
☆★☆ 目次 ☆★☆
第1章 覚悟は良い? 射精できないことを悔やむ準備はOK?
【001】
第2章 捕縛された貞操帯男。
【001】
第3章 貴方は大勢の女性の前で、どんなマゾタイプか・・・告白できますか?
【001】 【002】
第4章 初めての、女性に対する土下座とマゾのラジオ体操
【001】 【002】
【003】
【004】
第5章 ボコボコにされて、挑発されたら・・・射精できますか?
【001】
第6章 エネマグラで人間の理性を壊してみよう!
【001】
第7章 それでも外されない貞操帯。
【001】
=オンライン刑=
ハッキングは現在日本においてもっとも重大な犯罪のひとつとされている。
理由は、国民の情報から国家機密までサーバーで管理されているからである。
つまりハッキング次第で国家転覆が謀れる。
その可能性の高さは、通貨偽造と同じく国家の根幹そのものを揺るがしかねない。
ゆえに程度の多少に問わず、ハッキングは重罪とされた。
しかし、ハッカーを長く拘束するには刑務所の数が足りない。
ならば、オンライン世界に拘束すれば良い。
これならば、囚人のベッドスペースひとつあればことが足りる。
何せオンライン世界に行ってしまったら、本人は暴れることも食事を楽しむこともできない。
ただ寝ているだけなのだから。
これがオンライン刑の骨子である。
しかし日本警察はハッキングに対して遅れを取り続け、オンライン刑は名ばかりの刑罰とされた。
少なくとも国民はそう思っていた。
しかし・・・。

【001】
男は、ハッキングに長けていた。
得意というレベルではない。
ほとんどすべてのMMOでハッキングを成功させ、キ○トが如くチートな活躍をみせ、すぐに立ち去った。
VR-MMO-RPG専門のハッカー。
ゲーム内での名前はラト。
日本で最初に流行したRPGの勇者に与えられる称号をもじってそう名乗った。
本当ならキ○トをもじりたかったが、似た名前がソードアー○・オンライン事件以降、MMOに溢れかえってしまったので、ソレは辞めておいた。
誰かと同じ・・・それは嫌だった。
彼が次に挑戦したのは、Chastity-On-Line。
正直ほとんど参加者は居ない。
というか女性限定のMMOだ。
女性以外は参加できない仕組みになっている。
理由は明かされていないが居酒屋でありがちな、女性の優遇されている感を刺激するサービスのつもりなのだろうか?
男は口元を歪ませ、ナーブギア(現在は禁止されているナーブギアこそ彼のお気に入りだった。なぜか次々と出される新作のハードは彼の琴線に触れなかった。)に自作したアパッチを嵌め、性判別誤作動のプログラムを起動させながらログインした。
無論これはハッキングである。
やや時間がかかる。
SAOのような大規模なサーバーを使っていないのだろう。
かなり反応が遅い。
男女の判別をしているのも時間がかかる理由か?
だが、ナーブギアは起動している。
外界の音や空気感は全く感じないことでも明らかだ。
感じるのは・・・オンライン世界への降下感覚だけ。
しかしそれも、もう終わりだ。
想像通り。
アインクラフトのように広がる美しき仮想世界にログインできた。
「へっ。
やっぱり性別は、脳波パターンで性別判断していたのか。
どうせそんなことだろうと思ったぜ。
さて、レベルをきゅい〜んっと・・・」
ラトが指を弾くと、レベルが急上昇してゆく。
すでにリミット一杯のレベルまで伸び上がった。
ラトはレベルが上がっていく音を聞きながら、景色を眺めた。
「景色の荘厳さだけは、どのMMOも凄いな」
(俺は、これが見たいだけなのかもしれない)
なんとなくレベルが上がって行く音を虚しい気持ちで聞きながら、呆けた瞬間!
ラトは捕縛された。
網が、投網の要領でラトにかけられ、行動を制限する。
しかし、ラトは焦っていなかった。
不意打ちなんてMMOの世界なら珍しくもなんともない。
むしろレベルがリミットまで上がった自分に挑むなんて、相手の頭がオカシイとしか思えない。
無敵状態の自分に戦いを挑んだ時点でそいつは“負け”なのだ。
しかし、ラトは動けないままだった。
たかが漁を行うような何でもないただの網をかけられただけで、である。
そしてラトのレベルが下がってゆく。
「・・・え?」
ラトが慌てて網を掴んで外そうとした時には、Chastity-On-Lineにログインした時と同じように、レベルは1に下がっていた。
「ふ、ふざけるなっ!」
「ふざけてるのはキミだよ。
ここは女子だけが入れるMMOだよ?
