その1
小説に限らず、大人数のキャラクターが出る創作物において、語尾が特徴的なキャラが出る事がある。
よく知られている例で言えば、お嬢様設定のキャラが語尾に付ける『~ですわ』
漫画と違って文字でしか表現できない小説では、台詞の後に『~と、誰々はこう言った』と言う様な誰が喋った旨を書かなくても良いので凄く便利な設定だ。
最初に説明してしまえば語尾に『ですわ』を付けるだけで、誰が喋っているのか簡単に分かる。
しかし、俺は常々思うのだ。
『これって最後の文字をローマ字にすれば、ラップにならないかな?』と……。
「でさでさ、この間の任務はさ、俺の活躍で達成したんだ」
「ナルトも下忍になって頑張ってるんだな」
「えへへ~、当たり前だってばよ! 俺は火影になる予定の忍者だからな!」
そう、例えば『~だってばYO!』とか。
これに<フレミングの右手の法則>と<フレミングの左手の法則>を当て嵌めれば完璧だ。
フレミングの法則とは物理学の分野だが、大事なのは手の形だ。
親指と人差し指、そして中指を互いに直角に伸ばす事で表される。
薬指と小指を握った状態で親指を上に、人差し指を前へ、中指は内側へ真っ直ぐ伸ばすのだ。
そしてフレミングの法則を表した手を内側へ九十度傾ければ、ラップの準備が整う。
後は中腰になって、喋る度に軽い屈伸を繰り返してリズムを取れば完成。
「YO! YO! だってばYO!」
火影に呼び出された俺は、屋根の上を飛び歩きながら口ずさむ。
先ほどチラリと見えたのは目出度くアカデミーを卒業し、下忍となった<うずまき ナルト>
言わずと知れた少年漫画『NARUT○』の主人公だ。
恩師のイルカへ自慢気に任務での活躍を自慢していた。
周りの通行人はナルトへ封印された九尾への憎悪で、騒ぐナルトに眉を顰めている。
忍者として優秀なイルカは当然気が付いており、喜ぶナルトを傷付けない様に行き付けのラーメン屋へ誘っていった。
ナルトの活躍を紙面で読んでいた時から思っていたが、主人公とはかくも不幸な存在だ。
前世では漫画の中の出来事として、主人公のキャラクター性を引き立てる要素となった村人からの迫害。
元々何とかしようとは思っていないものの、それが実際に目の前で行われると幾ら俺でも流石に良い気分はしない。
そもそも、ナルトと同じ下忍に成り立てのヒヨッ子で、○○でもある俺に出来る事など無いのは明白。
幾ら前世からの知識や教養があっても、出来ない事は出来ないのだ。
変に口を出そうとしても『所詮はあの時の酷さを知らない○○が何を』と、必ず失敗するだろう。
だから慣れない事は安易にするべきではないのだ。
例えば、慣れていないのに屋根を走っている途中で考え事をするとかな。
「うぉっ!?」
下忍になったと言う事で忍者らしさを求めた俺は、よく見る屋根を走る忍者特有の移動法を実践していた。
しかし案の定と言うか、その最中に余計な事を考えていると、シッカリと踏んでいた筈の屋根で足を滑らせてしまう。
途端にバランスを保てなくなり、斜めになった身体を支える為に伸ばした腕は何も掴めず、俺は家と家の間へ背中から落ちていった。
「ぬわぁーー!」
重力に逆らえない人間が落ちれば地面へ近付く時間は一瞬で、あっと言う間に背中から地球へ体当たりをしてしまう俺。
ドンと大きく鈍い音が身体の中で響き、背中全体に土の感触と共に痛みが襲ってきた。
「背中痛っ!?」
「うゎ!?」
ブリッジをしながら背中からの痛みを逃がそうとしていると、近くから女の子の驚く声が聞こえてくる。
内臓にすら響いた衝撃を、何とか身を捩って耐える事に必死な俺は周りを見回す余裕は無い。
「あの、大丈夫……?」
「あがが……、だ、大丈夫……」
それでも僅かに余裕を取り戻して、心配そうに掛けられた声へ何とか答えて相手を見れば、巨乳が真っ先に目に入る。
流石に初対面で胸をガン見しては失礼だと思い、慌てて顔を見上げた。
「あれ?」
「何ですか?」
見た事のある顔を認識した俺は、たいして考えもせずに名前を確認してしまう。
「もしかして、日向ヒナタか……?」
「えっ、うん。そうだけど……なんで名前を?」
何でも何も、そう言えば同級生だ。
この世界に転生した俺は、原作主人公であるナルトと同じ歳。
前世では普通にブラック企業に勤める社会人だった俺は青年の身体から、思春期に入るかどうかの年齢まで若返っていた。
常にだるかった大人の身体に比べれば、少年の身体の何と活力の溢れる事か。
「覚えてないのか。俺とは同級生だけど」
「えっ!? ご、ごめんね……」
いつもナルトを見ていたヒナタには、話し掛けもしなかった俺は記憶の外に居たのだろう。
同級生であった事を知ったヒナタは申し訳無さそうに顔を伏せ、頬を赤くしていた。
しかも、内気な性格は動きにも現れており、精神的に相手との壁を作ろうと両手を胸の前へ上げて握り合わせる。
脇も締められた所為で二の腕に押された、今の時期でさえ大きな胸は服の中央で深い谷間を作った。
「いや、良いよ。別に気にしてないから」
「う、うん……」
やっと背中の痛みが引いた俺はパッと立ち上がって背中の土埃を払う。
ヒナタからは気まずそうな視線と雰囲気を感じるも、今は相手をしている余裕は無い。
「んじゃ、俺はちょっと行かないといけないから」
「あっ、うん、またね」
「あぁ、またな」
小さく手を振って見送るヒナタの視線を背中に受けつつ、俺を呼び出した火影の下へ急いだ。
△
「YO! YO! だってばYO!」
「……なんじゃ、入ってくるなり」
先ほど思いついたラップもどきを歌いながら火影の部屋へ入ると、呆れた様な視線に出迎えられた。
さして広くない部屋の一番奥にある窓際の机には、火の文字が書かれている帽子を被った老人が座っている。
火影の里の長である<猿飛 ヒルゼン>その人だ。
かつてはプロフェッサーと呼ばれる程の天才忍者だったが歳には勝てず、現場から離れて長い事もあって実力自体は落ちているらしい。
「YO! 火影様! 俺に何かYOかYO!」
「……ひょっとしてナルトの真似をしておるのか?」
「そうだYO!」
「いや、もう良いから普通に話せ」
「……分かりました」
流石にいつまでもラップもどきをしていては話も進まない。
そもそも、俺は呼び出される心当たりは無いのだが……。
「ふむ、今日呼び出したのは他でもない。お主の班の事だが……」
「あぁ、そう言えば……」
アカデミーの卒業試験が済み、主人公組みを始めとしたキャラ達が班分けされる中で、何故か俺だけが特に何も言われないで帰宅を許されたのだ。
しかも、特に任務を押し付けられる事すらなく、本当にアカデミーを卒業したのか怪しくなっていた所だった。
余りにも下忍としての仕事を回されないので、聞きに行こうと思った矢先に火影からの呼び出しを受けた次第。
「その前に聞きたいんじゃが。お主、体術の成績と忍術の成績がかなり悪いのじゃが何故かの?」
「それが実力だからですよ?」
「それにしては座学に関しては春野に迫る勢いだったではないか」
それは当たり前だ。
忍者のアカデミーとは言っても、所詮は○○の学校だ。
高校を卒業した俺にとっては簡単過ぎる勉強内容だった。
