1 急ぐ少女……
「はあはあはあはあはあ」
少女は校門を抜けると授業の始まっている静まりかえった校舎へ駆け込んだ。
そして靴を乱暴に下駄箱に投げ込み上履きを持ったまま走り出す。靴下のままなのでウレタン樹脂の廊下に足を取られそうになるが、足音を気にしているのかいつまで経っても上履きを履こうとしない。
今時、遅刻したくらいで慌てて教室に向かう生徒も珍しい。きっと、口うるさい教師の授業なのだろう。
「はあはあはあ……」
しかし、息を切らしながら必死に廊下を走る少女の脚は、教室へ向かってなどいなかった。遅刻したとはいえ、せっかく学校に来たと言うのに、いったい何処へ向かおうとしているのだろう……
少女はスカートが捲れあがるのも気にせず、階段を一段抜かしながら4階まで一気に駆け上がる。休む間もなく飛び出した廊下は他のフロアよりも静まりかえいた。いや、静かと言うより人の気配すらしない。
それもそのはず右手に見える教室には生徒の姿などなく、無人の教室が続いているだけだった。全国的な少子化のあおりを受け、この学校でも生徒数が激減してしまい、現在では4階フロアを使うことはなくなっている。少女のクラスも3階にあるというのに、何故無人のフロアに来たのだろうか……
「もうダメ……我慢できない……」
少女の視線は、フロアの中程にあるトイレへ向けられていた。
どうやら少女はトイレを我慢しているらしい。少し苦しげな表情を見るとかなりせっぱ詰まっているように見受けられる。しかし、そんなに我慢しているのであれば、何故近場のトイレに向かわないのだろう。わざわざこんな遠くのトイレに来なくてもトイレなら各フロアに設置してあるはずなのに、誰も使わなくなったトイレに来なくてはならない理由がわからない。
もしや、虚ろな瞳とうっすらと赤くなっている頬がなにか関係しているのでは……
「もうちょっと……」
わざわざこんな遠くのトイレに来なくてはいけない理由……他の生徒が使うトイレに入れない事情が少女にはあった。
いくら授業中とはいえ、他のフロアのトイレでは100%と安全だとは言えない。授業を抜け出して用を足しに来る生徒が現れないとも限らないのだ。その点、4階の使われなくなったトイレならば、生徒が来る可能性は0に近いだろう。
どんなことがあろうと見られてはいけない、誰も来ないトイレでなくてはいけないのだ。
しかし、その理由とは……
「はあはあはあはあ……」
息を切らせながら、机だけが並べられている教室を横目に廊下を走る。
少女の瞳は既にトイレの扉を捕らえていた。そして、数メートル手前まで近づくと走るのを止め、廊下を滑るようにしてトイレの前へ到着する。靴下なので数メートル滑走したが距離感はピッタリだ。そして、たどり着くと直ぐに乱暴に扉を開くと上履きを履いた。
「はっ、早く……」
余程慌てていたのだろう、少女が駆け込んだのは男子トイレだった。しかし、そんなことは気にせず個室へ向かう。
今更女子トイレへ移動する余裕がなかったのかもしれないが、立ち並ぶ男子用小便器を確認したにも関わらず、少女は少しの動揺を見せずに個室の扉を閉めた。本来女の子が間違えて男子トイレに入ってしまったのなら、少なくとも恥ずかしがるはずなのに少女はまるでいつも見慣れていると言うように気にした様子もない。それだけ、せっぱ詰まっていたと言うことなのだろう。
しかし、個室に入った少女は便座に腰かけることもなく、そのまま扉にもたれかかった。いったいなにをしているのだ。せっかくトイレに到着したというのに、肩で息をしながら全く動こうとしない。
「くっ……うっ……」
苦悶の声が漏れ、スカートを握り締めると躰を振るわせる。いったいどうしたのだろう、瞳にはうっすらと涙まで浮かんでいた。
握り締められたため少し捲れあがったスカートから覗く太ももが僅かに輝き、オーバーニーソックスが濡れている。と言うことは、少女の努力も虚しく間に合わなかったのだろうか……いや、それにしては量が少なく様子もおかしい。
「はあはあはあはあ……はあぁ……あうっ……」
荒い息づかいが誰もいないトイレの中に響く……
その苦しそうな息遣いの中に、抜けるような甘い吐息が混じっていた。この桃色吐息はなにを意味しているのだろう。
少女は熱くなった吐息を飲み込みながらスカートを捲り上げ、パンティーを露わにすると震える手で股間に触れた。
「あうっ……こんなに……」
敏感に反応した躰が少し跳ねるとパンティーに触れた指が驚いたように離れてしまう。少女が考えていた以上にパンティーが濡れている。しかし、これはお漏らしをしたわけではない。女が感じている時に、秘裂から溢れ出すいやらしい液であることは少女にも充分わかっていた。
沸き上がる愛液がパンティーから染み出し太ももを流れ落ちていく……
