《目次》

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宇宙は今日も膨れ上がっているらしい。

経済も年数%ずつ成長し続けなければならないらしい。

となると、誰かの頭の中の欲望が常に膨張し続けるのはさほど無茶な話ではないだろう。

 

何の話かというと姉貴の話だ。

姉貴はオカシイ。

どういうわけか男の俺に『百合の相手にしたい』と子供の頃から言い続けた。

意味が分からないと思う。

俺も分からない。

しかし、姉貴は本気だったようだ。

 

 

 

 

姉貴から逃げるために、大学の寮に入った。

あえて寮のある大学を選んだのだ。

大学名は伏せるが、東京の大学だとだけ記しておきたい。

実家からは飛行機に乗らないと来れない距離だ。

あえてそうした。

姉貴は地元の土建屋の事務員だから、俺を追ってはこれない。

あの姉貴から逃げれた嬉しさから、俺の大学生活最初の春は浮かれまくって何がなんだかわからないまま終わった。

最初の夏もサークル関係のイベントで気がついたら、終わっていた。

正直に言うと自分でも何がなんだか分からないくらい楽しかった。

勉強?

・・・あまり真面目には、やっていなかったな。

で、秋だ!

初めて・・・、人生で初めて女の方から告白された。

河西美香という女性だった。

茶髪のロングヘアーがよく似合う、いかにも今時な女子大生。

多分、お互い落ち着き始めた頃というか、浮かれっぱなしの大学生活に見切りを付けたかったんだと思う。

そういうわけで俺たちは付き合うことになった。

 

そしてクリスマスの聖夜。

俺達は結ばれるはずだった。

俺はデートもそこそこに、大学の寮に彼女を連れ込んだ。

大学寮は個室だが、連れ込みは厳禁。

それはわかっていたがクリスマスだし、多少は許されるのが普通だろ?

俺の頭の上には河西がのせてくれたサンタ帽。

俺は大人のデートらしくスーツを決めたし、彼女は抱かれることを意識したワンピース。

「・・・座って」

「その・・・こういう時って俺、よくわからないんだけど・・・。

先にシャワーとかが普通なんだろ?」

「いいじゃない。

このまましよ」

「でっ・・・でも・・・っ!」

「待って。

・・・お願い。

待って」

河西は俺の背中に胸を押し付けながら抱きついてきた。

―女の腕ってこんなにも柔らかいのかー

意外にも俺は、河西の胸よりも頬に密着する彼女の二の腕に、女を感じてしまった。

「私ね。

蓮クンのことが好きなの。

蓮クンも私の事・・・好きでいてくれる?」

「今更・・・そんな確認・・・必要ないよ・・・」

「良かった。

もしそうなら・・・、このままセックスを・・・試してみたいの・・・。

私、初めてだから・・・。

・・・ゆっくりね」

「俺も・・・」

―俺も初めてなんだー

そう言おうとした。

でも口を開いたが、言葉を発することが出来なかった。

なんだかよくわからない怖さを感じたからだ。

で・・・、ソファに座って河西と向きあいつつも、なんとなくおぞましい物を確認する気持ちで、カーテンを開けた。

 

そこには、あの姉貴が窓ガラスに張り付いていた。

姉貴の頭の上には雪が4センチほど積もっている。肩や肘の上にも。

両手は窓についていて、こっち側から見ると姉貴の手の平が冷凍庫で作った氷みたいに白くて、体温がなくなっているのが見て取れた。

いかにも事務職が履いていそうな黒いストッキングは・・・。

いろいろな所が破けていて、必死で強く擦って摩擦熱を起こし暖を取っていたのが分かった・・・でも、最も怖かったのは姉貴の顔だった。

真っ白なのに黒さが目元や口元に滲み出ている能面のようだった。

それだけで、本当に怖かった。

俺の知ってる人間とは明らかに違ったからそう思ったんだと思う。

 

姉貴らしき白い異物は、俺と目が合うとガチガチ震わせながら口角を上げていった。

あの笑顔は、作り笑顔じゃなかったと思う。

俺と目が逢ったことに対する本気の・・・、喜びの顔だったんだ。




 

