その2



火影から渡された紙に書かれている予定に従って、待機場所へ向かうと暑苦しいタイツが目に入った。



「うげっ……」

「おっ! 良く来たな!!」



俺の姿を確認した途端に、暑苦しいウィンクをしながらサムズアップしてくる<マイト・ガイ>

太い眉毛におかっぱ頭の無駄に暑苦しい上忍で、自称<はたけ カカシ>の永遠のライバル。

ガイの声につられて勢い良く振り返った<ロック・リー>は、何やら俺を珍しそうな顔で見てきた。

ガイと同じく緑のタイツに身を包み、何よりも特徴的なのはガイと同じ太い眉毛とおかっぱの髪型。

変に目がキラキラとしていて、一度見れば忘れなさそうな顔だ。

その隣の、ガイに吊られて俺へ振り返るのは<テンテン>

袖の無いピンク色の中華服っぽい上着を着て、下は七分丈のズボンを履いて腰に大きな口寄せ用の巻物を付けていた。

頭の上部で茶色の髪を二つのお団子に纏めた髪型をしており、眉を顰めた顔は如何にも迷惑そうな気持ちを全面に出す。

しかしそれを上回る不機嫌さを醸し出しているのは<日向 ネジ>

昨日犯したヒナタの親戚、と言うか分家であり、今はまだヒナタの事を心底憎んでいる時期だ。

テンテン以上に眉間へ皺を寄せ、俺に対して敵意すら見せてきていた。



「遅れましたか?」

「いや、我々も今来た所だ! 気にするな!」

「そうですか」



ガイの近くに着地すると、俺の肩を叩いて歓迎を示してくれる。

力が強いので痛いばかりだが、見世物の様にテンテン達の視線を集めている状態では大げさな歓迎が在り難くも感じた。



「今日はその人と一緒に任務に行くのですか? ガイ先生」

「うむ! そうだ。リーよ!」

「ふん、足手纏いを押し付けられるとはな」

「まぁ、先生の言う事も最もだしね。良いんじゃない? 今日ぐらいは」

「ふん……」



何を言ったのか気にはなるが、どうせガイの事だからバカ正直に俺が体術も忍術も成績が悪く、知識だけが取り得の下忍だと言ったのだろう。

あからさまに俺へ侮蔑の視線を送るエリート思考のネジの表情が物語っている。

テンテンは気が立っているネジを落ち着かせようとしているものの、足手纏いの俺を班に入れるのは反対している雰囲気があった。

リーだけがガイの言葉を好意的に受け取り、叩き込まれたハングリー精神で何もしていないのに燃えている。



「それでガイ先生。今日の任務は何ですか!?」

「うむ、今日の任務は……」

「きょ、今日の任務は……?」



リーの疑問に、もったいぶった間を開けて厳しい視線を向けるガイ。

豪快に笑っていたにも拘らず、真面目な顔を浮かべて睨みつけてくる姿に、リーは冷や汗を掻いて緊張で唾液を飲み込む。

そして、ガイは遂に短い答えと共に口を開いた。



「無い!!!」

「はっ!?」

「えっ?」

「何だと……?」



ガイはニカッと笑いを浮かべたと思えば、任務は無いと言い放つ。

先程まで緊張を滲ませていたテンテン達はポカンと口を開けて唖然とするも、すぐに言われた事を理解した。



「ガ、ガイ先生! 無いってどういう事ですか!」

「うむ、本当なら永遠のライバルであるカカシと同じCランクの護衛任務をしたかったのだが無かったのだ!」

「べ、別に護衛任務じゃなくても、Cランクの任務ならあるんじゃないですか?」

「駄目だ。ライバルであるカカシが護衛任務をするなら、俺達も護衛任務かそれ以上の任務をしなければならない」



自称カカシの永遠のライバルを言うガイは、変なこだわりを持っているらしい。

確かにライバルと認識している相手が、先に難易度の高い任務に付いたら自分もと言うのは良い。

だが、それで受け持つ部下を無視してしまえば話は別だ。



「しか~し! 心配する事は無い! こんな時の為に修行を考えていたのだ!」

「さ、流石です! ガイ先生」

「修行って、いつもやってるのじゃないんですか?」

「甘いなぁ、テンテンは!」

「あ、甘いって……」



目の前で人差し指を振りながら呆れた様に頭を左右に振るガイ。



「Cランク相当の修行はいつもとは違うぞ! 何故なら今回は全員が敵同士だからな!」

「ぜ、全員がですか!?」

「ほう?」

「そして、範囲はこの広場の中だ。少しでも出てしまえば、そいつは失格!」



『ズビシッ!』と効果音が聞こえそうな動きで修行内容を発表されると、今まで不機嫌を隠さなかったネジが始めて興味深そうに顔を見せた。

リーは相変わらず熱く反応をしているものの、戸惑いの方が大きいらしい。

テンテンは内容よりも高いテンションにげんなりしている。



「そして、俺以外で最後まで残っていた者が勝者だ!」

「うおぉ!! やる気が出てきました! ガイ先生!」

「そうだろう! リーよ!」

「はい!!」

「えっ、でも、ガイ先生が私達と戦うなら誰も残れないんじゃないですか?」

「心配するなテンテン。手加減はしてやるぞ!」

「駄目ですよ! ガイ先生! 本気でなくては修行になりません!」



流石に上忍であるガイ相手では、下忍に成ったばかりの自分達が敵う訳がないと言うテンテン。

ガイも下忍に本気を出そうとは思っていなかったらしいが、無意味に熱血を帯びているリーに煽られてガイの目に本気の色が宿る。

更にネジも不敵な笑みを浮かべたままで組んでいた腕を解き、雰囲気が戦闘態勢へ変わってきた。



「ふん、そうだな。リーの言うとおりだ。俺達が下忍であっても修行であるなら本気を出すべきだ」

「おっ! ネジまでそう言うのなら仕方が無い! 本気を出そう!」

「ちょっ!」



その答えに慌てたのはテンテン。

咄嗟にガイを止めようと手を伸ばすが、無常にも戦闘を開始する合図の方が先だった。



「では、修行始め」

「むっ! 白眼!!」

「行きます。ガイ先生!」

「来い。リーよ!」

「あぁ、もう!!」

「えっ、マジでやるの?」



合図と共にガイへ駆け出したのはリーとネジ。

得意の柔拳で接近戦を仕掛けるネジは早速白眼を発動させ、リーもネジの攻撃の合間を縫ってガイへ向かう。

上忍の立場は伊達ではないのか、ガイは二人の攻撃を難なくさばき、積極的にやり返している。

テンテンは遅れて腰に掛けていた大きな巻物を一気に開くと、口寄せの術で忍具を取り出した。



「仕方ないでしょ。ガイ先生が言ったんだから!」



出てきた忍具はクナイを始めとした多種多様の道具たち。

それを掴むとテンテンはガイではなく、俺へ忍具を放ってきた。



「はっ!!」

「うわっと!」



どうやらネジとリーはガイへ、テンテンは俺を相手にして戦うらしい。

しかし俺は体術が駄目なので、普通に戦ってはすぐに終わってしまう。

テンテンの最初の攻撃は口寄せをしてからだったから何とか避けられたものの、次の攻撃は間違いなく避けられないだろう。

なので、即座に広場を覆う程度のフィールドを展開した。



「やっ!」

「うぉっ!」

「この!!」



最初にしたのはテンテンに『俺へ攻撃する時は手加減する』と言う意識の誘導だ。

その甲斐あって飛んでくる忍具を何とか回避できる。



「ちょこまかと!」

「うわっ!」

「そこっ!」

「ぐはっ!」



意識の誘導をしても、そもそも俺は勝つ気が無いので絶対に攻撃を当てられないようにはしていない。

