第 三 章
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「フランちゃん、今日も美味しいケーキと紅茶を持って来たよ〜」
「わ〜い、美味しそう! 早く、早く〜!」
 男が食事を持って部屋に入ってくると、フランドールは顔に喜色を浮かべて目を輝かせる。
 調教を始めてからは彼女に食事を持ってくるのも彼の仕事になっていた。
 事の次第を多少歪めてメイド長に伝え、パチュリーの署名入りの契約書を見せると、渋々ながらもしばらくの間フランドールの世話を男がする事を認めた。とても恨めしそうに男の事を見ていたが、主の依頼ではどうする事も出来ない。
「そんなに焦らなくても食事は逃げたりしないよ。フランちゃんは本当にケーキが好きだねぇ」
「うん! だって美味しいもんっ」
「はいはいっと。――よし、それではどうぞ召し上がれ」
「いっただっきまーす!」
 テーブルの上にケーキと紅茶を用意すると、フランドールは石壁で囲まれた地下室には不似合いな豪奢な椅子に座って優雅に食事を始めた。マナーはしっかりと身に付けているようだ。
 男の事を嫌っているフランドールだが、食事の間だけはそんな様子を微塵も感じさせない。
 単純に食事の場に人が居ることが嬉しいのだ。例えそれが自分に辱めを与える男であっても。
 男の調教が始まるまでは食事の用意と片付けこそされるものの、食事中は常に一人だったらしい。
「美味しいかい?」
「うんっ、すっごく美味しいよ〜」
「そうかい、それは良かったねぇ」
 屈託のない笑顔を見せる少女に、男も自然と微笑み返す。
 本当に美味しそうにケーキを食べるフランドール。
 傍から見ると少女がおやつの時間を楽しんでいるように見えるが、その実体は違う。
 これは食事だ。
 見た目は小さな女の子の姿をしているが、この子は吸血鬼なのだ。飲んでいる紅茶は人間の血液で、食べているケーキは人の肉で作られた何かだ。外見は完全にケーキなのだが、臭いが違う。
 その事実を知る男は自分が本当に危うい綱渡りをしている恐怖を感じながらも、その緊張感を楽しんでいる自分が居る事もまた感じるのだった。



「う〜。今日もまた変な事……するの?」
 先程まで食事をしていたテーブルの上に寝かされ、枷と鎖とで拘束されたフランドールが表情を曇らせる。
 調教されている時にはあれだけ反抗的な態度を取って男の事を毛嫌いしていたのに、食後の今はやや躊躇いがある。明らかに餌付けされた状態だ。
「はぅ……う、ねぇこれ外してよう。あう……うぅうぅぅっ」
 やんわりと言っているが、その表情は少し焦っているようだ。
 そわそわした様子で居心地が悪そうに身体をくねらせる。半裸状態で剥き出しにされた肌にはうっすらと汗も浮かんでいる。
 その様子を見てほくそ笑む男。
「フランちゃんどうかしたの? 汗掻いてるみたいだけど」
「うぅぅ……何でも、ないっ。んっ……あぁっ、くっ……ふぅぅぅ……!」
 何かに耐えるように両目をギュッと閉じ、フルフルと身体を震わせる。
 少女の様子がおかしいのはクロスを剥がされて剥き出しになったテーブルが冷たいせいではなく、先程の食事に問題がある。
 男が紅茶の中に利尿剤を混ぜていたのだ。
 そんな事に気づきもしないフランドールは必死に男にお願いする。
「ねっ、ねぇ……お願いだから、外して。それでね、ちょっと……外に出ていて……欲しいの」
「え〜、どうして? 調教を始める為に拘束したばっかりだよ。そう簡単には外せないなぁ」
「それは……うぅぅ。うっ、うぅぅ〜っ……どうしてもぉっ」
「理由が言えないんじゃあダメだね」
 少女は顔を真っ赤にしながら首を振って駄々を捏ねる。
 変調の理由を知っている男は内心ニヤニヤしながら少女の必死の願いを却下する。
「はうっ……!? ふっ、うぅぅ……んっ、くぅぅ。はぐっ、うっ……うぅうぅぅっ」
 表情を引き攣らせて尿意に耐えるフランドール。徐々に余裕を無くして行く。
「あぐぅ、うぅぅ……もう、ダメぇ……! お願いっ、おしっこ漏れちゃいそうなのぉっ。トイレに、トイレに行きたいの……! だから、はぐっ……これ外してぇっ!」
 切迫した尿意に耐え切れず、ついに彼女は不調の理由を口にした。
 羞恥に震えながら尿意を告げる少女の顔は、ゾクゾクする程のサディスティックな快感を男に与える。
「そうかそうか、トイレに行きたかったんだね。早く言ってくれれば良かったのに。今外してあげるよ」
 男は零れる笑みを隠せず、ニヤつく表情で少女に応える。
「ちょっと待ってね。……う〜ん? これはどうやって外したらいいんだっけか」
「あ、あ……お願い、早く……してっ」
 男はゆっくりした動きで鎖を手に取って弄り、解錠に手こずっている振りをする。
 焦っているフランドールはわざとらしい演技にも気付かない。
「あ、う、あ、あぁっ……あぁあぁぁっ……ダメっ、ダメっ、だめだめだめぇっ……ひぅっ、んっ……あぁぁっ」