忍術に関しても興味があったので積極的に学び、座学に限定すれば成績は上位に食い込んでいる。
その一方で体術に関しては、それこそ前世の体育レベル。
そもそもチャクラを使ってとか意味が分からないので、肉体の強化とか意味不明だ。
瞬きの瞬間に相手へ近寄るなんて、無理無理。
忍術においては、何が原動力でどう出すのかが分からない。
言うは易く行うは難し、と言った感じ。
「体術は苦手なんですよ。いくら理屈が分かっても感覚が掴めないとどうしようもないです」
「……まぁ、そうだの」
猿飛ヒルゼンは天才忍者だ。
里の忍術全てを解明したとも言われるので、俺の様な凡人の考えは理解出来ないのかもしれない。
若干納得していない雰囲気の火影だったものの、これ以上の情報は引き出せないと思ったのか、怪しむような視線を消して一枚の紙を取り出した。
「ほれ」
「何ですか?」
「お主の班分けじゃ」
「はぁ……」
手渡された書類を見てみれば、火影の言う通りに班分けの事が書かれている。
しかし、内容が問題だった。
「あの、班の名前が一杯あるんですけど」
「そうじゃ。お主には各班を回って貰おうと思っての。言うなれば遊撃要員じゃな」
「何ですか、それ?」
「あぁ、実はな、人数が余ってスリーマンセルが出来ないから苦肉の策じゃ」
詳しく聞けば、人数が余っても他の班が大なり小なり名家の子息ばかりで、普通極まりない血筋の俺を入れるには何かしら不満が出るんだそうな。
本来なら、成績に基づいて班の全体的な能力が平均になるようにする。
優秀だったサスケと、ドベだったナルトを同じ班に入れ、更なる能力値の平均を保つ為に平均的な成績だったサクラを入れた時の様に。
しかし、俺は座学を入れても、成績としては平均より下だ。
体術は勿論だが、忍術にしても成績は良くない。
なので、何処の班に入れても平均的な能力が下がってしまうらしい。
「そこで苦肉の策として、お主には班を渡り歩いて貰おうと思っての」
「一箇所に留まらせない様にして、名家からの突き上げを誤魔化すって事ですか」
「済まんの」
「いえ、別にそれは良いんですけど……。休みとかはちゃんとあるんですか?」
「あぁ、それなら大丈夫じゃよ。班の任務が終われば、同期ではお主だけ二日か三日程度の休みを取らせるからの」
「それなら安心ですね」
班の任務を終えて帰ってきたと思ったら、違う班に呼ばれて家へ帰る間もなく、また任務に行く事は無さそうで安心した。
一先ず任務で過労死する危険は無さそうだ。
そして、俺は紙を見ながら最後に残った疑問を火影へ投げかける。
「最初に行く班は一番上に書いてある所で良いんですよね?」
「あぁ、そうじゃ。下まで行ったら、また上からと言う具合で頼むぞ」
「了解です」
「聞きたい事は、もう無いかの?」
「えぇ、とりあえずは」
「なら、行って良いぞ」
「分かりました。失礼しました」
「うむ」
火影の部屋から出た俺は早速最初に合流する班が居る場所へ移動していく。
建物を出てからは忍者らしく屋根の上に飛び乗り、そのまま走る。
普通の身体能力しか持っていない俺が屋根の上に飛び乗れるのは、ひとえに転生して手に入れた能力『フィールド』のお陰。
このフィールドは、俺以外に見えないドーム状の場を任意の場所に好きな大きさで展開できる能力。
展開すれば地面を基点としたドーム状の膜が広がり、広がる反発力を使って屋根まで飛ぶのだ。
言ってみれば、何処でも出せるトランポリンの様な物。
膜の耐久性は俺が乗って跳ねても耐えられる程度で、それ以上の衝撃を受ければ弾けてしまって防御力に関しては無いに等しい。
忍術どころかクナイすら防げるかどうか。
他にもフィールドに入った者の意識や知識を好きに弄れ、それこそ擬似的に時間さえ止められるが、やはり欠点はある。
まず持続時間が短く、長くて三十分ほどしか展開できない。
その上、フィールド内で誰かが『殺意』を持った時点でフィールドが強制解除される。
任務で何処かの忍者を始末するのは珍しくもないが、俺にはそれの全てが出来ない。
フィールドに捉えて動きを止め、始末しようとした瞬間にフィールドが弾けてターゲットが自由になってしまう。
再びフィールドに捉えようとしても、相手の殺意に反応して展開した途端に弾けてしまうだろう。
そうなれば一般人レベルの身体能力しか持っていない俺では、精々が小刻みにフィールド内で動きを止めている隙に逃げる事しか出来ない。
それに引き換え、記憶操作は大変役立つ物だ。
アカデミーの試験では分身の術を教員の前でしなければならないが、俺は忍術が使えないのでフィールドを使ってイルカ達へ『分身の術が問題なく使えた』と思わせた。
効果の程は問題なく、今も卒業を取り消されていない事から、変えた記憶は残り続けるらしい。
これを敵に使っても良さそうでも、そもそも平和な世界の人間だった俺に誰かを始末するなんて無理に決まっている。
「……ん? あそこか」
フィールドを使って跳びながら街を抜け、森を暫く進むとちょっとした広場に四人の人影が見えた。
一人は大人の女で、残りは背の低くて同級生っぽいので間違いなく目的の班だろう。
「話をすれば、丁度来たようね」
「やっとかよ!」
「…………」
「あっ……」
最初に俺の姿を捉えたのは<夕日 紅>
第八班である紅班の担当上忍で、幻術を使わせれば里一と名高い実力の持ち主だ。
黒い髪は長く、肩を隠す程度まで伸ばされ、手入れをしていないのか癖毛なのか不明だが所々跳ねて纏まりが無い。
服装も反物をそのまま身体に巻いた様な形容しがたい服を着ており、右腕だけに赤い袖があった。
紅の言葉に釣られて俺へ振り返るメンバー三人も、原作では良く知った面々。
「遅いぞ! てめー!」
「…………」
「やっぱり……」
いの一番に文句を言って来たのは<犬塚 キバ>
頬に赤い逆三角形の模様を描く斬新なメイクをして、パーカーに似た服装をしている。
毛皮みたいにふわふわしたファーの付いているフードも被っている所為で、貧相な黒いライオンみたいな外見だった。
ファスナーを空けた胸元には相棒である忍犬の<犬丸>を入れ、完全な部外者でもある俺へ僅かな警戒心が含まれる視線を向けてくる。
キバの隣に居るのは高い襟で口元を完全に隠した上に、サングラスを掛けている<油目 シノ>
虫を操る油目一族であり、寡黙の少年だ。
そして、最後は言わずと知れた<日向 ヒナタ>
屋根から落ちた際にも、痛みで悶える俺へ声を掛けてくれた心根の優しい少女である。
将来は湯に浮かぶ程の巨乳に育つものの、今ですら同年代と比べると大きい部類に入るだろう。
引っ込み思案で、相変わらず自分を守る為に胸の前で両腕を上げ、胸の谷間を深くしていた。
待ち合わせ場所へ俺が来たのを見た時は意外そうな表情を浮かべ、キバが喧嘩腰に声を掛けた事で申し訳無さそうな表情に変わる。
「待たせたようで」
「お前が紅先生の言ってた奴か」
「そうよ。この子が今回任務を一緒に行う護衛対象要員ね。余り体術は得意ではないらしいからそのつもりでね」
「分かったよ。先生」
俺が合流する理由は既に説明してあるのか、案外アッサリと受け入れるキバ。
先程見せた警戒はどこに行ったのかと問い詰めたい気分だ。
遅れたから怒ってたのか?
