体験版 プロローグ
「それでは本日の挑戦者にご入場いただきましょう……帝国の領土と化した元ミフェル国の姫騎士、マルグリッタ!」
「くうぅっ……!」
フルフルフルッ……
司会の言葉に促されるまま、鎧を纏った一人の少女が闘技場の中へと踏み入れる。
片手に携えた剣をしっかり握り締める中、つい頬をこわばらせずにいられない……本来なら一国の王女だったはずの自分が、敵国の土地で剣闘士として振る舞わなければいけない屈辱にすっかり打ち震えていたのだ。
すでに集まっている観客達の様子を振り返るだけで、おかしな焦りが次々と湧き上がってくる。
短い間に、姫騎士マルグリッタはとんでもない境遇へと立たされてしまったのだ……
(いくら敗れた身でも、こんな大勢の前で見世物にされてしまうなんて……どうして私、こんな場所なんかに立たされないといけないの!?)
気づかぬ間に陥ってしまった状況を、マルグリッタは胸の奥でこっそりと振り返る。
ミフェル国の王女として平安な日々を過ごしていたはずなのに、大陸の全土を支配しようと、隣国を次々と侵略していたザド帝国の襲撃を受けてしまったのだ……王宮まで攻め込んできた帝国軍と対峙するため、自らも姫騎士として戦地に赴いたはずなのに、結局はほとんどの兵士達が敗れ去った後、未だ生き恥を晒す羽目になるなど、つい嘆かずにいられない。
囚われの身となった挙げ句、ついには帝国の兵士達に連れられるまま闘技場の舞台へと立たされ、大勢の前で見世物にさせられるような辱めなど、思春期を迎えたばかりの少女にとって、あまりに気持ちが受け入れられそうになかったのだ……
「おぉ、これが噂のマルグリッタ姫か……思っていたより可愛らしいじゃないか?」
「こんな所でミフェル国の王女様に会えるなんて意外だな……」
「それにしても『元』お姫様も墜ちたものだな。もう身分だって失った後なんだ。たっぷりと『姫騎士』マルグリッタ様の腕前を見せてもらおうぜ?」
本人の抱えている心境も知らず、観客達はマルグリッタの姿に視線を寄せていた。
ずっと噂として聞いていたマルグリッタの容姿に、あっけなく気持ちを惹かれていたのだ……つぶらな瞳や可憐で愛らしい顔立ち、気品を漂わせる薄紫色の髪、さらには健康的な肉体を覆っている苺色の鎧が、彼女の魅力を十二分に引き出していたのだ。
正に『姫騎士』と言う肩書きに相応しいマルグリッタが、これから試合の間にどんな振る舞いを見せてくれるのか、つい注目せずにいられない。
「うぅっ……!」
ギュッ。
突き刺さるような視線を意識させられて、マルグリッタはつい背筋を張り詰めずにいられない。
周りにいる観客達が自分に対してどんな感情を抱えているのか、後ろを振り向かなくても痛いほど伝わってくるのだ。
(こんな辱め、あんまりだわ……国が敗れたことを罵られるだけでも耐えられないのに、敵国の奴隷に成り果ててしまうなんて。もしお父様が見ていたら、惨めな私をどうお嘆きになってしまうかも分からないのに……!)
耐え難い屈辱に、マルグリッタの胸はますます打ち震えてしまう。
本来なら姫騎士としての務めを全うしなければいけないはずの自分が、敵国の言いなりになるまま大勢の前で見世物にさせられている……自らに与えられた『姫騎士』としての称号まで、彼らの視線や言葉によって着々と汚されているような錯覚にも苛まれてしまう。
離ればなれにさせられた国王の行方を案じながら、いつまで生き恥を晒し続けなければいけないのか、考えるだけで情けなくてたまらないのだ……
「本日の試合ですが、何とこの闘技場を治める『マッスル・ダンテ』様が直々に相手をなさるようです。果たして小国の元姫君、マルグリッタは連戦連勝のチャンピオン、ダンテに一矢報いることができるのでしょうか……!」
マルグリッタの抱える緊張も構わず、司会がいきなり言葉を張り上げる。
司会の紹介とともに、これから対峙する相手が向こう側から姿を見せてきたのだ。
カツッ、カツッ、カツッ……
(……たとえ立場が貶められても、少しでも平民達の鼻を明かさなくっちゃ! あの男をこの手で倒せば、少しは騎士としての誇りだって見せつけられるんだから……!)
