人体実験を受ける少女



ある近代世界、オフィス街の隅にある小さなマンションに、バーで働く、

二十歳になって成人したばかりの、愛らしい踊り子の少女が住んでいました。


ある日少女は、三つ年上のお姉さんに呼ばれて、久しぶりに会いに行きました。

お姉さんは近くにビルを持つ、大きな会社の研究員です。


「相変わらず、貧相な身体ねえ」

お姉さんは、少女の胸を服越しに弄り回しながら笑いました。

「下の毛も生えてないんでしょ? くすくす」


セクハラで訴えてやろうかと思いながら、少女は、

「姉さんは首から下にしか栄養が行かないんでしょ」と言い返しました。

胸が小さいせいで、いつも店では露出の少ない衣装で踊らされているのです。


お姉さんはふふん、と鼻で笑うと、仕事の話を切り出してきました。

会社で開発中の製品の、実験台になってくれないかというのです。


「信じられない。そんなことでわざわざ呼び出すなんて‥」

とぶつぶつ言っていた少女ですが、

謝礼の金額を言われると、とたんに笑顔になります。

それに人体実験といっても、その会社の製品は、薬とか、危ないものではなくて、

女の人向けのおもちゃ‥つまり、アダルトグッズなので、変な不安はありません。


「気持ち良いかどうかを確かめればいいの?」

「実験室」で、素っ裸にまんぐりがえしの格好で固定された少女は、部屋に用意された、

うねうねの生き物風の―たぶん生き物ではないはず―グロテスクなおもちゃや、

変な震え方をするピンクローターや、電流発生器をげっそりと眺めながら言いました。


「バカねえ。そんなの一般のモニターにお願いするわよ」

別室のお姉さんの声がスピーカーから聞こえてきます。

「今日試すのは、快感レベルが強すぎて、会社で製品化をためらっているやつ。

あなたの身体と頭が耐えられれば、市販出来るようになるのよ


「は?」

一瞬意味が分からなかった少女ですが、

数秒後に気付いて、「あっ」と叫び声をあげました。


「待って、姉さん待って!

だ、誰か〜」


制御室に、他の男女のスタッフと一緒にいるお姉さんは、妹の悲鳴を無視すると、

にやりと笑って、巨大な胸をぼよんと揺らしながら、目の前に並ぶスイッチの一つを押しました。




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