シノは無表情だから良く分からない。
おずおずと近付いて来たヒナタは、事前に会った事がある分は人見知りが和らいでいるらしく声を掛けてきた。
「あの……よろしくね」
「あぁ、足手纏いになるだろうけど、よろしくな」
「あっ、だ、大丈夫だよ。キバ君もシノ君も凄いし……」
「当たり前だよ。俺に任せておけば余裕だって」
「……そうだ。なぜならば俺達は攻守のバランスが他より良いからだ」
紅がどんな説明をしたのかは分からないが、なにやら好意的に受け入れられている。
ヒナタは俺に見られて顔を赤くしながらも微笑み、キバも好印象を受ける笑いを浮かべ、シノは良く分からない。
担当上忍の紅も俺達の会話を見て微笑ましそうな顔をしていた。
「それじゃ、早速今日の任務に行くわよ」
「いつでも良いぜ! 先生」
「はい!」
「…………」
「了解です」
そして紅を先頭に俺達は任務地へ移動する。
道中では親睦を深める為にヒナタを中心として会話を楽しみ、ちょっとした遠足のような和気藹々とした雰囲気で目的地へ到達した。
たいして移動していないと言う事は、任務地は案外近い位置にあったらしい。
しかしそこで見たのは草が伸び放題の庭。
周りの生垣はある程度手入れをされているみたいだが、地面の雑草が明らかに長年放置されている様子だ。
「さて、今日の任務は草むしりよ」
「またかよ。先生!」
明らかに忍者がやるような仕事ではないものの、新人極まりないメンバーでは仕事の選り好みは出来ないのだろう。
それが明らかに、ただの便利屋としての仕事であっても。
「仕方ないわよ。貴方達はまだ卒業したての下忍よ? 重要な任務を与えられる程経験も実力も無いでしょう」
「そ、そうだよ。キバ君」
「そうだ。なぜならば、俺達は卵の殻を被った雛だからな」
「ちっ、シノまで……」
血気盛んなキバに苦笑いを浮かべる紅が気を取り直すように手を叩くと、全員の視線を集めた。
「さっ、早く終わらせて、どんな任務でも迅速に終わらせる優秀な忍者であると分からせましょう」
「仕方ないな……」
「頑張ります」
「…………」
「了解です」
不満タラタラだったキバ達を上手く乗せ、やっと草むしりの任務を始める。
地面に座って雑草の根元を掴んで引き抜き、横へ置いていく。
見た目よりも力が要る作業は案外辛く、暫く草を毟っているだけで汗が滲んできた。
「んっ、ふぅ、……ん、硬いわね……」
「よっ! ほっ! はっ!」
「よいしょ、よいしょっと……ふぅ」
「…………」
紅を始めとした班員は真面目に仕事をこなして行く中で、俺は目の前にあるヒナタの尻へ視線を釘付けにされている。
ヒナタは地面に膝を付いて座り、少し体重を前に傾けて草むしりをしていた。
上半身を軽く曲げている所為で尻を覆っている七分丈のズボンは生地を伸ばされ、小さめの尻の形を浮かび上がらせる。
草を抜く度に体重が片方へ偏れば尻の肉が振るえ、少し前へ進む度に脚が踏み出されてショーツの線が見えた。
「……んっ!」
丸く形の良いヒナタの尻を見ていると、若くなった俺の身体は当然のように興奮を溜め始める。
草を引き抜くと同時に庭全体を覆うフィールドを展開させた俺は、軽く四つん這いになっているヒナタへ後ろから近付いた。
作業に没頭している班員達は俺の動きに全く気を向けてこない。
フィールドの力でヒナタの無意識を誘導し、キバ達と少し離れた場所へ向かわせた。
辺りは立った状態では脛を隠す程度まで雑草が伸びているので、四つん這いになれば身体の大半は隠れる。
更にキバ達の集団から離れさせる事で、二人きりの状態を維持的に作り出した。
「よっ、よいしょっと……」
草むしりに集中しているヒナタも、自分がキバ達から離れているとは気が付いていない。
俺も後ろを着いて行っているので、目の前に健康的な形の尻が興奮を誘う様に動く。
思わず手を伸ばした俺は、ヒナタに許可を取る事無く尻を触った。
「んっ……しょっと……ふぅ」
俺に尻を触られた瞬間こそ動きを止めたものの、何も反応を示さずに草むしりを続ける。
アカデミーを卒業したてとは言ってもやはり忍者。
指に感じる尻の弾力は強く、同時に柔らかさも感じた。
少し力を入れるだけで指がズボンの生地とショーツを間に挟んでいても、尻の肉に指が埋もれていく。
そのまま揉み解してみれば、視線だけではなく直接的な興奮を受けた。
「よっと……ん、根っこが……」
四つん這いのヒナタはおもむろに手を腰へ下げ、さも手に付いた土をズボンで拭く位の気安さでズボンを降ろしていく。
俺が尻を触った事が切欠となるようにフィールドの効果を付けており、無意識に、思わず手を拭く流れでズボンを脱ぐようにしていたのだ。
ヒナタの意識は草むしりを上位に持ってきているので、他の事には一切気を向けていない。
無我夢中で草むしりを真面目に行いつつ、自らズボンを脱いで白いショーツを曝け出す。
ピッタリと張り付いた生地の下から丸い形を見せる尻に、股間へ張り付いている部分は大陰唇の形を浮かび上がらせる。
クロッチの部分は生地が二重になっているものの、中心では縦に走る割れ目が確認できた。
四つん這いになっている所為で尻を覆い隠していた布は心成しか尻の谷間へショーツを食い込ませ、見える肌の面積が普通よりも多い気がする。
しかも、引き締まった尻の肉にショーツのゴムが食い込み、健康的でも卑猥な形に変わっていた。
無意識ながらも自分でズボンを降ろしたヒナタの手は止まる事無く、今度はショーツすら降ろしていく。
「あっ、やっと抜けた……、んっ、あっ、また、根が……」
片手での作業はやり難そうではあるが、根が張っている雑草も何とか抜いていくヒナタ。
ショーツのウェストを摘んで、ゆっくりと降ろされていく手はショーツのゴムが伸びても構わずに下がっていった。
そして、現れるのは白く綺麗な丸みを帯びた尻。
昼間の明るい光を受けて艶やかな肌を見せ、更にショーツが降ろされていくと遂に大陰唇が出てくる。
「ふぉ……」
「んっ……と! ここら辺は何か根がしぶとい……」
年齢的に陰毛が生えていてもおかしくは無いが、ヒナタの大陰唇は無毛であり、下腹部にすら毛の気配は無かった。
しかも、四つん這いになっているので尻の谷間は少し左右に開かれ、色素の濃い肛門すら見える。
ヒナタが雑草を抜こうと力を入れる度にキュッと括約筋が締まり、抜けると尻の緊張も解けた。
「……水遁」
根の深かった雑草と格闘しているヒナタは小さく水遁の術を使い、土で汚れた手を洗う。
どうせ草むしりは続けるので意味は無さそうだが、綺麗になった両手の片方だけは曝け出された大陰唇へ向かった。
細い指が大陰唇に食い込むと、秘裂が僅かに割れ目を広げる。
□
「よいしょ! っと……」