精々テンテンが本気ではない状態であれば手加減をしてしまう程度であり、避けられ続けて苛々が溜まってしまえば誘導は切れてしまう。

流石に急所は狙ってこないテンテンでも確実に俺の機動力を奪い、暫くしないでアッサリと討ち取られた。



「たぁっ!!」

「ぐわっ!」

「よっし!」



思ったよりボロボロになってしまった俺は倒れ、討ち取ったのを喜ぶテンテン。

勝った事で緩んだ気を引き締めなおしたテンテンは即座に目標をネジとリーが戦っているガイへ変えるも、振り返った先には激しい攻防が続いていた。



「……付け入る隙が無いわ」



土煙を上げながらネジが掌底を放ち、ガイが交わしながら反撃を繰り出す。

その攻撃の隙を縫うようにリーが蹴りを入れ、ガイは防御をすると同時にリーの脚を掴んで投げた。



「甘いぞ!」

「わっ!」

「邪魔だ。リー!」

「ぐはっ!?」



リーが飛んだ方向にはネジが居り、全員が敵である設定なので非情にも撃墜される。

それでも反骨精神が萎えないリーは地面に手を付くと、瞬時に伸ばして逆立ちをしながらネジの顎を狙って蹴り上げた。



「やっ!」

「ふっ!」

「良いぞ。その調子だ!」



一連の動作が残像すら残し、頻繁にネジとリーが入れ替わる状態にテンテンは持っている忍具を放つに放てない。

全員が敵同士なので後ろから狙えば良いと思うも、万が一倒してしまえばあの中に自分が入る事を想像したテンテン。

曲がりなりにも修行と銘打っているのだから、本当なら参加しなければいけないが力無く頭を横へ振って諦めた。



「……無理」



そして落ちた忍具を拾いつつ、倒れる俺へ近寄ってくる。



「大丈夫?」

「あぁ、たいした怪我もしてないしな」

「Cランク相当の修行でたいした怪我をしないって、どれだけ手加減したんだろう……」

「んじゃ、あっちに加わるか?」

「止めとく」



フィールドの効果で俺を倒して満足したテンテンは、スッカリ休憩する気満々だった。

戦闘を続ける雰囲気が無くなり、回収した忍具を巻物へ仕舞ってから俺の隣へ座ってくる。



「隣、良いわよね?」

「良いぞ。誰の物でもないし」

「あっそ」



原作では余り出番は無く、あっても特に活躍する事無く退場してしまうキャラだったが、改めて間近で見る横顔は間違いなく美少女。

風上に座ったテンテンから美少女らしい良い匂いが俺へ漂ってくると、朝起きてから燻っていた性欲を刺激して止まない。



「しっかし、本当に元気よね~」

「テンテンも大変だよな。あんなのに囲まれて」

「…………はぁ」

「落ち込むなよ」

「もっと普通の人が良かった……」



担当上忍が濃く、仲間の一人がその弟子であり、同じく濃い上に高いテンションも受け継ぐ。

もう一人は協調性が無くても高いプライドがあって、分家と言えども地位が高い事には変わりないエリート。

そんな中で振り回される一人普通のテンテンは、流石に疲れるのだろう。

溜息を付いたテンテンを慰めつつ、俺は俺で目的を果たす為にフィールドを操った。



「まぁまぁ、そんなに落ち込むなよ」

「あぁ、いっそ私もあんたみたいに色んな班を回るポジションが良かったわ」

「それは無理だろうなぁ」

「なんでよ?」



予想通りに食いついてきたテンテンへ、これからする事に対して『修行なら仕方がない』と思わせる。

当然ながら広場全てを覆っているフィールドは、遠くで戦っているガイ達にも影響を及ぼした。



「テンテンは忍具を武器として使ってるけど、自分に備わっている武器を全く使ってないからな」

「自分に備わってる武器ってなによ? リーやネジみたいに肉弾戦って事?」

「違うよ」

「じゃぁ、何なのよ?」

「それはな、女の武器だ」

「……はぁ?」



目を合わせて真面目な顔で言うとテンテンは呆れた表情で聞き返し、しかも小首を傾げて若干バカにした空気すらあった。



「何? 色気が足りないって事」

「戦うばかりが忍者ではないだろう? 時には敵の目を欺いたりする必要もあるだろ」

「それは……そうだけど」



忍者の仕事は敵を始末する事だけではない。

下忍が草むしりをさせられるように、この世界では何でも屋的な一面も持っている。

外貨を稼ぐ為には戦闘に限らず、お守りや情報収集、破壊工作など色々な仕事をする必要もあるのだ。



「そこで役立つのが女としての色気だよ」

「でもさ、それって薬とか使えば良いんじゃないの?」

「テンテンは薬には詳しくないだろう」

「うっ、そうだった……」



テンテンは原作において珍しい漫画補正のないキャラクターだ。

リーみたいに気合で何とかするとか、ネジみたいに血継限界を都合良く持つ設定ではない。

どちらかと言えば、俺が前に居た現実の忍者と最も近い戦い方をする方だ。

口寄せその物が非現実的であるものの、忍術に頼らず忍具のみで戦うのは、チャクラと言う特殊な力が無くても出来そうな感じでもある。



「で、でも、私にだって色気ぐらいはあるわよ」

「どんな感じで?」

「……あ、あっは~ん」



照れを前面に押し出しながら、身体をくねらせて精一杯の誘惑をしてくるテンテン。

上げた片腕は自分の側頭部へ触れて髪を撫で、もう片方は腰へ手を当てて俺へウィンクを送ってきた。

しかし、色気はビックリする程一切、全く、これっぽっちも無い。



「…………」

「やめて、そんな目で私を見ないで!」



俺が憐れみの視線を送れば、テンテンは顔を覆って背中を向けた。



「まぁ、俺が協力するから、色気を出す修行をしてやろうか?」

「えっ? どうすれば色気が出るのか知ってるの?」

「ガイ先生から聞いていないか? 俺は体術も忍術も出来ないけど知識だけは優秀だって」

「あぁ……確かそんな事言ってたわね」

「だから、俺の言う事を聞けば色気を出すのは簡単だよ」

「……変な事するんじゃないでしょうね?」

「大丈夫だって。ネジやリーの後ろを守る為にも『実力を上げる為に修行中の事は何があっても受け入れないと』」

「…………そうね」



事前にテンテンへフィールドの二つ効果を受け入れさせる事で、意識に刻まれる暗示の効果を増加させる。

場の空気で暗黙の了解を匂わせるのではなく、完全にテンテンの意思を通して承諾させる事が『何をされても受け入れる』効果を上げるのだ。

『修行だから仕方が無い』と思わせておけば俺がフィールドを張っている限り、テンテン本人は勿論、未だに激しい戦いをしているガイ達にも怪しまれないだろう。



「それじゃ、ちょっと身体を触るぞ?」

「えっ……うん。良い……けど、本当に修行なのよね?」

「そうだよ。修行だよ」



掲げた免罪符を受け入れても、心の根底にある羞恥心は根強いみたいだ。

それでも俺はフィールドの効果を信用して説得を続ける。



「まぁ、在り来たりな修行なんだけどな」

「そ、そうなの? 初めて聞いたけど」

「秘匿された技術は誰にも知られないものだろう?」

「そう、ね。分かったわ」



最後の一押しをすると、テンテンは漸く抵抗を消した。

燻っていた羞恥心も低くなったらしく、俺と肩を触れる程に近付いても身体を引かない。



「それじゃ、修行をするからな」

