カミノ村は王都南方の街道ぞいにある農村で、宿場町でもある。
そのカミノ村で、過日、女性二名がゴブリンに拉致されるという事件が起こった。
うち一名は冒険者ギルドに登録のある女戦士であり
ギルドでは現在、救出パーティーを編成して彼女の捜索に当たっている。
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bel 327.9.20
最初に行方不明になったのはパン屋の娘で、
名をジョーヌという。
「料理に使う香草を採ってくる」と朝一番で森に出かけて、
昼が過ぎても帰ってこない。
―きっと、ゴブリンに攫われてしまったんだ。
農民たちは青い顔でささやき合った。
ここ数年、ゴブリンたちはひどく数を増やし、
また凶暴になっていた。
夜になると牛や豚を殺して奪う。
時には白昼堂々と農民を襲い、女を攫ったりもする。
しかし冒険者たちの間では、ゴブリンは依然として、
初心者用の狩りの獲物という認識だ。
『その認識は危険だ』と王府は再三にわたって警告しているのだが
気ままな冒険者たちは、なかなかお役所の文に目を通してくれなかった。
ちょうどその週、カミノ村の宿屋で一休みしていた女戦士リコも、
ゴブリンを軽んずる冒険者たちの一人だった。
「ゴブリンなんて大した魔物じゃないわよ。
私が森に行って、ジョーヌさんを探してきてあげるわ!」
リコはギルドに登録を済ませたばかりの新米冒険者だった。
そんな彼女でも、ゴブリンなら戦って倒した事がある。
これは良い経験稼ぎだとばかりに、彼女は村人たちに名乗り出た。
「すぐに帰ってくるから、美味しい物を作って待っててね!」
こうして女戦士リコは、ジョーヌさんを救うためというより、
ゴブリンを狩るために森に出かけた。
リコの提案を聞いても、農民たちには戦いのことが良く分からない。
またリコという人間のレベルを知らない……彼女は知り合ったばかりの旅人なのだ。
なので、どう判断していいのか分からず、ただリコの背中を見送っていた。
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「あっ……うっ……もういやぁ……!」
『ギッ、ギッ! オレの子、孕ませル!』
森の茂みをユサユサと動かしながら、
ゴブリンたちは、寄ってたかってジョーヌを凌辱していた。
朝からずっと捕まっていたらしく、ジョーヌはすでにぐったりと疲れた様子だ。
ずぶっ、ずちゅっ、ぐちゅっ……
「駄目……もう中に出すのはやめて……」
ジョーヌの懇願など聞こえもしないように、ゴブリンは激しく腰を突く。
ひときわ強く突き込んだあと、『ウッ!』と身を震わせてこわばった。
少し間を置いて、女と亜人の密着部から、黄ばんだ精液があふれた。
「あぁ……」
ジョーヌが唇を震わせながらうな垂れた。
そんな幕間に、女戦士リコは颯爽とあらわれた。
「こっ、この! なんて事を……?
ゴブリン共め、その人を離せっ!」
勇ましいリコの声が森に響くと、臆病なゴブリンたちはすくみ上がった。
六体でジョーヌを輪姦していたゴブリンたちが、恐る恐るふり返る。
もしもこの時、リコが一気に斬り込んでいたら、彼女はゴブリンに勝てたかもしれない。
しかし薄暗い森の中で、十二個もの赤眼が一斉にリコを注視したとき、
彼女も思わずひるんでしまった。
かつてリコは、ゴブリンを二度にわたって討伐したが、
どちらもパーティーを組んだ上での勝利であった。
今日の彼女はゴブリンたちの敵視を一身に浴び、
「一人で戦うと、こうも違うのか」と、敵の数に気圧されていた。
おびえる弱者同士が戦うときは、
先に攻めた方の勝ちである。
そして今回の場合は、ゴブリンたちが先に動いた――
『ギィーっ! この人間もヤッチマエ!!』
『メスだぞ!』
『勝ツ、犯せル! お前ラ行くゾ!』
ゴブリンの一体が思い切ると、あとの五体もそれに続いた。
迫るゴブリンたちの姿を、
リコは他人事のように呆然と見ていたが、
ゴブリンの石斧が直撃する寸前になって、慌てて剣を構えた。
「わああっ!?」
ガンッ、キィンッ!
