(2)人間種族
この世界に住む様々な種族のうち、主立ったものを示す(本編に出番のなかった種族もある)。
『天羽』(あもう)
この世界の支配種族。肉体的には脆弱であるものの非常に高い魔法能力を有する。女性に見えるが両性具有。紫がかった瞳と尖った耳が特徴。髪は緑がかった金髪から濃紺までバリエーションに富んでいる。羽根をかたどった飾りを身につける場合が多い。
自らを神の使徒と称して、過半数の神々の愛(=魔法)を独占している。この世界における王侯貴族は大半が天羽である。
気品と教養に溢れて物腰柔らかだが、高慢で貪欲な者が多いため、優雅に見えるその社会の裏側では常に権力闘争が行われ、権謀術数が渦巻いている。
天羽は常若の神の抗老化魔法を独占しているためほとんど老いることがない。理論上は数百年以上生きることが可能だが、暗殺やクーデターがよく発生するため実際には100歳くらいまでに死ぬ者が多い。
『石巫』(いしなぎ)
天羽の亜種。数は少なめで、天羽に準ずる地位を占めている。肌は黒く、髪は銀色。能力的にも社会的にも天羽とほぼ同等の存在。
『塩蛇』(えんだ)
社会階級的には天羽、石巫の下につく、男性のみの魔法種族。魔法能力は天羽にやや劣るレベル。性格に問題があり、残忍で卑屈な者が多い。毛のない頭に小さな目、ごつごつした蛇っぽい顔をしている。醜い外見のせいで天羽に虐められるため、マスクなどで顔や全身を隠している。苦痛の神メクウスを崇拝しており、好んで拷問魔法を扱う。
『地奴』『地婢』(ちぬ、ちひ)
普通の人間、いわゆるヒューマン。男性が地奴、女性が地婢と呼ばれる。当人達は別種族だなどと思っていないのだが、両性具有の天羽や狗鬼からはそう見てもらえないため、それぞれ別に扱われる。社会的には上層〜下層市民までで、職業もいろいろいる。魔法はほとんど使えず、肉体的には天羽や塩蛇よりは多少マシ、といったところ。人口が際立って多い。
『狗鬼』(くき)
両性具有の獣人。どことなく犬を思い起こさせる顔付きで、瞳は黄色ないし金色のものが多い。個体差があるが、灰色から黒の体毛で身体の大半が覆われている。強靭でパワフルな肉体を持ち、高い戦闘能力を誇る反面、魔法能力は皆無で耐性ゼロという弱点がある。そのためもあって天羽の支配する魔法国家では最下層民として過酷な待遇を受けており、しばしば反乱を起こしては鎮圧される。社会身分故に教養はないが愚かということはなく、誇り高い。天羽やその手下に激しい憎悪を抱いている者が多い。
『牴角』(ていかく)
両性具有の獣人。額に短い二本の角を持ち、大柄でパワフルな身体を備えており全体的に牛を連想させる。狗鬼ほど戦闘向きではなく、性格も従順なためそれほど反乱を起こさない。地方の荘園などでの労働奴隷が多い。
『狎愚』(おうぐ)
男性のみの獣人。豚っぽい外見で醜く、知性も低い。残虐性と卑屈さを備え、意思力は弱い。戦闘能力も狗鬼や牙紅などと比べるとかなり弱く、地奴よりちょっと強い程度だが、アメとムチに良く反応して扱いやすいので下っ端の戦力としてよく動員されている。目は悪いが鼻は良い。
『牙紅』(がく)
女性のみの獣人。夜行性の優れた狩人タイプの種族だが、都市生活を好まないため、天羽支配下の地域にはあまりいない。
『竜黥』(りゅうげい)
天羽に対抗する両性具有の種族。天羽を頂点とする社会ヒラエルキーの外にいるが、数は少ないが、魔法能力は天羽に匹敵し、肉体能力も狗鬼に引けを取らない超人種族。集団行動はとらず、一人旅するものが殆どで、他の勢力に組しないのが通例。外見は地婢と区別しにくいが、龍のように見える模様が肌に浮かんでいるのが特徴。希少素材『龍鋼』の装備を保有する。
『咒寇』(じゅこう)
天羽に敵対する両性具有の種族で、魔法とは別系統の力、呪詛を操る。外見は女性的で、額の片方に一本の角がある。瞳の色は赤で、黒や青などの暗色による化粧を好む。肉体能力は天羽と大差ない。陸上に領土を持たず、神代に築かれた海底都市を根城としている。一匹狼的な龍黥とは正反対に、組織だって侵略や略奪、破壊工作をしかけてくる。
『錐虎』(すいこ)
咒寇と行動をともにする獣人。大柄で、額の一本角が特徴。狗鬼に匹敵する戦闘能力を備えるだけでなく、獣人としては例外的に高い魔法抵抗力を持つ。男性のみの種族で、咒寇に自分達の子供を産ませている。獣人ではあるが、咒冦とは主従関係ではなく、パートナーとして遇されている。

補足)交配法則
種族間の交配では雑種は生じず、産まれる子は以下の法則で両親のどちらかの種族となる。
アンフィビウムに住む諸種族間の遺伝的距離は、咒寇のような準隔離状態にあるものを除くと非常に小さく、遺伝子レベルでの種族の差異は個人間の差よりも小さい。
両性種族×両性種族 子は母親側の種族になる。
男性種族×両性種族 子は男性種族側の種族になる。
両性種族×女性種族 子は女性種族側の種族になる。
男性種族×女性種族 どちらの種族になるかはランダム。