第一章 ゴブリン編  ブレンネン大夜襲

ブレンネン村は、かつて東部穀倉地帯にあった中規模の農村。

ベルム310年6月8日夜、
この村を突如ゴブリンの大群が襲撃した。
その数は300体を軽く超えており、
ゴブリン単種の行動としては前代未聞の規模だった。

事件当時は、王国全土に衝撃が走った。
一夜にして村の三分の一が崩壊し、死傷者も多数出た。
またゴブリンに拉致された女性は18名にものぼり、
そのいずれも帰還を果たさなかった。


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bel 310.6.8

「村にゴブリンが入ってきてるぞ!」

夜の農村に、緊張した報せが飛んだ。
農民たちはもう夕食も済ませ、
明日の畑仕事を考えながら、そろそろ寝ようかとしていた頃合いだった。

「ゴブリンぐらい、俺達でも……?」

血気ある若者衆は、クワや大鎌を構えて集まると、
夜の闇へと走っていった。

みんなでかかれば、ゴブリンぐらい何とかなろう。
まだ人々が起きてる時間に村に入ってくるとはいい度胸だ。
これまでに盗まれた牛や豚の恨みを晴らしてくれる。

やがて村の端っこで、人と魔物が揉み合う騒音が聞こえた。





「おい、ゴブリンが村の中に出たらしいぞ」
「ねぇ、ゴブリンだって!」
「おいおい、カモが向こうからやって来たな」

流しの冒険者たちも、酒場の椅子から立ち上がる。
「息子が危ない目にあうかも知れない」と
お婆さんたちが酒場まで知らせにきたのだ。

任せておけ、低級妖魔なんか一ひねりだ!

冒険者たちは村人からボッタくるつもりはないが、
宿代ぐらいは奢ってもらえるだろうと踏んだ。

鉄の剣、戦闘用の弓。
農民たちが持たない、物々しい武器をひっさげて、
冒険者たちも意気高く村の端っこへと駆けていく。



しかし若者衆も冒険者たちも、なかなか闇から戻ってこない。
彼らは村の外までゴブリンを追いかけていったのだろうか?
それとも……

酒場に残ったお婆さんたちが噂を始めたころ、
夜の闇を突き破り、ゴブリンの群れが、町並みにまで押し寄せてきた。

冗談かと見まがうような大群だった。
暗視の利くゴブリンの目が、
赤々と光りながら、蛍の群れのように闇を動いた。

顔を引きつらせて村人たちは逃げ惑う。
その無防備な背中に、ゴブリンたちの凶器が振り下ろされる。
静かな農村の夜は、たちまち叫び声と血げむりの狂乱に染まった。





「ひいいっ、だっ、誰か!」
「いやっ! あっ! やめてえええっ!!」
『ニンゲン殺せ、犯せ! ギャギャギャギャッ!』



ある男は、寝室の入り口でゴブリンたちと戦った。
しかし彼は何本もの木槍で刺され、棍棒で撲殺された。
ゴブリンたちは、そのまま寝室へとなだれ込む。

男が守ろうとした妻と娘は、木槍や棍棒と同じ数の肉棒で貫かれた。
押さえつけられ、裸に剥かれ、揉みくちゃにされながら、
何度も膣穴に白濁を注がれた。

女性たちは一晩かけて、次々と別のゴブリンに凌辱された。
精液塗れの尻肉をピクピク震わせながら、彼女らは逃げる気力も体力も失った。
やがて未明ごろには手足を縛り付けられて、
村の外へとゴブリンたちが運んでいった。



ある姉は、村の役場に避難しながら、妹が来るのを待っていた。
しかし彼女は人づてに、親は殺され、
妹はゴブリンたちにさらわれてしまったと聞かされた。

急に天涯孤独となった姉は、
たまらず妹を追って、夜の闇へと走り出す。

彼女はすぐにゴブリンたちに取り囲まれた。
道ばたで服を剥ぎ取られ、
口に、膣に、肛門に、焼けるような肉の槍を深々とねじ込まれた。

泣き叫ぶ彼女の体内で、何本ものペニスがピストン運動をしていた。
その一番奥に、次々と、溺れるほどの精液を注ぎ込まれた。
涙と汗と精液で、姉は身体をベトベトにしながら暗闇の中に倒れた。

