「ありがとう。とてもうれしいわ」

手に取ると、ほんとに安っぽいガラス製のイヤリングだったけど
紀子先生は嬉しそうに僕に微笑んでから耳に付けてくれる。
「まだこういうの、似合うかしら?」
十分すぎて僕は何度もうなづく。
「フフフっ、お世辞でもうれしいな」
すこしはしゃいだ様子で僕の手を取る。

「今度は、先生がおごる番ね」
先生の暖かな手の温もりに感激する間もなく引っ張られた。
美味しそうな匂いのする店に各駅停車していく。


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