「あれ、こんな時間にどうしたの?」
キヨスクのおばさんが驚いたような顔で僕に話し掛けてきた。
「大阪に出張に行ってたんだ。つい、今さっき帰ってきた所」
「へえ、それは大変だねぇ」
朝食はいつもここでパンを買っている。
なので、このおばさんとは自然と顔見知りになってしまった。
「これとこれ頂戴……それとこれもね」
新聞と雑誌、ビールとつまみを買った。
「ああ、そうだっ!」
おばさんは何かを思い出したようにポンと手を合わすと、裏の棚から何かを持ってきた。
「試供品で貰ったんだけど、飲むかい?」
差し出してくれたのは滋養強壮剤だった。
「ガチムチドリンク……?」
ムキムキマッチョな男性のイラストが書かれており、いかにも効果ありそうな気がする。
と同時に、どこか怪しげな雰囲気が漂ってるのも事実だった。
「何やら凄く強力らしくてねぇ、夜の方もバッチグーだってさ」
「……あははは」
頬を赤らめて言うのは止めて欲しい……それとバッチグーって死語だから。
「ありがとう、寝る前にでも飲んでみるよ」
ふと、彼女の顔が脳裏に浮かんだ。
ここ数日、性行為をしてないせいか、思わず淫らな事を考えてしまった。
今週末のデートの時にでも使ってみるかな……。
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