掛け声と共に開かれた指が大陰唇を左右へ押し遣り、秘裂の中を俺の目の前で曝け出した。
桜色とも言える生々しいピンク色は愛液とは違う体液で光を反射し、殆ど閉じている膣口が開閉を繰り返す。
その膣口も肛門と同じ様に、雑草を掴んで引き抜くタイミングでキュッと閉じる。
小陰唇は余り発達しているようには見えず、淫核を包む包皮も小さい。
ショーツから開放されたお陰で、少し動く度に白い尻が硬めに揺れた。
これ程までに恥ずかしい格好をしているにも拘らず、ヒナタは夢中で草むしりを続ける。
後ろか忍び寄った俺は念の為に持ってきていたハンカチを濡らしてから手を拭いて、開かれた秘裂へ指を触れさせた。
「んっ……んんっ、よっと……」
秘裂の中でスッと指を上から下へ走らせても、感じるのは肌が突っ張る感覚だけ。
見た目は体液で光っている感じに見えるが、殆ど滑りは無いみたいだ。
大陰唇を広げているヒナタの指へ軽く触れつつ、指を下げて小陰唇を弄び、包皮に隠れている淫核を指先で引っ掛ける。
「ぁぅ! ……う、ん、ふぅ……」
爪の先が軽く触れただけで腰をピクリと跳ねさせた所を見るに、性感帯を刺激されれば身体が反応を示してしまうらしい。v
俺は人差し指で下から包皮ごと淫核を押し上げ、そのままグリグリと動かして強い刺激を送っていく。
「うっ……んんっ、土が、硬いのかな……?」
性感帯を刺激されたヒナタは快感で腰から力が抜けてしまい、雑草を抜く動きを悪くさせてしまった。
股間から来る未知の刺激から無意識に逃げようと下半身を浮かせれば、膝が地面から僅かに離れ、俺の指一本でヒナタの下半身を持ち上げているように見える。
その状態でも指を左右へ小刻みに動かし続ければ、ヒナタの手によって開かれた秘裂の中、小さく開閉を繰り返す膣口から徐々に愛液が流れ出してきた。
雑草を抜くタイミングとは違った間隔で膣口は締まり、その度に流れ出す愛液は俺が押し上げている淫核の方へ落ちてくる。
「くっ、ふぁっ……んんっ、しょっ、ひっ、……と」
指で押し上げる淫核が愛液でぬるぬるになり、俺の指にも硬くなっていく感触があった。
同時にヒナタの腰も痙攣を始め、声にも嬌声が混じり始める。
白かった尻は赤みを増し、見えている肛門も括約筋が頻繁に収縮を繰り返す。
膣口の動きは更に活発で、漏れ出す愛液の量が地面へ垂れる程に多くなってきた。
大陰唇を広げている指にすら愛液が付いてしまい、滑る所為で押さえていた大陰唇は指の下をヌルリと動いて元の秘裂へ戻ろうとする。
その度にヒナタは無意識に指を秘裂へ入れては左右へ開き、滑って元に戻る大陰唇を再び押さえる動きを繰り返し始めた。
秘裂が閉じると淫核を下から抑えている俺の指にまで愛液が伝って、卑猥な香りを僅かに広げる。
「んくっ、エロイな……!」
「ふっ、うぅっ……? 根っこが、強い……くふっ……!!」
ヒナタの指が自分の股間を弄ぶ厭らしい光景が繰り返されては、俺の陰茎は我慢出来ないまでに興奮を溜めてしまうのは仕方がない。
ズボンを押し上げる刺激でさえ煩わしい感覚なので、高まった性欲を発散させる為、サッサとズボンを脱いで反り経つ陰茎を取り出す。
少年の身体に戻ってしまっても、陰茎だけは前世の形と大きさを保っている。
完全に剥けた亀頭では、既に鈴口からカウパー液を漏れさせていた。
「よっと、この位置かな?」
「ん~、しょっと……」
相変わらず草むしりに没頭しているヒナタの股間へ腰の高さを合わせ、そのまま前へ進めて亀頭を開かれたままの秘裂の中へ差し入れる。
「んくっ、暖かい」
「ふっ……うっ、ん~……抜け、ない」
性器の中に他人の体温を感じたヒナタはビクリと身体を止めるが、草を掴む動きだけは止まらず、思考も草むしりをするという任務にしか割いていない。
しかし、その事がヒナタの純潔を失う切欠にもなった。
中々しぶとい雑草と片手で格闘していたヒナタは、力を込めて引き抜く。
「んしょっ――」
「うぉっ!?」
「――と、くうぁ!?」
しぶとかった雑草を抜き取った反動は中腰で不安定なヒナタの身体を後ろへ倒させ、秘裂へ接触させていた亀頭へ体重を乗せてしまう。
小指すら入るかどうか分からなかった膣口は一瞬で拡張され、愛液の滑りで何の抵抗も無く亀頭を飲み込んだ。
一番張ったカリでさえも抵抗無く通り過ぎ、処女膜を一気に破った鈴口は生暖かい膣壁を広げていく。
滑る膣内であっても、狭い場所へ太い陰茎が挿入されてしまえば後ろへ倒れる勢いが削がれ、ヒナタの身体が止まった頃には既に竿を3分に1程が処女だった膣内を占領していた。
「んぐぅ……!?」
流石に膣口を拡張される刺激は強すぎるのか、草を毟っていた手で大陰唇を開いている方の腕を掴んで背中を丸めるヒナタ。
意識だけは未だに草むしりへ剥いているものの、無意識だけが痛みに耐える行動を行わせた。
陰茎を咥え込んだ膣内では突然侵入して来た異物を締め出そうと必死に膣壁を奥から波打たせ、亀頭の表面を流れる強弱の締め付けが繰り返される。
膣壁が拡張される感覚で蠢く度に愛液で滑るヒダが這い、陰茎の表面を舐め回すような快感をあった。
「くぅ……んく、ちょ、ちょっと、根が強かった、のかな……ぅっ……!」
普段から儚く純情な姿を見ていた俺には小さく震える背中が愛おしく見え、思わず抱き締めてしまう。
ついでとばかりに性欲で操られた腕がヒナタの前へ回り、二の腕に左右から押されて縦の楕円に形が変わっている巨乳を掴む。
今の時点で俺の掌に納まらない大きさを持っている胸は、服の上からと言う事を除いても若干の硬さを感じ、成長の兆しをシッカリと指に返してくる。
肩越しのヒナタの横顔を見れば、真面目に任務をこなす顔に変化は余り見られなかった。
処女膜を一気に破られた膣内から来る僅かな痛みと、陰茎に拡張される違和感は、しぶとかった雑草を抜いた拍子に身体を変に捻ったと思ったのかもしれない。
握っていた草を離したヒナタは再び雑草へ挑もうと、陰茎の上に座っている状態から腰を僅かに引き上げて前へ屈む。
「おぅっ!」
「ひぐっ……うっ……」
処女を失ったばかりの膣内でカリがヒダを削ればヒナタの身体へ痛みを送り、無意識に悲鳴が漏れた。
背中から抱き締めているお陰で殆ど動かないが、拘束を続けて草むしりへ強く向いていた意識が後ろに居る俺へ向けられては少し困りそうだ。
しかし前へ行かれては折角入れた陰茎が抜けてしまうので、俺は処女の締め付けからくる快感に耐えながらフィールドへ効果を追加する。
即座に反映された効果でヒナタは上げようとしていた腰を止め、その状態で横にあった雑草を掴む。
そして、引き抜くと同時に腰を降ろし、抜けていきそうだった陰茎を自分で膣内へ差し込んだ。
「おくぁっ!」
「んぐっ……広がる……。……ぇ? 何が、きぅ! 広がるんだろ……?」