男の人は入ってきちゃ、ダ〜メ〜っ!」
ラトの視線の上から、魔族が降りてきた。
空中を魔力で浮遊しているのか、それともそもそも誰もが飛ぶことの出来るMMOなのか。
とにかく彼女は浮いていた。
ピンク色の長い髪、ややもするとロリと呼ばれそうな体型。
イタズラ心の強そうな紅玉の瞳、うっすらマ○コの筋が見える薄く張り付いた紐のないパンツ、ダークな印象の縞々ニーソ。
そして何よりも魔族を象徴するツノとコウモリの翼。
「・・・サキュバス・・・?」
「うん❤」
ログイン画面で自分のアバターを選ぶ時にそんな選択肢はなかった。
つまりこいつは・・・。
「ゲームマスターか。くそっ!」
「そうだよ。
でもキミ、すごいね。
ええっとキミは・・・。
ハッカー・ラトだっけ?」
サキュバスは髪留めに挟んでいた紙を一枚引き抜いて、読み上げた。
「プレイヤーネームラト。
IPアドレス:1299988:25888:57558:68888:2332
レベルを制限いっぱいまで上げて、ゲームバランスを壊しまくる。
性別男。
自称ハッカー。
世間で名前が売れるくらいに有名人なんだね。
ハッキングなんてして楽しい?
まぁ、いっか。
さ、帰るなら帰りな。
帰れるものならね?」
「・・・?」
ラトは少し考えてから、ハっと目を見開いて慌てた。
ソードアー○・オンライン事件以降、ナーブギアが違法になった理由。
それは“ログアウト不可の設定が可能”という欠陥があるから。
「お、お前、・・・まさか・・・」
「そ。
キミはもうログアウトできない。
私が良いと言うまでね。
それから、例の事件は当然、知ってるよね?
もちろんソードアー○・オンライン事件のことだよ?
ログイン出来ないプレイヤーがどうなるか?
そう。
HPが0になったら、死亡!
脳がマイクロウェーブ波で焼かれて死ぬの❤
もちろんキミも同じようにしてあるよ」
「ふっ、ふざけるなっ!!!!
これは殺人だぞっ!!!!
現実世界に帰ったら、お前を探しだして殺してやるっ!!!!」
「あれあれあれ〜???
そんな生意気言っていいのかなぁ〜?」
「・・・くっ」
糞!
そう言いかけたが、言えなかった。
サキュバスは口元歪ませると、目元を下げて笑った。
「そうそう。
いい子にしておきな?
いい子に出来ない悪い子は、厳しいお仕置きが待ってるよ〜。
こんな風にね!」
ラトの装備が四角いCG断片になってはじけ飛ぶ。
残ったのはラトの肢体。
それもアバター肢体ではない。
完全な、ラトというプレイヤー元来の身体と同じ体格の肢体である。
「お仕置きは止まらない」
サキュバスはそうつぶやいた。
そしてそのつぶやきが、まるで合図だったかのように、ラトの首に緑色の色あせた首輪が、そして股間に鋼鉄で出来た筒状のパイプが装着された。
「あららら。
可愛い仮性包茎のオチ○チンだったけど、しまわれちゃったね❤
それがなんだかキミは分かる?」
「・・・なんだよこれ・・・」
水道の蛇口のように下を向いたステンレスの筒がペニスの竿を包んでいる。
そしてソレが外れないようタマを挟んで根本のリングにかけられている。
特筆すべきは筒の先が蛇口と違い、蓋がされている点だ。
ラトはソレを見たことが無かった。
しかしその意味にすぐ気が付くことになる。
「キミ・・・。
どんなエロサイト見るの?
ロリ系?
それとも、熟女?
寝取られ?
巨乳?
あ、もしかして・・・。
SMとか好き?」
ドキッとした。
最後にズバリ自分の性癖そのものがあったからだ。
あえて最後にSMという単語が出てきたことが、わざとだと思えてならない。
恐怖した。
(一体どこまで、見抜かれている?)