彼女もまたゴブリンの巣穴へと連れ去られ、
それから来る日も来る日も犯され続けた。

やがてお腹が大きくなると、
牢からお産の部屋へと移動させられ、
そこで姉は、同じようにボテ腹されてしまった妹との再会を果たした。









ブレンネンは、夜の戦火に燃えていた。

村には、わずかに戦闘要員も居た。
駐在の兵士と、宿を取っていた冒険者を合せて五名ほどだが。

彼らは都市へ伝令を走らせたあと、
農民たちと力を合わせ、必死にゴブリンを食い止めていた。
すでに村の半分は制圧されて、人々は村の役場を砦にして戦っていた。

暗がりの向こうで、鉄が食い込み、肉が潰れる音がする。
それは戦いの音であり、死の音だった。
一つ聞こえるたびに、人かゴブリンの命が一つずつ消えていく。



最初にゴブリンたちに立ち向かっていった若者衆と冒険者は、
弓使い一人を残して全滅していた。

ローラという名の女弓使いは、
ゴブリンに追われて孤立しながら、まだ死闘を続けていた。

暗がりに動く物影を、巧みな一矢で狙い撃つ。
一体、また一体とゴブリンを屠っていくが、
魔物たちは退くどころか、数が減っている感じさえなかった。




ビュンッ、バシッ!
『ウギィーーー!!?』

『誰か、殺ラレタ!』
『アソコ、弓兵居やがル!』
『ギィーーッ! 囲め! 押し潰セ!』



「何なの!? か、数が多すぎる……!」

ローラは涙目で、撃っては退き、撃っては退きながら、
最初に居た酒場まで逃げ走った。
酒場には他の冒険者も居たはずだった。

しかし酒場に入ろうとして、ローラは屋内にゴブリンが居るのを見つけた。
酒場のマスターたちは、血だまりの中で倒れている。
酒場はすでに制圧されてしまった後だったのだ。

(うっ、裏目に出た……!)

酒場からゴブリンたちが飛び出してくる。
背後からはゴブリンたちが追いついてきた。
もう矢筒は空っぽだった。
ローラもついに、ゴブリンたちの手にかかった。





「きゃああっ!?」
『弓兵、捕まえタ! こいつメスだぞ!』
『ギィー、剥いちまエ! 犯っちまエ!』
「やだっ! いやああああっ!!」

矢のない射手など、農民と同じ無力さだった。
ローラは骨折しない程度に全身を打撃され、
弱ったところで服を剥かれた。

ドスッ、ボカッ、ボスッ!
「ぐっ……ぐふっ……!」

『こいつ、仲間イッパイ殺しタ!』
『殺した分だけ産ませル! 10倍、産ませル!』

「い……いや…… やめて……!」
ローラは羞恥と恐怖に震えながら、乳首と陰部を手で隠す。

ゴブリンたちはその手を掴み、引っ張って、容赦なく秘部を開かせた。
そのまま手足を荒縄で縛り付け、
酒場の前にあった飾り柱にローラの身体を固定した。

「いやぁ! いやあああああぁーーっ!」

開脚で縛られたローラは、隠そうとした乳房も陰部も丸見えだった。
それをまじまじと見たゴブリンたちは、戦闘と性欲の興奮にいきり立つ。
彼らは長いペニスを鉄槍に変えて、次々とローラに襲いかかった。





ずぷうううっっ……!
「あああああぁぁーーーっ!!」

ローラの膣と肛門を、骨の通った硬いペニスが貫いていく。
女の秘肉は、戦いの後で火照っていた。
ゴブリンのペニスも負けず劣らず高温で、
オスとメスの結合部は、ガッチリと食い込んだ肉が焼きあうようだ。

