「俺たちは結婚もしたよな、新しい人生へ歩き出しているし、もう堅気だ ろ?

確かに堅気に戻っている仲間たちがやられている事実もあるし、俺たちが狙われる可能性も高い、

しかし、それは俺たちがやってきちまった業だ。何が起きようと受け入れなければいけない」

拓はそう言い放ち、席を立った。

伊藤は拓に諭され、家に帰るしかなかった。



とぼとぼと、家路につく伊藤。

仲間たちに答えてやれなかった無力感も確かにあるが、

それ以上に自分がちっぽけで無力な事が、

思った以上にガックリきてしまったのであった。

(確かに、拓の言うとおりなんだよなぁ。寺田武の痴漢師としてのカリスマ、

痴漢王としての絶対的な存在感が数々の痴漢師をまとめあげ、

格闘界で無敗で引退した絶対的な力を持ったビッグフット・ゴリがいたからこそ、

俺たちは寺田を中心に一時代を築く事が出来たんだ・・・)

拓の言葉が、重く圧し掛かる。果たして、どうしたものか。

活路が見出せないまま、伊藤の足はかつて寺田の親が経営していた

工場の倉庫にたどり着いた。

「ここから、始まったんだよな・・・・・」

寺田に声をかけられ、数々の痴漢師を逮捕した痴漢ハンター佐山を憎んで

皆が集まった場所。

ここで痴漢ハンター佐山はレイプされ、四天王は逮捕された。

その事件をきっかけに、寺田は痴漢王と呼ばれるようになる。

「懐かしいな。寺田・・・お前ならまた、皆を引っ張って痴女に立ち向かうのかなぁ・・・・」

かつて皆がギラギラしていた時代を思い出し、伊藤は涙を流した。



「それじゃ社長、私は先に帰ってますね」

「あぁ、俺はもうちょっとやってくわ。お疲れ」

夏は拓に声をかけ会社を後にした。

江川夏、スメルマスター拓の技術に惚れ込み、今では拓の良き妻として

会社の経営をサポートしていた。

(さっき、伊藤さんが来ていた。色々とまた、起きようとしているのかしら・・・)

夏は、伊藤の訪問で何かが起きようとしている事を感づいていた。

(それにしても・・・おかしいわね・・・)

色々と考えながらふと気づくと、回りには人が歩いていない。

暗く電灯も少なく、夜になると人通りも少ないのだが

これだけ全く人がいないというのも不自然だ。

「これは・・・一体・・・」

「気づくのが遅すぎましてよ・・・」

「これは、犯りがいがある・・・」

キャットスーツ(黒いボディスーツ)に身を包んだ長身の女性2人が、

夏の前後を取り囲んだ。

「さすがスメルマスター拓の嫁、鼻が利くな・・・」

シュン!!

「キャッ!!」

前後の女性が、同時に夏に向けて鞭を放った。

クルクルと夏の腕は絡めとられ、あっという間に自由が奪われる。

グイグイと引っ張るが、どうにかできる代物でもない。

「おっと大人しくしてろよ、ボタンを押せばビリビリと電気が走るぜ」

「そうそう、大人しくしてればすぐに終わりますからね」

そう言うと、女性たちは器用に夏の衣服を切り裂き

胸と秘部をあらわにした。

「一体何を!?」

「何を?そんなこと決まっている、お前を犯すんだよ。

四天王、スメルマスター拓をおびき寄せる為になぁ・・・」

(何て事、私が拓さんの足を引っ張ってしまうなんて・・・このままでは犯される・・・)