痛みと違和感で若干声が震えていた事には触れず、思わず出てしまった独り言の内容に自分で不思議がるヒナタ。
俺の太股から僅かに浮いている白い尻は抜こうとした時よりも確実に深く下がっており、竿に感じる膣内の暖かさも根元へ近付いていた。
根がしぶとい草を掴んで身体を落とさせ、処女の強い締め付けで入らなかった陰茎を更に咥え込む様にしたのだ。
身体を下へ引き寄せていた草が抜ければ、一瞬の間を置いて抜けた反動を持って身体が浮く。
そうすれば当然陰茎も抜け、膣壁がカリで削られた。
「おぁっ!」
「あぐぅ……! お腹が……!」
どれだけ膣内を広げられる違和感で声を漏らそうとも、フィールドの中に居る限りは上忍である紅すらヒナタの様子に気付かない。
抜いた草を捨てたヒナタは、もう一度横にある雑草を掴んで抜く動きと同時に腰を落としてくる。
亀頭は先程よりも深く膣内へ食い込み、竿は膣口を丸く形を変えさせた。
犯される刺激は淫核を弄っていた時に溜め込んだ快感で誤魔化されてしまい、生理的な防衛本能で愛液の量も増えていく。
草を抜く程にヒナタの身体が上下に動き、刺激を受けた膣口は益々愛液を流す。
ヌルヌルの感触が大きくなり、陰茎はキツイ締め付けの中でもヒダで舐められる快感で精液を沸き上がらせた。
小陰唇と同様に発達の少ない印象を受ける膣内は、カリに掛かる抵抗も少ない気がする。
その分、膣壁との密着は高められ、陰茎は膣内で密封されているような吸い付きを受けた。
ヒナタが腰を上げれば抜ける陰茎に膣口が張り付き、破瓜の血を滲ませる愛液が付着した竿が姿を見せる。
カリで処女膜の名残を完全に削り取り、鈴口の前では広げられた膣壁が、抜ける陰茎の後から閉じてカウパー液を舐め取った。
雑草を引っ張って腰を下げると、拡張したお陰で心成しか入れ易くなった膣壁を掻き分けていき、入らなかった箇所まで亀頭が触れる。
生暖かい小さなヒダと膣壁が亀頭からカリの凹み、そして竿を流れる感触は俺の大きな快感を送り、思考すら白く染めていく。
「うっ……うぅ!」
「ふっ、うぁっ、くぅ! だ、駄目……!」
フィールドの効果はヒナタの動きを徐々に早くさせた。
短い髪が俺の鼻先で揺れれば髪の中で篭った汗の匂いが香ってくる。
決して不快さは無く、逆に興奮を高める材料にしかならなかった。
快感に耐える俺も上下の動きを邪魔しない様に腰を突き上げて、亀頭を未開拓だった膣内の奥へ突き進める。
握っていた巨乳も掌の中を波打ちながら踊った。
服の上からであっても乳首の尖った感触があり、破瓜の衝撃を抑える程度にはヒナタの身体が快感を溜めている事を知らせてくる。
上下に動く幅の大きくなれば、僅かな間も置かずに陰茎は根元まで挿入された。
竿は全て生暖かい膣内に包まれ、亀頭は子宮口を持ち上げる。
俺の太股にヒナタの尻が衝突すれば硬くも柔らかい動きで波打ち、心地良い重さと暖かさが感じられた。
膣口から漏れ出す愛液は破瓜の血を流し切り、膣内で陰茎によって掻き混ぜられた所為で白く空気を含む。
「駄目……。お腹が、何か、んんっ、変だ……あぁっ……!」
○い上に性格が引っ込み思案であるヒナタは、膣内から来る絶頂を恐れる心が身体を強張らせると小刻みに震えさせた。
膣内でも今まで以上に強く圧迫し、発達の少ないヒダを目一杯陰茎へ押し付けてくる。
しかし身体だけは無意識に上下運動を続けてしまい、快感は高まり続けた。
興奮を溜め込んだ陰茎が締め付けてくる膣壁を広げ、その感覚がヒナタも絶頂へ上らせる。
「ん、あぁっ……! な、何かが、お腹の中、から、うくぅ、来る……!!!」
ビクビクと自分で抱き締めた身体を痙攣させるヒナタ。
強張る下半身が内側へ脚を閉じさせ、膣内も陰茎を握り締める。
精液が上がっていた陰茎に、強くヒダが押し付けられる刺激は耐えられるものではない。
「くぁっ……うくっ!!?」
「ふっ、ふぁっ!!」
背中を反らせたヒナタは、身体を小刻みに震えさせながら頭を振り上げる。
快感を溜めて敏感になっていた陰茎に締め付けと激しい痙攣を受けた俺も、視界が白く染まってヒナタの背中が見えなくなる程の絶頂が身体を走った。
「出、くっ、出る……!」
掴んでいた巨乳を咄嗟に引き下げてヒナタの尻を俺の太股へ張り付かせ、陰茎を根元まで入れてから暴発しそうだった精液を開放する。
ビクビクと震えながら吐き出される精液は膣内の奥深くへ溜まり、体液の熱さを最奥で感じ取ったヒナタも絶頂へ達して身体を激しく痙攣させた。
「んぁっ!? な、何か、出てるぅ……! お腹の、中で……えぇ……!!!」
「締まる……!」
射精で繰り返す痙攣を止めんばかりに締め付けるヒナタの膣壁を掻き分けながら、射精を続ける俺の陰茎。
尿道を駆け上がる感覚と共に。絶頂の快感が頂点へ達する。
「あっ! あぅっ!!」
「んくっー……!」
俺の太股の上で痙攣を繰り返す尻が動けば、絶頂へ収縮を繰り返す膣内で精液と愛液が掻き混ぜられていく。
子宮口に食い込む鈴口から射精は止まらず、快感と共にヒナタの胎内の最奥で溜まっていった。
「あっ……あぁ……」
「ふくぅ……」
腰を前後に痙攣させながら絶頂へ達したヒナタは徐々に動きを静め、同じ様に俺も吐き出す精液の量も落ち着く。
白く染まっていた視界も色を取り戻し、反っていたヒナタの背中は力が抜けたようにゆっくりと元に戻っていくのが見える。
「うぅっ……お腹の中が、熱い……」
「ふぅ……」
そして、俺とヒナタを襲っていた絶頂の波は消えていき、後には疲れを含む溜息が吐き出された。
「はぁ……今日の草むしりは、何か疲れるな……」
「くふぅ……」
自分の身体を抱き締めていたヒナタは未だに握っていた草を離すと、横に抜けそうな物が無かった為に少し離れた箇所の草を掴もうと身体を前へ倒す。
そうすれば俺の股間の上に乗っていた尻は自然と上がり、根元まで入っていた陰茎も抜けていった。
「んくぁ……」
「おうっ……」
絶頂を過ぎて刺激に敏感だった膣内と陰茎には少し強い刺激を送られ、思わず声を出してしまった俺とヒナタ。
陰茎が膣口から抜ければ処女だった膣口もぽっかりと孔を開け、奥から愛液と精液が逆流してきた。
漏れ出た体液はヒナタが草を抜いて剥き出しになった地面へ落ち、卑猥な水の跡を残す。
性欲を満足させた俺はフィールドの効果を操り、今度はヒナタが無意識に自分の股間の惨状を綺麗にするようにさせた。
「よ、よいしょっと……」
再び四つん這いになって草むしりを再開させたヒナタは、先程と同じ様に片手で草を掴みながら、残った方の手でハンカチを取り出して遣り難そうに股間を拭いていく。
指が大陰唇を拭けば、愛液と精液に塗れた所為で左右に逃げる。