『弓兵、チ○ポ、ブチ込んでやった! マ○コがギュウギュウ! 熱々!』
『ケツの穴、ギチギチ! 新品、新品!』
「いっ、痛! あぐううぅぅーっ!!」

ローラは激痛にも構わずにじたばた暴れる。
ゴブリンたちはその反応を喜びながら、
ローラにしっかりと抱きつき、肌と肌を密着させた。

ゴブリンは自分の胸板で、女の乳房を圧し潰した。
その奥から早鐘のような鼓動を感じて、
ニンゲンに与えた恐怖と苦痛にニヤリと笑った。

他のゴブリンたちも、パンティを女の顔に押し付けて侮辱したり、
豊かに実った乳房の肉を、握りつぶすように揉みしだいてローラを嬲った。

「ぶはっ、やめて! 誰かっ、誰か助けてえええっ!!」

ローラが泣きながら悲鳴を上げると、
膣穴と肛門の中で、ペニスがさらに硬くなる。
ゴブリンたちはいよいよ女肉の奥を突きはじめ、ローラの胎内をかき回した。





ずぷっ、ずぶっ、ずんっ、ずんっ!
「あっ、あっ、いやっ! いやあぁぁっ!!」

まだ濡れていない膣壁を、亀頭で削り取るように突き込んだ。
痛みと拒絶で、膣肉は必死に締め上げる。

ペニスはすぐさま大量の先走りを分泌し、
膣の防御をかわして、ズルリと奥まで滑りながら侵入していく。
次の瞬間、ゴブリンの硬くて尖った亀頭が、
ローラの子宮口を強く撃ち抜いた。

ズムッ! ズンッ、ズグッ、ぐちゅっ!
「ぐはっ、うぐっ! やめて、壊れる……!」

腰の突きで、ローラの尻は一瞬浮いた。
すぐに自重で落下して、膣の奥へと、ペニスが痛く突き刺さる。
それを何度も激しくくり返されて、ローラの膣も尻穴も、みるみるうちに拡張される。

『ギヒヒッ! おっぱいブルンブルン!』
『もっと突ケ! もっと揺らセ!』
「あぐっ、やめっ! ぐあっ! ぐあっ!」

ズンッ、ズンッ、ズンッ、ズンッ!
ローラの身体は、乳房もろとも縦に揺り動かされる。

性欲を満たすだけでなく、人間に対する憎しみをも晴らすため、
ゴブリンたちはローラの裸体を犯すと同時に見世物にする。
ローラの乳房は闇の中で汗に光って、柔らかくしなやかに揺れ弾んだ。



『ギャッ、ギャッ! さっきの弓兵、犯されてるゾ!』
『メスだったのカ! 乳デケエ!』
『俺にもヤらせロ!』

見世物は功を奏して、暗闇の中から、さらにゴブリンたちが集まってきた。
ローラはゴブリンたちに取り合いされて、
口の中までペニスをねじ込まれた。

「いや、来ないで……んぶうっ!?
 ぷあっ、く、くさいっ……んむぐうううっ!」

ローラの口に、猛烈な臭気が染みこんでいく。
ゴブリンのペニスは、汚い汗と恥垢でドロドロだった。
たまらず反射的に噛み付くが、
凌辱仕様のペニスは骨が硬くて、文字通り歯が立たなかった。






ずんっ、ずんっ、ずぶっ、ぐぼっ!
「んっ、んんんぅーーっ! んぐっ、んぐううっ!」

『マ○コ、ギュッギュする! めちゃくちゃ嫌がってル!』
『ケツ肉も、ケツ穴も、キュッキュ動いてル!』
『ギャッ、ギャッ! ウラミ、お返シ!』

大開きになったローラの陰部に、ゴブリンのペニスが激しく出入りしていた。
ゴブリンの赤黒い棒がズチュッと動くと
ローラのピンク色のヒダが、膣の外まで引き伸ばされたり、膣の中で圧し潰されたりする。