「えぇ、お願い」



改めて言質を取ってからテンテンの背中から手を回し、俺から見て向こう側にある胸を掴み、同時に近い方の胸も掴んで感触を楽しむ。



「うっ!?」

「多少恥ずかしくても我慢しろよ?」

「わ、分かってるわよ」



両方の胸を揉まれるテンテンは顔を赤くしつつも、視線を下ろして自分の身体を触る俺の手を見ていた。

自分の身体で男がどれだけ興奮するのかを的確に理解しなければ、女の武器を使うとしても効果が薄いと認識しているのかもしれない。

これは普通の武器でも同じで、効率良く使用するには効果と威力を知っておかなければ駄目だと理解しているからだろうか。

日頃、忍具で戦うテンテンにとって、新しい武器を観察するのはごく普通の事の筈。

その観察する視線の先では、俺の手で形を変えられる自分の胸。

大きさは掌の中にすっぽりと包み込める程度で、揉むには丁度良い。

指を動かしても厚い生地の服の向こうには確かな柔らかさがあり、揉み解せば俺に興奮をもたらしてくれる。

服の下にはブラの感触があり、俺が指を動かすと徐々にずれていった。



「……うっ、ちょっと待った。し、下着が……!」



今テンテンが着ている服は生地が厚い上に、若干ゴワゴワしている。

ブラがずれてしまえば当然ながら胸は直接生地に擦れ、一番の被害を受けるのは乳首だ。

揉まれる刺激には余り反応を返さなくても、流石に乳首を荒い生地で擦られると意識しなくても反応を返してしまう。

しかも曲がりなりにも性感帯なので、送られてくる刺激が緩やかな快感となってテンテンの身体を流れた。



「テンテンも見てるだけじゃなくて、自分で触ってみろよ」

「えっ、や、毎日お風呂で触ってるけど……」

「そうじゃなくて、もっとここをだな……」



身体を洗う程度では俺の求める『触った』とは程遠いし、おそらくテンテンは胸を触れと取ったのだろうが違う。

それを分からせる為に胸を揉んでいた手をおもむろに下げ、ショートパンツの上から股間へ手を被せた。



「きゃぁ!?」



行き成り女として大事な箇所を触られたテンテンは、咄嗟に俺の手を掴んで自分の股間から引き離す。

しかし、それで引く俺ではない。

顔を真っ赤にして非難の声を出す前に、修行と言う免罪符を再びかざす。



「こ、この変――」

「修行だろ?」

「――た、あ……あぁ、そ、そうだったわね。うん、何もおかしくない……よね?」

「あぁ、おかしくないぞ? 武器を扱うために必要な修行だよ」

「うん。そうよね」



免罪符を聞いてポカンと口を開けた後、恐る恐る改めて確認してきたテンテンへ自信満々の顔で答えてやれば、自分を納得させるように頷いて掴んでいた俺の手を離した。

拘束された手が自由になったので、再びズボンの下に隠されているテンテンの股間へ掌を被せる。

今度は分かり易い拒否をしないで無抵抗のまま、テンテンは自分の股間は触る俺の手を見ていた。

顔を真っ赤にしながらも、女の武器を詳しく知る為に見詰め続ける。

俺の手は厚い生地を使っているズボンの上からでも、大陰唇を押して秘裂にさえ指を食い込ませた。

そのまま指を上下に動かしつつ、胸では乳首を摘む。



「はうっ!?」



布の上からであっても、性感帯を弄られるテンテンは快感を含んだ声を漏らした。

俺が指を動かして乳首と、確認出来ない淫核辺りを刺激する度にピクピクと身体を小さく震わせる。



「テンテン、シッカリと見ておけよ?」

「わ、分かってる、んっ、わよ!」



羞恥に染まるテンテンの表情に、僅かではあるが確実に欲情の雰囲気が滲んできた。

男の手に蹂躙される自分の身体を見下ろす目は濡れ、唇が少し開いて甘い吐息を吐き出す。

普通ならどれだけ恥ずかしい状況であっても、修行であるとの免罪符は強さを求める忍者にとって何よりも重いものだ。

その忍者としての性質とも言える気持ちを利用し、俺の手はテンテンを弄り回していく。



「服の上からじゃ、あんまり効果的じゃないから脱がすぞ」

「えっ!? ……うん、分かったわ」



承諾を貰った俺はまず、中華服っぽいテンテンの上着を脱がしていく。

前を留めているボタンを外してから、ファスナーを降ろす。

上着が上半身を開放していくにつれて、白い鎖骨から胸元が見えてきた。

服の上からでは分からなかったが胸の谷間が作られ、その谷間を作るブラは白く簡素なもの。

しかも俺が弄った所為で乳首がカップから食み出しており、心成しか赤くなって尖った形をブラの端から覗かせている。

自分の視線の下で自分の胸が開放されていく様子を見詰めるテンテンの顔にも、羞恥心が大きくなり始めた。

赤かった頬は更に赤みを増して、甘い吐息を漏らしていた口はグッと閉じられる。

俺はテンテンの羞恥心を煽ろうと思い、態々見えるようにしてカップから食み出る乳首を指の腹で押した。



「んっ!?」



そして軽く指を回して尖った乳首が形を変える様子を見せる。

僅かな力しか入れていないので、テンテンにくすぐられる様な快感をもたらしているだろう。

既に快感を含む吐息を漏らしているテンテンは、大きく口を開いて嬌声を吐き出したい欲求に駆られている筈。

修行と納得しても羞恥を感じて溜め込むが、これが逆に身体を駆け巡る快感を高める結果となった。



「……テンテン、別に気持ち良かったら声を出しても良いんだぞ?」

「っ……、そ、ふぁっ、それじゃ、修行に、んっ、ならないでしょう! あっ!」

「いや、自分が受ける快感をどう受け流すかも修行だから、気持ち良かったら我慢しないで出さないと」

「そ、そう……! んっ!」



一応、声を出しても良い免罪符を打って見せたものの、声は未だに出てこない。

仕方ないので、もう少し押してみる。



「今、自分の胸がどうなっているかと言ってみれば、少しは自分の身体に対して詳しくなるんじゃないか?」

「ふっ、あっ、ち、乳首……が! 捏ねられて、るわ!」

「そうそう。シッカリ現状を言葉にして確認するんだぞ?」

「あっ、分かった、わ……! んふっ!」



実況させる事で硬く閉じられていた口を開かせ、言葉の端々に混じる嬌声を引き出す。

乳首を摘んでいた手をテンテンの背中へ回し、ブラのホックを外せば、白く透き通る胸が完全に露出した。

ブラから開放される反動は丁度良い大きさの胸をぷるんと揺らし、テンテンの羞恥心を煽る。



「あぁ、胸が……!」



テンテンの上着を前だけ開け、曝け出された胸を指で軽く触る程度の力を入れて肌を撫でる。

殆ど感じない産毛だけを指の腹で刺激しつつ、下乳を触ってから乳輪へと向かわせる。

摘んでいた時よりも刺激は微小であり、それこそ肌を撫でる程度の刺激を受けた胸は鳥肌を立たせた。

尖っていた乳首も性的な刺激と合わさって、乳輪から盛り上がる厭らしさを見せる。



「胸の肌を撫でられて、んっ、乳首が、あぁ、立ってる……!」



顔を真下へ向けて自分の胸を見続けるテンテンの表情も、欲情を強くさせてきた様子。

厭らしく立った乳首を客観的に認識した所為で、身体から受ける快感だけではなく、視覚でも性的な興奮をかき立てられたみたいだ。

尖った乳首を摘んでみれば指に反発を感じる硬さを返し、捻るようにクリクリと刺激していくと、テンテンの口から甘い声が漏れた。