着々と距離を詰めてくる相手の姿を見つめるうちに、マルグリッタは思わず肩をこわばらせてしまう。
全身が黒光りしている、筋骨隆々のいかにも屈強そうな大男……闘技場の主であるダンテの存在に、つい圧倒せずにいられない。
踏みにじられた『姫騎士』としての威厳を取り戻すためには、何としてもこの男を打ち負かさなければいけないのだ……
「……どうした、マルグリッタ姫。いつでもかかってきて構わないぞ?」
マルグリッタの姿を見下ろしながら、ダンテはさりげなく言葉を交わす。
まだ試合も始まっていないのに、すでに緊張しているようだと気づいて、平然と余裕の表情を浮かべてくるのだ。
「そ、そっちこそ……ちゃんと武器を構えなさいよっ!」
不意にダンテから浴びせられた言葉に、マルグリッタは思わず慌ててしまう。
片手に握り締めている斧を構えるどころか、未だに丸腰のまま近づいてくるのだ……これから試合に挑まなければいけない中、思いも寄らない振る舞いを見せられて驚かずにいられない。
とっさに身構えた後、ダンテに向けて文句をぶつける間も、剣を握り締めている手元がひとりでに震え上がってしまうのだ。
「ふん、まさか小娘相手に本気を出せと? ウォーミングアップにもならんな。俺の腕前には到底及ばん。それとも大した実力すらないのに『姫騎士』と名乗るのがどれだけ世間知らずなことか、その華奢な身体に言い聞かせてやらないと分からないか?」
肩を張り詰めているマルグリッタへと、ダンテはさらに言葉を浴びせてくる。
噂で聞いていた『姫騎士』の予想外な姿に、すっかり興味を惹かれていたのだ……他の女性とも比べものにもならないほどの美貌を目にするだけで、自然と興奮を掻き立てられていた。
試合場で顔を合わせる羽目になったのを残念がりながら、いかにも軟弱そうな少女などを相手にしなければいけないのか、つい気にせずにいられない。
「……おのれっ! 言わせておけば!」
ギチッ……!
ダンテの挑発を受けて、マルグリッタはすぐに腹を立ててしまう。
まだ試合すら始まってないのに、まるで決着がついているような言い分など、決して聞き逃せそうになかった。
感情のままに剣先を突きつけた後も、未だに構えようとしないダンテの態度を目にするだけで苛立たずにいられない。
(この男……どうしてそんな余裕でいられるの! もしかして大勢の前で、私の立場を侮辱するつもりで……!)
ダンテが不意に発した言葉など、マルグリッタにとってはあまりに耐え難い屈辱だった。
まだ戦ってもいないのに、まるで決着を見透かしているようなダンテの振る舞いなど、振り返るだけで打ち震えずにいられない。
大勢の前で自らの地位を貶められるなど、元王女として決して許されるような状況ではないのだ……
「おぉっと。まだ試合も始まってないのに、どうやら両者ともヒートアップしているみたいですね? 無謀にもダンテ様と戦う羽目になったマルグリッタ嬢が、何分まで試合を続けられるのか、皆さんも見所だとは思いませんか?」
互いに顔を見合わせる二人の様子を、司会は面白半分に持て囃す。
ダンテの挑発的な言い分を受けて、剣を握り締めたまま睨みつけるマルグリッタの様子など、つい興味をそそられずにいられない。
(落ち着かなくっちゃ。やはり私を挑発するために、こんな辱めを仕掛けてきてるんだから……我が国を貶めた報い、この剣でたっぷりと思い知らせてあげるんだから!)
周りの様子を思い知らされたマルグリッタは、何としても心を静めようと努めていた。
これから繰り広げる試合の中で、剣の腕前によってダンテの口を黙らせるしかない……思わぬ挑発に乗ってしまった自分自身を恥じらいながら、どう『姫騎士』として振る舞えば良いかを改めて痛感させられていたのだ。
目の前にいる相手の様子を窺うだけで、自然と気持ちが奮い立ってくる……
「それでは勝負……始めっ!」
「てぇいっ!」
ビュンッ!