リコの剣は、とっさにゴブリンの打撃を受け流した。
ゴブリンの打ち込みは単純で、力もそれほど強くない。
一応の訓練を受けたリコにとってはたやすい相手だ。
しかしゴブリンたちには勢いがあり、
何より六体という数は、リコのキャパシティを超えていた。
「こっ、このっ!
ちょっと待ってよ……!」
カンッ、ゴンッ!
カァン!
バコッ!
ゴブリンたちのお粗末な攻撃は、
ものすごい手数で押し寄せてきた。
お粗末といえど、石斧や木槍で打たれては、骨の一本は折られかねない。
カウンターを決めるような技量は、リコにはまだ無い。
なのでリコは、剣と盾で防戦一方だった。
『勝てるゾ! フクロ叩きスル!』
『いつも偉そーなニンゲンめ!!』
カンカンと打ち合ううちに、
ゴブリンはどんどん強気に、リコは弱気になっていく。
「こっ、こんな……こんな……!!」
リコは蒼白な顔で防御しながら、ジリ貧気味に後退していく。
やがて靴のカカトに木の根が当たって、リコはズデンと後ろに転んだ。
「しまった――」
『ギィッ! やったゾ!』
カンッ! ゴンッ!
リコが無防備に倒れると、ゴブリンたちは彼女の剣と盾を弾き飛ばした。
先に敵に止めを刺さないのは、すでに凌辱のことを考えているからだ。
ドカッ、ボカッ、ドコッ
「あぐっ! うあっ! やめ……!」
ゴブリンたちはリコから武器を奪ったあと、
寄ってたかって彼女の身体を弱く打撃し始めた。
ボカボカと殴り続けて、ゴブリンたちは獲物を弱らせようとしていたのだ。
こうして新米女戦士とゴブリンたちの戦いは、
ゴブリン側の勝利で終わった。
「うぐぅ……ほ、ほどきなさいよぉ……!」
リコはすっかり縛り付けられ、無様に這いつくばっていた。
見れば、ジョーヌと同じ格好で手足を拘束されている。
リコがこれからゴブリンたちに何をされるのかは明白だ。
『またメス捕まえた!』
『二匹メ! 二匹メ!
『犯セ! 犯セ!』
「ひ……嫌……!?」
ゴブリンたちに輪になって囲まれると、
リコの心臓は恐怖で鼓動を強くした。
リコはまだ処女だった。
だから犯されることがより恐ろしく、
またどんな苦痛であるのか想像出来ずに、指の先まで冷たくして震えていた。
「や……やめて……! お願いです、やめて下さい……」
ミイラ取りがミイラになって、もはやリコには恥も外聞もない。
『キキキ……!』
ゴブリンの一体がリコの股間をのぞき込み、
白いパンティに顔を埋めて、ふっくらとした大陰唇を長い鼻で割り開く。
その裂け目の奥にあるリコの具を、ゴブリンはフガフガと嗅ぎまわした。
『ギヒヒ、生娘のニオイだ……!』
「いやぁーーっ!」
リコは強い嫌悪を感じ、たまらず俯いて叫んだ。
その尻をゴブリンたちが鷲づかみにし、
パンティを一気に引きずり下ろした。
「やだっ、やだあああっ!」
『剥いちまエ!』
『素っ裸にスル!』
陰部を裸にされると、リコは恐怖をピークにして悲鳴を上げた。
ゴブリンたちはその鳴き声に興奮し、
我も我もと、リコの脱衣ショーに参戦してくる。
「あぁーーーっ!!」
たちまちリコは鎧から下着までむしり取られて、
生まれたままの姿にされてしまった。