外側を何とか拭き終わると秘裂の中へ布を挟み、上下に動かして体液を拭っていった。
俺も見ているだけではなく、そそくさと濡れた股間を拭き取ってからズボンを履く。
「ん、しょっと!」
「……まぁ、こんなもんか」
気が付けばヒナタも既にズボンも履いており、片手だった草を毟る手も両手になっていた。
後ろからズボンに包まれる尻を見ていると、股間辺りに薄く染みが出来ているが気にしない事にしておこう。
ふと辺りへ視線を巡らせれば、生え放題だった雑草も残り僅か。
ヒナタを犯している最中に、キバ達が頑張ってくれたらしい。
そろそろ任務も終わりそうなので、最後ぐらいは俺も仕事をしたいと思う。
若干腰が重いが、比較的時間も掛からずに頼まれていた範囲の草むしりを終えた。
「……さて、こんなものね」
「先生、これで終わりか?」
「そうね。これで良いと思うわ。後は依頼者に報告して帰るだけよ」
「あぁ、やっと終わったぜ」
「…………」
「ふぅ、今日も頑張ったね」
「腰が痛い。疲れた」
紅の言葉にキバ達は肩を回したり、腰に手を当てて反らせたりと屈んだままの作業で固まっていた身体を解す。
そんなリラックスした状態を微笑みながら見詰めていた紅は、ふと良い事を思い付いた様子で頷いた。
「うん。皆、帰りはちょっと修行をしながら帰ってみない?」
「修行?」
「えぇ、そうよ」
聞き返すキバに紅が笑顔で肯定する。
「これから先、万全な状態で任務に行けるとは限らないわ。場合によっては疲れた状態で逃げる事もあるかもしれない」
「まぁ、そうだよな」
「そう言う緊張した状況に少しでも慣れる為に、疲れた今の状態で里へ逃げ帰るって設定で修行をしましょう」
「おぉ! 良いな、それ!」
つまらない任務から開放された事と、修行と言う響きを聞いたキバのテンションは凄い勢いで上がった。
ヒナタも何気に気合を入れた雰囲気を発しており、紅の案には賛成らしい。
シノは良く分からない。
「でも、先生。具体的に何をするんだ?」
「設定としては護衛対象を守りながら里まで帰るってのはどうかしら?」
「護衛対象?」
そう言われてヒナタ達の視線は俺へ集まる。
「護衛対象が自分達と同じ位に動けるとは限らないわ。それどころか一般人と言うのが殆ど」
「だから、こいつが丁度良いって事か」
納得した雰囲気を出すキバとヒナタ達。
紅も自分の提案を受けて、やる気を漲らせた後輩達へ優しい笑顔を向けた。
「それじゃ、私は護衛対象を狙う敵の役をするから、そのつもりでね」
「おっ! 先生が敵役か! 腕が鳴るぜ!」
「でも、紅先生は上忍だから、私達じゃ太刀打ちできないよ」
「駄目よ、ヒナタ。相手が格下とは限らないわ。ちゃんと格上の相手とも戦うか、逃げる手段をシッカリ考えないと」
不安そうな顔を浮かべたヒナタへ優しい叱咤の声が飛んだ。
キバも始める前から弱気な姿を見て発破を掛ける。
「そうだぜ、ヒナタ。弱気じゃ真っ先に死ぬぜ」
「うっ、うん。分かった。キバ君」
「任務はどんな物であっても命がけだ。なぜならそれが忍者の仕事だからな」
「シノ君。そうだね。分かった」
「ふふ、やる気を出してくれて嬉しいわ」
「おぉ! 本気で来ても良いぜ、先生!」
シノの言葉に後押しされたヒナタは、何とか不安な心を押し込めて勇気を搾り出した。
胸の前で勢い良く拳を打って気合を入れるキバを微笑ましく見た紅は、修行内容を詳しく言う。
「護衛対象は分かってるわね?」
「あぁ、こいつを守れば良いんだろ?」
「そう。ある程度は忍者に付いて来れる一般人って設定も追加してね」
「はい! 分かりました」
「もし、私に護衛対象が捕まっても、取り返すように工夫や努力をしなさい」
「護衛対象は絶対に守る。なぜなら俺達はその程度は出来る実力を持っているから」
「ふふ、頼もしいわね」
一人一人に声を掛け、頼もしい返事に嬉しそうな顔を浮かべた紅。
「それじゃ任務の終了を依頼人に伝えてくるから、その間に出来るだけ里へ移動しておきなさい」
「おぉ! 分かったぜ!」
「それじゃ、修行開始よ!」
そして紅の姿は消え、一般人設定の俺を護衛する修行が始まった。
一先ず里へ向かって移動するのだが、ここで異を唱えたのは意外にもシノ。
「里まで真っ直ぐ進んではすぐに捕まる。迂回するべきだ。なぜなら相手も最短距離で移動すると知っているから」
「そうだな。森の中を迂回するか」
「うん。そうだね」
シノの言い分も最もだと納得したキバとヒナタは、すぐに提案に乗った。
それからキバは俺を向いて、珍しく真面目な顔で指示を出してくる。
「森の中を移動するから、お前もちゃんと付いて来いよ」
「あぁ、出来るだけ精進するよ」
「私達もなるべく脚は合わせるけど、無理そうだったら言ってね」
「ん、分かった」
ヒナタのフォローを受けた後、移動を開始した俺達は森へ入ると里までの最短距離を回避し、作戦通りに少々遠回りをしていく。
忍者らしく枝を飛び移るキバを先頭に、少し遅れてフィールドの反発を使って枝を飛ぶ俺が続き、その後にヒナタが続いた。
シノは横へポジションを取って虫を飛ばし、紅からの襲撃に備える。
しかし、下忍に成り立てのヒヨッ子では上忍の実力には及ぶ筈も無い。
「はい、捕まえた」
「うぉ!?」
「なっ!?」
「えっ!?」
「……!?」
突然上から落ちてきた紅に首の後ろを捕まえられた俺は、そのまま引き上げられてヒナタ達と引き離された。
あっと言う間の出来事に唖然として動けない三人の姿が遠くなり、森の向こうへ消える。
「ふふ、まだまだねぇ」
「紅先生。ちょっと大人気ないんじゃないですか?」
「あら、手加減をしたら修行にはならないでしょう?」
俺が小さく抗議をすると、紅は意地の悪そうな顔でニッコリと笑う。
流石に首の後ろを掴んでの移動は疲れるらしく、俺の身体を持ち上げて肩に担ぐ体勢へ変えた。
自然と里へ進む紅の後ろを見る事になり、周囲の景色が後ろへ凄い勢いで流れていく。
このまま大人しくしているのは不自然だろうから、少しは騒いだ方が良いだろうか。
「ヒナターー! た~すけて~!」
「あっ! こらっ」
騒ぎ始めた事に慌てた紅が立ち止まり、肩へ担いでいた俺を降ろすと俺の頬を両手で挟み、顔を近づけてきた。
明らかに何か幻術でも掛けられそうな感じなので、慌ててフィールドを展開させる。
移動してもフィールドが付いてくるように紅の足の裏を基点として展開されるフィールドは、一瞬の内に俺と紅を巻き込んだ。
「少し口を塞ぐ必要があるわね」
「お、お、おぉ……」
鼻先が触れる程に顔を近付けて来た紅は、おもむろに俺の頭の位置を下げさせる。
そして胸の位置まで移動させると、服を肩から脱ぎ始めた。
服の上からでは分からなかったが、たぷんと出てきた胸はそこそこ巨乳と言える大きさ。
