[シナリオジャンプ] 序
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1章 : [魔獣の森]
幹の傷の方向から、迷うこと無く右へ舵を取り走り出したミントは、
地面に残るスライムの粘液が、徐々に濃くなってゆくことに自分の判断が正しかったことを確信した。
先刻のスライムは霊が要となっている魔法生物である為、物理攻撃に頼るアルメリアには特に不得手な相手である。
それに魔法使い科であるアイリスの呪文も、僧侶の使う神の御業ほどに効果があるかは分からなかった。
無事でいてほしいと、ミントは両手を組んで神に祈った。
すると、その言葉はすぐに通じた。
声が聞こえたのである。
「、な、この、、ども、、、、じゃ、、、」
「え、今の声はアルメリアさんですかっ!」
「ミント!?ミント!!」
空耳ではない。
アルメリアが声を張り上げると、また声が、今度ははっきりと聞こえた。
声のする方に視線を移すと、黒い柱のような幹の間から、蒼い光の中に囚われるアルメリアとアイリスの姿を視認した。
キツネとドワーフの二人はまるで水霊と戯れているような姿で、捕食されつつあった。
「今行きますっ!」
草むらを掻き分けて、スカートが翻るのも構わずにミントが駆けた。
シュンッ! バシュッ!!
高圧の水が長い耳を掠めるようにミントを通り過ぎると、後ろの木が爆ぜた。
しかし彼女は足を緩めない。
水霊 が戯れる場所を目指して理を紡ぎながら、飛んでくる水の矢を避けてスライムに肉薄するハーフエルフ。
「てやっ!!!」
トストストスッ!!!
詠唱が終わり地を蹴ったと入れ違いに、地面を水矢が串刺しにする。
ミントはそのままの勢いで茂みを飛び越えると、着地のことなど考えずに、プールに飛び込むようにして杖を前に突き出した。
魔力で金色に輝く杖が深々と水霊に突き刺さる。
すると、一斉に水霊達の動きが停止する。
そして、、、
「元の場所へお帰りなさい!!」
叫ぶように宣告して、突き刺した杖をグルッと捻った。
途端に輝く杖を始点に、まるで油に石鹸水を落としたように、大きな輪が広がり、水霊達が追われるように逃げまどい、、、
ザバァッ!!!
ザザザザザザァァァァ
断末魔のように蒼い塊が弾け飛び、辺りに大雨を降らせる。
「みなさん、大丈夫ですか、、、ってあれ?どこに、、、」
2人のいた場所にはただ濡れた地面だけだった。
ミントはキョロキョロと辺りを見回すが、影も形もない。
「もしかして、もう取り込まれて、一緒に、、、、そんな、、、」
最悪な考えが頭を過ぎり、がくりと膝を落とすミント。
・・・・・・
・・・
すると近くの茂みがガサガサっと揺れた。
「!?!?」
まだスライムが潜んでいたと、慌てて詠唱を開始するミントに、驚いた茂みがニョキっとガントレットを生やして制止を訴えた。
「まてまてまて!わしじゃわし! 吹き飛ばされた後でトドメをさされてはかなわぬ!」
今度は隣の茂みからキツネ耳と尻尾が生えて、言う。
「はひぃ、、、ボク、スライムさん、嫌いです〜」
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「倒すのに必死でごめんなさい!」
ミントは茂みから2人を引っこ抜くと、スライムを倒すときに吹き飛ばしてしまったダメージをを癒して謝る。
「いや、こっちも飛び出してしもうたのは謝らねば。ミント、助けてくれて感謝じゃ」
アルメリアは素直に非を認めると、アイリスによって修繕された衣服の調子を見て、うん、と頷いた。
「この修復魔法はすごいのぉ、溶かされた服がまるで新品じゃ。さすが200年生きているだけのことはあるの」
「うん、、、でも葉っぱで化かしてるだけだから、ちゃんと帰ったら変わりを用意してね」
アイリスもはっぱを集めて生成した衣服に袖を通して、大きな胸をえいっと押し込めた。
3人は装備も元通りになり、傷も癒えると、早速今後の相談を始めた。
そして、まず「森を脱出する」 という意見で議会が満場一致すると、 情報を集めるために、慎重に歩き始めた。
Lv1の新米にもなっていないPTは無事アカデミーに戻れるのであろうか。。。
しかし、あてのない歩みが、森の深部へ向かっているとは、この時の彼女たちには知る由もなかった。。。
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-episode1 fin-
※体験版はここまでとなっております。
この後は本編ご購入後にお楽しみくださいませ♪
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