〈ViolateRaptor 体験版〉


(ここって……)
 コトナが連れて来られたのは、ディガルド正規兵舎の一階、ゾイド格納庫だった。
 広大なフロアに、十を越える機械生命体が立ち並んでいる。銀色の外殻を纏うラプトル型ゾイド――ディガルドが誇る規格外の生体兵器『バイオラプター』。禍々しいフォルムは、通常のゾイドとは明らかに異なっている。骨と肉と機械を融合させたような異形は、メタリックであるにも関わらず奇妙に有機的で、怪物的なおぞましささえ感じさせた。
「コトハ! お前には、このバイオラプターの操縦訓練を受けてもらう。貴様の適応値なら、バイオゾイドの操縦も簡単なものだろう。さぁ、そいつのコクピットに乗るがいい!」
(……なるほど。そういうことか)
 聡明な少女は、大体のところを理解した。ゾイド乗りの資質を持った者のみを訓練しているのは、最終的にバイオゾイドのパイロットに仕立て上げるためだったのだろう。優秀な自分は、言わば飛び級扱いで、いきなり実習に移らせてもらえるということだ。
(全然、ありがたくともない話だけどね)
 コトナは内心苦笑した。所詮、それは建前に過ぎないこともわかっている。いつにも増してサディスティックな教官の口ぶりや、嫌味に吊り上がった唇。実際には生意気な捕虜への報復として意味のほうが大きいのは、最初から理解できていた。
(まるっきりイジメね……ふふ、わたしも、少し目立ちすぎちゃったかしらね。でも、これはまたとないチャンスだわ)
 恐ろしい機獣の姿を見上げ、コトナは表情を引き締めた。
 バイオゾイドは、ディガルドの力の象徴だ。銀色の悪魔は、通常ゾイドを超越した性能を誇っている。そしてそのデータについては、まったく知られていないのだ。実際に乗り込んで動かせば、この脅威について体感的に理解することも出来るだろう。上手くすれば、思いもよらない弱点を発見できるかもしれない。それは今後のディガルドとの戦いにおいて、極めて有益な情報になるはずだった。
(うん。ルージやみんなの役にも立つし……ふふ。うさ晴らししてるつもりなんでしょうけど、逆に利用させてもらうわよ、ディガルドのオバサン♪)
 俄然、面白くなってきた。元々強気で、小悪魔的な性分のコトナだ。いままで散々煮え湯を飲まされた相手の裏をかいてやれると思うと、自然と唇が歪んでしまう。それが個人的な意趣返しだけでなく、仲間のためにもなるとなれば、なおさらモチベーションも上がるというものだった。
「どうしたコトハ、返事は!」
「……ディガッ!(ふふっ……そうして威張ってられるのも今のうちよ♪)」
 零れそうになる笑みを隠し、少女はコクピットに乗り込んだ。
        ※
(これは……)
 操縦席に乗り込み、コトナは息を呑んだ。切れ長の瞳は、驚きと好奇心とで見開かれている。ある程度予想していたとは言え、バイオゾイドの内部は、彼女のゾイドに対する常識を嘲笑うかのような代物だったのだ。
 バイオラプターの操縦席は、背面装甲の真下、ちょうど腹部に位置していた。生体装甲が展開し、体内に入り込む内蔵型のコクピットだ。内部には、座席型の操縦シートが見える。操縦席の位置と仕組みがわかっただけでも、それなりの成果と言えるだろう。
 だが、実際に乗り込んで体験していることと比べれば、そんなものは些事に過ぎなかった。赤黒い壁に包まれた操縦部屋は、異様な圧迫感を持ってパイロットを迎え入れる。何もかもが、はじめて見るものばかりだ。
(規格外だとは思っていたけど……これは、予想の上を行ってるわね)
 決して広いとは言えない空間。空調設備が存在しないのか、ハッチを空けたままだというのに、不快な湿気と温度が肌に纏わりついてくる。金属でできているはずなのに、いやに有機的な造形。周囲を彩る赤色は、剥き出しの臓物を連想させた。ラバーで覆ってあるのか、どこもがヌルヌルとぬめっている。正直、ここが操縦席だとは思えなかった。まるで、逆にゾイドに呑み込まれてしまったかのような――そんな違和感さえ覚えてしまう。
「何をしている。シートに着席しろ!」
 まずは教官の指示どおり、コクピットシートに腰を下ろす。シートはオーソドックスな座席タイプで、コトナの豊熟なヒップにとっては若干窮屈そうだった。ミニスカートを隠しているコートの裾を座席に押し付けると、なんとも言えない奇妙な感覚が尻に伝わる。
「んっ……」
 ぐにゅり。機械にあるまじき感触で、シートが沈み込んだ。腰に伝わる柔らかさ。それは、緩衝材の類のものではありえなかった。もっと不快で粘ついた――言わば、生肉を押し潰したかのような感触。シート全体がぶよぶよと脈動し、身じろぐたび微妙に形を崩す。
(何よこれ……。まるで、生きてるみたいじゃない……)
 ゾイドとは生きた機械だ。だが、生命体であると同時に無機物なのだ。表皮である外部装甲から内蔵にあたるジェネレーターに至るまで、このような生体じみた構造などありえない。まるで生き物の内臓を思わせる感触に、コトナは生理的嫌悪を覚えていた。
 見れば、臓物じみているのは椅子だけではない。ブーツで踏みしめた床もぶにゅりと歪み、不安定で不愉快極まりない感触を伝えてくる。天井から無数にぶら下がっている用途不明のチューブホースは、まるで血管のようにも見えた。
(……気持ち悪いわね。このゾイド、どうなってるの……?)
