Jailed Fate 体験版


「くううっ! んんっ、んっくぅうぅううう――!」
 無機質な研究室に、若い女の嬌声が響いている。
 辛そうに呼気を切らせ、色濃く苦悶を滲ませた――それでいて被虐の悦びを隠しきれない、濡れきった雌の喘ぎが。
「ック……んぅうう、ンふうぅううゥッ! ダメッ、こ、こんな……ッくふぅううッ! このままじゃ、ま、また……んんんんーッ!」
 必死で耐えようとしながらも、あさましく漏れてしまう被虐の嬌声。クールな声色とのギャップが、ひどく淫靡で蠱惑的だった。
「ック……イク、イクッ! こんなっ……んんんぅ、ま、またイカされ……ンくぅうううぅぅううう――!!」
 恥辱のトーンが一際上がり、部屋中に悔しげなイキ声が反響する。ブロンドのロングヘアが振り乱され、汗と涙がキラキラと飛び散った。
 窓一つない完全密閉の研究室内。中央に位置する手術椅子に、一人の美女が拘束されていた。二十歳を目前に控えた、無垢さを残しながらも美しく成長した大人の容貌。均整の取れたスレンダーボディに、ベージュ色のスーツが似合っている。ストイックな軍服姿から、彼女が時空管理局局員、それもかなりの階級の執務官だとわかった。
 若さ溢れる肢体はいかにも健康的で、タイトな制服の上からでも抜群のプロポーションを見せ付けている。女性らしく華奢なラインを描きながら、同時にしっかりした力強さを秘めたボディスタイル。広域捜査官と言う危険な職務の中で磨き上げられた肉体は、まるで牝豹を思わせる精悍さを誇っていた。特に目を引くのがパンティストッキングに包まれた美脚で、すらりと長く伸びた脚線はいかにも格好いい。むちむちと肉感的な太ももからは、柔媚な肉感としなやかな躍動感が同時に感じられる。肉付きのいい美脚は黒タイツにぴっちりと押しつつまれ、瑞々しい肉感をいっそう誇張していた。
 二十歳直前の肢体は僅かの無駄もなく引き絞られ、腰も足首もキュッと細くくびれている。反対に女性の部分は成熟した量感をはっきりと自己主張し、メリハリの効いたボディラインを描き出していた。
 タイトな生地を押し上げ、凛々しく張り出している胸乳。大きさこそさほどではないが、整った形の良さといい衣服越しでも感じられる柔らかさといい、紛れもなく極上の美乳果だ。凛々しくも魅惑的にに軍服を膨らませている麗峰からは、彼女が胸に秘めた矜持と母性的な優しさの両方が感じられた。
 一方、躍動感溢れる太ももから続く尻峰は、かなり豊満な印象だ。タイトなミニスカートを窮屈そうに押し上げ、熟れきった肉感を惜しげもなく見せ付けていた。きゅっとくびれたウェストの細さが、豊熟な肉付きをいっそう魅惑的に引き立てている。瑞々しく熟れきった美豊臀は、水蜜たっぷりの完熟桃を思わせた。
 鋭く研ぎ澄まされながら女としての魅力をも兼ね備えた、女神のように清艶な美体。そんなスレンダーボディに相応しく、顔立ちもまた端正で美しいものだった。輪郭は大人びて細く、全体的にクールで凛々しい印象だ。キリッと引き締まった眉根と鋭い目つきは、気丈な性格と意志の強さを感じさせる。輝くようなブロンドのロングヘアーが、凛麗な美貌によく似合っていた。切れ長の瞳はルビーのように赤く輝き、その奥に揺るぎない正義の炎を灯している。
 次元世界の平和と正義を守る時空管理局の要職を務めるに相応しい、健常な精神と肉体。厳しさと優しさを兼ね備えた勇気の心が、美しい肢体を眩ゆいばかりに輝かせている。ストイックな制服姿が、そんな凛々しいイメージをいっそう際立たせていた。
 彼女の名はフェイト――フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。
 時空管理局執務官にして、同機動六課ライトニング分隊長を務めるSランク魔導師だ。若くしてその魔力は圧倒的で、特に高い機動力を活かした空戦能力は他の追随を許さない。母の為とは言え大規模次元犯罪に手を貸していた複雑な経歴もあるが、その実力と働きは管理局上層部を黙らせるのに十分すぎた。実直な性格から人々の信頼も厚く、今では本局次元航行部隊きってのエースとまで称されている。まさに、エリート中のエリートと言える天才魔導師だ。
 だがそんな才媛も、今は見るも無残な――いや、淫惨な痴態を晒す事となっていた。仰向けの状態で手術椅子に寝かしつけられ、ベッドから伸びた作業用アームにより四肢を戒められ拘束されている。伸びやかな美脚は機械の腕にガッシリと固定され、ミニスカートがまくれるほどに大きく股を開かされていた。両手も同様のマニピュレーターに掴まれ、後頭部で一まとめに戒められている。四肢を完全に極められ抵抗する事さえ許されない、完全屈服の屈辱的な拘束ポーズだ。
 犯罪者の手に落ちた執務官は、そんな惨めな格好のまま魅惑のボディを嬲られ続けているのだ。
「はぁ、はぁ、はぁ……んん……ッく!? くぅう……ま、まだ動いている……っ。機械が……と、止まらない……!」
 無人の研究室に放置され、もう二十時間以上。自動機械による苛烈な性的拷問は、その間一秒たりとも途切れる事なく続いていた。極めさせられた絶頂は五十を越え、快楽の余韻に浸る暇など僅かにも許されない。イキながらにして叩き込まれる地獄じみた快美感に、黒タイツに包まれた美脚がビクンと痙攣した。拘束されたままの身体が辛そうに跳ね、仰向けのままで凛々しく聳えている美乳が左右に揺れ踊る。
「ううう……あ、ああっ! ひぃ、んくぅうう……ん〜!」
 辛いほどの快感に翻弄され、整った美貌がイヤイヤと左右に振り乱される。端整な顔立ちは汗と涙にまみれ、見るからに焦燥の色が濃い。乱れたブロンドが頬に張り付き、淫惨な雰囲気を醸し出していた。
「はうぅう……っく、くぅうンッ! んう、あ、あ……あっ!」
 ヴヴ、ヴヴヴヴ……。息も絶え絶えに漏らされる喘鳴とともに、無機質な振動音が部屋中に木霊する。それこそ、フェイトを終わりなき淫獄へと誘い続ける無慈悲な陵辱者の駆動音だった。
 完全に敵の手に落ちた状態でも、執務官の衣服はそのまま残されていた。もっとも激しい身悶えに衣服はずり乱れ、胸襟は開きかけスカートはめくれかけている。溢れる汗と愛蜜とで、黒いパンティストッキングはべっとりと濡れてしまっていた。普段のストイックな着こなしとのギャップが、酷く淫靡な印象だ。乱れきった軍服の内側では、生真面目な執務官をそこまで追い詰めた犯人が激しく蠢いていた。
「う、っくぅうう……ふ、震えてる……ンッ! イ、イッたばかりなのに……中でずっと……っんんぅぅぅ!」
 ビク、ビクビクビク! 黒いタイツに包まれた美脚が、辛そうに跳ねまくる。ギシギシとベッドを軋ませ、金髪を振り乱し悶絶する囚われの美女。愛液染みで恥ずかしく変色してしまっているストッキングの内側では、野太いバイブレーターが延々と振動を続けていた。
(お、おおきくって……ふ、深い……ぃっ! ぜ、全然止まってくれない……も、もう……二十時間以上も責められっぱなしなんて……!)