司会の声を耳にしたのと同時に、マルグリッタは思いっ切り剣を振り下ろす。
少しも斧を構えようとしないダンテが侮っている間に、剣の腕前を見せつけるつもりでいたのだ。
ガキィンッ!
「何っ……!?」
目の前にいるダンテを相手に剣を振るっていた矢先、マルグリッタは思わず声を洩らしてしまう。
ダンテへと向けて放った袈裟斬りを、頑丈な斧によってあっけなく遮られていたのだ。
手元に響く重い感触に、ついうろたえずにいられない。
「どうした、マルグリッタ姫。まさかこれが本気じゃあるまいな?」
マルグリッタの放った剣を、ダンテは握り締めた斧でしっかりと受け止める。
地面に下ろしたまま、少しも構えていなかった斧を軽々と持ち上げたかと思えば、胸元に斬り掛かろうとしたマルグリッタの太刀筋を見事に阻んでいたのだ。
「こ、今度こそっ……!」
ブゥンッ……ギチンッ!
思いも寄らないダンテの斧捌きに圧倒される中、マルグリッタは再び剣を構えていた。
少しだけ距離を離した後、再び剣を握り締めたまま、思いっ切り刃先を振り下ろす。
空いている部分を狙ったはずなのに、またしても剣を遮られてしまう……まるで太刀筋を読まれているかのように、気づいたら斧によって受け止められていたのだ。
「剣に振り回されっ放しじゃないか……こんなことじゃ、いつまでやっても俺の身体に傷一つ入れられんぞ?」
斧をしっかりと構えたまま、ダンテは平然とマルグリッタに言葉をぶつける。
想像していたとおりに軟弱な太刀筋だと罵りながら、ついには力任せにマルグリッタの剣を持ち上げてしまうのだ。
(まさか、片手だけで防がれてしまうなんて……この男、思っていたより手慣れてる!)
思いも寄らないダンテの腕前に、マルグリッタはますます驚かされてしまう。
つい先ほどまで少しも斧を構えてなかったはずなのに、どんなに剣を振り下ろしても、まるで見透かしたように受け止めてくる……何よりも許せないのは、試合中にも関わらず不敵な笑みまで向けてくることだった。
まるで自分に稽古でもつけているような感覚すら感じさせる、あまりに挑発的なダンテの振る舞いをどう受け止めれば良いのか、考える余裕すら保てそうにないのだ。
「やあぁっ!」
ビュンッ……ガチンッ!
ダンテの斧捌きに圧倒される中、マルグリッタはひたむきに剣を振り回す。
たとえ相手の実力を思い知らされても、まさか『姫騎士』であるはずの自分が、卑劣な男などに屈してしまうなどあり得なかった。
せめて一太刀だけでも浴びせないといけないはずなのに、どんなに振り下ろしても、ことごとく剣を受け止められてしまい、つい戸惑わずにいられない。
ギチギチギチッ……!
「いい加減気づいたかと思えば、本当に身の程知らずだな……今度はこっちの番だ!」
マルグリッタの剣筋を遮ったまま、ダンテはおかしな言葉を浴びせてくる。
小娘の相手をするのも飽きてきたので、そろそろ決着をつけるつもりでいたのだ。
「そ、そんな……きゃんっ!?」
バチンッ!
ダンテの攻撃によって、マルグリッタはあっけなく体勢を崩されてしまう。
いきなり斧を振り下ろしたかと思えば、構えていた剣ごと身体を吹き飛ばされてしまったのだ。
段々と傾く身体に気づいた後もなかなか脚を踏ん張れず、つい焦らずにいられない……
(しまった! いきなり手元を狙ってくるなんて……!)