ラトの頬に冷たい汗が一筋、伝う。
「くすくす。
ハッキングするなら、逆にハッキングされることももう少し考慮に入れた方が良いよ?
キミのナーブギアのIPアドレスから、キミのPCのハードディスクまで行き着くのはそんなに難しいことじゃない。
でも、キミ。
マゾとしては半人前だね。
貞操帯も知らないなんて。
ああ、もしかしてプラスチックのヤツしか知らないクチ?
あれはあんまりオススメしないなぁ。
だって装着したまま射精できる方法がネットに載ってるし!
あと壊そうと思えば壊せちゃうのもマイナスポイント。
貞操帯はね。
どんなことがあっても壊れない。
どんなことがあっても射精できない。
どんなことがあっても最後までは勃起できない。
これが貞操帯の有るべき姿でしょ?
だからキミには、そういう貞操帯をプレゼントしてあげたんだよ❤」
「・・・ど、どういうことだよ・・・」
意味は聞かなくても分かった。
ソードアー○・オンライン事件以降、全てのMMOはプレイヤーの性別がアバターの性別になるように法で定められている。
これはどんな問題をもたらすか。
ゲーム内セックスを促したのである。
かつては、性別がどちらかわからないからこそアバターでの性行為は殆ど行われなかった。
だが今は違う。
相手が見た目通りの性別なのだ。
だから、当然のように性行為がもたらされる。
特に強い者は異性に不自由しない。
レベルを自由にいじれるラトなら尚更、相手には困らなかっただろう。
そしてここChastity-On-Lineは女だけのMMO。
せっかくの女しか居ないこの世界でセックスが出来ない。
これは誤算だった。
しかしゲームマスターが作ったのだから、壊せるはずもない。
そこまで考えて、ラトは思考を止めた。
「参ったよ。
俺の負けだ。
二度とここにはハッキングしない。
ハッカーの誇りにかけて誓うよ。
だから逃してくれ。
そうしてくれたら、アンタも警察に訴えないし、ネット上で攻撃もしない」
「警察?
ぷっ。
そうだね。
リアルに戻ったときに助けてくれる人がいるといいね。
でもせっかくだから、少しプレイしていきなよ」
「ま、待てっ!
このままプレイしたら、死・・・」
死ぬんだろっ!?
SAO同様にっ!
そう言いかけたが、言葉が出る前にサキュバスは消えてしまった。
その代わりに両腕がお尻の当たりに移動させられ、鋼鉄状の枷で拘束された。
全裸、貞操帯、首輪、両腕は拘束状態。
そしてレベル1。
なんとか指を動かして、広げた自身の状態ゲージには、
『HP:10
MP:0
レベル:1
スキル:無し。
ユニークスキル:無し。
ログアウト:不可。
状態ゲージ:フルオープン。
状態:行動制御状態。
職業:マゾヒスト(オス)
属性:貞操帯奴隷(オス)』
そう書かれていた。
「糞っ!」
ラトはそう叫んだ。
理由は簡単である。
HPの低さ、MPの低さ。
それも確かに困る。
しかしソレ以上に困るのが
『状態ゲージ:フルオープン。
状態:行動制御状態。
職業:マゾヒスト(オス)。』
この3つである。
状態ゲージ:フルオープン。
つまり誰もが自由にラトの状態ゲージを見ることが出来るということだ。
これは離れた所から索敵されても、状態を見られてしまうということだ。
次に、状態:行動制御状態。
これはもっとまずい。
誰もが見れる状態下で、後ろ手に縛られて動きがとれない状態にあるとバレてしまう。
最後に、職業:マゾヒスト(オス)。
なんの冗談か知らないが、剣士でも勇者でもなく、職業欄『マゾヒスト(オス)』と書かれている。
「・・・職業じゃなくて、性癖じゃねぇか・・・・」
ラトはそうつぶやいた。
ゲームスタート地点に、たった一人。
攻撃するための腕を拘束され、貞操帯のみが恥部を隠す状態で放置されている。
「ああ、そうそうっ!
クリアー条件を言うのを忘れていたよ。
クリアー条件は2つも用意してあるよ!
頑張ってね〜❤」
アンタが言ったのは、クリアー条件じゃないっ!
クリアー条件の数だっ!