 

 

 

 

「開けなさい」

姉貴の口だけがそう動いた。

俺はその事実だけは認識できたが、動くことは出来なかった。

姉貴は動けない俺を見るとそっと視線の先を河西に移す。

ありありと軽蔑の感情が浮かんでいる。

俺にははっきりとわかった。

あれは、自分の男を奪った女に対する軽蔑の目だ。

 

俺の帽子がずり落ちると同時に、姉貴は白くなった手でガラスをノックした。

―女は消えろー

そういう意味だろう。

河西は弾かれたように、俺の部屋を飛び出し逃げていった。

上着も持たず、財布さえ持たずにだ。

俺が河西の後ろ姿から姉貴に視線を戻すと、そこにはまるで息子を褒め称える母親のような顔の姉貴がいて、俺はようやく気がついた。

恐怖で自分の身体が動かなくなったことに。

 

 

河西があれからどうなったか今の俺は知らない。

逃げる際に財布を置き忘れていったが、どうあっても彼女はあの部屋には戻らないだろう。

俺が河西なら、戻らない。

で、俺はどうなったかというと。

どうやら姉貴に連行・監禁されたようだ。

姉貴は、寮の玄関・俺の自室それぞれの鍵を河西が逃げる際に開けてしまったせいで、まるで何事もなかったかのように異質な白い顔のまま俺の部屋に表から堂々と入ってきた。

そして俺の顔に霧吹きで強いアンモニア臭の何かを吹きかけた。

で、気がついたら全裸で実家の地下室にいたというわけだ。

 

「ぐっ・・・っ!」

なんとか起き上がろうとしたが、いかんせん体が動かない。

視界が少しづつクリアーになってきて、ようやく気がついた。

俺は右の足首と両手首をやたら重い金属製の拘束具を介して鎖に繋がれている。

両足が繋がれていないのは、恐らく監禁する上で排泄とかそういう行動まで制限しないためだろう。

試しに足首の拘束具の鍵穴を手で探ってみたが、見当たらなかった。

拘束具ごと溶接したらしい。

足首の拘束具が溶接されたと分かってから、手首の拘束具も視認したが同様に溶接されているようだった。

微妙に目視しづらいところだが、間違いない。

拘束具のつなぎ目に南京錠や電子ロックキーの類は無い。

代わりに、いかにも素人が鉄を溶かして塗りつけた波々の出っ張りがあった。

 

「すごいでしょ。

この日のために覚えたんだよ♪」

地下室の階段を下りてきた姉貴はそう言った。

「この壁もか?」

俺は姉貴の異様さに負けぬよう必死で虚勢を張って、低めの『男声』でそう言った・・・つもりだった。

だが出たのは、渋谷の黒ギャルが罵声を飛ばしたような、不恰好な女のだみ声だった。

「???」

「ああ、もしかしてまだ気が付いてなかった?

それとも起きたのは今だったかな?」

今俺が目を覚ましたばかりだと分かっているような口調で姉貴は俺にそう言った。

「どういうことだ?」

今度も俺は怒気をこめて、さらに低い『男声』でそう言ったはずだった。

しかし出た言葉は、黒ギャルが一生懸命凄んでみせたような、不恰好な声。

「・・・!?」

「ふふふ。

実感沸かない?

