003 「海小屋での体験 03」


 男の乱暴な腰の動きは、ただ苦痛なだけでした。
 (これなら、お金を貰って身体を売る援助交際のほうが堅実な事かもしれない)などという考えさえ脳裏をよぎりました。
 なにしろ男は私の背後から腰を抱えて、尻に叩きつけるように腰を動かすのです!
 これまで真面目に生きてきた事、何度も告白された事、処女だった事、私が守ってきたもの全てが無価値であるかのように、男は私の下半身を攻め続けたのです。
 私はその痛みに耐える事しか出来ませんでした。

 その腰の動きが止まると、私の股の中で、男の肉の塊がゆっくり大きく脈打ちました。腹の奥にじわっと暖かい感触が溢れました。
 それが何を意味しているか理解していましたが、認めたくありませんでした。



 男の腰が離れると、股間から液体がたらりと流れました。
 見えなくても、それが精液である事は明白です。

 犯された事、妊娠してしまうかもしれない事に対する恐怖の一方で、もうひとつ別の感情が湧き上がっていました。それは……安堵の感情に似ていました。
 ようやく性行為が済んだ事だけではなく、その知識がない私の身体で相手の男が満足したであろう事に心底安心していました。もし犯されたのに男が満足もしなかったら、私という女は何の価値も持たない存在になってしまうような気がしたのです。
 男は、はぁはぁと犬のように息を荒げ、満足そうな笑みを浮かべていました。



 ロープを解かれ手枷から解放された私は、床にぐったりと蹲(うずくま)りました。
 犯された事、膣内に射精された事はショックでしたが、早く帰って一人きりになり、シャワーを浴びたいとばかり考えていました。

 しかし男は性行為を終えた筈なのに、なかなか立ち去ろうとはしません。しかも、濡れて光る男根は未だ堅く反り返っていました。
 「こんな簡単に終わったんじゃ満足しないだろう?」と男は言いました。
 この男が満足するまで、私は自由になれないのだと悟りました。ロープを解かれ自由になっても、全裸で股間から精液を垂れ流している私は逃げ出す事など出来ません。私の人生は、この小屋に足を踏み入れた時に終わっていたのだ……そう思いました。



 男が指で、私の膣を触り始めました。精液でぬるりと滑るようになった膣孔は、2本の指を易々と咥え込んでしまいました。男は私の中で精液をかき回すように、いやらしく指を動かしました。ぐっちょ、ぐっちょ、と音を立てられる事が死ぬほど恥ずかしく、しかし嫌だと思う心とは裏腹に身体は敏感に反応してしまいました。気持ちと身体が一致しない感覚は、とても気持ち悪く苦しいものでした。

 5分以上は指で攻められましたが、男は手が疲れたといった様子で、ただ身を強張らせているだけの私に苛立ちを感じているようでした。疲れてぐったりしている私に、男はカップ酒を飲ませました。飲みたくはありませんでしたが、口に押し付けられて強引に一気に飲まされました。殆どアルコールを飲んだ事の無かった私はすぐに酔っ払ってしまいました。

 酔って意識が朦朧としているところを、男は再び指で膣を攻め始めました。膣とクリトリスから響く刺激が腹から太股までを痺れさせ、ほどなくして激しい刺激が身体中を貫きました。
 自分の身体に何が起きたのかさえわかりませんでしたが、それが私が初めてイッた瞬間でした。