頂点にある乳首の色は薄い茶色で、乳輪は平均よりも少し大きいかもしれない。
白い肌は血管が薄く浮かび上がっており、成熟した大人の色気を醸し出していた。
「里に付くまでの間は、これで口を塞がせて貰うわ」
「んぐっ!?」
「ぁんっ……」
柔らかな乳首を俺の口へ入れさせた後、何処からか太いロープを取り出して器用に俺の脇の下の胴体と腰をきつくない程度に縛る。
それからボストンバッグのようにしてロープを肩へ掛け、身体を固定してしまった。
俺の口に乳首を食わさせている所為で、授乳を施していると思われるだろうか。
口を塞がれれば自然と俺は声も出せなくなり、静かになった事に満足そうな顔を浮かべる紅は再び里へ向けて走り出す。
乳首を吸われている方の胸は俺の唇で固定されているが、もう片方は服から曝け出されて固定もされていないので、紅が枝から枝へ跳ぶ度に激しく揺れる。
目の前で巨乳が揺れる光景は俺の興奮を誘い、性欲に従う手が大胆に揺れる巨乳へ重ねられた。
「んっ……?」
「んむっ……」
揺れていた胸に食い込む指へ力を入れれば、硬さは無いがつきたての餅に似た感触がある。
グニグニ揉み解すと指が胸の中へ包まれ、走っているにも拘らずたいして激しくなっていない鼓動と温かみを感じた。
胸に悪戯する俺を呆れた様子で眉を顰める紅は、軽く注意をしながらも走るのを止めない。
「里まで大人しくそこを吸っていなさい」
「んん~!」
この反応は間違いなく、幻術を掛けられる前に知識を改ざん出来たらしい。
紅には『口を塞ぐには幻術ではなく、乳首を吸わせればチャクラを消費しないから効率が良い』と誤認させた。
上忍と言えども、流石に世界の外側から来た異能には抵抗出来ないらしく、何の障害も無くフィールドの効果に嵌ってしまう。
俺が口内へ入ってきた乳首を言われた通りに吸ってみれば、紅は肩をピクリと震わせる。
シッカリと乳首を吸われていると認識している分、刺激には敏感な反応を見せた。
乳輪を唇で挟み、吸った所為で柔らかいまま口の中で尖った乳首を甘噛みし、そのまま顎を小さく左右へ動かして歯で乳首を捏ね回す。
「んっ、随分、やんちゃな護衛対象ね」
「ちゅるちゅる……」
「ふぁっ……!?」
舌先で唾液を塗るついでに乳首を弾き、滑る刺激を送っていく。
ここまでされれば紅も俺を大人しくさせる為に、フィールドの効果で捻じ曲げられた次の段階へ進む事にした様子。
「ぁっ、大人しくさせるのは、んっ、何も胸を使うだけじゃ、あぅっ、無いのよ?」
「んむっ……」
紅は俺の背中へ手を回して身体を支えると、もう片方の手を俺の股間へ持って行き、ズボンを手早く脱がせて半立ちになっていた陰茎を掴み出した。
「あら、随分、ぅっ、大きいわね」
「んむー」
乳首からの刺激で漏れる声を挟みながら、年齢の割には大きな陰茎を掌の中で弄ぶ紅。
細く長い指が亀頭の形を確かめるように這い回り、カリへ入ると指先で撫でてくる。
軽く握り締められる刺激を受けた陰茎は、巨乳を揉み、乳首を吸っている興奮と陰茎を握られる刺激で一気に硬さを増していく。
『乳首を吸わせても悪戯をしてくる相手には、精液を搾り出して大人しくさせる』とも思わせている所為で、躊躇い無く陰茎を握ってくる。
「うふふ、厭らしいわね。くふっ、こんなに大きくして……はっぅっ」
「あむぁっ」
心成しか淫靡な雰囲気を醸し出し始めた紅は舌先で自分の唇を軽く舐め、竿を握った手が上下に動き出して手扱きを始めた。
森の中で移動中に胸を揉み、乳首を吸いながら手扱きされる異常な状態は思ったよりも興奮してしまう。
紅の乳首も固さを持ち始めると一気に吸い易くなり、歯で甘噛みしても硬い弾力が返って来た。
揉んでいる方も付け根から巨乳を掴んでは乳首へ指を動かし、乳輪に差し掛かると強く摘む。
硬くなった乳首は、摘む指を軽く押し返してくる程度までになっていた。
「くぁっ……、もう!」
「んむぅっ!?」
身体が成熟している紅は性感帯も成長しており、俺が口と手を動かせば紅の頬も赤くなる。
掴んでいる胸もつきたての餅以上に心地良い張りを持ち、揉み応えも増していた。
しかも身体が興奮を蓄えた所為で体温も上がって、乳首に吸い付いて至近距離にある紅の肌から濃くなった体臭が立ち上ってくる。
移動で僅かに掻いた汗の匂いも混じるものの、臭いどころか逆に興奮を高めてくれるフェロモンすら感じた。
陰茎の硬さは更に増してしまい、紅の手が亀頭を這い回る刺激でビクビクと跳ねる。
「ふふ、んっ、随分苦しそうねぇ?」
「んっ! んんっ!!」
張ったカリを指先で撫でつつ、カウパー液が出てきた鈴口へ指を触れさせると体液が糸を引きながら亀頭に広がった。
少し冷たく女らしい細い指が亀頭を動く感触は俺へ快感を送ってくる。
乳首を吸いながら陰茎の快感に目を細めてしまう俺を見た紅は、満足そうな顔を浮かべた。
「ふうっ、暫くは、ぁっ、静かになりそうね」
「んむっ……」
太い血管がいくつも走る陰茎を、僅かに力を込めた手で扱き続ける紅。
手を動かすと亀頭から伸ばされたカウパー液が全体に広がって、動かしやすくなった事で手は更に激しさを増す。
風を切って走っているので、竿の手が触れられていない部分に流れる風が当たって冷たい空気を受けた。
陰茎の熱い体温が移った紅の手も熱を持ち、それに比例するかのように扱く動きも熱が入る。
限界まで張ったカリの凹みを重点的に弄り回される快感は大きく、射精の欲求が突き上がってきた。
思わず乳首を噛んでしまい、揉んでいる方の胸も強く掴む。
「んぁっ、ちょっと、強過ぎるわよ。もう……」
「ずず……」
長く乳首を吸っている所為で漏れ出そうになった唾液をすすれば、先程よりも卑猥な音が紅の胸の中へ響いた。
俺の激しい吸い付きを受けた紅も、意趣返しにと陰茎を扱く手へ力を入れて激しく上下に動かす。
「んむっ!?」
「悪い子には、ふっ、お仕置きしないと、ぅっ、いけないわね!」
快感を含む言葉と共に、竿を扱いていた手は陰茎の上へ移動して鈴口からカリまで包み込み、そのまま左右へ回して亀頭だけを刺激してくる。
尿道を駆け上がろうとしている精液を我慢している最中に強い刺激を受けてしまえば、巨乳の肌一色に染まっていた俺は視界を白く染めて絶頂へ達してしまった。
「んぐくっ!!?」
「うふふ、元気に出してるわね。んくっ……」
掌の中で精液を吐き出しながら上下に暴れる陰茎を押さえながら、してやったりと笑う紅。
溜まる所がないので指の隙間から漏れた精液は、通り過ぎる木々の間へ落ちていった。
亀頭の上から押さえられても射精の勢いは全く収まらず、紅の掌の中へ熱い体液を吐き出し続けた。
徐々に精液が収まっていくと紅は亀頭をゆっくり撫で回し、鈴口に残った精液を掬い取りつつ手を離す。