「やっ……やめて……やめて下さい…… 誰か助けて……」
人間は、裸にされると急に心細くなるものだ。
リコは『なぜ冒険者なんかになったのだろう』と
後悔しているようなありさまだった。
負けると”こうなる”のは分かっているつもりだった。
しかし、いざ裸に剥かれて、肌に冷たい空気を感じると、
自分は何も分かっていなかったのだと思い知らされた。
『ギャッ、ギャッ! 許して欲しかったら
”ゴブリン様ごめんなさい”と百万回言ウ!』
『オレは許さねぇけどナ!』
『誰からチ○ポをブチ込む!?』
対するゴブリンたちは得意絶頂だ。
先ほどまで剣で戦っていたいう興奮もあり、
亜人の長細いペニスは鉄のように硬く勃起していた。
『ジャアそろそろ、頂きマース!』
「いやぁーーっ! いやああぁーーっ!!」
ゴブリンの一体が覆いかぶさってきた。
焼けるようなペニスがリコのお尻にペタペタ当たる。
オスの肉牙を肌に感じて、リコは半狂乱に悲鳴を上げる。
ゴブリンはいよいよその先端を、リコの膣穴にあてがった。
「おっ、お願い……! 私初めてで……こ、こんなの嫌っ……!」
ずぶううううっ!!
「あぐううぅーーーっ!!?」
ずぶっ、めりっ、ずぷぷぅ……!
「あっ! あ”ああぁーーーっ!!」
槍のようなゴブリンのペニスが、リコの処女膣に大穴を開け、
奥へ奥へと力まかせに滑り込む。
女戦士だけあって、リコの膣は強烈な筋力でペニスを締めた。
しかし魔物のペニスは凌辱に特化しており、尖っているうえに、太い骨まで入っていた。
ペニスは処女の締めつけをこじ開けながら、まっさらの膣を無惨に開通していく。
ずぶぶぅ……!
「あぐあっ! いぎっ、ぎいいいっ……!!」
思っていたより、はるかに痛い。
リコは脂汗を浮かべながら、膝をガクガクと震わせていた。
ぶち……ぷち、ぷち……
「いや……こん、な…………!」
そして何より、初めてを奪われたことが耐えられなかった。
処女膜が千切れゆきながら、膣の中でプチプチと響いていた。
がさつな性格ながらも、夢見がちな部分もある少女だった。
大切に思っていた純潔が引き裂かれていく感触は、
リコの心の中にも、槍となって深く突き刺さった。
(そ……そんな…… あっ……あっ、あっ……!)
ペニスはまだ入ってくる。
まだ、進んでくる。
激痛と、圧迫感と、拡張感。
言い訳のしようもなく、処女ではなくなってしまった。
最後にペニスが子宮口に突き刺さる。
リコを「ぐえっ」と涙目でえずかせながら、
そこでようやくペニスの前進は止まった。
ズブッ! ズブッ! ズブッ!
「ふぐっ!? うぐっ、ぎっ、痛”っ、痛”だあ”ぁっ!!」
開通式が終わったとたん、ゴブリンは一気にピストンを始めた。
潤滑液はゴブリン自身が分泌していた。
凌辱仕様のペニスは大きく引き抜かれたかと思うと、
また勢いよく膣の中へと突っ込んでいく。
「あぐっ、うぐっ、うぐぅっ!」
敗北のペナルティは凌辱だ。
今まで他人事だと思っていた結末だった。
オスの体重に押さえつけられ、身体の内側にまでオスの気配をねじ込まれ、
リコは敗者というものを自覚した。
ずぶっ、ぶすっ、ぶすっ!