「んぁっ、ふっ、あぁうっ! 乳首、気持ち良い……!」



乳首を摘んでいる親指と人差し指以外は胸全体を下から包み、動きに差をつけて揉んでいく。

性的に目覚めたお陰で、刺激を快感と受け取るようになったテンテンの身体は小さく跳ねた。

ズボンの上から淫核辺りを弄っていた指先も一旦股間から離し、今度はウェストのボタンを外してからテンテンへ声を掛ける。



「テンテン、ちょっと腰を上げてくれないか?」

「っ!? あぁ、そこは、だ――」

「修行だろ?」

「――うっ!? え、えぇ。分かったわ」

「俺がズボンを引くから、タイミングを合わせて上げてくれ」

「ほ、本当に外で……? んっ!」

「あぁ、修行は外で行わないと危険だからな」



未だに拒否の言葉を漏らすテンテンを適当に言い包め、ボタンを外して余裕が出来たズボンのウェストを掴んだ。

そして合図を出してタイミングを合わせさせて、一気に引き降ろす。



「せっ!」

「んっ!!」



思わず乳首を摘んでいる指にも力を入れてしまったが、テンテンはちゃんとタイミングを合わせて腰を上げてくれた。

膝下までズボンが降ろされると、股間を守る白いショーツが出てくる。

所々に付いているフリルは、年頃の女の子らしい可愛さを感じさせる上着と同じ薄いピンク。

全体的に落ち着いた感じがあるものの、ショーツのクロッチ部分を持ち上げる大陰唇の中心には愛液の染みが大きき広がり、若干中を透けさせていた。

当然ながら顔を下に向けているテンテンもそれを見てしまい、胸を曝け出された以上に顔を赤くさせる。



「あぁ……! こ、股間が、透けてる……んぁっ! ふぁっ!!」



弄られ続ける乳首からの快感で嬌声を出しながら、股間の現状を報告するテンテン。

俺自身も興奮が高まるのを感じ、そっと濡れる大陰唇へ指を接触させた。



「あぅっ! 触られ、た。はっ! あぁっ!!」



ショーツに染み込みきれなかった愛液が、指を軽く押し付けただけで滲み出してくる。

指先は簡単に大陰唇へ食い込み、秘裂の中へ入ってしまった。

熱くなった女性器の熱さは、ズボンの上から触るよりもハッキリと感じる。

緩く指を上下に動かしてもショーツの布の感触を受ける前に愛液で滑り、大陰唇が柔らかく指先を包む。

濡れたショーツでは秘裂の端でポツンと存在を主張していた淫核さえも見えてしまい、テンテンの身体が完全に性感の虜になっているのが分かった。



「直接触るぞ?」



興奮で思考が鈍ってきた俺は答えを待たずに、クロッチを捲ってショーツの中へ指を差し込んだ。



「ふぁっ!? 大事な所が、さ、わられて――、指が入って、えぇ!!」



ニチャッと音が聞こえそうに感触が俺の指先を向かえるも、ヌルヌルで動かし易過ぎる所為で勢い余った指は秘裂の中へ行き成り入ってしまった。

僅かと言えどもスピードが付いた手は更に奥へ行ってしまい、指先は膣口へ進入する。

その瞬間にテンテンは腰を大きく跳ねさせ、下を向いていた頭も勢い良く空を見上げると、乳首を摘んでいた掌の中でも胸が弾んだ。



「おぉ! 暖かいし、締まる……!」

「ひぁっ! 中で、う、動いてる!」



感動の余りに膣口付近で指を動かしてみると、テンテンの腰は小さくも激しく上下に動いた。

地面から上がった尻は振るえ、軽いブリッジをしている体勢になってしまう。

快感を溜め込んだ身体には膣口からの刺激は強く、羞恥心に塗れながら修行をしているつもりだったテンテンの思考が一気に白く染まった。

食い込む指を暖かく包んでいた秘裂からは潮すら小さく噴き出し、宙に浮く腰がガクガクと痙攣を繰り返す。

浮いた腰に引き摺られて上半身も上がり、震える肘で地面を押して両手足だけで身体を浮かせる。



「いっ、ひぅっ!? な、何か来る! うぅっ!!」



俺は胸を揉んでいた方の手でテンテンの背中を支えながら、膣口に入れたのとは別の指で、秘裂から顔を出した淫核を強めに摘んで捏ね回した。



「ひっ!? あっ、駄目! いきぅ!? んんーー!!」



そして、テンテンは俺の指から受ける刺激で絶頂に達する。

小さく噴き出していた潮は盛大にショーツを濡らし、膝の辺りに引っ掛かっていたズボンまで飛んだ愛液が股間部分を濡らす。

上下に痙攣する腰は引き締まった尻さえ揺らし、上半身は空中で仰向けになった胴体の上で綺麗な胸が揺れていた。

空を見上げていた目は、身体を駆け巡る絶頂の快感に耐えるようにギュッと閉じられる。



「んっ!! んぅっ!!」



膣口に差し入れた俺の指は強く締め付けられ、指先に感じる膣壁すら激しく蠢いていた。

暫く痙攣するテンテンの身体を支えていると、ゆっくりと地面へ沈み込む。



「ふぅ……! はぁ……! あぁ……」



朦朧とした視線で宙を仰ぎ、荒い呼吸を繰り返す口からは満足気な吐息が混じっていた。

上下に動く胴体でも、若干胸が横へ開いてプリンを思わせる動きで俺の目を楽しませる。

地面へ落ちた股間では噴き出していた愛液の量を減らし、潮も収まった。

絶頂の余韻に浸るテンテンの顔は頬を赤く染め、滲んだ汗が解れた髪を張り付かせる。

目の前で激しい絶頂を見せられた俺の我慢も既に限界であるのでズボンを脱ぎ捨てると、テンテンのズボンも完全に脱がせた。



「あ……、あぅ……?」



未だに絶頂の余韻で意識を朦朧とさせているテンテンは、脚を開かれても虚ろな目で空を見上げているだけで反応を示さない。

俺はテンテンの股間へ腰を差し込み、愛液に塗れたショーツを尻の方から脱がす。

大陰唇どころか股間周辺にまで広がっていた愛液は、卑猥な体液の糸となってクロッチと秘裂を繋げた。

厭らしい光景と共に、包んでいた布から開放された所為で性的に興奮を増加させる濃いねっとりとした匂いが漂ってくる。

それを嗅いだ俺は陰茎の硬さを最大にさせ、鼻息も荒くしてしまう。

まさしく女の武器に囚われた俺の思考は、既にテンテンを犯す事しか考えられなかった。



「んくっ、ふぅ、はぁ……!」

「あっ……うっ……?」



身体を近付けた事で顔に影が掛かったテンテンは、戻りつつあった意識でダルそうに自分の下半身へ目をやる。

視線の先では俺が陰茎を持って角度を抑え、今にも秘裂へ差し込もうとしている光景が見えるものの、絶頂の余韻で朦朧としている意識ではハッキリと認識出来ない。

しかしそれも一瞬で収まると、慌てて俺を押し退けようと手を伸ばしてきた。



「ちょっ! ちょっと! そこまでするの!?」

「男の武器を理解する為にも、実際に女の武器で包み込み必要があるんだ、よ!」

「んきぅっ!?」



好い加減我慢の限界だった俺は、制止を求めるテンテンを無視して無理矢理腰を差し入れる。

大きな絶頂で既に解れていたテンテンの膣口は、限界まで硬くなった俺の亀頭を難なく通過させた。

ただでさえ愛液でヌルヌルになった上、直前に絶頂を経験した所為で処女の締め付けは殆ど感じない。

それでも蕩けた膣内はヒダを滑らせながら侵入して来た亀頭を舐め回す。

処女膜の抵抗は一瞬で消えてしまい、亀頭だけではなく竿までも膣口へ減り込んでいった。



「んあぁっ!!?」

「おふぁっ!」



俺の胸に手を当てて押し返そうとするテンテンも絶頂で敏感になっていた膣内を、指よりも大きな陰茎で広げられる感覚に背中を反らせて悶絶する。