 アクメの悦びに漬け込まれながら、頭脳明晰な天才魔導師は、いまだ理性を力を失ってはいなかった。一瞬でも気を抜けばあっけなく飛ばされそうになる中、意識を振り絞り冷静に状況を分析する。
 この研究室内に囚われてから、もうすぐ一日が経過する。その間に味わわされた絶頂は数十回。屈辱的な女としての敗北は、すべて命も意思もないこの器具によるものだった。
 深々と肉穴を貫いているバイブレーターは、長さも太さも驚異的だった。サイズは少女の腕ほどもあり、先端は子宮口にまで届くほど。側面には無数の突起物が生え揃い、堅いイボイボが膣襞の一つ一つまでを掻き分け刺激してくる。先頭部は本物の男根以上に逞しく盛り上がり、奥の奥をグッと押し開かれる被虐感があまりにリアルだった。およそ女を屈服させるためのすべてを兼ね備えた、極悪な淫具だ。
 そしてそれ以上に凄まじいのは、極太バイブの動きだった。機械らしくあくまで無感情な、しかしあまりにも的確に牝の悦びを引き出すバイブレーション。ダイナミックな振動は粘膜全体を震わせ、野太い亀頭がコツンコツンと子宮口をノックする。その上膣襞に食い込んだイボは、すべてがGスポットを直撃する場所に位置していた。
(このバイブ……わたしの膣に、気持ちいいところにぴったり吸い付いてる。こんな……な、なんていやらしいの……!)
 急所だけを狙うイボの位置取りといい、粘膜すべてをぴったりとカバーするサイズといい、フェイトの膣のためだけに計算し尽くされている。相性抜群のオーダーメイドバイブに延々と粘膜を抉られ、気持ちよすぎる弱点を何度も何度も抉られる――いかに強靭な意志の持ち主とは言え、このような快楽責めに耐えられるはずがなかった。
「うああぁ、そ、そこっ……くひぃぃぃいィンッ! ず、ずっと感じるところばかりなんてっ……はあぁ、んくぅう――!」
 ヴヴヴヴヴ、と途切れない駆動音が、子宮から脳髄にまで張り付いて離れない。ゴツゴツとノックされ続ける子宮穴からは、濃厚な愛液が洪水のように溢れ出していた。執拗極まりない急所への集中攻撃は、類稀な魔導師の克己心を蕩かせるほどに甘美なのだ。
 囚われの執務官を追い詰めるのは、甘美過ぎる快楽振動だけではない。手術用ベッドに拘束された身体には、いたる所に無機質なコードが接続されていた。ワイヤーの先端には、それぞれ細い注射針が備えられている。あるものは衣服の内側に潜り込み、またあるものはタイツの生地を穿ち、または剥き出しの美肌に直接。無数の針が、美女の肉体に深々と食い込まされていた。鋼鉄の針は鋭く長く、直接神経束にまで到達している。さらにそれらのコードからは常に魔力を帯びたパルスが流され、虜囚の官能神経を直接電気的に刺激しているのだ。
「くふううぅ……ん、あっ、あっ! く、来るッ……また来てる……くふああぁ、し、痺れ……あ、あっあっああァァァッ!」
 無数のコードから催淫パルスを流し込まれ、神経そのものに痺れるような疼きが駆け抜ける。決して強すぎる痛みではないが、感覚そのものを嬲られる掻痒感は筆舌に尽くしがたいものだった。甘美な痺れに身体の芯から蕩かされ、どれだけ意識を振り絞っても快楽神経が勝手にメロメロにされてしまう。
「くふうう……うあ、あっ、あっ! ダメッ……こ、こんなのって……っくうううう! し、痺れてるっ……ああ、んくぅうううっ!」
 同時多発的に全神経を刺激され、牝を高ぶらせる淫らな魔力に官能中枢を直接責められる。電流が通じるたび肉体が内側からムズ痒くなり、しかもそれが全身で無数に炸裂し一瞬たりとも止まらない。
(ビ、ビリビリして……っくうう。か、身体の中を直接愛撫されてるみたいだ……。くっ、こ、こんな……こんなのって……!)
 切ない。ムズ痒い。心地いい。じれったい。耐えられない――肉体への愛撫を通さず、神経そのものを狙い打たれる電流責め。今まで考えた事もない異質な機械姦に、フェイトの肉体はもはや限界に達していた。
自分の意思とは関係なく、身体を強制的に欲情させられてしまっている。そんな以上極まりない状態で、彼女はもう半日以上も電動バイブに責められ続けているのだ。
「はうううっ……っく、っく! んあっ……んふぅぅううっ! こ、こんなっ……っく、っくぅうう! ま、また突かれて……ち、乳首もビリビリして………はくぅううっ、し、痺れてる……っ!」
 急所のみを狙いうつ神経針が、もっとも感じやすい女体の急所を逃すはずがなかった。快楽電流で高ぶりまくり、ビンビンに勃起している両乳首にも、鋼の針は容赦なく突き刺されている。乳腺を穿ち内部の快楽神経にまで直接到達している責め針からは、特に強烈な電荷が流され続けていた。
(だめっ……だ、だめだっ! 乳首はダメ、か、感じやすすぎるのに……くううぅ。む、胸が苦しい……溶けてしまいそうだ……!)
 催淫電流が駆け巡るたび、狂おしいほどの切なさが両の乳房で炸裂する。ビクン、ビクンと断続的に乳房を痙攣させ、金髪を振り乱し身悶える女虜囚。拷問じみた機械姦の虐悦に、子宮がとろとろと蕩け恥知らずな愛液を染み出させる。だが、獲物がどれだけ悶えようが狂おうが、意思なき陵辱機が責めの手を緩める事はない。
「はぁ、はぁ、はぁ……んんんううっ! っくうう、ち、乳首っ……はあぁ、はぁ、はあぁっ! ア、アソコも……ず、ずっと責められっぱなしで……くふあぁぁ、また、また……ッ!」
 ヴヴヴヴ……ビリビリビリ……。無機質な駆動音に混じり、酷く色めかしい嬌声が響き渡る。
(ダ、ダメだっ……耐えられない! このままじゃ……わたし、ま、またイッ……!)
 一秒たりとて休む間も与えられない、拷問じみた機械姦。先ほどの絶頂さえ振り切れていないのに、またしても意識が融解する。
「イ、イクッ! ああぁっ、も、もうイキたくなんてないのに……またイク、またイカされるうぅう……うううッ!」
 惨めな敗北の声とともに、若い身体が狂ったように跳ね踊る。くいくいっと腰が踊り、大量の愛液が濃密な潮を噴いた。全身を欲情させられながらGスポットを直接狙い打たれる機械責めに、被虐の執務官はまたしても屈辱のオルガスムスを極めさせられてしまったのだ。
「っ、イッ……っく、っくふうぅぅうン! ま、また……こんな、こんな道具なんかにイカされるなんて……はぁ、ン、ンッ……!」
 もう、これで何十回目だろうか。相手は人間でも、いや生物ですらない。機械的な刺激に逆らえず、無機物相手に女としての屈辱的な敗北を何度も何度も極めさせられてしまうなんて――惨めな絶頂感に涙を零すエリート魔導師だったが、その間も休むまもなく機械たちの責めは続いている。イったばかりの肉体にゾクゾクする快感を叩き込まれ、屈辱以上にマゾヒスティックな悦びがとめられない。
(う、うあッ……まだ動いてる。ダメだ……い、今は敏感なのに。イッた直後は敏感すぎるのに……全然、バイブ止まらないィッ……!)
