満員電車の中で、俺は今日の獲物を探していた。
どんな相手を狙っているかと言うと、地元でもお嬢様学校で有名な『
最近はやれセクハラだの痴漢だの騒ぎ立てるような連中ばかりで、あんなのは到底、女とは思えないし思いたくもない。
久々に俺の腕前を披露するんだから、相応しい相手をしっかり選ぶべきだと思っている。
他の誰にも決して理解されないだろう、俺なりの信念を抱えたまま電車に乗り込んだ矢先、思いも寄らない上物と出会うことができた……
金色のラインが入った、深緑色の特徴的な形をしたセーラー襟やプリーツスカート――間違いない、聖護院学園の制服だ。
まるで制服に合わせたかのように、上品そうな金色の髪を焦げ茶色のリボンで左右に結わえていて可愛いし、セーラーブラウスに合わせてクリーム色のニーソックスなんかを穿いているのもなかなかポイントが高い。
今時スマホじゃなくて、文庫本なんかを熱心に見つめている横顔から独特の気品が漂ってきて、いかにもご令嬢と呼ぶに相応しい感じの風貌だ。
お嬢様の様子をじっくり眺めているうちに、つい頭を捻らずにいられない。普段から高級車で登下校していてもおかしくないような彼女が、どうして、大勢で鮨詰め状態になっている満員電車なんかに乗っているんだろう?
今でも目を疑わずにいられないけど、これだけは確実だ……この可憐な少女こそ、俺の標的に相応しいはずだ。
混雑に紛れて後ろの位置を陣取ったことだし、これからどんな方法で彼女を弄ってしまおうか……?