「会長!頼みます」
そう、会長である寺田にキッチリとした土下座を見せたのは、
雌豚教育委員会の会員である左善であった。
左善春馬、老舗の呉服屋の長男で、次期10代目である。
痴漢師としての通り名はゴム無し法市。
この方、ゴムをつけてSEXをしたことが無いのに、
妊娠させないという強者であることから、その通り名がついた。
その左善が何故、寺田にお願いをしているかというと・・・。
「俺、まだ結婚したくないんですよー。
まだ色んな女とSEXしたいんです!!」
と、そういうことであった。
聞くところによると、次期に10代目を継ぐというのに、
フラフラとして、自覚が無い、ということから、
親が見合いを勝手に決めていたのだという。
更に、その見合いには裏があり、実は政略結婚と言う事であった。
10代目と言えど、呉服屋は時代の流れと共に廃れてきている。
そこで、前々から合併を申し込んできていた会社の令嬢も独身ということで
相手方からも折り合いがついたらしいのであった。
「なるほどなぁ・・・。ま、そんなブサイクじゃないんならいいんじゃないの?」
寺田は面倒くさそうにそう答えた。
「そんなぁ〜。俺だって痴漢師ですけど、自分の意思で選んだ女と一緒になりたいですよ。
こんな時代に、親が決めた見合いで結婚なんて、ありえないです!!」
左善はもう泣き出しそうな勢いで、寺田に訴えた。
「そうだなぁ。ウチの師匠、シェイクヒップも自由恋愛を訴えてたんだよなぁ。
あの時代こそ、見合い!って時代だったのに、痴漢をすることで
その厳格な時代を変えた・・・。ここで見捨てたら、その師匠の信念を
曲げることになるか・・・。しょうがない、確かに親の横暴だからな。
いっちょやってやるか。こういうときくらいしか、あのジジイも役にたたんしな」
寺田は見かねて、この一件を受けることにした。
「ありがとうございます!!」
左善は更に深々と頭を下げ、寺田と共に寺田の家に向かった。
寺田家
「ただいま〜」
「お邪魔します」
「おお、武か。いまちょうど雅史と遊んでいたとこじゃ」
家に帰ると、ちょうど権ジイが孫である雅史をあやしている所であった。
「権ジイ、あんまり雅史に変なこと吹き込むなよ」
「雅史にも立派な痴漢師になってもらいたいんじゃがのぉ・・・。ん?客人か?」
しぶしぶ雅史を武に渡した権ジイは、やっと左善の存在に気づいた。
「ああ、そうそう。この人、会員の・・・」
「左善です。あのゴム無しの・・・」
「おぉ、そうか、お主があのゴム無し法市か。まぁ座りなさい」
寺田と左善は権ジイの前に座り、今回の顛末を話した。
いつもはやっかい者の権ジイだが、今回に関しては寺田も適任だと感じ、
わざわざ話をつけに来たのであった。
「なるほどの・・・。戦争と痴漢で数々の罠のかけ方は学んできたつもりじゃ。
ま、大船に乗った気でまかしとけ。武とワシが最高のシナリオを作成してやるわい!!」
「ありがとうございますぅー」
左善は深々と頭を下げた。
かくして、前代未聞のお見合い痴漢が始まろうとしていたのであった・・・。