「あぎっ、いやっ、抜いてええっ!!」
膣壁は摩擦で焼けるような痛みを発し、
膣奥には硬く尖ったペニスで突き刺す痛みが疼きこもった。
しかもゴブリンのペニスは、その尖った先端に快楽点が集中していた。
子宮口を突いて痛め付ければ、その分ゴブリンは気持ち良いのだ。
人間を苗床にしつつ、苦痛も与えるための進化であった。
『ギィッ、ギィッ! ギッチギチ締まるゥ!
初物たまんネー!』
「あぐっ! ぐううぅぅーっ!!」
ゴブリンの突きが加速する。
リコの痛みは増大し、周囲のゴブリンたちは盛り上がり、
やがて『孕ませろ!』『種付けしてやれ!』と野次が飛び交い始めた。
それに応えるように、ゴブリンの竿は太さを増して脈打ち始めた。
リコはいよいよ顔を蒼白にして、あらん限りの声で叫んだ。
「いっ、いやあああぁぁーーーっ!!」
『ウゥッ、出るゥーーーっ!』
「あああああああぁぁーーーーっ!!」
どびゅっ、びゅるるっ!
身体の一番真ん中に、熱い異物が注がれていく。
ギチギチに締まった膣の向こうで、
精液は勢いよく子宮の中へと入っていった。
「いやっ! 抜いてっ、やだああぁーーっ!!」
ゴブリンに犯されると孕むことぐらいは、
リコも常識として知っている。
しかも人間の子種よりも、魔物はずっと孕みやすいのだ。
どくん……どくんっ……
のけ反ったリコの胎内で、子種は肉に染みこむようだ。
早くも女肉に根を下ろし、そこでゴブリンの幼生を作ろうとしている。
「いやああっ!! ゴブリンとの子供なんて嫌あああああっ!!」
『ギャッ、ギャッ、ギャッ!』
『いいゾ! いいゾ!』
『生意気なニンゲンは、腹ボテの刑ッ!』
女の絶叫で周囲のゴブリンたちも射精を知って、やんやと大喝采を始めた。
(ああ……ああ……!
私、どうなるの…………?)
冒険に出て初めての敗北から、リコは一直線に坂を転落していた。
裸で縛られ、処女を奪われ、女の穴に種まで付けられてしまった。
腹ボテの刑。
今日までは他人事だった凌辱も、
いまやリコは自分の現実であると実感していた。
お腹の中で熱く広がるこの液体が、
やがて本当に実を結ぶ。
そしてリコは大きな妊婦腹を抱え、ゴブリンの子供を産み落とすのだ。
それを少しでも想像すると、リコは恐怖に肝を震わせながら、喉が裂けるような悲鳴を上げた。
それはリコの敗北を伝える決定的な声だった。
ゴブリンは勝利の余韻に浸りながら、
嫌がるリコの中に、子種を最後の一滴まで注いだ。
「あ……ああ…………」
股間からポタポタと精液をこぼしながら、
リコはがっくりとうな垂れていた。
下腹にこもった子種が、熱病のようにリコの身体を火照らせていた。
リコは、今までとは違う自分になったと感じた。
種が付いているメスになった。
彼女は子持ちのししゃもを思い浮かべて、ブルッと首を左右に振った。
その様子をジョーヌも絶望のまなざしで見つめていた。
いっときはリコに期待をしたパン屋の娘は、
「神さま……」と呟きながら、無惨な女戦士の裸体から視線を逸らした。
次のゴブリンがペニスをしごきながらリコに近づいていく。
リコが身代わりになっている分だけでも、ジョーヌは救われているのか。
「も……もう止めて…… 許して……」
一方のリコは、涙声で呻きながら、迫ってくる二本目のペニスに怯えていた。
処女を散らせたばかりの性の初心者だというのに、
今から六体がかりで、めちゃくちゃに輪姦されるのだと分かってしまった。
壊れてしまう。
うぶな痛みに疼く膣が、ヒクヒクと震えた。
リコは嫌々と首を左右に振るのだが、
ゴブリンはそんな彼女の尻を捕まえ、その膣をふたたび男根で貫く。
ずぶっ、ぎちっ、ずにゅっ!
