爆発事故が起きてから数時間後 街では騒ぎが起き始めた 研究所で細菌が保管されているなど知るよしもなかったが 街の人間が何人も倒れ初め さらに先に研究所の人間が感染していたのか ゾンビとなった研究員が街に現れたのだ そして一斉にパニックが起きた 原因はわからないが この街でゾンビ感染が起きているということに気付いたのだから当然だ しかも感染すればほぼ確実に死亡する恐るべき細菌である 我先にと皆、街から逃げだそうとしたが すでに街の周りは完全に封鎖されていた 研究所の人間が通報していたのか 恐るべき迅速さで自衛隊が包囲網を展開していたのだ それでもかまわず逃げ出そうとする人間は 容赦なく撃たれた 何しろ感染が広がれば確実に大惨事になる細菌だ 感染の可能性のある人間は誰一人として逃がすわけにはいかない それでなくとも自衛隊の本人ですら 感染者と接触すれば命を落としかねないのだ そこに慈悲など有りはしなかった もちろん俺自身も逃げ出したかったのだが 目の前で車で脱出しようとした奴が蜂の巣にされる光景を見れば そんな気も失せる せめてどこか安全な場所はないかと探し 結局は家のトイレに引きこもるという情けない状態に陥ったのだが どうやらやはり俺も感染していたらしく 急激に意識が遠のき、死を覚悟し 「トイレで死ぬなんてかっこわるいな」などと思いながら 気を失った・・・ だがしかし なぜか俺は目を覚ました 辺りはすっかり暗くなっていたが それでも間違いなく天国ではない俺の家だった まさかあれは夢だったのかと思い外に出てみると 街にはゾンビと死んでいるのか生きているのかわからない人間で溢れかえっていた あわてて家の中に戻り鍵を閉める 夢ではなかった 俺が感染していたのもほぼ間違いない ではなぜ俺は目を覚まし あまつさえ他の人間のようにゾンビにならなかったのか? そんなことが 俺程度の頭で考えてもわかるはずもない だが、昔どこかで聞いた話によると どんな菌やウィルスにも 先天性で抗体を持つ人間が必ずいるらしい もしかすると俺はその ゾンビ細菌に対する抗体を先天的に持っていた人間なのかもしれない だからといってどうなんだというのだ 例えそうであろうとそんなことは証明も何も出来ない そんなことをいって自衛隊に近づいても 射殺されるのが落ちだ 結局はこの街からは逃げられない ゾンビだらけのこの場所でどうにかやっていかないと行けないのだ ▼次へ |
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