 女を責めるためだけに作り出された陵辱機関は、獲物がどれだけイこうが決してその機能を止めはしない。無機物ならではの無感情さで、ただただプログラムに従い延々と虜囚を責め続ける。
「はふぁぁぁっ……ダ、ダメッ! ま、まだイってるのに……ま、まだイキ終わってないのに、こ、こんなぁ……あっああぁあ――!」
 絶頂の余韻に浸る暇など、僅かにも許されない。潮を噴き終える間もなくさらなる快楽を叩き込まれ、痙攣しっぱなしの粘膜を容赦なく可愛がられる。愛液でヌルついたバイブレーターはフェイトの蜜洞と抜群の相性を見せ、野太い亀頭はぐっぽりと膣奥深くにまではまり込んでいる。道具でイクのがクセになってしまった肉体は秒刻みで感度を増し、イケばイクほど次への絶頂への感覚は短くなるばかりだ。
「はぁ、はぁ、はあぁ……っくぅうん! ダメッ……ビ、ビリビリ来ている……くはあぁぁあ! ダ、ダメだっ……うあぁぁまたッ……ま、また……さっきイったばっかりなのにぃ……イッ!」
 絶頂から下りてさえこられないのに、意識はまたしても強制的に高みへと昇らされていく。いかに優れた魔導師とは言え、神経そのものに送り込まれる淫魔力に逆らう術などあるはずもない。
「ック……ックゥウウ、イクッ! ま、またイってる……さっきイったばっかりのにまたイク……わ、わたしの身体、イキっぱなしになってるぅぅうう――!!」
 ビク、ビクビクビクビクッ! 後頭部で組まされた両腕が辛そうに痙攣し、プラチナブロンドが激しく振り乱される。ビンビンに乳首を勃起させた両胸を天高く反らせ、またしても快楽絶頂に飛ばされる被虐の執務官。可憐な唇から涎まみれの舌が突き出され、カクカクと揺れる腰からまたしても大量の愛液が潮を噴く。非人道的な機械姦の前に、フェイトは休むもない連続絶頂状態に陥ってしまっていた。
「はぁ、はあぁ……はぁ、はぁ、はぁ……あー、あ――……ッ!」
 絶頂に継ぐ絶頂に、心臓が早鐘を打ち呼吸さえままならない。火照りきった乳房を激しく上下させ、辛そうに息を吐く金髪の美女。官能中枢そのものを弄られ正確にGスポットを可愛がられイカされまくり、さしものSランク魔導師も心身ともに限界まで追い詰められていた。
 だが――それでも。
「はぁ、はぁ、はぁ……っあ! ダ、ダメだっ……負けないっ! こ、この程度で……っくぅう! 負けるものか……あ、あああっ……!」
 尖り気味の顎を小刻みに震わせ、戦慄く唇をきつく噛み締める。滂沱の涙に潤みながらも、赤い瞳は気丈な眼差しを失っていはいない。
「負けない……イ、イッ! わたしは……こ、こんなのに負けてはいけないんだ……っうああぁ、あっあああぁぁぁあ!」
 半日以上にわたる休むなき絶頂地獄。並みの魔導師ならとうに快楽の虜になってしまっているだろう。だが、フェイトは未だ強靭な理性を保ち続けているのだ。その克己心たるや、まさに驚異的だった。
「ふむ。そろそろ耐久実験開始から二十四時間が経過すると言うのに、まだそのような表情ができるとはな。正直、驚いたよ」
 と。淫虐の研究室に、どこからとも無く男の声が響いた。
「流石はF計画の残滓……と言ったところか。フフフ……本当に興味深いサンプルだよ、君は」
 室内に備えられたスピーカーから、哄笑交じりに語りかける。冷たい知性の中に偏執的な狂気を宿した、まとわりつくような声音だ。
「ドクタ―……スカリエッティ……!」
 姿も見せない男の名を、フェイトは苦々しく吐き捨てた。
 Dr・ジェイル・スカリエッティ。数々の事件で広域指名手配されている次元犯罪者にして、天才的な頭脳を持つ魔導科学者。昨今頻発するレリック事件の主犯格と思われる要注意人物だ。レリック事件を追う機動六課にとって、目下最大の敵の一人だった。
 そして――フェイトとスカリエッティには、浅からぬ因縁があった。
「おはようフェイト・テスタロッサ、元気なようで何よりだ、もっとも、君の様子は別室からずっとモニターさせて貰っていたがね」
「……っふ! あ、相変わらず自己顕示欲の強い男だ。言われなくても……っく、っくぅう! わ、わかっている……!」
「ハハッ、それは失敬。君も変わらぬ聡明さだな、嬉しいよ」
 はぁはぁと喘ぎながらも、少女魔導師は気丈な態度を崩さない。許せざる巨悪を前に、フェイトは凛々しい執務官の顔を取り戻していた。
 そんな実験サンプルの活きの良さをモニター越しに再確認し、スカリエッティはさも満足そうに笑い声を上げた。
「よくぞそこまで立派に成長してくれた。わたしが手をかけたF計画最高の完成体……その名に恥じぬ完成度に達したのは君だけだよフェイト(FATE)。フフフフ、やはり君は最高のサンプルだ!」
「……ッ!」
 当事者の心情などお構いなく、過去のトラウマを抉りまくる。完全に相手を実験動物としか見ていない。
(この男……!)
 不愉快極まる言動に、フェイトは眉根をひそめた。
 スカリエッティは優れた魔導技術者だが、その思考は半ば狂気に犯されている。禁忌とされる生命操作や人体改造に良心の呵責さえ感じず、己の欲求を満たすためにはいかなる手段も厭わない。
 狂気の科学者の知的欲求は、美しき天才魔導師にも向けられていた。
 フェイトは普通の人間ではない。スカリエッティが基礎理論を打ち立てた違法人造生命創造計画『F計画』の産物であり、希少な成功例なのだ。造られた命でありながら完全なる魂と精神を宿し、生まれもって与えられた強大な魔力を御している。そんな奇跡的な完成体に、マッドサイエンティストは並々ならぬ偏執を抱いていた。
 一方フェイトも、次元管理局広域捜査官として長らくドクターを追跡していた。だが、狂人ではあるがスカリエッティは紛れもない天才だ。敏腕執務官の追跡を悉く逃れ、未だ一度の逮捕歴さえない。もっとも、一筋縄でいかないのはフェイトも同じ事で、その類稀な力によるドクターの魔手を幾度となく退けてきた。
 フェイト・T・ハラオウンとDr・ジェイル・スカリエッティ。
 二人は、因縁の宿敵同士と言える間柄だった。
「クククッ、それが今はどうだ。君はこうして再びわたしの手の内にある……ハハハハ! 素晴らしいぞ、素晴らしく楽しい事になる!」
「くっ……っくうう、んっ! ス、スカリエッティ……ぃ!」
 今や、追う者と追われる者という立場は崩れ去った。金髪の執務官は狂気の科学者に囚われ、淫虐の実験素材に堕しているのだ。
 もっとも、本来なら実力で遅れを取るフェイトではない。管理局きってのエリートが囚われの身となったのには。大きな理由があった。
「や、約束……っくぅう、ううん! み、みんなは……っはぁ、はぁ。キャロとエリオには……て、手を出していないでしょうね……っ!」
 気が狂いそうなほどの快楽に震えながら、必死で言葉を紡ぐ。二人の名を口にした刹那、瞳の奥に優しい思いやりの光が浮かんだ。
 次元管理局機動六課所属魔導師、エリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエ。フェイトが隊長を務めるライトニング分隊のメンバーであり、またフェイト自身の養子でもある。心優しい義母は愛しい我が子らを戦いに送り出す事を内心快く思っていなかったが、正義と平和を愛する心を止める事はできなかった。
 そんな幼子たちを心配しながらも、同時に部下として頼もしく思っていたフェイトだったが、やはり現実は厳しかった。強力なAMFを擁する新型ガジェットドローンとの戦闘で、キャロとエリオは囚われてしまったのだ。本来圧倒的な実力を持つ部隊長も、愛しい養子を人質に取られては投降せざるを得なかった。こうしてフェイトは二人の無事と引き換えに、自らを悪魔の手に委ねる事を決意したのだ。
(キャロ……エリオ……!)