ずぶっ、ぐちゅっ、ぎゅむっ!
「んうぅーーっ! んううぅーーっ!!」

身の詰まったローラの尻が、陰部を突かれるたびにきゅっと締まった。
口に突っ込まれたペニスの汚さのせいで、
膣内のペニスもひどく不潔であると、そこを犯されているローラが気付いたのだ。

膣の中に、吐き気のする悪臭がすり込まれている。
ゴブリンの腐った汗や、ドロリとした恥垢の塊が、膣の奥まで押し込まれている。
ローラはその不衛生さに性病を予測し、感染の恐怖で何度も尻をすぼめていた。

「んんんっ!! んぐうううーーーっ!!」
(やめて、やめてぇっ!!
 私のアソコに、汚いおチ○チン入れないで!!)

  ※ちなみにゴブリンのペニスは、野外での強姦を前提としているので、
   先走り液の中に強力な免疫機能を持っている。
   魔物は基本的に性病を持たず、ローラの恐がり損だった。



パンパンパンパンッ! ずぼ、ずちゅっ、じゅぼっ!
「むぐうっ! うっ! うっ! うぐぅ!」

ゴブリンの腰が激しくなった。
ローラの嫌がる尻肉を打ち、乳房のように弾ませている。

妖魔は汗らだけの身体を女体に密着させた。
その子宮に新しい命を息づかせようと、
膣の中で、ペニスが子種を準備しながら膨らんでいく。

パンパンパンパンッ!
どびゅっ、びゅるるるっ、びゅくうっ!
「むぅっ!? むううっーーーっ!?」

ローラは、涙を飛び散らせながらのけ反った。
彼女の奥では、熱い子種がたっぷり噴出していた。
尻肉が小刻みに痙攣し、今までで最もきつくペニスを締めつけていた。

どくんっ、どくんっ、どくん……
「んおっ……おっ……おっ……!」

こってりとした精液が、ローラの膣で脈打っていた。
膣圧が子宮口の圧力を超え、子宮の中へと子種汁を押し込んでいく。
魔物の精子は子宮内で激しく尻尾を動かして、
卵細胞との出会いを求め、さらに奥へと泳いでいった。

(い…いや……種付けされた…… ゴブリンを妊娠しちゃう……)

今度は妊娠の恐怖にさらされて、ローラの尻がわなないていた。
性病の恐怖は空想だったが、
ゴブリンの孕ませについては百発百中の現実である。

ローラは自分の中に魔物の肉が生まれる予感に
がっくりうな垂れ、唇を小さく震わせていた。










ローラはそれから、続けて何周も輪姦された。
ゴブリンたちの縛り方は手慣れていて、
ローラは何の抵抗も出来なかった。

陰部を好き放題に蹂躙されている間じゅう、
彼女は両足を閉じることさえ出来ないのだ。

やがて戦場は村役場の方へと移っていった。
ローラが犯されている酒場は前線から遠くなり、
ゴブリンたちも凌辱を切り上げて立ち去った。

襲撃の嵐が過ぎ去ると、酒場の前は廃墟になった。
人間たちも、ゴブリンも、周囲にいるのはすべて死体だ。

ただローラ独りだけが、淫らで恥ずかしい姿勢のままで、
夜闇の中に柱からぶら下がっていた。





「あ……う……」
ローラは口からゲボッと精液を吐き、目からは涙が止まらなかった。

大股の真ん中に咲いた女性器は、ヒダが爛れて伸びていた。
ほとんど男性経験のなかったローラの膣が、
いまや開きっぱなしになって、奥から臭い精液を垂れ流していた。

仲間を殺されたゴブリンたちの仕返しだった。
魔物たちはわざと膣が広がるように、
ペニスでこじ開けながら犯していたのだ。

刀傷などは無かったものの、
拷問のような性交によって、ローラはすっかり疲弊していた。

縄を引きちぎるのは到底無理だ。
彼女は助けを呼んで叫ぶ気力すら湧いてこなかった。



(このゴブリンたちは……一体なんなの……)