そして顔の前へ持って行き、手を開いて掴み取った体液の量に僅かな驚きを見せる。
「うわ、随分出したわね……」
「ん……」
「……凄く濃い匂いがするわ」
手を汚す精液を指先で弄び、匂いを嗅いで頬を赤く染めた。
目も欲情を溜めているようにも見えるが、手扱き以上の行動は起こさない。
前提条件として俺を大人しくさせる為と誤認させている所為で、自分の欲情を出すのは上忍としてのプライドが許さないのだろう。
自分の顔へ近付ける手が徐々に口元へ接近し、舌で舐め取ろうとした所で紅は里の近くにまで来た事を認識する。
「……あら、残念」
残念と思ったのは精液を舐められなかった事か、それともヒナタ達が俺を奪還出来なかった事か。
ともかく目的地に着いたので樹の枝から降り、草むらへ降り立つ紅。
「さて、そろそろ、時間切れね」
「んむぁ」
「もう口を離しても良いわよ」
「ぷはっ……」
紅の胸から口を離すと、目の前には今まで口内になった乳首が現れる。
吸われていた事で乳輪から赤くなり、尖った乳首は唾液で光っていた。
揉んでいた方の胸からも手を離すと、赤く手形が残っている。
乳首と胸に張り付いていた手と口が離れたのを確認した紅は、俺を縛っていたロープを外して拘束を解いてくれた。
自由になった俺は地面へ降り立ち、丸出しだった陰茎をズボンの中へ仕舞う。
それから紅が着崩れていた服を直したのをみてから、展開していたフィールドを消した。
「ちょっと出し過ぎよね」
「先生のテクニックが良かったもので……」
若干呆れた様子で精液に塗れる手を拭っていく紅は、ジト目で俺を見てくる。
しかし口元は笑っているので、からかっているだけらしい。
フィールドを消しても誤認させた知識は元には戻らず、自分が授乳まがいに乳首を吸わせ、手扱きをして精液すら搾り取ったのを一切変だと思っていない様子だった。
精液に塗れた手を綺麗にしてから暫く経ち、やっと後ろからヒナタ達がやってくる音が聞こえてくる。
「……やっと追いついたわね」
「はぁはぁ――」
「はぁふぅ――」
「…………」
呆れを隠さない紅は、到着した途端に息を切らして座り込んだヒナタ達を見下ろす。
シノだけは息を吐く音を出さず、肩だけが激しく上下に動いて疲労を見せる。
「ちょっと、遅過ぎるんじゃないかしら?」
「はぁ、はぁ、せ、先生が、はぁ、はぁ、早すぎるんだよ。はぁ、はぁ――」
「んくっ、ふぅ、はぁ、そ、そうです」
「…………」
「ふぅ……。じゃぁ、明日からちょっと厳しい修行をしないといけないわね」
修行を始める前の威勢の良かった姿は跡形も無く、仰向けなったり座り込んだりとそれぞれが疲労困憊であると全身で表していた。
俺だけは運ばれただけなのでピンピンしているが、それでも手扱きをされた所為で腰に軽い疲労が溜まっている。
一時的に班に入れられたとは言っても俺は部外者なので、特に何も言う事無く座り込んでいるヒナタ達を見詰めた。
「はぁはぁ……、んっ、ふぅはぁ……」
「ん?」
「っ!? ふぅ……はぁ……」
荒い呼吸を繰り返し、身体に溜まった疲れを癒しているヒナタがチラチラと俺を見てくる。
視線が合えば激しい運動で赤くなった頬を更に赤く染め、パッと顔を反らした。
あからさまに恥ずかしがる反応を不思議に思った瞬間、俺は原因を思いつく。
ヒナタは日向一族の血継限界である白眼を使える。
チャクラを見る事で戦う相手の動きを読み、物陰に隠れている敵や遠くに居る目標まで見通す事が出来る力。
当然、逃げる紅を補足し続ける為には白眼を使うだろう。
視界から消えてもチャクラを追う事で目標を見続けるのなら、紅が俺にした事もシッカリと見た筈。
草むしりの最中に犯されても、ヒナタ自身は未だに処女と思い込んで初心な心を維持したまま。
俺の陰茎で初めて男の股間を見た上、知識として知っていた紅の卑猥な行為で俺と紅の顔をまともに見れないのか。
風の音が聞こえる中で荒く繰り返されていたヒナタ達の呼吸も落ち着きを取り戻していくと、紅は改めて声を掛けた。
「そろそろ、落ち着いたかしら?」
「ふぅ……何とか大丈夫だぜ」
「はい」
「…………」
夕焼けが差し込む里を見下ろす位置にある丘から、何処か懐かしい景色が広がる中、座っていたヒナタ達も立ち上がり、紅の前へ並ぶ。
「さて、今日の任務は終わりだけど、明日からの修行は厳しく行くわよ」
「おぉ!」
「はい!」
「……」
気合を入れて返事を返すキバと、未だに羞恥心で頬を赤く染めながらも強く頷くヒナタ。
シノは相変わらず無言であるものの、雰囲気はやる気が満ちていた。
俺はどうせ今日だけの班員なので、あくまでお客さん的な扱いだから紅の視線は向けられない。
「それじゃ解散して良いわよ」
「あぁ、今日もやっと終わったぜ」
「ふぅ、ちょっと脚が……」
「…………」
それぞれが帰路に付く中、俺は紅に声を掛けられる。
「貴方の方は、火影様には私から報告も入れておくから」
「あっ、そうですか。お願いします」
「えぇ、また機会があれば任務をする事もあるでしょうけど、その時はもう少し実力を上げておいて」
「まぁ、頑張りますよ」
「それじゃ、貴方も解散して良いわよ」
「はい、んじゃ、さようなら」
「えぇ、気をつけてね」
「失礼します」
火影に報告と言うのは、俺みたいに各班を点々とする忍者は今まで居なかったので、実際の任務にどのような影響があるかを報告するのだ。
班員達の絆を深める途中で他の人間が入ってもチームワークを乱さず、任務を遂行する為の訓練も兼ねている。
その結果を、担当上忍は俺の責任者である火影に知らせる流れになっていた。
「……あっ」
大人しく帰宅途中だったが、ヒナタのフォローをしていないのを思い出す。
紅の様に誤認させていない状態で手扱きを見た所為で、普通の反応を返して顔を赤くしていた。
引っ込み思案で恥ずかしい行為を見たと、人に言うとは思えないものの、少しは意識を操っていた方が良かったかもしれない。
またヒナタを犯したくなった時に、俺を見た途端に紅との行為を思い出して避けられては犯すに犯せなくなる。
しかし逃げる前に声を掛ければヒナタの性格からして、ちゃんと話ぐらいは聞くだろうか。
もし逃げても、フィールドを使って動きを止めれば良いかもしれない。
「……まぁ、良いか。今日は疲れたし帰ろう」
腰の疲労も溜まっている事であるし、一度『終わった』と気が抜けた心では改めてヒナタを追う気力も無くなっている。
夕日の眩しさに目を細めながら、俺は次の任務を果たす為に英気を養う必要があるのだ。
今日の所はサッサと帰って寝るに限る。
続く
その2へ
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