天から聞こえてくるサキュバスの声にそう反論しようとしたが、結局は止めておいた。
反論すればするほど泥沼のような気がしたからだ。
しかしクリアー条件が2つ有るなら、出来ないことはない気がした。
なぜなら、ラトは優秀なハッカーでもあったが、同時に優秀なゲーマーでもあったからだ。
そのことは自分でも理解していた。
まずは今の、この状態をなんとかする必要があった。
―あはははっ。
マゾらしく、貞操帯と首輪だけでゲームスタート♪
女だけしか居ないMMOで「僕はオスのマゾです」って書いた状態で、何処まで頑張れるかな?
さ、今日から貞操帯生活だよ?
覚悟は良い?
射精できないことを悔やむ準備はOK?
誰ともセックスできないタガを楽しむ準備は?
女に男として扱ってもらえない悲しみを期待・・・、出来てる?―

【001】
ラトは逃げていた。
いくら全力で走っても、走っているというよりもパタパタと駆け足している程度の速度しか出ない。
手が振れないのが、こんなにも走りに影響するとは思わなかった。
それに、体全体のバランスを取るためにどうしても内股走りになってしまう。
自分がこんな無様を晒すことになるとは・・・。
ラトはそう思いながらも、走ることを止めるわけには行かなかった。
なぜなら辞めた途端、すぐ背後まで迫る炎の渦と冷たく光る剣筋の餌食にされることが分かっていたからだ。
「待てっ!」
「ぐっ!」
一気に詰められた距離はすでに、せいぜい3メートル。
ラトにとっては射程距離外と呼べる間合いだが、相手の女剣士からすればそうではないのだろう。
女剣士は顔が思わずほころんでしまう。
そんな感じの笑顔のまま、女剣士はファサッと黄金色に輝くポニーテールをかきあげた。
「お前、男だな?」
「だったら何だ!」
「本当に男だな!?」
「・・・そっ!?」
そうだよ。だからなんだってんだっ!
そう答えようとした時、女剣士は一瞬のうちにラトの目の前に踏み込み、ラトの首輪をを掴んだ。
そして笑う。
明確に狂気を孕んだ笑顔のまま。
「お前に・・・会いたかったぞっ!」
「・・・・・・?
うわっ!!!!」
ラトは首を締められるように首輪を引かれ、後ろに生えていた木に体ごと押し付けられた。
「・・・ぐぅううっ!!!」
「なんだ男のくせに弱いな」
女剣士は笑うと同時にしびれ毒をラトの身体に注射した。
これで当分、ラトは未動きが取れない。
痺れが引くまで、されるがままである。
「さてさて・・・」
ニンマリと笑い直して、女剣士はラトに顔を向けた。
これが私ですよという合図のつもりなのだろう。
ラトはどうしようもないことを悟ると(ほとんどすべてのMMOで「痺れる」は身動きが取れなくなる最も厄介なステータス異常とされている)、改めて女剣士を見た。
豊満でビキニアーマーに収まりきれない胸。
闇色の鎧と同色のリボンで結ばれたブロンドのポニーテール。
湖底を思わせる翡翠色の瞳。
何よりも、気性の強さを思わせる細く整った顔立ち。
「ぐがっ!」
ラトに見つめられているのが分かると、女剣士はラトの鼻の穴に人差し指と中指を突っ込んで、ラトの口を開けさせた。
「今から幾つか質問をするわ。
5秒以内に答えなさい」
ノーとは言わせないその口調の強さにラトが圧倒されていると、質問が始まった。
「1つ目。
貴方は、本当に男?」
「・・・ふがっ」
この状態でどうやって返事をさせる気だよ!ラトはそう言いたかったが顎が閉まらないので言葉には出来なかった。
「YESの時は、まぶたを一度閉じなさい。
それなら出来るでしょ?」
ラトはゆっくりとまぶたを一度だけ下ろす。
するとラトがまぶたを開け直すまでの瞬間で、女剣士は涙ぐんでいるような表情になった。
しかし、なぜそうなったのかが皆目検討がつかない。
「いいわ。
次行くわよ。
正直に答えなさい。
貴方のステータスゲージがちらっと見えたんだけど、ココに書かれていることは本当?」
誰もが閲覧できるよう設定されたラトのステータスゲージが再度、開く。
『HP:10
MP:0
レベル:1
スキル:無し。
ユニークスキル:無し。
ログアウト:不可。
状態ゲージ:フルオープン。
状態:行動制御状態。
職業:マゾヒスト(オス)
属性:貞操帯奴隷(オス)』
「・・・・・・」
答えられないでいるラトの首元に女剣士の剣が押し付けられる。
すっと横に引くだけで、ひんやり涼しく感じた後に、盛大に出血するだろう。
ただのMMOなら、それも構わない。
だが今のラトは死んだら現実世界でも脳を焼き切られる。
だからこそ屈辱ではあったが、応えるしか無かった。
「・・・そ・・・そうだっ・・・」
「ふむ。
・・・なるほど。
貴様、サキュバスに・・・、ゲームマスターに出会ったな?」
「で、出会ったっ!