「あぎっ! ぐっ、うぐっ!」
熱いペニスが前後に動き、リコの中を拡張していく。
膣の肉はまだまだ固くて、
ペニスの幹が通り過ぎるたびに肉離れのような痛みを生んだ。
(うう……もうやだ……! 誰か助けて……)
文字通り、凌辱されても手も足も出せないリコだった。
リコは拳をギュッと握りしめながら痛みに耐えた。
しばらくリコもゴブリンも喋らなかった。
すると意識は膣だけに集まって、
焼けるような膣壁から、凌辱の痛みと悔しさを強く感じた。
『ハッ、ハッ、ハッ……!』
「うっ…… ぐっ……うっ……!」
ずぶっ、ずぶっ、パンパンパンパンッ!
ゴブリンの肌に汗が浮かんで、腰はどんどん早くなる。
やがてゴブリンはリコの尻肉をギュッと握りつぶすと、
その内奥に、たっぷりと精液を注ぎ始めた。
「ふぐぅ…… 嫌ァ……!」
またリコのお腹に広がっていく熱い流動。
リコは目を固く瞑りながら、森の地面に悲しみの涙をこぼした。
ずぼっ、ぐぼっ、ぬちゅっ……
「んっ、むぶっ! んごっ……!」
『ギィッ、もっと強くチ○ポ吸え!』
ずぶっ、ずぶっ、ずぶっ……!
『ケツの穴、ダイブほぐれてきた、キキキッ!』
「うぐっ、ぐぅっ、あぐっ!」
パンパンパンパンッ!
『オマエがケツを突くたび、マ○コがキュッキュ締まル!』
『キヒヒッ、ケツ穴もガバガバにしてやるゥ!』
「いやあぁ……! あっ! あっ! あっ!」
どびゅるるるっ……!
どくんっ、どぷっ!
どびゅっ、どびゅるっ、びゅるるるっ……!
「ふぁ……あ…………!」
ゴブリンたちは輪になって、ぐるぐると巡りながらリコを犯した。
いつの間にか巣穴から仲間を呼んで、
リコとジョーヌを輪姦しているゴブリンたちは十数体にまで増えていた。
リコはもう、処女だったことを忘れてしまうぐらいに犯された。
膣も、口も、肛門も、あふれんばかりに精液がこびり付いている。
リコは女の子なのに、その身体からはオスの臭いばかりが立ちこめていた。
二人の女性は延々と犯され、
太陽が山稜にかかる時刻になって、ようやく一段落を迎えた。
二人ともバケツで精液を浴びたようなありさまで、
全身の穴という穴を開きっぱなしにしてぐったりとしていた。
『ギィッ! こいつ、食って、元気を出スッ!』
ゴブリンの一体が、どこから持ち出したのか、大きなニンジンをリコの肛門に挿し込んだ。
表皮の乾いたニンジンを、そのまま太い部分まで、力任せにねじ込んだ。
「あぎゃあああああっ!?」
リコは突然大声を上げ、乳房をブルンと震わせながらのけ反った。
『元気が出たゾ』と、ゴブリンたちはどっと笑った。
「う……あ……」
リコはぐったりと呻いた。
体力をこそぎ取られて、
肩でハァハァと、息をするのも一苦労だ。
半日前まで無垢な処女だった身体を、
痰ツボのように汚されてしまった。
子宮と腸の中には、ゴブリンたちの白い精液が、ズッシリとした重みを感じさせている。
桜のつぼみのようだったリコの小陰唇が、
伸び崩れた花弁となって、大陰唇の外まではみ出している。
乳房はなんども握りつぶされ、赤く腫れて、ジンジンとした痛みが酷い。
いつか、素敵な冒険者と恋に落ちたかった――
ゴブリンたちの前で裸にされて、