れみーのカラダ・・・ちゃんと治したんだよ?」

「ぐっ・・・!」

俺は、姉貴がつけた『れみー』というニックネームが嫌いだった。

俺の名前は『蓮』であって、『れみー』じゃない。

この時の俺は自分の体の変化よりも先にそのことに意識が向いた。

しかし、すぐに違和感に気が付いた。

まずは麻酔明けのあの感覚。

昔、アバラを折って手術した際に全身麻酔してもらったことがある。

手術後のあの感覚と全く同じだ。

だるさと、妙な浮遊感がある。

しかしそれは、俺の意識を失わせた姉貴のあの『アンモニア臭の何か』のせいなのだろうと直感した。

もしかしたら、声もそうかもしれない。

「れみーの勘って、本当にアテにならないね♪」

姉貴は少し寂しそうに溜息をついてから、巨乳とはいえない自分の胸を両手でバインバインと揺らす仕草を見せた。

巨乳でない胸を揺らす姉貴のイタズラっぽい笑顔が心底怖かった。

視線を自分の胸元にゆっくり落とす。

そこには、豊満といえる女の乳がたゆんたゆんと揺れていた。

「う、うわぁ!!!!」

俺は思わず背を反らしてのけぞった。

が、手首を拘束する鎖のせいで完全にはのけぞることが出来ず、女座りのような格好になる。

「ま・・・まさか・・・」

「へっへへ。

昔から言っていたでしょ?

れみーはアタシの百合相手だって。

少しずつアタシの好みに変えてあげるね♪

まずはカラダから

アタシ好みの女体なんだけど、れみーも気に入ってくれるよね?」

「う・・・うわあぁぁあああああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

子供の頃に多重人格ブームってのがあって、TVとかでもよく多重人格の生まれる仕組みや経緯っていうのが特番でやっていたんだよ。

世界の驚きニュースとか、幽霊・犬猫感動物語・UFO特番とかと同じノリで。

そういう番組によると、子供の頃つらすぎる思いをすると人間って人格が破綻しないように、つらい思いをしているのが自分ではなくて、他の誰かのように感じるんだそうだ。

第三者として冷静に、つらい思いをしている自分を、ちょっと離れたところから観察してるような感覚になるらしい。

これが人格分裂の第一歩だそうだ。

何が言いたいかって言うと、この時の俺はまさにそんな感じだったって話。

叫び声は俺が出してるんだけど、俺の意思で出てるわけじゃないって感じがした。

 

「あは♪

素敵よ。

そういう声でずっと泣いて欲しかったの。

女の子の絶望する声って素敵ね?」

 

姉貴の言うとおり、俺は女の声で絶望を叫んでいた。

 

 

 

その日、声が枯れて俺が叫べなくなるまで姉貴は俺をニンマリ笑顔で見つめていた。

俺が叫べなくなるのを確認してから、俺の好きなハンバーガーを俺がぎりぎり手が届く距離において地下室を出た。

「今日は遅いから、また明日ね。

お休み、れみー

 

怖かった。

自分に何が起こったのか未だによく分からない。

それが怖かった。

頭では、カラダを女に変えられたことが理解できたが、理解したくないという拒否反応を受け止めきれずに、俺の脳は『理解不能。』と一時的な結論を出した。

よく分からない状況に追い込まれることって、本当に怖い。

何をすれば良いか分からないからパニックになる。

パニックになれば状況が悪化する可能性が高いから、余計に怖くなる。

延々とループ。

怖くて・・・怖くて・・・実験用の猿みたいに喚いていた。

 

 

恐らく昨日、(地下室に入れられて何時間経過したのかをこの時点で俺は正確に把握できなくなっていた。地下室には時計が無かったし、俺の腕には自慢のLショックもなくなっていたからだ。だから『恐らく昨日』)から一晩明けて、地下室の階段を姉貴が下りてきた。

「おはよう、れみー♪」

「・・・」

俺の声は枯れ果てて、かすれている。

だからまともに声は出ない。

それでも聞きたいことがあった。

「姉貴。

これだけ俺が騒いでも、母さんや父さんが地下室に下りてこないのはなんでだよ?」

自分でも驚くほどかすれた声。

女のカラダにも関わらず、これだけ声がかすれると男と間違えられてもおかしくない。

―皮肉だー

なんとなく第三者的にそう思いながら、俺は姉貴に両親の安否を確認した。

本音を言うと確認したくは無かった。

しかし、それでも確認しておくべきだと俺の中の・・・多分、良心のようなものが主張している。

「えーっとね。

旅行中だよ♪」

 

