あれから二日が過ぎた
幸い水や電気は止められていないので
今のところそれほど困ったことは起きていない
食料も外に行けばスーパーでも何でも
営業はしていないが品物は置いてある
こんな状況で泥棒も何もない
もらえるものはもらっておかないと
こっちは命がかかっているのだ
幸い、ゾンビは夜行性らしく
昼間はそれほど数がいない
もし遭遇しても、別に力が強くなっているわけでも
素早くなっているわけでもないので
それほど恐れるほどのものではない
普通の人間なら感染すればほぼ死ぬのだから
恐ろしい存在だろうが
俺にとっては
ただの
のろのろしたちょっと人に噛みつこうとしてくる女でしかない
俺のことを食料だとでも思っているのだろうか
さすがにゾンビだろうと女性を殴り飛ばす気にはなれないので
ホームセンターにあったスタンガンと
武器になりそうなものを
ありったけ持ってきて護身用に持っている
ゾンビは痛覚はないようだが
さすがに電気ショックを与えれば動けなくなるようだ
根本的な体の構造は変わっていないようなので
当たり前といえば当たり前か
そんなわけで
俺はゾンビの扱いにだいぶ慣れてきた

ニュースを見ると
この町のことがもちろん毎日のように放送されている
ゾンビになった人間の人権問題がどうのといって
封鎖以上のことはとりあえず出来ないようだ
映画か何かのように
ナパームか何かで焼き払われたらどうしようかと思ったが
とりあえずその心配もないらしい
数日後には
ゾンビのための食料を
空輸しようなどという話まで出ている
この分なら飢え死にすることもなさそうだ

当面の問題が解決され
とりあえずの余裕が生まれる
そうなると人間は現金なものでさらなる欲が生まれる
この場合は
当然、性欲だ
当初は混乱して何も感じていなかったが
外には若い女が
破けた服や時には半裸や全裸姿で歩き回っている
確かにゾンビのような状態では
いまいち気が乗らないが贅沢は言っていられない
それに今やこの街では
だれも俺の行動をとがめるようなものはいない
多少、ゾンビ相手に俺が何をしようと
たいした問題ではないだろう
どうせこの街からは出られないのだ
それならせいぜい、今を楽しむことにしよう

俺は愛用のスタンガンと鉄パイプ、バールのようなものを持って
外に出かけた


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