 プシュッ、ジュワワッ……ショワワワ……。
「んぁあぁぁぁぁっ……!? ひっ、あっ、あっ……!? 出ちゃっ……たぁ……? うぁ、あ……あぁぁ……」
 くぐもった水音が少女の股間から響く。履いているドロワーズの前面に黄色い染みが拡がって行く。
 尿意が頂点を越え、耐え切れなくなった少女はおしっこを漏らしてしまったのだ。
「うわぁ……フランちゃん、お漏らししちゃったのかい? ご飯を食べるテーブルの上でおしっこなんてしちゃあ駄目だよ」
「うぅっ、うぅぅ……うわぁあぁぁぁんっ、ごめっ、ごめんなさいぃっ……ひっ、ひぅっ……ひっく、ふわぁあぁぁんっ」
 男の揶揄する言葉に、フランドールは謝りながら大きな声で泣き出してしまった。
 調教で尿道孔を弄られた結果ならともかく、今回はまだ何もされる前に漏らしてしまったのだから言い訳する事も出来ない。
 本当は男が薬を盛ったせいなのだが、彼女はそんな事を知りようはずもない。
「うあぁぁぁんっ、何でっ……どうして、ひっく、うぅうっ……止まらないよぉ……うぅ、あぅうぅぅっ……!」
 泣いている間にもおしっこは漏れ続けている。必死で尿道孔を閉じようと力んでいるようだが、食事には弛緩剤も少量混ぜられていた為にそれもままならない。
「うぅうぅぅっ、止まってぇ……止まってよぉ!」
 少女の願いも虚しく、薬にやられた身体は言う事を聞かずおしっこを漏らし続ける。
 漂い始めるアンモニア臭。刺激的なおしっこの臭いが男の鼻にも届く。ドロワーズの中はどうなってしまっているのだろうか。
「あぅ、うぅぅ……ふっ、んっ……んんっ……んぁっ、はっ……あぁぁ……あぁ」
 漏らしてしまった絶望に表情を曇らせながらも、排尿の解放感で弛んだ声を漏らすフランドール。
 ようやく一段落付いたようだ。
「うぇ……え、うぅ……お尻、気持ち悪いよぉ……」
 解放感は一瞬で、おしっこに濡れたドロワーズが肌にまとわりつく気持ち悪さですぐに顔をしかめる。
「拘束は簡単に解けそうもないし、切っちゃおうか」
 男はすぐにでも中の様子を確かめたかったのだろう、いつの間にやら手に持っていた鋏をドロワーズの端に当てる。



 ジョキッ、ジョキジョキジョキッ……ジョキンッ!
「やだっ、何するのっ……!? やっ、あっ、開いちゃダメっ……あっ、あぁぁっ……!」
 直線的に切り裂かれたドロワーズの前面がスカートの上にバサリと落ちて広がる。
 ムワッとした熱気と共に、強烈な刺激臭が鼻腔を直撃する。
「わっ、ツーンと来た。フランちゃん、すっごい臭いだよ! あらら、ドロワーズの中水浸しだねぇ……どんだけ漏らしちゃったのさ」
 股間からお尻にかけて薄黄色の液体が滴っていた。
 男は鼻をヒクつかせて臭いを嗅ぎ取っている。
「ひぅっ、うっ……うわぁあぁぁぁんっ! もうやだぁっ……見ないでっ、嗅がないでぇっ……!」
「そんな事言われても無理! 嗅ぎたくなくても鼻に染み込んで来ちゃうんだもん」
「やだっ、やだぁっ……ひっく、うっく、うぇえぇぇんっ……うぇえぇぇぇぇんっ!」
 本当は間近に寄って失神するまで吸い込みたいと男は思っている。変態的な性癖を持っている彼にとって、愛する少女のおしっこの臭い程に芳しく感じられる物もそう無いだろう。
 だが、今回はフランドールを辱める事を優先したらしい。男の狙い通りに彼女は耐え難い羞恥に身を震わせている。

