その夜の記憶は曖昧で「もしかして夢なんじゃないかな」とさえ思える
『月が赤い夜は外に出ちゃいけないよ、魔女に呪われてしまうからね』
そんなおとぎ話をよく聞かされたっけ
5年前の月の赤い夜、私達は外にいた
まるで何かに誘われるように外を歩いていた
そんなに歩いていないはずなのに
周りは知らない景色だった
泣きそうな私を姉さんはずっと励ましてくれた
ふと前を見ると
赤い月に照らされて誰かが立っていた
誰なのか見ようと目を凝らすと
月の光はそれを遮るかのようにより強く輝きだした
気がつくと私達はいつも遊んでいる見知った森の中にいた
「・・・リーゼ、エリーゼ」
私を呼ぶ姉さんの声がする
私は声のする方を見た
そこには心配してる姉さんがいるはずだった
透明で光る羽、小さな体・・・
可愛らしいフェアリーがそこにいた
これが「魔女の呪い」なのかな
フェアリーになった姉さんを元に戻すため
私達は魔女を探す旅に出た