思いも寄らないダンテの斧捌きに、マルグリッタは着々と気持ちを追いやられてしまう。
少しも太刀を決められないどころか、ダンテの反撃をまともに受け止め切れないなど、あまりに困惑せずにいられない。
何とか斧を避けた後も、手首に響いてくる衝撃に思わず言葉を失ってしまうのだ……
「おい見てみろよ。マルグリッタ姫、剣を手放しちゃったみたいだぞ?」
「もしかして、これが『姫騎士』の実力なのか? 全然ダンテ様の相手になってないじゃないか」
「さすがの『姫騎士』も、ダンテ様が相手じゃさすがに太刀打ちできないみたいだね……」
試合の様子をじっくりと見据えたまま、観客達は思い思いに感想を述べていた。
何度も立ち向かっているはずなのに、マルグリッタが一太刀も決められずにいたのだ……一方的な試合の状況など、目にするだけで嘆かずにいられない。
「くうぅっ……!」
ギュッ……
ダンテから距離を離した後も、マルグリッタは思わず肩を張り詰めてしまう。
想像した以上に手強い相手に圧倒されるだけでも大変なのに、次々と耳に飛び込んでくる観客達の言葉など戸惑わずにいられない。
少しでも気持ちを立て直そうと、目の前に立ちはだかるダンテの姿を睨みつける間も、未だに平然としている様子を否応なく思い知らされてしまうのだ……
(まったく歯が立たないなんて、いくら何でもあり得ないわ。稽古の時も、戦の時だって、一対一では誰にも負けたことなんてなかったのに……!)
じりじりと近づいてくるダンテの存在を意識させられるあまり、マルグリッタはおかしな緊張へと苛まれてしまう。
今まで相手にしてきた者達とは比べものにならないほど、目の前にいる男があまりに強すぎるのだ……太い腕から繰り出される斧の重たさを振り返るだけで、つい背筋を張り詰めずにいられない。
決して負けたくないはずなのに、嫌な予感がなかなか拭えそうにないのだ……
「このぉ……っ!」
ダッダッダッダッ……
ひとりでに震える手元を堪えたまま、マルグリッタは再びダンテへと立ち向かっていた。
しっかりと剣を握り締めた後、意を決してダンテとの距離を一気に詰めていく。
少しでも勢いをつけないと、怖じ気づいている気持ちを上手く振り切れそうにないのだ。
「まだ懲りないようだな、マルグリッタ……俺もいい加減飽きてきたし、そろそろ終いにしてやらんとな?」
突拍子もなく駆け出してきたマルグリッタの様子を、ダンテはじっくりと目で追っていた。
このまま一方的な試合を続けてもつまらないと感じて、握り締めた斧によってマルグリッタに身の程を分からせるつもりでいたのだ。
ガツンッ!
「きゃんっ!?」
いきなり迫ってきたダンテの斧に、マルグリッタはあっけなくひるんでしまう。
剣を振り下ろそうとした矢先、鋭い刃先が迫ってきたかと思えば、思いっ切り手元を払われていたのだ。
ひとりでに手元から離れていく剣の様子に気づいて、つい慌てずにいられない。
(また手首を狙ってくるなんて、何て卑劣な真似を……! あいつに襲われる前に、すぐ剣を取り戻さなくっちゃ!)
ダンテの思いも寄らない攻めに、マルグリッタはすっかり焦り出してしまう。
まさか試合中にもかかわらず、強引に剣を奪われる羽目になるなど思いもしなかった。
これ以上の攻撃を受けないために、一刻も早く剣を取り戻さなければいけないのだ……
チャキッ。
「ひぃっ!?」
地面に落ちた剣を取り返そうとした矢先、マルグリッタはあっけなく行く手を阻まれてしまった。
武器を握り締める間もなく、ダンテが斧を突きつけてきたのだ。
鋭く研ぎ澄まされた先端がすぐ傍まで迫っているのに気づいて、つい背筋をこわばらせずにいられない。
「いい加減にしろ、マルグリッタ。俺にこんな退屈な試合などさせやがって。このままじゃ周りも盛り上がらん。その生意気な口を、首ごと刎ねてやらんとな……」
頬をこわばらせているマルグリッタを、ダンテは容赦なく追い詰めていた。
武器を手放した時点で勝負は見えていると告げながら壁際へと追い詰めて、往生際が悪いマルグリッタを言葉で脅してくるのだ。
「い、嫌っ! お願いだから、そんなものなんて向けないで……!?」
カクカクカクッ……
間近へと迫るダンテの斧に、マルグリッタはますます気持ちが追い詰められてしまう。
何とかして剣を構えなければいけないはずなのに、身動きを取ることすらダンテが許そうとしないのだ。
今にも肌に当たりそうな刃先を見つめるだけで、ひとりでに胸の奥底が震え上がってしまうのだ。
「あ、あうぅっ……!」
シュルシュルシュルッ、ピチャピチャピチャッ。
とんでもない状況に追いやられた挙げ句、マルグリッタはとんでもない現象を引き起こしてしまう。
ひとりでに下半身が震え上がったかと思えば、大事な部分から生温かい液体が次々と溢れ出してくるのだ。
穿いている下着の内側に続々と駆け巡ってくる、はしたないせせらぎの勢いにあっけなく意識を奪われてしまう。
試合中にどんな行為をしでかしてしまったのか、下半身に押し寄せる感触から否応なく思い知らされていたのだ。
ショワショワショワッ、グシュグシュグシュッ……
(どうしてなの……いきなりお股が緩んじゃって、勝手にオシッコが漏れてきちゃうなんて!)
