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序章 : [パーティー結成!]

〜 アカデミー 〜

獣達の素材によって発展した国々は、更なる発展の為、より多くの素材を欲していた。
そこで錬金術から派生した[化学]、、、身近にある物質を合成して便利な素材を作り出す、、、試みも行われているが、、、

永遠に燃え続ける[火竜の心臓]
 はるか遠くを見ることが出来る[グリフォンの瞳]
  どんな刃も通さず錆びることのない[大鎧蟲の抜け殻]

今日 の生活を支える貴重な素材は、やはり獣達から採取するより他無かった。
そこで国々は、競うように素材を採取する者達、、、
通称マテリアルハンターを育成する施設を建設し、魔獣素材の安定供給を目指していた。

・・・・・・・

ここはとある国にある、国内唯一にして最大のマテリアルハンターの養成学校、通称「アカデミー」。
たくさんの子供達が一流ハンターに憧れ、数多の大人達が一攫千金を夢見る場所として万人が集まる学び舎となっていた。


そのアカデミーの長い廊下を、真っ赤なお花がトコトコと歩いている。
お花、、、というのは後ろから見た大きなリボンを形容したもので、前から見れば小さな女の子のよう。

短い両の脚には、金属のハイヒール型アーマーとそれに続く黒いニーソックス。
 胴を包むのはビキニのようなアーマーと金属プレートの前掛け。その下には申し訳程度に体を覆う下穿き。
  両の腕には、細腕に似合わぬ無骨なガントレット。
   背中には、大きな赤いリボンが咲いており、小振りなお尻が見え隠れ。
    紫に色付くセミロングの髪をツインテールに結んで、その上には真紅のかんむり。

身の丈は130〜140cmといったところで、最も一般的な「人間」としてはかなり小柄である。
しかし、彼女は手先が器用で作り手として名を馳せる、地の獣とまぐわった末裔、「ドワーフ」が一人だ。
ドワーフは1000年を生きるエルフほどでは無いにしろ長命で、小さな彼女ももう齢50歳。

・・・・・・

そんな彼女にすれ違う生徒達は、通り過ぎた後で、皆ヒソヒソと話した。

「クスクス、、、ほらみて、、、、眠り姫のアルメリアよ」
「ようやく冬眠から覚めたのね。フフフ、、、」

[アルメリア]、、、と呼ばれた赤い花は、そんな揶揄などどこ吹く風と、廊下の真ん中を肩で風を散らして歩いてゆく。
彼女がキョロキョロと辺りを見回す姿が、通り過ぎる生徒達の話題に上がるのは、これがアカデミーの風物詩だからであった。
アカデミーの生徒は、一流ハンター揃いの講師相手にクスクス笑うはずは無い。
アルメリアももちろん生徒である。
それも最古参。

・・・・・・

この時節、アカデミーは卒業試験として、1人以上のグループでモンスターの素材を集めることを課すのだが、
ここで起こるのが毎年恒例の、「PT(パーティー)メンバー争奪祭り」。

入学式でのサークル勧誘顔負けのこの大行事はまさに戦争さながらで、卒業課題よりもこちらのほうが難しいとさえ言われている。
その理由は 兵科の所属人数に偏りがある為だった。

ハンターと言っても十人十色。色々と得意分野がある。
近接戦闘に長けた[戦士]や、回復、補助呪文で仲間を助ける [僧侶]、攻撃呪文で敵を粉砕する[魔法使い]など兵科は様々だ。

しかし、10ほどある兵科の中で、ちょっと腕っ節が強くて、お金だけほしい。
そんな不埒な動悸で入学する生徒が就くのは大抵[戦士]。
すると、身の危険の多い戦士と相性が良い[僧侶]は自然と需要が増す。
[戦士]では対応しづらい硬いモンスターや精霊の類を得手とする[魔法使い]もそれに同じ。
こうして、[僧侶]、[魔法使い]の両手がもぎ取れるかという引っ張り合いがあっちでも、こっちでもといった具合。
学び舎全体が、真夏の「ぽろりもあるよ」的な様相を呈するのである。

あぶれた戦士たちは、涙に濡れた薬草をリュック一杯に背負うと、徒党を組んで森へ特攻する。
そして毎年最後に残るのは、イロモノの問題児達。

その一人が毎年寝坊でPTを組めずに試験で撃沈している眠り姫こと、ドワーフの戦士アルメリアである。
くすくす笑う下級生達は、試験で誰もいない上級学舎で相棒を探すアルメリアを見て、この伝統をまた来年語り継ぐのである。

「うーん、今年も寝過ごしてしもうて、誰もおらぬのぅふぁ〜〜〜ぁ」

眠たそうに目を擦ると、アルメリアが小さなお口で大あくびをする。

カツッカツッカツッ
通路の角を曲がろうとアルメリアが角度を変えた瞬間

ドンッ!!

「うにゅっ!」
 「きゃっ」    

カエルが潰れるような声を出して、アルメリアが廊下と熱い口付けを交わした。

「ぺっぺっぺっ!!汚いのぉ、何をするのじゃまったく!」

アルメリアがギロっと睨むと、申し訳なさそうな顔で頭を下げるエルフが一人。

「申し訳ありません!申し訳ありません!大丈夫ですか!ヒール!ヒール!!ヒール!!!ヒール!!!」

「わわわっ!やめぃやめぃやめいぃ!もうHPは満タンじゃ!」

アルメリアは必死に振り回す彼女の魔法杖をガントレットで押さえると、落ち着け落ち着けと、回復呪文を止めるように諭した。
そして顔を上げた彼女を見て、呟いた。

「おぬし、、、もしや[聖母のミント]ではないか?」

顔を上げた彼女を見て、アルメリアは彼女の名前を口にした。
これからPTを組むアカデミーの有名人二人が出会った瞬間であった。



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