「気持ち悪い……なんで男に触られて、こんなになっちゃうの……」
そう呟きながら、少女の手は再び股間に伸びていった。
「はああぁぁぁ……凄い……ちょっと触っただけで……」
軽く触れているだけで全身には快楽が駆け巡り、少女を夢中にさせていく。
少女が急いでいたのはトイレを我慢していたのではなかった。こんな誰も使わなくなったトイレを選んだのも、熱くなった躰の処理をするためだったのだ。
しかし、何故朝からこんなに欲情しているのだろう……
少女は不幸にも通学に使っている電車で痴漢に遭ってしまった。なんとか逃げようと試みたのだが、混雑した車内では逃げることも恐怖のあまり声も出せず、ただその陵辱に耐えることしかできなかった。そして、痴漢の行動は徐々に大胆になっていき、股間を散々も弄ばれてしまったのだ。
始めは屈辱と嫌悪を感じていた痴漢の手であったが、その繊細な指使いにあろうことか躰が反応してしまった。
元々感じやすかった少女の躰は、注ぎ込まれる快楽に耐えきれず、徐々に痴漢の手を求めるようになってしまったのだ。そして、遅刻するとわかっていながら快楽を求め、電車を乗り越してしまった……
いやらしい自分に怒りを感じながらも、今は火照った躰を慰めることしか考えられなくなっている。
「はあぁ……はあぁ……」
少女は甘い吐息を吐きながら、便器のフタを上げると濡れたパンティーを降ろし便座に座った。そして、片足だけパンティーを脱ぐと脚を大きく開いて本格的にオナニーを開始するのだった。
2 ベッドの中の激しい攻防
「あうっ……はあぁぁ……気持ちいい……凄いよ。薫……」
制服を捲り上げ、スカートも履かされたままの嘉瀬雪柊(かせゆらぎ)は、深々と刺し貫かれている男根に気持ちよさそうな喘ぎ声を上げていた。
躰を横にさせ、脚を閉じたまま責めている青葉薫(あおばかおる)もズボンは脱いでいるが、ワイシャツは着たままの半裸状態でいる。別段、誰かに見つかった時のためにこんな格好をしているのではない。確かに、SEXをしているのは薫の自室ではあるが、両親は海外で展開する事業のため、一年の殆どを海外で暮らしているのでそんな心配は無用だった。
誰も部屋に入ってくる心配がないと言うのに、わざわざ半裸状態でSEXを行うのは、あくまでも薫の趣味に他ならない。若いのに少しマニアックな気もするが、裸でするよりもビジュアル的にいやらしく思えるので、半裸でするSEXを好んで行っている。そう言えば、雪柊はパンティーも太ももの途中までしか下げていない徹底さだ。
「はあはあ……名前で呼ぶなって言ってるだろ」
「あうっ……ゴメン……もう呼ばないから、もっとして……」
そのリクエストに応えるように、雪柊の腰を掴み上手い具合に躰を4分の1回転させるとお尻を持ち上げる。背後位はいやらしい女の腰から背中のラインが見えるので、薫の好きな体位の一つだ。それに腰も動かし易く、意外と後ろから責められるのが好きな女も多いのでお手軽な体位でもある。
激しく責め立てられた雪柊は、肩まである髪の毛を振り乱し一際大きな喘ぎ声を上げ始めた。もしこれで両親がいたら一発でばれてしまう。いや、この部屋が防音になっていなかったら隣近所にも聞こえてしまいそうだ。
「あああぁぁぁ……凄い……凄いよ……はあはあはあ……ダメェ……あうっ……気持ちいい……気持ちいいよ。あっあっ、はあぁぁ……ダメェ……どうにかなっちゃいそう……薫……凄い……凄いよぉ〜……薫ぅぅぅ」
この喜びよう雪柊も後ろから責められるのが好きらしい。
「だから、名前で……呼ぶなって!」
バシッ!
「あうっ……ごめんなさい……」
何度言っても名前で呼ぶ雪柊のお尻を叩いてたしなめる。
薫は名前で呼ばれることを極端に嫌っていた。どうも、女みたいな名前なので名前自体を嫌っている。だが、名前で呼ばれるとSEXが荒々しくなり、いつも以上に女を喜ばせていることを薫は気付いていない。
そんなこととは知らない雪柊は、急にテンポが上がった腰使いに、一気に絶頂へと向かっていた。
「ああああぁぁぁ……凄い……激しい……激しすぎる。そんなにされたら私……あっあっ……もっ、もうダメッ……イキそう……イクッ……もうイクよぉ……」
「俺も……出すぞ……」
「うん……出して……いっぱい出して……あああぁぁ……ダメッ、気持ちいい……もうダメッ、イクッ、イクゥゥゥ……」
気持ちよさそうな雪柊の声が部屋の中に響き渡る。その官能的な喘ぎ声を聞きながら、薫はなんの躊躇もなく雪柊の中に精液を放った。
「うっ……」
「あうっ……あっ……出てるぅ……また出てるぅ……」
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