膣内からの違和感に抵抗を示す下半身は急速に増加する胎内の違和感で力が入り、太股はグッと緊張を見せた。

膝は曲げられて足の指は硬く握り締められる。

広げられていた脚は反射的に内側へ閉じようと動くも、俺の腰に阻まれてそれも叶わない。

膣壁は何とか陰茎の挿入を阻もうと亀頭の前にヒダを集めるが、絶頂で力が抜けているので柔らかい抵抗を返すだけに終わる。

対照的に俺は解れた膣壁で陰茎を舐められる刺激を受け、高まった快感を更に高めた。

俺が腰を押し入れれば、隙間の無くなった膣内から愛液が逆流してくる。

少女らしさを残す程度に成長したヒダは心成しか厚く、侵入して来た陰茎を受け入れた。

膣内にとっては精一杯の拒絶を示しているだろうが、一度意識を飛ばす程の快感を受けた所為で結果的に陰茎をヒダで舐め回すだけ。

鈴口の先で壁となっていた膣壁が亀頭によって広げられれば、愛液に塗れるヒダが滑る。

後に続く竿へも張り付いたヒダからは、細かい筈の凹凸すら感じられる締め付けを受けた。



「んくぅ!? お腹の中が、ひぃ、広がるぅ……!!」

「おふぅっ……!!」



そして亀頭の先が膣壁とは違った固めの感触にぶつかると、俺の下腹部もテンテンの股間へ密着する。

陰茎は大陰唇を巻き込みつつも完全に膣内へ入り、熱く蠢きながら陰茎を滑る感触に包まれた。

動かなくてもテンテンが呼吸するだけで膣壁は引き上げられ、陰茎は僅かに擦られる。

亀頭の凹みに入ったヒダも一緒になって上に行くので、扱かれているようにも感じられた。



「うっ、動くぞ!」

「ふぁっ!? だ、駄目! 今は! あぁ!!?」



膣内の違和感も快感として受け止め始めていたテンテンに構わず、俺は腰を引いく。

全て挿入した状態から引き抜くと、陰茎が根元から鈴口までを滑るヒダが一気に流れた。

カリは膣壁を削り、微かに残っていた処女膜さえも取り去る。

秘裂から姿を現した太い血管が脈打つ竿には、愛液で薄まってはいるが確かに破瓜の血が付着していた。

膣内の最奥に鈴口から出たカウパー液を残し、亀頭が膣口から出る寸前まで引き抜く。



「ふっ!!」

「ふぁっ!?」



再度、一気に最奥まで突き上げればテンテンは短い嬌声を放った。

背中は反らされたままなので、天へ向けられた胸は不安定に大きく揺れ動く。

陰茎が出て行って元の締まりを取り戻そうとしていた所に亀頭を突き入れ、即座に膣壁を押し広げた。

最奥では鈴口が子宮口に衝突し、カウパー液を塗り付ける。

根元まで差し込んだ陰茎を抜いてから素早くテンテンの腰を掴んで股間を引き寄せ、下腹部が股間へぶつかると腰を離す。



「ふっ! はっ! くっ!!」

「んっ! あぅっ!! お腹の、奥がっ!!」



ピストン運動を開始すれば、テンテンは膣内を犯される快感で自分の胸を抱き締めた。

胸は腕に押さえられるが、俺が腰を使えば上下に食み出た部分の肉が柔らかく波打つ。

陰茎が膣壁を広げながら動き程に、愛液がグチョグチョと鳴り響く。

ヒダから受ける抵抗も大きくなり、膣内が興奮で熱さを増しているようだった。

断続的な締め付けに陰茎から受ける快感が増大し、前後に動く腰も乱暴に強くなっていく。



「くっ! んっ! はっ!」

「あぁっ! んぐっ! はぅっ!!」



犯されるテンテンは膣内を突き上げられる快感で思考を止め、無意識に身体をうねらせる。

蟹股に開いている股間すら動かすので亀頭が触れる場所も頻繁に変わり、犯す側の俺にも新しい刺激を送った。

子宮口の周りでカウパー液と愛液が混ぜられ、更には陰茎に掻き回される所為で空気を含んで白く泡立つ愛液。

カリに受ける抵抗は激しい痙攣を繰り返す締め付けに変わり、テンテンも二度目の絶頂へ上っていく。



「うっ! ふっ!! で、出そうだ!」

「うぁっ!? ま、待って! 中じゃ、駄目よ!」

「くぅっ!!」

「ひぎぅっ!!?」



もはや陰茎からの欲求に支配された俺は外からの言葉に意思を向ける余裕は無く、本能の赴くままに膣内を犯す。

大き過ぎる快感から逃げようとする腰を掴んで引き寄せては微妙に位置を変え、陰茎が抉る角度を変えた。

絶頂に至る程の快感を溜め込んだテンテンも、俺の激しい腰の動きで全身を小刻みに痙攣させる。

しかしテンテンの快楽に犯されていない心の奥では、一方的に攻められる現状を悔しく思い、半ば無意識に下半身へ重点的に力を加えた。



「くふっ!? し、まる!!?」

「あっ! あぁっ! 違うの! これは! あぁっ!!」



射精の予感を尿道で留めていた陰茎は、膣内の締め付けで絶頂を迎える。v 咄嗟に最奥を付いた状態で腰を止め、股間から力を抜いた。



「出るっ!!」

「ふあぁっ!! 出て、るぅっ!!?」



解く放たれた精液の濁流は尿道を勢い良く通り、テンテンの子宮口へ直接張り付く。

我慢を重ねた事で粘度が高まっており、ドロリとした精液が絶頂の快感と共に鈴口から駆け抜けた。

そして膣内の最奥で熱い体液の感触を受けたテンテンも、溜まりに溜まった快感を開放する。



「ふっ! ふあぁっ!!!」

「んおぉっ!?」



絶頂で背中を反らせるテンテンの膣内では、痙攣を止める代わりに今まで以上に強く陰茎を締め付けてきた。

それこそ、射精で陰茎が上下に痙攣を繰り返していても、動きを止める勢いでギュッと膣壁が握り締める。

愛液に塗れるヒダはそれでも肌を滑るので、精液を吐き出す勢いも強めてしまう。

陰茎を根元まで咥え込んだままテンテンは腰を震わせ、絶頂の快楽が股間から脳を焦がした。

暫く射精を繰り返していけば徐々に絶頂の波も収まっていき、テンテンは反らせていた背中をゆっくりと地面へ下ろす。



「おふぅ……」

「あ……あぁ……」



思う存分に精液を出し切った俺は大きく息を吐き、掴んでいた女の子らしい細い腰から手を離した。

腰を開放されたテンテンは未だに虚ろな目を空へ向けたままであり、足は蟹股で力無く開かれたまま。

自分の胸を抱き締めていた腕が身体の横へ落ち、胴体は荒い呼吸の度に上下に動く。

胸は突き上げていた時よりは揺れ幅が小さいものの、乳首は快感の余韻で固さを保っていた。



「あっ……中に、出すなんて……」

「んふぅ、まぁ、女の武器を磨く為には中に出す必要があったしな」

「んくぅ……信じる、わよ……?」



虚ろだった視線に、恨めし気な感情を込めて俺へ視線を向けるテンテン。

俺が適当な理由で取り繕うと、テンテンは事前にガイから聞かされていた情報を元に信じる事にしたらしい。

と言うか、信じなければ犯された意味が無くなると思ったのか。

何にせよ、俺は満足したので腰を引いて陰茎を抜いていく。



「んぁ……」

「おぅふ……」



完全に身体を離せば、開放された膣口から粘度の高い精液がねっとりと出てきた。

テンテンは気だるげに上半身を起こすと、股間の惨状を見て呆れた雰囲気を出す。



「こんなに出さなくても、んっ、良いじゃない」

「いやなに、テンテンの女の武器が凄かったからな」

「…………本当に修行の成果?」

「成果だよ」



ジト目で俺を見るテンテン。

俺は俺で体液に濡れた陰茎を拭いていき、それを見たテンテンも隣に放置してあった自分のズボンから手拭いを出して股間を拭いていく。