 不快感を訴えているのは、視覚と触覚だけではない。排熱機構が考慮されていないのか、コクピットは異様な温度になっていた。しかも室内はジメジメと湿り、さながら熱帯雨林じみた不快度数を叩き出している。赤黒い壁も生体じみた椅子も、べとべとした粘液に濡れ光っていた。息を吸うたびに不快感が充満し、嫌な汗が肌を濡らして止まらない。
「どうだコトハ、ディガルドの誇るバイオラプターの乗り心地は! 凡百のゾイドとは格が違うだろう!」
「ディガ(ええ、不愉快極まりないわよ!)」
 額の汗を拭いながら、コトナは外で待つ教官に応えてやった。本当は一秒でも早く外の空気を吸いたかったが、自分の役目はここからだ。不愉快な思いをさせられた分、バイオゾイドの秘密を徹底的に暴いてやる――そう言い聞かせ、持ち前の強気を振り絞る。
 だが、ハッチの隙間から聞こえてきたのは、予想外の言葉だった。
「いい返事だ。ならばもっと味わわせてやろうコトハ……いいや、コトナ・エレガンス!」
「な!?」
 隠していた本名で呼ばれ、驚愕するコトナ。瞬間、コクピット内が大きくざわめいた。まるで生きているよう――少女が最初感じた違和感そのままに、壁が蠢き床が脈動する。同時にハッチが閉まり、外界と隔絶された。
(しまっ……!)
 密閉空間に閉じ込められ、少女は焦慮した。ハッチを開けようにも、操縦方法がまるでわからない。素早く視線を動かし部屋を探る美少女に、嘲るような声がかけられる。
「ははは! ラ・カンに組する牝狐め。我らの目を欺けるとでも思っていたのか!」
 耳障りで嗜虐的な声。女教官の口調は、普段以上に熱っぽい。
「上手く潜入したつもりだったろうがァ……我がディガルドの情報網を侮るなよ! 貴様らの正体など、最初からお見通しだったわ!」
「なっ……なんですって!」
「くくく、バカな女だ! 貴様たちは罠にかかったのだよ。セイジュウロウにルージと言ったか、今頃は貴様の仲間も取り押さえられている頃だろう。ディガルドに弓引く身の程知らずが、自分の愚かさをたっぷりと思い知るがいいわ!」
(! そんな……ルージまで!?)
 その言葉を聞いた瞬間、コトナの表情が変わった。自分のことより、仲間の安否が気にかかる。手練のセイジュウロウは心配ないだろうが、ルージは逃げられないだろう。大切な男の子の事を思うと、心臓が不安で高鳴ってしまう。
「コトナ! 貴様にはラ・カン一派の事を聞かせてもらう……と、言いたいところだが」
 自分がルージを助けなければ――そんな少女の想いなど無視し、教官はサディスティックな口調で一人語り続ける。
「貴様は危険な女だ。虜囚としても、貴様のような破廉恥な女は何をしでかすかわからんからな。よってコトナ・エレガンス……わたしの独断で、この場で処分させてもらう!」
(……っち! わかってるじゃないの……!)
 ギリっと唇を噛み締めるコトナ。相変わらず気に入らない言い方だが、確かにその通りだ。バカな男を誘惑し手玉に取るのは、美少女ゾイド乗りの十八番だった。この場から解放されれば、いくらでも脱出する自信はあったが――こちらの考えは、悉く見透かされているようだった。顔は見えないが、いつも以上に嫌味な笑みを浮かべているのだろう。女教官の憎たらしい表情が思い浮かび、コトナは屈辱に美貌を歪めた。
 だが同時に、聡明な美女はすぐさま次の策を巡らせていた。勝気な少女は、諦めることなど絶対にしない。これまでの経験と直感から、最良の一手を模索する。
(そうよ、焦っちゃダメだわ。こっちはゾイドのコクピットにいるのよ、逆に乗っ取ってやれば……で、でも)
 操作法がわからない、程度の話ではない。普通のゾイドとは、まるで規格が違いすぎる。バイオラプターのコクピットには、コンソールも操縦桿も見当たらないのだ。天井から伸びたチューブは、掴んでも引っ張っても何の反応も示さない。
「くっ! 一体、どうなってるのよ!」
 ハッチがしまったせいで、余計に不快指数が増す。今まで隠していた激情も露に、力任せに壁を叩きつけるコトナ。壁面は先ほどよりも柔らかくなっていて、ぐちゅり、と不気味な粘液を吐き出すだけだった。
「ははは、無駄だ! バイオラプターは貴様には扱えん。最後の教練だ、心して聞くがいい。バイオゾイドを操るには、専用のスーツが必要なのだよ。スーツなしで乗り込んだ者は……バイオゾイドにとっては、喰らうべき餌としか認識されん!」
「え、餌ですって!?」
 理解不能な言葉だった。ゾイドは生命体であると同時に機械だ。化石燃料レッゲルをエネルギーとして駆動し、生まれついての野生体でもない限り、捕食行動を取ることはない。しかもコクピットから餌を食うなど、まったくの常識外れだ。
 疑問を抱くコトナに、教官がいつもの口調で説明する。
「ディガルドの技術は、貴様らの常識の遥か上を行っている。バイオラプターはゾイドコアを異常促成させて生み出した改造ゾイドなのだ! そして貴様がいる場所は、元々吸収器官だった部分を調整したものだ。ディガルド兵にとっては操縦席であり、他の者にとっては胃袋となる。コトナ、貴様はもはやゾイドの体内に囚われている。脱出は出来ん!」
(人工のゾイド……ディガルドの技術は、ゾイドコアの調整まで可能だっていうの!?)
