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【佳子】「こ、ここは……何よ、この格好!? どうなってるのよ、一体!?」

【謙一】「ずいぶんと呑気に寝ていたのものだな」

【佳子】「あんた……誰よ?」

 声を低くして問いかけてくる佳子には、結構な迫力がある。この雰囲気で押されれば、確かに押し切られる奴もいるだろう。

 もっとも、今の佳子の姿を考えれば、彼女の強気な態度は意味を持たない。

 いや、調教に華を添えるという点では、意味があると言えないこともない。そう、強気の女を屈服させる満足という華を添えるという点ではな。

【謙一】「別に答える必要はないんだが、まあ、いいだろう。敢えて言うなら、お前のような淫売を見ると、その才能を開花させたくなる性分の男とでもなるか」

【佳子】「ふざけないでよ! 誰が淫売ですって!?」

【謙一】「ほう。古い言い回しなんだが、よく分かったな?」

 小馬鹿にしたような俺の挑発に乗って、頬を赤くして抗議する佳子の顔が、更に険しさを増した。資料で見た熱しやすい直情径行という表現は、伊達じゃないらしい。

【佳子】「うるさい! そんなこと、どうだっていいでしょ! あんたこそ人をこんな風にして、頭おかしいんじゃないの!? この変態!」

【謙一】「俺が、そういう男だっていうのは、さっき言った時点で分かっていたことだろう? 今更、何を言ってるんだ!」

【佳子】「ああ言えば、こう言って! あんたは黙って、あたしを解放すればいのよ!」

【謙一】「直ぐには無理な話だな。お前の中にある淫売な本性が目覚めてからなら、幾らでも自由にさせてやるがな」

【佳子】「そんなもの、あるわけないでしょ! さっさと、解放しなさい!」

 随分と感情を昂らせたせいなんだろう。肌寒ささえ感じる地下室に居るというのに、佳子の肌は血色が良い。この調子なら、仕掛けた薬も、そろそろ効果を現わすだろう。

 録画用のビデオのスイッチを入れた俺は、壁に掛けてあった鞭を取り、佳子の目の前でゆっくりと見せつけるように振り上げた。

【佳子】「な、何を考えてるのよ! 止めなさいよ! 本気で怒るわよ!」

【謙一】「ふん、怖いのか?」

【佳子】「だ、誰が怖くなんか!」

【謙一】「なら、遠慮しないで味わってくれよ」

 SMに縁のなかった女が、安心して痛みを享受できるわけがない。

 むしろ、今も行われている鞭打ちの刑では、大の男ですら数十回も叩かれれば死亡してしまう危険性が、ニュースで流されることもある。そのことを見聞きしていれば、怯えない方がおかしいだろう。

 もちろん、佳子がニュースを耳にしたかどうかは分からない。だが、実際に今、声を震わせて強がっているのは、恐怖を押し隠しているからに違いない。

 そして、その恐怖以上に不可解な出来事が、佳子に訪れることを知っている俺は、恐怖を煽るように顔を歪めながら、鞭を振りおろした。

ビシィッ

【佳子】「あぐぅ!」

【謙一】「どうだ、初めて味わう鞭の味は? 結構、気持ちのイイもんだろう?」

【佳子】「だ、誰が、こんなの!」

【謙一】「何だ。一発じゃ分からないのか?」