「はぐっ……!? うっ、ぐぅぅっ……んっ、いっ、やぁぁ……あぁっ、ぐっ……ふぅうぅぅっ……!?」
 泣いていた少女が息を詰め、切羽詰まった声を漏らす。
 薬の効果が再び彼女を苛み始めたのだ。
「や、だぁ……あぁぁっ、どうして……また、くっ、うぅうぅぅっ……!」
「おやおや、どうしたの? もしかしてまた漏らしちゃうのかい? おしっこもちゃんとトイレで出来ないなんて赤ちゃんみたいだねぇ」
「そんな、違うぅ……違うのっ、フラン、こんな漏らしたりなんて……うぅっ、ぐっ……んぅぅあぁっ!?」
 おしっこの雫が垂れている割れ目がヒクヒクと震えている。今にも漏らしてしまいそうだ。
「うぁあぁぁぁぁっ、ダメっ、こんなの……やっ、やだっ、やだやだやだっ……もう、もうっ、ダメなのにっ、ひっ……!? あっ、あっ、あっ、出ちゃう……! うぁあぁぁっ、出ちゃう、出ちゃう、出ちゃうっ……出ちゃぅうぅぅぅぅっ……!」



 プッシャァアァァァァッ! プシュッ、シャッ、シャァアァァァァァァッ……!
「はうぁっ……!? あぁっ、ひっ、はっ、あぁっ……はぁあぁぁぁぁぁぁんっ……!」
 割れ目の中央付近が若干開き、噴き出した琥珀色の水流が派手な水音を立てる。
 排泄されたおしっこは弧を描いてドロワーズの上に降り注ぐ。勢いが良すぎて時折スカートまで超えたてテーブルにまで雫を飛ばしている。
「うっわぁ〜、大胆に飛ばすねぇ。お嬢様とは思えない下品さだよ」
「やぁあぁぁっ、こんなっ、こんなぁっ……う〜っ、うぅうぅぅぅっ……止まって、もう、もう出ないでぇっ……!」
 男の揶揄に羞恥を強く刺激され、身体中を真っ赤に染めている。
 何とかこれ以上痴態を晒さないようにと尿道孔を閉じようとしているが、やはり閉じる事なくヒクヒクと震える。中途半端に閉じた事で逆に勢い良くおしっこが噴き出し、より遠くまで飛んでしまっている。
「うぁっ、うぁあぁぁっ……! どうしてぇっ……どうして止まってくれないのっ、ひっ、ぐっ、くっ、あぁあぁぁっ!」
 途切れ途切れに尿道孔からおしっこが噴き出すのを感じながら、お腹に力を込めようと踏ん張り続けるフランドール。排泄を止めようとしているのだろうが、傍から見ていると放尿しようと息んでいるようにしか見えない。
 男はそんな少女の姿を心底楽しそうに見つめているのだった。



 プシュシュッ……ジョロ、ジョロロ……
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……あぁぁっ……あっ、んぁぁっ……あぁっ……あぁぁぁっ」
 数分もの間続いていた排尿がようやく終わった。
 ずっと力んでいたフランドールの全身は汗にまみれ、半開きの口から垂れ続ける涎もそのままに荒い呼吸を繰り返している。
「う、あ……あぁ……あ、あぁ……あぁぁ……」
 瞳は半分裏返った状態で虚空を見つめ、茫然自失状態になっている。汗と涙、鼻水と涎とで可愛い顔がぐちゃぐちゃになってしまっている。
 下半身の様相は更に凄まじい。
 股間から太ももにかけて黄色い水跡が幾筋も残り、うっすらと湯気が上がっている。
 大量に漏らしたおしっこでドロワーズはぐっしょりと濡れて黄色に染まり、その下のスカートにまで染み出してしまっている。
 更に飛び散った雫がテーブルのあちこちに跳ねてしまっている。
「やっちゃったねぇ。見てよフランちゃん、凄い有様だよ」
「えぅ……? う、あ、あ……あぁあぁぁっ……嫌ぁあぁぁぁぁっ……!」
 自分の下半身に目を向けた少女は、そこに広がる光景に悲鳴を上げた。
「やだやだっ、やぁあぁぁっ……こんなの、こんなの違うっ……こんなの、うーっ、うーっ、うぅうぅぅっ……うぇえぇぇぇぇぇんっ!」
 無様に排泄する姿を見られ、その音を間近で聞かれ、そして臭いまで嗅がれるという恥辱を体験して自尊心をズタズタに引き裂かれた少女は、ただただ現実を拒否して涙を流す事しか出来ないのだった。


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