 俄かには信じがたい話だった。だが確かに、昨今のディガルドの軍事力拡大は、通常の手段ではなしえない。だがそれも、ゾイドを人工的に培養・調整できるのなら頷けた。
「バイオラプターは、レッゲルのみを動力源とするのではない。辺境への長期運用も想定されているからな、いかなるエネルギーをも吸収できる調整が施されている。他のゾイドだろうが小動物だろうが、胃袋に入れたものの体液を根こそぎ吸収し、動力に変換する機能を備えているのだ。当然、人間とてその例外ではない!」
「……!」
 想像を絶する言葉に、声を失うコトナ。だが、教官の言葉はまごう事なき真実だった。この空間のおぞましい造形は、まさに内臓そのものなのだ。どろどろと吐き出されている粘液も、異常な湿気と温度も、ここが生物の胃だとすれば、すべて合点が行ってしまう。
「くくっ。大方バイオゾイドの弱点でも探ろうと、大人しくわたしの命令に従うふりをしていたのだろう? 健気なことだが……貴様はわたしの掌の上で踊らされていたに過ぎんのだよ、ははははは!」
「う、くぅ……!」
 いつになく高慢な嘲笑に、たまらず、悔しげなうめきが漏れてしまう。
(そんな……わたしの方がはめられたの? く、こんなことって……!)
 屈辱感に、強気な美貌が歪む。ぎゅっと拳を握り締め、屈辱に喘ぐコトナ。勝気な少女にとって、許しがたい失態だった。
 罠にかかった獲物を前に、バイオゾイドのコクピットが本来の姿を現していく。辛うじて機械的な様相を保っていた壁が蠕動し、ぼこぼことした凹凸を無数に作り出した。そこここに血管が浮き出し、逞しく脈動を開始する。床とシートから溢れ出した白い粘液が、少女の身体をどろりと濡らした。変装用のコートに白粘が触れた瞬間。
「あ……きゃあああ!?」
 じゅわ、じゅわじゅわじゅわぁ! 白煙を上げ、コートが焼け焦げていく。やはりここは胃袋だった。肉壁から放たれる粘液は、バイオゾイドの消化液なのだ。
「ははは、喜ぶがいいコトナ・エレガンス。これから貴様はバイオラプターの滋養になるのだ。貴様の卑しい血肉でもディガルドの栄光に役立てるのだぞ、幸福に思うがいい!」
「な……バ、バカ言わないで! このっ、出しなさいよ!」
 力任せに天井を叩く。だが、閉じたハッチはビクともしなかった。それどころか組織同士までが癒着しあい、隙間が埋まっていく。銀色の天井までが、赤黒い肉組織に覆い尽くされた。罠にかかった美女は、粘液まみれの肉牢に閉じ込められてしまったのだ。
「そうそう。メガラプターは有機物の消化は苦手だ、幸福を味わう時間は十分に残されている。たっぷりと悦ばせてもらうがいい! くく、はははは! は……は……」
 狂ったように高笑いする女教官。やがて、その耳障りな声も聞こえなくなった。完全にハッチが癒着し、外界と遮蔽されてしまったのだ。もはや、ここから逃げる術はない――
「く……バカ言ってんじゃないわよ!」
 それでも、コトナは諦めなかった。むっちりと肉感的な太ももに指を這わせると、ロングブーツの中に仕込んであったナイフを取り出す。
 コトナはゾイド乗りとしてだけでなく、武器使いとしても一流の腕前を誇っている。強気な視線で天井を睨み、ナイフを突きたてる女戦士。だが、締まった蓋はびくともしなかった。濡れたスポンジを相手にしているようで、手ごたえがまるで感じられない。
「ちっ! この、だったら切れるまで……うあっ!?」
 ならば力づくで切り裂こうと、細い腕に力を込める。瞬間、ぐじゅっと肉組織が沈み込み、刃先が飲み込まれた。予想外の反応に、思わず悲鳴を零すコトナ。異物がめり込んだ分、内側から内容物が押し出される。ゲル状の白濁塊が傷口から染み出し、ピンクのロンググラブをどろりと汚した。
――うあ……気持ち悪っ!