―ウソだー

そう思ったが口にはしなかった。

追求して本当のことを聞くのが怖かったからだ。

もしも両親に何かあったのなら、次は俺もそうなる。

あえて最も恐ろしい単語は頭の中であっても、言葉にしなかった。

そのくらいリアリティのある予感のようなものが心にあった。

「分かった。

それで・・・。

これからの事を聞きたい。

弟を・・・拘束してどうするつもり?」

あえて俺は『弟』という単語を使って、姉貴に確認した。

もしもこの言葉に激昂したら、性の問題は危険地帯。

激昂しなければ・・・、普段のままなら、もう少し突っ込んで目的を確認できる。

・・・18年間姉貴の傍で育った俺なりの姉貴対応術のつもりだった。

 

結論から言うと、姉貴は激昂しなかった。

しかし普段のままでもなかった。

我慢に我慢を重ねた上で放尿でもしたのかと思うほど、恍惚として歌うように姉貴は口を開いた。

「すっっっっっっっごく頑張ってお金を貯めたんだ♪

れみーの性転換費用だよ?

れみーはね。

今日からM女になるの。

レズM女。

お姉ちゃんにご奉仕して生きるレズM女。

大丈夫。

アタシが1から全部教えてあげる。

女としての作法や仕草。

それからレズとしてのセックスの仕方。

それからそれから、M女としてのご奉仕の仕方まで。

『M女としての』って部分は教えてあげるっていうか・・・調教かな♪

楽しみだね?

アタシはすうぅっっっっっっっっごく、楽しみだよ。

これから今まで損した分、取り返すんだ❤❤

ね?」

 

姉貴はまるで子供が表彰状をもらった時のことを親に報告するみたいな無邪気さで俺にそう言った。

俺は少しずつ状況が理解できた。

キーワードは、

『性転換手術』

『女としての教育・レズM女・調教』

『今まで損した分、取り返す』

この辺りだろう。

 

要するに姉貴は俺を・・・。

実の弟の俺を・・・。

レズM女として・・・。

昔の姉貴の言い方に倣えば、『百合の相手』として・・・。

改造し、調教し、飼いならすことにした。

そういうことなのだろう。

人間不思議なもので理解した途端、対応策が見えてきた。

俺の現時点での対応策、それは『表面上は疑われぬ程度に姉貴の言うとおりにし、隙を見て逃げる』だった。

 

「姉貴・・・」

「あー、れみー♪

今日からアタシを『姉貴』って呼ぶのは禁止。

分かった?」

「・・・分かった」

「うんうん。れみーが賢くて良かったよ。

それで正解だよ。

アタシがお世話しない限りれみーはここで餓死しちゃうんだから

あ、言っておくけどその手錠も足錠ももう外れないよ。

チョキーンって足首と手首を切り落とさない限り、もうれみーはここから出れないの♪

どんな技術屋さんでもムリ♪

アタシ、ちゃんとそうなるように研究したんだ

すごいでしょ?」

「・・・はは・・・」

姉貴は狂っているが、俺には嘘をつかない。

それは姉貴が子供の頃から俺に対して守り続けているルールだ。

今日もそうなのだろう。

つまりこの錠は絶対に外れない。

・・・絶対に。

 

姉貴はニコニコしながら大きめポスターサイズの紙を、俺の手が届かない壁に貼って俺に微笑んで見せた。

「これ、声に出して読んで。

今はまだ難しくて意味が分からないかもしれないけど・・・。

すぐに骨の髄まで理解して・・・。

ちゃんと実行できるようになるから♪」

 

『お姉様との約束。10か条。

 

・中出しを受け入れます。

・お姉様が退屈する場合、私は女のカラダと心でお姉様を楽しませます。

・私はお姉様の愛液を捨てたりしません。全て大切に飲ませていただきます。

・お姉様のおチ○ポ・オマ○コを崇拝することに専念いたします。

・お姉様の御手をわずらわせることは致しません。

自ら進んで、ご奉仕いたします。

・お姉様に”NO”は絶対に口にいたしません。

・最後に必ずお姉様に対する御礼を口に致します。

・奴隷としてお仕え出来る喜びを態度でお示しいたします。

・どのように私の女体をご使用いただいても、全て受け入れます。

・お姉様に値する、素直な良い女子でいます』

 

その紙にはそう書いてあった。

 



体験版はここまでです。

続きは、本編でお楽しみ下さい。




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挿絵CG
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