 二人に対するフェイトの想いは特別だ。母の愛に飢え孤独な幼年期を過ごした彼女は、同じ境遇の二人に並々ならぬ愛情を抱いている。母性愛溢れる美女は、愛する我が子のためなら、己の身を犠牲にする事など少しも厭わなかった。
「ああ、あの二人か……安心したまえ。確かになかなか面白そうな素材ではあるが、君に比べれば路傍の石にも等しいよ。君の全てをわたし自らの手で調べつくすまでは、意識の片隅に上る事さえないさ」
「そ、そうっ……っく! な、なら安心した……あ、ああっ!」
 ねっとりと粘りつくような執着心。こんな犯罪者の言葉など到底信用できないが、今のドクターには自分しか見えてないのは確かだ。
(そ、そうだ……だったら、わたしがこうして耐えていれば、こいつの注意は引き付けられる。そうすれば、二人は……!)
 少なくとも、その間に危害が及ぶ事はなくなる。そんな健気な想いが、限界まで追い詰められた義母を辛うじて支えているのだ。
「くぅううっ……キャロっ……はぁ、はぁ、ああっ! エ、エリオ……んくぅううううっ!」
 きつく歯を食いしばり、今も断続的に湧き上がる絶頂感を噛み殺す。快楽電流で飛びそうになる意識の中、愛する二人の笑顔を思い浮かべ、フェイトは必死で理性を保ち続けていた。家族のために己が身を捧げる慈母の姿は、痛々しいまでに健気で美しい。
「しかし興味深いな。わたしの計算ではもう表層理性は消し飛んでいるはずだったのだが……ククク! ただの人形に過ぎない君が、どうしてここまで強い魂を宿す事ができたのか。それを今から解き明かせるのだ……科学者として、技術者として心が震えるではないか!」
 そんな予期せぬ抵抗に、スカリエッティはひどく満悦な様子だった。狂った探究心を満たすため、虜囚への責めをさらに強めていく。
「その為にも、まずは正しいデータを取り直さねば……君の快楽への抵抗力はわたしの予想を遥かに越えているらしい。ならば、実験強度を限界まで強めるしかあるまい」
 どう見ても限界を越えているのに、まだ飽き足らない。当然の事とでも言わんばかりに、科学者は恐ろしい予定をさらりと言ってのけた。
「では、まずは快楽電流を少々強くするとしよう。壊れずに踏ん張ってくれたまえよ……フハハハハッ!」
(なっ……そ、そんな? 電気……これ以上強くするなんて……!?)
 スピーカー越しに伝えられた実験内容に、フェイトは思わず絶句した。コードからの電流は確かに微細ではあるが、神経に直接流し込まれる快楽は想像を絶している。今も官能中枢は高ぶりっぱなしで、充血しきった乳首は断続的にイキ続けているのだ。太もももうなじも甘く痺れ、どこもかしこも気持ちよすぎて限界を超えている。
 なのにも、これ以上たくさんの快楽電流を流されてしまったら――もっと、気持ちよくされてしまったら……!
(っく……ダ、ダメだ。弱気になるな……わたしは、絶対に負けられないんだ……!)
 更なる淫虐に怯える自分を、必死で鼓舞する。だが新たに与えられた刺激は、そんな健気な決意など一気に消し飛ばすほどのものだった。
「さぁ、いくぞ……パルス出力を一気に最大まで上げる!」
「な、あ!? うああ……あッあああああぁぁァ――――――ッ!」
 首筋、太もも。乳房。乳首。無数に突き刺さっている針が青白く光る。全てのワイヤーから送り込まれる電荷が一気に高まり――
 ビリッ、バチバチバチバチィ!
「ひきっ……イっきゃあああああぁあああぁァァァァ――!」
 凄まじい衝撃。拘束された肢体が、壊れたように跳ねまわる。
「ひィッ! ひぃいいい……んきぃぃいぃいいィィッ! こ、こんな……ああぁおおおおおおおっ! こ、これ強すぎ……ひぎいいぃいい、いっぎぃぃいぃいィィッィイ――――ッ!」
 駆け巡る電撃に、金髪を振り乱し悶絶する被虐のサンプル。少々強くする、などと言うレベルではない。これまでの数倍、いや数十倍もの電荷――まるで稲妻の槍に刺し貫かれたかのような衝撃が、神経に直接叩き込まれたのだ。その快感と来たら、破滅的だった。
「フフフッ! どうかねフェイト・テスタロッサ? 限界なら早めに言ってくれたまえよ、壊れてもらっても困るからな!」
「うあっ! が! あがああああああぁぁあッ! こ、こんなっ……あがあぁぁぁ、ひっぎぃいぃぃいぃぃいぃぃィィ――――!」
 もう、ろくに声も出せなかった。四肢を痙攣させ、舌を突き出し悶絶する女虜囚。白目をむいた表情からは、正気さえ消えかけていた。
(こ、これっ……っぐぅううう! い、いきなりこんなに強くッ……ダ、ダメ。こんなっ……身体が……こ、壊れてしまう……!)
 神経が焼ききれる。意識が掻き消える。あまりのショックに意識が飛びまくり、思考を保つ事さえできなかった。
「うあぁっ……あっ! あっ! あぎィ……あっひああああァ―!」
 今までの掻痒感とはまるで別次元の痛悦。苛烈な苦痛を伴う快楽電流が、全神経に直接叩き込まれる。気が狂いそうなほどの痛みに、フェイトは長髪を振り乱して悶え狂った。
 そして倍増したのは、当然苦痛だけではない。出力増加に伴い、淫らな効果も数十倍に跳ね上がっていた。
「ひあああぁぁ……あ! あ!? な、なにこれ……んふぅううう、あぁぁっあっああぁぁっ〜!?」
 ビク、ビクビクビク! 電荷による痺れではない、もっと甘美で逆らいがたい衝動が体の内側から沸き起こる。耐え切れず、喉を仰け反らせ悩ましい強制を上げる女虜囚。身体中から滝のように汗が噴き出し、バイブを咥えこんだ秘唇は狂ったように咀嚼を早めていた。
(あ、熱い……。溶けそうなぐらい……甘くて、熱いィッ……!)