 おぞましい粘つきと温度が、手袋越しでもたまらない汚辱感を伝えてくる。生理的嫌悪を催す感触に、堪らずコトナは腕を放した。だが、天井からの漏出は止まらない。染み出した粘液は腕を伝い、手袋をどろりと汚しながら身体にまで滑落してきた。さらにはシートや側面の肉壁からも白粘が分泌され、あらゆる方向から少女を濡らしていく。
「う……くぅっ!」
 じゅうじゅうと煙を立て、粘液に触れた衣服が蕩けていく。特殊素材のコスチュームはまだしも、間に合わせの外套は一瞬で溶解してしまっていた。溶けゆくコートの下から、コトナ本来の、蠱惑的なボディスーツ姿が現れる。
 人々の注目を浴びないように変装したコート姿は、いかにも地味な装いだ。だがその下には、行く先々で人々の視線を釘付けにしてきた、魅惑の肢体が隠されているのだ。
 スレンダーなスタイルに似合った、マイクロミニのワンピース。紅と桜のコントラストが、なんとも見目鮮やかだ。薄い生地は隙間なく肌に吸い付き、魅惑のボディラインをくっきりと浮き出たせていた。
 まず目を惹くのは、やはり、これでもかと言うほど熟れきった豊満な乳峰だった。スレンダーな身体つきの中にあって、そこだけは蠱惑的な発育を隠そうともしていない。零れそうなほどの量感を誇りながらまったく崩れることなく、艶麗なラインを見せ付ける砲丸巨乳。あまりの質量に、スーツの胸生地は内側からぱんぱんに押し上げられ、釣鐘そのものの形に膨らんでいた。突き出すように膨らんだおっぱいは、見るからに生意気そうな印象だ。柔らかそうな双乳は身じろぐたびにぷるんぷるんと揺れまくり、魔性の魅力を惜しげもなく振り撒いている。急角度で引き締まった細腰の下では、ハート型のお尻がミニスカートを押し上げ、豊満巨乳に勝るとも劣らない肉感を見せ付けていた。
 蠱惑的過ぎるおんなの象徴以外に目を向ければ、すらりと整ったボディラインが目に止まる。無駄な脂肪などどこにもついておらず、きゅっとくびれた細腰など折れそうなほど儚かった。華奢な肢体は、しかしその内側にしなやかな躍動感をも備えている。健康的に肉を付けた太ももや、まっすぐに伸びた長身は、雌豹のような精悍さを感じさせるのだ。大人びた肢体は、強気で意志の強そうな凛貌にまこと相応しいものだった。
 そんな抜群のグラマラスボディを彩るのは、セクシーなミニのワンピースだ。赤とピンクを基調とした華麗なデザインが、少女の凛美をいっそう際立たせている。ミニスカート状の裾口からは、むっちりした太ももが悩殺的に覗いていた。白いケープと大きなリボンがアクセントとなり、さらなる魅力を醸し出している。華奢な四肢を包むピンクの長手袋や白いロングブーツなど、どこかフェティッシュな色香さえ振り撒いていた。
 今まで数え切れないほどの男どもを誘惑し、手玉にとってきた魔性の魅身。コトナの魅力は、機械の獣さえをも奮わせた。本来の姿を曝け出した美少女を前に、消化器官の活動が激しさを増す。大量の粘液が肉壁中から放たれ、むわぁっ、と粘ついた熱気が湧き上がった。天井から垂れた濁汁が髪にかかり、エメラルドブルーの長髪を白く汚す。同時に、座席シートがどくどくと脈打ちはじめ、おぞましい律動を下半身に伝えてきた。密着した美尻を舐めるかのように、肉椅子が上下左右に蠢きはじめたのだ。
「うぁ……ちょっと! いやよ、こんな……!」
 まるで、巨大な舌でしゃぶり回されているかのようだった。お尻から背面まで不気味な脈動で嬲られ、背筋が震えた。スーツ越しに伝わる嫌悪感に、たまらず立ち上がろうとするコトナ。だが、豊満な臀部は僅かにしか動かせない。漏出粘液が背中から尻までにべっとりと纏わりつき、トリモチのように椅子と少女を粘りつけているのだ。それでも力づくで腰を浮かせようとする美少女に、左右から細い何かが襲いかった。
「!? ……っちぃ!」
 びゅ、びゅんっ! 風を切り、赤黒い紐が飛来する。咄嗟の判断力と抜群の反射神経で、コトナは飛来する物体を受け止めた。握り締めた手袋の内側で、ぐちゃり、と嫌な感触が伝わる。危険物の正体を見極め、コトナは言葉を呑んだ。
 少女を狙ったのは、天井から垂れていたチューブだった。操縦機器の一種だと思われていたホース群は、獲物を絡めとるための触手だったのだ。正体を現した肉器官は、うぞうぞと蠢いてターゲットを狙っていた。先端に空いた穴は口のように開閉を繰り返し、だらだらと粘液を噴き零している。
 まるで、無数のヒルの群れに囲まれているようだ。無数の口吻触手に包囲され、コトナは逃げ場をなくしてしまっていた。捕らえた触手も両手の中でもがき暴れ、椅子舌の律動と相まって焦燥を掻き立てる。びちゃびちゃと吐き出される消化液が、生地越しにおぞましい粘つきを刷り込んできた。だが逃げようにも腰は吸いつけられて動かせない。いや、そもそも肉牢からの脱出法さえ見当たらなかった。
 ――籠の鳥……か。まずいわね……!
 絶体絶命の窮地に、さしものコトナも狼狽を隠せない。凛々しい美貌を、一筋の汗が伝った。追い詰められた少女目がけ、無数の触手が牙を剥く。
「っく! この……っくああああ!」
 いくら身体能力に優れた少女でも、肉牢の中では身動きが取れない。両手を塞がれ、背面をトリモチ漬けにされたコトナに、迫る触手をかわすことはできなかった。身じろぐたびにぷるるん、と震える両乳房に、それぞれ数本の肉蟲が喰らいつく。ぬるついた蛇身がスーツに食い込み、ぐるぐるととぐろを巻いておっぱいを絞り上げてきた。
「ひ、や!? そ、そんなとこ……っくぅううう!」
 いきなり性感帯を責められ、堪らず喘ぎを漏らす長髪の美女。触手の攻勢は容赦なく、たわわな果実を押し潰さんばかりのパワーで締め上げてくる。だが、少女の麗乳は素晴らしい弾力で抵抗し、幾重もの肉巻きにされながらも生意気な釣鐘型を保っていた。締め上げららればその分だけ柔らかく沈みながらも、すぐさま元の稜線を取り戻す。
 少女の強気そのままの、可愛らしくも気丈な抵抗。小生意気なおっぱいをお仕置きすべく、機獣の触手は激しく蠕動して両乳房を締め上げてきた。白濁液をスーツに刷り込みながら、柔肉の包囲網を徐々に徐々に狭くする。肉蟲に完全包囲された豊満果実が、ぎちりぎちりと絞り上げられた。
「くぅ、痛……っくああああ!」
 もぎ千切らんばかりの搾乳責めに、両の乳房に苦痛が走る。だが、痛ましい悲鳴を絞られながらも、少女の表情は強気なままだ。
 ――こ、こんなもので……! 耐えるのよ、きっと、脱出の手はあるはず……!