少し離れた所でもガイとネジ達の戦闘も終わりかけているようで、始めた時には良く聞こえていた激しい音が収まりつつあった。



「……ふぅ」

「……まぁ、こんなものかしら? え~っと、パンツは……」



下半身を綺麗にしてズボンを履いた俺は、ガイが笑いながらネジを弾き飛ばしている光景を目撃する。



「はっはっはっ! 甘いぞ、ネジ!」

「がはっ!?」



土煙を派手に巻き上がらせ、ネジは倒れているリーの隣へ落ちた。

何気に普通なら重傷を負っていても可笑しくない音が響いたが、ネジとリーは荒く呼吸を繰り返している以外には目立った怪我をしていない様子だ。

精々僅かに血が滲んでいる程度で、軽い掠り傷だけで済んでいる。



「そんな事ではこの俺は倒せんぞ~?」

「くっ、流石です。ガイ先生……!」

「くそっ……!」



流石の上忍と言った所か、親指を立ててサムズアップをするガイは汗も掻いていない。

ただ暑苦しい空気は増大しており、同じ班でなければ近付きたくない笑顔だった。

テンテンも服装を整えると俺の隣で座り、暑苦しいガイを嫌そうに見詰めている。



「おっ! テンテン達も修行が終わったのか!」

「私の圧勝でしたけどね」

「まぁ、俺は知識専門だから」

「はっはっはっ! どんな相手でも、戦ったと言う経験は裏切らないぞ!」



余りにも歯応えが無かった俺を横目で見てくるテンテンだが、確かに戦ったと言う経験は積んだ。

しかしガイ達の修行風景を見てしまえば、俺は明らかに対戦相手としては力不足だっただろう。



「さて、そろそろ昼だから、お前は次に行く時間だな」

「あっ、そうですね」



暑苦しく汗を拭うふりをしたガイは、太陽を見て時間を判断する。

俺は元々遊撃要員なので、時間によって色々回る必要があるのだ。

普通なら一日は同じ班で動く手筈であるものの、中忍試験を間近に控えている今は日程を縮めて回している。



「そうなの? あんまりころころ班を変えてたらメンバーも遣り辛くなるんじゃない?」

「その遣り辛さの中で任務をする事に慣れる為らしいぞ?」

「あぁ、なるほどね」



納得したテンテンを置いて立ち上がった俺は、早速次の班の元へ向かう。



「今日の内容はちゃんと伝えて貰うから心配するなよ!」

「……? 報告って、担当した上忍の仕事じゃなかったですか?」

「はっはっはっ! 頼んだぞ。テンテン!」

「あっ、はい。……えっ?」



思わず返事をしてしまったテンテンは唖然とガイを見上げた。

どちらにしろ俺は報告しなくても良いので、この際テンテンに押し付けてサッサと去らせて貰おう。



「それじゃ、報告はよろしくな。テンテン」

「えっ? ちょっと!」



慌てるテンテンの声を背中に受けながら、俺は逃げるように広場から出て行く。











次の集合場所は、里の門の前。

巨大な木製の門には片方に「あ」の文字が、もう片方には「ん」の文字がデカデカと書かれている。

次の俺の任務はアスマ班に合流し、他の町に潜伏している賊集団を捕らえる事だ。

珍しく訓練ではないので、俺も少し気を張る必要があるかもしれない。

しかし集合場所の門に着いても誰も見当たらず、人の気配も僅かしか感じられなかった。



「……時間は合ってるよな? もしかして置いて行かれたか?」



何気にアカデミーでも友人と言う存在が居なかった分、寂しい気持ちが湧き上がって来そうだ。

不安に駆られて周辺を見回していると、後ろから待望の声が聞こえてきた。



「早いな。もう来てたのか」

「あっ、お世話になります」



門の中から出てきたのは、揉み上げから顎まで髭を繋げている男<猿飛 アスマ>

タバコの似合う男で、三代目火影の猿飛ヒルゼンの息子。

実力に関しては天才忍者と言われる、はたけカカシと並ぶ人物だ。



「また、めんどくせぇ任務を受けたもんだな」



その後ろに付いてくるのは三人の下忍達。

オールバックの髪を後ろで結び上げ、心底やる気の無さそうな目をしてダラダラ歩いているのは<奈良 シカマル>

他の二人のリーダー的な存在であり、その知略は下忍の枠には収まらない程に優秀だ。

本気を出せば上忍であっても手玉に取れるだろう。



「でも、これも下忍の内に経験しておいた方が良いって言ってたよ」



隣でスナック菓子を貪っている小太りは<秋道 チョウジ>

太っているにも拘らず、実際に太っていると指摘されると怒るデブである。

何よりも髪型が可笑しく、言うなればブルマを頭に被っている感じだ。



「まっ、私達には文句を言える程の経験は無いしね。少し先を見据えた訓練と思えば良いんじゃない?」



チョウジの言葉を後押しするように言ったのは<山中 いの>

薄い黄色の髪をポニーテールで纏めているが、右の前髪だけ長く顔に掛かって顎まで隠していた。

全体的に紫色の服は袖が無く、丈も短い。

服の下から見えている腹にはサラシが巻かれ、忍者らしく鍛えられて引き締まった腰は完全に見えている。

下半身はスカートを履いているものの、左右に入った切れ目は殆ど腰まで伸びている所為で前と後ろしか隠せていない。

激しく動けばすぐに股間が見えそうであっても、スパッツのように巻いているサラシがズボンの代わりなのだろうか。

何にせよ、逆に厭らしい雰囲気を感じる。



「遅れて済まんな」

「いえ、俺も来たばっかりですから」

「そうか」



俺の答えを聞いて好印象を持ちそうな笑顔で答えるアスマ。

間違ってもガイのような暑苦しさは無い。



「それじゃ、今回の任務を改めて教えとくぞ」



俺を含めてシカマル達が並ぶと、アスマは腰に手を当てて真面目な表情を浮かべた。



「今回の任務は盗賊のアジトを探る事だ」

「やっぱり、めんどくせぇ任務だな」

「私達に来るって事は、盗賊も忍者だったりするんですか?」

「あぁ、いのの言うとおり、盗賊は忍者崩れらしい。町の警備兵では手に負えないから任務として依頼が来たって所だ」



普通の町の住人では、忍術を使う相手は分が悪いだろう。

警備兵になる為、多少鍛えても一般人の枠組みから出る身体能力を得られる筈も無い。

忍者が使うチャクラは、普通の人間の努力をアッサリと凌駕する力を持つ。



「でも、相手が忍者って、下忍の私達で相手になったりするもんですか?」

「まぁ、いのの心配も分かるけどな。この任務は試験へ向けた小手調べと思ってくれた方が良いだろうな」



なにやら企みを含んでいそうな顔で言うアスマに、シカマルが嫌そうな表情を浮かべた。



「試験って……。まさか中忍試験の事じゃないだろうな?」

「流石シカマルだなぁ。正解だ」

「中忍試験って! 私達ついこの間アカデミーを卒業した下忍ですよ!?」

「そ、そうだよ!」



アスマの言葉に慌てたのは、いのとチョウジ。

流石に自分達が未熟である事はシッカリと自覚しているらしい。

それでもアスマはシカマル達一人一人に視線を合わせ、安心させるように笑みを浮かべる。



「大丈夫だ。確かに気が早いかもしれないが、お前達は中忍試験に挑戦する実力は十分にある」

「ちっ……」

「えっ、そ、そうですか?」

「そう言われるとそんな気がしてきた!」



