用は私が持つし、遠慮はいらないよ」

執拗に食事に誘われたり、外泊にまで誘われるようになりました。やんわりとお断りを続けていたのですが、すると今度は話が穏やかでない内容になってきたのです。

「わたしは人事の者とねんごろなんだが…。ご主人ねぇ…じつはリストラ要員に挙がってるようなんだよ。」

「家を建てたばかりだし、いま職を失うと大変じゃないかね。私は梶尾君を見込んでるし、人事に口を利いて何とかしてあげたいと思ってるんだが…。そのあたり奥さんの話も直接聞いておきたいんだ。私の方からお宅まで伺うから、ちょっと時間を作ってくれないかね」

主人がリストラ…。これだけで頭が真っ白になってしまった私は、押し切られるかたちで家に訪ねて来るという申し出を受けてしまいました。

あぁ、そしてその日…。主人と私の聖域にまで上がりこんだその脂ぎった顔の男は、ついに獣の本性をあらわにしたんです…。

「あ、だめですっ!…こんなことをして、恥ずかしくはないんですか…っ」

「お互いに寂しさを紛らわせて、よろしくやろうってだけじゃないか!私の言う通りにすれば、彼を救えるだけでなく課長に推すことだってできるんだよ!」

「そんな、ひ、卑怯です…そんなこと…あぁっ、い、イヤ…っ!」

啓次さん、わたし怖い!どうしたらいいの!?

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