 絶対の窮地にあっても、コトナはいまだ諦めてはいなかった。生来の勝気は、この程度で折れはしない。切れ長の目には、怖いくらいの反抗心がギラついていた。
 生意気な獲物の強気を砕かんと、更なる責め手が伸びていく。極上の獲物だ、魅力的なのはおっぱいだけではない――バイオゾイドの吸収器官は、美味そうな媚肉に手当たり次第に喰らいついた。ミニスカートから覗く白い太ももに、数匹の肉蛇が巻き付いていく。
「……っ! くぅう、う……!」
 ねとり、と粘液が染みる。直接肌を汚され、堪らず声を漏らしてしまう淫縛の美女。生体の体温や粘着質な肌触りが直に感じられ、たまらない嫌悪感が駆け抜ける。反射的に震えてしまった太ももに、何匹もの蛇がとぐろを巻いていく。もも肉がきつく押し潰され、とぐろの隙間から白い柔肉が押し出された。むちっと押し出された柔脂肪に、新たな肉ヒルが顎を開けて迫り――くちゅり!
「うあ!? ひ、ひぅううう!」
 苦痛とは違う新たな激感に、コトナは堪らず足を震わせた。口を開いたホース触手が、柔らかなもも肉に喰らいついてきたのだ。
 粘液にまみれた接吻に続き、じゅるるっと肉を吸いあげられる。集ってきたのは一匹だけではなく、左右の足で数匹ずつの肉蟲が吸引を始めていた。ちゅぱっ、ちゅぱっと淫らな音が両足で木霊し、おぞましい激感が休む間もなく連続する。
 吸血ヒルじみた吸引であったが、ホースの動きは、食事と言うには力がない。ちゅぱちゅぱと表面だけを吸い、一瞬口を放してはまた喰らいつく。その様は、まるで恋人とのキスを楽しんでいるかのようにも見えた。
「あう、っく! や、やめなさい……ひぁ、んっ! んっ!」
 ちゅぱっ! ちゅぱっちゅぱちゅぱっ! 連続する、執拗なキスの雨。しつこい責めを繰り返され、コトナは声を抑えられなかった。悶えるように、両太ももが戦慄く。気持ち悪くてたまらないのに、肌を吸われるたび、奇妙な心地よさを覚えてしまうのだ。
 女の悦びを無理矢理に掻き立てる、絶妙の力加減。太ももを濡らす粘液のヌルつきも、まるでローションのように快美感を駆り立てる。触手ヒルの連続吸引は、おぞましくも快美な愛撫となって少女を苛み始めていた。
「うぅうっ……や、やめ……ああっ! ふああ、あ……!」
 あくまで強気を保ち、抵抗の言葉を吐き続けるコトナ。だが、漏れ出す喘ぎには、悩ましい色が含まれつつあった。心と裏腹の反応。耳に入る媚びた声が、自分のものだとは信じられない。
 ――うそ……こ、こんな!? 何感じてるのよ、こんなの、気持ちいわけが……!
 怪物相手に甘声をあげてしまった屈辱感に、ぽっと美貌が紅潮した。自分で自分の反応が信じられないコトナだったが、惨めな裏切りは止まる事を知らない。ねちっこくキスの嵐を降らされるたび、太ももがとろんと疼くのだ。搾乳責めに痙攣するおっぱいも、じんわりと芯から熱くなってくる。コスチュームを浸透した粘液が、火照った柔肌に刷り込まれた。おぞましいはずのヌルつきが、甘く心地よいものに感じられてしまう――。
「くぅ、はぁ、んんっ! こんな、どうして……んぅっ! いや、あ、熱……ぅうんっ!」
 蜜液を吸わされた肌が、熱く疼いてたまらない。神経が勝手に過敏になり、淫らに燃え上がる。知らず、コトナは太ももをもじもじと切なそうに擦り合わせていた。
 バイオゾイドの消化液は、獲物の動きを封じ込める麻痺毒の効果も併せ持っているのだ。それは食虫植物の蜜罠にも似て、獲物に倒錯的な甘悦を刻み込む。異形の快感で身も心も溶かし、その後ゆっくりと養分を吸収する。それがバイオラプターの食事なのだ。
 ディガルド教官の残した最後の言葉――「悦ばせてもらうがいい」とは、この、危険にして甘い罠を意味していたのだ。
「う、ああ! こ、こんなことって……ひぅ、っくぅう!」
 くちゅ、くちゅっと媚薬粘液を塗り込まれ、甘い嫌悪感が刷り込まれる。エメラルドブルーの長髪を揺らし、甘く悶える生贄虜囚。切れ長の瞳には、恥辱の涙が浮かび始めていた。
 挑発的な生意気さとは裏腹に、少女のグラマラスボディは、悲しいくらい敏感だった。早熟な肉体は、感度も並外れているのだ。しかも動きやすさを重視したコスチュームはあまりに薄く、衝撃緩和の役を果たさない。それどころか、媚毒粘液を吸わされた生地のヌルつきが、いっそうの快美となって感じられてしまうのだ。乳珠にぴっちりと密着した濡れ生地のフィット感が、おぞましくも心地よい。張り詰めたピンクの生地には、尖った乳首の陰影さえ浮き出していた。むちむちに張り詰めた媚肉塊を、幾本もの触手が可愛がる。
「くぅ、あ! お、おっぱい……ひぁ、きつぅう……!」
 ぎゅうぅ、と乳房を搾り上げられ、痛み混じりの淫熱が迸った。堪らず細顎を奮わせ苦悶するコトナ。窮屈さをましたスーツの裏地と乳首が擦れあい、切ない電撃が駆け抜ける。
 ――はぁ、ううっ! い、いけないわ……こんな、流されちゃダメよっ!
