わたしの名前は相坂美咲(あいさかみさき)。
貧相なアパートの一室でずっとお父さんと二人暮らしをしてきた。
お母さんはわたしが小さい頃に離婚していないので、家ではわたしが家事などを担当している。
その為か通っている学校などではよくしっかり者だと言われることが多い。
お父さんはというとおっとりとしていて少し頼りない。
でも毎日、生活の為に夜遅くまで仕事をしてくれているお父さんにわたしは感謝していた。

だけどそのお父さんがもう一週間も家に帰ってこない。
今まで仕事で帰って来れないこともあったけど連絡がないということは一度もなかった。
お父さんに何かあったのだろうか…
わたしは心配で仕方がなかった。

わたしはたまらず警察に捜索願いの届出をしようと家を出た。
するとアパートの前で女性と女の子がわたしを待っていた…


一人は色白肌で白髪、本当に真っ白という感じでとても綺麗だった。
もう一人は小さくて可愛らしい女の子だった。
綺麗な女性が口を開く。
「こんにちは、相坂美咲さんですね」
「はい、そうですけど…」
「私、レインと申します。そしてこちらがミオです」
「こんにちわ」
女の子が礼儀正しく挨拶をする。
「はあ…それでわたしに何の用ですか?」
「今日はお父様のことについてお話があって参りました」
「お父さんのこと、知ってるんですか!」
わたしは少し大きな声を出してしまった。
「ここで立ち話も何ですし私の事務所の方へ来ていただけませんか?」
「でも…」
この人を信用してもいいのだろうか…と少し悩んだ。
その時、ミオという女の子がわたしのスカートを掴んでニコッっと微笑んだ。
(か、かわいい…)
一人っ子でずっと兄弟のほしかったわたしはその女の子の可愛らしさに少し気が緩んでしまった。
「わかりました…」
わたしは仕方なく彼女たちについて行くことにした。
それに何より消えたお父さんの情報が知りたかった。

それから10分ほど歩き少し古びたビルの三階の部屋へと入った。
「どうぞ、そこのソファに腰をかけてください」
そう言われるがままそのソファへ座る。
「どうぞです、お姉ちゃん」
ミオという女の子が紅茶を出してくれた。
「ありがとう」
わたしにもこんなかわいい妹がいたら…なんて思いながらその紅茶を一口飲んだ。
「それでお父さんのことって…」
「ええ…先日、あなたのお父様にお会いしました。
 あなたのお父様は多額な借金を抱えておりまして悩んでいらっしゃいました」
借金…
そんな話を聞くのは初めてだった。
「そこで借金返済のために相坂美咲さん、あなたを売っていただけることになったのです」
「え?何を言って…」
そこで急に視界がゆがんだ。
「あ、あれ…?」
「さっきの紅茶に入れておいた睡眠薬が効いてきたみたいです」
あの可愛らしい女の子が淡々と話す。
「な、なんで…」
だめ…意識が…
どんどん眠気に襲われていく。
わたしは座っていられずソファへ倒れ込む。


「おやすみなさい、相坂美咲さん…」
わたしが意識を失う前に見たのはレインという女の冷徹な顔だった…