 もうこれ以上はないと思っていた。催淫魔力で直接発情させられた肉体は、常にイキっぱなしなぐらいだったのだ。これ以上敏感になってしまう事なんて、絶対ないと思っていたのに――
「うああっ……あ、あひゃあぁぁぁぁぁあぁッ!? か、感じるッ……ひあぁぁだめ、だめぇっ! からだおかしいっ……こんな、こんなに感じやすすぎるなんて……ぇっへぇえぇ〜!」
 高ぶっていく。限界を超えて、どんどん、どんどん高ぶっていく。
 出力を増した催淫魔力に犯され、何倍にも、いや何十倍にも感度が増している。その敏感さと来たら、服の衣擦れだけでもイキそうになってしまうほどだった。
「フ、フフフフ! そうかそうか、それほど感じるかね! だがまだ意識が消滅するほどではないようだね……それでは、実験強度を次の段階まで進ませてもらおうか」
「な、なあぁぁっ……ひゃひぃい!? そんなっ……あふ、あふぅううっ! こ、これ以上なにをする気なんだ……あ、あっああぁぁ!?」
 怖いぐらいに敏感すぎる発情ボディに、物言わぬ機械が新たな責めを追加する。手術椅子の側面が展開し、無数のメカアームが出現した。複数の間接を持ったマニピュレーターが微細な振動を繰り返し、ミミズのように蠢いている。触手じみたその動きは、酷く淫猥だった。
「うああぁあっ……あ。こんなもので……い、一体何を……」
「内部からの責めだけでは不足のようなのだね。外的刺激も加えさせてもらうよ。わたし自慢の愛撫プログラムだ、楽しんでくれたまえ!」
「な、なあぁ……あひゃあああぁぁぁっ!?」
 いやらしく蠢くメカアームが、被虐の検体に肉薄する。機械触手が狙うのは、高ぶりきっている身体の中でも特に敏感な部分だった。
 両手を後頭部で束縛されたせいで無防備に晒されている腋窩へ、蠕動するマニピュレーターが無数に肉薄し――
「そ、そんなっ……そんな場所なんて。イヤだ、わ、脇なんて……あっあひゃあああぁぁぁ――!?」
 ヴ、ヴヴヴヴヴヴ! 猛烈なバイヴレーションを伴う指先が、美女の脇を容赦なく擽り責める。
「ふあおっ! あひゃぁ、ひゃひぃぃぃいんっ! そ、そんな場所……いやぁ、わ、脇なんて……んひっ、んっひぃぃぃぃい――!」
 神経の密集した腋窩は、ただでさえ擽られる刺激に酷く弱い。その上、今は催淫魔力に蝕まれ何十倍にも感度を増してしまっているのだ。
 そんな脆すぎる急所を、機械の指先にしつこくしつこく擽られる。触手じみてフレキシブルに動く指先は、服の上からでも的確に腋窩を探り当ててきた。微細なバイブレーションが更なる掻痒感を掻き立て、気が狂いそうなほどの切なさが両脇で同時に炸裂する。
「あひゃああぁひぃ、っくっくひああぁぁぁぁぁ! そんなっ……っくふ、くふぅぅううん! ひあぁぁそこダメッ、そ、そこ感じすぎるのに……うああぁぁ、いっいひぃぃいぃい〜ンッ!」
 脆すぎる急所を容赦なく苛め抜かれ、たまらないムズ痒さに苛まされる。イヤイヤと金髪を振り乱し身悶えるフェイトだったが、両手を頭上で組まされた屈服ポーズでは急所を隠す事さえできなかった。
(うああぁっ……か、感じるっ! く、くすぐったくて、それが気持ちよくって……こ、こんな。こんなのに、感じているなんて……!)
 ゾクゾクするほどの快美感に、喉を仰け反らせ感じ入る被虐のサンプル。その間にも快楽パルスを休む事なく流され続け、汗まみれの肢体は断続的な痙攣を続けている。くねくねと左右に悶え揺れる細腰にも、左右から二対の陵辱アームが宛がわれた。
(うああ……そ、そんな。まさか……こ、こんなところまで……)
 ゾクリ、と被虐の予感が駆け抜ける。怯えたように揺れる柳腰を、左右からマシンアームが抱え込んだ。いやらしく蠢く鉄指が、ぎゅっとわき腹に食い込まされる。
「フフフフ! 腋窩に横腹……人体の中でもっとも刺激に弱い部分だ。そこだけを徹底的に責めてやろう……堪能してくれたまえ!」
「そ、そんな……ダメだ。これ以上、こ、こんなところばかり……!」
 腋窩に勝るとも劣らない敏感な部分。振動を繰り返すマニピュレーターが、きつく腹肉を掴み上げ――ヴ、ヴヴヴヴヴヴヴ!
「はぁ、はぁ、はあぁ……あっはああぁぁあぁン――――ッ!」
 どうしようもなく刺激に弱い弱点に対し、苛烈極まるマッサージ。揉まれ抓られこね回され、擽られて可愛がられる。触手じみた変幻自在な愛撫に、欲情しきった肉体が耐えられるはずがなかった。
「ふああぁぁ……あひぃ、あひぃぃいぃぃいイッ! お、おなかぁ……んひゃあぁくすぐったひ……んひぃい、いっひぃいィ〜!」
 耐え難いムズ痒さと切なさ、そして心地よさ。鋭敏すぎる部分を巧みな指使いで揉み回され、気が狂いそうなほどの快感が炸裂する。
「はひぃいい、イひっ! ンひぃぃいぃッ! わ、脇も擽られッ……んひぃいい激しッ……ふああぁぁだめ、これ、これだめぇぇッ!」
 快楽電流で鋭敏さを増した肉体に対し、無数のメカアームによる擽り責め。苦痛など僅かにもない。感じやすい部分のみを可愛がられるフェティッシュな快感に、フェイトは涎を拭き零しよがり狂った。
(くぅう……ダ、ダメだ! こんな……こんなの続けられたら……わたし、もう、もう……!)
 狂う――感じすぎて狂ってしまう。
 必死に身体をよじって機械の擽りから逃れようとするフェイトだったが、陵辱アームはあくまで正確に感じる場所のみを責め続けてきた。
「ひぃぃっ……わ、脇……脇ばっかそんな……あ、あぁぁンッ! お、お腹もらめぇ……ひあぁぁぁもうやめっ、あふああぁ――――!」
 狂科学者のプログラムは、あまりに的確で、そして執拗だった。機械ならではの精密な動作で、一番感じやすい弱点を、一番感じやすい方法で愛撫してくるのだ。身じろげばそれにあわせて位置を微調整し、電気ショックの痙攣までを計算に入れて動いてくる。
「こんなぁっ……うああぁ、あっひゃひゃはあぁぁンッ! そんなっ、そんな変なとこばっか擽って……いやああぁ、ひゃふぅうううッ!」
 汗で蒸れた腋窩をスーツ越しに揉み捏ねられ、柔らかなわき腹にメリメリとアームを突き入れられて擽られれ――あまりの心地よさに、抵抗を意識する事さえ許されない。バイブで責め続けられている秘所からは、常に粘っこい本気汁が噴き出し続けていた。
(こ、こんな……あぁぁっ! こ、こんな恥ずかしい場所でこんなにも感じさせられるなんて……それもっ……き、機械なんかに……!)
 脇やお腹といったフェティッシュな部分で、器具相手に悶えている――実験素材として扱われながら悦びに溺れている敗北感に、高潔なプライドが軋みを上げる。だが極限まで高ぶらされた心身は、そんな羞恥心にさえ快感を煽られてしまっていた。マゾヒスティックな悦びがゾクゾクと駆け抜け、意識が蕩けそうになってしまう。
「ひああぁ……だ、だめっ……だめぇぇっ! こ、こんな……このままじゃ……わたし、ま、またあぁぁ……!」
 思考と裏腹に意識が溶け、またしても恥辱の高みへと昇っていく。ヴヴヴヴ、と無慈悲なバイブレーションにGスポットを抉られると同時、腋窩とわき腹をグリッと強く刺激され――
「ヒッ……イ、イクッ! いやだっ……こ、こんな場所なんかで……いやぁぁぁぁ、わ、脇でイっちゃうなんて……あひゃああぁぁ、イイイィっひぃぃいぃい〜!!」
 ぶしゃ、ぶしゃあああああああ! すでに恥汁まみれの秘裂から、一際激しい勢いで絶頂蜜が潮を噴く。擽られ続ける細腰をくねくねと揺すり、腰を突き出してイキ狂う恥辱の魔導師。汗と涙に濡れたイキは、見るもあさましく蕩けきっていた。
(はぁ、はぁ、はあぁ……っや。いやだっ……こ、こんな……っ。こんなので……こんなものに、またイカされたなんて……!)