ローラは精液と死体に囲まれながら呆然としていた。
涙に曇る視界の向こうで、村のあちこちが燃えていて、
夜のとばりに赤々とした煙の柱を立ち昇らせる。

ローラは過去に何度もゴブリンを討伐していたが、
巣穴を焼き払ったときでさえ、ゴブリンが100体も出てくることはなかった。

彼女はなにか、良くない予感で背筋が震えた。
アルメキア王国全土を包むような異変を感じた。

(なんとか人間側が勝てますように……)

その祈りは、神と魔王のどちらに届くのだろうか。
ローラに知るすべもなく、彼女は無様な格好で縛られたまま、
パチパチと村が燃える音を遠くに聞いていた。




















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翌日の朝。

ローラの祈りは効いたのだろうか。
ブレンネン村の戦いは、辛くも人間側の勝利で終わった。

もちろん農民たちの力では、ゴブリンを殲滅することなど不可能だった。
彼らは団結して守りに徹した。
するとゴブリンたちも村を攻めきれず、朝日という時間切れを迎えてしまった。

すでに未明ごろからゴブリンたちは村の攻略を諦めて、
占領地区での略奪や凌辱に熱心だった。
彼らは朝日を合図に、大量の食糧や若い女を担いで、村の外へと引き上げていく。

なんとか戦いを生き延びて、ブレンネン村が陽光に照らし出された。
村人たちは、昨日までと一変して地獄に変わった我が村を見た。

ゴブリンに負けた側の地区は、どこを見ても死体だらけだ。
戦って殺された男性と、凌辱されすぎて死んだ女性、
そして人間を恨みながら力尽きたゴブリンたちの死体だ。

冒険者たちも、あわれ死体となって村人たちに回収された。
しかしローラひとりだけは見つからなかった。



彼女はあの後、占領地区に戻ってきたゴブリンたちに再び囲まれ、
二度目の輪姦を受けて、日が昇るまで犯されていた。

吊されていた裸体を地面に引きずり下ろされて、
十体以上のゴブリンたちに囲まれながら、
乳房や尻をむしゃぶるように汚された。

もちろん十本以上のペニスで何度も胎内を汚されて、
望まない子種を子宮の中へと注ぎ込まれた。
ローラはそのたびに、汗や涙にまみれて泣き叫んでいた。

ローラにもゴブリンたちにも分かりきっていたが、
この夜、彼女はゴブリンの子を妊娠した。

ローラは疲れて弱り、ぐったりと倒れた。
ゴブリンたちは日の出とともに彼女を担ぎ上げ、
えっほえっほと村の外へと運んでいった。

――その後、ローラが人間社会に帰還することは
永遠になかった。











当時としては、異様な事件であった。

王府は「ブレンネン大夜襲」と名前を付けて、
調査部隊などもブレンネンまで派遣した。

しかしこの時期を発端にして、
大陸全土で魔物たちの活性化が始まっていた。

似たような大襲撃は王国のあちこちで発生し、
ブレンネンに派遣された王国軍も、すぐに王都へととんぼ返りだ。



果たしてその六年後、
ブレンネン村はゴブリンたちの第二次襲撃によって滅ぼされてしまった。

ゴブリンたちは六年間で、ひたすら生殖をくり返していた。
さらった女性を凌辱し、孕ませ、子を産ませ、また凌辱して、
(ゴブリン以外の者の指導もあって)
人里には近寄らないよう気を付けながら、ひたすら数を殖やし続けた。