会ったよっ!
頼むっ!
この痺れを解いてくれ。
それから腕の拘束も。
なんのアイテムも持っていないんだ。
助けてくれっ!」
女剣士はふっと鼻で笑うと、ラトの前髪を掴んで頭を手前に引いてから、後ろの木に強く叩きつけた。
「ぐぅううっ!!!!」
「口のきき方に気をつけろ。
どうせ貴様も、ソードアー○・オンライン事件と同じように、ココで死ねば向こうでも死ぬのだろう?」
「え?
じゃあ・・・?」
「そうだ。
ココで死ねば、全てのプレイヤーは死ぬ。
ソードアー○・オンライン事件と同じだ。
しかもこっちは参加者が極端に少ない」
知らなかった。
ラトは普段MMOのプレイヤーとしては珍しく、感情を表情に移さない。
そうすることでPK(プレイヤーキル)に対抗してきたのだ。
そのラトの顔にありありと自分が置かれた世界が、冗談ではないことを悟った。
「協力しようっ!」
ラトの間髪入れない申し出を女剣士は、少し視線を下に逸らしてから考えた。
ラトは下に何があるのか、何を見て女剣士が悩んでいるのか、想像してしまった。
その先にあるのは・・・貞操帯だった。
「・・・み、見ないで・・・・・・」
「そうは行かない。
貴様が本当に男かの判断がつかない。
男なら、否が応でも協力してもらうことになる。
しかし、そうでないなら殺す」
「・・・ちょっと待ってくれっ!」
ラトの声は女剣士には届かなかった。
聞こえてはいるのだが、聞き届けてもらえなかった。
女剣士は狂気を含んだ笑顔から、イタズラっぽい笑顔に表情を変えてから、「ねぇ?おっぱい好き?」そう聞いた。
ラトの胸に自身の豊満な胸を押し付けながら、である。
実際、ラトはその柔らかさを意識しないことなど出来なかった。
心の中に、心臓の奥に、ムズムズとした欲望が渦巻くのが自分でも分かる。
ラトの素っ裸の胸の上で、ビキニアーマーの上から押しつけられた女剣士のおっぱいが弛む。
ラトの胸についた部分から、柔らかさを誇示するように。
「あ・・・あ・・・あああ・・・・・・」
ラトがそう声を上げると、女剣士は嬉しそうにその場で膝をついた。
そして貞操帯の中からはみ出ているタマ部分にキスをする。
キスしたまま、竿が収まっている筒部分をしっかり掴んで、離さないようにしながらラトに見えるように不自然にお尻を左右に振り、タマを吸う。
最初は、チューっと優しく音を立てながら。
次に音も立たないほどに強く、女剣士の頬に吸い込み笑窪が出来る程に。
そしてまた、優しくチューっと音を立てながら吸った。
無論その間、ずっと女剣士の、鍛えあげられた細く締りの有るお尻は媚びるように、あるいは挑発するように、ここに自分がいるのだからしっかり掴めと言わんばかりに、揺れた。
両腕を拘束された上に痺れたままのラトは、そのお尻を掴むことも出来ず「あ・・・あ・・・あ・・・」と声だけ漏らしていた。
声を漏らしながら、勃起しそうになっていた。
しかしすぐに彼のオチ○チンはしぼむことになるだろう。
なぜなら、貞操帯の中にはトゲが内向きに付いていたからである。
「・・・あぎっ!・・・・・・」
少しでも勃起しそうになると、トゲがペニスに刺さる。
ラトは先ほど女剣士に追いかけられ、逃げまわっていた時からそのことにうっすらと気がついていた。
もしかして手の中にトゲが付いているのではないか?