 熟れた媚肉を異形の責めで苛め抜かれ、加速度的に淫らな熱が増していく。だが、これまで幾多の修羅場を潜り抜けてきた精神力は強靭だ。いけない感覚に呑み込まれまいと、少女は必死で意気を振り絞った。歯茎を食いしばり、両拳に力を込めて反抗心を喚起する。
「ん、あ、あ! こ、このぉ……な、舐めるんじゃないわよ!」
 ぎゅ、ぎゅうう! 持ち前の強気を武器に、少女は掴んでいた触手に逆襲した。掌に走る嫌悪感を怒りで押さえ込み、握り潰さんばかりに力を込める。掌内の肉蟲が苦しげに蠢き、べちゃべちゃと粘液を噴き零して暴れまくった。
 思いもよらぬ反撃に、バイオゾイドも怯んだらしい。痛覚を共有しているのか、他のチューブ器官も苦悶に打ち震えていた。乳房を締め上げる力が若干緩み、太ももへの束縛も緩くなる。しつこい吸引キスも、若干情熱を減じたようだった。
「よ、よし……。まずは……っひぅうう!?」
 こうして動きを牽制する――そう考えた瞬間、新たな淫激が少女を襲った。背中から腰、そしてお尻――少女の背面が、ぐにゅぐにゅと捏ね繰り回され弄ばれている。生体シートが、淫らな律動を早めたのだ。しかも、追加された責めはそれだけではない。
 ――な、なに!? お尻ぃ……な、なにか硬いの、当たってる……!
 シートの擬態を解いた肉椅子は、その本性を露にしつつあった。少女と接触している表面がボコボコと盛り上がり、柱上の肉塊をいくつも形成する。そのいやらしい硬さと形状は、まるで小型の男根だ。腰を下ろしている座席部でも同様の肉根が発生し、柔らかな尻肉や太ももに食い込んだ。無数の硬疣槍が、深くめり込んで牝肌を嬲る。何本もの硬粒を押し込まれ、小さく呻く肛虐の少女。さらには疣塊の一個一個が別箇に脈動し、ランダムな激感を送り込んできた。密着した尻たぶが、激しくこねくり回されていく。
「ひ、ああ!? ちょ……い、いや! そ、そんなとこ……あああっ!」
 幾つもの瘤にマッサージされるおぞましさに、コトナは堪らず腰を上げようとした。だがゲル状粘液に接着され、肉瘤椅子から身体を離せない。にちゃっ、といやらしい音が立ち、粘液が糸を引くだけだ。脱出を許されず、再び肉椅子に抱擁される女虜囚。座席に引き戻された桃尻に、無数の肉粒が突き刺さる。
「う、あ……っくぅうう!」
 ずぶ、ずぶり! 濡れ生地を密着させた尻肉に、拳大の瘤柱が食い込んだ。椅子に座ったまま、苦しげに腰を奮わせるコトナ。巨乳に劣らぬ肉感を誇る肉尻を、無数の疣で穿たれる。何本かの肉疣は尻の谷間に潜り込み、生地越しに排泄穴を穿ってきた。
「や、お、おしり……っひぃんっ!」
 肛門周辺まで瘤で嬲られ、括約筋を刺激される。スカート生地を纏わせたまま、肉の槍が腸管内にめり込んできた。物を出すべき部分に逆方向から異物を突き込まれ、少女は嫌悪感に喉を仰け反らせる。だが、苦痛を感じたのは一瞬だけだ。次の瞬間には、倒錯的な快美感が腰骨を焼いていた。恥ずかしすぎる裏穴が、うずうずと甘く疼いてしまう。
 擬態シートに放たれているゲル粘液も、当然、強力な媚薬効果を持っている。そして罠にかかった少女は、蜜だまりに長時間腰を下ろしていたのだ。薄生地を透過した媚毒は、すでに尻肉にたっぷりと吸収されてしまっている。少女の美尻は、自分でもわからないうちに、信じられないほど敏感に昂ぶらされているのだ。その淫らさたるや――スカート生地で擦られるだけで「あんっ!」と甘声が抑え切れないほどだった。
 下ごしらえの済んだ極上の熟桃を、肉舌椅子が淫らな動きで味わいつくす。
 ぶる、ぶるるっと疣玉が脈動するたび、淫らな悦楽が下半身を駆け上がる。蠕動する椅子肉に揉み嬲られれば、尻肉全体が溶け落ちそうなほど感じててしまう。甘すぎる尻悦の中、硬い疣でアナルを抉られる激感が、被虐のアクセントとなって官能を駆り立てていた。
「ん、い……くぁ、あ! こ、こんなぁ……くひぃぃん! んあ、あっあああああっ!」
 くちゅくちゅと尻を可愛がられるたび、背筋にまで悦楽が昇りあがってくる。たまらない切なさに、敗北の喘ぎが堪えられない。エメラルドの長髪を波打たせ、悩ましく悶え乱れる生贄美女。少女の敏感さに悦んだか、肉舌椅子の動きがさらに激しくなった。シート全体が生き物のように蠢き、獲物をガクガクと揺さぶって責め立てる。振動が伝わり、子宮が震えた。揺さぶりのたび疣柱がいっそう食い込み、肉槍が腸内深くにまで入り込んでくる。激しい律動に振り回され、豊満乳房がたぷんたぷんと揺れ踊った。
 激しく揺り動かされたせいで、肉巻きとぐろがいっそうきつく食い込んだ。ぴんぴんに勃起した乳首と衣服が何度も擦れあい、もどかしい快悦が止まらない。乳芯があまりに切なくて、もうたまらなかった。力がまるで込められない。長手袋に包まれた腕が震え、力が抜けてしまった。締め付けが緩んだ瞬間、掴んでいた触手が激しく蠕動する。ぬるっ、と手袋を滑り、二匹の肉蛇が飛び出した。
「う、あ!? し、しまっ……!」
 咄嗟に両手に力を込めるも、抜け出したチューブの勢いは抑え切れない。粘液まみれの肉蛇に摩擦され、手袋越しに掌を責められる。ヌルついた嫌悪感を感じる間もなく、吸収管が激しく蠕動した。逃げ出したウナギのように、勢いをつけてのたうつ二本の触手。自由を取り戻した双蛇が狙うのは、綺麗に整った少女の麗貌だった。
 ――や、いやぁ! か、顔に……!