思わぬ拍子に繰り広げた失禁のせいで、マルグリッタの気持ちはひとりでに揺さぶられてしまう。
まさか相手に怖じ気づいたあまりに股間が緩んでしまうなど、あまりに気持ちが受け入れられそうになかった……どんなに拒みたくても、股間やお尻に次々と行き渡るオシッコの感触を誤魔化せそうにないのだ。
人前でしでかした粗相など決して誰にも気づかれたくないのに、緩んだ股間を少しも引き締められそうになかった。
垂れ流したオシッコを着々と吸い込んで、肌に張りつく下着の感触を意識させられるだけで気持ちが焦ってしまうのだ……
「お、お願いだから止まってよぉ……はうぅっ!?」
チョボチョボチョボッ、ジュクジュクジュクッ……
おかしな拍子にしでかした失禁を、マルグリッタはなかなか収められそうになかった。
下着の内側に溜まっていたオシッコが、気づいたら脚の付け根から続々と漏れ出してきたのだ……太股の内側を次々と伝いながら、立っている部分の零れていく様子を意識せずにいられない。
とんでもない事態に追いやられないうちに、何としても粗相を止めなければいけないはずなのに、ひとりでに腰が震え上がるまま、はしたない液体を次々と溢れさせてしまうのだ。
「おい、見てみろよ……マルグリッタ姫のお尻、段々濡れてきてるみたいだぞ?」
「もしかしてマルグリッタ姫、試合中にお漏らししちゃったのか?」
「それにしても、何て不様な格好なんだ。これじゃ『姫騎士』って肩書きも台無しだな?」
マルグリッタが試合中に引き起こした失禁に気づいて、観客達はすぐに騒ぎ出す。
おかしなほど腰をくねらせたかと思えば、股間の辺りから次々と液体を垂れ落とす様子など、どう見ても粗相をしでかした以外に考えられなかった。
あまりに腰抜けなマルグリッタの失態を、股間やお尻に浮かんだ染みや濡れている足元を見つめたまま思い思いに罵ってくる。
「や、ヤダっ! お願いだから見ないで……くうぅっ!?」
ブルブルブルッ……
観客達からぶつけられた言葉を意識させられて、マルグリッタはますます落ち着きを失ってしまう。
まさか試合中に引き起こした粗相を、ここまで簡単に気づかれるなど思いもしなかった。
とっさに身を縮めた後も、しでかした失禁をどう取り繕えば良いのか、考える余裕すら保てそうにないのだ。
あらゆる方向から浴びせられる彼らの視線を目の当たりにさせられて、つい両脚を震わせずにいられない。
ジトジトジトッ、ヌクヌクヌクッ。
(いくら何でも、大勢の前でこんな失態を働いてしまうなんて……このままでは我が国だけでなく『騎士』としての誇りまで、失ってしまうと言うのに……!)