そう感じていた。
その勘は正しかった。
お陰で今こうして自分のペニスはトゲがめり込んでいる。
勃起しそうになっているのに、勃起できない。
勃起しそうになると、子供の頃母親に叱られる直前のような得も言わぬ罪悪感とともに痛みがやってくる。
トゲの痛みと罪悪感のミックスは、何にもまして怖かった。
怖いのに止められない。
罪悪感にまみれているのに止められない。
痛みだけが、勃起を何とか押しとどめている。
自分はこんなに弱かったのか。
精神力で勃起一つコントロール出来ないくらいに。
こんなに罪悪感が有るなら。
こんなに勃起が怖いなら。
勃起ぐらいしなくてもいいはずなのに。
ようやくこうやく勃起を押しとどめているのは痛みだけ。
本当のことを言うと、むしろ痛みや罪悪感や怖さが勃起を後押ししているのではないかという恐れにも似た予想が頭の中を駆け巡っていたが、それはどうにか押し込んだ。
押し込んでごまかした。
そうでもしないと、とてもではないが心が狂ってしまいそうだったから。
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しかし女剣士はそれでも、手を緩めない。
しっかりと握りこんだ貞操帯の先を自らの眉間にあて、ラトを上目遣いに見上げながらタマを舌の上に転がす。
女剣士の舌はきめ細やかな舌だった。
硬すぎず、柔らかすぎず、ざらつかず。
適度に濡れていて、舌そのものが別の生き物であるかのように、フクロの皮に舐め残しが無いように丹念に舐めてゆく。
熱い吐息がタマにかかった。
とても暑い吐息が。
どう見てもソレは、女剣士の体内に熱がこもっていることを指している。
つまり彼女も興奮しているのだ。
準備ができているということだ。
セックスするだけの肉体的な準備が。
精神的な準備が。
ラトのチ○ポがさらにズキズキと傷む。
痛むが精神的には、勃起を止めることが出来ない。
ラトの中の、セックス的準備も完了しているのだから。
無論それは、精神面だけの話。
物理的には、勃起は普段の半分も膨れることはない。
貞操帯の中にトゲがあるから。
貞操帯という檻があるから。
半勃起で射精できるほどラトは衰えていない。
フル勃起で射精する以外、射精する方法を知らない。
どうしてもそこまで勃起したい。
普段の通りギンギンに勃起したい。
しかしソレは許されない。
絶対に。
女剣士はソレを知ってか知らずか、再度お尻を左右に強く振った。
ここに挿れるべきマ○コがあると知らせるように。
お尻が揺れる度に女剣士の美しいブロンドのポニーテールも揺れる。
その揺れはラトに、自分を犯したらこんな風に髪が揺れるのだと想像させるに十分だった。
囁くように揺れて、儚く元に戻る。
「あ・・・あ・・・ああ・・・・・・」
「タマは本物のようだな」
「くぅうう・・・」
「次はマゾかどうかだ」
「・・・・・ぅう?・・・」
ラトが勃起したがる肉体と、勃起を止めて痛みから逃げるべきいう理性を戦わせていると、女剣士はタマを舌の上で転がしたまま、ラトの太もも内側をつねった。
それもかなり強く。
「いぎっ!!!!!」
「知ってるか?
普通、男は痛みと快楽を同時に与えられたら、勃起は止むそうだ。
なぜだか分かるか?