肛門のしわや膣のヒダまで数え上げられ、
全身の肌には、生乾きの精液がこびり付いている。
きっと、すごく臭いのだろう。
リコの鼻はとっくに麻痺してしまったが、
男の人がこの場にいたら、臭いのせいで逃げ出しそうだ。
(もう……私……)
すでに自分は女ではなく、女の残骸であるとリコは思った。
とあるゴブリンが、リコの剣を拾って近づいてきた。
ゴブリンはチャキリと剣を構え、
その切っ先を、リコの鼻先へと向けた。
『この剣、オマエの剣。
オマエ、これで、オレ達に何をするつもりだった?』
「うう…………」
リコはドロンとした目で剣の方を見やるが、
返事をする気力もなかった。
するとゴブリンは、リコの尻に刺さったニンジンを掴むと、
穴の奥をえぐるようにグリグリとねじった。
『ニンジン、美味しい? 美味しい?』
「あぎゃあああああああっっ! 痛いっ、痛いいいっ!!」
リコをたっぷり二十秒ほど苦しめてから、
ゴブリンは手の動きを止めて、もう一度リコに質問をする。
『オマエ、この剣でオレ達に何するつもりだった?』
「う、う…… ゴブリンをやっつける」
『オマエ!! オレ達を殺そうとシタか!?』
「ひっ……ちっ、違う……!」
ゴブリンがすごむと、リコは思わず否定した。
だがそれはどう見てもウソなので、
ゴブリンはニンジンを持つ手に力を込めて、リコの肛門を奥深くえぐった。
ズボォ! グリグリッ!
『違うのか! じゃあナニ? 嘘つきには、もう一本ニンジンご馳走スル?』
「あぎゃあああああっ、痛っ、ごめんなさい、違いません!
そうです、ゴブリンを殺すための剣ですぅっ!」
リコがたまらず白状すると、ゴブリンはスッと眼を細めて言う。
『オマエ、この剣で、ゴブリン死なせたことはあるか』
「え……! そ、それは……」
グリグリグリッ!
「痛あ”あ”あ”あ”あっ!!
ぐああっ、あっ、ありますっ! ゴブリン殺したことある! ごめんなさいいぃっ!!」
リコは涙と鼻水にまみれながら正直に答えた。
ゴブリンはリコの首筋に剣の腹を当て、
頸動脈をひたひたと叩きながら問答を続ける。
『じゃあ……オレ達勝った。 オレ達、オマエ、殺す! 当たりマエ!』
「ひっ、ひいい…………!?」
急に「殺す、殺さない」の話になって、
リコは心臓が止まりそうなほどに怯えた。
目の前がぐわんと揺れて、自分の手足がどこにあるか分からないほど動揺をした。
ただゴブリンの言葉だけに意識が向いて、全身が震えた。
チョロロ……
人はそういう状況で股間がゆるみ、気づかないうちに失禁をする。
「い、いや……! 殺さないで……! 許してぇ!」
『許して欲しいか! 助けて欲しいか!』
「助けて、助けて欲しいですっ、命だけは許して……!」
『そうカ……』
ゴブリンは短くつぶやくと、
次に凶悪な笑みを浮かべて勝ちほこった。
『ギャハハハハハハハッ! そうカァッ!』
ゴブリンはリコの頭をドカッと踏みつけ、
彼女の首を狙って、剣を大げさなほどに振りかぶる。
リコはもはや、ジョロジョロと小便をだだ漏らしにして泣きわめいた。
「いやっ、いやああっ! 許してっ、助けてえええええっ!!」
『ウリャアアアアアアア!!』
「きゃ、きゃあああぁーーーーーーーッッ!!」
ザシュッ!
