「寺田さんどうも」
料亭、一投の料理長であるオーナーの天元が頭を垂れる。
左善は両親に、見合いはするから、せめて場所を選ばせてくれ!
ということで、寺田に言われた通り、この場所を選んだのだ。
天元には事前に話をつけており、すでに仲間たちも揃っていた。
伝説のナンパ師、剛、秋田の痴漢王、嶋田、
リストファッカー順の息子である神谷流星、
そして寺田、権ジイ、天元と左善のために集まってくれていた。
天元は皆を一室に案内した。
寺田たちは早速作戦会議を始める。
「まぁ、ジジイの作戦はきりたんぽなまはげの通り名を持つ、
嶋田になまはげに扮していきなり襲わせ、犯す。そして、犯される女と
結婚できるか!!って作戦だったんだが・・・まぁ、却下だな」
「なんでじゃぁ!!」
淡々と話す寺田に、発案者の権ジイがすかさず吠える。
「最悪嶋田はこの年齢で実刑になりかねん。
とりあえず、東京からこれが届いたぜ」
寺田は化粧品の瓶を取り出した。
しかし、明らかに中の液体の色は違うように見えた。
「あっ、寺田さん!それって拓さんの媚薬でしょ!!
スメルマスターの。3代目痴漢王だった寺田さんと共に、
四天王と呼ばれていた!!」
流星が目を輝かせて言う。最近はすっかり寺田をリスペクトし、
寺田が東京で3代目痴漢王として名を馳せていた時代の歴史も、
知識として吸収していたのであった。
寺田はニヤリと笑みをこぼし、応えた。
「なんじゃあ、ワシだって、初代痴漢王シェイクヒップと共に、
ダブルドラゴンと言われたもんじゃぞ!!
青眼の白龍、赤眼の黒龍と呼ばれてだな・・・」
(そいつは、遊戯王って奴じゃないか?
全く、最近じゃ何が本当か分からん年齢になってきたからな・・・)
寺田だけではなく、皆も権ジイの話は右から左に受け流し、話を進めた。
「犯す、というのは中々難しい話になると思う。
見合い、それに呉服屋ときたら着物になるだろう。
だから、これを使うって訳だ」
そう言って、寺田は拓から届いた媚薬を掲げて見せた。
「なるほど、外が駄目なら内からということですね」
嶋田がマジマジと媚薬を見ながら言う。
「そうだ。食事か飲み物に混ぜて飲ませる、
後はお香として炊いておいてもそれなりに効果は深まるな。
後は、少しずつ刺激を加えるような作戦をとれば、
たちまち相手は体が火照り、こっちのペースに持っていけると言う訳だ。
どうだ、左善?」
「もう全然文句ないですよー!!これでイキましょう。いや、イカせてやりましょう!!
これでお前みたいな淫乱女となんて、この由緒正しい呉服屋の10代目が結婚できるかいぃ!!
とね、突きつけてやりましょうぜ!!両親だってさすがに反対するでしょう」
当の本人である左善も、納得し、それぞれは詰めに入った。
そして、ついに見合い当日を向かえるのであった。