1章 : 夢の国のアリス
-「夢の国のアリス」-
―――朝
「アリスちゃん、朝ですよ。もう起きないと朝ごはん食べられないよ」
ママの声がドア越しに響きます。
「んぁ、、、ふぁ〜〜〜〜〜い」
あくびで返事をしたことがちょっとはしたなかったかな。
けど眠たいんですもの、仕方が無いわ。
アリスは妙に眠気の残るからだを起こして、着替えようと肌に手をかけました。
その時、からだの違和感に気がつきました。
「つめたぃ、、、わたし昨日したまま寝ちゃったかしら、、、ベトベトですごい、、、、」
下着はアソコが透けてしまうほどにいけないお水で濡れていました。
布で手をぬぐうと、指と布の間にいやらしい銀糸が紡がれてゆきます。
けれど昨夜、一人ごっこをした記憶はありません。
「はぁ、わたしも周りのみんなと同じでエッチなのね、、、」
今まで周りの子達のエッチなお話について行けないと思っていたアリスは、昨日の落ちる夢の出来事で、実はキモチイイことに自分も夢中なのを少しだけ認めることにしました。
鏡にうつった、いやらしいお水がしみこんだ下着。
少し触っただけで糸を引く指を見つめると、お股がほんのり熱くなりました。
カタン。
「あら、何か落ちたわ、、、あぁ、昨日のウサギさんの本ね」
ベッドに投げ置いてからそのままになっていた本が、滑り落ちて床に落ちたようでした。
「白紙でも開けたらノートとして使えるのに、開かない本ほど役に立たないものって無いわね・・・火を着けたら悲鳴を上げて口を開くかしら?」
本がもしも生きていたら飛び跳ねそうなことを半分本気で口にしながら、床に落ちた本を持ち上げます。
「あら、しおり?」
昨日は何も無かった本に、白いしおりがページの隙間から顔を出していました。
しかも、一文字だってなかった表紙には、大きく文字が浮き出ています。
「こんなこと夢みたいだわ!」
アリスの心臓がドクンドクンと踊るように血液を全身に送ります。
急く気持ちを深呼吸でととのえると、表紙の文字に指をのせて一文字ずつ口にしました。
「えっと、、、ゆめ、、の、、くにの、、、あ、、りす、、、夢の国のアリス!!」
わたしの本だ!白ウサギさんがわたしを招待してくれているんだわ!と飛び跳ねて喜びます。
アリスは、「きっと開くはずよ!」と、本を開く手に力をこめました。
パラ、、、
「あ、やった!やっぱり開いたわ!」
昨日まで石のようにカチカチだった本はあっさりと開き、文字の書かれたページが目に飛び込みました。
開いたことが嬉しくて、アリスは本なのに、文字を読むこともわすれてページをめくりました。
パラパラパラパラ・・・・
「すごい!パラパラめくれていくわ!、、、あら、、、」
けれどページが音を立てていたのも途中まで。
はさまれていたしおりから先は、いくらめくろうと爪に力を入れても、石の様にカチカチです。
「目次も白紙でいっぱいね、、、きっとわたしが寝ている間に白ウサギさんがわたしの為に書いているのね♪」
アリスは夜な夜な自分の机で羽ペンを動かす白ウサギを想像して、嬉しくなりました。
もしそうなら文通もできるわ!と、考えるだけでワクワクするのでした。
アリスは着替えるのも忘れて、下着のままで本を読み始めました。
何か(明るいのか暗いの、眩しいのか恐ろしいのか。兎に角、目を瞑らないと大変なことになると思うようなもの)が本から這い出すと、アリスを包み込み・・・
※続きは製品版になります。