舌打ちをしたシカマルだったが、先程まで漂わせていた面倒臭そうな雰囲気は僅かに和らいでいた。

決して乗り気では無さそうではあるものの、やはり褒められて嫌な気分はしないのだろう。

いのとチョウジは分かり易く煽てられて、随分とやる気を見せていた。

俺は部外者なので自然と蚊帳の外になってしまうも、一人黙っている姿を見たいのは、ニヤけていた顔を鎮めてアスマへ顔を向ける。



「じゃ、こっちはどうなんですか?」



そう言って、いのが指差したのは俺。

アスマも俺の今後を聞いていなかったようで、班員だけで盛り上がっていた事もあって少し気まずそうに答えてくる。



「それは火影様の受け持ちだから、正直分からん」

「あぁ、別に俺は中忍試験を受けたい訳じゃないですから」

「俺もお前みたいなポジションに居たいぜ……」

「んもう! シカマルってばいっつもそんな事ばっかり言って!」



一見、空気を呼んでいないとも思えるシカマルの言葉のお陰で、微妙に硬くなってしまった場の空気が和らいだ。

シカマルも任務前に班員同士の壁があっては困ると踏んだのか。

何にせよ、下忍一策士であるシカマルの言葉によって、俺とアスマ班の間にあった初対面の壁は僅かに薄くなった気がする。

アスマもシカマルの気遣いを察しており、視線で礼を言っている雰囲気を見せていた。



「……ちっ、めんどくせぇ」

「シカマル! 聞いてるの?」

「あぁ、はいはい」



いのはシカマルのフォローに気が着いている様子は無く、チョウジは暢気にスナック菓子の袋を漁っている。



「さて、そろそろ任務に行くぞ」

「あっ、はい! 分かりました」

「はぁ、めんどくせぇなぁ……」

「もぐもぐ……」

「分かりました」



場の空気を仕切りなおし、早速目的地へ向かって歩き出したアスマ。

俺とシカマル達も後ろに続いて歩き出す。

昼過ぎの春らしい風は心地良く、ただ歩いているだけでも楽しい気分が湧き上がって来そうだ。

任務は日帰りではないので、ちょっとした旅行とも言えるかもしれない。

シカマルはダラダラと歩き、チョウジはスナック菓子を食べているので自然と俺はいのと多く時間があった。



「へぇ、そうなんだ」

「あぁ、実際は元クラスメイト達専門の負荷人員だろうけどな」

「まぁ、変に四人に増やしても、動かし難いんじゃないかしら?」

「それを何とかするのが上司じゃないのか?」

「あぁ……。アスマ先生、そうなんですか?」

「おっ!? お、おぉ、任せておけ。シカマルが何とかしてくれるから」

「おい、面倒事を押し付けるなよ」



臨時に入っているとは言え、班員との壁を無くそうとするいのがアスマをからかいつつ、任務地への道をひたすら歩く。

サスケの事以外では面倒見の良いいのは、積極的に俺と交流を図ってきた。

俺も断る理由も無く、普通の顔見知り程度には交友を結べた感じだ。

そんなこんなで、たいして代わり映えしない道すがら、夕暮れに差し掛かった頃には目的地である町に着いた。



「さて、一旦予約してある宿に入ってから、盗賊を探す予定だが……シカマル」

「あん?」

「作戦はお前に任せるぞ」

「……なんでだよ」



敵が忍者であるにも拘らず、実力も太鼓判を押される程の上忍が下忍である自分に丸投げした事で、シカマルはジト目を返す。

しかしアスマは信用している笑顔を浮かべ、意見を変える様子は見せない。

仕方なくシカマルはいのとチョウジへ助けを求めて顔を向けるも、期待したものとは正反対の言葉が飛んでくる。



「作戦を考えるのがシカマルなら大丈夫よ」

「そうだね。シカマル、頑張れ!」

「お前ら……」



いっそ清々しい笑顔すら浮かべるいのとチョウジ。

最後に残った俺にも顔を向けてくるので、先程の恩を返す為に一応アスマへ意見を言う。



「でも、アスマ先生。流石に下忍が行き成り実践の作戦を考えるのは、キツイんじゃないですか?」

「あぁ、それも大丈夫だ」

「何でですか?」

「うん、シカマルはな、本気を出して思考を巡らせれば、どんな逆境でも活路を見出すからな」

「へぇ」

「普段、将棋の相手をして貰ってるが、どんなに追い詰めても一度も勝てた事が無いんだよ」



あっ、駄目だ、これ。

もうアスマの中で、シカマルの株は中忍に合格した勢いだ。

勝てた事が無いと言って浮かべる嬉しそうな表情も、それを物語っている。

普段シカマルは何気に外堀を埋められないと動かない事が多い所為で、今日は行き成り外堀を埋めたらしい。

いのとチョウジは勿論だが、俺も反論する理由が見つからない。

なので、視線で何となく謝るとシカマルも察して顔を背け、小さく舌打ちをした。



「……ちっ、使えねぇ」



すまんの。



「それでシカマル。作戦はどうするのよ?」

「あぁ? ……そうだな」



スッカリ外堀を埋められたシカマルは、いのの質問に頭をガシガシと掻きながら答える。



「定石で言えば、いのの心転身の術で盗賊の一人を乗っ取って、アジトに案内させるのが良いだろうな」

「まぁ、そうだよね」

「だけど、その間の私の身体はどうするのよ」



心転身の術はいのが得意とする忍術。

自身の精神を飛ばす事で相手の身体を乗っ取る事が出来る、大変使い勝手の良い忍術だ。

ただ乗り移っている状態で、乗り移っている人間が攻撃を受けると精神を飛ばして眠っている本体も同様に傷を受ける欠点もある。

シカマルの作戦内容に同意したチョウジの後に続いたいのは、至極最もな問題を投げかけた。



「それは、こいつを宿に残らせて守らせれば良いじゃないか」



思いの外、心配はアッサリと返される。

シカマルが面倒臭そうに俺を指差せば、いのも釣られて俺へ顔を向けた。

それを見た俺は、咄嗟の判断でフィールドを展開する。



「…………まぁ、それなら安心……かな?」



何処か複雑そうに納得したいの。

幾ら道中仲良さ気に会話をしていても、流石に初対面の異性に自分の無防備な状態を任せるのは無用心すぎる。

事前にいのは女の子としての警戒心は人並みに持っていると踏んだので、咄嗟に俺への信用をフィールドで深めたのだ。

結果はご覧の通り。

初対面で自分と同じ歳の男である俺へ、自分の身体を預ける事に納得してしまった。



「俺は別に良いですよ。それにシカマル達にとっても戦闘ではいつものメンバーでした方が良いでしょうし」

「良し! なら、シカマルの案で行こう」

「はい!」

「分かりました!」

「……はぁ」



いのとチョウジの張り切る声の後にはシカマルの溜息が続いたが、作戦は早速決行される。

と言っても、最初にする事は宿の部屋へ行く事で、そこから見える道に盗賊が二人ほど良く現れるらしい。

そして発見し次第、シカマルの作戦通り、いのが心転身の術で後ろに居る方の身体を奪取。

後はいののサポートをする為に、アスマを始めとしたシカマルとチョウジが密かに護衛をしつつ、前を歩いている盗賊に着いて行ってアジトを発見する流れだった。



「目標の写真を渡しておくから確認しておけ」



俺達四人に渡されたのは二枚の写真。

若干厚めに感じる和紙に印刷された顔は普通の一般人の雰囲気を感じるが、目だけは明らかに犯罪をしてそうな鋭さを持っている。