第二次大襲撃には、二千体弱のゴブリンたちが参加していた。
また、そのうちの八十体ほどは、ローラが産んだゴブリンだった。

王府は再び騒然となる。
第一次襲撃でも驚いたのに、
第二次襲撃では敵の数が一ケタ増えていたのだから。

かくして地図からはブレンネンの名前が消えて、
新たに魔物の拠点が生まれた。
これ以降、アルメキア東部は長年にわたって人間と魔物の戦場になる。






























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bel 310.8.10

話はすこし巻きもどり、ブレンネン大夜襲から二ヶ月後。
舞台は王国領の東方にある、辺境の山脈。



岩山の地下には大きな洞窟が広がっていて、
そこがブレンネンを襲ったゴブリンたちの巣穴になっていた。
むせる悪臭に満ちた岩屋は、ゴブリンたちの楽園である。

普通の巣穴よりゴブリンの数がずっと多くて、
亜人たちは蟻のように岩の道を行き来していた。
彼らの日課は、食糧の調達と家畜の世話、そして繁殖だった。

つまり、何十人もの女性が洞窟の中に囚われていた。

彼女たちのほぼ全員は妊娠していた。
ゴブリンの子が詰まった腹を、重たそうにぶら下げて、
汗と垢にまみれた裸体で繋がれている。





「ぅ……ぁ……」
ローラの乾いた唇が、わずかなうめき声を漏らした。

けっきょく彼女の祈りは、彼女自身を救わなかった。
種付けされてしまったお腹は、
彼女の願いをまったく無視して、一日ごとに大きくなった。
そしていまや、抱えるようなボテ腹へと変わり果てている。

ローラは自分の腹を見るのが嫌で、
いつも壁のシミなどを見つめながら生存していた。

しかしいくら目をそむけても、出産日は確実に近づいている。
胎児の成長を、ローラははっきりと自覚していた。

ポタ……ポタ……

ローラの股間から雫が落ちて、
岩床の上で汚い固まりになっていた。

今日もさんざん凌辱されて、
彼女の膣には大量の子種汁が溜まっている。

(もう……いや……)

自分が人であるのか、ただの肉塊であるのか分からなくなる。

美人と人気であった冒険者ローラの時代は、今は昔だ。
ケモノと汚物の臭いにまみれ、魔物を孕んだ大腹を抱え、
地下の暗がりから浮き上がるようにぶら下がっているのは、肉塊だった。

性器を見せつけるような格好で、一日中を過ごしていた。
その性器も、いまや見られた形ではない。
凌辱の果てに変形してしまった彼女の女陰は、
変色した小陰唇を大きくビロビロとはみ出させていた。

ゴブリンたちの数が多いので、
ローラは毎日、何十本ものペニスで貫かれる。

そしてペニスは、ローラの中に次々と精液を残していく。
彼女はまさに精液用の便所だった。



人間側が勝ちますように。

かつてローラは、
わが身の安全を祈らず、まず第一に、人類の安全を願った。

彼女は健気な冒険者であったけど、
今やそのお腹を苗床にして、
人類の敵が産まれてくるというのは――残酷な皮肉だ。

世界は常に変動をくり返す。

今という時代には、
世の中が光から闇へと傾きつつあるようだった。

やがてローラも、
ウジャウジャとゴブリンの子を産んでしまった。
産んだらすぐに次の種付けをされ、
『苗床の胎を空けるナ!』とばかりに、彼女は一年中妊娠させられていた。

彼女の産んだ赤子たちは、
一年も経つと、棒きれを振り回す餓鬼となる。
二年が経つ頃には、槍のようなペニスでローラを犯した。



そして六年が経った。

新しい世代のゴブリンたちは勢ぞろいして、
先代の残念を晴らすため、
ブレンネンの村を目指して出陣していく。

息子たちの初陣を、ローラは空洞のような瞳で見送っていた。
ローラの健気な祈りは、どんな結末を迎えるのだろうか。
しかし彼女はその答えを知るより前に、
さらわれてから四年目ぐらいで、心が完全に壊れてしまっていた。