セックス中に猛獣に襲われたら、闘いに身を投じなければ死ぬからだ。
セックスよりも闘いに興じるのが男の本質ということだ。
さて・・・お前はどうかな?」
女剣士はそう言うと、ますます強くラトの太ももをつねる。
引きちぎることを前提にしたつねり方だ。
皮膚の感覚がなくなってきて、つねられている部分の周りの痛みのほうが強くなる。
「くぅうう・・・」
女剣士は手首を一回転させるほどにつねってよじったが、それでもラトのタマを舌に乗せて、睾丸と睾丸の間の皮や、フクロの繋ぎ目を舐めることを忘れなかった。
ここでラトは思い出してしまった。
自身のHPが10しか無いことに。
10しか無いということは、つまりちょっとしたダメージで死ぬということだ。
一般的にMMOでのHPなど百単位で簡単に減ってゆく。
そして先程から勃起でペニスが傷んでいる。
その上、太ももをつねられている。
このまま、貞操帯をしたままで死にたくない。
今残りのHPはいかほどだろうか。
まずはそれを確認しなければ・・・。
ラトが自身のゲージを見ようとすると、女剣士はそれを手で覆い、ラトに見えないように隠した。
「貴様が死ぬか生きるかは私が握る。
貴様に判断権はない。
判断などさせない。
マゾらしくただただ、震えていろ」
そう冷たく言い放つと、ゲージに手をかざしたまま女剣士はちらっと横目でラトのHPを確認した。
そして太ももをつねっていた手を離し、キスするようにラトの顔に、気性の強そうなキリリとした瞳を近づける。
ラトは瞳をぎゅっと閉じた。
キスされると思ったのだ。
ラトはキスをしたことなど無かった。
だから思わず瞳をつぶった。
「ふっ。童貞か」
女剣士はラトの耳元でそう囁くと、ラトの首筋を下から耳元に向かって舐め上げた。
「後どれくらいで貴様が死ぬか聞きたいか?」
「・・・や、止めて・・・殺さないで・・・」
「貴様の残りHPはあと1だ。
次勃起したら死ぬぞ?
でもな。
・・・貴様は勃起したいはずだ。
勃起して私が泣くまで私を犯したいだろう?
泣きながら、許しを請う私を犯して、射精したいだろう?
分かっているぞ?
マゾとはつまり、攻撃性の強すぎるオスのことだ。
強すぎる攻撃性をメスにぶつけたら、メスを壊してしまうと知っているオスこそがマゾになるのだ。
その攻撃性をメスに代理させ、攻撃の対象を自分とする。
セックスの最中は相手と自分しか居ないからな。
攻撃される相手は自ずと自分しかいなくなる。
それがマゾの本質だ。
だが・・・。
私は貴様よりはるかに強い。
だから攻撃性を隠さなくても良い。
私にその攻撃性をぶつけても構わない。
一生に一回くらい生の膣内に射精してみたいだろう?
まぁ、貴様にそんなことは死んでも出来ないだろうがな?
なぜなら・・・貴様は弱い。
弱すぎる。
チートでもしなければ、生きていけんだろう。
どうあがいても私には勝てないと知りつつ、泣きながらオナニーでもしてろ。
貧弱なマゾらしくな。
・・・んん?」
モジモジと太ももをこすりつけて、必死で勃起しないよう性欲を誤魔化しているラトは、今すぐにでも泣きながら女剣士の前でオナニーしたい衝動に駆られていた。
女剣士の言葉が正しいのなら、次勃起したら自分は死ぬのだ。
貞操帯の中のトゲにチクっと刺された時点で、死ぬのだ。
そんな死に方は嫌だった。
だが、女剣士はラトの耳元で囁き続ける。
「あぁ・・・勃起したら。
気持いいのになぁ・・・。
射精したら・・・全てが吹き飛ぶくらいに・・・気持いいのになぁ・・・。
ピュルピュルピュル〜。
ドクドクドク〜。
ああ、射精したいよ〜。
ちゅっちゅっちゅっ❤
オチ○チン大きくして、勃起したいでチュね〜❤
自分よりも強いお姉さんの前で、勃起して、射精したいでチュか〜???」
股間に熱が集まってゆく。
膨れてゆく。
欲望と、ペニスが。
気がついたら・・・。
ラトのチ○ポの先にトゲが当たって、その痛みを脳が認知した。
ラトの視界がブラックアウトしてゆく。
ラトは死を、生まれて初めて強く実感した。
「呆れた。
嘘で気絶するとは・・・。
想像以上のひ弱な精神なのだな。
マゾという生物は・・・」

【001】
気がつくと、ラトは運ばれていた。
女剣士とは別の女性、屈強な女兵士の肩に担がれるようにして運ばれていた。
確認すると、女兵士は女剣士と同じ系統の衣装をまとっていた。
というよりも同じアバターなのだろう。
やや女剣士よりも貧相に見えるのは装備の豪華さに劣るからだろうか。
「・・・ぐっ」
腹だけで全体重を支えて運ばれるのは想像以上の苦痛だった。
なんとか少しでも楽になろうと、ラトは身体を捩る。
「目が覚めたか?」
「ここは・・・どこだ?」
「―始まりの城―だ。
Chastity-On-Line唯一と言って良いプレイヤーが生活する事のできる場所でもある。
貴様もここで生活することになる」
「・・・あっ」
ラトを担いで歩く女兵士が、ラトの貞操帯を指先で撫でた。
アナルも。
貞操帯からはみ出ているタマも。
全て。
男の主な性感帯、全部だ。
「プリプリだね❤」
「・・・さ・・・触らないで・・・」
ラトがそうつぶやくと、女剣士が返答の代わりにラトのむき出しのお尻に一つスパンキングを見舞った。
「ひぐぅううううっ!!!」
「痛いだろう?