如何にも隠し撮りをしましたと言わんばかりの角度だが、顔を確認するには問題ない。



「宿は事前に町の偉い方が手配してくれてるから、多少騒ぎを起こしても目を瞑ってくれるが、まぁ、程々にな」

「はい! アスマ先生! 高い部屋ですか?」

「いや、広いらしいが普通の部屋だと聞いてるぞ」

「えぇ、残念」



見るからにテンションが下がるいの。

その様子を見たアスマは苦笑を返してから、身を翻すと町へ入っていった。

暫く賑やかな町の中を歩いて目的の宿に到着し、予約してあった部屋へ向かう。



「普通だな」

「任務の待機場所と考えれば、無難よね」

「お腹空いた……」

「さて、お前ら。盗賊が通るのは宿の目の前の道だから、交代で監視しろ」

「了解」

「まっ、気負わずにやれ」

「へいへい」



気だるげに返事を返したシカマルはそのまま窓へ近付き、窓枠に付けられている障子を少し開けてから目の前の道へ視線を降ろした。

チョウジは備え付けられている菓子を貪り始め、いのは低い机の前へ座ってお茶を入れる。

俺も机の近くへ座るも、特にやる事は無いので目の前で茶を入れるいのをそれとなく視姦する事にした。

せっせと急須に茶葉と湯を入れ、軽く急須を振るといのの胸も柔らかく左右に揺れる。

長い髪は僅かに動くだけでも俺の方へ良い香りを飛ばしてきた。

いのも紛れも無い美少女であるし、胸も結構膨らんでいる。

流石にヒナタ程ではないみたいだが、確実にテンテンよりは大きそうだ。

余り性欲を滲ませた視線をいのへ向けていると上忍であるアスマへ目的が知られそうなので、念の為に俺の行動を気にしないようにする効果を入れてフィールドを張っておく。



「アスマ先生。はい、どうぞ」

「おっ、すまんな」



座って一服をしているアスマへ湯飲みを差し出すと、窓際で監視を続けるシカマルにも声を掛ける。



「シカマルは要る?」

「いや、そんな暇は無さそうだぞ?」

「えっ?」

「いの、出番だ」

「もう来たの!?」

「えぇ!? 座ったばっかりだよ!」

「文句は盗賊に言ってくれ。それよりいのは早く心転身の術を」

「え、えぇ。分かった」



茶を入れかけていた手を止め、急いで窓枠に居たシカマルの隣へ行くと、開いた障子の隙間から目の前の道路を見下ろす。

夕日の赤い光が掛かる道を見たいのは、視線を忙しく動かして目標を探した。



「どれ?」

「ほら、あいつだ」



シカマルが懐から写真を出して見せると、歩いている目標を指差す。

それを受け、いのは目的の人物を確認してから素早く印を組んで術を発動させる。



「あいつね……。『心転身の術』!」



途端に、いのの身体は崩れ落ちてシカマルに支えられ、そのまま畳みの上へ寝かされた。

タバコを吸っていたアスマも、表情を引き締めて様子を見ている。



「シカマル、上手く行ったか?」

「あぁ、流石いのだ」

「そうか。それじゃ行くとするか」

「チョウジ、いつまで食ってるんだ。行くぞ」

「うん、分かったよ! シカマル」



答えを聞いたアスマはタバコを咥えたままで立ち上がった。v シカマルも菓子を貪っていたチョウジへ声を掛けて部屋の出口へ向かう。

襖を開けて出て行く間際、臨時の班員である俺へ振り返って指示を出してきた。



「いのを守れよ」



いつに無く真剣な顔をして言ってくるシカマルに、俺も真面目な顔をして答える。



「分かってるって。任せろ」

「もしも、怪我をさせたら影真似の術で全裸にして里を一周させるからな」

「お、おぉ」



そして、出て行くシカマル達。

部屋に残されたのは、心転身の術で精神を飛ばして眠るいのの身体と俺一人。

ごく一瞬のチャンスを物にして手に入れた時間は、俺の沸き上がる興奮を一気に高めた。

窓から外を走り去るシカマル達を確認すると、俺は近くで寝かされているいのの身体へ近付く。







(ここからは体験版専用です)





すやすやと眠るいのの胸は規則正しく上下に動いている。

改めて見れば、やはり美少女。

原作では脇役のポジションであっても、その魅力は十分にあった。

しかし俺は手を出す前に一つの考えが浮かび、おもむろに自分の目へ気を送る。

ある程度溜めてから目を見開き、必殺技を放った。



「……外道照身霊波光線(げどうしょうしんれいはこうせん)!」

「ぐわ~!」

「正体見たり! 前世魔神!」



技の名前を叫ぶと同時に俺の目から光が放たれ、意識を飛ばしていた筈のいのを強制的に目覚めさせる。

交戦を浴びた、いのだった人物は棒読みで苦しんだ後に一瞬で正体を現し、少女だった体格が大人の女へ代わった。



「お前は……確かに見た事があるな」

「…………覚えているのね」



金髪だった髪は腰まである長い黒髪に変わり、顔も優しげな表情を浮かべて俺を見詰めている。

ジーンズに包まれる脚は長く、胸も大きい。

その姿を見た俺の心には懐かしい思いが沸き上がって来た。



「あぁ、覚えてる」



そう、俺は過去に色々な世界へ降り立っているのだ。

魔法が普通に存在するファンタジーの世界や、ロボットが兵器として活用されている世界。

俺が元居た世界と変わらなくとも、一人の少女が神として裏から監視されている世界。

さまざまな世界を経験し、何度も目の前の女に新しい世界へ飛ばされた。

だが、女は俺の言葉を何処か疑っている雰囲気を発しているので、忘れていた一番大事なキーワードを言う。



「『可能性』だろ?」

「っ!?」



それを聞いた女はハッと息を飲み、驚きで目を見開いた。

次の瞬間には安心したような笑みへ変わり、目の端から一筋の涙を流す。



「本当に……覚えているのね」

「覚えている」

「そう……それじゃ、私の事は思い出した?」

「何となく想像は付いてるけど確信は無いな」

「そうなの……」



過去の記憶を持っていると知った女は目に期待を滲ませているが、俺の答えを聞いて僅かに残念そうな色を含んだ。



「あと少しだ。たぶん次を終えたらきっと全部思い出す」

「……分かったわ。信じてる」



そして女はグッと手を握ってから指を開いて俺へ突き出してきた。

掌から出てくる優しい光が『NARUTO』の世界に広がり、ゆっくりと周りの光景が崩れていく。

宿屋の壁から襖に机まで、色が消えてポリゴンのような線で構成された立体へと変わる。

遂には立っていた床さえも消え、俺は次の世界へ向かいつつある事を理解した。



「必ず次で思い出すから、待っててくれ」

「えぇ、待ってるわ。いつでも……いつまでも待ってるから!」



俺を信じてくれる女の為に。

待っていてくれる女の為に。

俺は『可能性』を信じて目を閉じる。

愛しい女の顔と声に心を満たされながら、暫く空間を落ちていると不意に足の裏に地面の感触が復活した。



「……次はここか」



目を開けた先には見慣れた現代風の町だが、感じる空気は確実に俺が居た世界とは違う事を証明していた。



「それじゃ、行くか!」



俺の足取りは軽く、何よりもやる気が満ちている。

もう、何も怖くない。





体験版終わり





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