 顔面。女として、一番汚されたく部分への陵辱――さしものコトナも、一瞬息を呑んだ。焦燥と恐怖の入り混じった表情は、怪物にとっても大層魅力的に見えたに違いない。
「いや、や……あああああ!」
 べちゃあああ! 大量の粘液をぶちまけながら、触手蟲がコトナの頬に着地した。左右一本ずつ、柔らかな頬っぺたに喰らいつく。顔面汚辱のおぞましさに、少女は引き攣った悲鳴をあげた。
 若々しい肌触りを楽しむように、触手たちはすりすりと頭部を擦りつけてきた。蠕動のたび、柔らかな頬肉がぐにゃりと歪まされる。整ったお顔を貪るかのように、激しく蠕動する二匹の肉蟲。おぞましい白濁が、凛々しい美貌にたっぷりと刷り込まれた。
顔を弄ばれている――たまらない屈辱感と敗北感に、思わず悔し涙が滲んでしまう。
「く、あぅうう……いやぁっ。顔は、いやよぉ……っ!」
 顔は女の命だ。大切なところを弄ばれ、美女のプライドが軋みを上げる。ふるふると細顔を奮わせ、嫌悪感まみれの喘ぎを零すコトナ。白濁まみれの美貌を、恥辱の涙が濡らす。
 弱気を見せた獲物をさらに貶めるべく、顔責め触手はいっそう動きを激しくした。先端部が力任せに擦りつけられ、柔らかな頬っぺたをぐいぐいと押し込まれる。頬肉に走る苦痛に、少女は長髪を振り乱し身悶えた。瞬間、触手の一本が動きを変える。ずるりと頬を滑り、甘息を堪えきれない唇へと移動する。
「ん、っく!? や、しまっ……んぷぅうううう!」
 ぬる、ぐちゅっ! 咄嗟に唇を締めるも、触手の動きは素早かった。喘ぎの形に開いた唇へ、肉紐の先端が滑り込む。おぞましい感触と苦味に、お口の中が一瞬で占有された。チューブ虫はいやらしく蠕動しながら、少女の口内に蛇身を進めていく。
「や……いや、んぷぁ! やめ……んっぶぅうううう〜!」
 咄嗟に吐き出そうとするコトナだったが、そんな抵抗では抑え切れない。無理矢理に異物に侵入され、小さなお口がミシミシと軋んだ。だばぁっと大量の粘液が吐き出され、口腔内を汚辱感で満たされる。腐りかけた肉のような感触が、敗北の味となって広がった。
 ――うぁ、い、いやああ。こんなのって……くぅ、いやよ……!
 異形のウィンナーを食べさせられ、コトナは嫌悪感に涙を零した。お口をいっぱいにされたせいで息苦しく、かといって息を吸えば臭すぎる蜜が流れ込んでくる。吐き出そうとする必死な抵抗をまるで無視し、挿入棒はずるずると喉の中に入り込んできた。
「ふぅ、んぷぅうう! んぅ、く、くふぅう……〜っ!」
 お口がいっぱいで、息が苦しい。喉が詰まる。屈辱と酸欠とで、凛々しい美貌が赤く染まった。苦しげに息を乱しながらも、しかしコトナは決して抵抗心を失っていない。涙の浮かんだ瞳で触手を睨みつけ、必死の抵抗を続ける強気な少女。ウナギのようにぬめる触手をなんとか掴み、思い切り引っ張って口から引き抜こうとする。
 ――く、く! この、とっとと出て行きなさいよ……この、このぉ!