それだけ私と貴様ではレベルが離れているということだ。
無論、他の女兵士も貴様とはレベルが違う。
逃げられると思うなよ?」
「は、はひぃ・・・」
ラトはすっかり大人しくなってしまった。
心まで屈服させられたとは思っていないが、先ほど死をあれほど強く実感してしまっては、自分がどういう存在なのか、どう有るべきか考えずにいられない。
「ふん。
もう女々しくなったか。
まぁいい。
その方が都合がいいしな。
貴様が間違いなく男であることは理解した。
しかも真性のマゾであることも把握した。
だからこれから貴様は私達の生還にとって重要な存在だと分かった。
だが、抵抗したり余計な行動をしたら即殺す。
分かったな?」
―分かった―
そう言いたかったが、やはり死を実感してしまったことが大きかったのだろう。
「わ、分かりましたぁ・・・」
ラトの口から出た言葉は敬語だった。
ラトを担ぐ女兵士がクスクスと笑う。
女剣士もニヤついている。
ラトが敬語で話していることが可笑しいのだ。
敬語で話さないといけない立場なのだと実感してしまったラトの貧弱さが、笑えるのだ。
ニヤニヤと笑う女剣士にもう一度むき出しのお尻を叩かれ、ラトは身を捩ったが声を上げないよう堪えた。
これ以上、笑われたくはなかった。
Chastity-On-Lineは攻略するべきダンジョンの数や面積はそこそこの大きさだが、プレイヤーが休むことが出来る、非戦闘地域は極端に少ない。
これはゲームマスターの意向が大きく関わっている。
プレイヤーは苦しんで苦しんでプレイを続けるためにそう作られているのだ。
攻略しても何の意味のないダンジョンなら無数にあるが、攻略後身体を休めることの出来る非戦闘空間は、最初に立ち寄るであろうこの「―始まりの城―」だけだ。
実際問題、Chastity-On-Lineは決して大きな仮想空間ではない。
むしろこの手のMMOとしてはかなり小さい部類に入るだろう。
つまり大きな仮想空間は、最初の街と最大規模の街は別であることが多いが、小さな仮想空間は最初の街=最も大きな街であることが多い。
これはファミコン時代のRPGから何も変わらない、RPGの宿命のようなものなのだ。
「そのことを知った時、私達は絶望したよ。
最終ダンジョンをクリアーするのにレベルがいくつ必要なのか検討もつかない。
しかもダンジョンは無数にある上、行く度に構造も攻略難易度も変わる。
マッピング出来ないどころか、一度入ったらダンジョンから出ることも難しい。
とても先に進みつづけるのは無理だった。
だから他の攻略法を探したのさ。
このデスゲームから抜けるためにね。
そんな生活が一年を過ぎた頃かな。
ゲームマスターが、サキュバスの格好で出てきたのさ。
そんで、こう言いやがった。
『オスのマゾを見つけて射精させることができたら、全員生きたままゲームの外に出してやる』ってな。
正直、嘘だと思う。
罠だとも思う。
でも、それにすがるしか出来ない。
このデスゲームにキ○トさんは参加してくれそうにないし。
私達の中にこのゲームをクリアーできる者がいるとも思えない。
だから、男のプレイヤーを見つけて射精させる。
これが私達の生きる残る道なんだ。
わかったか?」
ラトのリアクションを待たずに女剣士は言葉を続けた。
「そういえばまだ名乗っていなかったな。
私の名前は、アヤ。
剣士だ。
この城全体がギルド化している。
そのリーダーが・・・私だ!」
(体験版はここまでです。続きは本編をダウンロードしてお楽しみ下さい)
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