 覚めやらぬ絶頂の余韻に感じ入りながら、ふるふると小顔を奮わせる金髪美女。性感帯として意識した事さえないフェティッシュな部分でイカされて、たまらない敗北感に打ちのめされた。悔しさと恥ずかしさに、端正な美貌は真っ赤に染まってしまっている。
「ほほう? 擽りで達してしまったのがそれほど堪えたかね。なるほど難儀なものだな、人間として完全すぎるがゆえに心理的な責めも有効か。その点では人造生命に自我や精神など必要ないのかもしれんが……今はその命題よりも、その欠点への耐久実験を行うべきだな」
 紅潮したイキ顔を晒す実験素体に、新たな責めが追加される。
 滴る愛液でヌルヌルになってしまっている両足を束縛しているメカアームが、グッと左右に展開した。タイツに包まれた太ももが引き離され、大きく左右に広げられていく。結果、手術台に磔られたフェイトは恥辱のM字開脚ポーズを強制されてしまう。
「あぁ……い、いやっ! やめろっ……こ、こんな格好……!」
 はしたなく股を開いた、大開脚の恥辱ポーズ。タイトスカートがめくれ、バイブで盛り上がった股布までが丸見えになってしまう。あまりの屈辱に、形のいい耳朶までがカァッと真っ赤に染まるった。
(い、いやっ……こんな。恥ずかしすぎる……く、屈辱だ……!)
 両手を後頭部で組まされ、無防備に脇下を晒された上、大きく股を裂かれて秘所まで丸見せの恥ずかしすぎるM字開脚。これ以上ない完全屈服の姿を強制され、気高い矜持が恥辱に震えた。
「いい格好になったじゃないかフェイト・テスタロッサ。いつも凛々しかった君とはまるで別人のような艶かしさだ……フハハハハ!」
「くうぅう……い、言うな……ああぁ、んっ! み、見るな……こんな屈辱的な格好……あはあぁぁ、んふぅぅううぅっ!」
 カメラ越しに邪な視線を感じ、いっそうの羞恥芯に苛まされる。今も催淫電撃でしびれっぱなしの肉体は、そんな視姦にさえ感じてゾクゾクと官能を増すばかり。せめてもの拒絶の言葉も、快楽の喘ぎにどうしようもなく濡れてしまっていた。
 そして、恥辱の姿勢がもたらすのは心理的なダメージだけではない。大きく股を開かされたせいで秘穴もグッとくつろげられ、愛液でヌメる蜜穴は極太バイブをさらに奥深くにまで招き入れてしまっていた。
「うあ……あ、ああっ!? ダメッ……そ、そんな。深いィッ……バ、バイブがっ……ああぁ、ふ、深くまで入ってくる……ぅっ!」
 グッと左右に拡張された蜜穴も一瞬にしてパンパンにされ、たまらない圧迫感に満たされた。勃起亀頭そのものの先端部が奥深くにまで滑り込み、固く冷たい先端部がゴツンゴツンと子宮口にぶつかる。
「くふぅ……あ、ああぁあっ! ふ、深すぎぃ……んぐぅううう! あ、当たってる……こんなっ、お、奥まで……んおぉおおお〜!」
 ヴ、ヴヴヴヴヴ! 無感情な振動に、絶頂直後の子宮口を休む間もなく嘗め回された。零れたばかりの愛液をローション代わりに、ダイナミックな動きでお腹の中を掻き回される。はしたなく開かされた股間部から、ぐちゃぐちゃと淫らな蜜音が溢れ出して止まらなかった。
 挿入深度を深めながらも、急所を狙う的確さはそのままだった。位置変更に応じて微細に振動が調整され、堅いイボは常にGスポット近辺に位置するように調整される。結果、膣への快楽は深さを増しながら、Gスポット責めの甘美さはまったく緩まっていないのだ。
「はあぁぁうっ……ま、また……ンくぅうぅうッ! あ、当たってるぅ……か、感じやすすぎるトコばかり……イィィイィッ!」
 相性抜群の特製バイブに弱点だけを執拗に可愛がられ、フェイトは金髪を振り乱し悶えまくった。イキっぱなしで怖いぐらいに感じやすくなっている場所を、愛液のヌメリを纏った器具に休む間もなく可愛がられる。ねばっこい愛汁がローション代わりになり、ただでさえ甘美すぎた膣悦がいっそう甘さを増す。あまりの快感に、気丈だった表情ももはやメロメロに蕩けきってしまっていた。
 恥辱のポーズへ移行させられた後も、フェティッシュな擽り責めはその激しさを減じていない。快楽電流で強制的に欲情させられ、とめどなく溢れる汗で蒸れきった腋窩を、これでもかという執念深さで擽られまくる。バイブ責めで断続的に跳ね上がる細腰も、常に左右から揉み捏ねられ逃がしてもらえなかった。
「んあぁ、し、しつこいっ……くひゃあぁ、んくふぅうう! イヤッ……は、恥ずかしいトコばっか、そ、そんなにしつこく……ひああぁぁわき、わ、脇ッムズムズしすぎて……はぁ、いっひぃぃい〜!」
 強制発情と執拗な愛撫により、フェイトの腋窩はもはや鋭敏な性感帯へと開発させられてしまっていた。擽られるムズ痒さは至上の悦楽へと倒錯し、気丈な執務官の抵抗力を溶かしていく。
(ああぁっ……ダ、ダメ。このままじゃ、わたし、わたし……!)
 ゾクゾクと、マゾヒスティックな予感が駆け抜ける。芽生えた弱気は肉体の抵抗力をいっそう減じさせ、子宮奥まで食い込まされたバイブの振動に抗えなくなっていく。無数の鉄イボにGスポットをコリコリと刺激され、野太い亀頭に子宮口を小突かれれば、もう――!
「ああぁうっ……ダ、ダメだぁ……だめ、らめぇぇぇ! こんなのらめぇ……こんなの続けられたら、わたひっ、ま、またイ……!」
 ビク、ビクビクビク! 蒸れた腋窩を見せ付けるように両腕が痙攣し、大股開きの恥部がクィクィッと突き出される。
「イク……イク、イクイクイクイクゥ! こんなのれイク……わたひっ、ま、また機械なんかにイカされひゃってるふぅぅぅうう〜!!」
 恥知らずなイキ声をあげ、またしても快楽の彼方へと飛ばされる金髪美女。ぶしゃああああ、と恥知らずな音を立て、大量の愛蜜がタイツを染みて潮を噴いた。
「あひゃあぁぁ……い、いやぁ……あ。また……は、はひぃいい……ぃっ。こ、こんらろにイカされへぇ……んふ、んぅううう……!」
 完全屈服の屈辱ポーズのまま、恥辱の悦びに感じ入る敗北の魔導師。イカされすぎで思考が消し飛び、もう呂律さえ回らない。M字に開かれた両足は、絶頂の余韻にいつまでも太ももを戦慄かせていた。
「ほう、ようやく言語野にまで影響が現れてきたか? 随分可愛い声をあげるようになったじゃないか。そんな恥ずかしい格好のまま、あさましく舌を突き出したイキ顔も魅力的だよ……クク、ハハハハ!」
「くふぁうう……や、いひぁぁ……あ。い、言うにゃぁ……ンッ! こ、こんら屈辱ぅ……んみゅんんんぅっ!}
 悔しげに唇をかみ締め、拒絶の言葉を吐く絶頂美女。涙に濡れた赤い瞳は、怒りと屈辱に鋭く釣り上っている。だがイキっぱなしのままではろくに舌も回らず、余計に惨めさを煽られてしまう。
(くぅうっ……く、悔しい! こんな男に好きなようにされて……!)
