一級おもらしフラグ建築士・体験版 心依編
第1話
「おはようございますっ、先輩っ!」
朝練のために体操着へ着替えて、部室から肌寒い校庭へ出ると、隣の部室から姿を見せた鹿屋 心依(かのや こより)が、元気のよい声で挨拶を交わしてくる。
心依はボクと同じ陸上部に所属する後輩で、背の低さや愛らしい表情、無邪気な性格のせいで、後輩達の中でもかなり子供っぽい女の子だ。
実際はボクより学年が一つ離れているだけなのに、他の後輩達と比べても幼い雰囲気なので、まだ第二次性徴すら迎えてないんじゃないかと疑いたくもなる――もし心依自身に伝えると、ムキになって怒ったりもするので、本人の前では伏せておかないといけない。
「おぉ、おはよう心依。ちゃんと一人で準備できたか?」
心依の姿を見下ろしながら、ボクはそっと返事を返す。
どうやら着替えもちゃんと済ませたらしく、朝早くから可愛らしい体操着姿を拝ませてくれる……とくに紺色のブルマ越しに浮かんでいる、小振りなお尻のラインや、細くて引き締まった太股にも視線を吸い寄せられる。
小柄な体型や横に結わえた髪型のおかげで、陸上部の中でもマスコット的な存在と化している心依を、今日も部活の間じゅう構うつもりでいたのだ。
「もうっ、それくらい当たり前ですってば……はうぅんっ!」
モジモジモジッ。
そっと挨拶を返した矢先、心依がおかしな素振りを見せ始める。
部室を飛び出したばかりだと言うのに、その場に立ち尽くしながら、両脚を小刻みに震わせてしまう。
単に肌寒いだけでは考えられないほど、すっかり落ち着きを失っている。
どうやらボクと挨拶を交わすのも辛いほど、何かの事情を抱えているらしい……
(……あれ、心依ってば。もしかしてトイレでも我慢してるのか?)
心依がどうして落ち着かない素振りを見せているのか、ボクはすぐに気づき出す。
何度も脚の内側を擦り合わせながら、焦ったような表情を見せる原因など、尿意を催している以外に考えられなかった。
これから朝練が始まるのを分かってるはずなのに、どうしてお家でトイレを済ませなかったのかと考えずにいられない。
(面白そうだから……心依をちょっとからかってみるか)
困ったような表情を浮かべる心依を見つめるうちに、ボクはとんでもない考えを思いついてしまった。
朝早くから尿意を抱え込んだ心依を相手に、イタズラを仕掛けるつもりでいたのだ。
心依がおかしな仕草を見せつけるたびに、自然と気持ちが惹き込まれていた……いつもは元気いっぱいに振る舞っている心依に、無理にでも尿意を我慢させて、はしたない姿でも拝みたい気分に駆られてしまう。
可愛い後輩の心依の状況をどこまで追い詰められるか、考えるだけで胸が躍らずにいられない……
「あうぅっ……先輩。ちょっとだけ……いいですか?」
フルフルフルッ……
おかしな考えを巡らせていると、心依が小さな声で言葉を投げ掛けてきた。
挨拶を交わしたばかりなのに、その場で足踏みを続けながら、細い肩をすっかり震わせている。
校舎の方に顔を向けながら、ボクの方を振り向くたびに、困ったような表情まで浮かべ始めてしまう。
どうやら相当切羽詰まった状況を迎えているらしく、すぐトイレに駆け込みたいらしい。
「あれ、心依ってば。一体どこに行くつもりなんだ?」
ついには校舎の方へ走り出そうとした心依を、ボクはすぐに呼び止める。
これから集合場所まで向かわないといけないのに、勝手にどこかへ向かおうとする心依を、何としても引き止めたかったのだ。
心依はすぐ言いつけに従いながら、両脚をしっかりと重ね合わせたまま、その場ですっかり震え上がっていた。
(こんなチャンスなんて滅多にないんだし……もう少しだけ心依を困らせちゃおうかな?)
思い悩んでいる様子の心依に、ボクはすっかり興味を抱いてしまった。
心依が用を足そうとしていたのは明らかなので、無理にでもトイレに向かうのを邪魔したかった……これから部活が始まろうとする中、勝手な行動を取る後輩を注意しながら、心依の状況をさらに追い込むつもりでいたのだ。
心依が今でも両脚を擦り合わせながら、校舎の方向を振り向く様子を目にするたびに、これから引き起こされるはずの事態を期待せずにいられない。
たとえ朝練の間でも、何としても心依を追い込んでしまいたい……そんな気持ちにすっかり掻きたてられていたのだ。
「え、えっと。それは……あうぅんっ」
ヒクヒクヒクッ。
その場に立ち止まりながら、心依は困り果てた表情を浮かべる。
揃えた両脚を震わせながら、脚の内側を擦り合わせる仕草を収められないほど、すっかり余裕を失っているらしい。
それでも自分の口からは決して、トイレに行きたいとは言わないつもりらしい……子供っぽい一面が拭えないものの、女の子らしい恥じらいも抱いているようだ。
このままだとボクの元から離れて、勝手にトイレへ向かってしまうかもしれないので、何か言い訳を考えないといけない……