あまりに考えられない失態を、マルグリッタは胸の奥底で悔やんでいた。
まさか相手の腕前に屈するあまり、大勢の前で粗相をしでかすなどあまりに考えられない失態のはずなのだ……未だに信じられずにいる中、はしたない液体によって濡れ尽くした下半身を意識せずいられない。
どうして試合中に失禁などを引き起こしてしまったのか、どんなに考えても理解できそうになかった。
続々と股間からオシッコが溢れ出るたびに、『姫騎士』としての威厳が台無しになる事実を否応なく思い知らされるあまり、ひとりでに全身をこわばらせてしまうのだ……
「ほほぉ……どうやらマルグリッタ姫も闘技場での大事なしきたりを分かってくれたみたいだな? 凛々しい『姫騎士』が粗相する姿なんて、なかなか拝めるものじゃないからな。周りにいる観客のために、惨めな姿をたっぷり見せつけるんだ」
あまりに予想外だったマルグリッタの失態に、ダンテも思わず感心させられていた。
つい先ほどまで威勢良く剣を振り回していたはずなのに、気づいたら粗相まで引き起こすほど怯え切っている少女の素振りなど、見ているだけで面白くてたまらない。
自らを『姫騎士』と名乗っておきながら、あまりに考えられない痴態を働いたマルグリッタの下半身を見せびらかそうと、さらに距離を詰めてくるのだ。
「そ、そんな恥ずかしい目に遭わせるなんて、私を侮辱するつもりなの……きゃんっ!?」
グイッ。
不意にダンテから迫られた行為に、マルグリッタはますます慌ててしまう。
気づいたら太い腕が近づいてきたかと思えば、一気に身体を持ち上げられていたのだ。
あっけなく身動きを封じられるような事態など、つい焦らずにいられない。
「お前達にも見せてやろう、これがマルグリッタ嬢の本性だ。自ら『姫騎士』と名乗りながら、ほんの少し剣を向けただけで小便を垂れ流す、恥知らずな小娘なんだ。このみっともない醜態、みんなもしっかりと目に焼きつけておけよ?」
もがき続けるマルグリッタへと、ダンテは平然と注意をぶつける。
試合中にもかかわらず粗相をしでかした、自称『姫騎士』のマルグリッタを大勢の前で辱めるつもりでいたのだ。
細い身体を地面から引き上げた後、周りにいる観客達へと向けて、はしたなく濡れ尽くした下半身を面白半分に突きつけてみせる。
「い、嫌っ! お願いだから離しなさいっ……あうぅんっ!?」
ミシミシミシッ、ポタポタポタッ。
あまりに考えられないダンテの仕打ちに、マルグリッタはさらに慌ててしまう。
人前で粗相をしでかすだけでも恥ずかしくてたまらないのに、はしたない液体ごと下半身を差し出される羽目になるなど思いもしなかった。
これ以上の辱めを強いられないために、腰を掴んでいるダンテの手をすぐにでも振り解かなければいけないのに、どんなにもがき続けても抜け出せそうにないのだ。
「やだぁ、マルグリッタ姫ってば。まさか試合中にオシッコを漏らしちゃうほど臆病者だったなんて……」
「いくらダンテ様が怖かったって言っても、考えられない失態だわ!?」
「騎士だなんて騙りながら、こんな体たらく……本当に恥ずかしくないのかしら?」
あまりに不様なマルグリッタの振る舞いに気づいて、観客達は思わず視線を吸い寄せられてしまう。
ダンテの腕前に屈するあまり、まさか自分達のいる前でオシッコを垂れ流してしまうなど考えられない事態だった……白かった生地の表面にしっかりと滲んでいる薄黄色い染みなど、どう見ても粗相をしでかした痕跡以外に考えられそうになかった。
両脚を動かすたびに次々と垂れ落ちる滴の様子など、つい持て囃さずにいられない。
ワナワナワナッ……
(どうしよう。人前で粗相をしでかすなんて、本当は認めたくないのに……大勢の人達がいる前で、こんな惨い辱めを強いられてしまうなんて!)