 屈辱に震える強気な執務官だったが、もう身体が言う事を聞いてくれない。絶頂漬けの虜囚にできる抵抗は、せいぜい唇をかみ締めて声を漏らさないようにする事だけだった。
「ほう、まだそのような表情が出来るのか……素晴らしいな、流石はF計画の残滓だ。休憩は必要ないな、すぐ次の実験へ進むとしよう」
「はぁ、はぁ、はぁ……っく、うあ……あ?」
 新たな淫虐に身構えるフェイトだったが、待っていたのは彼女の予想とはまったく逆の展開だった。もう一日もフル稼働を続けていた快楽電流がストップし、四肢を縛めていた作業用アームが離れていく。しつこく腋窩とわき腹を擽っていたマニピュレーターも、名残惜しそうに引っ込んでいった。
「はぁ、はぁ、はあぁ……んんんぅっ! うあ……っく、っくうう!」
 最後まで振動を続けていたバイブも、ついに動きを止めた。それでも全身に残る快楽の余波は耐えがたく、気を抜けばすぐにでも達してしまいそうになる。だがフェイトは必死にそれらの誘惑を断ち切り、自由になった四肢でなんとかベッドから立ち上がった。
(今さら何のつもりだ……今度は、一体何をする気なんだ……!)
 責めから開放されても、僅かにも気は休まらない。当然だ。フェイト自身、最初からわかっていたのだ。これは陵辱の終わりを意味するのではなく、新たな淫獄への狼煙に過ぎないのだと。
(で、でも……。それでも、わたしは……!)
 諦める訳にはいかない。ほんの僅かなチャンスにでも賭けるしかない。不安を押し隠し、フェイトはまずは今も自分を苛む器具を引き剥がしにかかった。深々と肌に食い込んでいるコードを掴み、力任せに引っこ抜く。
「んふうぅう……うあ、あっ! あひああぁ……ああっ!」
 ズルッ、ヌプッ! 抜ける際にもささくれ立った神経束を刺激され、たまらず甘い声が漏れてしまう。特に鋭敏な乳腺にかかる負荷は強烈で、抜ける際に両乳首で軽く達してしまうほどだった。
「ひっ……イ、イッ! くふぁあ……ま、またイった……で、でも。ま、まだ……ぁ!」
 倒れこみそうになってしまう身体を、必死で内股になって支え抜く。ガクガクと震える両足の間、愛液で濡れに濡れきったパンストの中へ手を差し込むと、もっとも深刻な責め具を引き抜こうとする。
「くふぅうう……ふ、ふとぉ……んっくぅ! はぁ、こ、こんなに深くまでめり込んでたなんて……んおおお、お、おああぁ……あ!」
 奥深くまでガッチリと食い込んだ特製バイブは、簡単には抜けてくれなかった。それでも、こんなモノを挿入されたままではろくな抵抗などできるはずもない。まるで分娩するように下腹を力ませ、フェイトは機械根をなんとか吐き出していく。
「は、はあ、あ……っ! ぬ、抜けろ……んおお、お、おおっ! あぁ、で、出てきた……も、もう少しぃ……ん、んっくうぅうう〜!」
 ぬぷっ……ずる、ずるずるずる。愛液のヌメリを借り、なんとか巨大な質量を排出する。快楽振動でたっぷりと解された膣襞が逆方向に擦られ、べろんべろんと性粘膜が引きずり出される。再びGスポットを機械イボに抉られて、またしても意識が飛びかけた。
「くひぁぁ、ま、またイキそう……はひぃい、イ、イッ! ダ、ダメだ……こ、ここでイっちゃダメ……んううう、い、一気に出さないとぉ……んおおお、おっおおぉぉお〜!」
 しなやかな腹筋が、子供を生み出すのと同じ動きで波を打つる。歯を食いしばって絶頂をこらえ、恥辱の出産を続ける淫辱の隷母。グボッツ、と巨大な質量を排出する爽快感に、意識が蕩け――
「ダ、ダメッ……イ、イクッ! 耐えられない……わ、わたしまたイク……んおおお、ふ、ふといの出しながら……イっくぅうぅう〜!!」
 ぶしゃ、ぶしゃあああああ! 耐え切れず迎えてしまった絶頂とともに、大量の愛液が潮を噴く。恥知らずな噴出の勢いを借りて、巨大すぎる質量がようやく排出された。
「ひはぁぁ……あ、ああぁぁっ! や、やっと抜けたぁ……あ、あっあああぁぁンッ! はひぁあぁ……あ、あ、ああ……」
 甘美な絶頂感と、お腹の中を開放された爽快感。そして相性抜群の器具を吐き出してしまった一抹の寂寞感とに、フェイトはその場に尻餅をついて感じ入った。清楚な美貌はうっとりと蕩け、はぁはぁと甘い息が漏れ出して止まらない。
「ほほう? ガジェットドローンに手伝わせてやるつもりだったのだが、自分で処理してしまったか……これは予想以上だ。フフフ、ならばこれからの実験も手加減は必要ないな」
 満足げな哄笑とともに、実験室の扉が開く。暗闇の奥から、何かがズルズルと音を立てながら這い出してきた。
「な……なぁっ!? なんだ、こいつは……っ!」
 新たな闖入者の姿に、フェイトは絶頂の余韻も忘れて悲鳴を上げた。
 現れたのは、これまで見た事もない異形の魔法生物だった。
いや、果たしてこれが生物と言えるのか。目も鼻も口もなく、赤黒い肉触手が固まり合って一つの群体を為している。塊状の腐肉は不定形に変形を繰り返し、ぶよぶよと流動しながら肥大化を続けていた。白濁した肉汁を滴らせて床を這いまわるその姿は、さながら腐肉で構成されたスライムを思わせる。
(な、なんておぞましい姿なの……)
 見るだけでも吐き気を催す、あまりに不快な肉の塊。内臓じみた本体はからは、腸管のような触手が何本も伸縮を繰り返していた。管の先端は男根じみて膨張し、濃厚な白濁をねっとりと零している。
「グルルルルッ……キシャアアアァ……!」
 生理的嫌悪を催させる肉怪物が、ぶよぶよと脈を打ちながらゆっくりと迫ってくる。触覚器官でもあるのか、無数の触手はフェイトの存在を感知し一斉に鎌首をもたげていた。
「どうかね、醜いだろう? それはわたしが創造した人造生命体さ。知性は失われたが、生命力と体力は逸品。生体兵器としては優秀な作品だ。これから、君にはこいつと全力で戦闘してもらうよフェイト・テスタロッサ。もしわたしの予想を覆す結果を示す事が出来れば、二人の部下は解放してやろう。まぁ、99%不可能だろうがね!」
「ふ、ふん……っ。相変わらずの自己顕示欲ねドクタ―……」
(結果など、わかっているくせに……!)
 当然だ。この怪物からは確かにそれなりの魔力は感じるが、Sランク魔導師であるフェイトにとっては敵ではない。
 ただし、それは彼女が普段どおりのコンディションならば、だ。
(やっぱり……力が出ない。まるで身体が言う事を聞かない……それにAMF濃度も濃い。これでは、魔法もろくに使えないな……)
 じわじわと接近するアメーバと距離をとりながら、冷静に状況を分析する。この実験室内には強力な対魔法結界が張られており、フェイトの用いるミッドチルダ式魔法はその効果を大幅に減じてしまうのだ。
そして機械の責めから開放されたとは言え、短時間のうちに何十回と絶頂を極めさせれた心身はとうに限界を超えている。もう、こうして立っているだけでも精一杯なのだ。
 今のフェイトには、もはや常人以下の力しか残されていなかった。
(せめて変身できれば……バルディッシュがいれば……!)
