![]() 「お帰りなさい、御主人様」 「ああ、ただいま…いい子にしてたかい? 美智子」 「うん」 一ヶ月前、俺がいつものように残業を終えて家路を歩いていると、電信柱の陰から小さなうめき声が聞こえてきた。恐る恐る声のするほうへ近寄ってみると、そこには全裸の少女が血塗れで倒れていた。それが美智子だった。さらによく見ると、美智子の腕と脚は短く切断されていた。 「大丈夫か? しっかりしろ」と、俺が声をかけると、美智子は「助けて…あたしのことは誰にも言わないで」と、か細い声で俺に哀願してきた。その言葉に俺が「分かった」と答えると、美智子は安心したのか 一瞬微笑んだ表情を見せた後そのまま気を失ってしまった。 「あの時はびっくりしたよ」 「驚かせてしまってごめんなさい。でも…あたしを見つけてくれたのが御主人様で、本当に嬉しかったです」 あの日、美智子は セレブたちを集めてUGで行われる拷問ショーの舞台に立たされ、そこであれほどの大怪我を負わされたらしい。その日 舞台に立たされた少女は全部で五人いたが、生きて会場を出られたのは美智子ひとりだけだったのだという。 その後、美智子は遺体となった他の少女たちと一緒にトラックの荷台に乗せられて 監獄に連れ戻される道中、運転手の隙を見て走行中のトラックから飛び降り、俺が発見するまでの間 あの電柱の陰に隠れ潜んでいたのだという。 「あの時、警察に通報しないでくださって…本当に助かりました」 美智子に「誰にも言わないでくれ」と乞われた俺は、その言葉どおり美智子のことを誰にも言わなかった。俺は美智子を自分のマンションに連れ帰り できる限りの看病をしてやった。その甲斐あって、あれから一ヶ月が経った現在 美智子はすっかり元気を取り戻していた。 もしもあの時 俺が美智子のことを警察に通報していたら、美智子はそのまま医療施設に搬送されていただろう。そして その情報を聞きつけた美智子の飼い主が現れ、今頃 彼女は元の監獄へと連れ戻されていたかもしれない。 はじめは 哀れみから美智子の世話をするようになった俺だったが、一ヶ月も一緒に生活をしていると 徐々に情がうつって、今では本当のペット、本当の家族のように思えてきてしまっているから不思議だ。 「御主人様…そろそろ しましょ? 明日は土曜日、お仕事お休みですよね。今夜はいっぱい、してくださいね…」 |