観客達から次々と向けられる好奇の視線に、マルグリッタはあっけなく気持ちを揺さぶられてしまう。
しでかした失禁をどれだけ見られてしまったか、目の前にいる観客達の姿によって否応なく思い知らされていたのだ。
どんなに取り繕いたくても、はしたない下半身を彼らから少しも覆い隠せそうになかった。
ダンテに身体を持ち上げられるまま、未だに股間からオシッコが溢れ出して、両脚を次々と這い回ってくるのだ……
「闘技中での粗相など、剣闘士としてあり得ない失態だ。本来ならこの場で首を刎ねる所だが、今回は世間知らずな小娘が働いた不始末と言うことで見逃してもらいたい。その代わり、再び闘技場に立たせる時は『姫騎士』マルグリッタ嬢の面白い姿を皆に見せるつもりだ……そんなわけだ。お前の身柄を預かる代わりに、たっぷりと可愛がってやるからな?」
震え上がるマルグリッタの様子を見据えながら、ダンテはさりげなく言葉を告げる。
自ら明かした『姫騎士』と言う立場にはあまりに相応しくない振る舞いを咎める必要があるはずだと踏まえた上で、惨めな少女をさらに弄ぶつもりでいたのだ。
「や、やだっ! お願いだから離してぇっ……はうぅっ!?」
ヒクヒクヒクッ、ポチャポチャポチャッ。
気づいたら闘技場の奥へ連れられようとする事態に、マルグリッタはますます震え上がってしまう。
しでかした失禁を大勢の前で散々辱められた後、さらには舞台から強引に引き離されようとしていた……どんなに身を捩らせても、腰をしっかりと抱え込んでいるダンテから少しも離れられない事態など戸惑わずにいられない。
腰をくねらせるたびに、はしたない液体が零れるのに気づいて、思わず両脚をこわばらせてしまうのだ。
(こんな格好を人目に晒すことだって、あまりに耐えられない仕打ちなのに……もしかして、さらに酷い目に遭わせてしまうつもりなの……!?)
門の奥へ引っ込められる間も、マルグリッタは陥った事態を嘆かずにいられない。
ダンテの手によって捻じ伏せられた挙げ句、大勢の前で粗相をしでかしてしまった……おかしな拍子に引き起こした現象など、どんなに悔やんでも悔やみ切れそうになかった。
やっと闘技場から立ち去った後も、未だに太い腕に抱きかかえられたまま、これからダンテにどんな行為を迫られてしまうのか、考えるだけで不安でたまらないのだ……
* * * * * *
「きゃんっ!?」
ドサッ。
試合が終わった後も、マルグリッタはダンテに仕向けられるままおかしな状況へと追いやられてしまう。
一室に押し込められたかと思えば、強引に床へ押し倒されていたのだ……不意に視界へと飛び込んできた拘束器具に気づいて、つい焦らずにいられない。
すぐにでもダンテの元から抜け出さないといけないはずなのに、あっけなく手足を取り押さえられるまま、ものの見事に身動きを封じられてしまったのだ。
カチャッ、カチャッ……
「しばらくの間おとなしくしてもらうぞ、マルグリッタ姫。もう『姫騎士』ではなく見世物になった後なんだ。相応しい身体に変えさせてやらないとな……」
もがき続けるマルグリッタへと、ダンテはすぐに言葉を浴びせる。
強引にマルグリッタの手足を広げた後、これから繰り広げる行為の前準備として身体を括りつけるつもりでいたのだ。
「お、お願いだから変な真似なんてしないで……くうぅっ!?」
ギチギチッ。
着々とダンテの手から迫られる仕打ちに、マルグリッタはますます気持ちが震え上がってしまう。
まさか試合に敗れ去った後、身体の自由まで奪われてしまうなど思いもしなかった。
頑丈な枷によって手足を括りつけられた後、目の前にいるダンテへと文句をぶつけるだけで精一杯だったのだ。
「おい、道具屋はいるか。この小娘に己の立場を分からせるために、何か用意してもらえないたいんだが……」
「承知いたしました、ダンテ様。すでに用意の方はできております。どの魔具をお使いになりますか?」
もがき続けるマルグリッタの様子を、ダンテは呼び寄せた道具屋とともに覗き込む。
不様にも敗れ去った姫騎士に相応しい立場を与えるべく、さらなる仕打ちを繰り広げるつもりでいたのだ。
道具屋が差し出した様々な魔具をじっくりと見据えながら、つい笑みを浮かべずにいられない……