 詮無き事とは言え、そう思わざるを得ない。
 金髪の魔導師にとって最大のパートナーでもあるインテリジェントデバイス『閃光の戦斧』バルディッシュアサルト。数多の戦いをともに潜り抜けた愛杖の力を借り、戦闘フォームへと変身する事ができれば、いかなる相手も敵ではない。この程度のAMF効果などものともせず、エースの二つ名に恥じぬ力を奮う自身があった。
 だが、変身デバイスは今フェイトの手にはない。投降時にバルディッシュは奪われ、今の分隊長は丸腰の状態なのだ。
(このまま戦うのは正直厳しい……いや、勝機はないか。でも……!)
 愛する二人の部下のためにも、諦める訳にはいかない。小さく頭を振り気合を入れなおすと、フェイトは迫り来る生体兵器に相対した。
(エリオ、キャロ。わたし、頑張るからね……!)
 赤い瞳が、鋭く輝く。限界まで追い詰められながら愛する我が子のために一歩も退かない美母の姿は、あまりに健気で凛々しかった。
「フフフ、戦意は十分のようだな。いいぞ、わたしが興味があるのは本当の君の力だからな……そう。本当の、ね」
 そんな姿をモニター越しに認め、スカリエッティは不敵な笑いを零した。同時に実験室の壁が展開し、一本のアームが虜囚の下まで伸びていく。機械の指には、輝く金のペンダントが握られていた。
「ほら、受け取りたまえ。そして君の真の力を見せてくれ!」
「! これは……バルディッシュ!?」
 差し出されたアクセサリを両手で受け取り、フェイトは驚きの声を上げた。見間違うはずもない。中心に赤いクリスタルが埋め込まれた三角形のペンダント。それこそはフェイトの無二のパートナー、バルディッシュアサルトのスタンバイモードに他ならなかった。
「バルディッシュ……大丈夫なの!?」
『Y…Y、Yes、 S、 S…Sir』
 主に応える機械音声には、ひどいノイズが混じっていた。バルディッシュは寡黙だが明晰なデバイスだ、こんな事はありえない。外傷は見当たらないが、どうやら内部器官に酷いダメージを被っているようだった。
「バ、バルディッシュ……ああ、なんて事を……!」
 変わり果てたパートナーに、心優しきマスターは悲痛な声を絞り出した。愛杖をぎゅっと握り締めると、悲憤を込めた瞳で見えざる敵を睨みつける。
「ドクター……スカリエッティ! バルディッシュに何をしたの!?」
「フフフ! たかが道具に何を熱くなっているのかね? 少し調べさせて貰っただけだよ……確かに悪くない性能のデバイスだが、君に比べれば何と言うこともない汎骨だった。だが……」
 真摯な怒りを涼しげに受け流し、ドクターは続ける。
「これが君の真なる魔力を発揮するための触媒だというのは紛れもない事実。ならば今は正確なデータを採取するために君に返却するよ。さぁ、わたしに真の姿を見せてみろフェイト・テスタロッサ!」
「……やっぱり、あなたは何もわかっていないのねドクター」
 一人悦に入るスカリエッティに対し、フェイトは小さな声で呟いた。
「魔導師とインテリジェントデバイスの……わたしとバルディッシュの関係を、あなたは何も理解していない!」
 ぎゅ、とペンダントを強く握り締める。主の想いに、バルディッシュも応えてくれた。
「バルディッシュ……大丈夫? いける?」
『Y……Yse Sir!』
 どんな酷い実験をされたのかわからない。感じる魔力波動は、普段より幾分心もとない。それでも、バルディッシュは応えてくれた。
(ありがとう……バルディッシュ……!)
 主のために、常に全力で尽くしてくれる。このパートナーとさえ一緒なら――どんな敵にも、負ける気などしない!
「いくよ……バルディッシュ! わたしたちの力を、あの男に見せ付けてやるんだ!」
 小さなペンダントを握り締め、高く掲げる。
 稜々たる声で、フェイトは叫んだ。
「バルディッシュアサルト……セットア――ップ!」
『Set up!』
 赤いクリスタルから、稲妻のごとき魔力が吹き荒れる。開放された魔力は荘厳なる黄金の力場を作り出し、その中で主の姿を変えていく。
「あ……んぅっ!」
 多量の汗を吸っていた軍服が、稲光に飲まれ消滅する。ぐっしょりと濡れた衣服から開放された爽快感に、フェイトは小さく喘ぎ身悶えた。変色するほどに愛液を染みさせていたパンストも掻き消え、セクシーな黒いランジェリーも消滅する。
 すべての衣装から解き放たれ、一糸纏わぬ裸体が露となる。均整の取れた肢体は抜群のスタイルを誇り、すらっと伸びた脚線美などモデル顔負けの流麗さだ。黄金色の魔力に輝く見事な肢体は、まるで女神のように神々しかった。
 だがそんな完璧な裸体は、今も情欲の残滓に苛まされていた。機械姦による強制発情は未だ冷めず、珠の美肌は悩ましく紅潮してしまっている。剥き出しの乳房は小さな先っちょを充血させ、ビンビンに勃起した乳首を恥知らずに見せ付けていた。綺麗な腋からは蒸れきった汗の匂いがムンムンと立ち昇り、発情した体臭がどうしようもなく鼻をつく。剥き出しの秘唇は断続的に痙攣を繰り返し、今も零れ続ける濃厚な愛蜜でべっとりと太ももを濡らしていた。
(っ……わ、わかっていたけど、こんなに濡れていたなんて……)
 未だ発情を振り切れない己の身体の浅ましさに、プライド高い美女はぽっと顔を赤らめ恥じ入った。限界まで追い詰められた肉体はそんな廉恥にまで感じ入り、新たな恥蜜を零してしまっていた。
(……でも、それもここまでだ!)
 赤い瞳に、キッと鋭い光が灯る。一糸纏わぬ裸体を誇らしげに輝かせ、デバイスを振りかざすフェイト。指先から離れたペンダントは分子レベルで分解され、魔力的に再構成される。バルディッシュは異名の通り巨大な戦斧の姿をとり、主である魔導師もそれを振るうに相応しい姿へと『変身』していく。
「ん……っ!」
 駆け抜ける魔力の波動に、フェイトは小さく目を瞑り息を吐いた。稲光を浴びキラキラと輝く金髪は、黒いリボンで二束のロングテールに纏められる。風を孕みしなやかにたなびくツインテールは、凛々しい美貌に抜群に似合っていた。
 戒めから解かれた魅惑の裸体を、新たな衣が包んでいく。莫大な魔力が乙女の身体を覆い、稲妻の粒子が美しきコスチュームを精製した。戦闘用バリアジャケットが、変身魔導師の身体を包み込む――
 だが。
『Emergency! Emergency!  Fatal Error……Byyyyyyy!』
「えっ!? ど、どうしたのバルディッシュ……きゃああああああ!」
 滞りなく進んでいた変身プロセスに、突如異変が生じた。沈着冷静なデバイスが今まで聞いた事もないような悲鳴を上げ、けたたましい警告音が響き渡る。変身のための力場が乱れ、魔力の波が四散した。
「ッ……い、いったい何が……バルディッシュ!?」
 力場からはじき出され、地面に転げ落ちる変身魔導師。床に落下したバルディッシュを拾い上げ、問いかける。
『S,Sorry Sir……Fatal Erro……………r』
「フ、フフフ……ハハハハハハハハ!」
 戦斧に備えられたクリスタルが、魔力の輝きを失う。機能停止したトデバイスに代わり、ドクターの狂った哄笑が響き渡った。
「思っていた通りだ……やはり君にはそのフォームがもっともよく似合う。可愛いよフェイト・テスタロッサ……フハハハハハハ!」
「な、何を言って……あああっ!?」
 その声に、フェイトはようやく己の姿を自認した。
(なっ……こ、このコスチュームは……!)

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