剣は、うなりを上げて振り下ろされた。
その切っ先は、リコから少し離れた地面に刺さった。
ゴブリンは、リコの命を助けるようだ。
リコは泡を吹くほど恐怖して、
もう空っぽになった尿道口をパクパクと開閉しながら、
尻や手足をビクッ、ビクッと痙攣させていた。
「あっ…… かはっ……! ひあっ……!」
『トクベツにっ! 命だけは助けてやる!』
ゴブリンたちがどっと笑う。
彼らは最初から、リコを殺すつもりなど無かった。
『オレ達の村に連れて行く! そこでお前ら、オレ達の子供産ム!』
「あうっ…… あうっ……」
(そっ…… そんなぁ……)
なんとか死なずに済んだものの、リコは目の前が真っ暗になった。
『お礼は! 命助けたゾ!?』
「あっ、ありがとうございます! うう、ありがとう……!」
リコはゴブリンたちの狂言に気づいておらず、
その点に関してだけは、心の底から礼を言った。
それにまた、答えなければ、肛門をニンジンでえぐられるのだ。
リコはすでに学習し、奴隷としてしつけられつつあった。
このやりとりが終わる頃には、太陽が完全に沈んだ。
夜は、魔物たちの世界だ。
少なくとも朝まで助けは来ない。
いや、そもそも二重の遭難だから、
助けは早くても一週間後……
たいていの場合は、助かりもしないような展開だった。
『ではオレ達の村へ、出発シンコウー!』
ゴブリンたちはリコを縛った丸太を担ぎ、
意気揚々と行進をはじめた。
今日のゴブリンたちの聖戦は、素晴らしい勝利に終わった。
この調子で人間たちを討ち減らし、
奴らの住処を奪い、奴らをすべて奴隷にして、
いつか魔王と魔物のための、理想の楽園を作り上げるのだ。
「いやぁーー! 誰か助けてぇーーっ!」
ゴブリンの子を産まされると宣告されたリコとジョーヌは、
縛られた裸身で身じろぎしながら助けを呼んだ。
その声は人間の世界からどんどん遠ざかり、
やがて魔物たちの縄張りへと消え、聞こえなくなってしまった。
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行方不明事件が起きてから一週間後、
冒険者ギルドの掲示板に、
リコの救出クエストが張り出された。
数人の冒険者が救出に向かったものの、
彼らはリコの足取りを掴めず、ゴブリンの住処も発見できず、
あっという間に二ヶ月ほどが過ぎ去ってしまった。
ゴブリンを妊娠した場合、二ヶ月も経てば、
その女性は臨月に近いボテ腹になっているはずだ。
三ヶ月目には、ヒトの臨月よりずっと大きなお腹になって出産を迎える。
そういう理由で、最近になって、
アルメキア王府から冒険者ギルドへ、一つの義務が制定された。
女性冒険者が魔物にさらわれ、
彼女が帰還しないまま、その魔物の妊娠周期を過ぎた場合は、
ギルドから王府へ始末書を提出しなければならない。
もちろんその後は、大臣やら騎士団から大目玉をもらい、
罰金などをせびられたりする。
「冒険者ギルドはモンスターの苗床だ」などと嫌味も言われる。
王府としては、なんとか女性冒険者の拉致被害を食い止めて、
魔物の繁殖を食い止めたいのだ。
リコがさらわれてから、
あと一ヶ月でゴブリンの妊娠周期を過ぎてしまう。
ギルドのリコ担当の事務員は、現場の冒険者たちに対して、
「まだ見つかりませんか」と必死に催促している。
しかしその実、冒険者も事務員も、
「女戦士リコは帰還しないだろう」と、どこか諦めている。
同じような懸案は、アルメキア冒険者ギルドだけでも
十件以上が同時に進行中なのだ。
女性冒険者たちは、次から次へと魔物にさらわれている。
ともかくリコの捜索に関しては、あと一ヶ月が期限だ。
ギルドが始末書を書くハメになれば、
その後にまで捜索を続けるような余裕は無かった。
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そしてその一ヶ月もあっさりと過ぎ、
冒険者ギルドは始末書を提出させられた。
カミノ村の行方不明事件は捜索を打ち切られ、
「未解決」のハンコを押されて
書類倉庫へと放り込まれた。