 必死の表情で触手と闘う気丈な少女。だが、そんなものは無駄な抵抗に過ぎなかった。媚毒粘液に犯されたうえに快楽にやられた身体は、もはや思うように動いてくれないのだ。どれだけ力を込めても、ヌルヌルと滑ってしまって肉蟲を掴めない。ピンクの手袋はドロドロに汚れきり、染み込んできた体液に指先までが麻痺させられた。
「くふぅう、ふぅ、ふん! んぷぁ、あ、ひゃあうぅうう……っ!」
 一秒ごとに悪くなる状況に、焦燥感が募る。胸も太ももも痺れるほどに感度を増し、触手の締め上げに嬉しそうに媚肉を震わせていた。ちゅっちゅっと繰り返される吸引キッスが、おぞましいのに心地よい。紅潮した太ももからは力が抜け、知らずのうちに股が開いてしまっていた。乱れたミニスカートからは、愛液まみれのショーツが覗いてる。
 媚毒まみれのお手手は、ヌルついた脈動にさえ倒錯的な悦びを感じてしまっていた。肉疣で虐められるお尻も、脈動で嬲られている背中も、どこもかしこも気持ちよくてたまらない。気丈な抵抗心とは裏腹に、早熟な肢体は異形の快楽へと屈服しつつあった。
 ――いけない……ダメ、流されちゃダメッ! このわたしが、こ、こんなので……っ!
 コトナの強気は生半なことでは折れない。強く首を左右に振り、意気を振り絞る気丈な少女。だが、心は折れずとも、媚薬漬けにされた身体はどうしようもないほどに蕩けかけていた。止まらない細腰の揺れは、振動によるものだけではない。少女は知らずのうちに、かくっ、かくっと切なげに腰をうねらせてしまっていた。乱れたスカートから覗く太ももは、バイオゾイドの消化液だけでなく、自らの流した淫らな蜜で濡れそぼっている。
「んぷぁ、ふ、ふひ……ぃ! んくちゅっ、ひ、い……っ!」
 肉椅子バイブレーションで小突かれるたび、揺らされた子宮がじゅわあ、と切なくなる。太棒を咥え込まされた唇からは、苦悶とともに、甘い喘ぎが止まらなかった。情けない媚声をあげまいと唇を噛み締めると、口中の触手が噛み潰され、不気味な触感で唇までを犯されてしまう。じゅわああっと噴出した粘液に、喉奥までを犯し尽くされる。あさましく涎を垂らす淫らなお口を、触手蟲が激しいピストンで責め嬲る。
「んぷあ、は、ひやっ!? んぷっ、んっぷぅううううう!」
 じゅぽっ、じゅぽっじゅぽっじゅぽぉっ! 情け容赦ないストロークで、ガクガクと顔が揺れまくる。長い髪を振り乱し、涙を流して悶え狂うコトナ。一突きごとに粘液と涎が零れだし、淫らな粘音が鳴り響いた。
 あまりに激しすぎる陵辱。まるで、お口をレイプされているようだ。苛烈な責め苦に、コトナはただただ情けない嬌声で悶え続けるしかなかった。いくら引っ張っても触手が引き剥がせず、頬の内も外も一緒に責められる。あまりの圧迫感と被辱感に、涙が零れて止まらなかった。
 少女の口壺を、触手蛇は大層お気に召したらしい。可憐な唇はあまりに小さく、狭隘な締め付けで軟体を締めあげてくる。涎で蒸れた内頬も、柔らかなお口の肉も、可愛らしくて気持ちいい。口責め触手は嬉しさに身を捩り、怒涛の勢いでピストンを繰り返した。きつい締め付けへのお礼と言わんばかりに、大量の白濁液を少女の喉奥へとご馳走する。
「くぅ、んぷぅうう! んちゅう、んぷぅうう!〜」
 溺れてしまいそうなほどの粘液に、お口の中を満たされる。息ができず、顔が真っ赤に染まった。苦しげに巨乳を揺すりながら、必死で息を吸ってしまうコトナ。生臭い匂いとともに、お口の中を満たしている粘液が咽喉へと流れ込む。気持ち悪さに嘔吐しそうになるも、ずちゃずちゃとピストンされて無理矢理に飲み込まされた。だまの浮いた濃厚ミルクを飲み干した瞬間、喉奥がかあぁっと熱くなる。
 ――ひいぃ、あ、あ……! ダメよ、こんなの、飲んじゃダメのに……!
 憔悴するコトナ。触手から出される粘液は、すべて強力な媚薬だ。肌に塗られただけでも狂わされる媚毒を、直接体内に吸収させられたのだ。その効果たるや――!
「うぷぅ、あ、んあ、あ……あつぅうう! ひぅう、あついぃ、ひぃいい……!」
 溶ける――溶けてしまう。胸や太もものように、愛撫された部分のみが気持ちよくなるのではない。内側から犯される――肉と神経が、淫らな熱でことことと煮込まれる。全身が怖いくらいに敏感になり、意識に桃色の霞がかかった。身体の内側から、無理矢理に牝の本能を引き出される。全神経が燃え上がり、信じられないほど気持ちいい――!
 ――ふぁ、ひ、んん! すご……ううぁああ、か、感じすぎちゃう……ぅうっ!
 下がった子宮がキリキリと軋み、疼いて疼いて仕方がない。ショーツに浮き出した秘淫からは、粘った愛液が零れて止まらなかった。搾られる乳房も吸われている太ももも、蕩け落ちそうなほど切なさを増す。媚薬漬けにされた少女は、どうしようもなく快楽に溺れつつあった。
 肉体の堕落は、強靭な意志さえ蝕んでいく。切れ長の瞳はとろりと潤み、耽溺の色を隠せていない。凛々しい肢体は悩ましく揺らされ、豊満なお尻を拷問座席へ自ら押し付けていた。触手を掴んだ指には力が込められず、陵辱紐を牽制するどころか、逆にするすると擦って愛撫してしまっている。手袋越しの肉感が、おぞましいはずなのに、なぜだか愛しくてたまらない。
「はぁ、はぁっ……んぁああ、めぇ……。らめよぉっ、んちゅ、らめ、なのにぃい……!」
 

 

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